JP2009028724A - 水処理方法および水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】海水淡水化などの膜分離装置において、高い殺菌効果を発現する殺菌方法を提供する。
【解決手段】分離膜を用いる水処理工程において、膜分離工程以前のいずれかの工程において、被処理液に無機酸を添加することにより間欠的にpHを4以下とするとともに、被処理液に腐食抑制剤を添加する水処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水処理方法および水処理装置に関する。
膜による分離技術は、海水およびかん水の淡水化、医療用・工業用の純水、超純水の製造、工業廃水処理、食品工業など、幅広い分野に利用されている。これら膜分離において、微生物による分離装置の汚染は、得られる透過水の水質悪化に加え、膜面上での微生物増殖あるいは微生物およびその代謝物の膜面への付着などによる膜の透過性や分離性能の低下をもたらす。このような重大な問題を回避するため、膜分離装置の殺菌法が種々提案されており、一般的に、殺菌剤を常時あるいは間欠的に供給液に添加する方法がとられている。殺菌剤としては、価格、操作面で有利な塩素系殺菌剤を0.1〜50ppmの濃度になるように添加するのが、最も一般的である。また、より安価な硫酸を添加して、膜分離装置の供給液のpHを4以下に下げることにより、効果的に殺菌を行う方法も開発されている(EP1031372A)。膜分離装置の配管には、通常、ステンレスなどの耐腐食性金属が使われているが、硫酸等の添加により酸性度が高くなると、金属がPourbaix diagramの腐食領域に入るため、配管の腐食が起こりやすくなる。酸性度が低い状態では、殺菌効果を上げるために殺菌の頻度を多くする必要があったり、殺菌に時間がかかるなどの問題点があった。
本発明の目的は、前記した従来技術の欠点を克服し、殺菌効果の高い水処理方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(1)分離膜を用いる水処理工程において、膜分離工程以前のいずれかの工程において、被処理液に無機酸を添加することにより間欠的にpHを4以下とするとともに、被処理液に腐食抑制剤を添加する水処理方法。
(2)膜分離装置を有する水処理装置であって、該膜分離装置への供給液に酸を含む水溶液を供給する手段および腐食抑制剤を含む水溶液を供給する手段を有する水処理装置。
本発明によれば、海水淡水化など、膜分離装置を用いて水を精製する際に、装置配管の腐食を抑えることができるため、殺菌の頻度を多くしたり、pHをさらに下げることが可能となり、殺菌効果を増大させることができる。
本発明において、水処理とは、海水あるいはかん水の脱塩,分離または淡水化、工業用純水あるいは超純水の製造、工業廃水処理、食品工業における分離または濃縮、廃水からの有価物回収などを行なうプロセスをいう。
また本発明において、膜分離装置とは、造水、濃縮、分離などの目的で、処理液を、加圧下で膜モジュールに供給し、透過液と濃縮液に分離する装置をいう。膜モジュールとしては、逆浸透膜モジュール、限外濾過膜モジュール、精密濾過膜モジュールなどがある。膜分離装置は、主に使用する膜モジュールの種類によって、逆浸透膜装置、限外濾過膜装置、精密濾過膜装置に分けられる。
本発明で好ましく用いられる逆浸透膜装置を例に挙げて説明する。逆浸透膜装置は、通常は逆浸透膜エレメント、耐圧容器、加圧ポンプなどで構成される。該逆浸透膜装置に供給される被処理液は、通常、殺菌剤、凝集剤、還元剤、pH調整剤などの薬液を添加され、凝集、沈殿、砂濾過、ポリッシング濾過、活性炭濾過、精密濾過、限外濾過、保安フィルター透過などの前処理が行われた後、装置に供給される。例えば、海水の脱塩の場合には、海水を取水した後、沈殿池で粒子などを分離し、また、沈殿池に塩素などの殺菌剤を添加して殺菌を行う。続いて、塩化鉄、ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を添加して砂濾過を行う。濾液は貯槽に貯められ、硫酸などでpHを調整した後、送液される。送液中に、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を添加して殺菌剤を還元除去し、保安フィルターを透過させた後、透過液は高圧ポンプで昇圧されて逆浸透膜モジュールに供給される。ただし、これらの前処理は、被処理液の種類、用途に応じて適宜選択される。
ここで逆浸透膜とは、液中の一部の成分、例えば溶媒を透過させ、他の成分を透過させない半透性の膜である。逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材が、一般的に使用されている。また、その構造としては、膜の少なくとも片側に緻密層を持ち、該緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、該非対称膜の緻密層の上に、別の素材で形成された非常に薄い活性層を有する複合膜などがある。ここで、逆浸透膜の形態としては、中空糸、平膜などがある。通常、中空糸および平膜の膜厚は10μm〜1mm、中空糸の外径は50μm〜4mmが好ましい。また平膜としては非対称膜が、複合膜としては織物,編み物,不織布などの基材に支持されているものが好ましい。しかし、本発明の方法は、逆浸透膜の素材,膜構造や形態によらず利用することができ、いずれにも効果がある。
代表的な逆浸透膜としては、例えば、酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜、ポリアミド系,ポリ尿素系の活性層を有する複合膜などがあげられる。これらの中でも、酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複合膜に本発明の方法が特に有効であり、さらに芳香族系のポリアミド複合膜では一層効果が大きい。
逆浸透膜モジュールとは、上記した逆浸透膜を実際に使用するために形状化したものである。逆浸透膜の形態が平膜の場合は、スパイラル、チューブラーあるいはプレート・アンド・フレームのモジュールに組み込んで、また、中空糸の場合は、束ねた上でモジュールに組み込んで使用することができる。本発明は、これらの逆浸透膜モジュールの構成形態に依らず適用することができる。
逆浸透膜装置の運転圧力は、通常、0.1MPa〜15MPaの範囲であり、被処理液の種類、運転方法などで適宜使い分けられる。かん水など浸透圧の低い溶液を被処理液とする場合は比較的低圧で、海水や工業廃水などを処理液とする場合には比較的高圧で使用される。
逆浸透膜装置の運転温度は、0℃から100℃の範囲が好ましい。0℃よりも低いと被処理液が凍結する恐れがあり、100℃よりも高い場合には被処理液の蒸発が起こる恐れがある。
逆浸透膜装置における被処理液の回収率は、通常、5〜98%の間で適宜選択することができる。ただし、被処理液や濃縮液の性状、濃度、浸透圧に応じて、前処理方法や運転圧力を考慮し、回収率を設定しなければならない。例えば、海水淡水化の場合には、通常10〜40%の回収率が設定され、高効率の装置の場合には40〜70%の回収率が設定される。かん水淡水化や超純水製造の場合には、通常70%以上、必要に応じ90〜95%の高回収率で運転することもできる。ここで、回収率とは、逆浸透膜を透過した液量を被処理液量で割り、100倍した値を言う。
逆浸透膜装置の構成は、おもに高圧ポンプと逆浸透膜モジュールからなる。高圧ポンプは、装置の運転圧力に応じて最適のポンプを選択することができる。
また、逆浸透膜モジュールの配列は、1段で使用することもできるが、被処理液に対して直列または並列に、多段で配列することが好ましい。直列に配列する場合は、逆浸透膜モジュール間に昇圧ポンプを設置することができる。海水淡水化の際は、装置コストの観点から、特に直列2段の配列が好ましく用いられる。その際、直列に配列した逆浸透膜モジュール間に、昇圧ポンプを設置して、被処理液を1.0〜5.0MPaに昇圧して、後段のモジュールに供給するのが好ましい。被処理液に対して逆浸透膜モジュールを直列に配列した場合、膜モジュールと被処理液が接触する時間が長いので本発明の効果が大きい。
さらに、逆浸透膜モジュールは、透過液に対して直列に配列することもできる。これは、透過液の質が利水に不十分な場合や透過液中の溶質成分を回収したい場合に好ましい方法である。ここで、透過液に対して逆浸透膜モジュールを直列に配置する場合は、逆浸透膜モジュール間にポンプを設置し、透過液を再加圧するか、前段で十分な圧力をかけておき、後段の残圧力を利用して膜分離するのが好ましい。また、透過液に対して逆浸透膜モジュールを直列に配置する場合は、後ろの逆浸透膜モジュールの殺菌を行うために、酸の添加装置を逆浸透膜モジュール間に設けるのが好ましい。
逆浸透膜装置において、被処理液のうち膜を透過しなかった部分は、濃縮液として逆浸透膜モジュールから取り出される。この濃縮液は利用したり、廃棄することができ、さらに他の方法で濃縮することもできる。また、濃縮液は、その一部または全てを被処理液に循環することもできる。膜を透過した透過液は、利用したり、廃棄することができ、被処理液にその一部または全てを循環することもできる。
一般に逆浸透膜装置の濃縮液は圧力エネルギーを有しており、運転コストの低減化のためには、このエネルギーを回収することが好ましい。エネルギー回収の方法としては、任意の部分の高圧ポンプに取り付けたエネルギー回収装置で回収することができるが、高圧ポンプの前後やモジュール間に取り付けた専用のタービンタイプのエネルギー回収ポンプで回収することが好ましい。
本発明で使用する膜分離装置の処理能力は、一日あたりの処理水量が、0.5m3〜100万m3であることが好ましい。
また、本発明で使用される膜分離装置において、装置内の配管は、滞留部の少ない構造とすることが好ましい。
本発明の水処理方法では、無機酸および腐食抑制剤を水処理装置に供給される被処理液に間欠的に添加する。無機酸の添加は、殺菌効果をもたらす点で極めて重要であり、特に海水を被処理液として使用する膜濾過において、この効果は顕著である。微生物が死滅するpHは微生物種に特有であり、例えば大腸菌の場合、生育の下限はpH4.6であるが、死滅はpH3.4以下で起こる。海水中には、多種の微生物が存在し、それぞれ死滅するpHが異なる。しかし、通常、被処理液をpH4.0以下に一定時間保持すれば、微生物の50〜100%を死滅させることが可能である。無機酸および腐食抑制剤を添加された被処理液のpHは、3.9以下がより好ましく、3.7以下がさらに好ましく、3.4以下が特に好ましい。pHの下限は特に限定されないが、装置の腐食予防の観点から、1.5以上が好ましく、特に2.0以上が好ましい。
さらに被処理液のpHを3.0以下にすることは耐酸性菌を含めた微生物に対して高い殺菌効果を提供する上で好ましい。常時、pHを3.0以下にすれば耐酸性菌を含むすべての微生物に対して高い殺菌効果を示すが、供給液を酸性にするための薬液費が嵩み配管設備の腐食への影響が大きくなる懸念がある。そのため、通常の間欠殺菌時には被処理液のpHを3.0より大きくして、pH3.0〜4.0の範囲とし、それでも死滅せずに残る微生物に対しては間欠殺菌2〜1,000回に1回の頻度で被処理液のpHを3.0以下にすることが、効率的な殺菌のために好ましい。
被処理液に間欠的に無機酸および腐食抑制剤を添加することにより、膜分離操作を行った後の濃縮水中の生菌数残存率が30%以下、かつ、間欠的に無機酸を添加する工程2〜1,000回に1回は生菌数残存率が15%以下とするのが好ましい。生菌数残存率が30%を越えると殺菌が不十分である。ここで、生菌数残存率(%)は、以下の式で求めた。
生菌数残存率(%)={(無機酸添加後の生菌数)/(無機酸添加前の生菌数)}×100
本発明で使用する無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等のいずれを用いても良いが、経済的な面を考えると、硫酸を用いることが好ましい。
本発明で使用する腐食抑制剤は、水処理装置の腐食を予防し、殺菌効果を上げるために重要である。本発明に使用する腐食抑制剤としては、分子中にカルボン酸基を少なくとも6個有するポリカルボン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、亜硝酸およびそれらのアルカリ金属塩から選ばれた化合物が好ましく用いられる。ここで、ポリカルボン酸としては、下記一般式(式中、nは3以上の整数、X、Yは水素またはアルカリ金属)で表されるポリエポキシこはく酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸およびマレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく用いられる。
Figure 2009028724
腐食抑制剤としては、ポリエポキシこはく酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ポリアクリル酸およびそれらのアルカリ金属塩から選ばれた化合物が特に好ましい。これらは、分子中に酸素、窒素などの電気陰性度の大きい原子を持つので、金属表面への吸着性に優れており好ましい。
中でもポリアクリル酸は、食品安全性が高く、かつ、腐食抑制効果が高いのでもっとも好ましい。ポリアクリル酸は、水処理が飲料水の製造を目的とする場合に、特に好ましい。
ポリアクリル酸の重量平均分子量は、水処理条件、例えばpHや温度などによって最適な範囲が変化するので、条件にあった重量平均分子量を有するポリアクリル酸を選択する必要がある。ポリアクリル酸の重量平均分子量は、500〜10,000の範囲が好ましく、より好ましくは1,000〜8,000の範囲である。重量平均分子量が500未満であると、十分な腐食抑制効果が得られにくく、10,000を超えると殺菌剤の保存安定性が悪くなりやすい。
ポリエポキシこはく酸またはそのアルカリ金属塩は、例えば次のような方法で合成される。すなわち、マレイン酸塩を、タングステン酸ナトリウムを触媒として過酸化水素にてエポキシ化し、エポキシこはく酸塩とする。次にエポキシこはく酸塩を、アルカリ水溶液中で水酸化カルシウムを触媒として開環重合すると、ポリエポキシこはく酸塩が得られる。また、マレイン酸共重合体としては、マレイン酸とオレフィンの共重合体、マレイン酸とメチルビニルエーテルの共重合体などが好ましく用いられる。
水処理装置に供給する被処理液に、酸および腐食抑制剤を添加する際には、別々に添加しても良いし、あらかじめ両者を混合した水処理用殺菌剤を作製して添加しても良い。あらかじめ水処理用殺菌剤を作製すると、殺菌処理を効率的に行うことができ好ましい。
本発明の水処理用殺菌剤中の無機酸および腐食抑制剤の濃度は、各々、50ppm(重量)〜50重量%の範囲が好ましい。酸および腐食抑制剤のいずれかあるいは両方の濃度が50%を越えると、殺菌剤の保存安定性が悪くなりやすい。また、酸および腐食抑制剤のいずれかあるいは両方の濃度が50ppmより低い場合、水処理用殺菌剤の添加量を増やすことが必要で、殺菌効率が悪くなりやすい。
本発明の水処理用殺菌剤に使用する水は、純水が好ましい。使用する水に不純物が含まれると、酸あるいは腐食抑制剤と反応して析出物が生じるなど、保存安定性が悪くなる場合がある。
酸と腐食抑制剤の混合物は保存安定性が悪い場合もあるので、水処理用殺菌剤にさらに保存安定化剤を添加することが好ましい。保存安定化剤としては、水処理装置の分離膜へのダメージを減らし殺菌効果を低減させないために、炭素数8個以下のカルボン酸またはそのアルカリ金属塩が好ましく用いられる。ここで、炭素数8個以下のカルボン酸としては、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸およびリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種であるのがより好ましい。このような保存安定化剤を添加することにより、酸と腐食抑制剤を混合して長時間保存しても、安定に保存することができる。水処理用殺菌剤中の保存安定化剤の濃度は、殺菌剤中の酸および腐食抑制剤の濃度によって最適範囲が変化するが、通常、50ppm(重量)〜50重量%の範囲が好ましい。
本発明の水処理用殺菌剤は様々な水処理工程で使用することができるが、微生物の影響が大きい分離膜を用いる水処理工程で使用されるのが好ましい。
さらに、分離膜としては逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜等があるが、殺菌剤として一般的に使用されている塩素等の酸化剤を使用することができない逆浸透膜を用いる水処理工程で本発明の水処理用殺菌剤を使用するのが好ましい。
水処理装置に供給する被処理液に、酸および腐食抑制剤を添加する方法としては、別々に添加しても良いし、あらかじめ両者を混合した水処理用殺菌剤を作製して添加しても良い。あらかじめ水処理用殺菌剤を作製すると、殺菌処理を効率的に行うことができ好ましい。
水処理用殺菌剤は、被処理液中で、10ppm(重量)〜10重量%の範囲で添加されていることが好ましい。殺菌剤の添加量を10ppmより低くする場合は、高い殺菌効果を得るために、殺菌剤中の酸および腐食抑制剤の濃度を高くする必要があり、水処理用殺菌剤の保存安定性が悪くなる可能性がある。また、水処理用殺菌剤の添加量を10重量%より多くする場合は、水処理用殺菌剤の添加装置に大きな負荷がかかり、エネルギー消費量が大きくなるため、経済的に不利になることがある。
水処理用殺菌剤の添加は、間欠的に実施することが好ましい。1回あたりの添加時間は、0.5〜2.5時間の範囲が好ましく、添加頻度は、1日〜1ヶ月に1回の頻度が好ましい。添加時間と添加頻度は、膜の透過水量の変動、濃縮液の生菌数や含有有機炭素の変動、差圧の上昇などを監視しながら、適宜変動させるのが好ましい。膜の除菌については、水処理装置の休止時に、膜を酸および腐食抑制剤を含む水溶液に浸漬することで実施することも可能であるが、膜分離を行いながら被処理液に水処理用殺菌剤を添加する方法が効率的であり好ましい。
本発明の水処理方法において、無機酸と腐食抑制剤を別々に被処理液に添加することもできる。被処理液への無機酸の添加量は、殺菌効果の点から、10ppm(重量)以上が好ましく、経済性や配管等の設備の腐食を予防する点から、1重量%以下が好ましい。
被処理液への殺菌剤の好ましい添加量は、被処理液の塩濃度によって変動するが、被処理液のpHが間欠的に4以下になるように、かつ、被処理液中の腐食抑制剤の濃度が0.1ppm〜1%の範囲になるように制御することが好ましい。被処理液のpHが4より高くなると殺菌効果が低くなることがある。また、腐食抑制剤の濃度が0.1ppmより低いと腐食抑制効果が低くなることがある。逆に腐食抑制剤の濃度が1%より高い場合、腐食防止効果は飽和傾向となり、経済的に不利になることがある。
無機酸として硫酸を用いる場合、その添加量は被処理液の塩濃度に比例させるのが好ましい。例えば加圧滅菌(120℃、15分)した生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)では、硫酸50ppmの添加でpH3.2まで低下するが、加圧滅菌(120℃、15分)した3カ所の海水および市販の人工海水(塩濃度約3.5重量%)を被処理液として用いた場合、硫酸を100ppm添加した場合でも、被処理液のpHは、5.0〜5.8であった。これは、主に海水のMアルカリ度による影響と考えられる。海水をpH4以下にするためには、通常、硫酸を120ppm(重量)以上添加することが好ましい。硫酸の添加量の上限は、経済性や配管等設備への腐食予防の点から、400ppm以下が好ましく、さらに好ましくは300ppm以下である。なお上記した海水、人工海水への硫酸添加濃度を150ppm、200ppmとした場合、被処理液のpHは、それぞれpH3.2〜3.6、pH2.8〜2.9であった。すなわち、硫酸添加濃度が高くなるに従って、被処理液のpHバラツキは減少する。
また、被処理液中の腐食抑制剤の濃度は、被処理液の種類や水処理条件によって最適範囲が変化するが、通常、0.1ppm(重量)〜1重量%の範囲が好ましい。経済性や、水処理操作のしやすさの点から、1〜500ppmの範囲がより好ましい。例えば、pH1.0、塩濃度約8%の廃水を温度35℃で水処理する場合、腐食抑制剤は、被処理液中1〜100ppmの範囲にするのが好ましい。
本発明において、無機酸および腐食抑制剤は、被処理液が膜分離装置に供給される以前の工程であれば、どこに添加しても良い。膜分離装置の殺菌のためには、膜分離装置の直前で添加することが好ましい。さらに、腐食抑制剤を被処理液に添加する下流側で無機酸を添加するのが配管腐食を抑制する上で好ましい。
腐食抑制剤の添加は、無機酸を添加するときに同時に添加するのも好ましい方法である。腐食抑制剤が高価な場合には、経済性の点から、被処理液がpH3.0以下になる場合のみに添加するのが好ましい。
無機酸および腐食抑制剤の添加は間欠的に実施することが好ましい。1回あたりの添加時間は、0.5〜2.5時間の範囲が好ましく、添加頻度は、1日〜1ヶ月に1回の頻度が好ましい。添加時間と添加頻度は、膜の透過水量の変動、濃縮液の生菌数や含有有機炭素の変動、差圧の上昇などを監視しながら、適宜変動させるのが好ましい。膜の除菌については、水処理装置の休止時に、膜を酸および腐食抑制剤を含む水溶液に浸漬することで実施することも可能である。
無機酸と腐食抑制剤を別々に添加する場合には、それぞれ添加の頻度を変えることもできる。例えば、酸は0.5〜2.5時間の添加を隔日に、腐食抑制剤は酸と同じ時間の添加を添加頻度を変え、例えば1週間に1回に行うことができる。特に腐食抑制剤が高価で、その腐食抑制効果が優れている場合、経済性の点から、腐食抑制剤の添加頻度を下げ、酸のみ添加する場合と、酸と腐食抑制剤両方を添加する場合を組み合わせるなどの方法が好ましく用いられる。
本発明の膜分離装置を有する水処理装置は、例えば以下に示すA〜Hの構成からなる装置である。
A.取水装置。被処理液である原水を取り込む装置であって、通常、取水ポンプ、薬品注入設備などで構成される。
B.取水装置に連通した前処理装置。分離膜装置に供給する被処理液を前処理して、被処理液中の懸濁物、乳化物などを除去し、一部の薬剤を投入する装置である。例えば、以下の順に構成することができる。
B−1 凝集濾過装置。
B−2 ポリッシング濾過装置。
これらB−1、B−2の替わりに限外濾過装置や精密濾過装置を用いても良い。
B−3 凝集剤、殺菌剤、pH調整剤などの薬剤投入設備。
C.前処理装置に連通し必要に応じて設置される中間槽。水量調節、水質の緩衝作用等の機能を有する。
D.Cを設置する場合には中間槽に連通し、またはCを設置しない場合には前処理装置から連通したフィルター。膜分離装置に供給される被処理液の固形不純物を除去する機能を有する。
E.膜分離装置。高圧ポンプおよび分離膜モジュールからなる。
膜分離装置は複数設置して、これらを並列に設置しても、直列に設置してもよい。直列に設置する場合、後段の膜分離装置に被処理液を供給する際の水圧を上げるためのポンプを膜分離装置間に設けることができる。
F.膜分離装置の透過液出口部分に連通した後処理装置。例えば、以下の装置が例示される。
F−1 脱気装置。脱炭酸の機能を有する。
F−2 カルシウム塔。
F−3 塩素注入装置。
G.膜分離装置の原水側出口部分に連通した後処理装置。例えば、以下の装置が例示される。
G−1 緩衝装置。例えば、中和装置。
G−2 放流設備。
H.その他。
廃水の処理装置等を適宜設けても良い。
本発明の水処理装置は、任意の場所にポンプを設けることができる。また、無機酸および腐食抑制剤またはそれらの水溶液を添加する手段は、Aの取水装置,Bの前処理装置もしくは前処理装置の前,およびDのフィルターの前もしくはフィルターの後のいずれか1箇所以上に設けることが好ましい。特に、膜分離装置の前、すなわち、Dのフィルターの前もしくはフィルターの後が好ましい。
また、本発明の効果を高めるために、水処理用殺菌剤、無機酸および腐食抑制剤の添加装置は、自動制御できるものが好ましく、注入量を適宜コントロールできるポンプを備え付けていることが好ましい。また、供給する被処理液および濃縮液のpHおよび腐食抑制剤の濃度等を測定する装置を、装置内に備え付けていることが好ましい。また、水処理用殺菌剤等の間欠添加を制御するため、時間を測定できる装置を有していることが好ましい。さらに好ましくは、水処理装置全体を自動運転できる自動制御装置を具備していることである。
本発明の水処理装置の構成部材、例えば配管、バルブなどは、pH4以下の条件で腐食しにくいものを使用することが好ましい。供給する被処理液のpHを4以下とすることによって、高い殺菌効果が得られると同時に、配管内のスケールを除去できるという効果も得ることができる。塩素などの酸化物による膜劣化を防止するために、亜硫酸水素ナトリウムを添加する場合があるが、本発明の水処理用殺菌剤を用いることによって、その添加量を著しく低減できることがある。
前処理工程における塩素系殺菌剤の添加は、殺菌に有効であり、一般に用いられている。膜分離装置を有する処理装置の場合、例えば前記A〜Dの装置におけるいずれかの工程で、塩素系殺菌剤の連続または間欠注入が実施される。この方法により、供給する被処理液は、耐性菌が出現しない限り、ほぼ完全に殺菌できる。ここで、塩素系殺菌剤は、逆浸透膜を化学的に劣化させることがあり、それを防止するため、膜分離装置の直前で亜硫酸水素ナトリウムを代表とする還元剤を添加するのが一般的である。しかし、還元剤により塩素を還元除去した後の被処理液は、微生物が容易に繁殖できる状態となってしまう。しかも、例えば、殺菌剤添加前の海水原水のように種々雑多な微生物ではなく、かなり選別された微生物群がそこに存在し、その中には耐酸性菌が多く含まれている可能性がある。この問題に対しては、前処理工程における塩素系殺菌剤の添加と膜分離装置直前における還元剤の注入を、それぞれ間欠的に実施することによって解決される。この方法は、同時に膜の劣化を防止するためにも有効である。塩素系殺菌剤の注入間隔は、例えば、海水原水の水質、すなわち微生物の存在状態に合わせて、1日〜6ヶ月に1回、1回あたり30分〜2時間程度実施するのが好ましい。この塩素系殺菌剤の添加時期に合わせて、さらに塩素系添加剤を含有する水の移動を考慮し、前処理装置と膜分離装置との間に還元剤を供給して、塩素系殺菌剤を非活性化するのが好ましい。加えて、その時期に合わせて、膜分離装置へ供給する水溶液に、本発明の水処理用殺菌剤、あるいは腐食抑制剤および酸を別々に添加して、膜分離装置の殺菌を実施するのがよい。
この様な、前処理工程に対する間欠的塩素殺菌剤注入方法は、連続的な殺菌剤の注入に比べて、薬品代など処理費の著しい低減効果をもたらす。これは本発明の水処理用殺菌剤、あるいは酸と腐食抑制剤による水処理方法が存在してはじめて達成され、従来の殺菌方法では、殺菌効果が不十分なため到底達成できなかったのである。
本発明の水処理方法および装置は、膜分離装置を用いる水処理に好適に使用できる。特に海水の淡水化や、かん水の淡水化、工業用水の製造、超純水や純水の製造、医薬用純水の製造、水道原水の除濁、水道における高度処理等の水の精製工程などで好適に使用できる。また、食品の濃縮等において、従来の酸化性殺菌剤では分解しやすい有機物等を分離または濃縮する場合にも、分解無しで有機物等を濃縮または回収することができ、本発明の効果は大きい。また、飲料水製造の場合には、塩素殺菌で生じるトリハロメタンの発生を防止できる効果がある。さらに、本発明の水処理方法は、食品安全性の高い化合物のみの使用により殺菌を行なうことができるので、飲料水製造に特に適している。
実施例において、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
まず、実施例に使用した薬液等の合成について記載する。
<ポリエポキシこはく酸塩の合成例>
Payneら( J.Org.Chem., 24, 54(1959))の合成法に従い、以下の通りエポキシこはく酸塩を合成した。
2Lの三口フラスコに、無水マレイン酸280gと超純水428mLを入れ、溶解させた。この水溶液に、48重量%水酸化カリウム水溶液500gを、冷却しながら室温に維持しつつ、滴下ロートで滴下した。次にタングステン酸ナトリウム18.8gを添加した後、35重量%過酸化水素水332gを滴下した。30分ほど攪拌した後、48重量%水酸化カリウム水溶液115gを徐々に添加した。この際、フラスコを急冷し、反応温度を55〜65℃に保った。この後、65〜60℃で30分保持し、エポキシこはく酸カリウム水溶液を得た。室温まで冷却した後、該水溶液を約300mLに濃縮して、これを1Lのアセトンに注入して、生じた沈殿物を濾過し、エポキシこはく酸カリウムを単離した。
次に、200mL丸底フラスコに、このエポキシこはく酸カリウム10.4gと超純水50gを入れ、48重量%水酸化カリウムを添加して、水溶液のpHを10.3に調整した。さらに、水酸化カルシウム0.41gを添加し、80℃で6時間反応を行った。続いて、室温に冷却した後、不溶物を濾過し、ロータリーエバポレータを用い、浴温40℃で水を除去して、白色の固形物を得た。
得られたポリエポキシこはく酸塩の分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。具体的には、サンプルを200ppmの濃度で調製し、標準物質として分子量既知のポリエチレングリコールを用いて検量線を作成し、サンプルの分子量を計算した。得られたポリエポキシこはく酸の分子量は、重量平均分子量 Mw=20900(n=100、Mw/Mn=1.00)であった。
実施例1〜3
純水(電導度10μS/cm)に、硫酸20重量%および表1に示す腐食抑制剤0.1重量%を加えて水処理用殺菌剤(pH0.6)を調整した。表面を320番のヤスリで研磨処理したSUS316L製のステンレス試験片(20mm×30mm×1mm)を、超音波洗浄器を用いて純水で60分間洗浄後、アセトンで60分間洗浄し、風乾した。前記水処理用殺菌剤を、海水(電導度100mS/cm)で100倍に希釈(殺菌剤濃度1重量%)して、全体が100mLの試験液(pH1.2)とし、100mLポリ容器に入れ、前記ステンレス試験片を1個ずつ浸漬した。該ポリ容器を10個用意し、80℃の恒温室内に静置した。浸漬開始から4日目と7日目に試験片を取り出し、重量測定を行った。試験片は純水で5秒間洗浄後、アセトンで5秒間洗浄し、風乾後、シリカゲル乾燥雰囲気中、0.01mgまで秤量可能な電子天秤を用いて重量測定を行い、5本の平均値を求めた。腐食抑制剤添加による効果は、次のように評価した。
浸漬開始から4日目までの重量減少(a)と4日目から7日目までの重量減少(b)をそれぞれ、以下のようにして求めた。
重量減少(a)(g/m2)=(浸漬前の試験片重量−4日目の試験片重量)/ 試験片表面積
重量減少(b)(g/m2)=(4日目の試験片重量−7日目の試験片重量)/ 試験片表面積
次に、腐食抑制剤を用いなかった場合の重量減少に対する、腐食抑制剤を用いた場合の重量減少の比を、前記重量減少(a)、(b)それぞれについて、以下のようにして求めた。
重量減少(a)比=腐食抑制剤有りの重量減少(a)/腐食抑制剤無しの重量減少(a)
重量減少(b)比=腐食抑制剤有りの重量減少(b)/腐食抑制剤無しの重量減少(b)
重量減少(a)比と(b)比の平均値を重量減少率とした。結果を表1に示す。
(表中、ポリエポキシこはく酸カリウム塩をPES、エチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウムをEDTA、ポリアクリル酸をPAと略記する。)
比較例1
腐食抑制剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。腐食抑制剤を添加しない本比較例は、実施例1〜3に比べ、重量減少率が大きく、試験片の腐食が進行していた。
Figure 2009028724
実施例4〜7
硫酸を添加してpHを1に調整した海水(電導度100mS/cm)に、表2に示す腐食抑制剤を10ppm加えて試験液を調整した。表面を320番のヤスリで研磨処理したSUS304製のステンレス試験片(20mm×30mm×1mm)を、超音波洗浄器を用いて純水で60分間洗浄後、アセトンで60分間洗浄し、風乾した。100mLのポリ容器に前記試験液を100mL入れ、前記ステンレス試験片を1個ずつ浸漬した。該ポリ容器を5個用意し、35℃の恒温室内に3日間静置後、80℃に昇温して17時間継続して静置した。試験片を取り出し、純水で30秒間洗浄後、アセトンで10秒間洗浄した。腐食による重量減少は、以下のように測定した。重量減少は下記式で求め、5サンプルの平均値とした。
重量減少(g/m2)=(浸漬前の試験片重量−浸漬3日後の試験片重量)/試験片表面積
結果を表2に示す。
(表中、ポリエポキシこはく酸カリウム塩をPES、エチレンジアミンテトラ酢酸四ナトリウムをEDTA、ブタンテトラカルボン酸をBTCと略記する。)
比較例2
腐食抑制剤を添加しなかった以外は、実施例4と同様に実験を行った。
表2から分かるように、pH1という強酸性条件において、腐食抑制剤を添加した場合は、腐食抑制剤を添加しなかった場合に比べて高い腐食抑制効果を有していることが分かる。
Figure 2009028724
本発明によれば、膜分離装置を用いる水処理において、装置配管の腐食を抑えつつ、効果的に殺菌することができる。そのため、殺菌の頻度を多くしたり、pHをさらに下げることが可能となり、殺菌効果を増大させることができる。
本発明は、海水淡水化、かん水淡水化などの工程に、特に好適に用いることができる。
本発明の水処理方法を用いた水処理装置を示す概略図である。
符号の説明
1 取水装置
2 送液ポンプ
3 前処理装置
4 中間層および保安フィルタ−
5 昇圧ポンプ
6 膜分離装置
7 送液ポンプ
8 後処理装置

Claims (14)

  1. 分離膜を用いる水処理工程において、膜分離工程以前のいずれかの工程において、被処理液に無機酸を添加することにより間欠的にpHを4以下とするとともに、被処理液に腐食抑制剤を添加する水処理方法。
  2. 無機酸を、1回あたり0.5〜2.5時間の範囲内で添加する請求項1に記載の水処理方法。
  3. 無機酸を、1日〜1ヶ月に1回の頻度で添加する請求項1に記載の水処理方法。
  4. 間欠的にpHを4以下とする工程において、2〜1,000回に1回の頻度でpHを3以下にし、それ以外の場合は、pHを3より大きくする請求項1に記載の水処理方法。
  5. 無機酸が硫酸である請求項1に記載の水処理方法。
  6. 腐食抑制剤が、ポリアクリル酸である請求項1に記載の水処理方法。
  7. ポリアクリル酸の分子量が、500以上10,000以下である請求項6に記載の水処理用殺菌剤。
  8. 無機酸を10ppm(重量)〜1重量%、腐食抑制剤を0.1ppm(重量)〜1重量%の範囲で添加する請求項1に記載の水処理方法。
  9. 被処理液に腐食抑制剤を添加する下流側で無機酸を添加する請求項1に記載の水処理方法。
  10. 被処理液のpHを3以下にするときに腐食抑制剤を添加する請求項4に記載の水処理方法。
  11. 分離膜が逆浸透膜である請求項1に記載の水処理方法。
  12. 飲料水を製造する水処理方法である請求項1に記載の水処理方法。
  13. 被処理液として、海水を用いる請求項1に記載の水処理方法。
  14. 膜分離装置を有する水処理装置であって、該膜分離装置へ供給される被処理液に酸を含む水溶液を供給する手段および腐食抑制剤を含む水溶液を供給する手段を有する水処理装置。
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