JP2000226357A - シス型不飽和エステル、その製造方法及びそれを含有する香料組成物 - Google Patents

シス型不飽和エステル、その製造方法及びそれを含有する香料組成物

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JP2000226357A
JP2000226357A JP29032699A JP29032699A JP2000226357A JP 2000226357 A JP2000226357 A JP 2000226357A JP 29032699 A JP29032699 A JP 29032699A JP 29032699 A JP29032699 A JP 29032699A JP 2000226357 A JP2000226357 A JP 2000226357A
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methyl
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phenyl
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JP29032699A
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English (en)
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Kunio Mayahara
邦男 馬屋原
Toshiki Mori
俊樹 森
Hironobu Tamai
洋進 玉井
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 香料として有用な新規な化合物を提供する。 【解決手段】 式(1) 【化1】 (式中、Rはメチル基又はフェニル基を表し、Yは置換
基を有していてもよい炭素数が10以下の炭化水素基を
表し、そしてnは1又は2を表す。)で示されるシス型
不飽和エステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特徴的な香気を有
するシス型不飽和エステル及びその製造方法に関する。
また本発明は、そのシス型不飽和エステルを含有する香
料組成物にも関する。
【0002】
【従来の技術】従来、香料分野で使用される不飽和エス
テル化合物としては、3−ヘキセニルアセテート(ダイ
コンに似た香気を有する)、3−イソプロピル−5−ヘ
プテン−3−イルアセテート(花様の香気を有する)、
4,8−ジメチル−7−ノネン−4−イルアセテート
(レモン様の香気を有する)等が知られている。また、
不飽和エステルに対応した不飽和アルコールであって、
香料分野で使用されるものとしては、3−ヘキセン−1
−オール(別名;青葉アルコール、新緑の青葉香気を有
する)、2−メチル−3−ヘキセン−2−オール(セイ
ヨウセリに似た香気を有する)、1−オクテン−3−オ
ール(別名;マツタケアルコール)、2,4−ジメチル
−2−ヘキセン−4−オール(ハッカやショウノウに似
た涼しい香気を有する)等が知られている(奥田 治
著、「香料化学総覧2」、第502〜508頁、第12
89〜1293頁;広川書店発行参照)。
【0003】このように、不飽和アルコールや不飽和エ
ステルの中には特徴的な香気を有しているものがあり、
それらは香料分野で広く用いられている。これらの化合
物は、共通の化学構造を有していても、主鎖の炭素数の
相違、分岐の有無、炭素−炭素二重結合の構造の相違に
より、それぞれ異なった香気を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、香料分野に
おいては、調合香料の香気に様々な変化を持たせるとい
う強い要求が従来より存在する。
【0005】従って、不飽和エステルや不飽和アルコー
ルの構造を有し、かつ従来のものとは異なる香気を有
し、他の香気素材の香気を変調させたり増強させたりす
ることのできる新規な化合物が、強く求められている。
【0006】本発明の目的は、上記の要求を満足する新
規な化合物、及びその製造方法並びにその化合物を含有
する香料組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、不飽和エステルの構造を有する化合物
について探索を行った結果、特徴的な香気を有する化合
物を見出し、該化合物の製造方法並びに該化合物を含有
する香料組成物についても検討し、本発明を完成させる
に至った。
【0008】即ち、本発明は、式(1)
【0009】
【化8】
【0010】(式中、Rはメチル基又はフェニル基を表
し、Yは置換基を有していてもよい炭素数が10以下の
炭化水素基を表し、そしてnは1又は2を表す。)で示
されるシス型不飽和エステル、並びにその有効量を含有
する香料組成物を提供する。
【0011】また、本発明は式(1)で示されるシス型
不飽和エステルの製造方法において、式(2)
【0012】
【化9】
【0013】(式中、nは上記定義のとおりである。)
で示される環状ビニルエーテルと式(3)
【0014】
【化10】RMgX (3) (式中、Rは上記定義のとおりである。Xは塩素原子、
臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で示されるグリニヤ
ール試薬とを、トリアリールホスフィン及びニッケル化
合物の存在下で反応させることにより、式(4)
【0015】
【化11】
【0016】(式中、n及びRは上記定義のとおりであ
る。)で示されるシス型不飽和アルコールを製造し、こ
のシス型不飽和アルコールを式(5)
【0017】
【化12】YCO2H (5) (式中、Yは上記定義のとおりである。)で示されるカ
ルボン酸又はその誘導体でアシル化することにより式
(1)のシス型不飽和エステルを得る製造方法を提供す
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明のシス型不飽和エステルを表す上記
の式(1)及びそれを製造するために使用するカルボン
酸を表す上記の式(5)においてYが表す炭素数が10
以下の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2
−エチルヘキシル基、n−オクチル基等のアルキル基;
2−メチル−1−プロペニル基等のアルケニル基;フェ
ニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基などが挙
げられるが、これらの中でもメチル基が好ましい。
【0020】なお、これらの炭化水素基は、水酸基、ア
ルコキシ基などの置換基を有していてもよい。
【0021】式(1)で示されるシス型不飽和エステル
の好ましい例としては、2−メチル−シス−3−ペンテ
ン−1−オール−アセテート(式(1)中、n=1、Y
=R=Me)、3−メチル−シス−4−ヘキセン−1−
オール−アセテート(式(1)中、n=2、Y=R=M
e)、2−メチル−4−フェニル−シス−3−ブテン−
1−オール−アセテート(式(1)中、n=1、Y=M
e、R=Ph)、そして3−メチル−5−フェニル−シ
ス−4−ペンテン−1−オール−アセテート(式(1)
中、n=2、Y=Me、R=Ph)が挙げられる。ここ
で、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0022】以上のような本発明のシス型不飽和エステ
ルは、特徴的な香気を有しており、香料分野において有
用な化合物である。特に、3−メチル−シス−4−ヘキ
セン−1−オール−アセテートは、洋梨香あるいはアッ
プル香のようなフルーティな香気とグリーンな香気とが
融合した香気を有している。
【0023】このような香気を有する式(1)で示され
るシス型不飽和エステルの有効量を含有する本発明の香
料組成物は、例えば、香水;室内芳香剤(エアーフレッ
シュナー);石鹸、ローション、化粧用クリーム、ポマ
ード、ヘアトニック、シャンプー、ヘアーリンス等の香
粧品;浴用剤;洗剤、洗浄剤等の広範囲な用途に使用で
きる。また、本発明の香料組成物は、食品、繊維、布、
紙、塗料、インキ、粘土、木材、家具、カーペット、衛
生製品、消しゴム、人工皮革、プラスチック等の賦香に
も使用することができる。
【0024】本発明の香料組成物における式(1)で示
されるシス型不飽和エステルの有効量は、香料組成物の
総重量を基準として、通常0.01重量%以上、好まし
くは0.1〜95重量%、より好ましくは1〜40重量
%である。
【0025】本発明の香料組成物は、式(1)で示され
るシス型不飽和エステルに加えて、必要に応じ、水;エ
タノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコー
ル、フェネチルアルコール、3−メチル−3−メトキシ
ルブタノール、リナロール、テトラヒドロリナロール、
シトロネロール、グリセリン、1,3−ブタンジオール
等のアルコール類;α−ヨノン、イロン等のケトン類;
シトラール、シトロネラール等のアルデヒド類;酢酸エ
チル、ベンジルアセテート、ベンジルサリチレート等の
エステル類;スクワラン等の炭化水素類;ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類;シクロデキストリン
等の糖類;ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等
を含有することができる。
【0026】また、本発明の香料組成物は、必要に応じ
さらに、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、ポリ
アクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の増粘
剤;防腐剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;界面活性剤;
顔料;シリカ、アルミナ、タルク等の無機充填材等を含
有してもよい。
【0027】本発明の香料組成物は、式(1)で示され
るシス型不飽和エステルと、必要に応じて配合される他
の成分とを、常法に従って混合することにより調製する
ことができる。
【0028】次に、式(1)で示されるシス型不飽和エ
ステルの製造方法について以下に説明する。この製造方
法は、式(2)で示される環状ビニルエーテルと式
(3)で示されるグリニヤール試薬とを反応させて式
(4)で示されるシス型不飽和アルコールを製造し、そ
れを式(5)で示されるカルボン酸又はその誘導体でア
シル化するものである。
【0029】本発明において出発原料として使用される
式(2)で示される環状ビニルエーテルは、具体的に
は、3−メチル−2,3−ジヒドロフラン(n=1)、
または4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン
(n=2)であり、文献(特開平3−26177号公報
等)記載の方法で調製したものを使用することができ
る。
【0030】式(2)で示される環状ビニルエーテル
は、後述する式(3)で示されるグリニヤール試薬1モ
ル当たり、通常0.8〜5モル、好ましくは0.8〜1
モルの割合で使用される。
【0031】式(3)で示されるグリニヤール試薬は、
ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランの溶液として
市販されているものを使用してもよいし、文献(新実験
化学講座、第12巻、有機金属化学、第62頁など)に
記載された方法に従って、ジエチルエーテル又はテトラ
ヒドロフラン中で、RX(式中、R及びXは上記定義の
とおりである)という化学式で示される化合物と金属マ
グネシウムを反応させることによって調製したものを使
用してもよい。
【0032】なお、反応速度の観点から、式(3)で示
されるグリニヤール試薬と式(2)で示される環状ビニ
ルエーテルを反応させる前の段階で、上記のジエチルエ
ーテル又はテトラヒドロフランを可能な限り除去してお
くことが好ましい。ジエチルエーテル又はテトラヒドロ
フランを除去する方法としては、例えば、減圧下に蒸発
させる方法、後述する溶媒と置換する方法など、公知の
方法を利用することができる。
【0033】本発明で使用するニッケル化合物として
は、例えば、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(I
I)、酢酸ニッケル(II)・四水和物、ニッケル(II)
アセチルアセトナート・二水和物、ジクロロビス(トリ
フェニルホスフィン)ニッケル(II)などの2価のニッ
ケル化合物;ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッ
ケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニ
ッケル(0)などの0価のニッケル化合物などが挙げら
れるが、トリフェニルホスフィン等の配位子を有するニ
ッケル錯体が好ましい。
【0034】ニッケル化合物の使用量は、式(2)で示
される環状ビニルエーテル1モル当たり、0.05モル
以下であり、通常、0.00001〜0.05モルの範
囲内であるが、式(4)で示されるシス型不飽和アルコ
ールを選択的に得るという観点からはニッケル化合物の
使用量は少ない方がよく、式(2)で示される環状ビニ
ルエーテル1モル当たり、好ましくは0.00001〜
0.02モルの範囲内であり、より好ましくは0.00
01〜0.01モルの範囲内である。
【0035】また、本発明で使用するトリアリールホス
フィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、ト
リス(p−トリル)ホスフィン、トリス(2,4−ジメ
チルフェニル)ホスフィンなどが挙げられるが、工業的
には安価なトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0036】トリアリールホスフィンの使用量は、上記
のニッケル化合物におけるニッケル原子1モル当たり、
通常0.1〜3000モルとなる範囲の量であるが、反
応速度及び式(4)で示されるシス型不飽和アルコール
への選択率を高めるという観点からトリアリールホスフ
ィンの使用量は多い方がよく、ニッケル原子1モル当た
り2〜2000モルとなる範囲の量であることが好まし
い。
【0037】なお、使用するニッケル化合物の種類にも
よるが、反応系中でトリアリールホスフィンが該ニッケ
ル化合物に配位子として取り込まれることがある。その
場合には、配位子として取り込まれる分を考慮してトリ
アリールホスフィンの使用量を増加させるのがよい。
【0038】式(2)で示される環状ビニルエーテルと
式(3)で示されるグリニヤール試薬との反応(以下、
本発明におけるグリニヤール反応と略称する)は、通
常、溶媒の存在下に実施される。使用可能な溶媒として
は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレ
ン等の芳香族炭化水素;t−ブチルメチルエーテル等の
ニッケルに対する配位力の小さいエーテル系溶媒などの
反応に悪影響を及ぼさないものが挙げられる。溶媒の使
用量は、特に制限されるものではなく、反応に悪影響を
及ぼさない範囲とするのがよい。
【0039】なお、本発明におけるグリニヤール反応で
は、上記の溶媒に代えて原料として使用される式(2)
で示される環状ビニルエーテルを化学量論以上に使用
し、溶媒としての機能を兼ねさせることも可能である。
【0040】本発明におけるグリニヤール反応は、通常
30〜100℃、好ましくは50〜90℃の範囲内の温
度で実施される。また、反応時間は、通常30分〜10
時間の範囲内である。
【0041】本発明におけるグリニヤール反応は、窒
素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが
好ましい。
【0042】反応終了後、生成物である式(4)で示さ
れるシス型不飽和アルコールは、例えば、反応混合物を
塩化アンモニウム水溶液、希塩酸などに投入した後、
a)遊離した有機層を分離するか、b)n−ヘキサン、
ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエー
テル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶
媒;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒など
の有機溶媒で抽出して有機層を取得し、次いで得られた
有機層から有機溶媒を留去することからなる方法などの
常法に従って分離取得することができる。
【0043】かくして得られた式(4)で示されるシス
型不飽和アルコールは、必要に応じて蒸留、カラムクロ
マトグラフィー等の公知の手段により、さらに純度を高
めることができる。
【0044】式(4)で示されるシス型不飽和アルコー
ルは、それ自身、香料として利用することも可能である
が、上記の式(5)で示されるカルボン酸又はその誘導
体を用いてアシル化することにより、特徴的な香気を有
し、香料として非常に有用な、式(1)で示されるシス
型不飽和エステルに変換することができる。なお、式
(4)のシス型不飽和アルコールのうち、3−メチル−
5−フェニル−シス−4−ペンテン−1−オールと2−
メチル−4−フェニル−シス−3−ブテン−1−オール
は新規化合物である。
【0045】上記において、式(5)で示されるカルボ
ン酸としては、例えば、酢酸、セネシオン酸、安息香
酸、サリチル酸などが挙げられる。また、式(5)で示
されるカルボン酸の誘導体としては、例えば、無水酢酸
等のカルボン酸無水物;酢酸クロリド、安息香酸クロリ
ド等のカルボン酸ハロゲン化物などが挙げられる。
【0046】式(4)で示されるシス型不飽和アルコー
ルのアシル化は、文献(実験化学講座、第22巻、有機
合成IV、第43頁など)に記載された公知のエステル化
方法に準じて、例えば、式(4)で示されるシス型不
飽和アルコールと該シス型不飽和アルコール1モル当た
り0.9〜2モルのカルボン酸無水物をトリエチルアミ
ン、ピリジン、酢酸ナトリウム等の塩基性物質の存在
下、0℃〜50℃で反応させることからなる方法、式
(4)で示されるシス型不飽和アルコールと該シス型不
飽和アルコール1モル当たり0.9〜1.5モルのカル
ボン酸ハロゲン化物を水酸化ナトリウム、あるいはピリ
ジン、あるいはトリエチルアミン等の塩基性物質の存在
下、エーテル等の溶媒中、0℃〜50℃で反応させるこ
とからなる方法、式(4)で示されるシス型不飽和ア
ルコールと該シス型不飽和アルコール1モル当たり0.
2〜2モルのカルボン酸を、硫酸等の鉱酸、パラトルエ
ンスルホン酸等の有機酸又は三フッ化ホウ素エーテラー
ト等のルイス酸などの酸性触媒の存在下に反応させるこ
とからなる方法等によって実施することができる。
【0047】式(4)で示されるシス型不飽和アルコー
ルのアシル化を上記のいずれの方法で実施するとして
も、生成物である式(1)で示されるシス型不飽和エス
テルは、例えば、i)反応混合物を塩化アンモニウム水
溶液、希塩酸などに投入した後、n−ヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル等
のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジ
クロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒などの有機
溶媒で抽出し、次いで得られた有機層から有機溶媒を留
去することからなる方法、ii)反応混合物をクロマト
グラフィーによって分離することからなる方法等の常法
に従って分離取得することができる。
【0048】かくして得られた式(1)で示されるシス
型不飽和エステルは、必要に応じて蒸留、カラムクロマ
トグラフィー等の公知の手段により、さらに純度を高め
ることができる。
【0049】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例に限定されるものではな
い。
【0050】実施例1(3−メチル−シス−4−ヘキセ
ン−1−オールの酢酸エステルの製造) (a)3−メチル−シス−4−ヘキセン−1−オールの
製造 内容積2リットルの三口フラスコにジクロロビス(トリ
フェニルホスフィン)ニッケル(II)の2.88g
(4.4ミリモル)、トリフェニルホスフィン2.31
g(8.8ミリモル)及びトルエン1リットルを仕込
み、窒素雰囲気下、室温でメチルマグネシウムブロミド
のジエチルエーテル溶液400ml(濃度:2.2モル
/リットル、0.88モルのメチルマグネシウムブロミ
ドを含む)を加え、15分間攪拌した。その後、得られ
た混合物から、25℃以下の温度、約1.33×102
Paの条件下でジエチルエーテル約400mlを留去
し、次いでトルエン200mlを加えた後、窒素雰囲気
下、20℃で4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピ
ラン82.6g(0.84モル)を5分間かけて滴下し
た。得られた反応混合物の温度を50℃に上げ、同温度
で4時間、更に70℃で6時間攪拌を行った。
【0051】得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液4リットル中に注ぎ込
み、攪拌した後に静置して有機層と水層の二層に分離さ
せた。有機層と水層を分離し、水層をトルエン200m
lで2回抽出した。有機層とトルエン抽出液を一つに
し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、3−メ
チル−シス−4−ヘキセン−1−オールが90.97g
(0.8モル、収率:95.2%)、3−メチル−トラ
ンス−4−ヘキセン−1−オールが0.78g(7ミリ
モル、収率:0.8%)含まれていることが分かった
(シス体/トランス体=99.1/0.9)。
【0052】ガスクロマトグラフィー分析条件 カラム:PEG−HT (商品名、ガスクロ工業(株)
社製、長さ:4m) カラム温度:80℃で8分間保持した後、5℃/分の割
合で230℃まで昇温する。
【0053】 インジェクション温度:230℃ 検出器:FID検出器 キャリアガス:窒素
【0054】上記の有機層とトルエン抽出液を一つにし
たものを減圧下に蒸留することにより、3−メチル−シ
ス−4−ヘキセン−1−オール(沸点:62℃/1.2
0×103Pa、純度:98.5%)を82.04g得
た。
【0055】(b)3−メチル−シス−4−ヘキセン−
1−オールの酢酸エステルの製造 内容積200mlの三口フラスコに、上記(a)で得ら
れた3−メチル−シス−4−ヘキセン−1−オール3
0.0g(0.263モル)及び4−ジメチルアミノピ
リジン1.61g(13.2ミリモル)を仕込み、次い
で得られた混合物に無水酢酸53.65g(0.526
モル)を、反応温度が40℃を超えないような速度で滴
下した。
【0056】得られた反応混合物にn−ヘキサン30m
l及び水50mlを加え、攪拌した後に静置して二層に
分離させた。有機層と水層を分離し、有機層を水50m
lで4回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウム10gを加
えて30分間攪拌した後に、濾過を行い、濾液について
上記の分析条件に従ってガスクロマトグラフィーで分析
したところ、3−メチル−シス−4−ヘキセン−1−オ
ールの酢酸エステルが40.30g(0.257モル、
収率:97.7%)含まれていることが分かった。
【0057】上記で得られた濾液を減圧下に蒸留するこ
とにより、フルーティーかつグリーンな香気を有する、
3−メチル−シス−4−ヘキセン−1−オールの酢酸エ
ステル(沸点:84℃/3.33×103Pa、純度:
99.4%)を26.49g得た。この化合物の物性値
を以下に示す。
【0058】 1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 0.98(d,3H)、1.41〜
1.53(m,1H)、1.60(q,3H)、1.6
3〜1.75(m,1H)、2.05(s,3H)、
2.57〜2.67(m,1H)、3.94〜4.11
(m,2H)、5.08〜5.17(m,1H)、5.
38〜5.48(m,1H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 13.01、21.14、21.2
4、28.24、36.02、63.20、123.5
9、135.70、171.29
【0059】実施例2(3−メチル−シス−4−ヘキセ
ン−1−オールのサリチル酸エステルの製造) 内容積100mlの三口フラスコにサリチル酸3.52
g(25.5ミリモル)、パラトルエンスルホン酸・一
水和物0.05g(0.25ミリモル)及び実施例1の
(a)で得られた3−メチル−シス−4−ヘキセン−1
−オール5.82g(51ミリモル)を仕込み、反応温
度120℃で50時間攪拌を行った。得られた反応液を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、フ
ローラルなバニラ様の香気を有する3−メチル−シス−
4−ヘキセン−1−オールのサリチル酸エステルを4.
48g(19.1ミリモル、サリチル酸基準の収率:7
5%)得た。この化合物の物性値を以下に示す。
【0060】 1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 1.03(d,3H)、1.60
(q,3H)、1.57〜1.92(m,2H)、2.
67〜2.78(m,1H)、4.22〜4.41
(m,2H)、5.13〜5.22(m,1H)、5.
42〜5.52(m,1H)、6.85〜6.91
(m,1H)、6.96〜6.99(q,1H)、7.
42〜7.48(m,1H)、7.83〜7.86
(q,1H)、10.86(s,1H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 13.13、21.36、28.3
9、36.04、64.14、112.80、117.
74、119.26、123.95、129.98、1
35.49,135.73、161.84、170.3
【0061】実施例3(2−メチル−シス−3−ペンテ
ン−1−オールの酢酸エステルの製造) (a)2−メチル−シス−3−ペンテン−1−オールの
製造 実施例1の(a)において、4−メチル−3,4−ジヒ
ドロ−2H−ピランに代えて3−メチル−2,3−ジヒ
ドロフラン43.1g(0.512モル)を使用したこ
と以外は、実施例1の(a)と同様の操作により、グリ
ニヤール試薬との反応を行った。
【0062】得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液2リットル中に注ぎ込
み、攪拌した後、静置して有機層と水層の二層に分離さ
せた。有機層と水層を分離し、水層をトルエン200m
lで2回抽出した。有機層とトルエン抽出液を一つに
し、実施例1と同様の条件でガスクロマトグラフィーに
て分析したところ、2−メチル−シス−3−ペンテン−
1−オールが47.8g(0.477モル、収率:9
3.1%)、2−メチル−トランス−3−ペンテン−1
−オールが0.82g(10ミリモル、収率:1.6
%)含まれていることが分かった(シス体/トランス体
=98.3/1.7)。
【0063】(b)2−メチル−シス−3−ペンテン−
1−オールの酢酸エステルの製造 内容積200mlの三口フラスコに、上記(a)で得ら
れた有機層とトルエン抽出液を一つにしたものの一部
〔2−メチル−シス−3−ペンテン−1−オール8.2
7g(83ミリモル)を含有する〕、4−ジメチルアミ
ノピリジン0.512g(4.2ミリモル)及びトリエ
チルアミン8.8g(87ミリモル)を仕込み、次いで
得られた混合物に無水酢酸12.7g(0.125モ
ル)を、反応温度が40℃を超えないような速度で滴下
した。
【0064】得られた反応混合物にジイソプロピルエー
テル50ml及び2N塩酸60mlを加え、攪拌した後
に静置して有機層と水層の二層に分離させた。有機層と
水層を分離し、有機層を2N塩酸60mlで1回、さら
に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄し
た。有機層に硫酸ナトリウム10gを加えて30分間攪
拌した後に濾過を行い、濾液について実施例1と同様の
条件でガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2
−メチル−シス−3−ペンテン−1−オールの酢酸エス
テルが11.50g(81ミリモル、収率:98.1
%)含まれていることが分かった。
【0065】上記で得られた濾液の一部を減圧下に蒸留
することにより、アップル様かつフローラルな香気を有
する、2−メチル−シス−3−ペンテン−1−オールの
酢酸エステル(沸点:62℃/2.79×103Pa、
純度:98.2%)を2.95g得た。このものの物性
値を以下に示す。
【0066】 1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 0.99(d,3H)、1.64
(q,3H)、2.05(s,3H)、2.80〜2.
91(m,1H)、3.89〜3.92(q,2H)、
5.13〜5.21(m,1H)、5.46〜5.56
(m,1H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 13.20、17.42、21.1
1、31.11、68.80、125.41、132.
33、171.31
【0067】実施例4(3−メチル−5−フェニル−シ
ス−4−ペンテン−1−オールの酢酸エステルの製造) (a)3−メチル−5−フェニル−シス−4−ペンテン
−1−オールの製造実施例1の(a)において、メチル
マグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液に代え
て、フェニルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル
溶液140ml(濃度:3.0モル/リットル、0.4
2モルのフェニルマグネシウムブロミドを含有する)を
使用し、かつ4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピ
ランの使用量を39.43g(0.402モル)に変更
し、しかも反応温度を50℃としたこと以外は、実施例
1の(a)と同様の操作によりグリニヤール試薬との反
応を行った。
【0068】得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液2リットル中に注ぎ込
み、攪拌した後、静置して有機層と水層の二層に分離さ
せた。有機層と水層を分離し、水層をトルエン200m
lで抽出した。有機層とトルエン抽出液を一つにし、実
施例1と同様の条件でガスクロマトグラフィーにて分析
したところ、3−メチル−5−フェニル−シス−4−ペ
ンテン−1−オールが70.16g(0.398モル、
収率:99%)含まれていることがわかった。なお、3
−メチル−5−フェニル−トランス−4−ペンテン−1
−オールに対応するピークは認められなかった(シス体
/トランス体=100/0)。
【0069】上記の有機層とトルエン抽出液を一つにし
たものの一部を減圧下に蒸留することにより、ショウノ
ウ様の香気を有する3−メチル−5−フェニル−シス−
4−ペンテン−1−オール(沸点:101℃/1.20
×102Pa、純度:99.4%)を36.67g得
た。この化合物の物性値を以下に示す。
【0070】 1H−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 1.07(d,3H)、1.46〜
1.65(m,2H)、2.80〜3.00(m,1
H)、3.50〜3.60(m,2H)、5.43
(t,1H)、6.41(d、1H)、7.18〜7.
34(m,5H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 21.33、29.19、40.3
9、61.27、126.77、128.33、12
8.42、128.68、138.59
【0071】(b)3−メチル−5−フェニル−シス−
4−ペンテン−1−オールの酢酸エステルの製造 内容積200mlの三口フラスコに、上記(a)で得ら
れた有機層とトルエン抽出液を一つにしたものの一部
〔3−メチル−5−フェニル−シス−4−ペンテン−1
−オール27.52g(0.156モル)を含有す
る〕、4−ジメチルアミノピリジン0.95g(7.8
ミリモル)及びトリエチルアミン23.65g(0.2
34モル)を仕込み、次いで得られた混合物に無水酢酸
23.87g(0.234モル)を、反応温度が40℃
を超えないような速度で滴下した。
【0072】得られた反応混合物にn−ヘキサン150
ml及び2N塩酸100mlを加え、攪拌した後に静置
して有機層と水層の二層に分離させた。有機層と水層を
分離し、有機層を2N塩酸100mlで1回、さらに飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで2回洗浄し
た。有機層に硫酸ナトリウム10gを加えて30分間攪
拌した後に、濾過を行い、濾液について実施例1と同様
の条件でガスクロマトグラフィーにて分析したところ、
3−メチル−5−フェニル−シス−4−ペンテン−1−
オールの酢酸エステルが33.48g(0.153モ
ル、収率:98.3%)含まれていることが分かった。
【0073】上記で得られた濾液の一部を減圧下に蒸留
することにより、なし様でフローラルな香気を有する、
3−メチル−5−フェニル−シス−4−ペンテン−1−
オールの酢酸エステル(沸点:89℃/3.99×10
Pa、純度:99.3%)を30.92g得た。この化
合物の物性値を以下に示す。
【0074】 1H−NMR(300MHz,CDCl3
TMS) δ(ppm): 1.09(d,3H)、1.52〜
1.75(m,2H)、1.86(s,1H)、2.8
5〜2.98(m,1H)、3.94〜4.06(m,
2H)、5.40(t,1H)、6.43(d,1
H)、7.19〜7.34(m,5H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 20.94、21.18、29.1
3、36.10、62.86、126.74、128.
32、128.45、128.59、128.72、1
28.86、128.98、137.73、171.0
【0075】実施例5(2−メチル−4−フェニル−シ
ス−3−ブテン−1−オールの酢酸エステルの製造) (a)2−メチル−4−フェニル−シス−3−ブテン−
1−オールの製造 実施例1の(a)において、4−メチル−3,4−ジヒ
ドロ−2H−ピラン及びメチルマグネシウムブロミドの
ジエチルエーテル溶液に代えて、それぞれ3−メチル−
2,3−ジヒドロフラン38.12g(0.454モ
ル)及びフェニルマグネシウムブロミドのジエチルエー
テル溶液150ml(濃度:3.0モル/リットル、
0.45モルのフェニルマグネシウムブロミドを含有す
る)を使用し、かつ反応温度を50℃としたこと以外
は、実施例1の(a)と同様の操作により、グリニヤー
ル試薬との反応を行った。
【0076】得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液2リットル中に注ぎ込
み、攪拌した後、静置して有機層と水層の二層に分離さ
せた。有機層と水層を分離し、水層をトルエン200m
lで2回抽出した。有機層とトルエン抽出液を一つに
し、実施例1と同様の条件でガスクロマトグラフィーに
て分析したところ、2−メチル−4−フェニル−シス−
3−ブテン−1−オールが71.20g(0.404モ
ル、収率:88.9%)含まれていることがわかった。
なお、2−メチル−4−フェニル−トランス−3−ブテ
ン−1−オールに対応するピークは認められなかった
(シス体/トランス体=100/0)。
【0077】上記の有機層とトルエン抽出液を一つにし
たものの一部を減圧下に蒸留することにより、なし様で
フローラルな香気を有する2−メチル−4−フェニル−
シス−3−ブテン−1−オール(沸点:154℃/2.
66×102Pa、純度:99.2%)を15g得た。
この化合物の物性値を以下に示す。
【0078】 1H−NMR(300MHz,CDCl3
TMS) δ(ppm): 1.02(d,3H)、2.97〜
3.07(m,1H)、3.43〜3.52(m,2
H)、5.42(t,1H)、6.56(d,1H)、
7.21〜7.33(m,5H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 17.32、35.40、67.9
6、126.99、128.22、128.40、12
8.64、128.77、130.92、135.11
【0079】(b)2−メチル−4−フェニル−シス−
3−ブテン−1−オールの酢酸エステルの製造 内容積200mlの三口フラスコに、上記(a)で得ら
れた有機層とトルエン抽出液を一つにしたものの一部
〔2−メチル−4−フェニル−シス−3−ブテン−1−
オール66.3g(0.376モル)を含有する〕、4
−ジメチルアミノピリジン3.90g(32ミリモル)
及びトリエチルアミン56.96g(0.564モル)
を仕込み、次いで得られた混合物に無水酢酸47.94
g(0.470モル)を、反応温度が40℃を超えない
ような速度で滴下した。
【0080】得られた反応混合物にn−ヘキサン30m
l及び水50mlを加え、攪拌した後に静置して有機層
と水層の二層に分離させた。有機層と水層を分離し、有
機層を水50mlで4回洗浄した。有機層に硫酸ナトリ
ウム10gを加えて30分間攪拌した後に、濾過を行
い、濾液について実施例1と同様の条件でガスクロマト
グラフィーにて分析したところ、2−メチル−4−フェ
ニル−シス−3−ブテン−1−オールの酢酸エステルが
75.9g(0.372モル、収率:99%)含まれて
いることが分かった。
【0081】上記で得られた濾液の一部を減圧下に蒸留
することにより、なし様の香気を有する、2−メチル−
4−フェニル−シス−3−ブテン−1−オールの酢酸エ
ステル(沸点:108℃/3.33×102Pa、純
度:99.2%)を51.01g得た。この化合物の物
性値を以下に示す。
【0082】 1H−NMR(300MHz,CDCl3
TMS) δ(ppm): 1.06(d,3H)、2.02
(d,3H)、3.09〜3.19(m,1H)、3.
92〜4.07(m,2H)、5.44(t,1H)、
6.49(d,1H)、7.23〜7.36(m,5
H) 13C−NMR(300MHz,CDCl3,TMS) δ(ppm): 17.70、21.08、32.1
3、68.65、127.0、128.42、128.
51、128.68、128.86、128.89、1
28.94、130.22、134.22
【0083】実施例6 表1の配合に従って、各成分を室温にて攪拌混合し、香
料組成物1及び2を得た。但し、香料組成物1ではシス
型不飽和エステルとして3−メチル−シス−4−ヘキセ
ン−1−オールの酢酸エステルを使用し、香料組成物2
では2−メチル−シス−3−ペンテン−1−オールの酢
酸エステルを使用した。
【0084】
【表1】
【0085】参考例1(シス−3−ペンテン−1−オー
ルの酢酸エステルの製造) (a)シス−3−ペンテン−1−オールの製造 内容積2リットルの三口フラスコにジクロロビス(トリ
フェニルホスフィン)ニッケル(II)を0.548g
(0.835ミリモル)、トリフェニルホスフィン0.
438g(1.67ミリモル)及びメシチレン1リット
ルを仕込み、窒素雰囲気下、室温でメチルマグネシウム
ブロミドのジエチルエーテル溶液400ml(濃度:
2.1モル/リットル、0.84モルのメチルマグネシ
ウムブロミドを含む)を加え、15分間攪拌した。その
後、25℃以下の温度、約1.33×102Paの条件
下でジエチルエーテル約210mlを留去した。得られ
た溶液に、窒素雰囲気下、20℃で2,3−ジヒドロフ
ラン59.06g(0.843モル)を10分間かけて
滴下した。得られた反応混合物の温度を50℃に上げ、
同温度で4時間、攪拌を行った。
【0086】得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液1.5リットル中に注
ぎ込み、攪拌した後静置して有機層と水層の二層に分離
させた。有機層と水層を分離し、水層をメシチレン20
0mlで1回抽出した。有機層とメシチレン抽出液を一
つにし、実施例1と同じ分析条件下のガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、シス−3−ペンテン−1−オ
ールが58.96g(0.69モル、収率:81.3
%)含まれていることがわかった。なお、トランス−3
−ペンテン−1−オールに対応するピークは認められな
かった(シス体/トランス体=100/0)。
【0087】(b)シス−3−ペンテン−1−オールの
酢酸エステルの製造 内容積200mlの三口フラスコに、上記(a)で得ら
れた有機層とメシチレン抽出液を一つにしたものの一部
〔シス−3−ペンテン−1−オール31.92g(0.
371モル)を含有する〕及び4−ジメチルアミノピリ
ジン2.26g(18.5ミリモル)を仕込み、次いで
得られた混合物に無水酢酸75.68g(0.742モ
ル)を、反応温度が40℃を超えないような速度で滴下
した。
【0088】得られた反応混合物にn−ヘキサン30m
l及び水50mlを加え、攪拌した後静置して二層に分
離させた。有機層と水層を分離し、有機層を水50ml
で2回洗浄した。有機層に硫酸ナトリウム10gを加え
て30分間攪拌した後に、濾過を行い、濾液について実
施例1と同様の条件でガスクロマトグラフィーにて分析
したところ、シス−3−ペンテン−1−オールの酢酸エ
ステルが43.05g(0.336モル、収率:90.
5%)含まれていることが分かった。
【0089】上記で得られた濾液の一部をカラムクロマ
トグラフィーで精製し、さらに減圧下に蒸留することに
より、わずかにフローラルがかったグリーンな香りを有
する、シス−3−ペンテン−1−オールの酢酸エステル
(沸点:73℃/4.52×103Pa、純度:99.
9%)を24.2g得た。
【0090】参考例2(シス−4−ヘキセン−1−オー
ルの酢酸エステルの製造) (a)シス−4−ヘキセン−1−オールの製造 実施例1の(a)において、4−メチル−3,4−ジヒ
ドロ−2H−ピランに代えて3,4−ジヒドロ−2H−
ピラン37.5g(0.446モル)を使用し、反応温
度50℃で2時間反応を行ったこと以外は、実施例1の
(a)と同様の操作により、グリニヤール試薬との反応
を行った。
【0091】得られた反応混合物を室温まで冷却した
後、飽和塩化アンモニウム水溶液2リットル中に注ぎ込
み、攪拌した後、静置して有機層と水層の二層に分離さ
せた。有機層と水層を分離し、水層をトルエン200m
lで2回抽出した。有機層とトルエン抽出液を一つに
し、実施例1と同様の条件でガスクロマトグラフィーに
て分析したところ、シス−4−ヘキセン−1−オールが
41.39g(0.413モル、収率:94.9%)、
トランス−4−ヘキセン−1−オールが0.33g
(3.3ミリモル、収率:0.7%)含まれていること
が分かった(シス体/トランス体=99.2/0.
8)。
【0092】(b)シス−4−ヘキセン−1−オールの
酢酸エステルの製造 参考例1の(b)において、シス−3−ペンテン−1−
オールに代えて、上記(a)で得られた有機層とトルエ
ン抽出液を一つにしたものの一部〔シス−4−ヘキセン
−1−オール38.65g(0.386ミリモル)を含
有する〕を使用したこと以外は、参考例1の(b)と同
様の操作によりアセチル化反応を行った。
【0093】得られた反応混合物にn−ヘキサン100
ml及び水50mlを加え、攪拌した後に静置して有機
層と水層の二層に分離させた。有機層と水層を分離し、
有機層を水100mlで4回洗浄した。有機層に硫酸ナ
トリウム10gを加えて30分間攪拌した後に、濾過を
行い、濾液について実施例1と同様の条件でガスクロマ
トグラフィーにて分析したところ、シス−4−ヘキセン
−1−オールの酢酸エステルが35.22g(0.24
8ミリモル、収率:64.2%)含まれていることが分
かった。
【0094】上記で得られた濾液の一部を減圧下に蒸留
することにより、マリーンノート(磯のようなさわやか
な香り)を有する、シス−4−ヘキセン−1−オールの
酢酸エステル(沸点:88℃/4.39×103Pa、
純度:99.0%)を26.22g得た。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、特徴的な香気を有する
式(1)で示されるシス型不飽和エステル、その製造方
法及び該エステルを含有する香料組成物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 67/08 C07C 67/08 69/84 69/84 C11B 9/00 C11B 9/00 S

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 (式中、Rはメチル基又はフェニル基を表し、Yは置換
    基を有していてもよい炭素数が10以下の炭化水素基を
    表し、そしてnは1又は2を表す。)で示されるシス型
    不飽和エステル。
  2. 【請求項2】 式(1) 【化2】 (式中、Rはメチル基又はフェニル基を表し、Yは置換
    基を有していてもよい炭素数が10以下の炭化水素基を
    表し、そしてnは1又は2を表す。)で示されるシス型
    不飽和エステルの有効量を含有する香料組成物。
  3. 【請求項3】 式(1) 【化3】 (式中、Rはメチル基又はフェニル基を表し、Yは置換
    基を有していてもよい炭素数が10以下の炭化水素基を
    表し、そしてnは1又は2を表す。)で示されるシス型
    不飽和エステルの製造方法において、式(2) 【化4】 (式中、nは上記定義のとおりである。)で示される環
    状ビニルエーテルと式(3) 【化5】RMgX (3) (式中、Rは上記定義のとおりである。Xは塩素原子、
    臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で示されるグリニヤ
    ール試薬とを、トリアリールホスフィン及びニッケル化
    合物の存在下で反応させて式(4) 【化6】 (式中、n及びRは上記定義のとおりである。)で示さ
    れるシス型不飽和アルコールを製造し、このシス型不飽
    和アルコールを式(5) 【化7】YCO2H (5) (式中、Yは上記定義のとおりである。)で示されるカ
    ルボン酸又はその誘導体でアシル化することにより式
    (1)で示されるシス型不飽和エステルを得る製造方
    法。
  4. 【請求項4】 3−メチル−5−フェニル−シス−4−
    ペンテン−1−オール又は2−メチル−4−フェニル−
    シス−3−ブテン−1−オール。
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