JP2000223432A - 熱処理装置 - Google Patents

熱処理装置

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JP2000223432A
JP2000223432A JP11326593A JP32659399A JP2000223432A JP 2000223432 A JP2000223432 A JP 2000223432A JP 11326593 A JP11326593 A JP 11326593A JP 32659399 A JP32659399 A JP 32659399A JP 2000223432 A JP2000223432 A JP 2000223432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉口周辺部への反応副生成物の付着を抑制す
る。また、反応副生成物が付着したとしても、容易に剥
離しないようにする。 【解決手段】 熱処理炉3内の処理領域Aに被処理体W
を収容して炉口2を密閉し、被処理体Wを所定の処理ガ
ス、処理温度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装
置1の処理領域Aに導入される処理ガスが炉口2側へ侵
入するのを阻止するために、炉口2側にパージガス導入
部29を設け、処理領域Aと炉口2との間に処理ガスの
拡散速度よりも速いパージガスの対向流を発生させる絞
り部30を設ける。絞り部30はマニホールド7の内側
に設ける。絞り部30は保温筒25との間に隘路31を
形成する。処理炉3を構成する反応管4は、単管でも二
重管構造でもよい。反応副生成物の付着が想定される炉
口2および排気系14の内面に反応副生成物の剥離を抑
制する粗面加工を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱処理装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体デバイスの製造プロセスに
おいては、被処理体である半導体ウエハにCVD(化学
気相成長)、拡散、酸化、アニール等の処理を施すため
に、各種の熱処理装置が使用されている。中でも、CV
D処理および比較的高圧の減圧下における拡散処理にお
いては、石英製の縦型の反応管の下部に、ガス導入部お
よび排気部とを有する金属製のマニホールドを設け、前
記反応管内の処理領域に保持具であるウエハボートを介
して多段に保持された半導体ウエハを収容して密閉し、
反応管の外側に設けたヒーターにより処理領域を所定の
処理温度に加熱して所定の処理ガスおよび処理圧力の下
で半導体ウエハに所定の熱処理を施すようにした熱処理
装置(縦型熱処理装置ともいう)が一般的に用いられて
いる。
【0003】このような熱処理装置においては、マニホ
ールドがヒーターから離れていること、また、マニホー
ルドと反応管の間をシールするシール部材例えばOリン
グの耐熱性の問題からマニホールドのシール部材近傍の
冷却を行うことが一般的であること等により、マニホー
ルドの内面が処理温度よりもはるかに低温となる。この
ため、反応管内の処理領域以外の領域であるマニホール
ドの内面に処理ガス成分が接触することにより凝縮し
て、反応副生成物(拡散処理では析出物ともいう。)が
マニホールドの内面に付着し、パーティクルの発生等、
処理に悪影響を及ぼすことになり、そのため定期的な洗
浄が必要であった。また、例えばヒ素等の毒性を有する
処理ガスを使用するプロセスにおいては、その反応副生
成物の存在がオペレーターの健康に悪影響を及ぼしかね
ないので、その対策が必要とされる。
【0004】このような問題を解決するために、従来の
熱処理装置においては、マニホールドを外部から加熱す
ることにより、反応副生成物の蒸気圧を上げてやり、昇
華させるという手法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記熱
処理装置においては、マニホールドの外側に専用の加熱
ヒーターを取付けるため、装置が複雑化すること、マニ
ホールドの全部位を所望の温度にすることが難しいこ
と、火傷等への安全の配慮が必要であること、電力消費
の増加によるグローバルな意味での環境への影響がある
こと等、いくつかの問題点があった。また、例えばヒ素
系の処理ガスを使用するプロセスにおいては、反応副生
成物であるヒ素の蒸気圧が低いため、前述の加熱手法に
よる付着抑制には大きな効果が得られなかった。なお、
マニホールドの内側に筒状のカバーを設け、カバーとマ
ニホールドの間に環状の排気空間を形成し、カバーの下
側に不活性ガス導入管を設けた縦型熱処理装置が提案さ
れている(特開平10−223538号公報)。この縦
型熱処理装置は、マニホールドの内側に反応副生成物が
付着することを防止するのに有効であるが、熱処理領域
を経て流れる処理ガスの下降流の下流側からそれに抗す
る上向きに、不活性ガス導入管から不活性ガスを流さな
ければならないため、不活性ガスの流速を大きくする必
要があり、その結果、不活性ガス流量を多くしなければ
ならないという欠点がある。不活性ガス流量が多いと、
不活性ガスが熱処理領域にある処理ガスに多量に混入し
て熱処理の質に悪影響を与える。
【0006】本発明は、前述した課題を解決すべくなさ
れたもので、炉口周辺部への反応副生成物の付着を抑制
することができるのは勿論、不活性ガスの流量を少なく
することができ、不活性ガスが熱処理領域にある処理ガ
スに混入する可能性が低く、熱処理の質に悪影響が及ぶ
ことがない熱処理装置を提供することを目的とする。ま
た、本発明の目的は、反応副生成物が付着したとして
も、容易に剥離することがない熱処理装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のうち、請求項1
に係る発明は、熱処理炉内の処理領域に被処理体を収容
して炉口を密閉し、被処理体を所定の処理ガス、処理温
度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置におい
て、前記処理領域に導入される処理ガスが炉口側へ侵入
するのを阻止するために、炉口側にパージガス導入部を
設けると共に、処理領域と炉口との間に処理ガスの拡散
速度よりも速いパージガスの対向流を発生させる絞り部
を設けたことを特徴とする。
【0008】請求項2に係る発明は、熱処理炉内の処理
領域に被処理体を収容して炉口を密閉し、被処理体を所
定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処理す
る熱処理装置において、前記処理ガスの反応副生成物の
付着が想定される熱処理炉の炉口の内面および排気系の
内面に反応副生成物の剥離を抑制する粗面加工を施した
ことを特徴とする。
【0009】請求項3に係る発明は、熱処理炉内の処理
領域に被処理体を収容して炉口を密閉し、被処理体を所
定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処理す
る熱処理装置において、前記処理領域に導入される処理
ガスが炉口側へ侵入するのを阻止すべく炉口側にパージ
ガス導入部を設けると共に、処理領域と炉口との間に処
理ガスの拡散速度よりも速いパージガスの対向流を発生
させる絞り部を設け、炉口の内面および排気系の内面に
反応副生成物の剥離を抑制する粗面加工を施したことを
特徴とする。
【0010】請求項4に係る発明は、周囲にヒーターを
有する縦型反応管の下端部に、反応管内の処理領域に処
理ガスを導入するガス導入部および排気部を有し炉口を
形成する筒状のマニホールドを設け、その炉口を密閉す
る昇降可能な蓋体上に被処理体を多段に保持した保持具
を保温筒を介して載置し、処理領域に収容した被処理体
を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処
理する熱処理装置において、前記マニホールドの炉口側
にパージガス導入部を設け、処理領域と炉口の間に処理
ガスの拡散速度よりも速いパージガスの対向流を発生さ
せる隘路を形成する絞り部を設け、前記マニホールドの
内面および排気部を含む排気系の内面に反応副生成物の
剥離を抑制する粗面加工を施したことを特徴とする。前
記反応管は、上端および下端が開放され内部に処理領域
を形成する内管と、この内管の外側に設けられ上端が閉
塞され下端が開放され内管との間に処理ガスを下方に向
って排気するための環状空間を形成する外管とから構成
されていてもよい(請求項5)。
【0011】請求項6に係る発明は、周囲にヒーターを
有すると共に上端に排気部を有する縦型反応管の下端部
に、反応管内の処理領域に処理ガスを導入するガス導入
部を有し炉口を形成する筒状のマニホールドを設け、そ
の炉口を密閉する昇降可能な蓋体上に被処理体を多段に
保持した保持具を保温筒を介して載置し、処理領域に収
容した被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理
圧力の下で熱処理する熱処理装置であって、前記マニホ
ールドの炉口側にパージガス導入部を設け、処理領域と
炉口の間に処理ガスの拡散速度よりも速いパージガスの
対向流を発生させる隘路を形成する絞り部を設けたこと
を特徴とする。前記反応管は、内部に処理領域を形成し
上端に排気部を有する内管と、この内管の外側に設けら
れ外管との間に環状通路を形成する外管とから構成され
ていてもよい(請求項7)。前記マニホールドの内面お
よび排気部を含む排気系の内面には、反応副生成物の剥
離を抑制する粗面加工を施されていることが好ましい
(請求項8)。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を添
付図面に基いて詳述する。図1は本発明を縦型熱処理装
置に適用した実施の形態を示す縦断面図、図2は同熱処
理装置の要部拡大断面図、図3はマニホールドの内管支
持部材を示す図で、(a)は部分的平面図、(b)は部
分的側面図である。
【0013】図1において、1は減圧下でのCVD処理
や拡散処理に適するように構成された縦型熱処理装置
で、この熱処理装置1は下部に炉口2を有する熱処理炉
3を備えている。この熱処理炉3は、処理容器である石
英製の縦型の反応管4と、この反応管4の下端部に設け
られ、反応管4内の処理領域(熱処理炉内の処理領域に
同じ)Aに処理ガスを導入するガス導入部5と、処理領
域Aからのガスを排気する排気部6を有する短円筒状の
マニホールド7とを備えている。このマニホールド7の
下部が炉口2を形成している。反応管4は、内管4aと
外管4bの二重管構造になっていることが好ましい。内
管4aは、上端および下端が開放されている。外管4b
は、上端が閉塞され、下端が開放されている。内管4a
と外管4bの間には、下方へ向って処理ガスを排気する
環状通路9が形成されている。ガス導入部5から上方へ
向って導入された処理ガスは、処理領域Aを経由し内管
4aと外管4bの間の環状通路9を経て下方へ向って流
れて排気される。
【0014】マニホールド7は、耐熱性および耐食性を
有する材料、例えばステンレス鋼により形成されてい
る。ガス導入部5は、L字状のインジェクタ管からな
り、マニホールド7の後述する内側フランジ部8よりも
下方の側壁を気密に貫通し、処理ガスを反応管4内の処
理領域Aに、その上端の処理ガス導入口5aから上向き
流として導入すべく内管4aの内壁に沿って立上がって
配置されている。前記ガス導入部5は、ガス種に対応し
てマニホールド7の周方向に複数設けられている。な
お、熱処理炉3内を洗浄するクリーニングガスを導入す
るガス導入部(図示省略)は、L字状のインジェクタ管
ではなく、後述するパージガス導入部と同様に炉口2に
直接ガスを導入するように形成されていることが好まし
い。
【0015】前記排気部6は、マニホールド7の内側フ
ランジ部8よりも上方の側壁に、内管4aと外管4bと
の間の環状通路9と連通するように設けられている。排
気部6には排気管10が接続され、この排気管10に
は、反応管4内の処理領域Aを所定の処理圧力例えば2
6.6Pa〜93100Pa(0.2Torr〜700
Torr)に制御可能な圧力制御部として、メインバル
ブ、シャットオフバルブおよび圧力制御バルブの機能を
兼ね備えたコンビネーションバルブ11、真空ポンプ1
2および除外装置13が順に設けられている。前記コン
ビネーションバルブ11等を備えた排気管10および排
気部6が排気系14を構成している。この排気系14に
より処理領域Aが所定の処理圧力に制御された状態にお
いて、ガス導入部5の先端から噴出された処理ガスが反
応管4の内管4a内の処理領域Aを上昇して所定の熱処
理に供された後、内管4aと外管4bとの間の環状通路
9を下降して排気部6から排気されるようになってい
る。
【0016】前記マニホールド7の上端と下端には、フ
ランジ部7a,7bが一体に形成されており、上端フラ
ンジ部7aの上面には、外管4bの下端フランジ部4g
が載置され、フランジ押え15により固定されている。
マニホールド7の上端フランジ部7aと外管4bの下端
フランジ部4gとの間をシールするために、例えば図2
に示すように、外管4bの下端フランジ部4gを取り囲
む環状のフランジ押え15を採用し、このフランジ押え
15と外管4bの下端フランジ部4gとの接合部および
フランジ押え15とマニホールド7の上端フランジ部7
aとの接合部をシール部材であるOリング16,17で
それぞれシールするように構成されていいる。なお、マ
ニホールド7の上端フランジ部7aと外管4bの下端フ
ランジ部4gとの間をシールするために、これらの接合
部にOリングを直接介在させるようにしてもよい(図示
省略)。
【0017】マニホールド7の内側に内管4aを支持す
るために、マニホールド7の内周部には内側フランジ部
8が形成されていると共に、この内側フランジ部8に内
管4aの下端部を支持するための内管支持部材18が設
けられている。この内管支持部材18は、図2ないし図
3に示すように、耐熱性および耐食性を有する材料例え
ばインコネルによりリング状に形成されており、その外
周に設けた複数の爪部19と、下端にネジ止めされた押
え板20により前記マニホールド7の内側フランジ部8
に着脱可能に固定されていることが好ましい。
【0018】前記マニホールド7は、ベースプレート2
1の下部に取付けられており、このベースプレート21
の上部には、反応管4内の処理領域Aを所定の熱処理温
度例えば300〜1100℃程度に加熱制御可能なヒー
ター22が設置されている。このヒーター22は、反応
管4の上方を含む周囲を取り囲むように円筒状に形成さ
れた断熱材と、この断熱材の内周に設けられた抵抗発熱
体とから主に構成されている(図示省略)。
【0019】反応管4内の処理領域Aに複数枚例えば1
50枚程度の被処理体(被処理基板ともいう)である半
導体ウエハWを水平状態で上下方向に適宜間隔で多段に
収容保持するために、半導体ウエハWは保持具であるウ
エハボート23に保持され、このウエハボート23は炉
口2を密閉する昇降可能な蓋体24の上部に断熱体であ
る保温筒25を介して載置されている。蓋体24は、耐
熱性および耐食性を有する材料、例えばステンレス鋼に
より形成されている。
【0020】熱処理炉3の下方には、ローディングエリ
アEが設けられ、このローディングエリアEには、蓋体
24を昇降させて反応管4内へのウエハボート21およ
び保温筒25の搬入搬出および炉口2の開閉を行うため
の昇降機構26が設けられ、この昇降機構26の昇降ア
ーム26aに蓋体24が取付けられている。マニホール
ド7の下端フランジ部7bと蓋体24との接合部には、
Oリング27が設けられている。マニホールド7の上端
フランジ部7aおよび下端フランジ部7bには、Oリン
グ16,17,27の熱劣化を防止すべく冷却する手段
として、冷却水を循環させる冷却水通路28が設けられ
ている。
【0021】そして、前記処理領域Aに導入される処理
ガスが炉口2側へ侵入するのを阻止するために、炉口2
側にはパージガスを導入するパージガス導入部29が設
けられていると共に、処理領域Aと炉口2の間に処理ガ
スの拡散速度よりも速いパージガスの対向流を発生させ
るための絞り部30が設けられている。前記パージガス
導入部29は、マニホールド7の内側フランジ部8より
も下側の側壁に設けられている。パージガスとしては、
不活性ガス例えばアルゴンガスを用いることが好ましい
が、窒素ガス等であってもよい。処理ガスの下向きの拡
散速度よりも速い上向きのパージガスの増速した対向流
を発生させるための熱処理炉内の圧力範囲としては、2
6.6Pa(0.2Torr)の分子流領域ではだめ
で、粘性流領域である266Pa(2Torr)〜大気
圧程度が好ましく、実用的には13300Pa〜665
00Pa(100Torr〜500Torr)程度が好
ましい。
【0022】前記絞り部30は、マニホールド7と保温
筒25の間にオリフィス状の隘路31を形成するように
設けられる。絞り部30は、内管4aに設けられていて
もよいが、図示例のように内管支持部材18に設けられ
ていることが好ましい。この内管支持部材18は、図2
ないし図3に示すように、マニホールド7の内側フラン
ジ部8よりも上方へ立上がっており、内管支持部材18
の上端部を断面L字の内向きフランジ状に形成すること
により、保温筒25に接近した絞り部30とされてい
る。すなわち、絞り部30は、マニホールド7の内管支
持部材18の上端部から径方向内方へ水平に延出した水
平部30aと、この水平部30aの先端から垂直に立上
がった垂直部30bとを有するように断面L字状に形成
されていることにより、保温筒25に接近しており、保
温筒25との間に隘路31を形成している。隘路31の
幅は1〜15mm、例えば5mm程度が好ましい。
【0023】内管支持部材18の上端部には、内管4a
を位置決め載置するための環状溝32が前記絞り部30
と共に形成されている。なお、図3に示すように、絞り
部30には、ガス導入部(インジェクタ管)5との干渉
を避けるためにこれらと対応した切欠部33が設けられ
ている。
【0024】また、前記処理ガスの反応副生成物の付着
が想定される熱処理炉3の炉口2の内面および排気系1
4の内面には、反応副生成物の剥離を抑制する粗面加工
が施されている(図示省略)。粗面加工を施す領域とし
ては、マニホールド7の内面(内周面)および排気部6
を含む排気系14の内面であるが、コンビネーションバ
ルブ11よりも下流は26.6Pa(0.2Torr)
と圧力が低くて反応副生成物が生成され難く、また除外
装置13が設けられていることから、具体的には、マニ
ホールド7の内側フランジ部8よりも上方の内面、排気
部6の内面および排気部6からコンビネーションバルブ
11までの排気管10の内面に粗面加工を施せばよい。
なお、マニホールド7の絞り部30よりも下方の内面
は、パージガスのパージによって反応副生成物の付着が
抑制されているが、当該内面および蓋体24の内面にも
粗面加工が施されていてもよい。また、保温筒25の表
面にも粗面加工を施してもよい。
【0025】粗面加工の方法としては、例えばバフ研
磨、ヘアーライン処理、ブラスト処理、複合電解研磨処
理等が適用可能であるが、中でもブラスト処理が好まし
いことが実験により確認された。実験では、種々の粗面
加工を施した複数のサンプルを作成し、反応副生成物の
剥離時期についての試験を行った。その結果、被加工面
に例えば150〜250μのガラスビーズを吹き付ける
ことにより、粗度の高い例えば平均粗さが1.31μm
の粗面を形成したものが反応副生成物の剥離を抑制する
効果が高いことが確認された。そして、特にヒ素系のプ
ロセスにおいては、通常のステンレス鋼表面の場合の剥
離時期に対して10倍以上の延命効果があることが確認
された。
【0026】また、前記マニホールド7の内側フランジ
部8よりも上方の内周壁面には、例えばHCl等の強腐
食性を有する処理ガスやクリーニングガスの接触による
腐食を防止するために、石英製の円筒状の保護カバー部
材34が装着されていることが好ましい。
【0027】次に、以上の構成からなる縦型熱処理装置
の作用について述べる。先ず、ローディングエリアEに
降下された蓋体24上に半導体ウエハWが多段に保持さ
れたウエハボート23を保温筒25を介して載置したな
ら、蓋体24を上昇させて熱処理炉3内の処理領域Aに
ウエハボート23を搬入すると共に炉口2を蓋体24で
密閉する。そして、排気部6からの減圧排気により炉内
を所定の処理圧力例えば26600Pa(200Tor
r)にし、ガス導入部5から処理領域Aに所定の処理ガ
ス例えばアルシン(AsH3)を導入すると共にパージ
ガス導入部29からパージガス例えばアルゴンガスを導
入し、処理領域Aをヒーター22で所定の処理温度に加
熱することにより、半導体ウエハWに所定の熱処理例え
ば熱拡散処理を施す。この場合、ガス導入部5から処理
ガスを例えば毎分数百ccで導入すると共に、パージガ
ス導入部29からパージガスを例えば毎分1リットル程
度で導入する。
【0028】この熱処理工程において、処理ガスは、ガ
ス導入部5の先端の処理ガス導入口5aから反応管4の
内管4a内に導入され、内管4a内を上昇する過程で処
理領域Aの半導体ウエハWの熱処理に供された後、内管
4aと外管4bとの間の環状通路9を下降してマニホー
ルド7の排気部6から排気される。この場合、処理ガス
が処理領域Aから下方の炉口2側へも拡散しようとする
が、処理領域Aと炉口2の間には絞り部30が設けられ
ていると共にこの絞り部30よりも下方にはパージガス
が導入されているため、絞り部30によって狭められた
隘路31をパージガスが処理ガスの拡散速度よりも速い
流速の対向流となって処理領域A側へ流れることによ
り、処理ガスの炉口2側への侵入が阻止ないし抑制され
る。この際、処理ガスは基本的にはガス導入部5の先端
の処理ガス導入口5aから上向き流として供給されてお
り、この上向き流の上流側から隘路31を経て上方に向
うパージガス流は、処理ガスの下方への拡散に打ち勝て
さえすればよいので、冒頭に記載した特開平10−22
3538号公報に記載の縦型熱処理装置に比し、パージ
ガス流の上向き流量は少なくて済み、従って熱処理中に
処理ガスに多量の不活性ガスが混入することがない。
【0029】従って、炉口周辺部には反応副生成物が生
成されないか、生成されたとしても僅少である。これに
より、アンロード時にメンテナンスエリアであるローデ
ィングエリアEに暴露される恐れのある炉口周辺部への
反応副生成物の付着を解消ないし抑制することができ
る。よって、従来炉口周辺部に加熱ヒーターを使用して
いたプロセスにおいては、加熱ヒーターの削除が可能と
なり、装置の簡素化が図れる。また、加熱ヒーターでも
効果の得られないヒ素系のプロセスにおいては、特に有
効であり、オペレーターの健康を守る有効な対策とな
る。
【0030】一方、排気側のマニホールド7の内面およ
び排気部6を含む排気系14の内面には、処理ガスが接
触するため、反応副生成物が生成され易いが、反応副生
成物の付着が予想されるマニホールド7の内面(具体的
には内側フランジ部8よりも上方の内面)および排気部
6を含む排気系14の内面(具体的には排気部6の内面
および排気部6からコンビネーションバルブ11までの
排気管10の内面)に反応副生成物の剥離を抑制する粗
面加工が施されているため、反応副生成物が付着したと
しても、容易に剥離することがない。これにより、パー
ティクルの発生を抑制ないし防止することができるた
め、プロセス的にも、オペレーターの健康のためにも有
功となる。また、従来では、反応副生成物の剥離時期と
の関係で1ラン毎に洗浄が必要とされていたのに対し、
10ラン毎に洗浄を行えばよく、定期洗浄の間隔を大幅
に延長することができ、処理能力の向上が図れる。
【0031】図4は本発明の熱処理装置の他の実施の形
態を示す。図4において、図1に示したと同じかまたは
均等な部材または部分については同じ符号を付して説明
を省略し、図1と異なる点のみについて以下説明する。
この実施の形態では、反応管4は内管と外管を持つ二重
管構造ではなく、単管構造になっている。反応管4の上
端(頂部)は縮径され、排気部6が設けられ、この排気
部6に排気系14が接続されている。反応管4の頂部に
排気部6があるために、マニホールド7の側面には排気
部は設けられていない。
【0032】また、この実施の形態では、図1に示すマ
ニホールド7の内側に支持される内管支持部材18は設
けられず、保護カバー部材34の内側に隣接して筒状の
絞り部30が取付けられている。絞り部30の筒部は、
保温筒25の外周面との間に環状の隘路31を形成して
いる。絞り部30は、図1の場合と同様に、パージガス
導入部29より上方で、しかも処理ガス導入口5aから
出る処理ガスの上向き流に関して上流側に位置してい
る。この実施の形態は、ガスの排気の態様で図1に示す
実施の形態と異なるだけで、それ以外の基本的作用は図
1に示す実施の形態と同じである。この実施の形態で
は、上向き流として処理領域Aを経た処理ガスは直接反
応管4上端の排気部6から排気系14に排気されるた
め、排気のコンダクタンスを向上させることができる。
【0033】図5は本発明の熱処理装置の更に他の実施
の形態を示す。図5において、図1に示したと同じかま
たは均等な部材または部分については同じ符号を付して
説明を省略し、図1と異なる点のみについて以下説明す
る。この実施の形態では、図1に示す実施の形態と同様
に二重管構造を採用していて、内管4aと外管4bとの
間に環状通路9が形成されている。しかし、この環状通
路9は処理ガスの排気のためには使用しない。処理ガス
の排気は、図4に示す実施の形態と同様に内管4aの頂
部に設けた排気部6から排気系14によりなされるよう
になっている。
【0034】外管4bは、内管4aとほぼ同じ形状で内
管4aの外側を覆っており、内管4aとの間に環状通路
9を形成している。この環状通路9の下部に設けた不活
性ガス導入部40からN2のような不活性ガスを環状通
路9内に流して頂部から工場排気系に排気することによ
りに、内管4a外部への処理ガスの漏出を防止すると共
に、ヒータ22から放出される金属成分による半導体ウ
エハの金属汚染を防止している。また、外管4bは処理
ガスと直接接しないため洗浄を要せず、処理ガスと直接
接する内管4aのみを洗浄すればよい。この実施の形態
は、ガスの排気の態様で図1に示す実施の形態と異なる
だけで、それ以外の基本的作用は図1に示す実施の形態
と同じである。
【0035】図6は本発明の他の実施の形態を示す。前
記実施の形態では、絞り部30は内管支持部材18に一
体的に形成されているが、図6に示す実施の形態では、
絞り部30は保温筒25の外周に設けられており、絞り
部30の筒状垂直部外周面と内管4aとの間には隘路3
1が形成されている。
【0036】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の
設計変更等が可能である。本発明は、縦型熱処理装置以
外に例えば枚葉式の熱処理装置や横型熱処理装置にも適
用可能である。また、被処理体としては、半導体ウエハ
以外に例えばガラス基板やLCD基板等が適用可能であ
る。
【0037】前記実施の形態では、反応副生成物の付着
を抑制する機能(請求項1)および付着した反応副生成
物の剥離を抑制する機能(2)を併有した熱処理装置が
示されているが、本発明に係る熱処理装置としては、反
応副生成物の付着を抑制する機能のみを有するもの、あ
るいは付着した反応副生成物の剥離を抑制する機能のみ
を有するものであってもよい。また、本発明は、ヒ素系
のプロセスに限らず、例えばホスフィン(PH3)等の
毒性を有する処理ガスを使用するあらゆるプロセスに有
効である。また、絞り部は処理領域と炉口との間であれ
ば、どこに設けられていてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上要する本発明によれば、次のような
効果を奏することができる。
【0039】(1)請求項1に係る発明によれば、熱処
理炉内の処理領域に被処理体を収容して炉口を密閉し、
被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の
下で熱処理する熱処理装置において、前記処理領域に導
入される処理ガスが炉口側へ侵入するのを阻止するため
に、炉口側にパージガス導入部を設けると共に、処理領
域と炉口との間に処理ガスの拡散速度よりも速いパージ
ガスの対向流を発生させる絞り部を設けているため、炉
口周辺部への反応副生成物の付着を抑制することができ
る。しかも、公知技術に比し、パージガスの流量を少な
くて済むので、処理ガスに不活性ガスが混入し難い。従
って、従来炉口周辺部に加熱ヒーターを使用していたプ
ロセスにおいては、ヒーターの削除が可能となり、装置
の簡素化が図れる。また、加熱ヒーターでも効果の得ら
れないヒ素系のプロセスにおいては、特に有効であり、
オペレーターの健康を守る有効な対策となる。
【0040】(2)請求項2に係る発明によれば、熱処
理炉内の処理領域に被処理体を収容して炉口を密閉し、
被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の
下で熱処理する熱処理装置において、前記処理ガスの反
応副生成物の付着が想定される熱処理炉の炉口の内面お
よび排気系の内面に反応副生成物の剥離を抑制する粗面
加工を施しているため、反応副生成物が付着したとして
も、容易に剥離することがなく、パーティクル発生の問
題を解消することができると共に、定期洗浄の間隔を大
幅に延長することができ、処理能力の向上が図れる。
【0041】(3)請求項3に係る発明によれば、熱処
理炉内の処理領域に被処理体を収容して炉口を密閉し、
被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の
下で熱処理する熱処理装置において、前記処理領域に導
入される処理ガスが炉口側へ侵入するのを阻止すべく炉
口側にパージガス導入部を設けると共に、処理領域と炉
口との間に処理ガスの拡散速度よりも速いパージガスの
対向流を発生させる絞り部を設け、炉口の内面および排
気系の内面に反応副生成物の剥離を抑制する粗面加工を
施しているため、炉口周辺部への反応副生成物の付着を
抑制することができると共に、反応副生成物が万が一付
着したとしても、容易に剥離することがなく、パーティ
クル発生の問題を解消することができると共に、定期洗
浄の間隔を大幅に延長することができ、処理能力の向上
が図れる。
【0042】(4)請求項4に係る発明によれば、周囲
にヒーターを有する縦型反応管の下端部に、反応管内の
処理領域に処理ガスを導入するガス導入部および排気部
を有し炉口を形成する筒状のマニホールドを設け、その
炉口を密閉する昇降可能な蓋体上に被処理体を多段に保
持した保持具を保温筒を介して載置し、処理領域に収容
した被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧
力の下で熱処理する熱処理装置において、前記マニホー
ルドの炉口側にパージガス導入部を設け、処理領域と炉
口の間に処理ガスの拡散速度よりも速いパージガスの対
向流を発生させる隘路を形成する絞り部を設け、前記マ
ニホールドの内面および排気部を含む排気系の内面に反
応副生成物の剥離を抑制する粗面加工を施しているた
め、アンロード時にメンテナンスエリアであるローディ
ングエリアに暴露される恐れのある炉口周辺部への反応
副生成物の付着を抑制することができると共に、反応副
生成物が万が一付着したとしても、容易に剥離すること
がなく、パーティクル発生の問題を解消することができ
ると共に、定期洗浄の間隔を大幅に延長することがで
き、処理能力の向上が図れる。
【0043】(5)請求項6に係る発明によれば、周囲
にヒーターを有すると共に上端に排気部を有する縦型反
応管の下端部に、反応管内の処理領域に処理ガスを導入
するガス導入部を有し炉口を形成する筒状のマニホール
ドを設け、その炉口を密閉する昇降可能な蓋体上に被処
理体を多段に保持した保持具を保温筒を介して載置し、
処理領域に収容した被処理体を所定の処理ガス、処理温
度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置であっ
て、前記マニホールドの炉口側にパージガス導入部を設
け、処理領域と炉口の間に処理ガスの拡散速度よりも速
いパージガスの対向流を発生させる隘路を形成する絞り
部を設けているため、アンロード時にメンテナンスエリ
アであるローディングエリアに暴露される恐れのある炉
口周辺部への反応副生成物の付着を抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を縦型熱処理装置に適用した実施の形態
を示す縦断面図である。
【図2】同熱処理装置の要部拡大断面図である。
【図3】マニホールドの内管支持部材を示す図で、
(a)は部分的平面図、(b)は部分的側面図である。
【図4】本発明の熱処理装置の他の実施の形態を示す縦
断面図である。
【図5】本発明の熱処理装置の更に他の実施の形態を示
す縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の要部拡大縦断面図で
ある。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ(被処理体) 1 縦型熱処理装置(熱処理装置) 2 炉口 3 熱処理炉 4 反応管 4a 内管 4b 外管 A 処理領域 5 ガス導入部 6 排気部 7 マニホールド 14 排気系 22 ヒーター 24 蓋体 29 パージガス導入部 30 絞り部 31 隘路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/22 511 H01L 21/22 511H 21/324 21/324 R

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱処理炉内の処理領域に被処理体を収容
    して炉口を密閉し、被処理体を所定の処理ガス、処理温
    度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置におい
    て、前記処理領域に導入される処理ガスが炉口側へ侵入
    するのを阻止するために、炉口側にパージガス導入部を
    設けると共に、処理領域と炉口との間に処理ガスの拡散
    速度よりも速いパージガスの対向流を発生させる絞り部
    を設けたことを特徴とする熱処理装置。
  2. 【請求項2】 熱処理炉内の処理領域に被処理体を収容
    して炉口を密閉し、被処理体を所定の処理ガス、処理温
    度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置におい
    て、前記処理ガスの反応副生成物の付着が想定される熱
    処理炉の炉口の内面および排気系の内面に反応副生成物
    の剥離を抑制する粗面加工を施したことを特徴とする熱
    処理装置。
  3. 【請求項3】 熱処理炉内の処理領域に被処理体を収容
    して炉口を密閉し、被処理体を所定の処理ガス、処理温
    度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置におい
    て、前記処理領域に導入される処理ガスが炉口側へ侵入
    するのを阻止すべく炉口側にパージガス導入部を設ける
    と共に、処理領域と炉口との間に処理ガスの拡散速度よ
    りも速いパージガスの対向流を発生させる絞り部を設
    け、前記処理ガスの反応副生成物の付着が想定される炉
    口の内面および排気系の内面に反応副生成物の剥離を抑
    制するための粗面加工を施したことを特徴とする熱処理
    装置。
  4. 【請求項4】 周囲にヒーターを有する縦型反応管の下
    端部に、反応管内の処理領域に処理ガスを導入するガス
    導入部および排気部を有し炉口を形成する筒状のマニホ
    ールドを設け、その炉口を密閉する昇降可能な蓋体上に
    被処理体を多段に保持した保持具を保温筒を介して載置
    し、処理領域に収容した被処理体を所定の処理ガス、処
    理温度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置にお
    いて、前記マニホールドの炉口側にパージガス導入部を
    設け、処理領域と炉口の間に処理ガスの拡散速度よりも
    速いパージガスの対向流を発生させる隘路を形成する絞
    り部を設け、前記マニホールドの内面および排気部を含
    む排気系の内面に反応副生成物の剥離を抑制する粗面加
    工を施したことを特徴とする熱処理装置。
  5. 【請求項5】 前記反応管は、上端および下端が開放さ
    れ内部に処理領域を形成する内管と、この内管の外側に
    設けられ上端が閉塞され下端が開放され内管との間に処
    理ガスを下方に向って排気するための環状空間を形成す
    る外管とから構成されていることを特徴とする請求項4
    記載の熱処理装置。
  6. 【請求項6】 周囲にヒーターを有すると共に上端に排
    気部を有する縦型反応管の下端部に、反応管内の処理領
    域に処理ガスを導入するガス導入部を有し炉口を形成す
    る筒状のマニホールドを設け、その炉口を密閉する昇降
    可能な蓋体上に被処理体を多段に保持した保持具を保温
    筒を介して載置し、処理領域に収容した被処理体を所定
    の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処理する
    熱処理装置であって、前記マニホールドの炉口側にパー
    ジガス導入部を設け、処理領域と炉口の間に処理ガスの
    拡散速度よりも速いパージガスの対向流を発生させる隘
    路を形成する絞り部を設けたことを特徴とする熱処理装
    置。
  7. 【請求項7】 前記反応管は、内部に処理領域を形成し
    上端に排気部を有する内管と、この内管の外側に設けら
    れ外管との間に環状通路を形成する外管とから構成され
    ていることを特徴とする請求項6記載の熱処理装置。
  8. 【請求項8】 、前記マニホールドの内面および排気部
    を含む排気系の内面には、反応副生成物の剥離を抑制す
    る粗面加工が施されていることを特徴とする請求項6ま
    たは7記載の熱処理装置。
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