JP3578258B2 - 熱処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては、被処理基板(被処理体)である半導体ウエハにCVD(化学気相成長)、拡散、酸化、アニール等の処理を施すために、各種の熱処理装置が使用されている。中でも、CVD等の処理においては、石英製の反応管の下部に、ガス導入部および排気部とを有する金属製のマニホールドを設け、前記反応管内の処理領域に保持具であるウエハボートを介して多段に保持された複数枚の半導体ウエハを収容して密閉し、反応管の外側に設けたヒーターにより処理領域を所定の処理温度に加熱して所定の処理ガスおよび処理圧力の下で半導体ウエハに所定の熱処理例えばCVD処理を施すようにした熱処理装置(縦型熱処理装置ともいう)が一般的に用いられている。
【0003】
このような熱処理装置においては、マニホールドがヒーターから離れていること、また、マニホールドと反応管の間をシールするシール部材例えばOリングの耐熱性の問題からマニホールドのシール部材近傍の冷却を行うことが一般的であること等により、マニホールドの内面が処理温度よりもはるかに低温となる。このため、反応管内の処理領域以外の領域であるマニホールドの内面に処理ガス成分が接触することにより凝結して、CVD処理では反応副生成物が、拡散処理では析出物がマニホールドの内面に付着し、パーティクルの発生等、処理に悪影響を及ぼすことになり、そのため定期的な洗浄が必要であった。
【0004】
このような問題を解決するために、従来の熱処理装置においては、マニホールドを外部から加熱することにより、反応副生成物や析出物の蒸気圧を上げてやり、昇華させるという手法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記熱処理装置においては、マニホールドの外側に専用の加熱ヒーターを取付けるため、装置が複雑化すること、マニホールドの全部位を所望の温度にすることが難しいこと、火傷等への安全の配慮が必要であること、電力消費の増加によるグローバルな意味での環境への影響があること等、いくつかの問題点があった。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決すべくなされたもので、処理領域以外の領域での反応副生成物や析出物の付着を抑制することができる熱処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち、請求項に係る発明は、内管と外管とからなる反応管の下部に、内管内に処理ガスを導入するガス導入部と、内管と外管の間を排気する排気部とを有する筒状のマニホールドを設け、前記反応管内の処理領域に保持具を介して多段に保持された複数枚の被処理体を収容し、該被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置において、前記反応管内の処理領域以外の領域を処理領域の処理圧力よりも低い圧力にするために、前記内管内よりも下流でマニホールドよりも上流に第1の絞り部を設け、前記内管の下方にその内外を連通する連通部を設けると共に、この連通部よりも上方で内管の内側に第2の絞り部を設けたことを特徴とする。
【0011】
前記請求項に係る発明においては、前記第1の絞り部が内管と外管の間のガス流路におけるマニホールドよりも上流にフランジ状に設けられていることが好ましく(請求項)、あるいは前記第1の絞り部が内管の上端開口部にこれを覆うように設けられた蓋部材と、この蓋部材に形成された孔部とにより構成されていることが好ましい(請求項)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基いて詳述する。図1は本発明を縦型熱処理装置に適用した実施の形態を示す縦断面図、図2は同熱処理装置の要部拡大断面図、図3はマニホールドの内管支持部材を示す図で、(a)は部分的平面図、(b)は部分的側面図である。
【0014】
図1において、1は減圧下でのCVD処理や拡散処理に適するように構成された縦型熱処理装置で、この熱処理装置1は処理容器である縦長の石英製の反応管2を備えている。本実施の形態では、反応管2は、内管3と外管4の二重管構造になっている。内管3は、上端および下端が開放されている。外管4は、上端が閉塞され、下端が開放されている。
【0015】
前記反応管2の下部には、内管3内に処理ガスを導入するガス導入部5と、内管3と外管4との間を排気する排気部6とを有する筒状好ましくは短円筒状のマニホールド7が設けられている。このマニホールド7は、耐熱性および耐食性を有する材料、例えばステンレス鋼により形成されている。ガス導入部5は、L字状のインジェクタ管からなり、マニホールド7の後述する内側フランジ部8よりも下方の側壁を気密に貫通し、処理ガスを反応管2内の処理領域に下方から導入すべく内管3の内壁に沿って立上がって配置されている。前記ガス導入部5は、ガス種に対応してマニホールド7の周方向に複数設けられている。なお、マニホールド7には、処理領域の処理圧力を検知するためのセンサポートが前記ガス導入部5と同様に設けられている(図示省略)。
【0016】
前記排気部6は、マニホールド7の内側フランジ部8よりも上方の側壁に排気管部として突設されている。排気部6には、真空ポンプを有する排気系が接続され、反応管2内を減圧排気して処理領域を所定の処理圧力例えば50〜700Torrに制御し得るようになっている。この処理圧力に制御された状態で、ガス導入部5の先端から噴出された処理ガスが反応管2の内管3内の処理領域を上昇して所定の熱処理に供された後、内管3と外管4との間の環状のガス流路を下降して排気部6から排気されるようになっている。
【0017】
前記マニホールド7の上端と下端には、フランジ部10,11が一体に形成されており、上端フランジ部10の上面には、外管4の下端フランジ部12が載置され、フランジ押え13により固定されている。マニホールド7の上端フランジ部10と外管4の下端フランジ部12との間をシールするために、例えば図2に示すように、外管4の下端フランジ部12を取り囲む環状のフランジ押え13を採用し、このフランジ押え13と外管4の下端フランジ部12との接合部およびフランジ押え13とマニホールド7の上端フランジ部10との接合部をシール部材であるOリング14,15でそれぞれシールするように構成されている。なお、マニホールド7の上端フランジ部10と外管4の下端フランジ部12との間をシールするために、これらの接合部にOリングを直接介在させるようにしてもよい(図示省略)。
【0018】
マニホールド7の内側に内管3を支持するために、マニホールド7の下側内周部がフランジ状に形成されていると共に、その内側フランジ部8に内管3の下端部を支持するための内管支持部材16が設けられている。この内管支持部材16は、耐熱性および耐食性を有する材料例えばインコネルによりリング状に形成されており、その外周に設けた複数の爪部17と、下端にネジ止めされた押え板18とにより前記マニホールド7の内側フランジ部8に着脱可能に固定されている。
【0019】
前記マニホールド7は、ベースプレート19の下部に取付けられており、このベースプレート19の上部には、反応管2内の処理領域を所定の熱処理温度例えば300〜1100℃程度に加熱するためのヒーター20が設置されている。このヒーター20は、反応管2の上方を含む周囲を取り囲むように円筒状に形成された断熱材と、この断熱材の内周に設けられた抵抗発熱体とから主に構成されている(図示省略)。
【0020】
反応管2内の処理領域に複数枚例えば150枚程度の被処理基板(被処理体)である半導体ウエハWを水平状態で上下方向に適宜間隔で多段に収容保持するために、半導体ウエハWは保持具であるウエハボート21に保持され、このウエハボート21はマニホールド7の下端開口部を密閉する例えばステンレス鋼製の蓋体22の上部に断熱体である保温筒23を介して載置されている。蓋体22は、ウエハボート21を反応管2内に搬入搬出するための昇降機構24の昇降アーム25に取付けられている。マニホールド7の下端フランジ部11と蓋体22との接合部には、Oリング26が設けられている。マニホールド7の上端フランジ部10および下端フランジ部11には、Oリング14,15,26の熱劣化を防止すべく冷却する手段として、冷却水を循環させる冷却水通路27が設けられている。
【0021】
前記マニホールド7を含む反応管2内の処理領域以外の領域(非処理領域ともいう)での処理ガス成分の凝結による反応副生成物もしくは析出物の付着を抑制すべく反応管2内の処理領域以外の領域を処理領域の処理圧力よりも低い圧力にするために、前記内管3内よりも下流でマニホールド7よりも上流には第1の絞り部28が設けられ、内管3の下方にはその内外を連通する連通部29が設けられると共に、この連通部29よりも上方で内管3の内側には第2の絞り部30が設けられている。前記第1の絞り部28は、内管3と外管4との間のガス流路9におけるマニホールド7よりも上流(マニホールドの上端位置を含む)にフランジ状に設けられていることが好ましい。
【0022】
具体的には、マニホールド7の内周壁面には、例えばHCl等の強腐食性を有する処理ガスの接触による腐食を防止すべく内周壁面を覆うために、石英製の円筒状の保護カバー部材31が装着されており、この保護カバー部材31を利用して第1の絞り部28が設けられている。既存の保護カバー部材は、マニールド7の内側フランジ部8上面を覆う内向きのフランジ部32を下端に有しているだけであるが、本実施の形態では上端にも内向きのフランジ部を形成することにより、これを第1の絞り部28としている。
【0023】
第1の絞り部28は、内管3と外管4との間のガス流路9をオリフィスの如く絞ることによりコンダクタンスの小さい部位を形成しており、この部位を境に圧力差が発生するようになっている。この第1の絞り部28は、マニホールド7の上端位置もしくはこれよりも上方に形成されていることが好ましい。
【0024】
前記連通部29および第2の絞り部30は、内管3に設けられていてもよいが、内管支持部材16に設けられていることが好ましい。この内管支持部材16は、図2ないし図3に示すように、マニホールド7の内側フランジ部8よりも上方へ立上がっており、その側壁に長穴状の連通部29が周方向に適宜間隔で複数設けられている。また、内管支持部材16の上端部を断面L字の内向きフランジ状に形成することにより、これを第2の絞り部30としている。
【0025】
内管支持部材16の上端部には、内管3を位置決め載置するための環状溝33が前記第2の絞り部30と共に形成されている。第2の絞り部30は、保温筒23との間の隙間をオリフィスの如く絞ることによりコンダクタンスの小さい部位を形成しており、この部位を境に圧力差が発生するようになっている。なお、第2の絞り部30には、ガス導入部(インジェクタ管)やセンサポートとの干渉を避けるためにこれらと対応した切欠部34が設けられている。
【0026】
次に、以上の構成からなる縦型熱処理装置の作用および熱処理方法について述べる。反応管2内の処理領域にウエハボート21を介して多段に保持された半導体ウエハWを収容し、蓋体22により反応管2内を密閉した状態で、ヒーター20による加熱、排気部6からの減圧排気およびガス導入部5からの処理ガスの導入により、半導体ウエハWに所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で所定の熱処理を施す。
【0027】
この熱処理工程において、処理ガスは、ガス導入部5の先端から反応管2の内管3内に導入され、内管3内を上昇する過程で処理領域の半導体ウエハWの熱処理に供された後、内管3と外管4との間のガス流路9を下降してマニホールド7の排気部6から排気される。この場合、マニホールド7が処理温度よりもはるかに低温であるため、マニホールド7の内面に処理ガスが接触して反応副生成物や析出物が付着し易い。これを防止するため従来では、マニホールド7に専用の加熱ヒーターを取付けてマニホールド7を加熱しているが、反応副生成物等の付着を防止するためには比較的高温に加熱する必要があること、シール部材の耐熱性の問題で加熱温度に限界があること、従って反応副生成物等の付着を十分に防止し得ない等の種々の問題点があった。
【0028】
そこで、本発明の実施の形態においては、前記内管3内よりも下流でマニホールド7よりも上流、好ましくは内管3と外管4との間のガス流路9におけるマニホールド7よりも上流(マニホールドの上端位置を含む、図1参照。)に、第1の絞り部28を設けているため、この第1の絞り部28を境として上流側(処理領域側)と下流側(非処理領域側)とに圧力差が発生し、排気系に通じる下流側であるマニホールド7内の内側フランジ部8よりも上方の領域が上流側の処理圧力よりも低い圧力となる。また、内管3の下方、すなわち内管支持部材16に、内管3の内外を連通する連通部29を設けると共に、この連通部29よりも上方で内管3よりも内側に第2の絞り部30を設けているため、連通部29を通して第2の絞り部30よりも下方の領域(ここも非処理領域である)が吸引排気され、第2の絞り部30を境として上流側(処理領域側)と下流側(非処理領域側)とに圧力差が発生し、マニホールド7内の内側フランジ部8よりも下方の領域も上流側の処理圧力よりも低い圧力となる。例えば、処理領域の処理圧力が400Torrである場合、処理領域以外の領域の圧力は、400−αTorrとなる。但し、α=100〜399Torrである。
【0029】
このように処理領域以外の領域であるマニホールド7内が処理領域の処理圧よりも低い圧力とされることにより、反応副生成物や析出物が比較的低温時の蒸気圧でも昇華できるようになるため、いわゆる二重管構造の反応管2を有する縦型熱処理装置1のマニホールド7の内面における反応副生成物や析出物の付着を抑制することができる。従って、例えばAsH、PH等による減圧ながら比較的高圧例えば50〜700Torr程度での拡散処理での析出物の付着抑制や、CVD処理におけるSi処理やTEOS処理での反応副生成物の付着抑制に有効である。また、本発明を併用すればマニホールドの加熱ヒーターの使用も、比較的簡易なヒーターの採用や低温での加熱で済むことになり、従来技術の簡易化にも繋がる。
【0030】
図4は本発明の他の実施の形態を示す縦型熱処理装置の縦断面図である。本実施の形態において、前記実施の形態と同一部分については同一参照符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明を加える。本実施の形態の縦型熱処理装置においては、第1の絞り部28が内管3の上端開口部にこれを覆うように設けられた蓋部材35と、この蓋部材35に形成された孔部36とにより構成されている。前記孔部36は、蓋部材35に周方向に沿って適宜間隔に複数個形成されていることが好ましいが、長穴状ないしスリット状に形成されていてもよい。本実施の形態においても、この第1の絞り部28を境として上流側(処理領域側)と下流側(非処理領域側)とに圧力差が発生し、マニホールド7内を処理領域の処理圧力よりも低い圧力にすることができ、前記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。本発明は、縦型熱処理装置以外に例えば枚葉式の熱処理装置や横型熱処理装置にも適用可能である。また、被処理体としては、半導体ウエハ以外に例えばLCD基板等が適用可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上要する本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0038】
)請求項に係る発明によれば、内管と外管とからなる反応管の下部に、内管内に処理ガスを導入するガス導入部と、内管と外管の間を排気する排気部とを有する筒状のマニホールドを設け、前記反応管内の処理領域に保持具を介して多段に保持された複数枚の被処理体を収容し、該被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置において、前記反応管内の処理領域以外の領域を処理領域の処理圧力よりも低い圧力にするために、前記内管内よりも下流でマニホールドよりも上流に第1の絞り部を設け、前記内管の下方にその内外を連通する連通部を設けると共に、この連通部よりも上方で内管の内側に第2の絞り部を設けているため、いわゆる二重管構造の反応管を有する縦型熱処理装置のマニホールドの内面における反応副生成物や析出物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を縦型熱処理装置に適用した実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】同熱処理装置の要部拡大断面図である。
【図3】マニホールドの内管支持部材を示す図で、(a)は部分的平面図、(b)は部分的側面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す縦型熱処理装置の縦断面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ(被処理体)
1 縦型熱処理装置(熱処理装置)
2 反応管(処理容器)
5 ガス導入部
6 排気部
7 マニホールド
28 第1の絞り部
29 連通部
30 第2の絞り部

Claims (3)

  1. 内管と外管とからなる反応管の下部に、内管内に処理ガスを導入するガス導入部と、内管と外管の間を排気する排気部とを有する筒状のマニホールドを設け、前記反応管内の処理領域に保持具を介して多段に保持された複数枚の被処理体を収容し、該被処理体を所定の処理ガス、処理温度および処理圧力の下で熱処理する熱処理装置において、前記反応管内の処理領域以外の領域を処理領域の処理圧力よりも低い圧力にするために、前記内管内よりも下流でマニホールドよりも上流に第1の絞り部を設け、前記内管の下方にその内外を連通する連通部を設けると共に、この連通部よりも上方で内管の内側に第2の絞り部を設けたことを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記第1の絞り部が内管と外管の間のガス流路におけるマニホールドよりも上流にフランジ状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
  3. 前記第1の絞り部が内管の上端開口部にこれを覆うように設けられた蓋部材と、この蓋部材に形成された孔部とにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
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