JP4361668B2 - 熱処理装置及びその方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハなどの複数の被処理体に対して熱処理例えば酸化や拡散処理を一括して行う熱処理装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数枚の半導体ウエハ(以下ウエハという)をバッチで熱処理する装置として縦型熱処理装置があり、その中にはいわゆる成膜炉と酸化、拡散炉とがある。これらの炉はいずれも石英製の反応管が用いられるが、処理及びその温度領域が異なるため装置構成が大きく異なる。成膜炉は処理温度がせいぜい800℃以下で行われるため、反応管の下部には、ガス供給管及び排気管が接続される金属製の筒状のマニホ−ルドが接合され、このマニホ−ルドの下端の開口部は金属製のキャップ部により開閉されると共に、マニホ−ルドとキャップ部との接合部には樹脂製のシ−ル部材であるOリングが介在して気密性が保たれている。
【0003】
一方酸化、拡散炉は処理温度が850℃以上と高く、またウエハ上のシリコンを酸化する酸化処理は、通常塩化水素によるゲッタリングを併用して行われる。そして水蒸気を用いるウエット酸化の場合だけでなく、酸素(02 )ガス及び塩化水素(HCl)ガスを用いるドライ酸化においても微量ながら水分が生成されるため、高温下でしかも水分が存在することから塩化水素の腐食性が大きく、従って金属を用いることができない。このため酸化処理が行われる縦型熱処理装置は、石英製の反応管のフランジ部と石英製のキャップ部とを接合するようにしているが、石英は輻射光を透過するためこの間にOリングを介在させるとその温度が耐熱温度を越えてしまい、また石英の中に冷却水路を形成することは加工上無理があることからOリングは使用できず、従って石英の面接触により気密性を確保するようにしている。
【0004】
ここで酸化処理を行う縦型熱処理装置における従来のシ−ル構造について図8を参照しながら述べる。図8において11は下端が開口した石英製の反応管であり、ガス供給管11a及び排気管11bを備えている。12はこの反応管11の周りを囲むように設けられたヒ−タ、13は石英製のキャップ部であり、このキャップ部13の上には、多数枚のウエハWが棚状に保持されたウエハボ−ト14が保温筒15を介して載置されている。キャップ部13はボ−トエレベ−タ10により昇降され、上昇位置にあるときには周縁部13aが反応管11のフランジ部16に接合される。そしてフランジ部16の接合面には周方向に沿って溝部17が形成されており、この溝部17にパ−ジガス例えば窒素ガスを供給するようにしている。このようなシ−ル構造によれば、キャップ部13の周縁部13a及びフランジ部16の接合が不均一であっても、窒素ガスが反応管11の内外を仕切るいわばカ−テンの役割を果たし、反応管11内の雰囲気ガスが外に漏洩することを防止している。
【0005】
更に本発明者は、フランジ部16の接合面において溝部17の内側領域を切り欠いてその下面がキャップ部13から浮いた状態にすることも検討している。即ち、図 の構成において溝部17の外側の接合面同士の当たりが内側の接合面同士の当たりよりも弱いときには、窒素ガスが外側に流れ、それに引き込まれて雰囲気ガスが外部に漏洩するおそれがあるが、溝部17の内側領域を切り欠けば、内側に向かう窒素ガスの流れが形成されるので、そのような懸念がなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで最近においてウエハをクロ−ズ型カセット(密閉型カセット)に入れて搬送することが行われ、これに合わせて縦型熱処理装置側においても熱処理炉の下方側のウエハの移載領域(ロ−ダ室)をパ−ジガスの陽圧雰囲気とすることが検討されている。酸化処理や拡散処理を行うときの反応管11内の圧力は常圧付近であるから、この場合には反応管11内の圧力が外部よりも低くなる。一方反応管11の内部と外部との気密構造は、フランジ部16とキャップ部13の周縁部13aとの面接触に頼っているが、互いに接合する両面は石英部材であるため高精度の加工が困難であるし、高精度に加工できたとしてもわずかな組み立て誤差により面接触の精度が落ちてしまう。このためロ−ダ室内のパ−ジガスがフランジ部16とキャップ部13の周縁部13aとの対向部位を通って反応管11内に流入するおそれがある。このようにパ−ジガスが反応管11内に流入すると、反応管11の底部付近の温度が低くなり、ウエハボ−ト14の下段側のウエハWのプロセスに対して悪影響を及ぼすことになる。
【0007】
また酸化処理を行う場合にも反応管11内を例えば133Pa(1Torr)〜46550Pa(350Torr)程度の微減圧雰囲気にすることも検討されており、この場合には反応管11の外部が大気圧雰囲気であっても空気が前記対向部位を通って反応管11内に流入し、ウエハW上に自然酸化膜が形成されてしまうおそれがある。
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、腐食性ガスを含む処理ガスにより被処理体に対して熱処理を行う縦型の熱処理装置において高い気密性を確保できる技術を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の被処理体を棚状に保持させた保持具を、下端にフランジ部を有する縦型の石英製の反応容器内に下端開口部から搬入すると共に反応容器内を所定の熱処理温度に加熱し、腐食性のガスを含む処理ガスにより被処理体に対して熱処理を行う熱処理装置において、
その周縁部が内側の領域よりも高い段部として構成されると共に、当該段部の上面が前記反応容器のフランジ部に接合するように設けられ、前記保持具を搭載して反応容器内の下端開口部を開閉するために、金属により構成されたキャップ部本体と、
前記キャップ部本体における前記周縁部よりも内側部位の表面を覆うように、前記段部の内側に嵌合されたセラミックス製のカバ−部と、
前記フランジ部との間を気密にシ−ルするために前記キャップ部本体の前記段部の上面に周方向に沿ってリング状に設けられた樹脂製のシ−ル部材と、
前記キャップ部本体における前記段部よりも内側の領域においてキャップ部本体の周方向に沿ってリング状に設けられると共に、カバー部の下面を前記キャップ部本体の表面から浮かせて両者の間に形成されたパージガス供給用の隙間と、
前記フランジ部と前記キャップ部本体の周縁部との対向部位において前記シ−ル部材よりも内側の領域にパ−ジガスを供給するために、前記パージガス供給用の隙間に開口するようにキャップ部本体に形成されたパ−ジガス供給路を含むパージガス供給部と、を備え、
前記パージガス供給用の隙間に供給されたパ−ジガスが、前記隙間からキャップ部本体の表面に沿って外側に流れて前記対向部位に供給されることを特徴とする。
【0009】
この発明は例えば850℃以上で行われる、シリコン酸化膜を得るための酸化処理に好適であり、腐食性のガスとしては例えば被処理体をゲッタリングするための塩化水素ガスが挙げられる。
【0010】
この発明によれば、石英製の反応容器のフランジ部に接合されるキャップ部の周縁部は金属製であるから、シ−ル部材を設けても石英の場合よりも昇温が抑えられ、またシ−ル部材を嵌め込む溝を高精度で加工することができ、従って樹脂製のシ−ル部材を用いたシ−ル構造を実現できる。そしてパ−ジガスによりフランジ部及びキャップ部の周縁部間をパ−ジしているから、キャップ部の金属部分に腐食性ガスが触れるのを防止できると共にこのパ−ジガスにより前記シ−ル部材を冷却できる。なおシ−ル部材を冷却するためにキャップ部の前記周縁部に周方向に沿って冷却流体の流路を設けることが好ましい。
【0012】
本発明は熱処理方法においても成立するものであり、その方法は、複数の被処理体を棚状に保持させた保持具を、その周縁部が内側の領域よりも高い段部として構成されると共に、当該段部の上面が前記反応容器のフランジ部に接合するように設けられ、金属により構成されたキャップ部本体の上に搭載して縦型の石英製の反応容器内に下端開口部から搬入し、前記キャップ部本体の周縁部と反応容器の下端のフランジ部とを接合する工程と、
前記キャップ部本体段部の上面に周方向に沿ってリング状に設けられた樹脂製のシ−ル部材により、前記キャップ部本体の周縁部と反応容器のフランジ部との対向部位を気密にシ−ルする工程と
前記キャップ部本体の前記段部の内側にセラミックス製のカバ−部を嵌合し、前記キャップ部本体における前記段部よりも内側の領域においてキャップ部本体の周方向に沿ってリング状に設けられると共に、前記カバー部の下面をキャップ部本体の表面から浮かせて両者の間に形成されたパージガス供給用の隙間に、キャップ部本体に設けられたパージガス供給路を介してパージガスを供給する工程と、
前記パージガス供給用の隙間に供給されたパージガスを当該隙間からキャップ部本体の表面に沿って外側に流して前記フランジ部と前記キャップ部本体の周縁部との対向部位において前記シ−ル部材よりも内側の領域に供給し、このパ−ジガスにより前記周縁部と処理ガスとの接触を防ぎかつ前記シ−ル部材を冷却する工程と、
この工程を行いながら、所定の熱処理温度の雰囲気下にて腐食性のガスを含む処理ガスにより被処理体に対して熱処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の熱処理装置の実施の形態を説明するが、先ず熱処理装置の全体構成について図1及び図2を参照しながら述べておく。この熱処理装置は一般に縦型熱処理装置と呼ばれているものであり、縦型の熱処理炉2を備えている。この熱処理炉2は、下端が開口部している円筒状の石英製の反応容器である反応管21と、この反応管21を囲むように設けられた抵抗発熱体などからなる加熱手段であるヒ−タ22と、前記反応管21及びヒ−タ22の間にて断熱体23に支持されて設けられた均熱用容器24と、ガス供給管25と、前記反応管21に接続された排気管26とを備えている。前記反応管21は下端が開口すると共に、上面21aの少し下方側に多数のガス穴21bを有するガス拡散板21cが設けられている。また前記ガス供給管25は前記反応管21と均熱用容器24との間にて垂直に立ち上げられており、その先端部は反応管31の上面21aとガス拡散板21cとの間の空間に突入されていると共に、基端側は反応管21の底部付近にてL字に屈曲されて外部に配管されている。
【0014】
更にこの熱処理装置は、ボ−トエレベ−タ40の上に設けられたキャップ部3を備えており、このキャップ部3はボ−トエレベ−タ40が上がりきった位置にて反応管21のフランジ部5にその周縁部31の上面が接合して反応管21の下端開口部27を閉じ、ボ−トエレベ−タ40が下がったときに前記開口部27を開くように構成されている。なお図1及び図2ではキャップ部3及びフランジ部5は簡略して記載してある。
【0015】
キャップ部3の上には保温部材28を介して保持具であるウエハボ−ト4が搭載されている。ウエハボ−ト4は、図2において例えば天板41及び底板42の間に複数の支柱43を設け、この支柱43に上下方向に形成された溝にウエハWの周縁を挿入して保持するように構成されている。保温部材28はこの例では石英製の保温筒として記載してあるが、石英製のフィンを多段に積層したものなどであってもよい。
【0016】
次にこの実施の形態の要部である前記フランジ部5及びキャップ部3のシ−ル構造について図3を参照しながら述べるが、キャップ部3がフランジ部5から離れた状態についても図4に示しておく。キャップ部3は金属製例えばステンレス製のキャップ部本体30と石英製の第1及び第2のカバ−体61、62と、石英製のタ−ンテ−ブル63とを備えている。キャップ部本体30の周縁部31は図5にも示すようにその内側の領域よりも高い段部になっており、周縁部31の上面(フランジ部5との対向部位)には周方向に沿ってリング状に溝32が形成されている。この溝32内には、前記フランジ部5との間を気密にシ−ルするためにOリングと呼ばれているリング状の樹脂製のシ−ル部材(以下Oリングという)33が嵌め込まれている。
【0017】
前記周縁部31における前記溝32の下方側には、前記Oリング33を冷却するための冷却流体例えば冷却水を通流させるための冷却水路(冷却流体流路)71が周方向に沿って形成されており、この冷却水路71には給水管72及び排水管73が接続されている。給水管72及び排水管73はキャップ部3の下面側を通ってボ−トエレベ−タ40内に配管されている。
【0018】
一方反応管21のフランジ部5はベ−スプレ−ト50に固定されており、前記周縁部31に対向する対向部位はOリング33を潰すように平らな接合面として構成されている。なお前記ガス供給管25は、この例では反応管21の底部に一体化された水平管25aに垂直管25bを接続して構成されている。
【0019】
前記キャップ部本体30の周縁部31よりも内側部位は低くなっていてリング状の凹部34が形成されており、その凹部34の底面は外側寄りに対して内側寄りの方が高い段差になっている。前記石英製の第1及び第2のカバ−体61、62は夫々この凹部34の外側寄り及び内側寄りに嵌め込まれており、第1のカバ−体61の外縁側の表面は前記フランジ部5の内縁側の下面と接合されることとなる。またキャップ部本体30には、前記第1のカバ−体6の底面の一部と凹部34の底面(キャップ部本体30の表面)との隙間に開口するように窒素ガス(N2 ガス)供給路73が厚さ方向に貫通して設けられ、この窒素ガス供給路73には、窒素ガス供給管74が接続されている。窒素ガス供給管74の基端側には図示しない窒素ガス供給源が接続され、ここから供給されるパージガスである窒素ガスはキャップ部3の金属部分を腐食性ガスから保護すると共に前記Oリング33を冷却するために用いられるものである。この例では窒素ガス供給路73及び窒素ガス供給管74によりパ−ジガス供給部をなす窒素ガス供給部が構成される。
【0020】
前記保温部材28は前記タ−ンテ−ブル63の上に載置されており、このタ−ンテ−ブル63は、キャップ部本体30の下部に連続するハウジング35に軸受された回転軸64の上に取り付けられている。回転軸64は、モ−タM、プ−リP1,P2及びベルトBからなる駆動部65により回転される。なお66は、ボ−トエレベ−タ40に対してキャップ部3を支持する支持部分である。
【0021】
前記第1のカバ−体61の上面及び保温部材28の下面には夫々リング状突起61a及び28aが設けられ、互いに重なり合ってラビリンスが形成されていると共に、前記第2のカバ−体62の上面及びタ−ンテ−ブル63の下面にも夫々リング状突起62a及び63aが設けられ、互いに重なり合ってラビリンスが形成されている。これらラビリンスは、反応管21内の処理ガスがキャップ部61の内側の金属部分に回り込むのを防止する役割を果たしている。
【0022】
次に上述実施の形態の作用について説明する。先ず多数枚例えば60枚のウエハWをウエハボ−ト4に棚状に保持させ、ヒ−タ22により予め所定の温度に加熱された反応管21内にボ−トエレベ−タ40により搬入し、炉口である開口部27をキャップ部44により気密に閉じる(図1の状態)。続いて反応管31内を所定の温度に昇温すると共に、反応管31内を例えば133Pa(1Torr)〜46550Pa(350Torr)程度の微減圧状態にし、この状態でウエハWの温度を安定させてから酸化処理を行う。
【0023】
この酸化処理において、例えばいわゆるドライ酸化の場合には酸素ガス及び塩化水素ガスよりなる処理ガスが用いられ、いわゆるウエット酸化の場合には酸素ガス、水蒸気及び塩化水素ガスよりなる処理ガスが用いられる。処理ガスはガス供給管25を介して反応管21の上部に流入し、ガス孔21bから反応管21内の処理領域に供給され、下部の排気管26から排気される。このときウエハボ−ト4はタ−ンテ−ブル63により回転し、処理ガスは棚状に積まれたウエハWの間に入り込み、酸素ガスによりウエハW表面部のシリコン層が酸化されかつ塩化水素ガスによりゲッタリングされながらシリコン酸化膜が生成される。
【0024】
一方キャップ部3がフランジ部5に押し付けられることによりOリング33が潰れて反応管21内と外部とが気密にシ−ルされる。そして図6に示すようにキャップ部本体30に設けられたガス供給路73から窒素ガスが当該キャップ部本体30の表面と石英製のカバ−体61との間に例えば2〜3slmの流量で供給され、更に両者の隙間に沿って外側に流れる。そしてこの窒素ガスはフランジ部5の下面に当たり、当該下面とキャップ部本体30の周縁部31の表面との間の隙間に沿って外側に広がって、この隙間をパ−ジすると共に、当該下面と前記カバ−体61の表面との隙間に沿って内側に広がって反応管21内の雰囲気に流出し、排気管26から排気される。
【0025】
上述の実施の形態によれば、キャップ部3と接合される反応管21のフランジ部5は石英製としているが、キャップ部3の周縁部31を金属製としているため、Oリング33を設けても石英の場合よりも昇温が抑えられ、またOリング33を嵌め込む溝32を高精度で加工することができる。仮に石英の中にOリング33を嵌め込もうとすると溝32を高精度で加工することが難しく、Oリング33を嵌め込んだときに全周に渡って均一な気密性を得ることが困難になる。
【0026】
従ってキャップ部3側にOリング33を設けることができるので、石英同士の接合の場合に比べて組み立て許容誤差も緩和され、確実にシ−ルすることができる。そして従来技術の項目で述べたように、熱処理炉2の下方側のウエハの移載領域(ロ−ダ室)をパ−ジガスの陽圧雰囲気としたりあるいは反応管21内を微減圧にして酸化処理を行う場合であっても外気が反応管21内に流入することを防止でき、石英同士の接合に比べて有利である。
【0027】
また石英の場合には熱伝導が悪いこと及び冷却水路の形成が困難なことから、冷却水による冷却効果を狙うことが実質できないが、前記周縁部31を金属製としているのでここに冷却水を流すことによりOリング33の冷却効果が得られる。ここで前記周縁部31を金属製にするだけであれば、腐食の問題が残るが、この実施の形態ではパ−ジガスによりフランジ部5及びキャップ部3の周縁部31間をパ−ジしているから、キャップ部3の金属部分に腐食性ガスが触れるのを防止できると共にこのパ−ジガスにより前記Oリング33を冷却できる。またキャップ部本体30は金属製としているが、周縁部31よりも内側においては石英製のカバ−体61、62を設けているので、金属部分に腐食性ガスが触れることを防止できる。
【0028】
既述のように、例えば850℃以上の温度で酸化処理を行う装置では反応管21の下に金属性のマニホ−ルドを設けることができないので、この実施の形態は有効であり、外気の流入や処理ガスの流出を確実に防止できる。
【0029】
上述の実施の形態ではパ−ジガス供給部をキャップ部3側に設けたが、本発明は反応管21のフランジ部5に設けてもよい。図7はこのような実施の形態を示すものであり、フランジ部5におけるキャップ部3との対向部位であってOリング33よりも内側寄りに周方向に溝80を形成すると共に、この溝80内に開口するようにキャップ部3内に窒素ガス供給路81を形成し、当該窒素ガス供給路81に窒素ガス供給管82を接続している。この例では、窒素ガス供給路81及び窒素ガス供給管82により窒素ガス供給部が構成され、窒素ガスは溝80からフランジ部5及びキャップ部3の間の微小な隙間をパ−ジして反応管21内に流出する。
【0030】
以上において前記パ−ジガス供給部から供給されるパージガスとしては窒素ガスに限らずアルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。またキャップ部本体30の表面を覆うカバ−体(61、62)としては石英に限らず炭化ケイ素(SiC)などのセラミックスであってもよい。更にまたキャップ部3が金属製のキャップ部本体とカバ−体とに分離されずに例えば周縁部31以外はセラミックスで構成されるような一体的なものも本発明の権利範囲に入るものである。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、腐食性ガスを含む処理ガスにより被処理体に対して熱処理を行い、金属製のマニホ−ルドが使用できない縦型の熱処理装置において高い気密性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理装置の実施の形態の全体構成を略解して示す縦断側面図である。
【図2】図1の熱処理装置を示す概観図である。
【図3】上記実施の形態に用いられるシール構造部分を、キャップ部が閉じた状態として示す断面図である。
【図4】上記実施の形態に用いられるシール構造部分を、キャップ部が開いた状態として示す断面図である。
【図5】キャップ部の一部を示す分解斜視図である。
【図6】パージガスが流れる様子を示す説明図である。
【図7】本発明の熱処理装置の他の実施の形態に用いられるシール構造部分を、キャップ部が閉じた状態として示す断面図である。
【図8】従来の熱処理装置を示す縦断側面図である。
【符号】
21 反応管
22 ヒータ
3 キャップ部
30 キャップ部本体
31 周縁部
32 溝部
33 Oリング
4 ウエハボート
40 ボートエレベータ
5 フランジ部
61、62 カバー体
63 ターンテーブル
71 冷却水路
73 N2ガス供給路
74 N2ガス供給管
81 N2ガス供給路
82 N2ガス供給管

Claims (8)

  1. 複数の被処理体を棚状に保持させた保持具を、下端にフランジ部を有する縦型の石英製の反応容器内に下端開口部から搬入すると共に反応容器内を所定の熱処理温度に加熱し、腐食性のガスを含む処理ガスにより被処理体に対して熱処理を行う熱処理装置において、
    その周縁部が内側の領域よりも高い段部として構成されると共に、当該段部の上面が前記反応容器のフランジ部に接合するように設けられ、前記保持具を搭載して反応容器内の下端開口部を開閉するために、金属により構成されたキャップ部本体と、
    前記キャップ部本体における前記周縁部よりも内側部位の表面を覆うように、前記段部の内側に嵌合されたセラミックス製のカバ−部と、
    前記フランジ部との間を気密にシ−ルするために前記キャップ部本体の前記段部の上面に周方向に沿ってリング状に設けられた樹脂製のシ−ル部材と、
    前記キャップ部本体における前記段部よりも内側の領域においてキャップ部本体の周方向に沿ってリング状に設けられると共に、前記カバー部の下面を前記キャップ部本体の表面から浮かせて両者の間に形成されたパージガス供給用の隙間と、
    前記フランジ部と前記キャップ部本体の周縁部との対向部位において前記シ−ル部材よりも内側の領域にパ−ジガスを供給するために、前記パージガス供給用の隙間に開口するようにキャップ部本体に形成されたパ−ジガス供給路を含むパージガス供給部と、を備え、
    前記パージガス供給用の隙間に供給されたパ−ジガスが、前記隙間からキャップ部本体の表面に沿って外側に流れて前記対向部位に供給されることを特徴とする熱処理装置。
  2. シ−ル部材を冷却するためにキャップ部本体の前記周縁部に周方向に沿って冷却流体の流路を設けたことを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
  3. カバ−部は石英製であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱処理装置。
  4. 熱処理温度は850℃以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の熱処理装置。
  5. 腐食性ガスは塩化水素であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の熱処理装置。
  6. 被処理体に対して行われる熱処理はシリコン酸化膜を得るための酸化処理であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の熱処理装置。
  7. 複数の被処理体を棚状に保持させた保持具を、その周縁部が内側の領域よりも高い段部として構成されると共に、当該段部の上面が前記反応容器のフランジ部に接合するように設けられ、金属により構成されたキャップ部本体の上に搭載して縦型の石英製の反応容器内に下端開口部から搬入し、前記キャップ部本体の周縁部と反応容器の下端のフランジ部とを接合する工程と、
    前記キャップ部本体段部の上面に周方向に沿ってリング状に設けられた樹脂製のシ−ル部材により、前記キャップ部本体の周縁部と反応容器のフランジ部との対向部位を気密にシ−ルする工程と
    前記キャップ部本体の前記段部の内側にセラミックス製のカバ−部を嵌合し、前記キャップ部本体における前記段部よりも内側の領域においてキャップ部本体の周方向に沿ってリング状に設けられると共に、前記カバー部の下面をキャップ部本体の表面から浮かせて両者の間に形成されたパージガス供給用の隙間に、キャップ部本体に設けられたパージガス供給路を介してパージガスを供給する工程と、
    前記パージガス供給用の隙間に供給されたパージガスを当該隙間からキャップ部本体の表面に沿って外側に流して前記フランジ部と前記キャップ部本体の周縁部との対向部位において前記シ−ル部材よりも内側の領域に供給し、このパ−ジガスにより前記周縁部と処理ガスとの接触を防ぎかつ前記シ−ル部材を冷却する工程と、
    この工程を行いながら、所定の熱処理温度の雰囲気下にて腐食性のガスを含む処理ガスにより被処理体に対して熱処理を行う工程と、を含むことを特徴とする熱処理方法。
  8. パ−ジガスの冷却に加えて、キャップ部の中に冷却流体を流すことによりシ−ル部材を冷却することを特徴とする請求項記載の熱処理方法。
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