JP2000216090A - 多結晶半導体素子の製造方法 - Google Patents

多結晶半導体素子の製造方法

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JP2000216090A
JP2000216090A JP11018205A JP1820599A JP2000216090A JP 2000216090 A JP2000216090 A JP 2000216090A JP 11018205 A JP11018205 A JP 11018205A JP 1820599 A JP1820599 A JP 1820599A JP 2000216090 A JP2000216090 A JP 2000216090A
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silicon
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Hirotaka Inagaki
浩貴 稲垣
Seiichi Suenaga
誠一 末永
Atsushi Kamata
敦之 鎌田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽電池に好適な多結晶シリコン薄膜を高速
で、効率よく、低コストで作製する。 【解決手段】 半導体微粒子を原料にしてプラズマ溶射
法で耐熱性基板4上に形成した半導体薄膜を、窒素を含
む不活性ガス中で溶融再結晶化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多結晶半導体素子
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池を材料の観点から見ると、シリ
コン系と化合物半導体系の2種類に分類することができ
るが、現在実用化されている太陽電池の大部分はシリコ
ン系であり、今後、しばらくその傾向は変わらないもの
と考えられる。このシリコン系太陽電池は、結晶構造の
点から、単結晶,多結晶,アモルファスの3種に分類さ
れ、歴史的にもこの順に開発が進められてきた。中で
も、単結晶シリコンについては、その理論効率が最も高
いことから精力的に研究が進められ、様々なメカニズム
が明らかになり、性能的にもほぼ理論効率に近いものが
研究開発レベルで達成されるようになった。しかし、太
陽電池の宿命ともいえる最終的な発電コストの低減には
限界があり、今現在、単結晶シリコン太陽電池は、非電
化地域での応用や狭い面積でできるだけ多くの発電量が
望まれる人工衛星や自動車等、既存の商用電力網と競合
しない応用分野での適用に止まっている。単結晶シリコ
ン太陽電池の開発目標の第一が高効率化であったのに対
して、いかにコストを低減するかを第一目標に、効率第
二として開発されてきた太陽電池に多結晶シリコン太陽
電池とアモルファスシリコン太陽電池がある。いずれの
場合も単結晶シリコンを適用した場合より大幅な低コス
ト化が可能になるが、太陽光発電の本格的な普及には発
電コストの更なる低減が必要である。特に、多結晶シリ
コン太陽電池では、高価なシリコン原料の利用効率の悪
さがコストを引き上げており、アモルファスシリコン太
陽電池においては、変換効率が低い上、光劣化の問題が
残されているため、低コスト化の施策が無く、発電コス
トが頭打ちになっている。
【0003】このような状況にあって、最近、材料の無
駄を無くし、製造コストを大幅に低減でき、かつ高い変
換効率が期待でき、さらに将来の材料枯渇の心配もない
太陽電池として、薄膜多結晶シリコン太陽電池が有望視
されている。しかしながら、高品質な薄膜多結晶シリコ
ンの高速・低コスト製造技術に関して、これまで多方面
で様々なプロセスが提案されているが、今のところ完成
された技術はなく、早急な製造技術の確立が望まれてい
る。
【0004】薄膜多結晶シリコンの成膜方法の一つに、
高温プラズマ中でシリコン原料を溶解させ、高速で基板
に飛着させて成膜するプラズマ溶射法がある。この成膜
方法は、CVDやスパッタの数百倍の成膜速度を有する
ことから、大量生産が可能であり、この技術が確立すれ
ば、発電コストの大幅な低減が可能となる。ところが、
現状、この成膜方法によって堆積された皮膜は結晶品質
が悪く、太陽電池の性能が向上しないという欠点があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の薄膜多結晶シリ
コンを使用した太陽電池では結晶性が十分ではなく発電
効率が向上しない問題があった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、溶射法等で堆積された結晶品質の悪いシリコン膜
であっても、溶融再結晶化プロセス中にシリコンの酸窒
化膜を表面に形成させることによって、性能の高い太陽
電池を作製することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の多結晶体半導体素子の製造方法は、耐熱
性基板上に半導体薄膜を形成する工程と、窒素を含む不
活性ガス中で前記薄膜を加熱して溶融再結晶化して多結
晶半導体膜を形成する工程とを具備する事を特徴として
いる。この製造方法によれば、溶融再結晶化の段階で、
溶融したシリコンと、膜中に含まれる微量な酸素と、雰
囲気ガス中の窒素とが反応することによって、シリコン
膜表面に極めて薄く緻密な酸窒化膜が形成される。この
酸窒化膜が、溶融シリコンの凝集を抑制すると共に、再
結晶後のシリコンの結晶性を高め、結晶品質の極めて良
好なシリコン膜を得ることができる。
【0008】このとき、窒素と不活性ガスの混合比率
(窒素/不活性ガス)が、10−6未満であると、溶融
時にシリコン表面に連続的な酸窒化膜が形成されず、溶
融シリコンの凝集が起こる。また、混合比率が10−1
を越えると、溶融シリコン表面に凹凸が大きく粗な構造
の酸窒化膜が厚く形成され、良質なシリコン膜が得られ
なくなると共に、エッチングでこの酸窒化膜自体を除去
し辛くなる。したがって、溶融再結晶化における窒素と
不活性ガスの混合比率(窒素/不活性ガス)は、10
−6〜10−1でとすることが好ましい。本発明は、溶
融再結晶化を窒素分圧を10−6〜10−1に制御した
減圧雰囲気としても同様の効果が得られる。
【0009】一方、膜中の酸素量は、0.001重量%
未満であると、溶融時にシリコン表面に連続的な酸窒化
膜が形成されず、溶融シリコンの凝集が起こる。また、
酸素量が3重量%を越えると、SiOガスが過剰に生成
し、再結晶したシリコン表面や、装置の外壁に付着し、
溶融再結晶化の生産性を著しく低下させる。したがっ
て、溶射膜中の酸素量は、0.001〜3重量%とする
ことが好ましい。また、基板に炭素基板を適用する場
合、加熱時に炭素基板の気孔から酸素が抜け出し、半導
体薄膜に酸素を混入させたときと同様の効果が得られ
る。もちろん、雰囲気ガス自体に酸素を含有させても同
様の効果が得られる。
【0010】また、このような方法により形成した半導
体素子には、結晶粒界に酸窒化物の粒界層が形成され、
発生したキャリアを反射する事により基板に対して水平
方向の電子の拡散を効果的に抑制して、垂直方向のみの
電子の拡散を促進させ、結果として大きな電流を取出す
ことが可能となる。本発明では、酸素を溶射膜中から、
窒素を溶融再結晶化の雰囲気ガスから供給しているが、
溶射膜中に酸素と窒素を共に含有させて、不活性ガス中
で溶融再結晶化させても同様の効果が得られる。
【0011】以上、本発明の多結晶半導体素子の製造方
法によれば、欠陥密度が小さく、結晶粒径が大きい高品
質なシリコン薄膜を容易に得ることができ、従来の薄膜
多結晶シリコン太陽電池を作製する上で大きな問題であ
った高速・低コスト成膜が可能となった。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0013】図1は本発明の半導体素子の半導体膜を形
成するための装置の一例である。この装置は図1に示す
ように、数千〜数万℃の高温プラズマを発生させる高温
プラズマ部1と、この高温プラズマ発生部1に隣接する
製膜部2と、高温プラズマ中に原料を供給する原料供給
部3とでその主要部が構成される。製膜部2には原料が
堆積する基板4が基板支持部5上に設置される。この基
板支持部5には、基板4の温度を制御する補助加熱手段
としてカーボンストリップヒーター等の基板加熱部6を
設けても良い。
【0014】上記プラズマ発生部1に原料となる粉末
状、塊状、或いはガス状のシリコンが原料供給部3から
導入され、溶融物が基板4上に堆積され、基板加熱部6
によって冷却速度を適宜制御して半導体膜を形成する。
【0015】なお、製膜部2には排気系7が接続されて
おり、製膜時の原料中に含有される揮発成分や基板4に
飛着することなく凝固したシリコン等が排出される。ま
た、この排気系7と雰囲気ガス制御系8によって製膜部
2の雰囲気を制御することができる。
【0016】高温プラズマ部1における高温プラズマを
発生させる手段としては、アークプラズマを用いる直流
タイプ、或いは誘導プラズマを用いる高周波タイプ、マ
イクロ波プラズマを用いるマイクロ波タイプ、並びにそ
れらの複数を併用するハイブリッドタイプがあるが、本
発明においてはいずれのタイプでも適用できる。
【0017】図2は上記直流タイプを、図3は上記誘導
プラズマタイプを、図4は上記ハイブリッドタイプのプ
ラズマ発生部を示したものである。図4において、11
はアノード部、12はカソード部であり、両者間で放電
させると同時にアルゴンガス、水素ガス、ヘリウムガス
等のガスを分解させて高温プラズマを発生させる。そし
て、この高温プラズマ中にシリコン原料を連続的に導入
し、このシリコン原料を高温のアルゴンガスプラズマ、
水素プラズマ等によって溶解させるとともに、溶融状態
のまま基板17に搬送してシリコン膜14を形成する。
16はガス流入手段、13はアーク、15はシリコン原
料の粉末を示した。
【0018】他方、図3において、アルゴンガス、水素
ガス、ヘリウムガス等が供給される管状部位18を覆う
様に高周波コイル19を配置している。以下の説明では
同一部分は同一番号を付しその詳細の繰り返し説明を省
略した。このコイル19によって誘導プラズマを発生さ
せる。そして、この高温プラズマ中にシリコン原料粉末
15を連続的に導入し、このシリコン原料15をガス流
入手段16から供給したガスによる高温のアルゴンガス
プラズマ、水素プラズマ等によって溶解させるととも
に、溶融状態のまま基板に搬送してシリコン溶射膜14
を形成する。ハイブリッドタイプは、図4に示す様にこ
れら両タイプを併用したものである。
【0019】供給する原料の半導体微粒子の形状或いは
性状等は特に限定されるものではないが、粉末状のシリ
コンを利用するのが最も簡便な方法である。シリコン以
外の半導体としては、SiC,SiGe等の化合物半導
体も利用する事ができる。ここでのシリコンの純度は、
金属等の不純物が含まれる98%程度のいわゆる金属級
シリコン以上であれば良いが、安定した特性を得るため
には6N以上であることが好ましい。通常、太陽電池に
金属級シリコンは利用できないが、本発明のプラズマ溶
射法を適用した場合には、シリコン原料が高温プラズマ
中で完全に溶解されるために、不純物が揮発成分となっ
て除去され、得られるシリコン膜の純度は6N程度にま
で高められ、高品質な太陽電池を得ることができる。ま
た、使用する粉末の形状及び粒径も特に限定されるもの
ではないが、均一な厚さの被膜を得るためには粒径が1
〜200μmであること、更には粒径が均一であること
が好ましく、粉末形状が球体であると粉末供給量を一定
量に制御することが可能となり、広範囲で均一厚さの被
膜が得られると共に、装置からの不純物の混入を抑制す
ることができる。
【0020】以上の装置では、溶融したシリコンは基板
4上に堆積され、基板支持部5を移動させることによっ
てシリコン膜が形成される。得られるシリコン膜の結晶
粒径、欠陥密度、膜厚の均一性、及び膜表面の平滑度
は、基板の温度に大きく影響される。基板温度が高いほ
ど結晶粒径の拡大、欠陥密度の低減、膜厚の均一化、及
び膜表面の平滑性の向上が図れるため、基板支持部5に
は基板加熱部6を設置することが好ましく、品質の良好
な被膜を得るためには、基板温度をシリコンの融点直下
或いは直上に設定することが望ましい。また、溶融状態
から固化させる冷却速度も膜質、特に欠陥密度に大きな
影響を与えるため、基板加熱部6を利用して冷却速度を
制御し、膜温度が800℃以下になるまで徐冷すると欠
陥密度の低減が図れる。
【0021】次に、本発明の半導体素子の製造方法を図
5及び図6を用いて説明する。
【0022】図5は本発明の半導体素子の溶射後の断面
図であり、耐熱性基材21上にシリコン膜22が被覆形
成されている。
【0023】この耐熱性基材21を構成する物質は特に
限定されるものではなく、具体的には、シリコンなどの
半導体、ガラス、アルミナ,ジルコニア等の酸化物、A
lN,Si等の窒化物、SiC,TiC等の炭化
物、鉄,ステンレス等の金属,カーボン(グラファイ
ト)あるいは高融点高分子などから選択される任意の材
料を用いることができるが、好ましくはシリコンと同等
以上の融点を持ち、熱膨張係数等の物性定数がシリコン
と同等である方が、形成される半導体膜の品質、及びプ
ロセス上の取り扱い易さの点から有利である。また、上
記耐熱性基板にはプロセス段階で十分な機械的強度が必
要であり、これを単結晶シリコン基板以外を適用する場
合には、この基板が300μmの単結晶シリコンの強度
に相当する強度を有する必要がある。
【0024】以上の観点から、本発明で利用する耐熱性
基板としては、グラファイト基板、炭素繊維基板、ある
いは表面をガラス状化した炭素基板等が適当である。
【0025】また、この半導体膜22の形成方法は特に
限定されるものではなく、例えば、CVD,EB−PV
D,スパッタ,溶射等が適用できるが、高速・低コスト
製膜の観点から本発明の効果が最も明瞭に現れる手法と
して、プラズマ溶射法の適用が有効である。この溶射法
で半導体を製膜すると、微量な酸素(窒素)あるいは酸
化物(窒化物、酸窒化物)が膜中に混入する。これらの
存在が、次いで行われる溶融・再結晶化の工程で良好な
被膜を形成するために効果的に機能する。詳細は溶融・
再結晶化工程の説明で記述する。
【0026】このとき形成する半導体膜の膜厚は、高効
率を実現させるために1μm以上の膜厚が必要であり、
原料コストの観点からは1mm以下の膜厚とすることが
好ましい。
【0027】太陽電池素子の構成部材として、この段階
では十分な性能を発揮させることが難しく、本発明で
は、次に説明する溶融・再結晶化の工程を実施する。こ
の工程を実施することで、工程後の結晶粒径の大幅な拡
大、欠陥密度の低減、膜厚の均一化、及び膜表面の平滑
性の向上が可能となる。以下に、溶融・再結晶化工程の
詳細を記す。
【0028】先の工程で製造した半導体膜の溶融・再結
晶化を図7の様にして行う。すなわち、窒素と不活性ガ
スの混合ガス中で、耐熱性基板33の下側に配置された
ヒーター32により耐熱性基板を一様に加熱し、この状
態で半導体膜直上から集光加熱型ヒーター31でライン
上に半導体膜34を加熱し、半導体膜34を溶融させな
がら、集光型ヒーター31を移動させて、溶融・再結晶
化を行う。この溶融・再結晶化は、半導体膜34の溶融
幅を1〜10mmとして、集光型ヒーターの移動速度を
毎分1〜50mmとすると、結晶粒径が数mmを超える
半導体膜が得られ、条件によってはほぼ単結晶の半導体
膜を得ることが可能となる。耐熱性基板33の下側に配
置するヒーター32を上側と同じ集光加熱型に置き換え
ても同様に溶融・再結晶化が可能である。また、下側を
ヒーターで加熱し、上側の集光型ヒーター31の代わり
にCOガスレーザー等の熱源を用いても、同様な性質
を持つ半導体膜が得られる。このとき、シリコン膜中に
微量の酸素が含有されていると、溶融時に含有酸素がシ
リコンと反応して、膜外に放出される。放出された反応
ガスは、さらに雰囲気ガス中に含まれる窒素と混ざり合
い、溶融しているシリコン膜表面での酸窒化反応を効果
的に加速させて、薄く緻密な酸窒化膜を生成させる(図
6)。この被膜が溶融再結晶化での溶融シリコンの凝集
を防止すると共に、凝固過程でシリコンの結晶性を向上
させる。
【0029】本発明によれば、溶融・再結晶化処理にお
いて特別にシリコン膜上に突沸を防止するキャップ層を
設ける必要がなく、再結晶化の工程が容易に実施でき、
基板に対して垂直方向の電子の拡散を促進するため、電
気的特性も向上する。シリコン薄膜成膜後の溶融・再結
晶化処理は、ドーパントの均質化にも有効であり、より
比抵抗の均一性に優れた薄膜が得られる。
【0030】上記工程により得られた半導体膜には、最
表面の酸窒化物をエッチングによって除去した後、80
0℃〜950℃程度で表面にB,Al,P等の不純物拡
散層を形成する。
【0031】次いで、薄膜太陽電池の受光面となる半導
体膜表面に起電力を得るための一対の電極を形成する。
即ち、格子状のパターンからなる電極(格子電極)と、
耐熱性基板の裏面に基板電極を形成して太陽電池を完成
させる。
【0032】(実施例)次に、本発明の具体的な実施例に
ついて説明する。 (実施例1)溶射法によって炭素基板上(10cm角、
厚さ1mm)に厚さ50μmのシリコン膜(膜内の酸素
濃度は0.1重量%であった)を堆積させたサンプルを
作製した。次いで、ArとNの混合ガスを流した(ガ
ス流量は、Arを毎分10L、Nを毎分10mLとし
た)石英チャンバー内で、線状ランプによってサンプル
を加熱し、ランプを走査させてシリコン膜を溶融・再結
晶化させた。その結果、幅が数1mm、長さが数cmの
結晶粒で構成された良好なシリコン膜が得られた。この
シリコン膜を利用して、太陽電池を作製したところ、1
0%を超える発電効率が得られた。
【0033】同様な条件で作製したサンプルをNガス
を流さないこと以外は同様の条件にして溶融再結晶化さ
せたところ、溶融再結晶化中に溶融シリコンがランプ走
査方向に凝集し、その結果、数箇所で膜の断裂が発生し
て、太陽電池を作製することができなかった。
【0034】また、上記の溶射膜の溶融再結晶化につい
て、ArガスとNガスの混合比率を変えて処理したサ
ブサンプルを作成し、ガス比率と最終製品である太陽電
池の発電効率の関係を調べたのが表1である。
【表1】 この表中で、発電効率の項目の二重丸は発電効率が12
%以上の太陽電池。一重丸は発電効率が10%以上、1
2%未満の比較的良品の太陽電池。三角は発電効率が8
%以上、10%未満の良品の太陽電池。×は発電効率が
8%未満の実用化に耐えない太陽電池である。この表か
ら明らかなように、NとArの混合比率(N/A
r)が10−5〜10−3であれば発電効率が12%以
上の実用化可能な製品が作成できる事が分かった。ま
た、混合比率(N/Ar)が10 あるいは10
−2〜10−1であれば発電効率が10%以上、12%
未満の比較的良品の製品が作成できる事が分かった。さ
らに、混合比率(N/Ar)が10−7あるいは10
〜10であれば発電効率が8%以上、10%未満の
良品の製品が作成できる事が分かった。混合比率(N
/Ar)が10以上の場合には、発電効率は8%未満
であった。
【0035】また、同表の歩留まりの項目に関しては、
10cm角サイズの素子を作製した場合に10%以上の
効率が得られる割合を評価したもので、1重丸はその割
合が90%以上、三角は75%以上90%未満、×は7
5%未満の場合である。この表から明らかなように、混
合比率(N/Ar)が10−5〜10であれば90
%以上の歩留まりが達成され、混合比率(N/Ar)
が10−6あるいは10−2〜10−1であれば75%
以上90%未満の歩留まりが達成されることが分かっ
た。
【0036】以上の評価から、NとArの混合比率
(N/Ar)が10−6〜10−1場合に良好な太陽
電池が作製でき、NとArの混合比率(N/Ar)
を10 −5〜10−3に制御すると、より優れた太陽電
池が作製できることが分かった。 (実施例2)CVD法によってシリコン基板上(10c
m角、厚さ1mm)に厚さ50μmのシリコン膜を堆積
させたサンプルを作製した。次いで、ArとNとO
の混合ガスを流した(ガス流量は、Arを毎分10L、
を毎分10mL、Oを毎分10mLとした)石英
チャンバー内で、線状ランプによってサンプルを加熱
し、ランプを走査させてシリコン膜を溶融・再結晶化さ
せた。その結果、幅が数1mm、長さが数cmの結晶粒
で構成された良好なシリコン膜が得られた。このシリコ
ン膜を利用して、太陽電池を作製したところ、10%を
超える発電効率が得られた。
【0037】同様な条件で作製したサンプルをNガス
とOガスを流さないこと以外は同様の条件にして溶融
再結晶化させたところ、溶融再結晶化中に溶融シリコン
がランプ走査方向に凝集し、その結果、数箇所で膜の断
裂が発生して、太陽電池を作製することができなかっ
た。
【0038】また、上記の溶射膜の溶融再結晶化につい
て、Nガス量を固定して、ArガスとOガスの混合
比率を変えて処理したサブサンプルを作成し、ガス比率
と最終製品である太陽電池の発電効率の関係を調べたの
が表2である。
【表2】 この表中で、発電効率の項目の二重丸は発電効率が12
%以上の太陽電池。一重丸は発電効率が10%以上、1
2%未満の比較的良品の太陽電池。三角は発電効率が8
%以上、10%未満の良品の太陽電池。×は発電効率が
8%未満の実用化に耐えない太陽電池である。この表か
ら明らかなように、OとArの混合比率(O/A
r)が10−5〜10−3であれば発電効率が12%以
上の実用化可能な製品が作成できる事が分かった。ま
た、混合比率(O/Ar)が10 あるいは10
−2〜10−1であれば発電効率が10%以上、12%
未満の比較的良品の製品が作成できる事が分かった。さ
らに、混合比率(O/Ar)が10−7あるいは10
〜10であれば発電効率が8%以上、10%未満の
良品の製品が作成できる事が分かった。混合比率(O
/Ar)が10以上の場合には、発電効率は8%未満
であった。
【0039】また、同表の歩留まりの項目に関しては、
10cm角サイズの素子を作製した場合に10%以上の
効率が得られる割合を評価したもので、1重丸はその割
合が90%以上、三角は75%以上90%未満、×は7
5%未満の場合である。この表から明らかなように、混
合比率(O/Ar)が10−5〜10であれば90
%以上の歩留まりが達成され、混合比率(O/Ar)
が10−6あるいは10−2〜10−1であれば75%
以上90%未満の歩留まりが達成されることが分かっ
た。
【0040】以上の評価から、OとArの混合比率
(O/Ar)が10−6〜10−1場合に良好な太陽
電池が作製でき、OとArの混合比率(O/Ar)
を10 −5〜10−3に制御すると、より優れた太陽電
池が作製できることが分かった。
【0041】なお、本発明の効果は、酸素と窒素が共存
する雰囲気で溶融・再結晶化を実施することで達成され
ることから、酸素及び窒素を含む化合物、例えばN
あるいはNOを含む雰囲気中で溶融・再結晶化を実施
しても同様の効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の太陽電池
素子の製造方法によれば、毎秒数μm以上の高速で成膜
したシリコン膜を、容易に溶融・再結晶化することが可
能となり、高速で高効率な太陽電池を低コストで作製で
きるため、工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体膜を形成する溶射装置の一例を
示す概略断面図。
【図2】直流タイプ溶射装置の電極部の模式図。
【図3】高周波タイプ溶射装置の電極部の模式図。
【図4】ハイブリッドタイプ溶射装置の電極部の模式
図。
【図5】製膜直後の太陽電池素子の断面図。
【図6】溶融・再結晶化後の太陽電池素子の断面図。
【図7】溶融・再結晶化装置の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
1.高温プラズマ発生部 2.製膜部 3.原料供給部 4.耐熱性基材 5.基材支持部 6.基材加熱部 7.排気系 8.雰囲気ガス制御系 11.アノード 12.カソード 13.アーク 14.シリコン膜 15.シリコン原料粉末 16.ガス流入手段 17.基板 18.管状部位 19.高周波コイル 20.高周波発生装置 21.耐熱性基板 22.シリコン膜 23.酸窒化膜 31.集光加熱ヒーター 32.均一加熱ヒーター 33.耐熱性基板 34.半導体膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 敦之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5F045 AB01 AB03 AB06 AB34 AC11 AF02 AF03 AF07 AF10 BB08 BB09 BB12 BB16 CA13 DA62 EE14 EH10 EH11 HA16 HA18 5F052 AA02 AA18 AA28 BB06 CA10 DA01 DB01 DB10 EA02 JA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性基板上に半導体薄膜を形成する工
    程と、窒素を含む不活性ガス中で前記薄膜を加熱して溶
    融再結晶化して多結晶半導体膜を形成する工程とを具備
    する事を特徴とする多結晶半導体素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導体薄膜は、0.001〜3重量
    %の酸素を含有する事を特徴とする請求項1に記載の多
    結晶半導体素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記半導体薄膜がプラズマ溶射法で形成
    される事を特徴とする請求項1に記載の多結晶半導体素
    子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性基板が炭素で構成される事を
    特徴とする請求項1に記載の多結晶半導体素子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記窒素と不活性ガスの混合比率(窒素
    /不活性ガス)が、10−5〜10−3である事を特徴
    とする請求項1に記載の多結晶半導体素子の製造方法。
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