JPH11261093A - 太陽電池素子およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池素子およびその製造方法

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JPH11261093A
JPH11261093A JP10062690A JP6269098A JPH11261093A JP H11261093 A JPH11261093 A JP H11261093A JP 10062690 A JP10062690 A JP 10062690A JP 6269098 A JP6269098 A JP 6269098A JP H11261093 A JPH11261093 A JP H11261093A
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Japan
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silicon
layer
heat
substrate
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JP10062690A
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English (en)
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Hirotaka Inagaki
浩貴 稲垣
Atsushi Kamata
敦之 鎌田
Seiichi Suenaga
誠一 末永
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶品質に優れた多結晶シリコン薄膜を発電
層として有する、高効率な太陽電池素子を提供する。 【解決手段】 耐熱性基材と、この耐熱性基材上に形成
された炭化硼素層と、この炭化硼素層の上に形成され、
発電層として作用する半導体薄膜とを有することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池素子およ
びその製造方法に係り、特に、炭素系基材等の耐熱性基
材とこの基材の上に成膜されたシリコン薄膜とでその主
要部が構成される薄膜太陽電池およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】太陽電池は、材料の観点からみると、シ
リコン系と化合物半導体系との2種類に分類することが
できるが、現在実用化されている太陽電池の大部分はシ
リコン系であり、今後しばらくその傾向は変わらないも
のと考えられている。このシリコン系太陽電池は、結晶
構造の点で単結晶、多結晶、およびアモルファスの3種
類に分類され、歴史的にもこの順に開発が進められてき
た。なかでも、単結晶シリコンについては、その理論効
率が最も高いことから精力的に研究が進められ、様々な
メカニズムが明らかになり、性能的にもほぼ理論効率に
近いものが研究開発レベルで達成されるようになった。
しかしながら、太陽電池の宿命ともいえる最終的な発電
コストの低減には限界があり、いま現在、単結晶シリコ
ン太陽電池は、非電化地域での応用や、狭い面積ででき
るだけ多くの発電量が望まれる人工衛星や自動車等、既
存の商用電力網と競合しない応用分野での適用にとどま
っている。
【0003】単結晶シリコン太陽電池の開発目標の第一
が高効率化であったのに対して、いかにコストを低減す
るかを第一目標とし、効率を第二として開発されてきた
太陽電池として多結晶シリコン太陽電池およびアモルフ
ァスシリコン太陽電池が挙げられる。いずれの場合も単
結晶シリコンを適用した場合より、大幅な低コスト化が
可能になるものの、太陽光発電の本格的な普及には発電
コストのさらなる低減が必要である。特に、多結晶シリ
コン太陽電池では、高価なシリコン原料の利用効率の悪
さがコストを引き上げている。一方、アモルファスシリ
コン太陽電池においては、変換効率が低いうえ光劣化の
問題が残されているため、低コスト化の施策がなく、発
電コストが頭打ちになっている。
【0004】このような状況にあって、最近、材料の無
駄をなくし、製造コストを大幅に低減可能であって、か
つ高い変換効率が期待でき、さらに将来の材料枯渇の問
題もない太陽電池として、薄膜多結晶シリコン太陽電池
が有望視されている。しかしながら、高品質な薄膜多結
晶シリコンを高速・低コストで製造する技術に関して、
これまで多方面で様々なプロセスが提案されているが、
いまのところ完成された技術はなく、早急な製造技術の
確立が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】薄膜多結晶シリコンの
成膜方法の一つとして、高温プラズマ中でシリコン原料
を溶解させ、高速で基板に飛着させて成膜するプラズマ
溶射法がある。この成膜法は、CVDやスパッタの数百
倍の成膜速度を有することから、大量生産が可能であ
り、この技術が確立すれば、発電コストの大幅な低減が
可能となる。しかしながら、現在、この成膜方法によっ
て堆積された被膜は結晶品質が悪く、太陽電池の性能が
向上しないという欠点があった。
【0006】そこで本発明は、結晶品質に優れた多結晶
シリコン薄膜を発電層として有する高効率な太陽電池素
子を提供することを目的とする。また本発明は、高効率
な太陽電池素子を、高速かつ低コストで製造する方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、耐熱性基材と、この耐熱性基材上に形成
された炭化硼素層と、この炭化硼素層の上に形成され、
発電層として作用する半導体薄膜とを有することを特徴
とする太陽電池素子を提供する。
【0008】また、本発明は、耐熱性基材上に炭化硼素
層を形成する工程と、前記炭化硼素層で被覆された耐熱
性基材上に、プラズマ溶射法により半導体薄膜を形成す
る工程とを具備する太陽電池素子の製造方法を提供す
る。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。図1に、
本発明の太陽電池素子の一例における半導体薄膜層を表
わす断面図を示す。図示するように、耐熱性基板1上に
は、炭化硼素層2および半導体薄膜3が順次形成されて
いる。
【0010】本発明の太陽電池素子において耐熱性基板
1を構成する材料は、特に限定されるものではなく、具
体的には、シリコンなどの半導体;ガラス;アルミナ、
ジルコニア等の酸化物;AlN、Si34 等の窒化
物;SiC、TiCなどの炭化物;鉄、ステンレス等の
金属;カーボン(グラファイト)あるいは高融点高分子
などから選択される任意の材料を用いることができる。
なお、後の工程で、炭化硼素層を介してこの耐熱性基板
上に形成される半導体薄膜の品質、およびプロセス上の
取り扱い易さを考慮すると、シリコンと同等以上の融点
を有し、熱膨張係数等の物性定数が後工程で形成される
炭化硼素層またはシリコンと同程度である材料を耐熱性
基板材料として用いることが有利である。
【0011】ここで用いられる耐熱性基板は、プロセス
段階で充分な機械的強度を有していることが要求され
る。単結晶シリコン基板以外の材料を基板として適用す
る場合には、この基板が、300μmの単結晶シリコン
の強度に相当する強度を有することが望まれる。以上の
観点から、本発明で使用する耐熱性基板としては、グラ
ファイトあるいは表面をガラス状化したカーボン基板等
が特に好ましい。
【0012】本発明の太陽電池素子の製造方法において
は、まず、この耐熱性基板1上に炭化硼素層2を形成す
る。炭化硼素層2を形成する手段は、特に限定されるも
のではなく、例えばCVD、EB−PVD、スパッタ、
および溶射等を適用することができる。また形成される
炭化硼素層2の膜厚も特に限定されるものではないが、
本発明の効果を十分に発揮させるためには、膜厚を50
nm以上とすることが好ましい。なお、炭化硼素層2の
膜厚が過剰に厚い場合には、溶射あるいは再結晶時の熱
応力によって基材を破壊するおそれがあるので、その膜
厚は、最大でも1mm以下程度とすることが望まれる。
【0013】耐熱性基板2として金属やグラファイト等
の良導電体を用いた場合には、この耐熱性基板をそのま
ま電極として機能させることが可能であるが、アルミナ
等の絶縁物あるいは高比抵抗物質を耐熱性基板として使
用する際には、図2に示すように、電極としての金属層
4を耐熱性基板1と炭化硼素層2との間に形成する必要
がある。この金属層4を形成する方法も特に限定され
ず、例えば、CVD、EB−PVD、スパッタ、および
溶射等が適用できる。また、膜厚も特に限定されるもの
ではないが、電極として効果的に機能させるためには、
10nm以上とすることが好ましい。こうした金属層の
膜厚が過剰に厚い場合には、溶射あるいは再結晶時の熱
応力により基材あるいは炭化硼素層を破壊するおそれが
あるので、その膜厚は、最大でも1mm以下程度にする
ことが望まれる。
【0014】もちろん、耐熱性基板1として金属等の良
導電体を適用する場合でも、耐熱性基板1と炭化硼素層
2との間に金属層4を設けてもよい。次いで、炭化硼素
層2の表面にp型シリコンからなる半導体薄膜3を形成
させる。半導体薄膜の形成方法も特に限定されるもので
はなく、例えば、CVD、EB−PVD、スパッタ、お
よび溶射等が適用することができる。特に、高速・低コ
スト成膜の観点から本発明の効果が最も明瞭に現れる手
法として、プラズマ中に原料を導入して、この原料を溶
解または分解し、この溶融または分解物を付着させるプ
ラズマ溶射法が最も好ましい。
【0015】本発明の方法においては、半導体薄膜3を
構成するシリコンとのぬれ性が良好な炭化硼素層2が耐
熱性基板1上に予め形成されているので、成膜した直後
でも数10〜数100μmの結晶粒径を有する半導体薄
膜が得られる。このとき形成される半導体薄膜の膜厚
は、高効率を実現するために1μm以上が必要であり、
原料コストの観点からは1mm以下とすることが好まし
い。半導体薄膜3をプラズマ溶射法によって形成する場
合には、1〜200μm径の高純度原料粉末を使用し、
0.01torr以下の減圧雰囲気で実施すると高品質
の半導体薄膜を形成することができる。
【0016】p型多結晶シリコン薄膜は、ボロンをドー
ピングすることにより得られ、低比抵抗化が可能とな
る。溶射法を適用する場合には、原料粉末自体にボロン
をドープすれば均質なp型シリコン薄膜が作製すること
ができる。さらに、ノンドープのシリコンと酸化硼素と
を所定の割合で混合し、これを用いて成膜しても同様な
薄膜が得られる。
【0017】本発明においては、炭化硼素がp型のドー
パントとなっているので、炭化硼素層2の上にシリコン
層をそのまま形成すると、p型の半導体薄膜3が得られ
る。こうして形成された炭化硼素層を介して耐熱性基板
上に形成された半導体薄膜は、この段階でも太陽電池素
子の構成部材として十分な性能を発揮させることが可能
であるが、成膜後1000℃以上の温度で加熱処理を行
なうことがより好ましい。加熱処理を施すことにより半
導体薄膜中の欠陥量がさらに減少し、よりいっそうの高
効率化を図ることが可能となる。加熱処理は、欠陥密度
低減と結晶粒径増大とを図るうえで、より高温で長時間
実施することが好ましいが、基本的には1000℃で1
0分間程度の処理を行なうことにより、その効果は十分
に確認できる。
【0018】さらに太陽電池の高効率化を達成させるた
めには、以下に説明するような溶融・再結晶化の工程を
実施することが好ましい。この工程を実施する際にも、
耐熱性基板とシリコン層との間に炭化硼素層を形成した
効果が発揮され、工程後のシリコン結晶粒径の大幅な拡
大が可能となる。
【0019】以下に溶融・再結晶化の工程の詳細を説明
する。例えば、減圧、不活性ガス中、あるいは還元雰囲
気中において、半導体薄膜が形成された耐熱性基板の下
側に配置されたヒーターにより耐熱性基板を一様に加熱
し、この状態で半導体薄膜直上から集光加熱型ヒーター
でライン上に半導体薄膜を加熱し、半導体薄膜を溶融さ
せながら、集光加熱型ヒーターあるいは半導体薄膜を移
動させて、溶融・再結晶化を行なう。この溶融・再結晶
化は、半導体薄膜の溶融幅を1〜10mmとして、集光
型ヒーターの移動速度を毎分1〜50mmとすると、結
晶粒径が数cm以上の半導体薄膜が得られ、その条件に
よっては、ほぼ単結晶の半導体薄膜を得ることが可能と
なる。このような結晶の面方位は、90%以上が(10
0)配向を示す。
【0020】図3(a)および(b)には、こうした溶
融・再結晶化の工程の一例を表わす概略図を示す。例え
ば、図3(a)に示すように、半導体薄膜が形成された
耐熱性基板5の上側に、集光加熱型ヒーター7を配置す
るとともに、基板を支持する基板支持部6の下側にも同
様の集光加熱型ヒーター7を配置する。こうしてヒータ
ーを用いて上述したように半導体薄膜を加熱することに
より、半導体薄膜の溶融・再結晶化が可能である。
【0021】あるいは、図3(b)に示すように、半導
体薄膜が形成された耐熱性基板5を支持する基板支持部
6の下側には均一加熱ヒーター8を配置して、耐熱性基
板5の上側に設けられた集光加熱型ヒーター7を用いて
前述のように半導体薄膜を加熱してもよい。
【0022】さらにまた、耐熱性基板の下側をヒーター
で加熱し、上側の加熱には集光型ヒーターの代わりにC
2 ガスレーザー等の熱源を用いても、同様な性質をも
つ半導体薄膜を得ることができる。
【0023】本発明においては、シリコン薄膜とのぬれ
性が極めて良好である炭化硼素層が耐熱性基板上に形成
されているので、溶融・再結晶化処理時に溶融シリコン
が凝集することはなく、容易に連続薄膜を得ることがで
きる。したがって、特別にシリコン薄膜上にキャップ層
を設ける必要はないが、シリコン酸化膜あるいはシリコ
ン窒化膜をキャップ層として利用してもよい。この場
合、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜は、例えばCV
D、EB−PVD、スパッタ、溶射および熱酸化等を用
いて10nm〜1mm程度の厚さで形成することができ
る。
【0024】このようなp型シリコン薄膜成膜後に行な
う溶融・再結晶化処理は、ドーパントであるボロンの均
質化にも有効であり、より比抵抗の均一性に優れた薄膜
が得られる。
【0025】すなわち、上述したような工程を経ること
によって、炭化硼素層2上に形成されたp型多結晶シリ
コン薄3膜は高温雰囲気に曝されるので、炭化硼素層か
らシリコン薄膜中にボロンが拡散してp型シリコン薄膜
の基板側に極薄い高濃度ドープ層が形成される。したが
って、容易にBSF(Back Surface Fi
eld)の効果をもたせることができる。このBSFの
効果については、文献“Semiconductor
and Semimetals”,Vol.II So
lar Solar Cells,by Harold
J.Hovelを参照されたい。
【0026】太陽電池素子を作製するには、上述した工
程により得られた半導体薄膜表面に、800〜950℃
程度でリン等のn型不純物拡散層を形成する。ここで、
リンの拡散は例えば、オキシ三塩化リン(POCl3
を拡散源として、数十分のデポジションにより実施され
る。
【0027】最後に、薄膜太陽電池の受光面となる半導
体薄膜表面、すなわちn型半導体層表面に格子状のパタ
ーンからなる電極(格子電極)を形成し、耐熱性基板の
裏面に基板電極を形成して、本発明の太陽電池を完成さ
せる。
【0028】図4には、こうして得られた太陽電池素子
の一例を表わす断面図を示す。図示するように本発明の
太陽電池素子20においては、耐熱性基板1上に、炭化
硼素層2、p型半導体層3、n型半導体層21、および
ZnO層22が順次形成されている。ZnO層22の上
には集電電極23が設けられ、基板1の裏面には基板電
極24が形成されている。
【0029】本発明の太陽電池素子は、耐熱性基材上に
炭化硼素層を介して半導体薄膜が形成されていることを
特徴とするものである。半導体薄膜は具体的にはシリコ
ン薄膜であり、炭化硼素はシリコンとのぬれ性が良好で
熱膨張係数も近い。こうした特徴に基づいて、本発明者
らは、炭化硼素層を耐熱性基材上に設ければ、例えばプ
ラズマ溶射法でシリコンを高速に成膜した場合であって
も、表面の平滑性に優れ均一な厚さを有する緻密なシリ
コン薄膜を、高い原料利用効率で形成できることを見出
した。
【0030】こうして炭化硼素層を介して耐熱性基板に
シリコン薄膜を形成することによって、欠陥密度が小さ
く、結晶粒径の大きい高品質なシリコン薄膜を容易に得
ることができ、従来の薄膜多結晶シリコン太陽電池を作
製するうえで、大きな問題であった高速・低コスト成膜
が可能となった。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例および比較
例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明
はこれらの例に限定されるものではない。 (実施例1)まず、カーボン基板(100×100×1
t)上にマグネトロンスパッタ法によって炭化硼素層を
約100nmの厚さで形成した。次に、プラズマ溶射法
を適用して、下記表1に示す成膜条件で約30μmの厚
さのシリコン薄膜を炭化硼素層の上に堆積させた。こう
して得られた試料をサンプル1とした。
【0032】
【表1】
【0033】また、上述のようにして得られたサンプル
1を真空中1200℃で1時間熱処理してサンプル2と
し、サンプル1の多結晶シリコン薄膜を焦点加熱型ヒー
ターを用いて溶融・再結晶化することによりサンプル3
の試料を作製した。
【0034】さらに、比較例として、前述と同様のカー
ボン基板を用い炭化硼素層を形成しない以外は前述と同
様の条件で基板上に多結晶シリコン薄膜を堆積させて、
サンプル4を作製した。また、このサンプル4を真空中
1200℃で1時間熱処理してサンプル5とし、サンプ
ル4の多結晶シリコン薄膜を焦点加熱型ヒーターを用い
て溶融・再結晶化させてサンプル6を作製した。
【0035】このとき、サンプル1,2,3および4で
は、作製後も基板に大きな変化は確認されなかった。残
りのサンプル5および6においては、シリコンとカーボ
ンとの界面反応によりSiCが生成し、カーボン基板中
への溶融シリコンの含浸が起こって基板の反り返りが生
じていた。
【0036】上述のようにして作製されたサンプル1〜
6の各シリコン薄膜について、平均Si膜厚、表面粗さ
Ra、結晶粒径、欠陥密度および拡散長を調べ、得られ
た結果を、目視観察の結果とともに下記表2にまとめ
る。
【0037】なお、平均Si膜厚、表面粗さ等は、それ
ぞれ以下のようにして測定した。 平均Si膜厚:Si膜断面をSEMにより観察し、膜厚
を測定した。 表面粗さRa:成膜後のシリコン表面を表面粗さ計によ
り測定した。
【0038】 結晶粒径:Secco Etch後、SEMおよび光学
顕微鏡を用いて測定した。 欠陥密度:Secco Etch後、SEMおよび光学
顕微鏡を用いて測定した。 拡散長:SPV(Surface Photovolt
age)法により測定した。
【0039】
【表2】
【0040】表2中にサンプル1として示されているよ
うに、カーボン基板上に炭化硼素層を介してシリコン層
を形成した場合には、形成直後においても、表面粗さは
小さく、結晶粒径も適度な大きさである。しかも欠陥密
度も1cm2 あたり10-6程度であるので、本発明の方
法により形成されたシリコン層は、形成直後においても
太陽電池素子の発電層として十分に使用し得る特性を有
していることがわかる。
【0041】こうしたシリコン膜を溶融・再結晶化させ
た後には、結晶粒径はさらに拡大されるとともに欠陥密
度も減少して、太陽電池素子としてよりいっそう優れた
特性が得られることが、サンプル2,3の結果として示
されている。
【0042】一方、カーボン基板上にシリコン層を直接
形成した場合では、形成直後(サンプル4)では、結晶
粒径が小さく、欠陥密度や拡散長についても太陽電池素
子として適した特性は有していない。こうしたシリコン
層を溶融・再結晶化させた際(サンプル5,6)には、
基板の反り返りが生じるのみならず、結晶粒径等を十分
に改善することができない。
【0043】このように、炭化硼素層を介してカーボン
基板上にシリコン層を形成することによって、太陽電池
素子の発電層として用いるのに最適な特性が得られるこ
とが確認された。 (実施例2)まず、アルミナ基板(100×100×1
t)上にマグネトロンスパッタ法によって約50nmの
タングステン層を形成した。次に、2μmの炭化硼素層
と厚さ約30μmのシリコン薄膜とをプラズマ溶射法よ
って、タングステン層の上に順次積層させた。この際の
成膜条件は、下記表3に示すとおりである。こうして得
られた試料をサンプル7とした。
【0044】
【表3】
【0045】また、上述のようにして得られたサンプル
7を真空中1200℃で1時間熱処理してサンプル8と
し、サンプル7の多結晶シリコン薄膜を焦点加熱型ヒー
ターを用いて溶融・再結晶化することによりサンプル9
の試料を作製した。
【0046】さらに、比較例として、前述と同様のタン
グステン層が形成されたアルミナ基板を用い、炭化硼素
層を形成しない以外は前述と同様の条件で基板上に多結
晶シリコン薄膜を堆積させて、サンプル10を作製し
た。また、このサンプル10を真空中1200℃で1時
間熱処理してサンプル11とし、サンプル10の多結晶
シリコン薄膜を焦点加熱型ヒーターを用いて溶融・再結
晶化させてサンプル12を作製した。
【0047】このとき、サンプル7〜11では、作製後
も基板に大きな変化は確認されなかったが、サンプル1
2においては、溶融時にシリコンが凝集し、粒状に固化
してしまいシリコン薄膜は得られなかった。また、サン
プル断面をSEMにより観察したところサンプル11で
はシリコンとタングステンとが反応して、WSi2 等の
化合物が形成されていた。
【0048】上述のようにして作製されたサンプル7〜
12の各シリコン薄膜特性について、平均Si膜厚、表
面粗さRa、結晶粒径、欠陥密度および拡散長を前述と
同様の手法で調べ、得られた結果を目視観察の結果とと
もに下記表4にまとめる。
【0049】
【表4】
【0050】表4中にサンプル7として示されているよ
うに、タングステン層が形成されたアルミナ基板上に炭
化硼素層を介してシリコン層を形成した場合には、形成
直後においても、表面粗さは小さく、結晶粒径も適度な
大きさである。したがって、本発明の方法により形成さ
れたシリコン層は、形成直後においても太陽電池素子の
発電層として十分に使用し得る特性を有していることが
わかる。
【0051】こうしたシリコン膜を溶融・再結晶化させ
た後には、結晶粒径はさらに拡大されるとともに欠陥密
度も減少して、太陽電池素子としてよりいっそう優れた
特性が得られることが、サンプル8,9の結果として示
されている。
【0052】一方、タングステン層が形成されたアルミ
ナ基板上にシリコン層を直接形成した場合では、形成直
後(サンプル10)では、表面粗さは3.7μmと著し
く大きく、結晶粒径も10μmにすぎない。しかも、拡
散長は0.8μmと小さいので、太陽電池素子として使
用し得る特性は有していない。こうしたシリコン層を溶
融・再結晶化させても、サンプル11の結果に示される
ように特性を十分に改善することができず、サンプル1
2においては、シリコン層を形成することすらできなか
った。
【0053】このように、タングステン層が形成された
アルミナ基板上に炭化硼素層を介してシリコン層を形成
することによって、太陽電池素子の発電層として用いる
のに最適な特性が得られることが確認された。 (実施例3)まず、Fe基板(100×100×1t)
上にマグネトロンスパッタ法によって炭化硼素層を約1
00nmの厚さで形成した。次に、プラズマ溶射法を適
用して、下記表5に示す成膜条件で約10μmの厚さの
シリコン薄膜を炭化硼素層上に堆積させた。こうして得
られた試料をサンプル13とした。
【0054】
【表5】
【0055】また、上述のようにして得られたサンプル
13を真空中1200℃で1時間熱処理してサンプル1
4とし、サンプル13の多結晶シリコン薄膜を焦点加熱
型ヒーターを用いて溶融・再結晶化することによりサン
プル14の試料を作製した。
【0056】さらに、比較例として、前述と同様のFe
基板を用い炭化硼素層を形成しない以外は前述と同様の
条件で多結晶シリコン薄膜の堆積を試みた。しかしなが
ら、成膜後の冷却過程でシリコン薄膜の剥離が生じ、サ
ンプル温度が室温まで低下するころには、シリコン薄膜
は完全になくなっていた。この現象は、Feとシリコン
との熱膨張係数の差が大きいことに起因していると推測
され、熱膨張係数の比較的大きい金属基板を使用した場
合には同様の現象が確認された。
【0057】この結果から、Fe基板等の金属製基板上
にシリコン薄膜を形成するには、基板上に予め炭化硼素
層を形成する必要があることが確認された。上述のよう
にして作製されたサンプル13〜15の各シリコン薄膜
特性について、平均Si膜厚、表面粗さRa、結晶粒
径、欠陥密度および拡散長を前述と同様の手法で調べ、
得られた結果を目視観察の結果とともに下記表6にまと
める。
【0058】
【表6】
【0059】表6中にサンプル14としてに示されてい
るように、Fe基板上に炭化硼素層を介してシリコン層
を形成した場合には、形成直後においても、表面粗さは
小さく、結晶粒径も適度な大きさである。したがって、
本発明の方法により形成されたシリコン層は、形成直後
においても太陽電池素子の発電層として十分に使用し得
る特性を有していることがわかる。
【0060】こうしたシリコン膜を溶融・再結晶化させ
た後には、結晶粒径はさらに拡大されるとともに欠陥密
度も減少して、太陽電池素子としてよりいっそう優れた
特性が得られることが、サンプル14,15の結果とし
て示されている。
【0061】このように、炭化硼素層を介してFe基板
上にシリコン層を形成することによって、太陽電池素子
の発電層として用いるのに最適な特性が得られることが
確認された。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
結晶品質に優れた多結晶シリコン薄膜を発電層として有
する高効率な太陽電池素子が提供される。また本発明に
よれば、高効率な太陽電池素子を、高速かつ低コストで
製造する方法が提供される。かかる方法を用いることに
よって、発電層である多結晶シリコン薄膜を毎秒数μm
以上の高速で成膜しても、結晶粒径が大きく、欠陥密度
の小さい高品質な薄膜が得られる。本発明は高効率の多
結晶シリコン薄膜を用いた太陽電池の製造に有効に用い
られ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池素子における半導体層の一例
を表わす断面図。
【図2】本発明の太陽電池素子における半導体層の他の
例を表わす断面図。
【図3】本発明のシリコン薄膜を溶融・再結晶させる装
置の概略図。
【図4】本発明の太陽電池素子の一例を表わす断面図。
【符号の説明】
1…耐熱性基板 2…炭化硼素層 3…半導体薄膜 4…金属層 5…成長後の耐熱性基板 6…基板支持部 7…集光加熱ヒーター 8…均一加熱ヒーター 20…太陽電池素子 21…n型半導体層 22…ZnO層 23…集電電極 24…基板電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性基材と、 この耐熱性基材上に形成された炭化硼素層と、 この炭化硼素層の上に形成され、発電層として作用する
    半導体薄膜とを有することを特徴とする太陽電池素子。
  2. 【請求項2】 耐熱性基材上に炭化硼素層を形成する工
    程と、 前記炭化硼素層で被覆された耐熱性基材上に、プラズマ
    溶射法により半導体薄膜を形成する工程とを具備する太
    陽電池素子の製造方法。
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