JP3813664B2 - 多結晶セラミックス膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、多結晶セラミックス膜を形成する新規な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、ガスタービン等、高温雰囲気で使用されるセラミックス部材の表面耐酸化膜として、緻密質の炭化珪素膜の被膜が有効であることが知られている。また、他にも幾つかの用途において、セラミックス部材の表面を緻密質の炭化珪素薄膜や窒化珪素薄膜によって被覆することが知られている。こうしたセラミックス薄膜を形成する方法としては、化学的気相成長法、電気化学的気相成長法、スパッタリング法、溶射法等が知られている。このうち、いわゆる気相法によると、緻密質の良質な薄膜を形成できるので、現在のところ多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、気相法によってセラミックス薄膜を形成した場合には、堆積速度が著しく遅いという問題がある。この堆積速度は、通常数十〜百μm/時間程度に過ぎない。また、製造工程数が多く、複雑であるし、原料の価格が高く、収率が低いために原料コストが高い。
【0004】
本発明の課題は、良質かつ高純度のセラミックス薄膜を形成する方法であって、膜の堆積速度が速く、製造工程数が少なく、原料コストも低減できるような新しい方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミックス原料を配置する原料室と、多結晶セラミックス膜を形成する成膜室とを設け、前記原料室と前記成膜室とを隣接するとともに、前記原料室を前記成膜室の上方に配置する製膜装置を用い、原料室において、10−4Torrの蒸気圧を示す温度が2000℃以下のセラミックス原料を加熱して気化させ、10Torr以下とした成膜室において、このセラミックス原料の蒸気を基体上に直接堆積させることによって多結晶セラミックス膜を得ることを特徴とする、多結晶セラミックス膜の製造方法に関する。
【0007】
本発明者は、多結晶のセラミックス膜を高速度で形成する方法を模索していたが、この過程で、単結晶の製造方法として知られている昇華法に着目した。そして、基板等を種々変更して実験を重ねた結果、セラミックス原料を加熱して気化させ、このセラミックス原料の蒸気を基体上に堆積させることによって、高純度の多結晶セラミックス膜が得られることを発見し、本発明に到達した。
【0008】
また、本発明によれば、セラミックス原料を気化させて、基体上に直接堆積させているので、原料中の不純物を清浄化する効果がある。特に、揮発性の高い元素に対して効果がある。また、多結晶セラミックス膜を一層高純度化するためには、原料の高純度化が効果的である。
【0009】
図1は、本発明の方法を実施するための装置の一例を模式的に示す断面図である。図1を適宜参照しつつ、本発明の方法を説明する。ルツボ1の内側空間3は、隔壁5によって2つに仕切られている。本実施形態では、隔壁5の上側の空間3aを原料室として使用し、隔壁5の下側の空間3bを成膜室として使用する。隔壁5は、原料室3aと成膜室3bとを区分している。隔壁5は、原料の蒸気が通過できるものであることが必要であり、このために通気孔が設られているか、あるいは蒸気の通過が可能なほどに十分に多孔質でなければならない。
【0010】
原料室3aは蓋6によって密閉されており、原料室3a内にセラミックス原料2が収容されている。成膜室3bの下端部に基体7が固定されている。蓋6および基体7は、原料室3a、成膜室3b中の蒸気が外に漏れることを、妨げる役割をしている。
【0011】
ルツボ1内において、原料室3a側は相対的に温度が高く、基体7側の成膜室3bは、相対的に温度が低い。原料2からの蒸気が、矢印Aのように隔壁5を通過して、低温側である成膜室へと移動し、基体7の表面に多結晶セラミックス膜4が形成される。
【0012】
セラミックス原料2は、昇華し易さの点からは粉末であることが好ましいが、粉末に限定はされない。粉末の成形体を使用すると、原料室3a内に充填できる原料粉末の重量を多くできるし、原料の取り扱いも容易となるため、好ましい。
【0013】
また、セラミックス原料2の種類は、昇華し易い材料であること、即ち蒸気圧が高く、昇華点が低い材料であることが、実際の生産性の点から重要である。原料によっては、液体を経由して気化するものや、分解後に気化するものもあるが、これらを用いることもできる。
【0014】
この観点から見ると、10- 4 Torr蒸気圧を示す温度が、2000℃以下のものが好ましく、1600℃以下のものが特に好ましい。具体的には、ZrB2 、TiB2 、TiB、VC、B4 C、TiC、SiC、PuC2 、Cr3 C2 、AlN、ZrN、HfN、Th3 N4 、UN、TiN、TaN、LaN、BN、Si3 N4 、NbN、Al2 O3 、BeO、La2 O3 、TiO2 、VO2 、CaO、PuO2 、VO、WO2 、TiO、SiO2 、MgO、SrO、FeO、MnO、CoO、BaO、MoO2 、NiO、Li2 O、WO3 、B2 O3 、ZnO、MoO2 等がある。また、これらの混合物であっても良い。
【0015】
基体7は、多様な材料で作製できるが、多結晶セラミックスからなっていることが、良質な多結晶セラミックス膜を生成させるために好ましい。基体の材質としては、例えば、SiC、Si3 N4 、AlN,Al2 O3 、ZrO2 、SiO2 、MgO、C、Siおよびこれらの複合体を例示できる。
【0016】
また、炉の低温部分(成膜室)と高温部分(原料室)とは、高温部分を低温部分の上に配置する必要がある。これは、図1に示すように、高温部分の方を上にすると、下側から上方へ向かって熱が上昇してくるために、低温部分と高温部分との間の温度差を一定に保つことが容易になるためである。
【0017】
原料の加熱方法としては、いろいろな方法が適用できるが、比較的手軽に高温状態を生成できる抵抗加熱法や高周波加熱法が好ましい。高周波加熱法による場合には、高周波の放電が生じない圧力以上で、反応を行わせる必要がある。多結晶セラミックス膜の結晶性および成膜速度を向上させるためには、10Torr以下の圧力とすることが好ましく、0.5Torr以下の圧力とすることが、更に好ましい。このような低い圧力下で成膜を行う場合には、抵抗加熱法によって原料を加熱することが好ましい。
【0018】
また、均質な膜質を有する膜や、均一な膜厚を有する膜を形成できるようにするためには、基体の温度を均一に保つ必要がある。この点から、基体温度分布は±20℃以内にすることが好ましく、±5℃以内とすることが、更に好ましい。
【0019】
本発明によって、基体上にセラミックス膜が形成されたセラミックス部材を提供できる。また、型上にセラミックス膜を形成した後に、型を除去することによって、セラミックス部材を作製することができる。
【0020】
本発明によって製造されるセラミックス部材は、各種の製品に対して適用することができる。こうした製品として、ガスタービン等の高温雰囲気で使用されるセラミックス部品があげられる。具体的にはガスタービン用の燃焼器、静翼、動翼、熱交換器、燃焼ガス通路部品に、本方法で作製したセラミックス膜を有した基体および部材を使用することができる。また、電磁波透過体にも適用できる。これには、電磁波透過窓、高周波電極装置、高周波プラズマを発生させるためのチューブ、高周波プラズマを発生させるためのドームを例示できる。また、本発明によって製造されるセラミックス部材は、半導体ウエハーを設置するためのサセプターに対して適用できる。こうしたサセプターとしては、セラミック静電チャック、セラミックスヒーター、高周波電極装置を例示することができる。この他、ダミーウエハー、シャドーリング、半導体ウエハーを支持するためのリフトピン、シャワー板等の各半導体製造用装置の基材として、使用することができる。
【0021】
【実施例】
以下、更に具体的な実験結果について述べる。
図2に示す成膜装置を使用し、カーボン(C)からなる基体7の上に炭化珪素膜4を形成する実験を行った。ただし、図2において、図1に示した部材と同じ部材には同じ符号を付け、その説明は省略する。
【0022】
ルツボ1は円筒形をしており、ルツボの材質は高密度のカーボン(C)からなっている。基体7の寸法は、直径100mm、厚さ5mmの円板形状とした。平均粒径0.6μmの炭化珪素粉末を、100kgf/cm2 の荷重で一軸プレスし、直径φ30mm×厚さ5mmの円板状成形体を得た。この成形体2を、ルツボ1内の原料室3aに充填した。原料2を充填したルツボ1を、図2に示す真空加熱炉中に設置した。ただし、8は炉床であり、9は炉壁である。
【0023】
炉内に抵抗加熱ヒーター10を設置し、ヒーター10の内側を2200℃に加熱した。なお、加熱温度は、SiCの昇華が始まる2000℃以上とする必要があり、2200〜2400℃が好ましい。この時、炉内の雰囲気はアルゴンとし、圧力は0.01Torrとした。温度制御を原料室3aの近傍で行っていることから、原料室3aの温度は2200℃となっているが、ヒーター10の無い成膜室3bは、原料室よりも若干低い温度となっている。炉床8に接している基体7は、基体7から炉床へと熱が逃げるために、成膜室3b内よりも一層低い温度となっている。本実施例では、原料室の温度と基体の温度との差を50℃とした。なお、原料室の温度と基体の温度との差は、20℃以上、500℃以下とすることが好ましい。
【0024】
ルツボ1内を多結晶の成長温度まで昇温する際には、基体7上に不安定な結晶核の成長が起こらないように、ルツボ1内にアルゴン雰囲気を満たした。所定の成長温度に到達した後に、ルツボ1内を減圧し、多結晶の成長を開始させた。
【0025】
この結果、粒径1mm程度の緻密質の多結晶炭化珪素膜4が基体7上に堆積した。この膜4の表面は、滑らかで透明感があった。また、成膜速度は、0.5mm/時間〜1mm/時間と極めて高速であった。
【0026】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明によれば、良質かつ高純度の多結晶セラミックス薄膜を形成することができ、膜の堆積速度が早く、製造工程数が少なく、原料コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施するための装置の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の製造方法を実施するための装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 ルツボ 3 ルツボ1の内側空間 5 隔壁 3a 原料室 3b 成膜室 6 蓋 7 基体 8 炉床 9 炉壁 10 ヒーター
Claims (2)
- セラミックス原料を配置する原料室と、多結晶セラミックス膜を形成する成膜室とを設け、前記原料室と前記成膜室とを隣接するとともに、前記原料室を前記成膜室の上方に配置する製膜装置を用い、原料室において、10−4Torrの蒸気圧を示す温度が2000℃以下のセラミックス原料を加熱して気化させ、10Torr以下とした成膜室において、このセラミックス原料の蒸気を基体上に直接堆積させることによって多結晶セラミックス膜を得ることを特徴とする、多結晶セラミックス膜の製造方法。
- 前記多結晶セラミックス膜が炭化珪素膜であることを特徴とする、請求項1に記載の多結晶セラミックス膜の製造方法。
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JP19734996A JP3813664B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 多結晶セラミックス膜の製造方法 |
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JP19734996A JP3813664B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 多結晶セラミックス膜の製造方法 |
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JP19734996A Expired - Fee Related JP3813664B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | 多結晶セラミックス膜の製造方法 |
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