JP7315148B2 - セラミックス、セラミックスコーティング方法、およびセラミックスコーティング装置 - Google Patents

セラミックス、セラミックスコーティング方法、およびセラミックスコーティング装置 Download PDF

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Description

本発明は、SiC多結晶膜によるセラミックスコーティング方法およびSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置、ならびにこれによってコーティングされたセラミックスに関する。
近年、半導体製造装置の構成部材として、SiCセラミックスが着目されている。半導体製造で行われるエッチング工程では、フッ化水素酸等を用いてチャンバー内でプラズマエッチングが行われる。従来、チャンバー内部品には、耐食性に優れるイットリアをコーティングしていた。
しかしながら、昨今、半導体産業の技術革新が進んでおり、半導体デバイスの配線パターンの高集積化に伴い、半導体デバイスに形成される配線のサイズは年々、縮小している。こうした状況を受け、半導体デバイスに対する管理必要なパーティクル(微粒子、塵埃)も年々小さくなっている。その結果、イットリアのパーティクル(10[nm]以下)ですら問題視されている。そこで洗浄工程が重要になるが、一般的にパーティクルが小さくなると粒径の2乗に比例して急激に除去が困難になる。
こうしたことから、パーティクルを出さないことが重要になり、プラズマエッチングにおいて昇華する際にパーティクルが発生しない、また、プラズマにより生ずる静電気がデバイスを破壊しないように除電することを実現する目的で、SiCセラミックスが着目されるようになった。実際に、現在、高純度(99.9[%]、超高抵抗)且つ高密度(理論密度3.2[g/cm3]に対して約98[%]の3.14[g/cm3])で、直径450[mm]迄の大型SiCセラミックスが製造されている。
しかしながら、焼結体であるSiCセラミックスの製造工程では、表面に微細な凹部(ポア)が形成される。具体的に、図1に示すSiCセラミックスの表面には、焼成時に形成される大きさ4~10[μm]程度の穴や、加工時の傷等による幅10~20[μm]程度の線状の破砕層が形成されている。こうした微細凹部に対してはパーティクルが付着しやすい。そして、半導体製造装置の稼働時に離脱し、半導体への欠陥をもたらす。そこで、SiCセラミックスの表面の微細凹部を埋め、パーティクルを抑制することができるコーティング技術が求められている。
特開2011-74436号公報
ここで、SiC結晶成長法として、高純度ガス(SiH4、C38)を用いたSiC単結晶上へのSiC単結晶の薄膜成長技術であるCVD(chemical vapor deposition)法(化学気相成長法)が知られている。しかしながら、この方法は、SiCコーティング技術として用いられているが(特許文献1:特開2011-74436号公報参照)、薄膜成長速度が遅く、高純度ガスや成長前に炉内の高真空化を必要とする等高エネルギー・高コストであるという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、従来と比較して厚膜で且つ成長速度の向上を低コストで実現可能な新規なセラミックスコーティング方法およびこれに用いるセラミックスコーティング装置、ならびに当該コーティングによってパーティクルが抑制されたセラミックスを提供することを目的とする。
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
本発明に係るセラミックスコーティング方法は、断熱性を有する炉本体内に、ケイ素(Si)を収容した炭素(C)からなるるつぼを配置し、前記るつぼの上方にセラミックス材を配置し、次いで、前記炉本体内に不活性ガスを導入し、不活性ガス雰囲気下でるつぼを加熱する。そして、ケイ素を溶融し、溶融液内にるつぼから炭素を溶出させ、さらに前記溶融液からケイ素および炭素を上方に配置した前記セラミックス材の表面に蒸着させてSiC多結晶膜を形成する方法である。
一方、本発明に係るセラミックスコーティング装置は、断熱性を有する炉本体と、前記炉本体内に配設された一または複数の発熱体と、前記炉本体内に不活性ガスを導入する導入口と、前記炉本体内のガスを排出する排出口と、前記炉本体内の下部を貫通して設けられたるつぼ受軸と、該るつぼ受軸上に配置され、前記発熱体により加熱される炭素からなるるつぼと、前記炉本体の上部を貫通して設けられ、前記るつぼの上方に位置して、セラミックス材を保持する保持軸と、を備える。
本発明に係るセラミックスコーティング装置を用いた場合、るつぼをるつぼ受軸上に配置し、セラミックス材を保持軸の下端に保持することによって、るつぼの上方にセラミックス材を配置することができる。また、導入口から不活性ガスを導入すると共に、排出口から炉本体内のガスを排出することによって、炉本体内を不活性ガス雰囲気にすることができる。そして、発熱体によってるつぼを加熱し、セラミックス材のコーティングを行うことができる。
そして、本発明に係るセラミックスコーティング方法によれば、従来の気相成長や昇華現象を用いた方法に対して、るつぼ内で溶解したSiC溶液の液相からケイ素および炭素を蒸発させ、上方に配置したセラミックス材の表面に多結晶粒の製膜成長をさせることができる。その結果、本発明に係るセラミックスを製造することができる。当該セラミックスは、SiC多結晶膜によって表面の微細凹部が埋められ、パーティクルが抑制されているため、半導体製造装置の構成部材として好適に使用することができる。
本発明によれば、セラミックス材へのSiCコーティングについて、従来と比較して厚膜で且つ成長速度の向上を低コストで実現でき、パーティクルが抑制されたセラミックスを提供することができる。
一般的なSiCセラミックスの表面を示す写真である。 SiCアニール法によりコーティングしたSiCセラミックスの表面を示す写真(SEM写真)である。 本発明の実施形態に係るコーティング装置の構成例を示す概略図(断面図)である。 本発明の実施形態に係るコーティング装置の他の構成例を示す概略図(断面図)である。 図3に示すコーティング装置を用いて本実施形態に係るコーティング方法によりコーティングしたSiCセラミックスの表面を示す写真である。 図3に示すコーティング装置を用いて本実施形態に係るコーティング方法によりコーティングしたSiCセラミックスの表面を示す他の写真(SEM写真)である。 実施例1の結果を説明する写真(SEM写真)である。 実施例1の結果を説明する説明図である。 本発明の実施形態に係るコーティング方法によるSiC多結晶膜の形成例について説明する説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態に係る方法は、SiC多結晶膜によるセラミックスのコーティング方法である。また、本実施形態に係る装置は、SiC多結晶膜によるセラミックスのコーティング装置である。本実施形態に係るコーティング方法およびコーティング装置は軌を一にするものであり、以下並行して説明し、これらの結果物である本実施形態に係るセラミックスについても併せて説明する。なお、ポアフリーとは、セラミックスの表面の微細凹部が完全に埋められていることを意味し、パーティクルフリーとは、セラミックスの表面のパーティクルが完全に抑制されていることを意味する。
本発明は、異分野からの共同発明によってなされた。一方の発明者は、これまでセラミックスのコーティング方法について研究を行ってきた。その中で、従来の「CVD法」に代わる新たなコーティング方法として、SiCの焼成後に均熱炉内で、加工の一つである温度調節による結晶の安定化処理(アニール処理)を行う際に昇華現象を用いてSiC粒子を生成して表面に付着させる「SiCアニール法」を見出した。その結果、図2に示すように成膜前(図2(a))と比較して成膜後(図2(b))の表面ではパーティクルを有意に減少させることができた。しかしながら、コーティングによる膜厚は2[μm]と薄く、成長速度は1[μm/h]と遅く高コストとなる上、図2(b)に示すように表面の微細凹部は完全に埋まらず、パーティクルを完全に抑制することはできなかった。
また、他方の発明者は、これまで高品質のSiCの結晶育成について研究を行ってきた。その中で、SiC結晶の溶液成長において、意図せずSiC微結晶が副生成物として成長し、炉内構造に付着して構造部品の寿命低下を引き起こすことが課題であった。
こうした事情の下、発明者らは、SiC結晶の溶液成長で課題となっていたSiC微結晶の生成および付着を逆に利用することで、高密度SiCセラミックス上の微細凹部を埋め、パーティクルを完全に抑制することが可能になるのではないかということに想到し、共同で研究を重ねた結果、従来の気相成長法と全く異なる本実施形態に係る「液相ベースコーティング法」を発明した。さらに、これまでのSiCの結晶育成装置を改造することで安価に成膜可能で、且つ成膜の粒子径および電気抵抗値が制御可能なコーティング方法およびコーティング装置を発明した。以下、具体的に説明する。
先ず、本実施形態に係るコーティング装置10の炉内構造について説明する。図3は、本実施形態に係るコーティング装置10の構成例を示す断面図であって、炉本体12の拡大図である。このコーティング装置10は、主として直径2[インチ]程度のセラミックス材26に適用する装置である。ただし、これ以外のサイズのセラミックス材26に対しても適用可能である。
図3に示すコーティング装置10は、SiCの結晶育成に用いられる水平方向の温度はほぼ均一であり上下方向に温度差を設けた結晶引き上げ炉(CZ炉)を改造したものである。炉本体12は、発熱体32と、導入口24と、排出口30と、るつぼ18と、るつぼ受軸20と、保持軸28と、を具備して構成されている。これら断熱材14、発熱体32、るつぼ18、るつぼ受軸20および保持軸28は、カーボン(炭素)を用いて構成されており、高温に耐え得る構成となっている。
炉本体12は、断熱材14によって構成され、全体として筒状をなしている。炉本体12の下部には、断熱材14を上下方向に貫通する貫通孔16aが設けられ、この貫通孔16aを挿通して、上端にるつぼ18が載置されるるつぼ受軸20が設けられている。また、炉本体12の上部には、下部と同じく断熱材14を上下方向に貫通する貫通孔16bが設けられ、この貫通孔16bを挿通して、下端にセラミックス材26が保持される保持軸28が設けられている。セラミックス材26は、適宜なチャック機構(図示せず)等によって保持軸28の下端に保持される。るつぼ受軸20と保持軸28とは概ね同一の軸線上に配設されている。
また、るつぼ受軸20および保持軸28は、それぞれ駆動機構(図示せず)により別々に上下動自在且つ軸回転自在に構成されている(矢印参照)。また、るつぼ受軸20内には、熱電対(図示せず)が配設されている。
また、炉本体12の下部には、導入口24が設けられ、導入口24は炉本体12内へ連通し、炉本体12内へ任意のガスが導入可能に構成されている。導入口24は、複数設けられ、複数種類のガスが導入可能に構成されている。また、炉本体12の上部には、排出口30が設けられ、排出口30は炉本体12外へ連通し、炉本体12外へ炉本体12内のガスが排出可能に構成されている。
また、炉本体12内における断熱材14と、るつぼ受軸20および保持軸28との間には、発熱体32が配設されている。発熱体32は抵抗加熱発熱体であるが、誘導加熱発熱体とする構成としてもよい。
その他、炉本体12は上面および下面が開閉可能に構成され(図示せず)、これによりセラミックス材26やるつぼ18が出し入れ可能に構成されている。
また、コーティング装置10は、発熱体32を炉本体12中の中央部から下部側の領域に配設して、るつぼ18を高温(例えば1800[℃])に加熱し、るつぼ18上方に配置されるセラミックス材26の温度領域をるつぼ18領域よりも低温(例えば1750[℃])となるように設定されている。これによって、るつぼ18内で溶融したSiC溶液を蒸発させて、低温のセラミックス材26表面に多結晶粒として成膜することができる。
なお、排出口30に真空発生手段(図示せず)を連結させる構成等により、炉本体12内を1[気圧]以下の減圧制御可能な構成としてもよい。これによれば、炉本体12内のガス交換をより制御しやすくすることができ、また、炉本体12内に下方から上方に気流を生じさせることにより、さらに蒸着を促進することができる。
次に、本実施形態に係るコーティング装置10の他の例について説明する。このコーティング装置10は、主として直径4~6[インチ]程度の比較的大型のセラミックス材26に適用する装置である。ただし、これ以外のサイズのセラミックス材26に対しても適用可能である。図4は、本例に係るコーティング装置10の構成例を示す断面図であって、炉本体12の拡大図である。本例に係るコーティング装置10は、前述の例に係るコーティング装置10と基本構成を同じくするため、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、相違する箇所についてのみ説明する。以下、本例に係るコーティング装置10を前述の例に係るコーティング装置10との対比で「大型炉10」と表記し、前述の例に係るコーティング装置10を「小型炉10」と表記して適宜区別する。
図4に示す大型炉10では、発熱体32(32a、32b)が下方のるつぼ18側(32a)と上方のセラミック材26側(32b)とで2ゾーンにそれぞれ独立して配設され、るつぼ受軸20を固定しつつ、保持軸28だけが上下動自在または軸回転自在とする構成としている(矢印参照)。この構成によれば、小型炉10と比較して、炉本体12内の下部(るつぼ18)および上部(セラミックス材26)の温度を独立して調整可能となり、また、発熱体32a、32bを横方向に長くすることにより、水平方向の温度差をより小さくすることができる。なお、本例の大型炉10では、炉本体12が中央で上下分割可能に構成され(図示せず)、これによりセラミックス材26やるつぼ18が出し入れ可能に構成されている。
続いて、上記のコーティング装置(小型炉)10を用いた本実施形態に係るコーティング方法について説明する。本実施形態に係るコーティング方法は、炭素(C)が溶出したケイ素(Si)融解液から多結晶粒をセラミックス材26に蒸着させて成膜する「液相ベースコーティング法」である。この方法は、従来のCVD法(化学気相成長法)に対して、液相をベースにしてセラミックス材26へ多結晶粒をコーティングすることに特徴がある。以下、具体的に説明する。
先ず、コーティング装置10の炉本体12を開けて、るつぼ受軸20上にケイ素を収容した炭素からなるるつぼ18(カーボンるつぼ18)を配置する。また、るつぼ受軸20上方の保持軸28の下端にセラミックス材26を保持する。これによって、セラミックス材26をるつぼ18の直上に配置することができる。るつぼ18内に収容するケイ素は単体に限定されず、他の元素を含む化合物でもよい。また、カーボンるつぼ18には、微量の不純物が含まれていてもよい。
次に、炉本体12を閉じて導入口24から不活性ガス(本実施形態ではアルゴンガス)を炉本体12内に導入し、不活性ガス雰囲気下で発熱体32によりるつぼ18を加熱する。炉本体12内を不活性ガス雰囲気にすることにより、カーボン製のるつぼ18等の燃焼やケイ素の酸化を防止することができる。なお、炉本体12を閉じず、炉本体12内に常に下から上への不活性ガス流が生じるようして、るつぼ18を加熱するようにしてもよい。
るつぼ18を加熱することにより、ケイ素の融点(1420[℃])に達するとるつぼ18内のケイ素が融解する。また、るつぼ18を構成するカーボンの一部がケイ素融解液の中に溶け出てくる。その結果、るつぼ18内には、カーボンが溶出したケイ素融解液(SiC溶液)が得られる。さらにるつぼ18が高温(1600[℃]程度)に達するとSiC溶液が蒸発し、直上に配置したセラミックス材26に多結晶粒として蒸着する。
るつぼ18領域よりもセラミックス材26領域の方の温度が低くなるように設定されていることから、蒸発したSiC溶液がセラミックス材26に付着した際に固化して多結晶膜として成膜することができる。また、るつぼ受軸20(るつぼ18)を回転させることによって、SiC溶液の温度ムラを防止して多結晶粒の蒸発を促進することができる。一方、保持軸28(セラミックス材26)を回転させることによって、セラミックス材26の水平方向の温度分布を均一にすると共に多結晶粒を均一に付着させ、セラミックス材26を均質な膜厚、性質に成膜することができる。
このようにして、SiC溶液の液相をベースにした蒸着によりセラミックス材26へSiC多結晶膜のコーティングを行うことができる。この方法によれば、従来のCVD法と比較して高純度ガスや成長前に炉内の高真空化を必要とせず、結晶引き上げ炉を改造した炉本体12を用いて簡易且つ低コストでコーティングすることができる。また、蒸発した多結晶粒を直上のセラミックス材26に無駄なく付着させることができるため、従来と比較して著しく厚膜で且つ成長速度の向上を図ることができる。その結果、焼結体の表面に形成される微細凹部を埋め、パーティクルを完全に抑制することができ、ポアフリーおよびパーティクルフリーが実現されたSiCセラミックスが製造可能になる。
さらに、本発明者らは、コーティングの際の炉本体12内雰囲気の不活性ガス(アルゴンガス)に窒素ガスを加えることでコーティング膜の電気抵抗値を制御する方法を見出した。すなわち、導入口24からアルゴンガス(Ar)に加えて窒素ガス(N2)を導入して炉本体12内をアルゴンガスに窒素ガスを混合した雰囲気下でるつぼ18を加熱する。これによって、SiC多結晶膜中のC位置をNで置換することでn型化し、通常のSiC多結晶膜に対して電気抵抗値を低下させたコーティング膜を形成することができる。その結果、例えば半導体製造装置の構成部材(チャンバー内部品)に適用するSiCセラミックスにおいて、プラズマ炉で生ずる静電気除去が可能な部材の提供が可能になる。
一例としてIEC国際電気標準化会議(International Electrotechnical Comission)61350-5-1-では、静電気拡散性材料(帯電しにくく、かつ電荷をゆるやかに拡散させる材料)として、表面抵抗値(Rs)が1×105≦Rs<1×1011[Ω]の間であることと規定されている。これに対して、本実施形態によれば、アルゴンガス(Ar)に対する窒素ガス(N2)比を0~50[%]で適宜変化させることによって、1×105≦Rs<1×108[Ω]の範囲で制御可能になり、さらにSiC多結晶膜を隣接する層ごとに電気抵抗値の異なる複数層に形成することが可能になる。
図5、図6は、本実施形態に係るコーティング装置10(小型炉10)を用いて1800[℃]でのSiC溶液成長によりSiCセラミックス材26へコーティングを行った結果を示す。このうち、図5(a)は成膜前、図5(b)および図6は成膜後を示す。なお、「1800[℃]でのSiC溶液成長」とは、SiCセラミックス材26の裏側(保持軸28側)を放射温度計で測定した成長温度(セラミックス材26表面温度)TGで蒸着させたことを意味する。
その結果、図5(b)に示す成膜後では、SiCセラミックス材26の表面に膜厚10[μm]程度のSiC多結晶膜をコーティングすることができた。また、図6に示すように成膜後の表面をSEMで観察したところ、成膜前のSiCセラミックス材26とは異なる粒径3~5[μm]の多結晶粒で覆われており、図5(a)に示す成膜前に観察された微細凹部は確認されなかった。これによって、本実施形態により焼結体セラミックスのポアフリーおよびパーティクルフリーを実現することが可能であることが示された。
なお、以下のステップにより本実施形態に係るコーティング方法の最適化を行った。
先ず、本実施形態に係るコーティング装置10(小型炉10)を用いて、放射温度計で成長温度(セラミックス材26表面温度)TGを測定しつつ、TGを1600~2100[℃]、温度勾配Gを1~50[℃/cm]、SiC溶液液面(液相表面)とセラミックス材26との距離dを5~20[mm]に設定し、時間を変えて蒸着を繰り返し行った。
次いで、これらの結果に基づき、炉本体12内における発熱体32周辺の温度分布を、融液からの結晶育成シミュレーションソフトウェアを用いて炉内の数値解析を行い、液面温度TSおよびセラミックス材26表面温度TGの温度から、その距離dにおける温度差ΔTを得る。その結果から、温度勾配G(=ΔT/d)が1~50[℃/cm]となる保持軸28とるつぼ受軸20との位置関係を把握すると共に、解析結果を熱電対による実測により確認する。また、実験および解析によって得られた成長温度TG、距離(液面基板間距離)d、温度差ΔT、温度勾配Gに基づき、気相からの結晶育成シミュレーションソフトを用いてさらなる数値解析を行い、溶液からの蒸発による多結晶SiC膜の成長の解析を行った。このようにして、得るべきSiC多結晶膜の膜厚、粒径、成長速度等に応じて、成長温度TG、距離d、温度差ΔT、温度勾配G等を決定することができる。
以上説明した通り、本実施形態に係る「液相ベースコーティング法」によれば、従来と比較して厚膜で且つ成長速度の向上を低コストでセラミックス材26へのSiCコーティングを行うことができる。これによって、表面の微細凹部がSiC多結晶粒で完全に埋められたポアフリーであって、パーティクルが完全に抑制されたパーティクルフリーであるセラミックス(SiCセラミックス)を提供することができる。一方、本発明者らによる「SiCアニール法」によれば、成長速度1[μm/h]、膜厚2[μm]でコーティングできるが、微細凹部を完全に埋めることができなかった。これに対して、本実施形態による「液相ベースコーティング法」によれば、現在、成長速度5[μm/h]、膜厚10~15[μm]でコーティングが実現できており、微細凹部が埋められることを確認できている。前述のステップにより最適化を図ることによって、成長速度25[μm/h]、膜厚50[μm]のコーティングを実現し、被覆範囲も直径2~6[インチ]に拡大することも可能になる。
さらに、近年、半導体製造装置の構成部材として直径300[mm]以上のパーティクルフリー大型SiCセラミックスのニーズが寄せられている。これに対して、前述のステップにより最適化される大型炉10を用いることによって、将来的には成長速度50[μm/h]、膜厚100[μm]、被覆範囲直径6~12[インチ]で、1×105≦Rs<1×108[Ω]の範囲で制御可能なコーティング技術の確立を実現することが可能になる。
なお、SiCコーティングを施すセラミックス材26としては、SiCセラミックス材の他、アルミナセラミックス材等のセラミックス材、場合によってはカーボン材等のセラミックス材以外の材料にも本発明を適用することができる。
本実施形態に係るコーティング装置10(小型炉10)を用いてSiCセラミックス材26へSiCのコーティングを行った。粒状のケイ素(Si)をカーボン(C)るつぼ18に充填した後、るつぼ受軸20上に配置した。直径1[インチ]のSiCセラミックス材26をるつぼ18の上方の保持軸28の下端に保持した。アルゴンガス雰囲気下1気圧でケイ素(るつぼ18)を加熱して溶融させた後、保持軸28を降下させてSiCセラミックス材26をSiC溶液表面に近づけ、SiCセラミックス材26上にコーティングを開始した。
コーティングはいずれも2[時間]で、成長温度TG1700[℃]、1800[℃]および1900[℃]それぞれについて、液面とセラミックス材26との距離(液面基板間距離)dを10[mm]とした場合とおよび15[mm]とした場合とでコーティングを行い、SiC多結晶粒でコーティングされたSiCセラミックスを得た。そして、コーティングしたSiCセラミックス表面を光学顕微鏡、SEMおよびラマン分光法により評価した。
結果を図7および図8に示す。図7は、成長温度TG1800[℃]、液面基板間距離dを15[mm]とした場合でコーティングしたSiCセラミックス表面のSEM写真である。SiC多結晶粒による膜厚約16[μm]のSiC多結晶膜が形成され、SiC粒子の平均粒径(直径)は約1.1[μm]であった。
図8は、液面基板間距離dが異なる場合のSiC粒子の粒径(直径)と成長温度TGとの関係を示す。SiC粒子の平均粒径はほぼ同一であったが、最大粒径は成長温度TGおよび液面基板間距離dの増加とともに増加した。また、SiC粒子の厚さは、距離dが10[mm]の場合に対して15[mm]の場合では3倍であった。
図8から、成長温度TGまたは液面基板間距離dを制御することによって、SiC多結晶膜における粒径および膜厚を制御することが可能であることが分かる。したがって、るつぼおよびセラミックス材26の温度あるいはるつぼとセラミックス材26との間の距離を変化させることによって、SiC多結晶膜を隣接する層ごとに粒径の異なる複数層に形成することが可能になる。さらに、前述の窒素ガスによるSiC多結晶膜の電気抵抗値の制御技術と組み合わせることによって、様々なニーズに応じた高機能性あるいは多機能性を有するコーティング膜を形成することが可能になる。
例えば、図9に示すように、セラミックス材26表面の最下層は高抵抗かつ粒径の小さなSiCで覆って表面の微細凹部を確実に埋め、その後、粒径の大きな高抵抗のSiCで膜厚を増し、最外層は粒径の小さな低抵抗のSiCで平坦化する、というような高機能なコーティング膜を形成することが可能になる。
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
10 セラミックスコーティング装置(大型炉、小型炉)
12 炉本体
14 断熱材
16a、16b 貫通孔
18 るつぼ
20 るつぼ受軸
24 導入口
26 セラミックス材
28 保持軸
30 排出口
32、32a、32b 発熱体

Claims (16)

  1. セラミックス材の表面がSiC多結晶膜でコーティングされ、
    前記SiC多結晶膜の炭素の一部が窒素で置換されていること
    を特徴とするセラミックス。
  2. セラミックス材の表面がSiC多結晶膜でコーティングされ、
    前記SiC多結晶膜が電気抵抗値の異なる複数層からなること
    を特徴とするセラミックス。
  3. セラミックス材の表面がSiC多結晶膜でコーティングされ、
    前記SiC多結晶膜が粒径の異なる複数層からなること
    を特徴とするセラミックス。
  4. 断熱性を有する炉本体内に、ケイ素を収容した炭素からなるるつぼを配置する工程と、
    前記るつぼの上方に、セラミックス材を配置する工程と、
    前記炉本体内に、不活性ガスを導入する工程と、
    不活性ガス雰囲気下で前記るつぼを加熱し、ケイ素を融解し、該ケイ素の融解液内に前記るつぼから炭素を溶出させると共に、前記融解液からケイ素および炭素を上方に配置した前記セラミックス材の表面に蒸着させてSiC多結晶膜を形成する工程と、を含むこと
    を特徴とするセラミックスコーティング方法。
  5. 前記るつぼの温度領域よりも前記セラミックス材の温度領域を低温にすること
    を特徴とする請求項記載のセラミックスコーティング方法。
  6. 請求項または請求項記載のセラミックスコーティング方法において、
    前記るつぼおよび前記セラミックス材の温度を変化させることによって、前記SiC多結晶膜を粒径の異なる複数層に形成すること
    を特徴とするセラミックスコーティング方法。
  7. 請求項または請求項記載のセラミックスコーティング方法において、
    前記るつぼと前記セラミックス材との間の距離を変化させることによって、前記SiC多結晶膜を粒径の異なる複数層に形成すること
    を特徴とするセラミックスコーティング方法。
  8. 請求項または請求項記載のセラミックスコーティング方法において、
    不活性ガスに窒素ガスを混合した雰囲気下で前記るつぼを加熱することによって、前記SiC多結晶膜の炭素の一部を窒素で置換すること
    を特徴とするセラミックスコーティング方法。
  9. 請求項または請求項記載のセラミックスコーティング方法において、
    不活性ガスに窒素ガスを混合した雰囲気下で前記るつぼを加熱することによって、前記SiC多結晶膜を電気抵抗値の異なる複数層に形成すること
    を特徴とするセラミックスコーティング方法。
  10. セラミックス材の表面がSiC多結晶膜でコーティングされたセラミックスの製造方法であって、
    前記コーティングを、請求項4~9のいずれか一項に記載のセラミックスコーティング法によって行うこと
    を特徴とするセラミックスの製造方法。
  11. 断熱性を有する炉本体と、
    前記炉本体内に配設された一または複数の発熱体と、
    前記炉本体内に不活性ガスを導入する導入口と、
    前記炉本体内のガスを排出する排出口と、
    前記炉本体内の下部を貫通して設けられたるつぼ受軸と、
    該るつぼ受軸上に配置され、前記発熱体により加熱される炭素からなるるつぼと、
    前記炉本体の上部を貫通して設けられ、前記るつぼの上方に位置して、セラミックス材を保持する保持軸と、を備えること
    を特徴とするSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置。
  12. 前記るつぼ受軸および前記保持軸の一方または両方が、上下動自在に構成されていること
    を特徴とする請求項11記載のSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置。
  13. 前記るつぼ受軸および前記保持軸の一方または両方が、軸回転自在に構成されていること
    を特徴とする請求項11または請求項12記載のSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置。
  14. 前記発熱体が、前記炉本体内の上方側と下方側とにそれぞれ独立して配設されていることによって、前記炉本体内の上部および下部の温度を独立して調整可能に構成されていること
    を特徴とする請求項1113のいずれか一項に記載のSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置。
  15. 前記導入口が、アルゴンガスおよび窒素ガスが導入可能に構成されていること
    を特徴とする請求項1114のいずれか一項に記載のSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置。
  16. セラミックス材の表面がSiC多結晶膜でコーティングされたセラミックスの製造方法であって、
    前記コーティングを、請求項11~15のいずれか一項に記載のSiC多結晶膜によるセラミックスコーティング装置を用いて行うこと
    を特徴とするセラミックスの製造方法。
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