JP2000212200A - Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤 - Google Patents

Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤

Info

Publication number
JP2000212200A
JP2000212200A JP11016957A JP1695799A JP2000212200A JP 2000212200 A JP2000212200 A JP 2000212200A JP 11016957 A JP11016957 A JP 11016957A JP 1695799 A JP1695799 A JP 1695799A JP 2000212200 A JP2000212200 A JP 2000212200A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lymphocyte
lymphocytes
activated
carrier
culture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11016957A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohiro Yamaguchi
智宏 山口
Kenzo Baba
憲三 馬場
Yasuyuki Kuroiwa
保幸 黒岩
Teruaki Sekine
暉彬 関根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP11016957A priority Critical patent/JP2000212200A/ja
Publication of JP2000212200A publication Critical patent/JP2000212200A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 簡便な操作で雑菌等のコンタミネーション等
による危険性が少なく長期保存に対する保存安定性、品
質性能の信頼性に優れる活性化Tリンパ球が得られるT
リンパ球培養用担体、これを用いるTリンパ球の培養効
率及びその培養リンパ球の活性化効率などのバラツキが
少ない活性化Tリンパ球の製造方法、活性化Tリンパ球
製造用キット並びに癌、感染症等の養子免疫療法に好適
な免疫治療剤の提供。 【解決手段】 抗CD3抗体を固定化した不溶性担体で
あって、その表面が乾燥されたものからなるTリンパ球
培養用担体、このTリンパ球培養用担体及び培養用液体
培地を用いてTリンパ球を培養し活性化Tリンパ球を得
ることを特徴とする活性化Tリンパ球の製造方法、前記
Tリンパ球培養用担体及び培養用培地からなる活性化T
リンパ球製造用キット並びに前記活性化Tリンパ球の製
造方法によって得られる活性化Tリンパ球を含有してな
る免疫治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Tリンパ球培養用
担体、活性化Tリンパ球の製造方法、Tリンパ球製造用
キット及び免疫治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、免疫学の進歩により、免疫学的監
視機構の低下によって発生する種々の免疫学的不全症に
対して、さまざまな免疫治療法が試みられている。免疫
学的監視機構の低下によって発生する疾患としては、癌
(悪性腫瘍)、先天性免疫不全症、後天的免疫不全症等
が挙げられる。免疫療法の目的の一つは、免疫学的監視
機構を回復または亢進させることにより、これらの疾患
を治療することである。
【0003】例えば、癌の免疫療法としては、免疫担当
細胞(例えばキラーTリンパ球、NK細胞等)による腫
瘍細胞への認識能力を高めて、腫瘍細胞を破壊し、排除
させる方法が挙げられる。先天性免疫不全症や後天的免
疫不全症の場合の免疫療法としては、欠如または低下し
た免疫学的監視機構を補助または亢進することにより、
重篤な感染症を排除したり、あるいは、根本的に免疫不
全状態を回復させる方法が挙げられる。免疫療法の代表
的なものとして、例えば、患者の血液を採取し、リンパ
球を分離し培養用培地中で培養し、IL−2を作用させ
ることにより、リンフォカイン活性化キラー(以下、L
AKと略す)細胞を誘導し、培養し、得られたLAK細
胞を再び患者の体内に戻す養子免疫療法(活性化リンパ
球療法)が開発されている。
【0004】活性化Tリンパ球の誘導には、不溶性担体
の表面に抗CD3抗体を固定化されたTリンパ球培養用
担体を用いて培養する方法が提案されている(特開平3
−80076号公報)。このTリンパ球培養用担体とし
ては、各実験者が培養前に、用時に、不溶性担体に抗C
D3抗体を添加することにより、抗CD3抗体を固定化
したTリンパ球培養用担体を調製し使用するか又はこの
調製したTリンパ球培養用担体を不溶性の担体に抗CD
3抗体を添加した溶液状態のまま、低温で静置して保存
したものを使用しているのが現状である。
【0005】しかしながら、実験者にとって、上記Tリ
ンパ球培養器の調製は、熟達と多くの煩雑な操作を要す
るものである。また、抗CD3抗体溶液を添加したまま
で調製されたTリンパ球培養用担体は、それをそのまま
培養に使用すると、固定化されていないフリーの抗CD
3抗体の存在によりTリンパ球の増殖性が抑制される。
そのため、使用時、培養時に、上記Tリンパ球培養用担
体は、固定化されていないフリーの抗CD3抗体溶液を
除去したり、さらに、リン酸緩衝食塩水溶液(PBS)
等適当な洗浄液を使用し洗浄したりする処理が必要とな
る。しかし、この抗CD3抗体溶液の除去及び洗浄処理
において、細心の注意で行っても、Tリンパ球培養用担
体としての培養フラスコ等の開口部又は蓋に付着した液
滴を介した雑菌のコンタミネーション等による危険性が
ある。
【0006】さらに、調製後の抗CD3抗体を固定化さ
れたTリンパ球培養用担体は、その固定化された抗CD
3抗体のTリンパ球活性化能が、保存温度、保存時間と
ともに低下するため、Tリンパ球の培養効率及び活性化
効率のバラツキなどTリンパ球培養用担体の保存安定性
上、品質性能の信頼性上の問題もある。そのため、臨床
において、保存安定性、品質性能の信頼性に優れ、しか
も、簡便な操作で雑菌等のコンタミネーション等による
危険性の少ないTリンパ球培養用担体及びTリンパ球製
造用キットが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1記載の発明
は、簡便な操作で、雑菌等のコンタミネーション等によ
る危険性が少なく、しかも、長期保存に対する保存安定
性、品質性能の信頼性に優れる活性化Tリンパ球が得ら
れるTリンパ球培養用担体を提供するものである。請求
項2記載の発明は、簡便な操作で、雑菌等のコンタミネ
ーション等による危険性が少なく、Tリンパ球の培養効
率及びその培養リンパ球の活性化効率などのバラツキが
少ない活性化Tリンパ球が得られる製造方法を提供する
ものである。請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明に加えて、特に、Tリンパ球の培養効率及びその培養
リンパ球の活性化効率に優れる活性化Tリンパ球の製造
方法を提供するのもである。
【0008】請求項4〜6のいずれかに記載の発明は、
簡便な操作で、雑菌等のコンタミネーション等による危
険性が少なく、Tリンパ球の培養効率及びその培養リン
パ球の活性化効率などのバラツキが少ない活性化Tリン
パ球が得られる活性化Tリンパ球製造用キットを提供す
るものである。請求項7記載の発明は、癌、感染症等の
養子免疫療法に好適な免疫治療剤を提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜
(8)に関する。 (1)抗CD3抗体を固定化した不溶性担体であって、
その表面が乾燥されたものからなるTリンパ球培養用担
体。 (2)上記(1)記載のTリンパ球培養用担体及び培養
用液体培地を用いてTリンパ球を培養し活性化Tリンパ
球を得ることを特徴とする活性化Tリンパ球の製造方
法。 (3)インターロイキン−2の存在下にTリンパ球を培
養することを特徴とする上記(2)記載の活性化Tリン
パ球の製造方法。 (4)上記(1)記載のTリンパ球培養用担体及び培養
用培地からなる活性化Tリンパ球製造用キット。
【0010】(5)培養用培地がインターロイキン−2
を含有することを特徴とする上記(4)記載の活性化T
リンパ球製造用キット。 (6)上記(1)記載のTリンパ球培養用担体、培養用
培地及びインターロイキン−2を含有する培養補助剤か
らなる活性化Tリンパ球製造用キット。 (7)上記(2)又は(3)記載の活性化Tリンパ球の
製造方法によって得られる活性化Tリンパ球を含有して
なる免疫治療剤。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、不溶性担体とし
ては、リンパ球培養に使用できるものであれば、特に制
限されないが、繊維状、プレート状、ビーズ状及びフラ
スコ状の形状が挙げられる。培養効率の観点から、少ス
ケールの培養においては、フラスコ状の形状が好まし
く、大量スケールの培養においては、ビーズ状の形状が
好ましい。
【0012】本発明において、不溶性担体の材質として
は、水に不溶性であって、抗CD3抗体を固定化できる
材質であれば、特に制限されないが、例えば、シリカ、
ガラス等の活性炭等の無機物質、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル等の合成高分子プラスチック、不溶性アガロー
ス、セルロース、不溶性デキストラン等天然高分子物質
などが挙げられる。これらの中では、成形の容易性、エ
チレンオキサイドガス又はガンマ線滅菌の容易性及び抗
CD3抗体の固定化効率などの観点から、ポリオレフィ
ン系のプラスチックが好ましい。市販のプラスチック製
滅菌済み細胞培養フラスコや細胞培養用ビーズ等を使用
することもでき、その使用するフラスコの大きさやビー
ズ数は、培養のスケールや培養開始時に添加する細胞浮
遊液の量等により適宜選択できる。例えば、市販のプラ
スチック製滅菌済み細胞培養フラスコの大きさとして
は、底面積が25cm2、75cm2、又は225cm2等のフ
ラスコが挙げられる。
【0013】本発明において不溶性担体への固定化に使
用する抗CD3抗体としては、リンパ球細胞の増殖・活
性化を促進できる抗体であれば、特に、限定されない。
CD3分子はTリンパ球の細胞表面に存在し、T細胞受
容体(TCR)と共に標的抗原を認識する際に重要な分
子である。CD3分子を介して刺激情報が細胞内に伝達
されることにより、Tリンパ球は増殖を開始する。同様
な現象が、CD3分子に対する特異的抗体(抗CD3抗
体)の刺激により起こる。リンパ球細胞の刺激に用いる
抗CD3抗体は、精製したCD3分子を動物又は細胞に
免疫して産生させることができる。また、安定性、コス
ト、品質等に優れた市販のOKT−3抗体(製造元:オ
ーソファーマスーティカル)も使用できる。
【0014】上記、不溶性担体の表面への抗CD3抗体
の固定化に際し、抗CD3抗体は、滅菌したリン酸緩衝
食塩水溶液(PBS)等の希釈液により、1〜50μg/
mlの濃度に希釈し使用することが好ましい。1μg/ml未
満の濃度では、Tリンパ球の増殖が不十分な傾向とな
り、50μg/mlを超える濃度でも、Tリンパ球の増殖
は、十分であるが、不溶性担体に固定化しないフリーの
抗CD3抗体が多くなる傾向となる。なお、希釈液とし
ては、滅菌されているリン酸緩衝食塩水溶液(PBS)
等の生理的な溶液であれば特に制限されるものではない
が、保護剤としてアルブミンやCMCセファロースなど
を加えることもできる。
【0015】不溶性担体がフラスコ状又はプレート状の
場合、抗CD3抗体の固定化は、フラスコ又はプレート
の底面部に、希釈された抗CD3抗体溶液を無菌的に添
加し、一定時間一定温度で静置することにより行う。ま
た、不溶性担体が繊維状又はビーズ状の場合、抗CD3
抗体の固定化は、別容器に希釈された抗CD3抗体溶液
をとり、この溶液中に、無菌的に、これら不溶性担体を
浸漬する。固定化の際の反応温度は、4〜40℃である
ことが好ましく、4〜25℃であることがより好まし
く、4〜10℃であることがさらに好ましい。4℃未満
であると抗CD3抗体の固定化の効率が低下する傾向と
なり、40℃を超えると抗CD3抗体の活性が低下する
傾向となる。固定化の際の反応時間は、30分から24
時間であることが好ましく、1時間から24時間である
ことがより好ましい。30分未満であると抗CD3抗体
の固定化量が低下する傾向となり、24時間を超えると
固定化時間が長すぎて、生産効率が低下する傾向とな
る。
【0016】上記抗CD3抗体の固定化に続き、固定化
されなかった残余の抗CD3抗体希釈液を除去し、リン
酸緩衝食塩水溶液(PBS)等適当な洗浄液を使用する
ことにより固定化されなかった抗CD3抗体を洗浄し、
乾燥させる。乾燥法としては、洗浄液を除いた後、4〜
10℃での冷蔵庫中での自然乾燥、10〜40℃での加
温された条件下での乾燥、凍結乾燥等周知の方法が利用
できる。抗CD3抗体の活性及びその安定性の観点か
ら、凍結乾燥が好ましく、4〜10℃での冷蔵庫中での
自然乾燥がより好ましい。以上のようにして、不溶性担
体表面に抗CD3抗体を固定化され、該抗CD3抗体の
固定化表面が乾燥されてなるTリンパ球培養用担体が得
られる。
【0017】本発明において、Tリンパ球製造用キット
は、上記Tリンパ球培養用担体、培養用培地を必須の構
成とし、必要に応じ培養補助剤を組合せることができ
る。培養用培地としては、RPMI−1640、ダルベ
ッコ改変イーグル培地(DMEM)、イスコフ改変イー
グル培地(IMDM)等の一般に広く用いられる細胞培
養用培地が挙げられる。
【0018】培養補助剤としては、細胞培養の効率向上
のため、リンパ球の増殖を促進させる成分、例えば、イ
ンターロイキン−2(IL−2)等のサイトカインな
ど、周知の成分が挙げられる。なお、インターロイキン
−2(IL−2)等のサイトカインは、培養補助剤とせ
ずに培養用培地中に含有させることもできる。IL−2
の量としては、培養開始時のリンパ球約1×106個/m
l当たり1〜2000Uを含有させることが好ましい。
1U未満では、リンパ球の培養の効率向上が期待できな
い傾向となり、2000Uを超えた濃度でも、リンパ球
に悪影響を与えることはないが一定以上の培養効率向上
は期待できない傾向となる。
【0019】培養用培地及び培養補助剤は、溶液状態あ
るいは凍結乾燥状態のいずれの剤形としても良いが、溶
液状態の剤形とした場合、あるいは凍結乾燥状態の剤形
のものを一度溶解した場合は、活性の低下を防ぐため、
冷蔵保存(4〜10℃)とすることが望ましい。以下、
本発明のリンパ球のTリンパ球培養用担体又はTリンパ
球製造用キットを用いた活性化Tリンパ球の製造方法に
ついて説明する。
【0020】培養すべきリンパ球としては、末梢血リン
パ球の他、上皮性リンパ球、腫瘍内浸潤リンパ球、癌性
腹水胸水浸潤リンパ球など生体に存在するあらゆるリン
パ球が挙げられ、特に制限されないが、採血直後の新鮮
末梢血中に含まれるリンパ球であることが、採血患者へ
の身体的負担、リンパ球分離の簡便さ、分離後リンパ球
の生存率の良さ、という点で好ましい。活性化Tリンパ
球の製造において、採血の量、培養開始時のリンパ球の
数は、特に、制限されないが、患者への負担、リンパ球
分離などの処理のし易さ等の観点から、約5〜50mlの
少量の新鮮末梢血を採取し、そこから分離したリンパ球
約1〜100×106個から開始することが好ましい。
【0021】分離した新鮮リンパ球は、適当量のIL−
2と体積比10(V/V)%の正常ヒト血清を含む新鮮
な培養用培地に浮遊させ、抗CD3抗体を1〜50μg/
mlの濃度で結合させたTリンパ球培養用担体と接触させ
る。接触させる細胞浮遊液の量は、培養のスケール等に
より制限されないが、一般に、細胞濃度として、約1〜
10×106個/mlが好ましい。ここで使用する正常ヒ
ト血清の濃度は、1〜20(V/V)%の範囲で十分で
あるが、リンパ球の増殖促進には一般的に2〜10(V
/V)%が好ましい。ここで使用する培養用培地は、一
般に滅菌したRPMI−1640培地を使用できるが、
リンパ球の培養に適していればこの限りではない。培養
は、一般的な細胞培養と同様に、5%CO2、37℃の
CO2インキュベーター内で行うのが好ましい。
【0022】Tリンパ球培養用担体を用いての培養日数
は、特に制限されないが、少なくとも3〜7日程度であ
り、これ以上の日数になっても、細胞の活性化になんら
問題はない。培養の期間内は、顕微鏡下で細胞の状態を
観察し、適宜細胞数を計測しながら、1〜50mlの同じ
培養液を添加する。この時、培養開始1〜2日目は目立
った細胞の増殖はなく、3日目頃から細胞増殖が観察さ
れる。培養液の劣化及びIL−2活性の低下を常に考
え、適量の新鮮培養液を毎日添加することが重要であ
る。
【0023】本発明のTリンパ球培養用担体及び活性化
Tリンパ球製造用キットを用いることにより、CD3+
CD4+T細胞、CD3+CD8+T細胞、ガンマー・
デルタT細胞、希に少数のCD16+NK細胞が増殖で
きる。つまり、少量のリンパ球から標的細胞を障害する
活性を有するTリンパ球集団が効率的かつ大量に誘導で
きる。通常、500〜10、000倍の細胞が誘導でき
る。
【0024】本発明のTリンパ球培養用担体及び活性化
Tリンパ球製造用キットを用いる製造方法によって得ら
れた活性化Tリンパ球を癌、自己免疫疾患、細菌ウィル
ス感染、アレルギー、先天性及び後天性免疫不全症など
の患者に対する養子免疫療法に使用する場合、免疫治療
剤としての活性化Tリンパ球の投与量は、1回当りの細
胞の量で106〜1012個の細胞が望ましい。投与形態
としては、注射剤、点滴剤などの液体が好ましく、前記
細胞をヒト血清アルブミンを0.01〜5%となるよう
に添加した生理食塩液に分散した注射剤又は点滴剤がよ
り好ましい。投与方法としては、静脈への点滴、又は静
脈、動脈、局所などへの注射が好ましい。投与する液量
は、投与方法、投与する場所などにより異なるが、50
〜500mlとするのが好ましく、この液量に前記の量の
細胞が含まれるようにするのが好ましい。投与頻度は、
1回/日〜1回/月とするのが好ましく、投与回数は、
少なくとも1回、好ましくは5回以上である。
【0025】
【実施例】(1)Tリンパ球培養用担体の調製 抗CD3抗体(OKT3、オルソ ファーマシューティ
カル コーポレイション製)をリン酸緩衝食塩水溶液
(PBS)で1μg/mlの濃度に希釈し、表面積25cm2
のフラスコ(住友ベークライト)に5ml注入した。この
溶液をフラスコの底面にまんべんなく広げ、冷蔵庫(4
℃)で一晩静置し、その後OKT3希釈液を吸引除去
し、PBSで3回洗浄し、クリーンベンチ内で室温にて
風乾させTリンパ球培養用担体を調整した。比較のため
に、PBSで洗浄した直後のTリンパ球培養用担体(湿
潤)も作成した。更に、作成した2種類のTリンパ球培
養用担体を、41℃の恒温槽内に静置した。
【0026】(2)培養用培地の調製 IL−2を1000U/ml含有したRPMI−1640+
9培地(日研生物医学研究所製)を基本培地であるRP
MI−1640+7培地(日研生物医学研究所製)でI
L−2濃度が700U/mlに希釈し、さらに体積比10%
ヒト血清(新鮮凍結血漿を37℃で解凍後、56℃、3
0分間加熱して非働化し、18000rpm、60分、4
℃の遠心により沈殿物を除去し、さらに0.45μmの
フィルターで濾過したもの)を含むように培養用培地を
調製した。(3)Tリンパ球製造用キット上記(1)の
Tリンパ球培養用担体及び(2)培養用培地を組合せT
リンパ球製造用キットとした。
【0027】(4)リンパ球の培養 ヘパリン処理をした20mlの注射器を用いて採血したヒ
ト抹消血全血20mlに生理食塩液20mlを加え2倍に希
釈し、密度勾配遠心分離の媒体であるFicoll-Paque(フ
ァルマシア社製)3mlに希釈血液10mlを重層して16
00rpm、25分、20℃の条件で遠心を行い、リンパ
球層を回収した。分離したリンパ球はRPMI−164
0培地で3回洗浄し、前記のIL−2を含む培養液中に
細胞密度約2×106個/mlで懸濁させ、この細胞懸濁
液5ml(1×107個)を前記2種類のTリンパ球培養
用担体である抗CD3抗体固定化培養フラスコ中に加え
て培養を開始した。翌日(培養1日目)からIL−2を
含む培養用培地を1ml添加し、この操作を培養7日目ま
で繰り返した。
【0028】本発明の抗CD3抗体(OKT3)の結合
面を乾燥させたTリンパ球培養用担体(乾燥)及び従来
の乾燥させていないTリンパ球培養用担体(湿潤)を、
41℃の恒温槽内に1週間静置させ、その後、IL−2
を含む培養用培地に浮遊させ、そのリンパ球を7日間培
養した時の増殖曲線を図1に示す。図1において、リン
パ球増殖率は、培養開始時のリンパ球数に対する比率を
表す。リンパ球増殖率、即ち、活性化リンパ球を増殖さ
せる培養効率、活性化効率は、本発明の乾燥させたTリ
ンパ球培養用担体を使用した場合に、明らかに良好であ
った。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載のTリンパ球培養用担体
は、簡便な操作で、雑菌等のコンタミネーション等によ
る危険性が少なく、しかも、長期保存に対する保存安定
性、品質性能の信頼性に優れる活性化Tリンパ球が得ら
れる。請求項2記載の活性化Tリンパ球の製造方法は、
簡便な操作で、雑菌等のコンタミネーション等による危
険性が少なく、Tリンパ球の培養効率及びその培養リン
パ球の活性化効率などのバラツキが少ない活性化Tリン
パ球が得られる。請求項3記載の活性化Tリンパ球の製
造方法は、請求項2記載の活性化Tリンパ球の製造方法
に加えて、特に、Tリンパ球の培養効率及びその培養リ
ンパ球の活性化効率に優れる。
【0030】請求項4〜6のいずれかに記載の活性化T
リンパ球製造用キットは、簡便な操作で、雑菌等のコン
タミネーション等による危険性が少なく、Tリンパ球の
培養効率及びその培養リンパ球の活性化効率などのバラ
ツキが少ない活性化Tリンパ球が得られる。請求項7記
載の免疫治療剤は、癌、感染症等の養子免疫療法に好適
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTリンパ球培養用担体及び従来のTリ
ンパ球培養用担体を用い7日間培養した時のリンパ球の
増殖曲線の比較を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/02 C12N 5/00 E (72)発明者 馬場 憲三 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 黒岩 保幸 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社医薬品研究所内 (72)発明者 関根 暉彬 東京都江東区塩浜1−1−13−420 Fターム(参考) 4B065 AA94X BB19 BC45 CA44 CA60 4C087 AA01 AA02 AA03 AA10 BB37 CA04 MA01 ZB01 ZB09 ZB26 ZB35 4H045 BA62 DA50 DA75

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗CD3抗体を固定化した不溶性担体で
    あって、その表面が乾燥されたものからなるTリンパ球
    培養用担体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のTリンパ球培養用担体及
    び培養用液体培地を用いてTリンパ球を培養し活性化T
    リンパ球を得ることを特徴とする活性化Tリンパ球の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 インターロイキン−2の存在下にTリン
    パ球を培養することを特徴とする請求項2記載の活性化
    Tリンパ球の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のTリンパ球培養用担体及
    び培養用培地からなる活性化Tリンパ球製造用キット。
  5. 【請求項5】 培養用培地がインターロイキン−2を含
    有することを特徴とする請求項4記載の活性化Tリンパ
    球製造用キット。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のTリンパ球培養用担体、
    培養用培地及びインターロイキン−2を含有する培養補
    助剤からなる活性化Tリンパ球製造用キット。
  7. 【請求項7】 請求項2又は3記載の活性化Tリンパ球
    の製造方法によって得られる活性化Tリンパ球を含有し
    てなる免疫治療剤。
JP11016957A 1999-01-26 1999-01-26 Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤 Withdrawn JP2000212200A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11016957A JP2000212200A (ja) 1999-01-26 1999-01-26 Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11016957A JP2000212200A (ja) 1999-01-26 1999-01-26 Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000212200A true JP2000212200A (ja) 2000-08-02

Family

ID=11930604

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11016957A Withdrawn JP2000212200A (ja) 1999-01-26 1999-01-26 Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000212200A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002069990A1 (fr) * 2001-03-05 2002-09-12 Lymphotec Inc. Methode de traitement d'une tumeur et systeme servant a la proliferation et au traitement de lymphocytes activees destinees a une utilisation parallele a la therapie tpd
JP2004002312A (ja) * 2002-04-08 2004-01-08 Lymphotec:Kk 腫瘍・感染症および自己免疫疾患の予防・治療用hla一致他人由来活性化リンパ球および該リンパ球を主成分とする製剤ならびに該製剤の製造方法、該製剤調製用キット
US7115259B2 (en) 1997-11-05 2006-10-03 University Of Southern California Use of cytokines and mitogens to inhibit pathological immune responses
JP2009195228A (ja) * 2008-01-21 2009-09-03 Univ Of Tokyo 制御性t細胞製造方法及び制御性t細胞増幅装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7115259B2 (en) 1997-11-05 2006-10-03 University Of Southern California Use of cytokines and mitogens to inhibit pathological immune responses
WO2002069990A1 (fr) * 2001-03-05 2002-09-12 Lymphotec Inc. Methode de traitement d'une tumeur et systeme servant a la proliferation et au traitement de lymphocytes activees destinees a une utilisation parallele a la therapie tpd
JP2004002312A (ja) * 2002-04-08 2004-01-08 Lymphotec:Kk 腫瘍・感染症および自己免疫疾患の予防・治療用hla一致他人由来活性化リンパ球および該リンパ球を主成分とする製剤ならびに該製剤の製造方法、該製剤調製用キット
JP4562353B2 (ja) * 2002-04-08 2010-10-13 株式会社リンフォテック Hla一致他人由来活性化リンパ球を含有してなる腫瘍・感染症および自己免疫疾患の予防・治療用製剤
JP2009195228A (ja) * 2008-01-21 2009-09-03 Univ Of Tokyo 制御性t細胞製造方法及び制御性t細胞増幅装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103232973B (zh) 一种k562细胞扩增激活nk细胞的方法
KR870001149B1 (ko) 인체 콜로니 자극인자의 제조방법
CN108251365B (zh) 免疫细胞培养基体系
JP2001520509A (ja) 自己免疫細胞療法:細胞組成物、方法およびヒト疾患の治療への応用
US4839290A (en) Process for producing cytotoxic T-cells and compositions produced by said process
US20080014174A1 (en) Method for treating tumors, infectious diseases, and autoimmune diseases with an activated HLA matching donor-originating lymphocyte
CN111394309A (zh) 一种nk细胞体外扩增培养的方法
CN106754704B (zh) 免疫细胞体外诱导扩增的方法
WO2015014291A1 (zh) 通过无血清培养扩增活化淋巴细胞的方法
JP2000212200A (ja) Tリンパ球培養用担体、活性化tリンパ球の製造方法、活性化tリンパ球製造用キット及び免疫治療剤
JP4917201B2 (ja) 臍帯血移植後の腫瘍および各種感染症の予防・治療用製剤、臍帯血移植後の移植臍帯血幹細胞の生着促進用製剤、臍帯血移植後の腫瘍および各種感染症の予防・治療用製剤ならびに臍帯血移植後の移植臍帯血幹細胞の生着促進用製剤の製造方法。
CN111518834B (zh) Car-t细胞及其制备方法和药物
JPH05502369A (ja) 養子免疫療法に用いられる生体外増殖リンパ性細胞の製造方法
WO1987000054A1 (en) Process and composition for treatment of cancer and non-malignant tumors
CN106222139B (zh) 一种利用含凝块的恶性胸腹水大量制备高杀伤活性til细胞的方法
CN109321531A (zh) 一种将外周血免疫γδT细胞诱导成多能干细胞的方法
US8932854B2 (en) Adsorbent for lymphocyte proliferation inhibitor and treating method
CN111690607A (zh) 一种高效杀伤细胞体外培养试剂盒及培养方法
JP2639834B2 (ja) 免疫記憶細胞懸濁液およびその調製方法
JPH10295368A (ja) ガンマー・デルタt細胞の製造法及び免疫治療剤
JPH11127851A (ja) 抗原特異的免疫抑制性細胞の誘導増殖方法およびこれに用いる培養器具
JPH0556360B2 (ja)
JPS6030656B2 (ja) ヒトt細胞増殖因子の製造方法
JP4186013B2 (ja) ウイルス感染症の治療・予防剤、その調製方法
JP2639835B2 (ja) 免疫記憶細胞懸濁液の調製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090123

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090224

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20090326