JP2000212160A - ビスマレイミドの製造方法 - Google Patents

ビスマレイミドの製造方法

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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビスマレイミド、特に芳香族性ビスマレイミ
ドの製造。 【解決手段】 ビスマレアミド酸を有機溶媒中、ヘキサ
メチルジシラザンおよびルイス酸の存在下で脱水閉環さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスマレイミドの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マレイミド、特に芳香族マレイミドは、
化学工業材料の技術分野において耐熱性架橋剤または耐
熱性樹脂のモノマーとしての需要が非常に高まってきて
いる。そのため、芳香族マレイミドの製造方法は、典型
的には、下記の多種多様なものが提案されている。
【0003】Mehta,N.B.et al., J. Org. Chem.,196
0、25、1021には、芳香族マレアミド酸に無水酢酸と酢
酸エチルとを加え、100℃で反応させて脱水反応が起
こり対応する芳香族マレイミドを収率50〜70%で得
る方法が記載されている。Meyers,A.I.et al., Org.
Chem., 1989、 54、 4243には、芳香族マレアミド酸をト
リエチルアミンおよびトルエンの混合液の中で加熱環流
することにより、アミド酸の脱水反応を起こさせ、これ
により対応するマレイミドを得る方法が記載されてい
る。Garner, P. et al., W. J.; Kenne J. Org. Chem.,
1991、 55、5893には、マレアミド酸にカルボジイミド
を加えてイソイミドを得、次いで該イソイミドをヒドロ
キシベンゾトリアゾールおよびトルエンの混合溶液中で
100℃で18時間反応させることにより対応するマレ
イミドを得る方法が記載されている。Nielsen, O. et a
l., Synthesis, 1991、 819には、マレアミド酸をN−ヒ
ドロキシスクシンイミドおよびジシクロヘキシルカルボ
ジイミドとテトラヒドロフランおよびジメチルホルムア
ミドの混合溶媒中で反応させることによりアミド酸の脱
水反応を起こし対応するマレイミドを収率75%で得る
方法が記載されている。
【0004】また、脂肪族マレイミドの製造方法として
は、Walker, M. A., J. Org. Chem., 1995、 60、 5352に
マレイミドと脂肪族アルコールとをジイソプロピルアゾ
ジカルボキシレートとテトラヒドロフラン中室温で18
時間反応させて対応する脂肪族マレイミドを収率83〜
92%で得る方法が、そしてReddy, P. Y. et al., J.
Org. Chem., 1997、 62、 2652には、無水マレイン酸とア
ミンをベンゼン中室温で反応させ、次いでヘキサメチル
ジシラザンと臭化亜鉛または塩化亜鉛を添加し、ベンゼ
ン中で加熱環流を行い脂肪族またはベンジルタイプのマ
レイミドを73〜98%で得る方法が記載されている。
【0005】以上の方法は、Reddyらの方法以外、
一般的に収率が低いという欠点がある。ところで、Re
ddyらの方法は公表されているような脂肪族マレイミ
ドの製造には非常に優れた方法であるが、立体障害の大
きい芳香族化合物のマレイミドやビスマレイミドを製造
する場合には、収率が悪くなる傾向がある。
【0006】本発明者らは、ビスマレアミド酸から対応
するビスマレイミドへの転化が、ヘキサメチルジシラザ
ンとルイス酸を使用することにより、極めて高い転換率
で達成できることを見出した。本発明はかような知見に
基づくものである。
【0007】
【発明の構成】したがって、本発明によれば、式(I)
【0008】
【化3】 (上式中、Lは、それぞれ、活性水素をもたない置換基
により置換されていてもよいC16アルキレン基、アリ
ーレン基、ジフェニレン基、ジフェニリレンオキシド基
またはジフェニリレンアルキレン基を示し、そして、R
1、R2、R1′およびR2′はそれぞれ独立して水素原
子、ハロゲン原子または活性水素をもたない置換基を示
す)で表されるビスマレアミド酸を、有機溶媒中、ヘキ
サメチルジシラザンおよびルイス酸の存在下で脱水閉環
反応を行うことを特徴とする、式(II)
【0009】
【化4】 (上式中、L、R1、R2、R1′およびR2′は上記定義
と同義である)で表されるビスマレイミドの製造方法、
が提供される。
【0010】式(I)および(II)におけるLはC1
6アルキレン基
【0011】
【化5】 アリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン、トリ
レン)、ジフェニレン基
【0012】
【化6】 ジフェニリレンオキシド基
【0013】
【化7】 ジフェニリレンアルキル
【0014】
【化8】 であり、これら基は、アルキル部分またはベンゼン環部
分に活性水素をもたない置換基により置換されていても
よい。また、ベンゼン環部分は、他の基もしくは部分と
−1,2−、−1,3−または−1,4−のいずれの連
結様式をとることができるが、好ましくは、−1,3−
または−1,4−の連結様子をとる。かような「活性水
素をもたない置換基」とは、ヒドロキシル基、アミノ
基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基等のヘキ
サメチルジシラザンと反応性のある基以外の基を意味す
る。かような置換基の具体的なものとしては、ハロゲン
原子、C16アルキル基、C38シクロアルキル基、ハ
ロ−C16アルキル基、C26アルケニル基、C16
ルコキシ基、C16アルキルチオ基、アラルキル基、フ
ェニル基、フェノキシ基、アルコキシカルボニル基、ア
ルキルスルホニル基を挙げることができる。上記「ハロ
ゲン」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨ
ウ素を意味するが、フッ素または塩素であることが好ま
しい。また、上記基の中で炭素数を規定していない、ア
ラルキル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル
におけるアルキル部分は、炭素1〜4のアルキルである
ことが好ましい。上記C16アルキル基またはアルキル
部分は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、se
c−ブチル、tert−ブチル、2−メチルペンチル、
3−メチルペンチル等であることができる。
【0015】ハロ−C16アルキル基の具体的なものと
しては、上記アルキル基について例示した基に、1〜3
個のフッ素または塩素を有するものを挙げることができ
る。C38シクロアルキル基としては、シクロプロピ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることが
できる。C26アルケニル基としてはビニル、アリル、
2−メチルアリル、2−ブテニル、3−ブテニル等を挙
げることができる。アラルキル基としてはベンジル、フ
ェネチル等が挙げられる。
【0016】Lは、上記のような置換基の一種以上を1
〜4個有することができるが、より好ましくは、かよう
な置換基をもたない基である。
【0017】R1、R2、R1′およびR2′は、水素原子
または上記Lの置換基として列挙したのと同じ置換基で
あることができるが、好ましくは水素原子である。
【0018】本発明に従う反応は、有機溶媒中で行う。
有機溶媒としては、該反応に悪影響を及ぼさないもので
あれば如何なる溶媒であっても使用できる。しかし、一
般的には、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジク
ロロメタン、トルエン、ベンゼンおよびキシレンを使用
する。これらのうち、特に、トルエン、ベンゼンが好ま
しい。
【0019】ルイス酸は、本発明の目的に沿う限り如何
なるものでも使用できるが、好ましくは、ハロゲン化亜
鉛、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化スズ、ハロゲ
ン化チタン、ハロゲン化マグネシウムおよびトリフルオ
ロボランエーテラート錯体から選ばれる1種以上を使用
できる。ルイス酸のハロゲン化物は、塩素化または臭素
化物が好ましく使用できる。
【0020】本発明に従う反応において、使用する式
(I)の化合物とヘキサメチルジシラザンとの割合は、
モル比で、1:2以上、好ましくは1:2〜2.1とす
る。これらの反応原料の反応液中の濃度は、当業者であ
れば、後述の実施例を参照に小実験を行って、その最適
範囲を容易に決定できるであろう。また、ルイス酸は触
媒量使用する。
【0021】反応温度は、周囲温度から使用する溶媒の
還流温度に設定するのが都合よい。また反応時間は、式
(I)の化合物が目的とする式(II)のビスマレイミ
ドに十分に転化する時間である。かような時間は、反応
液のアリコートを継時的に採取し、上記転化率を追跡す
ることにより決定できる。
【0022】こうして、本発明によれば、極めて高収率
で、目的のビスマレイミドを製造することができる。
【0023】本発明方法の出発原料である式(I)の化
合物は、例えば、下記の反応スキームに従って製造する
ことができる。 反応スキーム:
【0024】
【化9】 この反応スキームに従えば、ジアミン(a)を無水マレ
イン酸と、例えば酢酸、N,N′−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の溶
媒中で反応させることにより、式(I)の化合物を得る
ことができる。
【0025】
【実施例】以下、具体例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。 参考例: ビスマレアミド酸の製造
【0026】
【化10】 2000mlのセパレートフラスコに、4,4−ジアミ
ノフェニルメタン(100g、0.5mol)をいれ、
次いで、酢酸(1000ml)入れ、完全に溶解するま
でml撹拌する。次いで、無水マレイン酸(99g、2
moleq)を加え、室温で6時間懸濁状態で撹拌す
る。反応後、吸引濾過し、結晶を酢酸エチルで洗浄し、
真空乾燥すると目的物のビスマレアミド酸を収率約10
0%(198g)で得た。化合物は、1H−NMRによ
り同定した。 実施例: ビスマレイミドの製造
【0027】
【化11】 2000mlのセパレートフラスコに、上記参考例で得
たビスマレアミド酸(80g、0.2mol)を入れ、
次いでトルエン1000mlを入れ完全に溶解するまで
撹拌する。次いで、80℃まで加熱し、次いで、ヘキサ
メチルジシラザン(94.6ml、2.2moleq)
をゆっくり滴下する。この温度のまま15分間撹拌す
る。次いで臭化亜鉛(91.3g、1moleq)を加
え、5時間加熱環流する。反応後、反応液を2000m
lの水に注ぎ、塩酸水溶液で、pH=6.0にし、塩化
メチレンで抽出した。次いで、塩化メチレン相を飽和食
塩水で中性になるまで洗い、次いで、硫酸ナトリウムで
脱水した。そして、塩化メチレンを減圧流去し、得られ
た結晶をクロロホルム/メタノール=4/1で再結晶す
ると収率90%で、目的物のビスマレイミドを65.4
g得た。得られたビスマレイミドは、1H−NMRによ
り同定した。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、Lは、それぞれ、活性水素をもたない置換基に
    より置換されていてもよいC16アルキレン基、アリー
    レン基、ジフェニレン基、ジフェニリレンオキシド基ま
    たはジフェニリレンアルキレン基を示し、そして、
    1、R2、R1′およびR2′はそれぞれ独立して水素原
    子、ハロゲン原子または活性水素をもたない置換基を示
    す)で表されるビスマレアミド酸を、有機溶媒中、ヘキ
    サメチルジシラザンおよびルイス酸の存在下で脱水閉環
    反応を行うことを特徴とする、式(II) 【化2】 (上式中、L、R1、R2、R1′およびR2′は上記定義
    と同義である)で表されるビスマレイミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 Lが置換されている場合の置換基がハロ
    ゲン原子、C16アルキル基、C38シクロアルキル
    基、ハロ−C16アルキル基、C26アルケニル基、C
    16アルコキシ基、C16アルキルチオ基、アラルキル
    基、フェニル基、フェノキシル基、アルコキシカルボニ
    ル基、アルキルスルホニル基またはアルキルスルフィニ
    ル基であり、そしてR1、R2、R1′およびR2′がそれ
    ぞれ水素原子である、請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 Lが置換基をもたず、そしてR1,R2
    1′およびR2′が水素原子である請求項1記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒がN,N−ジメチルホルムアミ
    ド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロ
    ロホルム、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼンおよび
    キシレンからなる群より選ばれる請求項1〜3のいずれ
    かに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 ルイス酸が、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン
    化アルミニウム、ハロゲン化スズ、ハロゲン化チタン、
    ハロゲン化マグネシウムおよびトリフルオロボランエー
    テラート錯体からなる群より選ばれる請求項1〜4のい
    ずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 式(I)の化合物1モル等量に対してヘ
    キサメチルジシラザン2〜2.1モル等量を使用する請
    求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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