JP2000212135A - 3―メチル―2―フェニルブチルアミンの光学分割方法 - Google Patents

3―メチル―2―フェニルブチルアミンの光学分割方法

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JP2000212135A
JP2000212135A JP11043616A JP4361699A JP2000212135A JP 2000212135 A JP2000212135 A JP 2000212135A JP 11043616 A JP11043616 A JP 11043616A JP 4361699 A JP4361699 A JP 4361699A JP 2000212135 A JP2000212135 A JP 2000212135A
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phenylbutylamine
isobutylphenyl
propionic acid
salt
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JP11043616A
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Yasuo Chigusa
康男 千種
Toru Inoue
井上  徹
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Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ラセミ体もしくは光学純度の低い3−メチル
−2−フェニルブチルアミンから、(S)−3−メチル
−2−フェニルブチルアミンを高い光学純度かつ高収率
で効率的に分離する方法を提供すること。 【解決手段】 (A) 該3−メチル−2−フェニルブ
チルアミンと(S)−2−(4−イソブチルフェニル)
プロピオン酸と溶媒からなる混合物から(S)−3−メ
チル−2−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸とのジアステレオマ
ー塩を選択的に析出させる工程と;(B)分離する工程
と;(C)該(S)−3−メチル−2−フェニルブチル
アミンと(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロ
ピオン酸とのジアステレオマー塩から該(S)−3−メ
チル−2−フェニルブチルアミンを遊離させる工程と;
を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、3−メチル−2−
フェニルブチルアミンを光学的に分割する方法に関し、
さらに詳細には、R体とS体との混合物である3−メチ
ル−2−フェニルブチルアミンから(S)−3−メチル
−2−フェニルブチルアミンを高い光学純度で得る方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】(S)−3−メチル−2−フェニルブチ
ルアミンは、光学活性な生理活性物質を得るための光学
分割剤として有用である。一般に合成される3−メチル
−2−フェニルブチルアミンは、(R)−3−メチル−
2−フェニルブチルアミンと(S)−3−メチル−2−
フェニルブチルアミンとの当量の混合物、すなわちラセ
ミ体である。そのことから、(S)−3−メチル−2−
フェニルブチルアミンを高い光学純度で得るために、3
−メチル−2−フェニルブチルアミンを光学的に分割す
る方法が検討されてきた。
【0003】従来より、上記光学分割についてのいくつ
かの方法が知られている。
【0004】例えば、特開昭61−172853号公報
は、ラセミ体もしくは光学純度の低い3−メチル−2−
フェニルブチルアミンに光学活性なL−マンデル酸を作
用させて光学分割を行なう方法を開示している。この方
法によれば、3−メチル−2−フェニルブチルアミンの
R体およびS体と、L−マンデル酸とのそれぞれのジア
ステレオマー塩の結晶性(溶解度)の差を利用して、
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンとL−
マンデル酸とのジアステレオマー塩のみを分離すること
ができる。さらに、分離したジステレオマー塩から
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンを遊離
することができる。
【0005】しかし、この方法で得られる光学活性な
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンは、満
足し得る収率および光学純度を達成するものではない。
さらに、この方法では、分離したジアステレオマー塩か
ら(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンを遊
離する際に、L−マンデル酸が水層に残存して、有機溶
媒には抽出され難いため、使用したL−マンデル酸を回
収しかつ再利用することが困難であった。そのため上記
光学分割方法は、L−マンデル酸を多量に消費するの
で、工業的に効率のよいものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題の
解決を課題とするものであり、その目的とするところ
は、ラセミ体もしくは光学純度の低い3−メチル−2−
フェニルブチルアミンから(S)−3−メチル−2−フ
ェニルブチルアミンを高い光学純度でかつ高収率で分離
する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、3−メチル−
2−フェニルブチルアミンから(S)−3−メチル−2
−フェニルブチルアミンを光学的に分割する方法であっ
て、(A) 該3−メチル−2−フェニルブチルアミン
と(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン
酸と溶媒からなる混合物から(S)−3−メチル−2−
フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸とのジアステレオマー塩を選択
的に析出させる工程;(B) 該(S)−3−メチル−
2−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソブ
チルフェニル)プロピオン酸とのジアステレオマー塩を
該混合物から分離する工程;ならびに(C) 該(S)
−3−メチル−2−フェニルブチルアミンと(S)−2
−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸とのジアス
テレオマー塩から該(S)−3−メチル−2−フェニル
ブチルアミンを遊離させる工程;を包含する、方法であ
る。そのことにより上記課題が解決される。
【0008】好適な実施態様では、上記(B)工程の後
かつ上記(C)工程の前に、さらに上記(S)−3−メ
チル−2−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸とのジアステレオマ
ー塩を再結晶する工程を包含する。
【0009】好適な実施態様では、上記溶媒は、水、ア
ルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、およびこ
れらの組み合せからなる群より選択される。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】以下に本発明を詳しく説明する。
【0012】(A)本発明においては、まず、3−メチ
ル−2−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸と溶媒中で混合する。
【0013】ここで、本明細書中に用いられる用語「3
−メチル−2−フェニルブチルアミン」とは、(S)−
3−メチル−2−フェニルブチルアミンと(R)−3−
メチル−2−フェニルブチルアミンとの混合物をいう。
【0014】本発明に用いられる3−メチル−2−フェ
ニルブチルアミンは、少なくとも80%e.e.(エナ
ンチオマー過剰率)未満の光学純度を有するR体とS体
との混合物であり、通常ラセミ体(R体とS体とのモル
比=約50:50)である。なお、上記光学純度は、高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはその他の
公知の手段により測定され得る。
【0015】3−メチル−2−フェニルブチルアミン
は、例えば、ベンジルシアニドとイソプロピルブロマイ
ドとを、トリエチルベンジルアンモニウムクロリドの存
在下、水酸化ナトリウム水溶液中で反応させ、生成物で
ある3−メチル−2−フェニルブチロニトリルを還元す
ることにより得られる。このような合成方法は、例え
ば、特開昭61−172853号公報に記載されてい
る。
【0016】本発明に用いられる溶媒としては、水、ア
ルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、およびこ
れらの混合溶媒などが挙げられる。アルコール類の例と
しては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、およびブタノールが挙げられる。エ
ーテル類の例としては、ジエチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、およびジメトキシエタンが挙げられる。
芳香族炭化水素類の例としては、ベンゼン、トルエン、
およびキシレンが挙げられる。
【0017】上記溶媒において、水と2−プロパノール
との混合溶媒を用いることが好ましい。これにより、高
い光学純度、および高い収率で(S)−3−メチル−2
−フェニルブチルアミンを得ることができる。該混合溶
媒における水と2−プロパノールとの重量比は、好まし
くは50:50と100:0.1との間であり、さらに
好ましくは65:35と85:15との間である。
【0018】本発明に用いられる溶媒の量は、使用する
上記3−メチル−2−フェニルブチルアミンの重量に対
して、好ましくは2倍〜20倍であり、さらに好ましく
は3倍〜5倍である。
【0019】本発明に用いられる(S)−2−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸の光学純度は特に限定
されないが、好ましくは90%e.e.以上、より好ま
しくは98%e.e.以上である。なお、この光学純度
は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはそ
の他の公知の手段により測定され得る。
【0020】本発明に用いられる(S)−2−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸は、例えば、2−(4
−イソブチルフェニル)プロピオン酸を光学活性なα−
モノ置換アルキルアミン(光学分割剤)を用いて光学分
割することにより得ることができる。このような合成方
法は当業者に公知であり、例えば、特開昭53−394
21号公報に記載されている。
【0021】本発明に用いられる(S)−2−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸の量は、3−メチル−
2−フェニルブチルアミンに含まれる(S)−3−メチ
ル−2−フェニルブチルアミン1モルに対して、好まし
くは0.4モル当量〜4.0モル当量である。(S)−
3−メチル−2−フェニルブチルアミン1モルに対し、
(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸
の量が0.4モル当量未満では、目的の(S)−3−メ
チル−2−フェニルブチルアミンの収率を十分高くする
ことができない場合がある。他方、(S)−2−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸の量が4.0モル当
量を超えても、目的の(S)−3−メチル−2−フェニ
ルブチルアミンの収率がそれ以上高くならない場合があ
る。本発明においては、(S)−3−メチル−2−フェ
ニルブチルアミンの収率と(S)−2−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸の使用量とのバランスを考慮
すれば、(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミ
ン1モルに対して、より好ましくは0.8モル当量〜
2.0モル当量、さらにより好ましくは0.9モル当量
〜1.1モル当量の(S)−2−(4−イソブチルフェ
ニル)プロピオン酸が用いられる。
【0022】なお、本発明においては、(S)−2−
(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の代わりに、
(S)−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオ
ン酸を用いてもよい。(S)−2−(6−メトキシ−2
−ナフチル)プロピオン酸の使用量は、上記(S)−2
−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の量と同様
である。
【0023】上記(A)の混合において、各成分の混合
順序は特に限定されないが、一般的には、(S)−2−
(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸がまず上記溶
媒に溶解され、。次いで、(S)−2−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸の溶液に3−メチル−2−フ
ェニルブチルアミンを添加される。
【0024】3−メチル−2−フェニルブチルアミンを
(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸
の溶液に添加する際の温度は、好ましくは25℃〜10
0℃であり、さらに好ましくは30℃〜95℃であり、
よりさらに好ましくは55℃〜85℃である。添加の際
には上記溶液を攪拌しながら行うことが好ましい。
【0025】上記混合によって、一旦溶媒中に各成分が
完全に溶解することが好ましいが、一部不溶の成分が残
存してもよく、また混合と同時にジアステレオマー塩が
溶媒中に析出していてもよい。
【0026】上記のようにして得られた3−メチル−2
−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸と溶媒との混合物を徐々に冷
却することにより、上記混合物から(S)−3−メチル
−2−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソ
ブチルフェニル)プロピオン酸とのジアステレオマー塩
(以下、「S−PBA・S−IBU塩」と略す)を選択
的に析出させることができる。適切な冷却温度は、好ま
しくは−10℃〜50℃、さらに好ましくは5℃〜20
℃である。このとき、析出をより容易にするために、種
晶として、別のS−PBA・S−IBU塩を上記混合物
に添加してもよい。
【0027】(B)次いで、析出したジアステレオマー
塩を含む上記混合物からS−PBA・S−IBU塩が分
離される。具体的には、上記冷却により生じた主にS−
PBA・S−IBU塩でなる結晶を、通常の物理的手段
(例えば、吸引濾過)によって濾過することによりS−
PBA・S−IBU塩の結晶が得られる。
【0028】このようにして得られたS−PBA・S−
IBU塩は、精製されることなく次の工程に用いられ得
る。必要に応じて、得られたS−PBA・S−IBU塩
を再結晶により、さらに精製してもよい。
【0029】再結晶に用いられる溶媒(以下再結晶溶媒
という)としては、水、アルコール類、エーテル類、芳
香族炭化水素類、およびこれらの混合溶媒などが挙げら
れる。アルコール類の例としては、メタノール、エタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、およびブ
タノールが挙げられる。エーテル類の例としては、ジエ
チルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルtert
−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジメト
キシエタンが挙げられる。芳香族炭化水素類の例として
は、ベンゼン、トルエン、およびキシレンが挙げられ
る。
【0030】上記再結晶溶媒において、水と2−プロパ
ノールとの混合溶媒を用いることが好ましい。これによ
り、高いジアステレオマー純度、および高い収率でS−
PBA・S−IBU塩の結晶を得ることができる。該混
合溶媒における水と2−プロパノールとの重量比は、好
ましくは50:50と100:0.1との間であり、さ
らに好ましくは65:35と85:15との間である。
【0031】上記再結晶溶媒の量はS−PBA・S−I
BU塩の重量に対して好ましくは2倍〜20倍であり、
さらに好ましくは3倍〜10倍である。
【0032】主にS−PBA・S−IBU塩でなる結晶
をこのような再結晶溶媒から再結晶することにより、さ
らに精製されたS−PBA・S−IBU塩の結晶を得る
ことができる。なお、このような再結晶の操作は通常1
回のみで十分である。
【0033】(C)次いで、S−PBA・S−IBU塩
の結晶から、(S)−3−メチル−2−フェニルブチル
アミンが遊離される。
【0034】この遊離手段は特に限定されない。一般的
には、得られたS−PBA・S−IBU塩に、塩酸、硫
酸などの鉱酸を添加する。これによりS−PBA・S−
IBU塩が複分解され、(S)−2−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸が遊離し結晶として沈殿する。
使用される鉱酸の量は、S−PBA・S−IBU塩1モ
ルに対して、好ましくは1.0モル当量〜10.0モル
当量であり、さらに好ましくは2.0モル当量〜3.5
モル当量である。沈殿した(S)−2−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸は、吸引濾過などの手段によ
り取り除かれる。
【0035】(S)−2−(4−イソブチルフェニル)
プロピオン酸を除去した後の母液には、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液が攪拌下にて
添加される。これにより(S)−3−メチル−2−フェ
ニルブチルアミンが遊離する。アルカリ水溶液は、該母
液と混合した際の溶液のpHが好ましくは7以上、さら
に好ましくは12以上となるような量で添加される。そ
の後、適切な有機溶媒(例えば、トルエン、メチルte
rt−ブチルエーテル、ヘキサン、およびジエチルエー
テル)で、遊離した(S)−3−メチル−2−フェニル
ブチルアミンを抽出し、有機層と水層を分液する。得ら
れた有機層をロータリーエバポレーター等で濃縮するこ
とにより、(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
ミンが得られる。
【0036】このようにして得られた(S)−3−メチ
ル−2−フェニルブチルアミンは、極めて高い光学純度
(少なくとも95%e.e.以上、通常98%e.e.
以上)を有し、光学活性な生理活性物質(例えば、
(+)−トランス−菊カルボン酸、(特開昭61−17
2853号公報に記載))を得るための光学分割剤とし
て有用である。
【0037】なお、本発明においては、上記工程の途中
で濾過回収した(S)−2−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸の結晶を、周知の手段で乾燥すること
により、高い割合で回収することができる。回収した
(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸
は、さらなる3−メチル−2−フェニルブチルアミンの
光学分割に再利用することが可能である。さらに、本発
明においては、上記(B)の工程において、S−PBA
・S−IBU塩を取り除いた母液、および上記S−PB
A・S−IBU塩の再結晶の際に残った母液について
も、減圧濃縮により溶媒を除去して、塩酸、硫酸などの
鉱酸を添加して、各母液に含まれる(S)−2−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸を遊離させ、結晶と
して沈殿させてもよい。これら結晶も濾過により母液を
除去し、乾燥することにより(S)−2−(4−イソブ
チルフェニル)プロピオン酸を得て、再利用することが
できる。
【0038】本発明の利点は、(S)−3−メチル−2
−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸とから形成されるジアステレ
オマー塩の結晶の、溶媒に対する難溶性を利用した効果
的な光学分割にある。すなわち、再結晶による精製を必
要とする場合でも、通常1回の再結晶工程で少なくとも
95%e.e.以上、通常98%e.e.以上という高
い光学純度を有する(S)−3−メチル−2−フェニル
ブチルアミンを高収率で得ることができる。また、本発
明においては、光学分割剤として使用した(S)−2−
(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を、高い回収
率で容易に回収することができるので、これを再利用す
ることにより、一連の光学分割の工程に要するコストを
低減することができる。
【0039】
【実施例】本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説
明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。
【0040】本実施例においては、3−メチル−2−フ
ェニルブチルアミンおよびS−2−(4−イソブチルフ
ェニル)プロピオン酸の光学純度を、それぞれ以下の表
1および表2に示される分析条件を用いる高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】(実施例1)特開昭53−39421号公
報に記載の方法により合成した98.5%e.e.の光
学純度を有する(S)−2−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸(50.6g、245mmol)を2
−プロパノール(302.0g)と水(96.0g)と
の混合溶媒に加温しながら溶解した。次いで、この溶液
を60℃まで昇温し、攪拌しながら、特開昭61−17
2853号公報に記載の方法により合成した、3−メチ
ル−2−フェニルブチルアミン(80.0g)490m
mol;ラセミ体)を滴下した。滴下後、溶液を5℃ま
で冷却し、結晶性物質を析出させた。結晶性物質を吸引
濾過により濾取し、乾燥して、粗S−PBA・S−IB
U塩(71.0g、理論値192mmol)を得た。用
いた(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンに
対する収率は、78.4%であった。
【0044】次いで、得られた粗S−PBA・S−IB
U塩の一部(少量)をサンプリングし、アルカリを加え
て遊離させた(S)−3−メチル−2−フェニルブチル
アミンの光学純度をHPLCで測定した値を、粗S−P
BA・S−IBU塩のジアステレオマー純度の指標とし
た。即ち、20mgの粗S−PBA・S−IBU塩に1
N水酸化ナトリウム水溶液(1.0ml)とジエチルエ
ーテル(1.0ml)とを加えた。攪拌後、油層からサ
ンプリングして、HPLCにより測定したところ、
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンの光学
純度は85.5%e.e.であった。
【0045】(実施例2)実施例1と同様にして、粗S
−PBA・S−IBU塩を得た。この粗S−PBA・S
−IBU塩(71.0g、理論値192mmol)を、
2−プロパノール(446.0g)と水(142.0
g)との混合溶媒に加温しながら溶解した。次いで、溶
液を攪拌しながら80℃まで昇温した。その後、溶液を
徐々に25℃まで冷却し、溶液中に精製S−PBA・S
−IBU塩の結晶を析出させた。この溶液を吸引濾過
し、そして得られた精製S−PBA・S−IBU塩を乾
燥させた。得られた精製S−PBA・S−IBU塩は5
6.0g(152mmol)であった。用いた(S)−
3−メチル−2−フェニルブチルアミンに対する収率
は、62.0%であった。
【0046】精製S−PBA・S−IBU塩(56.0
g)152mmol)を35%塩酸水溶液(47.4
g、455mmol)と水(224.0g)との混合物
に攪拌しながら添加し、(S)−2−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸の結晶を析出させた。析出した
(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸
の結晶を吸引濾過により除去した。
【0047】次いで、(S)−2−(4−イソブチルフ
ェニル)プロピオン酸を除去した後の母液に、48%水
酸化ナトリウム水溶液(49.2g、591mmol)
を攪拌しながら添加し、n−ヘキサン(48.2g)で
2回抽出した。n−ヘキサン抽出液を合わせ、ロータリ
ーエバポレーターで濃縮し、(S)−3−メチル−2−
フェニルブチルアミン(24.0g、147mmol
(用いた(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミ
ンに対する収率60.0%))を得た。得られた(S)
−3−メチル−2−フェニルブチルアミンの光学純度を
HPLCを用いて測定した。光学純度は99.0%e.
e.であった。
【0048】(参考例)実施例2で除去した(S)−2
−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の結晶を乾
燥させた。得られた(S)−2−(4−イソブチルフェ
ニル)プロピオン酸の結晶は、30.0g、145mm
olであった。
【0049】さらに実施例1において粗S−PBA・S
−IBU塩を取り除いた母液と実施例2において精製S
−PBA・S−IBU塩を取り除いた母液とを合わせ、
減圧濃縮により溶媒を除去し、その後、35%塩酸水溶
液(26.6g、255mmol)と水(125g)と
を攪拌しながら添加し、溶液中に(S)−2−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸の結晶を析出させた。
析出した(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロ
ピオン酸の結晶を吸引濾過により取り出し、そして乾燥
させた。
【0050】上記で得られた(S)−2−(4−イソブ
チルフェニル)プロピオン酸の結晶は、17.6g、8
5mmolであった。得られた(S)−2−(4−イソ
ブチルフェニル)プロピオン酸の結晶は、合計47.6
g、231mmol(収率94.1%)であった。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、3−メチル−2−フェ
ニルブチルアミンから、光学分割剤として十分に高い光
学純度を有する(S)−3−メチル−2−フェニルブチ
ルアミンを高収率で得ることができる。また、本発明に
おいては光学分割剤として使用する(S)−2−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸を廃棄することなく
高い割合で回収可能である。よって、回収した(S)−
2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を再利用
することにより、一連の光学分割の工程に要するコスト
を低減することもできる。
【表1】3−メチル−2−フェニルブチルアミンに対す
るHPLCの条件 カラム;CROWNPAK CR(+) (ダイセル
化学工業社製) 移動相;メチルアルコール:0.1N過塩素酸水溶液
(15:85(容量比)) 流速;0.8ml/分 検出;UV、210nm カラム温度;40℃
【表2】S−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオ
ン酸に対するHPLCの条件 カラム;CHIRALCEL OJ (ダイセル化学
工業社製) 移動相;n−ヘキサン:2−プロパノール:トリフルオ
ロ酢酸(100:0.8:0.1(容量比)) 流速;1.3ml/分 検出;UV、254nm カラム温度;25℃

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−メチル−2−フェニルブチルアミン
    から(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンを
    光学的に分割する方法であって、(A) 該3−メチル
    −2−フェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソ
    ブチルフェニル)プロピオン酸と溶媒からなる混合物か
    ら(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンと
    (S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸
    とのジアステレオマー塩を選択的に析出させる工程;
    (B) 該(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
    ミンと(S)−2−(4−イソブチルフェニル)プロピ
    オン酸とのジアステレオマー塩を該混合物から分離する
    工程;ならびに(C) 該(S)−3−メチル−2−フ
    ェニルブチルアミンと(S)−2−(4−イソブチルフ
    ェニル)プロピオン酸とのジアステレオマー塩から該
    (S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンを遊離
    させる工程;を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記(B)工程の後かつ前記(C)工程
    の前に、さらに前記(S)−3−メチル−2−フェニル
    ブチルアミンと(S)−2−(4−イソブチルフェニ
    ル)プロピオン酸とのジアステレオマー塩を再結晶する
    工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記溶媒が、水、アルコール類、エーテ
    ル類、芳香族炭化水素類、およびこれらの組み合せから
    なる群より選択される、請求項1に記載の方法。 【0001】
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