JP2884703B2 - 光学活性2―メチルピペラジンの製造法 - Google Patents

光学活性2―メチルピペラジンの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、光学活性2−メチルピペラジンの製造法に
関するものである。
<従来の技術> 光学活性2−メチルピペラジンはキノロン系抗菌剤な
どの医薬品の中間体として有用な化合物であるが、化学
的に合成された2−メチルピペラジンは、RS体であるの
で前記合成中間体とするには光学分割して光学活性なも
のにしなければならない。2−メチルピペラジンの光学
分割方法として、酒石酸を用いる方法(特開平1−1497
75号公報)、市販されている包接化合物キラルホストエ
ースを用いる方法(Chem.Lett.p513−516(1988))な
どが知られている。
<発明が解決しようとする課題> しかし、前記の酒石酸を用いる方法は、2−メチルピ
ペラジンの光学純度を68%ee以上にあげることができな
い。また、包接化合物を用いる方法は、包接化合物が非
常に高価であるので工業的に実用化可能ではない。そこ
で、本発明者らは光学活性2−メチルピペラジンの実用
的な製造法の確立を目的として鋭意検討をかさねた。
<課題を解決するための手段> その結果、上記目的は次の一般式(I) (式中、Rはベンゾイル基またはp−トルエンスルホニ
ル基を表わす。) で示される光学活性N−置換フェニルグリシンを光学分
割剤として、(RS)−2−メチルピペラジンを光学分割
することによって達成されることがわかった。
すなわち、本発明は次の一般式(I) (式中、Rはベンゾイル基またはp−トルエンスルホニ
ル基を表わす。) で示される光学活性N−置換フェニルグリシンを光学分
割剤として、(RS)−2−メチルピペラジンを光学分割
することを特徴とする光学活性2−メチルピペラジンの
製造法である。以下、本発明の構成を詳しく説明する。
本発明で用いる分割剤は前記式(I)で示される光学
活性N−置換フェニルグリシンであり、そのD体および
L体のいずれも用いることができる。
本発明において、原料として用いられる(RS)−2−
メチルピペラジンは、(R)−2−メチルピペラジンと
(S)−2−メチルピペラジンとを等量含むラセミ型混
合物のみならず、いずれか一方の光学異性体を等量以上
に含む混合物をも包含するものである。
(RS)−2−メチルピペラジンの光学分割は次の手順
と条件で行う。
まず、溶媒中で(RS)−2−メチルピペラジン1モル
に対して0.1〜2.0モル、好ましくは0.3〜1.0モル量のN
−置換−D−フェニルグリシンもしくはN−置換−L−
フェニルグリシンを接触させる。また、この時、塩酸、
硫酸、りん酸などの鉱酸あるいは酢酸などの有機酸を共
存させてもよい。鉱酸・有機酸の使用量は分割剤と合わ
せて(RS)−2−メチルピペラジン1モルに対して0.1
〜1.5モル、好ましくは0.2〜1.1モル、さらに好ましく
は0.3〜1.0モル量である。
ここで使用する溶媒としては、2−メチルピペラジン
とN−置換フェニルグリシンを溶解するとともに溶液中
でこれらの化合物を化学的に変質せしめることなく、か
つジアステレオマー塩を析出せしめるものであればよ
い。たとえば、水、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、アセトン、アセトニトリルなどの溶媒またはこれ
らの混合溶媒を用いることができる。好ましい溶媒は
水、エタノールである。
(RS)−2−メチルピペラジンに前記分割剤を接触さ
せる方法としては、上記した溶媒中に(RS)−2−メチ
ルピペラジンおよび分割剤を別個に溶解して混合しても
よいし、また溶媒中にそれらを順次溶解してもよい。さ
らにあらかじめ(RS)−2−メチルピペラジンと分割剤
とからつくった塩を該溶媒中に添加溶解してもよい。
次に、接触によって得られた溶液を冷却および/ある
いは濃縮する。すると、難溶性のジアステレオマー塩が
晶析する。難溶性のジアステレオマー塩を分割溶媒から
析出させる際の温度は使用する溶媒の凝固点から沸点の
範囲であればよく目的に応じて適宜決められるが、通常
0℃から100℃の範囲で十分である。
難溶性のジアステレオマー塩の結晶は、過、遠心分
離などの通常の固液分離法によって容易に分離すること
ができる。
一方、難溶性のジアステレオマー塩を分離した残りの
母液をそのまま、または濃縮および/あるいは冷却して
易溶性のジアステレオマー塩を析出せしめ、これを分離
することもできる。
かくして得られる各ジアステレオマー塩を適当な方法
で分解することによって、分割剤と(R)−2−メチル
ピペラジンまたは(S)−2−メチルピペラジンを分離
・採取することができる。
ジアステレオマー塩の分解方法は任意であり、たとえ
ば水性溶媒中酸またはアルカリで処理する方法などが適
用できる。すなわち、たとえばジアステレオマー塩水溶
液に分解剤として水酸化ナトリウムを添加し、析出する
分割剤のナトリウム塩を除去し、液を濃縮蒸留するこ
とによって、または硫酸あるいは塩酸酸性水溶液にジア
ステレオマー塩を逐次添加し、不溶物である分割剤を
別したのち、あるいは分割剤をベンゼン、トルエン、酢
酸エチルなどの有機溶媒で抽出したのち、液を水酸化
ナトリウムを加えてアルカリ性とし、ベンゼンなどで抽
出するか、あるいはそのまま濃縮蒸留することによっ
て、容易に(R)−2−メチルピペラジンまたは(S)
−2−メチルピペラジンを得ることができる。また液
をそのまま濃縮晶析すれば(R)−2−メチルピペラジ
ンまたは(S)−2−メチルピペラジンの硫酸塩、塩酸
塩が得られる。あるいは陽イオン交換樹脂、陰イオン交
換樹脂を用いて分割剤と分離し、濃縮蒸留あるいは逆浸
透膜などによっても光学活性2−メチルピペラジンを得
ることができる。
<実施例> 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 (RS)−2−メチルピペラジン20.0gとN−ベンゾイ
ル−D−フェニルグリシン100.3gとを水600mlに95℃で
加熱溶解した。ゆっくり撹拌しながら冷却し、7時間後
25℃で析出結晶を別し、乾燥して44.5gの(S)−2
−メチルピペラジン・N−ベンゾイル−D−フェニルグ
リシン塩を得た。(S)−2−メチルピペラジンに対し
て収率72%であった。この結晶に1N−硫酸170mlを加え
て、N−ベンゾイル−D−フェニルグリシンを酢酸エチ
ル100mlで2回抽出した。水層を濃縮して40%水酸化ナ
トリウム水溶液を添加してアルカリ性とし、ベンゼン30
mlで2回抽出した。ベンゼン層を乾燥後常圧で濃縮して
ベンゼンを留去すると(S)−2−メチルピペラジン6.
3gが得られ、比施光度は▲〔α〕20 D▼=+7.24(C=
0.54、メタノール)であった。光学純度は90%ee。
実施例2 (RS)−2−メチルピペラジン4.0gと、N−p−トル
エンスルホニル−D−フェニルグリシン24.4gとを水300
mlとエタノール200mlの混合溶媒に80℃で加熱溶解し
た。ゆっくり撹拌しながら冷却し、10時間後23℃で析出
結晶を別し、乾燥して、15.2gの(R)−2−メチル
ピペラジン・N−p−トルエンスルホニル−D−フェニ
ルグリシン塩を得た。(RS)−2−メチルピペラジンに
対して収率54%であった。この結晶を水200mlとエタノ
ール130mlの混合溶媒で再結晶すると、11.0gの(R)−
2−メチルピペラジン・N−p−トルエンスルホニル−
D−フェニルグリシン塩を得た。実施例1と同様にして
ジアステレオマー塩を分解して得られる(R)−2−メ
チルピペラジンの比施光度を測定すると▲〔α〕20 D
=−7.30(C=0.52、メタノール)であった。光学純度
91%ee。
<発明の効果> かくして、本発明によれば、(RS)−2−メチルピペ
ラジンをきわめて簡単な方法で安価に収率よく、高い光
学純度で光学分割することができる。また、分割剤の光
学活性N−置換フェニルグリシンはジアステレオマー塩
を酸、アルカリで処理することにより、容易に回収で
き、さらに回収された光学活性N−置換フェニルグリシ
ンは再使用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07B 57/00 C07D 241/00 - 241/54 C07D 295/00 - 295/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式(I) (式中、Rはベンゾイル基またはp−トルエンスルホニ
    ル基を表わす。) で示される光学活性N−置換フェニルグリシンを光学分
    割剤として(RS)−2−メチルピペラジンを光学分割す
    ることを特徴とする光学活性2−メチルピペラジンの製
    造法。
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