JP2000136163A - 2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の光学分割方法 - Google Patents

2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の光学分割方法

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JP2000136163A
JP2000136163A JP31148598A JP31148598A JP2000136163A JP 2000136163 A JP2000136163 A JP 2000136163A JP 31148598 A JP31148598 A JP 31148598A JP 31148598 A JP31148598 A JP 31148598A JP 2000136163 A JP2000136163 A JP 2000136163A
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phenylbutylamine
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Yasuo Chigusa
康男 千種
Masato Yamanishi
正人 山西
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Nagase and Co Ltd
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Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミン
とから成る結晶性の塩を経由して医薬中間体として有用
な(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸を高
い光学純度で得る方法を提供すること。 【解決手段】 (R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸から(R)−体を分離するための、以下
(A)〜(C)の工程を包含する光学分割方法。 (A)(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ン酸を含む溶液に、(S)−3−メチル−2−フェニル
ブチルアミンを加え、上記の塩とそのジアステレオマー
とを形成させ、そしてこの塩の結晶を溶液から選択的に
析出させる工程。 (B) 必要に応じ、析出した塩をさらに再結晶によっ
て精製する工程。 (C) 塩から(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
ブタン酸を遊離させる工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(R,S)−2−
ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸を光学分割するため
に有用な(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン
酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンと
から成る結晶性の塩に関する。本発明はまた、この塩を
経由して医薬中間体として有用な(R)−2−ヒドロキ
シ−4−フェニルブタン酸を高い光学純度で得る方法、
特に工業的製造工程に適用しうる実際的な方法に関す
る。
【0002】(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸は、エナラプリル、リシノプリル、インドラプリ
ル、ラミプリル、シラザプリル、ベナツェプリル等のア
ンジオテンシン変換酵素阻害薬の中間体として重要であ
る。しかし、合成原料として入手可能な(R,S)−2
−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸は光学的に不活性
なラセミ体であり、この中には(S)−2−ヒドロキシ
−4−フェニルブタン酸が50%含有されている。しか
も、(S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸か
ら誘導される薬物は、(R)−体から誘導される薬物に
比べ、その酵素阻害活性が著しく劣ることが知られてい
る。そのため、(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸を効率よく光学分割して、光学純度の高い
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸を得る
技術の開発が望まれてきた。
【0003】
【従来の技術】光学活性な(R)−2−ヒドロキシ−4
−フェニルブタン酸の製造法としては、光学分割、光学
活性な出発物質からの変換、および生化学的手法が報告
されている。
【0004】光学分割法としては、(R,S)−2−ヒ
ドロキシ−4−フェニルブタン酸をl−メントールとの
エステルに変換し分離する方法(D.Biquard,
Ann.de.Chimie.(1993) 20,1
46)、(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸に(R)−1−(p−トリル)エチルアミンを作
用させジアステレオマー塩を形成させた後、分別再結晶
する方法(特開平1−308244)がある。
【0005】光学活性な出発物質を利用する方法として
は、ベンジルマグネシウムクロリドと光学活性グリシド
酸より化学合成する方法(特開昭62−212329)
が知られている。
【0006】生化学的手法としては、2−オキソ−4−
フェニルブタン酸を酵素によって不斉還元する方法(特
開平3−35886)、(R,S)−2−ヒドロキシ−
4−フェニルブタン酸エチルエステルにエステル加水分
解酵素を作用させ、(S)−体を優先的に加水分解して
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸エチル
エステルを得る方法(特開平1−225499)、およ
び(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸
を酵素存在下、カルボン酸無水物、またはカルボン酸の
エノールエステルと反応させ、(S)−体を優先的にア
シル化して分離することにより(R)−2−ヒドロキシ
−4−フェニルブタン酸を得る方法(特開平4−200
391)が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の光学分割法は、
分割剤が高価であり、光学選択性も収率も十分満足でき
るものではなかった。また、化学合成法の場合は、光学
活性グリシド酸の原料である光学活性なセリンが高価で
ある。さらに、生化学的手法も、反応基質濃度を比較的
低く保たねばならず、必ずしも工業的に効率の良い方法
とは言えない。
【0008】本発明の目的は、上記の課題を克服するた
めの光学分割に適した結晶性の塩を高いジアステレオマ
ー比で含む組成物を提供することにある。本発明のさら
なる目的は、医薬品の中間体として要求される高い光学
純度をもつ光学活性な(R)−2−ヒドロキシ−4−フ
ェニルブタン酸を高収率で得る方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、(R)−2−ヒド
ロキシ−4−フェニルブタン酸と(S)−3−メチル−
2−フェニルブチルアミンとから成る結晶性の塩が、
(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の
光学分割においてたいへん有用であることを見出した。
事実、(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ン酸に(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミン
を加えると、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミ
ンとから成る塩が優先して析出した。このようにして生
成した塩は、それ自体高い光学純度の(R)−2−ヒド
ロキシ−4−フェニルブタン酸を含有しているが、必要
に応じさらに再結晶すれば、医薬品中間体として要求さ
れる98%e.e.以上、さらには99%e.e.以上
の極めて高い光学純度を持つ(R)−2−ヒドロキシ−
4−フェニルブタン酸が得られることを見い出し、本発
明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、(R)−2−ヒドロ
キシ−4−フェニルブタン酸と(S)−3−メチル−2
−フェニルブチルアミンとから成る結晶性の塩をジアス
テレオマー比90%以上、好ましくは95%以上、さら
に好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以
上で含む組成物に関する。本発明はまたこの塩を経由し
て(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸
を効率良く光学分割して、医薬品中間体として重要な
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸を得る
方法に関する。
【0011】本発明において用いる(S)−3−メチル
−2−フェニルブチルアミンは、例えば、特開昭61−
172853に記載の方法に従って製造することができ
る。すなわち、ベンジルシアニドを50(wt/v)%
のNaOH水溶液中ベンジルトリエチルアンモニウムク
ロリドの存在下イソプロピルブロミドでアルキル化し
て、(R,S)−3−メチル−2−フェニルブチルシア
ニドとする。次いで、この化合物を水素化アルミニウム
リチウムで還元して(R,S)−3−メチル−2−フェ
ニルブチルアミンを得る。最後に、これをL−マンデル
酸で光学分割して(S)−3−メチル−2−フェニルブ
チルアミンが得られる。
【0012】本発明の光学分割方法によれば、まず、
(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸は
適当な溶媒に溶解され得る。次いで(R)−2−ヒドロ
キシ−4−フェニルブタン酸に対し、代表的には約1.
0〜4.0モル当量、好ましくは1.2〜3.0モル当
量、さらに好ましくは、1.5〜2.5モル当量の
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンを加え
て、代表的には(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
ブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
ミンとから成る塩、およびそのジアステレオマーである
(S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸と
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンとの塩
を形成する。
【0013】この時使用する適当な溶媒は、水、アルコ
ール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、あるいはそれ
らのうちの任意の二つを任意の割合で組み合わせた混合
溶媒であり得る。アルコール類とは、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール
等の脂肪族アルコールを言う。エーテル類とは、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert
−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジ
メトキシエタン等の脂肪族エーテルを言う。芳香族炭化
水素類とは、ベンゼン、およびトルエン、キシレン等の
アルキル置換ベンゼンを言う。溶媒の使用量は、(R,
S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸1重量部
に対し、代表的には2〜20重量部使用し、好ましくは
3〜10重量部である。このうち好ましい溶媒は、メチ
ルtert−ブチルエーテル、メチルtert−ブチル
エーテルと水との混合溶媒、トルエン、あるいはトルエ
ンと水との混合溶媒である。好ましい混合溶媒における
メチルtert−ブチルエーテルまたはトルエンの重量
比率は、80%以上100%未満であり、より好ましい
重量比率は、95%以上99%以下である。さらにより
好ましくは、97%以上99%以下である。
【0014】上記の塩の形成は、通常、撹拌しながら、
代表的には25〜100℃、好ましくは、30〜95
℃、さらに好ましくは、50〜80℃の反応温度で行
う。
【0015】塩の形成終了後、反応溶液を、代表的には
−10〜50℃、好ましくは、5〜20℃に冷却する
と、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸と
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンとの塩
が優先して析出する。この時、必要に応じて種晶を添加
して、結晶の析出を促しても良い。析出した結晶は、通
常ろ取することにより、容易に回収できる。
【0016】回収した(R)−2−ヒドロキシ−4−フ
ェニルブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブ
チルアミンとから成る塩は、必要に応じて再結晶により
さらに精製することができる。
【0017】再結晶に適した溶媒(再結晶溶媒)は、
水、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、あ
るいはそれらのうちの任意の二つを任意の割合で組み合
わせた混合溶媒であり得る。これらの溶媒の定義は、塩
を形成するための上記の工程に用いられる溶媒(塩形成
溶媒)の場合と同一である。溶媒の使用量は、当該塩1
重量部に対し、代表的には2〜20重量部、好ましくは
3〜10重量部である。好ましい再結晶溶媒の種類は、
塩形成溶媒の場合と同一であり得る。再結晶溶媒と塩形
成溶媒とは同一であっても、異なってもよい。
【0018】この再結晶によって、(R)−2−ヒドロ
キシ−4−フェニルブタン酸と(S)−3−メチル−2
−フェニルブチルアミンとから成る塩のジアステレオマ
ー純度をさらに向上することができる。その結果、この
塩に含まれる(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸の光学純度を医薬品中間体に要求される水準にま
で高めることが容易になる。なお、この精製のための再
結晶操作は、通常1回で充分である。
【0019】(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミ
ンとから成る塩にアルカリ水溶液を加え塩基性にした
後、遊離した(S)−3−メチル−2−フェニルブチル
アミンを適当な溶媒を用いて抽出、回収することができ
る。アルカリ水溶液としては、任意の濃度の、水酸化カ
リウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを使用する
ことができる。使用するアルカリの量は、(R)−2−
ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸と(S)−3−メチ
ル−2−フェニルブチルアミンとから成る塩に対し、代
表的には1.0〜10.0モル当量であり、好ましくは
1.1〜1.5モル当量である。抽出溶媒としては、通
常の有機溶媒、たとえばトルエン、メチルtert−ブ
チルエーテル、ヘキサン、ジエチルエーテルなどを使用
することができる。
【0020】次いで、残った水相を鉱酸で酸性にすれ
ば、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸が
高い光学純度の結晶として沈殿する。鉱酸としては塩
酸、硫酸など通常の酸を使用することができる。その使
用量の目安は、水層のpHが7以下になるまでで、好ま
しくはpHが2以下になるまでである。
【0021】一方、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチ
ルアミンとから成る塩に、直接、鉱酸の水溶液を加える
ことによって(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸を遊離させ、結晶として沈殿させることもでき
る。
【0022】本発明の利点は、(R)−2−ヒドロキシ
−4−フェニルブタン酸と(S)−3−メチル−2−フ
ェニルブチルアミンとから成る塩の結晶の、用いる溶媒
に対する難溶性を利用した効果的な光学分割にある。す
なわち、再結晶による精製を必要とする場合でも、通常
1回の再結晶工程を経て、99%e.e.以上という高
い光学純度の(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸を高収率で得ることができる。また、分割剤とし
て使用した(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
ミンは高い回収率で容易に回収でき、(R,S)−2−
ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の光学分割に繰り返
し使用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定さ
れるものではない。なお、実施例における2−ヒドロキ
シ−4−フェニルブタン酸の光学純度は、下記の分析条
件に従って高速液体クロマトグラフィー法(以下HPL
C法と略記する)で測定した。
【0024】カラム :CHIRALCEL OD(ダ
イセル化学工業社製) 移動相 :ヘキサン:イソプロピルアルコール:トリフ
ルオロ酢酸=95:5:0.3 流 速 :1.0mL/分 検 出 :UV,254nm カラム温度:常温(20〜25℃) 2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の光学純度の測
定方法は上記の方法に限定されるものではなく、通常よ
く知られている他の方法によっても可能である。
【0025】実施例においては、光学純度98.4%
e.e.の(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
ミンを使用した。この光学純度は、下記の分析条件によ
り、HPLC法で測定した。HPLC条件は次のようで
ある。
【0026】カラム ;CROWNPAK CR(S)
(ダイセル化学工業社製) 移動相 ;メチルアルコール:0.1N過塩素酸水溶液
=15:85 流 速 ;0.8mL/分 検 出 ;UV,210nm カラム温度;40℃ 3−メチル−2−フェニルブチルアミンの光学純度の測
定方法は、上記の方法に限定されるものではなく、通常
よく知られている他の方法によっても可能である。
【0027】なお、使用する3−メチル−2−フェニル
ブチルアミンの光学純度は、得られる(R)−2−ヒド
ロキシ−4−フェニルブタン酸の光学純度を限定するこ
とはない。従って、3−メチル−2−フェニルブチルア
ミンの光学純度によらず、実質的に光学的に純粋な
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸化合物
を得ることが可能である。
【0028】
【実施例】実施例1 撹拌下、(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸(5.00g,27.75mmol)、メチルt
ert−ブチルエーテル(35ml)、および水(0.
525ml)の混合物を55℃まで加熱した。次に、攪
拌下(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミン
(4.53g,27.75mmol)を滴下した。滴下
終了後、4℃まで徐々に冷却した。析出した結晶をろ取
し、乾燥して、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
ブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
ミンのジアステレオマー塩(3.64g,10.60m
mol)を得た(用いた(R)−2−ヒドロキシ−4−
フェニルブタン酸に対する収率:76.4%)。このよ
うにして得られたジアステレオマー塩の一部(20m
g)に1NHCl(1.0ml)とジエチルエーテル
(1.0ml)を加え、充分撹拌した後に分液した。ジ
エチルエーテル層に含まれる2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸を上記のHPLC法により分析したとこ
ろ、その光学純度は93.0%e.e.であった。
【0029】実施例2 撹拌下(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ン酸(86.6g,0.480mol)、トルエン(2
99.5g)、および水(3.5g)の混合物を60℃
に加熱した。次に、攪拌下、(S)−3−メチル−2−
フェニルブチルアミン(78.4g,0.480mo
l)を滴下した。滴下終了後、徐々に37℃まで冷却
し、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸と
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンのジア
ステレオマー塩(0.01g)を種晶として添加した。
さらに、10℃まで徐々に冷却した。析出した結晶をろ
取し、トルエン(121.2g)で反応容器および結晶
を洗い込み、ろ液と合わせた。結晶は乾燥させて(R)
−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸と(S)−3
−メチル−2−フェニルブチルアミンのジアステレオマ
ー塩(61.9g,0.180mol)を得た(用いた
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸に対し
て収率:75.1%、融点:119.1℃、IR:ν
(KBr)cm-1;3574.0(s), 3025.
3(s), 2965.2(s), 2883.7
(s), 2163.8(w), 1642.3
(s), 1531.9(s), 1493.1
(s), 1453.9(s), 1408.0
(s),1385.9(m), 1300.0(m),
1241.5(m), 1094.4(m), 10
63.0(s), 1030.2(m), 921.7
(m), 702.0(s))。このようにして得られ
たジアステレオマー塩の一部(20mg)に1NHCl
(1.0ml)とジエチルエーテル(1.0ml)を加
え充分に撹拌した後、分液した。ジエチルエーテル層に
含まれる(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン
酸を上記のHPLC法により分析したところ、光学純度
は94.5%e.e.であった。
【0030】実施例3 実施例2で得られた(R)−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチ
ルアミンのジアステレオマー塩(61.9g,0.18
0mol)を、トルエン(214.1g)および水
(2.5g)の混合物に投入し、攪拌下、60℃まで加
熱した。次に、10℃まで徐々に冷却した。析出した結
晶をろ取し、トルエン(43.3g)で反応容器および
結晶を洗い込み、ろ液と合わせた。結晶は乾燥して
(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸と
(S)−3−メチル−2−フェニルブチルアミンのジア
ステレオマー塩(57.8g,0.168mol)を得
た(収率:93.4%、融点:120.3℃、IR:ν
(KBr)cm-1;3573.1(s), 3025.
0(s),2964.7(s), 2905.9
(s), 2162.0(w), 1639.4
(s), 1531.7(s), 1493.1
(s), 1453.9(s), 1407.8
(s), 1385.5(m), 1299.5
(m), 1241.9(m), 1094.5
(m), 1062.6(s),1030.1(m),
918.7(m), 702.7(s))。このよう
にして得られたジアステレオマー塩の一部(20mg)
に1NHCl(1.0ml)とジエチルエーテル(1.
0ml)を加え、充分撹拌した後、分液した。ジエチル
エーテル層に含まれる2−ヒドロキシ−4−フェニルブ
タン酸を上記のHPLC法により分析したところ、光学
純度は99.0%e.e.であった。
【0031】実施例4 実施例3で得られた(R)−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチ
ルアミンのジアステレオマー塩(57.8g,0.16
8mol)に2.9%NaOH水溶液(276.7g)
を加えた。混合物を攪拌した後、遊離した(S)−3−
メチル−2−フェニルブチルアミンをトルエン(52.
0g×3)で3回抽出した。次に、水層のpHが2以下
になるまでHClを水層に加え、沈殿した結晶をろ取、
乾燥して、(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ン酸(29.7g)を得た(収率:98.1%)。この
ようにして得た(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
ブタン酸の光学純度を上記のHPLC法により分析した
ところ、99.0%e.e.であった。
【0032】実施例5 実施例2および実施例3で得られたろ液に、2−ヒドロ
キシ−4−フェニルブタン酸と(S)−3−メチル−2
−フェニルブチルアミンのジアステレオマー塩に対し
1.2当量のNaOHを加えた。攪拌の後、混合物をト
ルエンで抽出して、実施例4で得たトルエン抽出液と合
した。これを減圧濃縮して、(S)−3−メチル−2−
フェニルブチルアミンのトルエン溶液(89.7g,8
5%wt/wt)を得た。(S)−3−メチル−2−フ
ェニルブチルアミンの回収率は、97.3%であった。
このようにして得た(S)−3−メチル−2−フェニル
ブチルアミンのトルエン溶液は、繰り返し(R,S)−
2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸の光学分割に用
いることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、医薬品の中間体として
要求される98%e.e.以上、好ましくは99%e.
e.以上の光学純度をもつ光学活性な(R)−2−ヒド
ロキシ−4−フェニルブタン酸を高収率で得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
    ブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
    ミンとから成る結晶性の塩をジアステレオマー比90%
    以上で含む組成物。
  2. 【請求項2】 (R)−2−ヒドロキシ−4−フェニル
    ブタン酸と(S)−3−メチル−2−フェニルブチルア
    ミンとから成る結晶性の塩を経由して(R,S)−2−
    ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸から(R)−体を分
    離するための、以下の工程を包含する光学分割方法: (A)(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
    ン酸を含む溶液に、(S)−3−メチル−2−フェニル
    ブチルアミンを加え、該塩とそのジアステレオマーとを
    形成させ、そして該塩の結晶を溶液から選択的に析出さ
    せる工程; (B) 必要に応じ、析出した該塩をさらに再結晶によ
    って精製する工程;および (C) 該塩から(R)−2−ヒドロキシ−4−フェニ
    ルブタン酸を遊離させる工程。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法であって、工程
    (A)において溶媒として水、アルコール類、エーテル
    類、芳香族炭化水素類、あるいはそれらのうちの任意の
    二つを任意の割合で組み合わせた混合溶媒を使用する、
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109232220B (zh) * 2017-09-15 2021-09-10 上海健康医学院 一种3-羟基-3-苯基丙酸类化合物的化学拆分方法

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