JP2000203884A - 高耐久性撥水ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

高耐久性撥水ガラスおよびその製造方法

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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/42Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions at least one coating of an organic material and at least one non-metal coating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/70Properties of coatings
    • C03C2217/76Hydrophobic and oleophobic coatings

Abstract

(57)【要約】 【課題】フロートガラスのトップ面とボトム面を区別せ
ずに双方に対して同等の撥水性能が得られる高耐久性の
撥水被膜を形成すること。 【解決手段】ケイ素酸化物およびアルカリ金属酸化物を
主成分とする酸化物薄膜の表面から酸処理によりアルカ
リイオンを抽出してシラノール基濃度を増大させて活性
を高めた下地層表面に、フルオロアルキル基含有シラン
からなる撥水被膜を固定化すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築用、自動車用、船
舶用或いは航空機用等の各種窓材、浴室用或いは自動車
用等のミラー、さらにはその他産業用など種々の分野の
各種透明物品等に利用できる高耐久性撥水ガラスおよび
その製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】フルオロアルキル基含有シラ
ン化合物をガラス基材表面に処理した、耐摩耗性などの
良好な高耐久性撥水ガラスについては、非常に多くの検
討例が報告されている。その中でも、特開平6−164
55号公報に示すように、ガラス表面に凹凸形状を有す
るシリカなどの下地膜を設けたもの、また下地膜を設け
ないものとしては、特許第2500178号公報に記載
のガラス表面に撥水撥油性の単分子膜を形成する方法、
特開平10−59745号公報記載の、撥水処理するガ
ラス表面をセリア研摩してさらに酸処理して基材の活性
を高める方法や撥水処理液として重合度を増大または制
御したフルオロアルキル基含有シラン化合物を用いる方
法が開示されている。さらに、特開平8−325037
号公報では、ガラス基材表面近傍にアルカリ金属を含ま
ないか、またはアルカリ金属含有量が少ないアルカリバ
リアー層を形成後、フルオロアルキル基含有シラン化合
物を処理することにより、耐久性の高い撥水処理ガラス
を得る方法が開示されている。さらにまた、特開平9−
48639号公報では、ガラス基材表面を脱アルカリし
て脱アルカリ層とすることによってナトリウム等のアル
カリ成分量を減じた表面を形成させた後にフルオロアル
キル基含有シラン化合物を処理することにより、耐熱
性、耐水性および耐候性を高めることが開示されてい
る。
【0003】また、シラノール基を多く含むシリカ膜系
酸化物からなる下地層を形成する方法として、例えば特
開平2−311332号公報、特開平3−232747
号公報等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかし、高耐久性撥
水ガラスを得るためには、特開平6−16455号公報
に示すような、ガラス表面に凹凸形状を有するシリカな
どの下地膜を設けることは複雑な管理条件と工程を要し
コスト高になっている。また、上記の下地膜を設けない
ものは、一般的に撥水剤成分とガラス表面との反応性が
不十分であったり、特開平10−59745号公報のよ
うに、フルオロアルキル基含有シラン化合物の重合度を
制御した撥水処理液を用いて高い耐久性をもたせた場合
でも、撥水処理面をフロートガラスのトップ面に限定し
て自動車用安全ガラスを製造する必要があり、すべての
製造工程で処理面を区別する煩雑さが生じ、またオンラ
イン熱線反射ガラスへの撥水処理については、必然的に
ボトム面(車外面)が撥水処理面となるために所望の性
能を得ることができない場合があった。
【0005】また、特開平2−311332号公報、特
開平3−232747号公報等で示される方法は、形成
された下地層は500℃を越える高い熱処理の後には、
シラノール基同士の重縮合反応により活性の高いシラノ
ール基が大幅に減少し、必ずしも十分な活性を有する下
地層とはなっておらず、高耐久性撥水ガラスとして十分
満足できるものではない。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明は、従来のかか
る課題に鑑みてなしたものであって、撥水処理の際にト
ップ面、ボトム面を区別せずに双方に対して同等の撥水
性能が得られ、且つ得られた撥水性被膜は、高硬度かつ
高密着性であって耐久性や耐摩耗性とを併せ持ち、より
長期的に優れた撥水性能を維持することができるととも
に、安価な方法で高耐久性撥水ガラスを得ることが出来
る。
【0007】すなわち、本発明は、xR2O−(100
−x)SiO2(10<x<50mol%、R=アルカリ
金属)で示される組成を有するケイ素酸化物およびアル
カリ金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜の表面から酸
処理によりアルカリイオンを抽出してシラノール基濃度
を増大させて活性を高めた下地層表面に、フルオロアル
キル基含有シランからなる撥水性被膜が固定化されてな
ることを特徴とする高耐久性撥水ガラスに関する。
【0008】また、本発明は、ガラス基材表面にケイ素
酸化物およびアルカリ金属酸化物を主成分とする酸化物
薄膜を形成後、酸性水溶液にて酸処理し該薄膜表面から
アルカリイオンを抽出して下地層を形成したのち、フル
オロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物、または
重合体からなる撥水処理液を該下地層表面に塗布し、乾
燥・焼成してフルオロアルキル基含有シランからなる撥
水性被膜を固定化してなることを特徴とする高耐久性撥
水ガラスの製造方法に関する。
【0009】また、本発明のアルカリ金属酸化物成分の
出発原料は、アルコキシド、酢酸塩、塩化物、硝酸塩お
よびアセチルアセトナート塩のうちの少なくとも1種を
用いることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、その表面からアルカリ
イオンを抽出した活性の高い下地層を設け、その上に長
鎖フルオロアルキル基含有シランからなる撥水性被膜を
被覆することにより、高耐久性を有する撥水ガラスを得
ることが出来る。
【0011】本発明の下地層は、ケイ素酸化物およびア
ルカリ金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜からなり、
特にこれら金属酸化物からなる下地層をガラス基板表面
に形成後、酸性水溶液にて酸処理し、該薄膜中からアル
カリイオンを抽出することにより活性の高い下地層が形
成される。
【0012】アルカリイオンが抽出される下地層の薄膜
の組成は、xR2O−(100−x)SiO2(10<x
<50mol%、R=アルカリ金属)とすることが好ま
しく、アルカリ金属酸化物の含有量が10モル%以下で
は、アルカリ金属の添加効果が殆ど認められず、得られ
る撥水ガラスの品質はアルカリ金属を添加しないシリカ
のみの場合とほぼ同等であり、一方アルカリ金属酸化物
の含有量が50モル%以上となると下地膜の形成が困難
となるか、あるいは得られた下地膜の膜硬度が大幅に低
下して実用に供しえなくなり好ましくない。なお、アル
カリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムの
少なくとも1種を用いることが出来るが、2種以上を混
合することは、混合アルカリ効果によってイオン拡散係
数が低下し、酸処理によるプロトンとのイオン交換反応
の速度が大きく低下するので望ましくない。
【0013】なお、アルカリ金属はイオン半径の小さい
もの、すなわち、カリウムよりナトリウム、ナトリウム
よりリチウムの方がイオンの拡散係数が大きいために酸
処理によるイオン交換反応が早く、処理時間が短縮でき
るので望ましい。下地層の組成は、ケイ素酸化物および
アルカリ金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜からな
り、それ以外のチタニア、アルミナおよびジルコニア等
の金属酸化物を0〜20モル%程度含有していても構わ
ない。
【0014】本発明のアルカリ金属酸化物成分の出発原
料としては、アルコキシド、酢酸塩、塩化物、硝酸塩お
よびアセチルアセトナート塩のうちの少なくとも1種を
用いることが出来、アルコキシドとしては例えば、Li
OCH3、NaOCH3、KOCH3、LiOC25等、酢
酸塩としてはCH3COOLi、CH3COONa、CH
3COOK、塩化物としてはLiCl、NaCl、KC
l、硝酸塩としてはLiNO3、NaNO3、KNO
3等、アセチルアセトナート塩としては、LiCH3CO
CHCOCH3、NaCH3COCHCOCH3等を用い
ることが出来る。下地層はガラス基板のどちらの面にも
被覆することが可能であり、例えばフロート法で製造さ
れたフロートガラスの場合には、トップ面及びボトム面
の何れの面でも被覆可能である。
【0015】下地層を形成するには、先ずガラス基板の
表面を、充分に水洗・乾燥したものを準備する。なお、
該ガラス基板はその表面を研磨することが好ましいが、
特に限定されるものではない。
【0016】下地層の塗布液は、以下のようにして調製
する。例えば、アルカリ金属酸化物源としてのリチウ
ム、ナトリウム、カリウムのうちの少なくとも1種のア
ルコキシド、酢酸塩、塩化物、硝酸塩およびアセチルア
セトナート塩などのアルカリ金属化合物の所定量をエタ
ノール、n−ブタノール或いはイソプロピルアルコール
等の溶媒に溶解後、酢酸、硝酸、塩酸などの酸触媒およ
び水を添加して加水分解した後に、シリカ源としてのシ
リカゾル中に添加したのち、十分に攪拌して、最終的な
固形分濃度が1.5wt%となるよう、例えば,イソプ
ロピルアルコールで希釈して下地層の塗布液を得ること
が出来る。なお、アルカリ金属化合物およびシリカゾル
の添加量は、ケイ素酸化物およびアルカリ金属酸化物を
主成分とする酸化物薄膜の組成が、xR2O−(100
−x)SiO2(10<x<50mol%、R=アルカリ
金属)となるように調整する。また、シリカゾルの出発
原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン等のシリカ化合物が
使用出来る。
【0017】塗布方法は、ディッピング法やリバースロ
ールコート法をはじめ、種々のロールコート法、フロー
コート法、スピンコート法等、特に限定されるものでは
ない。
【0018】前記下地層用塗布液が成膜されたガラス基
板を、例えば250℃で30分間仮焼成を行い、さらに
ガラス温度で630℃〜660℃の本焼成を行って、x
2O−(100−x)SiO2(10<x<50mol
%、R=アルカリ金属)の組成を有する薄膜を得た。
【0019】次いで、上記で得られたアルカリ−シリカ
系薄膜を、硫酸、硝酸、または塩酸等の酸性水溶液中に
浸漬等の方法により酸処理を行い、薄膜表面よりからア
ルカリイオンを抽出した。その後、水洗・乾燥して表面
活性の高いシリカ系下地層を得た。なお、酸性水溶液の
濃度は、0.01N以上、好ましくは0.1N〜36N
程度の濃度の硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸或いは酢
酸、クエン酸などの有機酸を使用することができる。
【0020】また、下地層表面を凹凸にすると耐久性が
より向上するので特に好ましく、その方法としては、例
えば金属アルコキシド系化合物或いは金属アセチルアセ
トネート系化合物の中から少なくとも2種以上選択し、
しかも該選択した2つ以上の化合物における平均分子量
が異なるものであって、該2つ以上の化合物を溶剤とと
もに混合してコーティング溶液とし、該溶液を被覆後、
加熱してマイクロピット状の表層をつくる方法等が採用
できるがこれに限定されるものではない。
【0021】本発明の高耐久性撥水被膜を形成する撥水
膜用塗布液は、フルオロアルキル基含有シラン化合物か
らなる撥水剤と、希釈用の溶媒と触媒としての酸性水溶
液を所定量混合したのち、所定時間攪拌して加水分解反
応を終結させることにより調製され、次いで該溶液に脱
水剤を添加し、所定時間脱水処理を行って縮重合させる
ことにより得られ、続いて該塗布液を活性の高い下地層
に調温調湿するなかで塗布し、80℃以上350℃以下
で1分間乃至60分間の乾燥とキュアリングを行い、撥
水性被膜をガラス基板表面に固定化する。
【0022】前記フルオロアルキル基含有シラン化合物
としては、次式で示されるフルオロアルキルアルコキシ
シラン系化合物を用いることが出来る。
【0023】 CF3(CF2m(CH22Si(OR)3 [1] (式中、m=5〜11の整数、R=CH3、C25、C3
5およびC47を表す) 上記の出発原料としては、撥水剤としてフルオロアルキ
ルアルコキシシラン系化合物であり、その化合物として
は、CF3(CF25CH2CH2Si(OR)3、 CF
3(CF26CH2CH2Si(OR)3、CF3(CF2
7CH2CH2Si(OR)3、CF3(CF28CH2CH
2Si(OR)3、CF3(CF29CH 2CH2Si(O
R)3、CF3(CF210CH2CH2Si(OR)3、C
3(CF211CH2CH2Si(OR)3、CF3(CF
25CH2CH2SiR(OR)2、CF3(CF27CH
2CH2SiR(OR)2、CF3(CF29CH2CH2
iR(OR)2、CF3(CF211CH2CH2SiR
(OR)2、CF3(CF2 7CH2CH2SiR2(O
R)、CF3(CF28CH2CH2SiR2(OR)、C
3(CF211CH2CH2SiR2(OR)等を用いる
ことが出来る。なお、上記化学式におけるRはCH3
25、C35、C47を示す。また、前記フルオロア
ルキル基含有シラン化合物は、反応末端基がアルコキシ
基に限定されるものではなく、その他にハロゲンやイソ
シアネート基であってもよく、この場合にはシラン化合
物の加水分解に対する反応性が非常に高いので、予め加
水分解を行わずに用いることができる。
【0024】また、希釈溶媒としては、イソプロピルア
ルコ−ル(以下、「i−PA」と略す)の他に、メタノ
−ル、エタノ−ルなど炭素数が5以下の低級アルコ−ル
溶媒であってもよく、アルコ−ル以外にエ−テル類やケ
トン類を用いることができ、ことにi−PAを主成分と
してなるアルコールがコ−ティング溶液の調製における
希釈溶媒として好ましい。
【0025】また、触媒としての酸性水溶液は、0.0
1N以上、好ましくは0.1N〜36N程度の濃度の硝
酸、塩酸、硫酸などの無機酸或いは酢酸、クエン酸など
の有機酸を使用することができる。
【0026】なお、撥水剤:希釈溶剤:水および酸触媒
は、重量割合で1:5〜40:0.09〜1.0の範囲
が好ましいが、これらの範囲に限定されるものではな
い。また、本発明は、加水分解終結後に重縮合させる場
合あるいは加水分解の途中で重縮合が開始する場合等、
特に限定するものではない。
【0027】ガラス基板への撥水膜の膜付け法として
は、手塗り、ノズルフロ−コ−ト法、ディッピング法、
スプレー法、リバ−スコ−ト法、フレキソ法、印刷法、
フローコート法あるいはスピンコート法、ならびにそれ
らの併用等既知の塗布手段、さらに本出願人が出願提案
した各種塗布法等が適宜採用し得るものである。なお、
撥水層の成膜の条件としては、例えば80℃以上350
℃以下で1分間乃至60分間の乾燥とキュアリングを行
い成膜するのが好ましい。
【0028】前述したとおり、xR2O−(100−
x)SiO2(10<x<50mol%、R=アルカリ
金属)なる組成のアルカリ−シリカ薄膜を形成し、酸処
理によってアルカリイオンを抽出した活性の高い下地層
を設け、その上に長鎖フルオロアルキル基含有シランか
らなる撥水性被膜を被覆することにより、得られる撥水
ガラスは格段に優れた耐久性を有する。この撥水性被膜
は、より長期的に優れた撥水性能、例えば、各種耐久性
試験後の接触角が約70°以上、好ましくは約80°以
上、より好ましくは約90°以上を維持することがで
き、高硬度かつ高密着性であって耐久性を併せ持ち、制
御性よく極めて安定して発現する。しかも高安全で厄介
な工程もなく、簡便に効率よく成膜することができ、か
つ量産下で長期においてもそのバラツキ幅をよりコント
ロ−ルよく低減することができ、より確実でかつ安定し
た品質のものとすることができる等、建築用はもちろ
ん、ことに自動車用等の窓材、さらには船舶や航空機の
窓材、電子機器などの種々の分野の各種ガラス物品にお
いて有用である。
【0029】ガラス基板としては、建築用窓ガラスや自
動車用窓ガラス等に通常使用されているフロ−トガラス
あるいはロ−ルアウト法で製造されたガラス等無機質の
透明性がある板ガラスが好ましく、無色または着色、な
らびにその種類あるいは色調、他の機能性膜との組み合
わせ、ガラスの形状等に特に限定されるものではなく、
さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん各種強化ガラスや
強度アップガラスであり、平板や単板で使用できるとと
もに、複層ガラスあるいは合わせガラスとしても使用で
きる。また、被膜はガラス基板の両面に成膜しても構わ
ない。
【0030】
【作用】フルオロアルキル基含有シラン化合物を有効成
分とする撥水処理液を、フロートガラスのガラス面、あ
るいは下地層表面に塗布してRf基をガラス表面に固定
化する撥水ガラスでは、処理される基板の表面のシラノ
ール基の濃度が製品の品質を左右する極めて重要な因子
である。
【0031】すなわち、活性の高い下地層は、ケイ素酸
化物およびアルカリ金属酸化物を主成分とする酸化物薄
膜を形成後、酸性水溶液にて酸処理して薄膜中からアル
カリイオンを抽出する際に、アルカリイオンとプロトン
のイオン交換反応によって多くのシラノール基を膜表面
に生成させることが可能で、さらに、該アルカリ−シリ
カ系酸化物薄膜の組成を、xR2O−(100−x)S
iO2(10<x<50mol%、R=アルカリ金属)
とすることにより、アルカリ金属の添加による下地膜の
膜硬度の低下を最小限に抑えることが可能である。
【0032】例えば、自動車用の撥水ガラスとして実用
に供する場合、極めて高い耐光性と耐摩耗性を両立させ
ることが必要であり、本件では、非常に高い活性(シラ
ノール基濃度)を有し、かつ高い耐摩耗性を有する下地
層膜の形成を提供するものである。
【0033】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
以下の実施例および比較例に共通な項目である、撥水液
の調合方法、撥水性ガラスの作製方法および得られた撥
水性ガラスの評価方法については、以下の方法により行
った。
【0034】(1)撥水液の調製 撥水液は、撥水剤としてC8タイプのフルオロアルキル
アルコキシシランである、ヘプタデカフルオロデシルト
リメトキシシラン(CF3(CF27CH2CH 2Si
(OCH33:信越化学製KBM−7803、以下FA
Sと記す)を用い、希釈溶媒であるイソプロピルアルコ
ール(i−PA)と酸触媒である0.1N硝酸(HN
3)を所定量混合し、室温で2h攪拌して加水分解反
応を終結させた後、モレキュラーシーブ4A(脱水剤)
を16h浸漬し、ろ紙でろ過して調製した。各成分の混
合割合(重量比)を下記表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】(2)シリカ系下地層の形成 200mm×300mm×3.5mmサイズのフロート
ガラス基板の表面を、研摩剤からなる縣濁液(ミレーク
(A+B)(三井金属工業製):水=1:100(wt
%))を用いブラシポリッシャーを用いて研磨したの
ち、充分に水洗・乾燥したものを塗布用基板とした。
【0037】塗布液は、以下のようにして調製した。シ
リカゾルには、コルコート社製コルコート6P(溶質濃
度6wt%、平均分子量Mw;約20000、主溶媒は
i−PA、n−ブタノール、酢酸エチルなど)を用い
た。アルカリ金属酸化物源としては、リチウムやナトリ
ウムのアルコキシド、酢酸塩、塩化物および硝酸塩(い
ずれもキシダ化学製特級試薬)などの化合物を用いた。
これらの所定量をエタノール、n−ブタノールおよびi
−PAの混合溶媒に溶解後、酢酸、硝酸、塩酸などの酸
触媒および水を添加して加水分解した後に、先のシリカ
ゾルに添加した。添加量は、ケイ素酸化物およびアルカ
リ金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜の組成が、xR
2O−(100−x)SiO2(10<x<50mol
%,R=アルカリ金属)となるようにした。これを十分
に攪拌して、最終的な固形分濃度が1.5wt%となる
ようi−PAで希釈してコーティング液を得た。
【0038】塗布方法はスピンコート法で行った。先
ず、スピンコーター上に被膜用ガラス基板をセットし、
先ず塗布被膜域(高速スピン回転)において、スピン回
転を開始し、回転速度が150rpmで3秒後、上記コ
ーティング液の塗布量としては10ml程度滴下し、1
5秒回転速度を維持し被膜化した。続いてレベリング域
(スピン回転停止)において、被膜化した塗布液が渇き
はじめて流動性を失うようになる前に、スピン回転を3
0rpm以下の低速で30秒間回転させて塗布液をレペ
リングせしめ、乾燥促進域(低速スピン回転)におい
て、再度スピン回転を始め、50rpmの低速回転で6
0秒間維持し、塗膜の乾燥促進を行い、良好な成膜性の
ゲル膜を得た。ここで、塗布時の条件は、雰囲気温度、
湿度:25℃、50%RH、塗布液の温度:25℃(雰
囲気温度と同じ)とした。なお、成膜法は、ディッピン
グ法やリバースロールコート法をはじめ、種々のロール
コート法、フローコート法など、スピンコート法に限定
されるものではない。
【0039】次に、該ゲル膜付きガラス基板を250℃
で30分間仮焼成を行い、さらにガラス温度で630℃
〜660℃の本焼成を行って、xR2O−(100−
x)SiO2(10<x<50mol%,R=アルカリ
金属)薄膜を得た。アルカリ−シリカ系膜の膜厚は、S
loantech.製Dektak-3030を用いて測
定した。
【0040】次いで、得られたアルカリ−シリカ系薄膜
を、硫酸、硝酸、または塩酸からなる濃度0.2Nの酸
性水溶液中に浸漬(酸処理、60℃で30分間)して薄
膜中からアルカリイオンを抽出した。その後、水洗・乾
燥して高い活性を有するシリカ系下地膜を得た。
【0041】(3)撥水ガラスの作製 200×300×3.5tサイズのフロートガラス、ま
たは、高い活性を有するシリカ系膜の表面に、温度と湿
度を23℃、45%RHに保った環境下で、約2ml/
pcの前記撥水液を滴下し、綿布(商品名ベンコット)
でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分程度風乾し
た。その後,マッフル炉でガラス温度が5分で140℃
に達するような熱処理(以下、キュアリングと呼ぶ)を
行い、白濁して残った余剰な撥水剤をi−PAで拭き上
げて透明な撥水ガラスを得た。
【0042】なお、下地なしタイプ(比較例1)で直接
フロートガラスに撥水処理する場合には、ガラス表面を
研磨液とブラシポリッシャーを用いて研磨し、十分に研
摩剤を除去した後、60℃の0.2N硫酸水溶液中に3
0分間浸漬した。ここで用いた研磨液は、三井金属工業
製ミレーク(A+B):水=1:100(wt%)なる
懸濁液を用いた。その後、市販のガラス洗浄機(当所製
作品)にて水洗および乾燥した。
【0043】(4)実用耐久性の評価方法 1)下地膜の膜硬度 酸処理後、洗浄および乾燥した下地膜の膜硬度をテーバ
ー試験機を用い、摩耗輪(CS−10F)を20回転さ
せた後のヘーズ値の増加値(△H;%)で評価した。 ・試験機器:テーバー試験機(JIS-R3212−
3.7) ・評価機器:ヘーズメーター(日本電色工業製、NDH
−20D) 2)初期接触角 水滴を試料に乗せたときの水滴と基盤表面とのなす角を
接触角計で測定した。 ・測定機器:協和界面科学製CA−X型 ・測定環境:大気中(約25℃) ・水:純水(2μl) 3)耐光性試験 以下の試験機を用いて、UV照射200h毎の接触角を
測定し、特に600h照射後の接触角を耐光性の値とし
た。 ・試験機:岩崎電気製アイスーパUVテスターSUV−
W131 ・UV照射強度:76mW/cm2 ・試料環境:48℃、20%RH
【0044】
【実施例1】アルカリ源としてリチウムメトキシドを用
い、仕込みの下地層組成を20Li 2O−80SiO
2(mol%)となるように、コーティング薬液を調製
した。これを先述の方法によって成膜、焼成および酸処
理を行った。得られた下地層(膜厚160nm)の膜品
質を評価した結果、表2に示すように、透明性の高い良
好な状態であり、膜硬度も△H=0.1〜0.2とアル
カリを添加しないシリカ膜と同程度で膜硬度の低下は認
められず、実用レベルの高い膜硬度であった。
【0045】さらに、この下地層の表面に撥水処理を行
い、撥水ガラスを得た。得られた撥水ガラスの実用耐久
性の評価で、耐光性は79°(目標75°以上)でシリ
カのみに比べてアルカリ成分の添加による耐光性の向上
効果が認められた。
【0046】
【表2】
【0047】
【実施例2】アルカリ源としてリチウムメトキシドを用
い、仕込みの下地層組成を30Li 2O−70SiO
2(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコー
ティング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0048】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚170nm)の膜品
質は僅かに褐色を呈し、膜硬度も△H=0.4〜0.5
とアルカリを添加しないシリカ膜に比べてやや膜硬度の
低下が見られたが、実用上問題がないレベルの透明性と
膜硬度であった。また、撥水ガラスの耐光性は83°
で、アルカリ成分の添加により耐光性は格段に向上し
た。
【0049】
【実施例3】アルカリ源としてリチウムメトキシドを用
い、仕込みの下地層組成を40Li 2O−60SiO
2(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコー
ティング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0050】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚140nm)の膜品
質は僅かに白濁を生じ、膜硬度も△H=0.5〜0.8
とアルカリを添加しないシリカ膜に比べて膜硬度の低下
が見られたが、実用上問題がないレベルの透明性と膜硬
度であった。また、撥水ガラスの耐光性は92°で、ア
ルカリ成分の添加により著しい耐光性の向上効果が認め
られた。
【0051】
【実施例4】アルカリ源として酢酸リチウムを用い、仕
込みの下地層組成を20Li2O−80SiO2(mol
%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング薬
液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0052】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚140nm)の膜品
質は僅かに褐色を呈したが、膜硬度は△H=0.2〜
0.3とアルカリを添加しないシリカ膜と同等で、実用
上問題がないレベルの透明性と膜硬度であった。また、
撥水ガラスの耐光性は80°で高い耐久性であった。
【0053】
【実施例5】アルカリ源として酢酸リチウムを用い、仕
込みの下地層組成を30Li2O−70SiO2(mol
%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング薬
液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0054】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚200nm)の膜品
質は僅かに白濁を生じ、膜硬度も△H=0.4〜0.5
とアルカリを添加しないシリカ膜に比べて膜硬度の低下
が見られたが、実用上問題がないレベルの透明性と膜硬
度であった。また、撥水ガラスの耐光性は93°で、ア
ルカリ成分の添加により著しい耐光性の向上効果が認め
られた。
【0055】
【実施例6】アルカリ源としてナトリウムメトキシドを
用い、仕込みの下地層組成を20Na2O−80SiO2
(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコーテ
ィング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0056】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚120nm)の膜品
質は透明性の高い良好な状態であり、膜硬度は△H=
0.2〜0.4とアルカリ成分を添加しないシリカ膜と
同等で、実用上問題がないレベルの透明性と膜硬度であ
った。また、撥水ガラスの耐光性は79°で高い耐久性
であった。
【0057】
【実施例7】アルカリ源としてナトリウムメトキシドを
用い、仕込みの下地層組成を30Na2O−70SiO2
(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコーテ
ィング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0058】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚100nm)の膜品
質は透明性の高い良好な状態であったが、膜硬度は△H
=0.5〜0.7とアルカリ成分を添加しないシリカ膜
に比べて膜硬度の低下が見られたが、実用上問題がない
レベルの透明性と膜硬度であった。また、撥水ガラスの
耐光性は83°で、アルカリ成分の添加により耐光性は
格段に向上した。
【0059】
【比較例1】膜組成をアルカリ成分を添加せずにシリカ
成分のみとして下地層を形成し、同様の方法で撥水ガラ
スを作製した。結果、表2に示すように、下地層(膜厚
140nm)の膜品質は透明性の高い良好な状態であ
り、膜硬度も△H=0.1〜0.2と実用レベルの高い
膜硬度であった。しかし、撥水ガラスの実用耐久性を示
す耐光性は72°で目標を満足するものではなかった。
【0060】
【表3】
【0061】
【比較例2】アルカリ源としてリチウムメトキシドを用
い、仕込みの下地層組成を10Li 2O−90SiO
2(mol%)となるように、コーティング薬液を調製
した。これを先述の方法によって成膜、焼成および酸処
理を行った。得られた下地層(膜厚150nm)の膜品
質は透明性の高い良好な状態であり、膜硬度も△H=
0.1〜0.2とアルカリを添加しないシリカ膜と同程
度で膜硬度の低下は認められず、実用レベルの高い膜硬
度であった。しかし、撥水ガラスの実用耐久性を示す耐
光性は72°で目標を満足するものではなく、比較例1
のアルカリ成分を添加しない場合と同等であり、アルカ
リ成分の添加効果は認められなかった。
【0062】
【比較例3】アルカリ源として硝酸リチウムを用い、仕
込みの下地層組成を10Li2O−90SiO2(mol
%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング薬
液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0063】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚150nm)の膜品
質は透明性の高い良好な状態であり、膜硬度も△H=
0.1〜0.2とアルカリを添加しないシリカ膜と同程
度で膜硬度の低下は認められず、実用レベルの高い膜硬
度であった。しかし、撥水ガラスの実用耐久性を示す耐
光性は73°で目標を満足するものではなく、比較例1
のアルカリ成分を添加しない場合とほぼ同等であり、ア
ルカリ成分の添加効果は殆ど認められなかった。
【0064】
【比較例4】アルカリ源として酢酸リチウムを用い、仕
込みの下地層組成を10Li2O−90SiO2(mol
%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング薬
液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0065】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚110nm)の膜品
質は僅かに褐色を呈したが、膜硬度は△H=0.2〜
0.3とアルカリを添加しないシリカ膜に比べて低下は
認められず、実用上問題がないレベルの透明性と膜硬度
であった。しかし、撥水ガラスの実用耐久性を示す耐光
性は72°で目標を満足するものではなく、比較例1の
アルカリ成分を添加しない場合と同等であり、アルカリ
成分の添加効果は認められなかった。
【0066】
【比較例5】アルカリ源として塩化リチウムを用い、仕
込みの下地層組成を10Li2O−90SiO2(mol
%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング薬
液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0067】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚130nm)の膜品
質は透明性の高い良好な状態であり、膜硬度も△H=
0.1〜0.2とアルカリを添加しないシリカ膜と同程
度で膜硬度の低下は認められず、実用レベルの高い膜硬
度であった。しかし、撥水ガラスの実用耐久性を示す耐
光性は73°で目標を満足するものではなく、比較例1
のアルカリ成分を添加しない場合とほぼ同等であり、ア
ルカリ成分の添加効果は殆ど認められなかった。
【0068】
【比較例6】アルカリ源としてナトリウムメトキシドを
用い、仕込みの下地層組成を10Na2O−90SiO2
(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコーテ
ィング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。
【0069】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚110nm)の膜品
質は透明性の高い良好な状態であり、膜硬度も△H=
0.2〜0.3とアルカリを添加しないシリカ膜と同等
で、実用上問題がないレベルの透明性と膜硬度であっ
た。しかし、撥水ガラスの実用耐久性を示す耐光性は7
3゜で目標を満足するものではなく、比較例1のアルカ
リ成分を添加しない場合とほぼ同等であり、アルカリ成
分の添加効果は殆ど認められなかった。
【0070】
【比較例7】アルカリ源としてリチウムメトキシドを用
い、仕込みの下地層組成を50Li 2O−50SiO
2(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコー
ティング薬液を調製して下地層を形成し、さらに撥水ガ
ラスを作製した。
【0071】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚140nm)の膜品
質は白濁しており、膜硬度は△H=1.0〜2.0とア
ルカリを添加しないシリカ膜に比較して大きく低下し、
実用に供することのできるレベルでなかった。なお、耐
光性は92°と非常に高いレベルであった。
【0072】
【比較例8】アルカリ源として硝酸リチウムを用い、仕
込みの下地層組成を50Li2O−50SiO2(mol
%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング薬
液を調製して下地層を形成した。しかし、得られた下地
層は完全に白濁し、透明性が悪く、撥水ガラスの下地層
に供するレベルのものではなかった。したがって、実用
耐久性の評価は行わなかった。
【0073】
【比較例9】仕込みの下地層組成を60Li2O−40
SiO2(mol%)とした以外は比較例8と同様にし
てコーティング薬液を調製して下地層を形成した。しか
し、得られた下地層は完全に白濁し、透明性が悪く、撥
水ガラスの下地層に供するレベルのものではなかった。
したがって、実用耐久性の評価は行わなかった。
【0074】
【比較例10】アルカリ源として酢酸リチウムを用い、
仕込みの下地層組成を50Li2O−50SiO2(mo
l%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング
薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製した。しかし、
得られた下地層(膜厚170nm)は完全に白濁し、透
明性が悪く、撥水ガラスの下地層に供するレベルのもの
ではなかった。なお、得られた撥水ガラスの耐光性は9
3°と非常に高いレベルであった。
【0075】
【比較例11】仕込みの下地層組成を60Li2O−4
0SiO2(mol%)とした以外は比較例10と同様
にしてコーティング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを
作製した。しかし、得られた下地層は完全に白濁し、透
明性が悪く、撥水ガラスの下地層に供するレベルのもの
ではなかった。したがって、実用耐久性の評価は行わな
かった。
【0076】
【比較例12】アルカリ源として塩化リチウムを用い、
仕込みの下地層組成を50Li2O−50SiO2(mo
l%)とした以外は実施例1と同様にしてコーティング
薬液を調製して下地層を形成した。しかし、得られた下
地層は完全に白濁し、透明性が悪く、撥水ガラスの下地
層に供するレベルのものではなかった。したがって、実
用耐久性の評価は行わなかった。
【0077】
【比較例13】アルカリ源としてナトリウムメトキシド
を用い、仕込みの下地層組成を50Na2O−50Si
2(mol%)とした以外は実施例1と同様にしてコ
ーティング薬液を調製し、さらに撥水ガラスを作製し
た。
【0078】得られた下地層および撥水ガラスの実用耐
久性を評価した結果、下地層(膜厚100nm)の膜品
質はかなり褐色が呈していたが、透明性は確保され成膜
性は良好であった。しかし、膜硬度は△H=1.0〜
2.0とアルカリを添加しないシリカ膜に比較して大き
く低下し、実用に供することのできるレベルでなかっ
た。なお、撥水ガラスの耐光性は75°であった。
【0079】
【発明の効果】本発明は、撥水処理の際にトップ面、ボ
トム面を区別せずに双方に対して同等の撥水性能が得ら
れ、且つ得られた撥水性被膜は、高硬度かつ高密着性で
あって耐久性や耐摩耗性とを併せ持ち、より長期的に優
れた撥水性能を維持することができるとともに、安価な
方法で活性の高い撥水ガラスおよびその製造方法を得る
ことが出来る等の効果を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】xR2O-(100−x)SiO2(10<x
    <50mol%、R=アルカリ金属)で示される組成を
    有するケイ素酸化物およびアルカリ金属酸化物を主成分
    とする酸化物薄膜の表面から酸処理によりアルカリイオ
    ンを抽出してシラノール基濃度を増大させて活性を高め
    た下地層表面に、フルオロアルキル基含有シランからな
    る撥水性被膜が固定化されてなることを特徴とする高耐
    久性撥水ガラス。
  2. 【請求項2】ガラス基材表面にケイ素酸化物およびアル
    カリ金属酸化物を主成分とする酸化物薄膜を形成後、酸
    性水溶液にて酸処理し該薄膜表面からアルカリイオンを
    抽出して下地層を形成したのち、フルオロアルキル基含
    有シラン化合物の加水分解物、または重合体からなる撥
    水処理液を該下地層表面に塗布し、乾燥・焼成してフル
    オロアルキル基含有シランからなる撥水性被膜を固定化
    してなることを特徴とする高耐久性撥水ガラスの製造方
    法。
  3. 【請求項3】アルカリ金属酸化物成分の出発原料は、ア
    ルコキシド、酢酸塩、塩化物、硝酸塩およびアセチルア
    セトナート塩のうちの少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項2記載の高耐久性撥水ガラスの製造方法。
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