JP2000198197A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力発生室と周壁との境界部での圧電体層の
破壊を防止したインクジェット式記録ヘッド及びインク
ジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室12
と、この圧力発生室12に対応する領域に絶縁層50を
介して設けられた下電極60、該下電極60上に設けら
れた圧電体層70及び該圧電体層70の表面に設けられ
た上電極80からなる圧電素子300とを備えるインク
ジェット式記録ヘッドにおいて、前記圧電素子300
は、前記圧力発生室12に対向する領域に設けられた実
質的な駆動部となる圧電体能動部320と、該圧電体能
動部320から連続する前記圧電体層70を有するが実
質的に駆動されない圧電体非能動部330とを有するこ
とにより、圧電体層70の破壊を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板を介して圧電素子を設けて、圧電素子
の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
【0003】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0006】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
【0007】また、この場合、圧電材料層は振動板の表
面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発
生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧
電素子を駆動することができるが、単位駆動電圧当たり
の変位量及び圧力発生室に対向する部分とその外部とを
跨ぐ部分で圧電体層へかかる応力の問題から、圧電体層
及び上電極からなる圧電体能動部を圧力発生室外に出な
いように形成することが望ましい。
【0008】そこで、各圧力発生室に対応する圧電素子
を絶縁層で覆い、この絶縁層に各圧電素子を駆動するた
めの電圧を供給するリード電極との接続部を形成するた
めの窓(以下、コンタクトホールという)を各圧力発生
室に対応して設け、各圧電素子とリード電極との接続部
をコンタクトホール内に形成する構造が提案されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上電極
とリード電極とを接続するためにコンタクトホールを設
ける構造では、コンタクトホールを設ける部分の全体の
膜厚が厚くなってしまい、変位特性が低下してしまうと
いう問題がある。
【0010】また、上述したようなインクジェット式記
録ヘッドにおいては、圧電素子の駆動による変位効率を
向上するために、圧電素子の両側に対応する部分の振動
板を薄くする構造が提案されているが、このように変位
を大きくとるようにすると、特に、コンタクトホール近
傍にクラック等の破壊が生じ易い傾向が助長される。
【0011】さらに、これらの問題は、特に、圧電材料
層を成膜技術で形成した場合に生じやすい。なぜなら、
成膜技術で形成した圧電材料層は非常に薄いため、圧電
素子を貼付したものに比較して剛性が低いためである。
【0012】本発明は、このような事情に鑑み、圧力発
生室と周壁との境界部での圧電体層の破壊を防止したイ
ンクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装
置を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室
と、この圧力発生室に対応する領域に絶縁層を介して設
けられた下電極、該下電極上に設けられた圧電体層及び
該圧電体層の表面に設けられた上電極からなる圧電素子
とを備えるインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記
圧電素子は、前記圧力発生室に対向する領域に設けられ
た実質的な駆動部となる圧電体能動部と、該圧電体能動
部から連続する前記圧電体層を有するが実質的に駆動さ
れない圧電体非能動部とを有することを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0014】かかる第1の態様では、圧電体能動部駆動
の際、圧電体非能動部によって圧力発生室と周壁との境
界部での変位が抑えられ、圧電体層の剥離、クラックの
発生等が防止される。
【0015】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記圧電体層は、結晶が優先配向していることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】かかる第2の態様では、圧電体層が薄膜工
程で成膜された結果、結晶が優先配向している。
【0017】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記圧電体層は、結晶が柱状となっていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】かかる第3の態様では、圧電体層が薄膜工
程で成膜された結果、結晶が柱状となっている。
【0019】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記圧電体非能動部が前記圧力発生室
に対向する領域内から領域外まで延設されていることを
特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】かかる第4の態様では、コンタクトホール
を形成することなく、圧電体能動部の上電極又はリード
電極を圧力発生室に対向する領域外まで延設することが
でき、比較的容易に配線を形成することができる。
【0021】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記圧電体非能動部は前記下電極が除
去されて形成され、当該圧電体非能動部を介して前記上
電極又は当該上電極に接続したリード電極が前記圧力発
生室の周壁上まで延設されていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0022】かかる第5の態様では、コンタクトホール
を形成することなく、圧電体能動部の上電極又はリード
電極を圧力発生室に対向する領域外まで延設することが
でき、振動板の変位を向上することができる。
【0023】本発明の第6の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記上電極の端部は前記下電極の端部
よりも内側に位置して前記圧電体能動部の端部となって
おり、前記上電極の端部より外側に突出した前記下電極
上には前記圧電体層が設けられて前記圧電体非能動部を
構成すると共に前記下電極の端部の外側にも前記圧電体
層が設けられていることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0024】かかる第6の態様では、圧電体能動部の端
部と下電極の端部との距離を離すことができ、圧電体能
動部の長手方向端部での電界集中による絶縁破壊が防止
される。
【0025】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様において、前記圧電体非能動部は、前記圧電体能
動部の長手方向一端部に連続的に設けられていることを
特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0026】かかる第7の態様では、圧電体能動部の長
手方向端部での剥離、クラックの発生等が防止される。
【0027】本発明の第8の態様は、第7の態様におい
て、前記圧電体非能動部の少なくとも前記圧力発生室の
端部と周壁との境界を横切る部分近傍の幅が、前記圧電
体能動部の幅より狭くなっていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0028】かかる第8の態様では、圧力発生室とその
周壁との境界に対向する領域における変位特性が向上さ
れる。
【0029】本発明の第9の態様は、第7の態様におい
て、前記圧電体非能動部の少なくとも前記圧力発生室の
端部と周壁との境界を横切る部分近傍の幅が、前記圧力
発生室の幅より広くなっていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0030】かかる第9の態様では、圧力発生室端部近
傍の振動板の剛性が高く保持され、圧電体能動部の駆動
による振動板の破壊が防止される。
【0031】本発明の第10の態様は、第1〜9の何れ
かの態様において、前記圧電体能動部と前記圧電体非能
動部との境界に対向する領域には、当該圧電体能動部の
変位を抑制する変位抑制層が設けられていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0032】かかる第10の態様では、圧電体能動部の
端部での変位が抑制され、圧電体能動部の駆動による振
動板の破壊が防止される。
【0033】本発明の第11の態様は、第1〜10の何
れかの態様において、前記下電極は、前記圧力発生室の
幅方向両側の隔壁及び隣接する前記圧力発生室に対向す
る領域まで連続して設けられていることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
【0034】かかる第11の態様では、圧力発生室の幅
方向両端部の振動板の剛性が高く保持され、振動板の耐
久性が向上する。
【0035】本発明の第12の態様は、第1〜10の何
れかの態様において、前記下電極は、幅方向両端部が前
記圧電体層の幅方向両端部と共に前記圧力発生室内に位
置するように設けられ、且つ前記圧電体非能動部が設け
られた長手方向一端部とは反対側の他端部から前記圧力
発生室の周壁上まで延設されていることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
【0036】かかる第12の態様では、圧電体能動部の
端部と下電極の端部との距離を離すことができ、圧電体
能動部の長手方向端部での電界集中による絶縁破壊が防
止される。
【0037】本発明の第13の態様は、第1〜11の何
れかの態様において、前記圧電体非能動部以外の前記圧
力発生室に対向する領域は前記下電極によって覆われて
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0038】かかる第13の態様では、圧力発生室内に
パターニングされた上電極の周囲には、前記下電極の端
部がないので放電が生じにくく圧電体層の絶縁破壊が防
止される。
【0039】本発明の第14の態様は、第4〜13の何
れかの態様において、前記圧電体非能動部の下側の前記
下電極の除去される幅が、前記圧力発生室の幅よりも狭
いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0040】かかる第14の態様では、圧力発生室の端
部近傍での剛性を低下させることなく、圧電体層の絶縁
破壊が防止される。
【0041】本発明の第15の態様は、第13の態様に
おいて、前記圧電体非能動部が、前記圧力発生室の長手
方向略中央部から前記圧力発生室の幅方向の少なくとも
一方の周壁上に延設されていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0042】かかる第15の態様では、圧電体能動部の
長手方向中央部に電圧を印加することができ、圧電体能
動部の駆動ロスが抑えられる。
【0043】本発明の第16の態様は、第13〜15の
何れかの態様において、前記圧電体非能動部の下側の前
記下電極が除去された部分が、略円形形状を有すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0044】かかる第16の態様では、圧力発生室の端
部と周壁との境界部分の上電極と下電極の間に印加され
る電界がより広く分散され、圧電体層の絶縁破壊が防止
される。
【0045】本発明の第17の態様は、第13〜16の
何れかの態様において、前記上電極の縁部が前記下電極
上から前記下電極除去部上へ交差する方向と、当該上電
極が周壁上に延設される方向とが一致しないことを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0046】かかる第17の態様では、圧力発生室の端
部と周壁との境界部分の上電極と下電極との間に印加さ
れる電界が確実に分散され、圧電体層の絶縁破壊が確実
に防止される。
【0047】本発明の第18の態様は、第1〜17の何
れかの態様において、前記圧電体能動部の前記圧電体非
能動部側の端部近傍に対向する部分の前記下電極の幅
が、他の部分の幅より狭い幅狭部となっていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0048】かかる第18の態様では、圧電体層及び上
電極が圧力発生室の領域内から領域外に延設される部分
での電極間の絶縁破壊が防止される。
【0049】本発明の第19の態様は、第18の態様に
おいて、前記下電極の前記幅狭部の少なくとも先端部の
幅が、前記圧電体非能動部の圧電体層及び上電極より狭
いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0050】かかる第19の態様では、少なくとも幅狭
部の先端部が圧電体層で覆われて、上電極と確実に絶縁
される。
【0051】本発明の第20の態様は、第18の態様に
おいて、前記下電極の前記幅狭部の全体の幅が前記圧電
体非能動部の圧電体層及び上電極より狭いことを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
【0052】かかる第20の態様では、幅狭部全体が圧
電体層で覆われ、下電極の幅狭部と上電極とが確実に絶
縁される。
【0053】本発明の第21の態様は、第18の態様に
おいて、前記下電極の前記幅狭部の幅が前記圧電体非能
動部の圧電体層及び上電極の幅より幅広で、前記幅狭部
の幅方向端面と前記上電極の幅方向端面との距離が約1
0μm以下であることを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
【0054】かかる第21の態様では、下電極と上電極
との距離を所定距離内とすることにより、両電極間の放
電が防止される。
【0055】本発明の第22の態様は、第4〜21の何
れかの態様において、前記圧力発生室と周壁との境界部
分に対向する領域の前記圧電体層の下側には、前記下電
極とは不連続の不連続下電極が設けられていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0056】かかる第22の態様では、圧電体層及び上
電極が圧力発生室外の領域に引き出される部分の振動板
の剛性が高く保持され、この部分での振動板及び圧電体
層の破壊が防止される。
【0057】本発明の第23の態様は、第22の態様に
おいて、前記不連続下電極は、少なくとも前記圧力発生
室の縁部を覆って設けられていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0058】かかる第23の態様では、圧力発生室の端
部近傍の振動板の剛性が確実に高く保持され、耐久性が
向上する。
【0059】本発明の第24の態様は、第22又は23
の態様において、前記不連続下電極は、前記下電極の前
記圧力発生室の長手方向端部近傍に設けられ、前記圧力
発生室の並設方向に延びる下電極除去部によって、前記
下電極と不連続となっていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0060】かかる第24の態様では、不連続下電極と
下電極との間隔が狭くでき、振動板の剛性をより高く保
持される。
【0061】本発明の第25の態様は、第22〜24の
何れかの態様において、前記不連続下電極は、何れにも
電気的に接続されていないことを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
【0062】かかる第25の態様では、不連続下電極と
下電極とが確実に絶縁される。
【0063】本発明の第26の態様は、第22〜24の
何れかの態様において、前記不連続下電極は、充電され
る時定数が駆動パルスよりも大きくなるように抵抗に接
続されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
【0064】かかる第26の態様では、不連続下電極と
下電極とが確実に絶縁されると共に、不連続下電極が過
度の電位を持つのを妨げられる。
【0065】本発明の第27の態様は、第22〜26の
何れかの態様において、前記不連続下電極の前記下電極
とは反対側の前記周壁上には、前記不連続下電極と不連
続であり且つ一端が外部配線に接続される配線用下電極
が前記各圧電素子毎に設けられていることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0066】かかる第27の態様では、圧電体能動部か
ら配線を容易且つ効率よく引き出すことができる。
【0067】本発明の第28の態様は、第22〜24の
何れかの態様において、前記不連続下電極が、前記圧力
発生室の幅方向に前記各圧電体能動部毎に分離されてお
り、それぞれ前記各圧電体能動部の前記上電極又はその
上に接続されるリード電極と接続されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0068】かかる第28の態様では、圧電体層及び上
電極が圧力発生室外の領域に引き出される部分の振動板
の剛性が高く保持されると共に、効率よく配線を引き出
すことができる。
【0069】本発明の第29の態様は、第28の態様に
おいて、前記各不連続下電極及び前記下電極が、それぞ
れ絶縁可能な程度の間隔を有することを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0070】かかる第29の態様では、各圧電能動部が
確実に駆動され、吐出特性を良好に保持される。
【0071】本発明の第30の態様は、第28又は29
の態様において、隣接する前記不連続下電極の間には、
何れにも接続されない中間電極を有することを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
【0072】かかる第30の態様では、下電極膜の除去
を最小限に抑えることができ、より確実に振動板の剛性
を高く保持することができる。
【0073】本発明の第31の態様は、第22〜30の
何れかの態様において、前記圧電素子に対応する領域以
外の前記下電極膜除去部の少なくとも一部に、前記圧電
体層が残留されていることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
【0074】かかる第31の態様では、不連続除去部及
び下電極が確実に絶縁され、信頼性を向上することがで
きる。
【0075】本発明の第32の態様は、第1〜31の何
れかの態様において、前記圧力発生室の幅方向両側の隔
壁上には前記下電極と同一の層により構成される残留部
が設けられていることを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
【0076】かかる第32の態様では、下電極を除去す
る面積が小さくなるため、圧電体層をパターニングされ
た下電極上に略均一な膜厚で形成される。
【0077】本発明の第33の態様は、第32の態様に
おいて、前記圧電体能動部の前記下電極の端部の外側に
は、当該下電極とは不連続の不連続下電極が設けられ、
前記残留部が当該不連続下電極から連続的に延設されて
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0078】かかる第33の態様では、圧電素子を構成
する下電極と残留部との間隔を狭くすることができ、圧
電体層がより確実に均一な膜厚で形成される。
【0079】本発明の第34の態様は、第32の態様に
おいて、前記残留部が前記圧電素子を構成する前記下電
極と連続的に設けられていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0080】かかる第34の態様では、圧電素子を構成
する下電極と残留部との間隔を比較的狭くすることがで
き、圧電体層が均一な膜厚で形成される。
【0081】本発明の第35の態様は、第32〜34の
何れかの態様において、前記下電極の幅方向端面と前記
残留部の幅方向端面との間隔が、前記圧電体層の厚さよ
りも広く且つ前記下電極の幅よりも狭いことを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
【0082】かかる第35の態様では、圧電体層の幅方
向の膜厚が略均一となり、圧電特性を低下させることが
ない。
【0083】本発明の第36の態様は、第32〜35の
何れかの態様において、前記下電極が周壁上まで延設さ
れる前記圧力発生室の端部近傍に前記圧電体層の長手方
向端部が存在し、当該端部から外側に延設された前記下
電極が幅広となるまでの距離が、前記圧電体層の厚さよ
りも広く且つ前記下電極の幅よりも狭いことを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
【0084】かかる第36の態様では、圧力発生室の長
手方向端部近傍の圧電体層の膜厚が均一となり、圧電体
層をパターニングしてもその下側の下電極が薄くなるこ
とがない。
【0085】本発明の第37の態様は、第32〜36の
何れかの態様において、前記残留部の幅が、隣接する圧
力発生室間の隔壁の幅の50%以上であることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
【0086】かかる第37の態様では、残留部を所定幅
で形成することにより、圧電体層の膜厚が、より確実に
均一な膜厚で形成される。
【0087】本発明の第38の態様は、第32〜37の
何れかの態様において、前記下電極及び前記残留部が、
並設された複数の前記圧力発生室及びその幅方向両側の
隔壁に対応する領域の50%以上の幅の領域に形成され
ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
【0088】かかる第38の態様では、下電極及び残留
部を所定の大きさとすることにより、圧電体層の膜厚が
確実に均一となる。
【0089】本発明の第39の態様は、第32〜38の
何れかの態様において、前記下電極及び前記残留部が、
前記圧力発生室が形成される流路形成基板の全面積の5
0%以上の領域に形成されていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0090】かかる第39の態様では、下電極及び残留
部を所定の大きさとすることにより、圧電体層の膜厚が
確実に均一となる。
【0091】本発明の第40の態様は、第1〜39の何
れかの態様において、前記圧電体層の結晶組織が前記下
電極上と前記絶縁層上と略同一であることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0092】かかる第40の態様では、絶縁層上に形成
される圧電体層の結晶状態が下電極上に形成される圧電
体層と同一の結晶状態となるため、クラックが発生せ
ず、パターン境界で異常な応力も発生しない。
【0093】本発明の第41の態様は、第40の態様に
おいて、前記絶縁層の表面に前記圧電体層の結晶の核と
なる結晶種が形成されていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0094】かかる第41の態様では、結晶種により圧
電体層の結晶構造が一方向に配向して略一様に形成さ
れ、クラック等の発生が防止される。
【0095】本発明の第42の態様は、第41の態様に
おいて、前記結晶種が島状に形成されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0096】かかる第42の態様では、島状の結晶種か
ら圧電体層の結晶が成長する。
【0097】本発明の第43の態様は、第4〜42の何
れかの態様において、前記下電極の端部の外側には、第
2の絶縁層が設けられていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
【0098】かかる第43の態様では、下電極の端部近
傍の圧電体層の膜厚が薄くなることがなく、圧電体層の
電界集中による絶縁破壊が防止される。
【0099】本発明の第44の態様は、第43の態様に
おいて、前記第2の絶縁層が前記下電極と略同一の膜厚
を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0100】かかる第44の態様では、下電極と第2の
絶縁層との段差が小さく、これらの上に膜厚が略均一の
圧電体層を形成することができる。
【0101】本発明の第45の態様は、第43又は44
の態様において、前記第2の絶縁層が前記絶縁層とは異
なる絶縁材料からなることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
【0102】かかる第45の態様では、第2の絶縁層
は、絶縁材料の種類を問わず、機能を発揮する。
【0103】本発明の第46の態様は、第4〜42の何
れかの態様において、前記下電極の端部の外側の前記絶
縁層に厚膜部が設けられていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0104】かかる第46の態様では、下電極の端部近
傍の圧電体層の膜厚が薄くなることがないため、圧電体
層の電界集中による絶縁破壊を防止できる。
【0105】本発明の第47の態様は、第46の態様に
おいて、前記厚膜部が前記下電極と略同一の膜厚である
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0106】かかる第47の態様では、下電極と厚膜部
との段差が小さく、これらの上に膜厚が略均一の圧電体
層を形成することができる。
【0107】本発明の第48の態様は、第4〜42の何
れかの態様において、前記下電極の端部には前記圧電体
能動部の外側に向かって前記下電極の膜厚が漸小する膜
厚漸小部が設けられていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
【0108】かかる第48の態様では、下電極の端部に
膜厚漸小部が設けられているため、下電極の端部近傍に
形成される圧電体層の膜厚が薄くなることがなく、圧電
体能動部の端部近傍での絶縁破壊が防止される。
【0109】本発明の第49の態様は、第48の態様に
おいて、前記膜厚漸小部は、前記下電極の膜厚が連続的
に漸小する傾斜面となっていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0110】かかる第49の態様では、圧電体層が膜厚
漸小部の傾斜面に沿って形成されて、圧電体能動部の端
部の圧電体層の膜厚が薄くなることがない。
【0111】本発明の第50の態様は、第48の態様に
おいて、前記膜厚漸小部は、前記下電極の膜厚が階段状
に漸小していることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
【0112】かかる第50の態様では、圧電体層が膜厚
漸小部の形状に沿って形成されて、他の部分と略同一の
膜厚となる。
【0113】本発明の第51の態様は、第48の態様に
おいて、前記膜厚漸小部は、前記下電極の膜厚が連続的
に漸小する傾斜曲面となっていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0114】かかる第51の態様では、圧電体層が膜厚
漸小部の形状に沿って形成されて、他の部分と略同一の
膜厚となる。
【0115】本発明の第52の態様は、第48〜51の
何れかの態様において、前記膜厚漸小部上に形成される
前記圧電体層の膜厚が、他の部分の膜厚よりも厚いこと
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0116】かかる第52の態様では、圧電体能動部の
端部近傍での圧電体層の電界集中がなく、絶縁破壊が防
止される。
【0117】本発明の第53の態様は、第7〜52の何
れかの態様において、前記圧電体能動部の前記一端部近
傍の構造を他端部側にも有することを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0118】かかる第53の態様では、圧電体能動部の
一端部と同様に、他端部も破壊が防止される。
【0119】本発明の第54の態様は、第7〜52の何
れかの態様において、前記圧電体能動部の他端部は、前
記圧電体層及び前記上電極の端部により形成され、この
圧電体能動部の端部は、前記圧電体層とは不連続の不連
続圧電体層によって覆われていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0120】かかる第54の態様では、圧電体能動部の
端部が不連続圧電体層によって保護され、圧電体層及び
上電極の剥離等が防止される。
【0121】本発明の第55の態様は、第7〜52の何
れかの態様において、前記圧電体能動部の他端部は、前
記圧電体層及び前記上電極の端部により形成され、この
圧電体能動部の端部は、接着剤によって固定されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0122】かかる第55の態様では、圧電体能動部の
端部が固定され、圧電体層及び上電極の剥離等が防止さ
れる。
【0123】本発明の第56の態様は、第1〜55の何
れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶
基板に異方性エッチングにより形成され、前記下電極、
圧電体層、上電極の各層が成膜及びリソグラフィ法によ
り形成されたものであることを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドにある。
【0124】かかる第56の態様では、高密度のノズル
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に製造することができる。
【0125】本発明の第57の態様は、第1〜56の何
れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備するこ
とを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0126】かかる第57の態様では、ヘッドの信頼性
を向上したインクジェット式記録ヘッドを実現すること
ができる。
【0127】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0128】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、その平面図及び1つの圧力発生室の長
手方向における断面図である。
【0129】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0130】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0131】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0132】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板を水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬する
と、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(1
11)面と、この第1の(111)面と約70度の角度
をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第
2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチン
グレートと比較して(111)面のエッチングレートが
約1/180であるという性質を利用して行われるもの
である。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の
(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形
成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工
を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列する
ことができる。
【0133】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0134】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0135】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0136】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0137】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット
孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであっ
てもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10
の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外
力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板2
0は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0138】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0139】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0140】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体膜70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部が形成されていることになる。また、ここでは、
圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位
が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称す
る。
【0141】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4〜図6を参照しながら説明する。なお、図4及び
図6は、圧力発生室12の幅方向の断面図であり、図5
は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。
【0142】まず、図4(a)に示すように、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0143】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、白金等が好適である。これは、スパッタリン
グ法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、
成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜10
00℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるか
らである。すなわち、下電極膜60の材料は、このよう
な高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電
性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白
金が好適である。
【0144】次に、図4(c)及び図5に示すように、
下電極膜60をパターニングして全体パターンを形成す
ると共に、各圧力発生室12毎の長手方向一端部近傍に
対応する領域に、それぞれ圧力発生室12に対向する領
域から周壁上まで延設される配線用下電極膜61を形成
する。
【0145】次に、図4(d)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70は、結晶が配向して
いることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有
機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥し
てゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物か
らなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用
いて形成することにより、結晶が配向している圧電体膜
70とした。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使
用する場合には好適である。なお、この圧電体膜70の
成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング
法で形成してもよい。
【0146】さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング
法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、
アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長さ
せる方法を用いてもよい。
【0147】何れにしても、このように成膜された圧電
体膜70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向
しており、且つ本実施形態では、圧電体膜70は、結晶
が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の
配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の
方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜
とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させ
た状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状
態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された
薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造
された圧電体膜の厚さは、一般的に0.5〜5μmであ
る。
【0148】次に、図4(e)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0149】その後、図6(a)に示すように、圧電体
膜70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能
動部320のパターニングを行う。以上が膜形成プロセ
スである。このようにして膜形成を行った後、図6
(b)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリ
コン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室
12等を形成する。
【0150】このように形成されたインクジェット式記
録ヘッドの要部平面及び断面を図7に示す。
【0151】図7に示すように、圧電素子300を構成
する下電極膜60は、並設された複数の圧力発生室12
に対向する領域に連続的に設けられ、圧力発生室12の
長手方向一端部近傍でパターニングされており、この下
電極膜60の端部が圧電体能動部320の端部となって
いる。また、圧力発生室12の長手方向他端部の端部近
傍に対向する領域には、圧力発生室12に対向する領域
から周壁上に亘って、下電極膜60とは不連続で圧電素
子の配線として用いられる配線用下電極膜61が、各圧
力発生室12毎に設けられている。
【0152】ここで、下電極膜60と配線用下電極膜6
1の間隔、及び各配線用下電極膜61の間隔は、少なく
ともそれぞれの絶縁強度を保持可能な程度の狭い幅で形
成されていることが好ましい。
【0153】一方、圧電体膜70及び上電極膜80は、
本実施形態では、圧力発生室12に対向する領域に設け
られ、且つその一端部は配線用下電極膜61上まで延設
されており、リード電極100によって上電極膜80と
配線用下電極膜61とが接続されている。また、この配
線用下電極膜61の形状は、特に限定されないが、図8
に示すように、少なくとも圧力発生室12の縁部を覆っ
て形成されていることが好ましい。これにより、振動板
の剛性が高く保持され、振動板のクラックの発生等を防
止することができる。
【0154】このような構成では、下電極膜60上に存
在する圧電体膜70及び上電極膜80が圧電体能動部3
20を構成し、下電極膜60が除去された領域及び配線
用下電極膜61上に圧電体能動部320の長手方向端部
から連続的に設けられた圧電体膜70及び上電極膜80
は、圧電体膜を有するが実質的に駆動されない圧電体非
能動部330となっている。
【0155】したがって、圧力発生室12と周壁との境
界部が、圧電体能動部320への電圧印加によっても駆
動されることがない圧電体非能動部330となっている
ため、圧力発生室12の長手方向端部での圧電体膜70
等の剥がれ、繰返し変位によるクラックの発生等の虞が
ない。また、圧電体膜70及び上電極膜80が配線用下
電極膜61上まで延設されているので、コンタクトホー
ルを形成する必要がなくなる。すなわち、上電極膜80
上にコンタクトホールを設ける絶縁体膜を形成する必要
がなくなる。したがって、圧電体能動部32の絶縁体膜
の厚さに起因する変位低下がなくなる。また、製造工程
を減らすことができ、コストの削減等が可能となる。
【0156】以上説明した圧電体能動部320及び圧力
発生室12等の一連の膜形成及び異方性エッチングによ
って、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、
プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズ
の流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路
形成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板3
0、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、イ
ンクジェット式記録ヘッドとする。
【0157】また、このように構成したインクジェット
ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したイ
ンク導入口42からインクを取り込み、共通インク室3
1からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たし
た後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従
い、上電極膜80と下電極膜60との間に電圧を印加
し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70をたわ
み変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高
まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
【0158】なお、本実施形態では、圧電体膜70及び
上電極膜80を圧力発生室12に対向する領域内に形成
するようにしたが、これに限定されず、例えば、周壁に
対向する領域まで延設するようにしてもよい。勿論、こ
のような構成によっても、上述同様の効果が得られる。
【0159】また、上述した例では、圧電体非能動部3
30を下電極膜60を除去することにより形成したが、
これに限定されず、例えば、圧電体膜70と上電極膜8
0との間に低誘電絶縁層を設けることにより形成しても
よく、さらには、圧電体膜70に部分的にドーピング等
を行って不活性とすることにより形成してもよい。
【0160】(実施形態2)図9は、実施形態2に係る
インクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【0161】本実施形態は、圧電体能動部320の配線
方法の他の例であり、図9に示すように、配線用下電極
膜61を圧力発生室12に対向する領域には設けずに、
周壁上に設けるようにした以外は、実施形態1と同様で
ある。
【0162】勿論、このような構成においても、実施形
態1と同様の効果を得ることができる。
【0163】なお、上述の実施形態では、下電極膜60
の外側に配線用下電極膜61を設けるようにしたが、こ
れに限定されず、例えば、図10に示すように、周壁上
まで延設された圧電体非能動部330の上電極膜80と
接続され且つ基板端部まで延びるリード電極100を別
途設けてもよい。
【0164】また、圧力発生室12の端部から周壁上に
延設される圧電体非能動部330を構成する圧電体膜7
0及び上電極膜80は、特に限定されないが、例えば、
図11に示すように、圧力発生室12の端部近傍では圧
力発生室12よりも幅の広い幅広部331とし、圧力発
生室12の端部を覆っていることが好ましい。これによ
り、圧力発生室12の端部近傍での振動板の剛性が高く
保持され、振動板のクラックの発生等が防止できる。
【0165】(実施形態3)図12は、実施形態3に係
るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断面図
である。
【0166】本実施形態は、図12に示すように、圧力
発生室12の端部と周壁との境界に対向する領域の圧電
体非能動部330の下側に、下電極膜60とは不連続の
不連続下電極62を設けた例である。すなわち、圧力発
生室12の圧電体膜70及び上電極膜80が延設される
側の端部近傍には、下電極膜60が除去された下電極膜
除去部340が、例えば、本実施形態では、圧力発生室
12の形状に沿ってその並設方向に細溝状に設けられ、
圧力発生室12の端部と周壁との境界部分の下電極膜
が、圧電体能動部320の下電極膜60とは不連続な不
連続下電極膜62となっている以外、実施形態2と同様
である。
【0167】ここで、下電極膜60と不連続下電極膜6
2とを分離する下電極膜除去部340の幅は、少なくと
も下電極膜60と不連続下電極膜62との絶縁強度を保
持可能な幅とする必要があるが、できるだけ狭い幅とし
て振動板の剛性を保持することが好ましい。
【0168】また、このような構成では、不連続下電極
膜62は、他の何れにも電気的に接続されないフローテ
ィング電極となり、下電極膜60上に存在する圧電体膜
70及び上電極膜80が実質的な駆動部となる圧電体能
動部320を構成し、不連続下電極膜62上の圧電体膜
70及び上電極膜80は強く駆動されることがない。
【0169】したがって、圧力発生室12と周壁との境
界部分は、圧電体能動部320への電圧印加によっても
強く駆動されることがないため、圧力発生室12の長手
方向端部での振動板の剛性が高く、この部分での振動板
の破壊あるいは圧電体膜70の破壊等を防止することが
できる。
【0170】なお、本実施形態では、不連続下電極膜6
2を複数の圧力発生室12の並設方向に亘って形成する
ようにしたが、これに限定されず、例えば、図13に示
すように、各圧電体能動部320毎に分離するようにし
てもよい。これにより、不連続下電極61上の圧電体膜
70及び上電極膜80が完全に駆動されることがない圧
電体非能動部330となり、振動板又は圧電体膜70の
破壊等をより確実に防止することができる。
【0171】また、本実施形態では、不連続下電極膜6
2を、他の部分とは電気的に接続されることのないフロ
ーティング電極としたが、これに限定されず、例えば、
充電される時定数が圧電体能動部320の駆動パルスよ
りも大きくなるように、所定の抵抗値の抵抗を介して電
極層と接続するようにしてもよい。
【0172】(実施形態4)図14は、実施形態4に係
るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図である。
【0173】本実施形態は、図14に示すように、各配
線用下電極膜61の間に、下電極膜除去部340によっ
て分離され他の何れにも接続されない中間電極膜63が
設けられている以外は、実施形態1と同様の構成であ
る。
【0174】このような構成により、各配線用下電極膜
61を分離する下電極膜除去部340の幅を狭くするこ
とができる。すなわち、各配線用下電極膜61の間には
中間電極膜63が設けられているため、下電極膜除去部
340の幅を狭くしてもこれらの絶縁強度を確実に保持
することができる。これにより、振動板の剛性がより高
くなり、上述の実施形態と同様、圧力発生室12と周壁
との境界部分で、振動板の破壊あるいは圧電体膜70の
破壊等を防止することができる。
【0175】なお、上述の実施形態では、下電極膜60
及び配線用下電極膜61の間の下電極膜除去部340
は、各下電極膜60及び配線用下電極膜61間の絶縁強
度を保持可能な程度の幅で形成されているが、例えば、
図15に示すように、圧電体能動部320の幅方向両側
等の絶縁破壊の起こりやすい部分に、例えば、上電極膜
80を除去して、実質的に駆動されない圧電体膜70を
残留させた不活性部350を設けるようにしてもよい。
これにより、さらに確実に絶縁強度を保持することがで
きる。なお、勿論、圧電体膜70が駆動されなければ、
上電極膜80を除去しなくてもよいことは言うまでもな
い。
【0176】(実施形態5)図16は、実施形態5に係
るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断面図
である。
【0177】本実施形態では、図16に示すように、配
線用下電極膜61を設ける代わりに、圧電体非能動部3
30となる圧電体膜70及び上電極膜80を圧力発生室
12に対向する領域から周壁上まで延設し、図示しない
が、その端部近傍で、例えば、フレキシブルケーブル等
の外部配線と上電極膜80とを直接接続するようにして
いる。また、下電極膜60は基本的に圧力発生室12に
対向する領域内に設けられると共に、圧電体非能動部3
30とは反対側の端部から圧力発生室12の周壁上まで
延設されて各圧電素子300の共通電極となっている以
外は、実施形態1と同様である。
【0178】このような構成によっても、勿論、上述の
実施形態と同様の効果が得られる。また、下電極膜60
と上電極膜80とを、圧力発生室12の長手方向端部か
ら反対方向に周壁上まで延設するようにしたので、下電
極膜60と上電極膜80とを短絡させることなく容易に
配線を引出すことができる。
【0179】また、本実施形態のように、圧電体膜70
を圧力発生室12から周壁上まで連続的に形成する場合
には、圧電体膜70の結晶組織が下電極膜60上と弾性
膜50上とで同じであることが好ましい。そのため、圧
電体膜70を以下のように形成するのが好ましい。
【0180】すなわち、図17(a)に示すように、圧
電体膜70の成膜の前に、下電極膜60及び弾性膜50
上にチタン又は酸化チタンからなる結晶種75をスパッ
タ法により島状に形成した後、図17(b)に示すよう
に、未結晶の圧電体前駆体層71を成膜し、その後、図
17(c)に示すように、焼成することにより結晶化さ
せて圧電体膜70とする。
【0181】また、このように結晶種75を形成する方
法を用いる場合、弾性膜50は、圧電体膜70との密着
性の良好な材料、例えば、圧電体膜70の構成元素から
選択される少なくとも一種の元素の酸化物又は窒化物、
例えば、酸化ジルコニウム等で形成されることが好まし
い。
【0182】ここで、白金などの下電極膜60上に圧電
体膜70を形成する場合に結晶種を形成して結晶を略一
方向に配向させる技術は、先に出願している。しかしな
がら、本実施形態のように、下電極膜60をパターニン
グした後、圧電体膜70を成膜するという特殊な構造に
おいては、下電極膜60上に予め結晶種が形成されてい
ても、弾性膜50上では、異なる結晶構造となり、クラ
ックが発生しやすいという問題が発生した。そこで、本
実施形態では、弾性膜50上にも結晶種75を形成する
ことにより、下電極膜60及び弾性膜50上で圧電体膜
70の結晶構造を略同じとし、これによりクラックの発
生及び異常な応力の発生を防止する。なお、弾性膜50
上の結晶種は、下電極膜60をパターニングした後、同
時に形成してもよく、または、下電極膜60上の結晶種
を形成し、さらにパターニングした後、弾性膜50上だ
け別途行ってもよい。また、別途行う場合には、結晶種
は島状でなく膜状に形成してもよい。
【0183】(実施形態6)図18は、実施形態6に係
るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図である。
【0184】本実施形態は、図18に示すように、圧電
体能動部320の略中央部から圧力発生室12の幅方向
の周壁に対向する領域に圧電体非能動部330を設ける
ようにした以外は、実施形態5と同様である。
【0185】このような構成とすることにより、上述の
実施形態と同様の効果の他、圧電体能動部320と圧電
体非能動部330との連結部分近傍での圧電体膜70へ
の電流の集中を抑えることができ、圧電体膜70等の破
壊を防止することができる。
【0186】(実施形態7)図19は、実施形態7に係
るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図である。
【0187】本実施形態は、図19に示すように、圧電
体非能動部330の圧力発生室12の長手方向端部に対
向する領域に圧電体能動部320の幅よりも幅狭な幅狭
部332を形成するようにした以外は、実施形態5と同
様である。
【0188】このような構成では、圧力発生室12の端
部での振動板の変位の規制が緩和されるため、この端部
での圧電体能動部320の駆動による振動板の変位量を
向上することができる。
【0189】なお、本実施形態では、圧電体非能動部3
30となっている上電極膜80及び圧電体膜70を幅狭
に形成したが、これに限定されず、例えば、上電極膜8
0のみを幅狭に形成するようにしてもよい。
【0190】(実施形態8)図20は、実施形態8にか
かるインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断面
図である。
【0191】本実施形態では、図20に示すように、圧
力発生室12の端部近傍において、圧電体能動部320
の圧電体非能動部330との境界部分の下電極膜60
は、圧力発生室12の幅方向両側が除去されて、他の部
分よりも幅の狭い幅狭部64となっている。また、この
幅狭部64は、本実施形態では、圧力発生室12に対向
する領域内で圧電体膜70の幅よりも狭く形成されてお
り、その幅方向両端面が圧電体膜70によって覆われて
いる以外は、実施形態1と同様である。
【0192】このような構成とすることにより、圧力発
生室12の下電極膜60の端部近傍で、すなわち、圧電
体能動部320の端部で上電極膜80と下電極膜60と
が確実に絶縁され、これらの間に放電が起こることが無
い。したがって、圧電体膜70の絶縁破壊等を防止する
ことができる。
【0193】(実施形態9)図21は、実施形態9に係
るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断面図
である。
【0194】本実施形態では、図21に示すように、下
電極膜60の幅狭部64が、圧力発生室12に対向する
領域内に形成されているが、圧電体膜70の幅よりも広
い幅で形成され、圧電体膜70及び上電極膜80が幅狭
部64上を介して周壁上まで延設されて圧電体非能動部
330となっている以外は、実施形態8と同様である。
【0195】ここで、一般的に、パッシェン曲線と呼ば
れるグラフで示されるように、電極間の距離が一定値以
下であれば、これらの間に放電が起こらないことがわか
っている。例えば、本実施形態では、幅狭部64の幅方
向端面と上電極膜80の幅方向端面との距離が、およそ
10μm以下であればよく、本実施形態では、これらの
距離が約7μmとなるようにした。
【0196】したがって、このような構成としても、実
施形態8と同様に、圧力発生室12の長手方向端部での
上電極膜80と下電極膜60との間の放電が防止され、
圧電体膜70の絶縁破壊が抑えられる。
【0197】なお、本実施形態では、幅狭部64を圧力
発生室12に対向する領域内に設けるようにしたが、こ
れに限定されず、上電極膜80と下電極膜60との間に
放電が起こらない距離であればよく、例えば、図21
(c)に示すように、幅狭部64を、圧力発生室12の
幅方向周壁上まで延設するようにしてもよい。
【0198】(実施形態10)図22は、実施形態10
に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図である。
【0199】本実施形態は、図22に示すように、下電
極膜60の幅狭部64を先端側ほど幅が漸小する略台形
形状とし、且つ少なくともその先端部分が圧力発生室1
2に対向する領域内で圧電体膜70に覆われるようにし
た以外は、実施形態8と同様である。
【0200】これにより、下電極膜60の端部では圧電
体膜70が薄くなり易く、電界の集中が起こり易いため
圧電体膜70の絶縁破壊等が特に起こり易いが、幅狭部
64の先端部分が圧電体膜70によって覆われて下電極
膜60と上電極膜80とが絶縁されるため、これらの間
に放電が起こることが無く、圧電体膜70の絶縁破壊等
を防止することができる。
【0201】(実施形態11)図23は、実施形態11
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断
面図である。
【0202】本実施形態では、図23に示すように、圧
電体膜70及び上電極膜80が、圧電体能動部320よ
りも狭い幅で圧力発生室12の長手方向一端部から周壁
に対向する領域まで連続的に延設され圧電体非能動部3
30となっており、その端部近傍で上電極膜80と外部
配線とが接続されている。一方、下電極膜60は、基本
的には、各圧力発生室12に対向する領域を覆って形成
されているが、圧電体膜70及び上電極膜80が延設さ
れる領域、すなわち圧電体非能動部330が延設される
領域は、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で除去された
下電極膜除去部340となっている以外は、実施形態1
と同様である。
【0203】ここで、圧電体膜70及び上電極膜80が
圧力発生室12の端部から周壁上に延設される部分と下
電極膜除去部340とは、上電極膜80の縁部が下電極
膜60上から下電極除去部340上へ交差する方向と、
上電極膜80が周壁上に延設される方向とが一致しない
ようにするのが好ましい。すなわち、上電極膜80が下
電極膜60を横切る部分に流れる電流の向きと、延設さ
れた上電極膜80に流れる電流の向きとの角度が大きく
なるようにするのが好ましく、例えば、本実施形態で
は、これら部分に流れる電流の向きの角度が約90°と
なっている。
【0204】このように、本実施形態では、圧電体能動
部320の圧電体膜70及び上電極膜80が周壁上まで
延設される部分の下電極膜60を除去して下電極膜除去
部340とすると共に、それ以外の圧力発生室12に対
向する領域を下電極膜60で覆うようにした。これによ
り、圧電体能動部320を構成する上電極膜80の周囲
には、下電極膜60の端部がなく放電が起こりにくい。
また、圧電体膜70及び上電極膜80の延設部分では、
上電極膜80が下電極膜60を横切る部分に流れる電流
の向きと、延設された上電極膜80に流れる電流の向き
が一致しないようにしたので、延設された上電極膜80
から圧電体能動部320に流れ込む電流が下電極膜60
との交差部分で広がって分散されるため、電界集中等に
よる圧電体膜70の絶縁破壊を防止することができ、ヘ
ッドの耐久性及び信頼性を向上することができる。
【0205】また、例えば、図24に示すように、圧電
体能動部320と圧電体非能動部330との境界部分の
上電極膜80上に、圧電体能動部320の変位を抑制す
る変位抑制層110を設けるようにしてもよい。これに
より、圧電体能動部320の端部での振動を抑えること
ができ、圧電体能動部320の駆動による振動板のクラ
ックの発生等を防止することができる。また、この変位
抑制層110は、例えば、上述したリード電極100と
同一の材料等により、容易に形成することができる。
【0206】なお、本実施形態では、圧電体膜70及び
上電極膜80に対応する領域の下電極膜60を略矩形に
除去して下電極膜除去部340としたが、これに限定さ
れず、例えば、図25(a)に示すように、圧力発生室
12に対向する領域に、略楕円形状の下電極膜除去部3
40を設けるようにしてもよい。また、この場合、圧電
体能動部320よりも細い幅で延設される圧電体膜70
及び上電極膜80の基端部分を、さらに圧電体能動部3
20の内側まで除去するようしてもよい。これにより、
上電極膜80が下電極膜60を横切る部分に流れる電流
の向きと、延設された上電極膜80に流れる電流の向き
との角度が大きくなる、すなわち、延設された上電極膜
80から圧電体能動部320に流れ込む電流の広がる方
向が大きくなり、上電極膜80と下電極膜60との間に
印加される電界がさらに分散される。
【0207】また、例えば、図25(b)に示すように
下電極膜除去部340の形状を略半円形状とすると共
に、圧電体能動部320の長手方向端部の幅を漸次減少
するようにし、下電極膜除去部340の円弧部分で下電
極膜60と上電極膜80とが交差するようにしてもよ
い。これのような構成によっても、上電極膜80が下電
極膜60を横切る部分に流れる電流の向きと、延設され
た上電極膜80に流れる電流の向きとの角度が大きくな
る。したがって、上述と同様に、下電極膜60と上電極
膜80との間に印加される電界が分散される。
【0208】このように、下電極膜除去部340と、圧
電体膜70及び上電極膜80の延設部分との形状は特に
限定されないが、上電極膜80の延設された部分に流れ
る電流の向きと、下電極膜60を横切る部分に流れる電
流の向きとの角度が5°〜180°となるようにするの
が好ましい。
【0209】(実施形態12)図26は、実施形態12
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図であ
る。
【0210】本実施形態では、図26に示すように、下
電極膜60が圧力発生室12の幅方向両側の周壁上の長
手方向略中央部で除去されて下電極膜除去部340とな
っており、圧電体膜70及び上電極膜80が、圧電体能
動部320の長手方向略中央部から下電極膜除去部34
0上を介して周壁上まで延設されて圧電体非能動部33
0となっている。また、周壁上に延設された上電極膜8
0がリード電極100を介して外部配線と接続されてい
る以外は、実施形態11と同様である。
【0211】このように、圧電体膜70及び上電極膜8
0を圧力発生室12の幅方向中央部から延設することに
より、圧電体能動部320の駆動ロスが抑えられ、立ち
上がりを早くすることができ、インク吐出特性を向上す
ることができる。また、勿論、実施形態11と同様の効
果も得ることができる。
【0212】(実施形態13)図27は、実施形態13
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図であ
る。
【0213】本実施形態は、図27に示すように、圧電
体能動部320の圧電体膜70及び上電極膜80が圧力
発生室12の幅方向両側から周壁上まで延設されている
圧電体非能動部330となっている以外は、実施形態1
1と同様である。
【0214】このような構成によっても、実施形態11
と同様の効果が得られる。また、圧力発生室12の両側
から圧電体膜70及び上電極膜80を周壁上に延設する
ようにしたので、圧電体能動部320の駆動ロスをさら
に抑えることができ、インクの吐出特性を向上すること
ができる。
【0215】(実施形態14)図28は、実施形態14
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断
面図である。
【0216】本実施形態は、図28に示すように、圧力
発生室12の隔壁上に、下電極膜60と同一層で構成さ
れる残留部65を設けた例であり、本実施形態では、残
留部65が、圧電体能動部320の下電極膜60と連続
的に圧力発生室12の長手方向に亘って設けられてい
る。すなわち、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁との
境界に対向する領域に下電極膜60を除去した下電極膜
除去部340を設けることにより、隔壁に対向する領域
に残留部65が形成されている以外は、実施形態5と同
様の構成である。
【0217】ここで、下電極膜60の幅方向の端部側面
と残留部65の幅方向の端部側面との間隔h1、及び圧
電体膜70の長手方向端部の側面と周壁上に延設された
下電極膜60が幅広となるまでの間隔h2は、それぞ
れ、圧電体膜70の膜厚より広く、且つ下電極膜60の
幅よりも狭いことが好ましい。
【0218】また、残留部65の幅は、隔壁の幅の50
%以上であることが好ましく、さらに好ましくは、80
%以上である。さらには、並設された複数の圧力発生室
12及びその幅方向両側の隔壁に対向する領域の少なく
とも50%以上の領域に下電極膜60又は残留部65が
形成されていることが好ましい。
【0219】なお、本実施形態では、圧力発生室12の
圧電体膜70及び上電極膜80が延設される側の端部近
傍は、下電極膜60が圧力発生室12の並設方向に亘っ
て細溝状に除去された下電極膜除去部340となってお
り、圧力発生室12の周壁上の下電極膜は圧電体能動部
320を構成する下電極膜60とは不連続な不連続下電
極膜62となっている。そして、この不連続下電極膜6
2上に、圧電体膜70及び上電極膜80が延設されて圧
電体非能動部330となっており、図示しないがその端
部近傍で上電極膜80と外部配線とが接続されている。
【0220】このような構成においても、上述の実施形
態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態では、
圧力発生室12の幅方向両側の隔壁に対向する領域に残
留部65を、好ましくは上述した条件下で設けるように
したので、下電極膜60が除去される領域が非常に少な
く、パターニングされた下電極膜60上に圧電体膜70
を成膜しても、圧電体膜70の膜厚が全体的に略均一と
なり局部的に圧電体膜70の膜厚が薄くなることがな
い。
【0221】また、圧電体膜70の長手方向端部の側面
と周壁上に延設された下電極膜60が幅広となる間での
距離を比較的狭くしているため、圧力発生室12の長手
方向端部近傍でも圧電体膜70の膜厚が均一となる。こ
れにより、圧力発生室12の下電極膜60を引き出す側
の端部近傍の圧電体膜70をイオンミリング等の選択性
のないエッチング方法でエッチングする場合にも、圧電
体膜70の下側の下電極膜60が一緒に除去されて膜厚
が薄くなることがない。したがって、圧力発生室12の
端部近傍の下電極膜60の剛性が低下することがなく耐
久性が向上する。また、このような効果は、上述のよう
に圧電体膜70をゾル−ゲル法等のスピンコート法で形
成した場合に特に顕著であり、その他に、例えば、MO
D法(有機金属熱塗布分解法)等で形成するようにして
もよい。
【0222】(実施形態15)図29は、実施形態15
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図であ
る。
【0223】本実施形態では、図29に示すように、圧
力発生室12の幅方向の隔壁上に設けられる残留部65
が、圧電体能動部320を構成する下電極膜60ではな
く、不連続下電極膜62と連続的に設けられている以
外、実施形態14と同様である。
【0224】このような構成によっても、圧電体膜70
の膜厚が薄くなることがなく、実施形態14と同様の効
果を得ることができる。
【0225】(実施形態16)図30は、実施形態16
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断
面図である。
【0226】図30に示すように、本実施形態では、圧
電体能動部320の圧電体非能動部330との境界とな
る下電極膜60の端部に、圧電体能動部320の外側に
向かって下電極膜60の膜厚が漸小する膜厚漸小部66
を設けるようにした以外は、実施形態1と同様である。
また、この膜厚漸小部66の形状は、特に限定されない
が、例えば、本実施形態では、下電極膜60の膜厚が連
続的に漸小する傾斜面となっている。
【0227】このように、本実施形態では、圧電体能動
部320の端部となる下電極膜60の端部に、圧電体能
動部320の外側に向かって膜厚が漸小する膜厚漸小部
66を設けるようにした。これにより、圧電体膜70
は、膜厚漸小部66を含む下電極膜60上にその形状に
沿って形成され、全体の膜厚が略均一となる。すなわ
ち、下電極膜60の端部での圧電体膜70の膜厚が薄く
なることがなく、圧電体能動部320の端部近傍での圧
電体膜70の電界集中等による絶縁破壊を形成すること
ができる。
【0228】なお、本実施形態では、膜厚漸小部66を
膜厚が連続的に漸小する傾斜面とするようにしたが、こ
れに限定されず、例えば、図31(a)に示すように、
膜厚漸小部66Aを、膜厚が間欠的に漸小して断面が略
階段状とするようにしてもよい。このような膜厚漸小部
66Aの形成方法も、特に限定されず、例えば、下電極
膜60上に、レジストを複数回塗布して下電極膜60の
膜厚漸小部66Aとなる領域に膜厚漸小部66Aと略同
一の階段状のレジスト膜を形成後、下電極膜60をパタ
ーニングすることにより形成することができる。
【0229】また、例えば、図31(b)に示すよう
に、断面が傾斜曲面で構成される膜厚漸小部66Bとし
てもよい。このような膜厚漸小部66Bの形成方法も特
に限定されず、例えば、弾性膜50上の下電極膜60を
形成しない領域及び膜厚漸小部66Bとなる領域をマス
クで覆い、いわゆるマスク蒸着によって下電極膜60を
成膜することにより形成される。すなわち、下電極膜6
0が、マスクで覆った領域の一部にも、マスクの隙間か
ら回り込んで形成され断面が傾斜曲面の膜厚漸小部66
Bとなる。また、勿論上述のように、下電極膜60上に
膜厚漸小部66Bと略同一形状のレジスト膜を形成後、
下電極膜60をパターニングすることにより形成するこ
とができる。
【0230】(実施形態17)図32は、実施形態17
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断
面図である。
【0231】本実施形態は、下電極膜60の長手方向外
側に絶縁材料からなる絶縁膜を設けた例である。すなわ
ち、本実施形態では、図32に示すように、圧力発生室
12に対向する領域の弾性膜50上に下電極膜60、圧
電体膜70及び上電極膜80からなる圧電体能動部32
0が形成されており、この圧電体能動部320と圧電体
非能動部330の境界となる下電極膜60の端部の外側
に、例えば、下電極膜60の膜厚と略同一の膜厚を有す
る絶縁膜55を形成するようにした。この絶縁膜55の
材料は、特に限定されず、例えば、弾性膜50とは異な
る絶縁材料であってもよい。
【0232】また、本実施形態では、下電極膜60をパ
ターニング後、その長手方向一端部外側に絶縁膜55を
形成し、その上に、圧電体膜70及び上電極膜80を成
膜及びパターニングして圧電体能動部320及び圧電体
非能動部330を形成するようにした。これにより、下
電極膜60の端部で圧電体膜70の膜厚が薄くなること
がなく、この部分での圧電体膜70の電界集中等による
絶縁破壊を防止することができる。また、このような構
成においても、勿論、上述の実施形態と同様の効果を得
ることができる。
【0233】(実施形態18)図33は、実施形態18
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断
面図である。
【0234】本実施形態は、図33に示すように、圧電
体能動部320と圧電体非能動部330との境界部分で
ある下電極膜60の端部の外側に絶縁膜55の代わり
に、弾性膜50の膜厚が他の部分よりも厚い、例えば、
本実施形態では、下電極膜60の膜厚分よりも厚い厚膜
部50aを設けるようにした以外は、実施形態17と同
様である。
【0235】また、本実施形態では、弾性膜50をパタ
ーニングして所定位置に厚膜部50aを形成後、圧電体
膜70及び上電極膜80を成膜及びパターニングして圧
電体能動部320及び圧電体非能動部330を形成する
ようにした。これにより、下電極膜60の端部に対応す
る領域の圧電体膜70の膜厚が他の部分より薄くなるこ
とがなく、この部分での圧電体膜70の電界集中等によ
る絶縁破壊を形成することができる。また、このような
構成においても、上述の実施形態と同様の効果が得られ
る。
【0236】(実施形態19)図34は、実施形態19
に係るインクジェット式記録ヘッドの要部平面図及び断
面図である。
【0237】本実施形態は、図34に示すように、下電
極膜60の端部よりも内側に上電極膜80の端部を形成
した例であり、この上電極膜80の端部が圧電体能動部
320の端部となっている。また、例えば、本実施形態
では、圧電体膜70の端部は下電極膜60の端部と略同
一位置であり上電極膜80の端部よりも外側に突出した
下電極膜60上にも圧電体膜70は形成されており、こ
の部分が実質的に駆動されない圧電体非能動部330と
なっている。
【0238】なお、本実施形態では、下電極膜60と配
線用下電極膜61との間の下電極膜60が除去された下
電極膜除去部340には、本実施形態では、圧電体膜7
0が除去されずに残留されており下電極膜60とリード
電極100とが絶縁されている。
【0239】このように本実施形態では、圧電体能動部
320のリード電極100の引き出し側の端部外側に、
例えば、上電極膜80を除去することにより、連続的に
圧電体非能動部330を設けるようにした。これによ
り、圧電体能動部320の端部である上電極膜80の端
部と下電極膜60の端部との距離を大きくすることがで
きる。このため、圧電体能動部320への電圧印加によ
っても、圧電体能動部320の端部での電界強度が大き
くなることがなく、圧電体膜70の絶縁破壊等を防止す
ることができる。また、圧電体能動部320の圧電体膜
70の厚さが均一となるため圧電特性が向上する。な
お、このような構成によっても、上述の実施形態と同様
の効果が得られる。
【0240】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0241】例えば、上述した各実施形態では、下電極
膜60の端部を圧電体能動部320の端部とし、その上
の圧電体膜70及び上電極膜80をそれより外側まで延
設して圧電体非能動部330を設け、圧電体能動部32
0の端部の破壊を防止しているが、他端部では、圧力発
生室12内で圧電体膜70及び上電極膜80をパターニ
ングすることにより圧電体能動部320の端部となって
いる。このような端部は圧電体膜70及び上電極膜80
の剥がれ等が生じる可能性があるが、例えば、接着剤等
により固定したり、あるいは圧電素子300の圧電体膜
70とは不連続の不連続圧電体膜等で覆うことにより圧
電体能動部320の端部を保護して、耐久性を向上する
ようにしてもよい。
【0242】また、例えば、上述した封止板20の他、
共通インク室形成基板30をガラスセラミックス製とし
てもよく、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラス
セラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自
由である。
【0243】また、上述した実施形態では、ノズル開口
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0244】このように構成した実施形態の分解斜視図
を図35、その流路の断面を図36にぞれぞれ示す。こ
の実施形態では、ノズル開口11が圧電素子とは反対の
ノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と
圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止
板20,共通インク室形成基板30及び薄肉板41A及
びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0245】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述し
た実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付し
て重複する説明は省略する。
【0246】ここで、この実施形態においても、上述の
実施形態と同様に、コンタクトホールを介さず、圧電体
能動部に電圧を印加することができるため、弾性膜の変
位効率を向上することができる。
【0247】勿論、以上説明した各実施形態は、適宜組
み合わせて実施することにより、より一層の効果を奏す
るものであることは言うまでもない。
【0248】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は水熱法等の結晶成長により圧電体膜
を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録
ヘッドに本発明を採用することができる。
【0249】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0250】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図37、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
【0251】図37に示すように、インクジェット式記
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0252】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿
ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図
示しない紙送りモータの駆動力により回転できるように
なっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記
録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられ
て搬送されるようになっている。
【0253】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
圧電体能動部から連続して、圧電体膜を有するが実質的
に駆動しない圧電体非能動部を設けることにより、コン
タクトホールを形成することなく圧電体能動部に電圧を
印加することができ、圧電体能動部を圧力発生室に対向
する領域内に設けることができるため、変位特性及び信
頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図であ
る。
【図3】図1の封止板の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図6】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図8】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの変形例を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態2に係るインクジェット式
記録ヘッドの変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態2に係るインクジェット式
記録ヘッドの変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の実施形態3に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図13】本発明の実施形態3に係るインクジェット式
記録ヘッドの変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の実施形態4に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図15】本発明の実施形態4に係るインクジェット式
記録ヘッドの変形例を示す平面図及び断面図である。
【図16】本発明の実施形態5に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図17】本発明の実施形態5に係るインクジェット式
記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図18】本発明の実施形態6に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図19】本発明の実施形態7に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図20】本発明の実施形態8に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図21】本発明の実施形態9に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図22】本発明の実施形態10に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図23】本発明の実施形態11に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図24】本発明の実施形態11に係るインクジェット
式記録ヘッドの変形例を示す平面図である。
【図25】本発明の実施形態11に係るインクジェット
式記録ヘッドの変形例を示す平面図である。
【図26】本発明の実施形態12に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図27】本発明の実施形態13に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図28】本発明の実施形態14に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図29】本発明の実施形態15に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図30】本発明の実施形態16に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図31】本発明の実施形態16に係るインクジェット
式記録ヘッドの変形例を示す断面図である。
【図32】本発明の実施形態17に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図33】本発明の実施形態18に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図34】本発明の実施形態19に係るインクジェット
式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図35】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図36】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドを示す断面図である。
【図37】本発明の一実施形態に係るインクジェット式
記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 ノズル開口 12 圧力発生室 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 300 圧電素子 320 圧電体能動部 330 圧電体非能動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 勝人 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 守谷 壮一 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF52 AF65 AG12 AG37 AG44 AG90 AG92 AG93 AG94 BA04 BA14

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室と、こ
    の圧力発生室に対応する領域に絶縁層を介して設けられ
    た下電極、該下電極上に設けられた圧電体層及び該圧電
    体層の表面に設けられた上電極からなる圧電素子とを備
    えるインクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記圧電素子は、前記圧力発生室に対向する領域に設け
    られた実質的な駆動部となる圧電体能動部と、該圧電体
    能動部から連続する前記圧電体層を有するが実質的に駆
    動されない圧電体非能動部とを有することを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記圧電体層は、結
    晶が優先配向していることを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記圧電体層は、結
    晶が柱状となっていることを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧
    電体非能動部が前記圧力発生室に対向する領域内から領
    域外まで延設されていることを特徴とするインクジェッ
    ト式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧
    電体非能動部は前記下電極が除去されて形成され、当該
    圧電体非能動部を介して前記上電極又は当該上電極に接
    続したリード電極が前記圧力発生室の周壁上まで延設さ
    れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記上
    電極の端部は前記下電極の端部よりも内側に位置して前
    記圧電体能動部の端部となっており、前記上電極の端部
    より外側に突出した前記下電極上には前記圧電体層が設
    けられて前記圧電体非能動部を構成すると共に前記下電
    極の端部の外側にも前記圧電体層が設けられていること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧
    電体非能動部は、前記圧電体能動部の長手方向一端部に
    連続的に設けられていることを特徴とするインクジェッ
    ト式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記圧電体非能動部
    の少なくとも前記圧力発生室の端部と周壁との境界を横
    切る部分近傍の幅が、前記圧電体能動部の幅より狭くな
    っていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  9. 【請求項9】 請求項7において、前記圧電体非能動部
    の少なくとも前記圧力発生室の端部と周壁との境界を横
    切る部分近傍の幅が、前記圧力発生室の幅より広くなっ
    ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
    圧電体能動部と前記圧電体非能動部との境界に対向する
    領域には、当該圧電体能動部の変位を抑制する変位抑制
    層が設けられていることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れかにおいて、前
    記下電極は、前記圧力発生室の幅方向両側の隔壁及び隣
    接する前記圧力発生室に対向する領域まで連続して設け
    られていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10の何れかにおいて、前
    記下電極は、幅方向両端部が前記圧電体層の幅方向両端
    部と共に前記圧力発生室内に位置するように設けられ、
    且つ前記圧電体非能動部が設けられた長手方向一端部と
    は反対側の他端部から前記圧力発生室の周壁上まで延設
    されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11の何れかにおいて、前
    記圧電体非能動部以外の前記圧力発生室に対向する領域
    は前記下電極によって覆われていることを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項4〜13の何れかにおいて、前
    記圧電体非能動部の下側の前記下電極の除去される幅
    が、前記圧力発生室の幅よりも狭いことを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項13において、前記圧電体非能
    動部が、前記圧力発生室の長手方向略中央部から前記圧
    力発生室の幅方向の少なくとも一方の周壁上に延設され
    ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項13〜15の何れかにおいて、
    前記圧電体非能動部の下側の前記下電極が除去された部
    分が、略円形形状を有することを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッド。
  17. 【請求項17】 請求項13〜16の何れかにおいて、
    前記上電極の縁部が前記下電極上から前記下電極除去部
    上へ交差する方向と、当該上電極が周壁上に延設される
    方向とが一致しないことを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17の何れかにおいて、前
    記圧電体能動部の前記圧電体非能動部側の端部近傍に対
    向する部分の前記下電極の幅が、他の部分の幅より狭い
    幅狭部となっていることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  19. 【請求項19】 請求項18において、前記下電極の前
    記幅狭部の少なくとも先端部の幅が、前記圧電体非能動
    部の圧電体層及び上電極より狭いことを特徴とするイン
    クジェット式記録ヘッド。
  20. 【請求項20】 請求項18において、前記下電極の前
    記幅狭部の全体の幅が前記圧電体非能動部の圧電体層及
    び上電極より狭いことを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッド。
  21. 【請求項21】 請求項18において、前記下電極の前
    記幅狭部の幅が前記圧電体非能動部の圧電体層及び上電
    極の幅より幅広で、前記幅狭部の幅方向端面と前記上電
    極の幅方向端面との距離が約10μm以下であることを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  22. 【請求項22】 請求項4〜21の何れかにおいて、前
    記圧力発生室と周壁との境界部分に対向する領域の前記
    圧電体層の下側には、前記下電極とは不連続の不連続下
    電極が設けられていることを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッド。
  23. 【請求項23】 請求項22において、前記不連続下電
    極は、少なくとも前記圧力発生室の縁部を覆って設けら
    れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  24. 【請求項24】 請求項22又は23において、前記不
    連続下電極は、前記下電極の前記圧力発生室の長手方向
    端部近傍に設けられ、前記圧力発生室の並設方向に延び
    る下電極除去部によって、前記下電極と不連続となって
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  25. 【請求項25】 請求項22〜24の何れかにおいて、
    前記不連続下電極は、何れにも電気的に接続されていな
    いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  26. 【請求項26】 請求項22〜24の何れかにおいて、
    前記不連続下電極は、充電される時定数が駆動パルスよ
    りも大きくなるように抵抗に接続されていることを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  27. 【請求項27】 請求項22〜26の何れかにおいて、
    前記不連続下電極の前記下電極とは反対側の前記周壁上
    には、前記不連続下電極と不連続であり且つ一端が外部
    配線に接続される配線用下電極が前記各圧電素子毎に設
    けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  28. 【請求項28】 請求項22〜24の何れかにおいて、
    前記不連続下電極が、前記圧力発生室の幅方向に前記各
    圧電体能動部毎に分離されており、それぞれ前記各圧電
    体能動部の前記上電極又はその上に接続されるリード電
    極と接続されていることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  29. 【請求項29】 請求項28において、前記各不連続下
    電極及び前記下電極が、それぞれ絶縁可能な程度の間隔
    を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  30. 【請求項30】 請求項28又は29において、隣接す
    る前記不連続下電極の間には、何れにも接続されない中
    間電極を有することを特徴とするインクジェット式記録
    ヘッド。
  31. 【請求項31】 請求項22〜30の何れかにおいて、
    前記圧電素子に対応する領域以外の前記下電極膜除去部
    の少なくとも一部に、前記圧電体層が残留されているこ
    とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  32. 【請求項32】 請求項1〜31の何れかにおいて、前
    記圧力発生室の幅方向両側の隔壁上には前記下電極と同
    一の層により構成される残留部が設けられていることを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  33. 【請求項33】 請求項32において、前記圧電体能動
    部の前記下電極の端部の外側には、当該下電極とは不連
    続の不連続下電極が設けられ、前記残留部が当該不連続
    下電極から連続的に延設されていることを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッド。
  34. 【請求項34】 請求項32において、前記残留部が前
    記圧電素子を構成する前記下電極と連続的に設けられて
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  35. 【請求項35】 請求項32〜34の何れかにおいて、
    前記下電極の幅方向端面と前記残留部の幅方向端面との
    間隔が、前記圧電体層の厚さよりも広く且つ前記下電極
    の幅よりも狭いことを特徴とするインクジェット式記録
    ヘッド。
  36. 【請求項36】 請求項32〜35の何れかにおいて、
    前記下電極が周壁上まで延設される前記圧力発生室の端
    部近傍に前記圧電体層の長手方向端部が存在し、当該端
    部から外側に延設された前記下電極が幅広となるまでの
    距離が、前記圧電体層の厚さよりも広く且つ前記下電極
    の幅よりも狭いことを特徴とするインクジェット式記録
    ヘッド。
  37. 【請求項37】 請求項32〜36の何れかにおいて、
    前記残留部の幅が、隣接する圧力発生室間の隔壁の幅の
    50%以上であることを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッド。
  38. 【請求項38】 請求項32〜37の何れかにおいて、
    前記下電極及び前記残留部が、並設された複数の前記圧
    力発生室及びその幅方向両側の隔壁に対応する領域の5
    0%以上の幅の領域に形成されていることを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッド。
  39. 【請求項39】 請求項32〜38の何れかにおいて、
    前記下電極及び前記残留部が、前記圧力発生室が形成さ
    れる流路形成基板の全面積の50%以上の領域に形成さ
    れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  40. 【請求項40】 請求項1〜39の何れかにおいて、前
    記圧電体層の結晶組織が前記下電極上と前記絶縁層上と
    略同一であることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  41. 【請求項41】 請求項40において、前記絶縁層の表
    面に前記圧電体層の結晶の核となる結晶種が形成されて
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  42. 【請求項42】 請求項41において、前記結晶種が島
    状に形成されていることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  43. 【請求項43】 請求項4〜42の何れかにおいて、前
    記下電極の端部の外側には、第2の絶縁層が設けられて
    いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  44. 【請求項44】 請求項43において、前記第2の絶縁
    層が前記下電極と略同一の膜厚を有することを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  45. 【請求項45】 請求項43又は44において、前記第
    2の絶縁層が前記絶縁層とは異なる絶縁材料からなるこ
    とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  46. 【請求項46】 請求項4〜42の何れかにおいて、前
    記下電極の端部の外側の前記絶縁層に厚膜部が設けられ
    ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  47. 【請求項47】 請求項46において、前記厚膜部が前
    記下電極と略同一の膜厚であることを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッド。
  48. 【請求項48】 請求項4〜42の何れかにおいて、前
    記下電極の端部には前記圧電体能動部の外側に向かって
    前記下電極の膜厚が漸小する膜厚漸小部が設けられてい
    ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  49. 【請求項49】 請求項48において、前記膜厚漸小部
    は、前記下電極の膜厚が連続的に漸小する傾斜面となっ
    ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  50. 【請求項50】 請求項48において、前記膜厚漸小部
    は、前記下電極の膜厚が階段状に漸小していることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  51. 【請求項51】 請求項48において、前記膜厚漸小部
    は、前記下電極の膜厚が連続的に漸小する傾斜曲面とな
    っていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  52. 【請求項52】 請求項48〜51の何れかにおいて、
    前記膜厚漸小部上に形成される前記圧電体層の膜厚が、
    他の部分の膜厚よりも厚いことを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッド。
  53. 【請求項53】 請求項7〜52の何れかにおいて、前
    記圧電体能動部の前記一端部近傍の構造を他端部側にも
    有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  54. 【請求項54】 請求項7〜52の何れかにおいて、前
    記圧電体能動部の他端部は、前記圧電体層及び前記上電
    極の端部により形成され、この圧電体能動部の他端部
    は、前記圧電体層とは不連続の不連続圧電体層によって
    覆われていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  55. 【請求項55】 請求項7〜52の何れかにおいて、前
    記圧電体能動部の他端部は、前記圧電体層及び前記上電
    極の端部により形成され、この圧電体能動部の他端部
    は、接着剤によって固定されていることを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッド。
  56. 【請求項56】 請求項1〜55の何れかにおいて、前
    記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチング
    により形成され、前記下電極、圧電体層、上電極の各層
    が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものである
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  57. 【請求項57】 請求項1〜56の何れかのインクジェ
    ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
    ェット式記録装置。
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