JP2003127365A - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置Info
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Abstract
ことのできるインクジェット式記録ヘッド及びインクジ
ェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 インクを吐出するノズル開口に連通する
圧力発生室12が画成される流路形成基板10と、流路
形成基板10の一方面側に振動板を介して設けられる下
電極60、圧電体層70及び上電極80からなる圧電素
子300とを具備するインクジェット式記録ヘッドにお
いて、流路形成基板10の圧電素子300側の面に、圧
電素子300に対向する領域に空間を確保した状態でこ
の空間を密封する封止部32を有する封止基板30を具
備し、且つこの封止基板30を圧電素子300の上電極
80を構成する上電極膜に接合することにより、流路形
成基板10と封止基板30とを強固に接合する。
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素
子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電アクチュエータの厚みを薄くできて高速
駆動が可能になるという利点がある。
パッタリングにより構成した場合、グリーンシートを焼
成して構成されたものと略同一電圧で駆動すると、圧電
素子が薄い分だけ高い電界が印加され、大気中の湿気を
吸収した場合には駆動電極間のリーク電流が増加しやす
く、ついには絶縁破壊に至るという問題がある。
子を封止するための封止部を有する封止基板を圧力発生
室が形成される流路形成基板に接着した構造が提案され
ている。
うなインクジェット式記録ヘッドでは、圧電素子がパタ
ーニングされた流路形成基板上に封止基板が接着される
ため、接着強度が低くなってしまうという問題がある。
すなわち、圧電素子をパターニングすることによって、
流路形成基板の封止基板との接合部分に段差が形成され
てしまうため、封止基板を良好に接着できないという問
題がある。
たリード電極上に接着する場合、流路形成基板と封止基
板とを接着するための接着剤が、リード電極上に流れ出
してしまう虞があり、この接着剤によってリード電極と
圧電素子を駆動するための外部配線あるいは駆動回路と
接続する接続配線の実装強度が低下してしまうという問
題がある。
成基板と封止基板とを良好に接合することのできるイン
クジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、インクを吐出するノズル開口に連通
する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路形
成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、
圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備するイン
クジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の
前記圧電素子側の面に、前記圧電素子に対向する領域に
空間を確保した状態で当該空間を密封する封止部を有す
る封止基板を具備し、且つ該封止基板が前記圧電素子の
上電極を構成する上電極膜に接合されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
膜に接合されているため、接合強度が向上すると共に封
止部を確実に封止することができる。
て、前記流路形成基板の前記封止基板が接合される領域
には、少なくとも最上層に前記上電極とは不連続の不連
続上電極膜を有する接合層が設けられていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
層に介して流路形成基板と接合される。
において、前記圧電素子が前記封止部の外側まで連続的
に延設されていることを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
圧電素子を介して流路形成基板と接合される。
て、前記圧電素子が実質的な駆動部である圧電体能動部
と該圧電体能動部から連続する圧電体層を少なくとも有
するが実質的に駆動されない圧電体非能動部とを有し、
且つこの圧電体非能動部が前記封止部内から当該封止部
の外側まで延設されていることを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
れる領域の圧電素子が駆動されることがないため、封止
基板の接合状態を良好に保持できる。
て、前記圧電体非能動部の前記封止基板が接合される領
域には、前記圧電体能動部の下電極を構成する下電極膜
からなり且つこの下電極とは不連続の不連続下電極膜が
設けられていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
れる領域の上電極膜の高さ合わせが容易となる。
の態様において、一端が外部配線に接続されるリード電
極が、前記封止部の外側で前記圧電素子に電気的に接続
されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドにある。
れる領域にリード電極が形成されていないため接合基板
の接合強度が向上する。また、封止基板を接着剤によっ
て接合する場合、この接着剤がリード電極上にはみ出す
ことがなく、リード電極にワイヤボンディングによって
配線を強固に接続することができる。
の態様において、前記接合層が、各圧電素子の間にそれ
ぞれ独立して設けられていることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
れる面の段差が実質的になくなって略平坦となるため、
封止基板を良好に接合することができる。
の態様において、前記接合層が、前記圧電素子を構成す
る層であり且つ当該圧電素子とは不連続の層からなるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
成できると共に、接合層の高さ合わせが容易となる。
の態様において、前記上電極膜が、ルテニウム、酸化ル
テニウム、イリジウム及び白金からなる群から選択され
る材料で形成されていることを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドにある。
材料で形成することにより、封止基板の接合強度が確実
に向上する。
れかの態様において、前記接合基板が、シリコン単結晶
基板からなることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
に形成できると共に、封止基板を接合する際に流路形成
基板等に割れが発生するのを防止できる。
れかの態様において、前記封止基板が各圧力発生室の共
通インク室の少なくとも一部を構成するリザーバ部を有
することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
ーバ形成基板を兼ねるため、別途リザーバ形成基板を設
ける必要がなく、製造コストを低減することができる。
れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶
基板を異方性エッチングすることによって形成され、前
記圧電素子の各層が薄膜及びリソグラフィ法により形成
されたものであることを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドにある。
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に製造することができる。
れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備するこ
とを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
防止して、耐久性及び信頼性を向上したインクジェット
式記録装置を実現することができる。
て詳細に説明する。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A’断面図
である。また、図3は、図2の平面図のB−B’断面図
及びC−C’断面図である。
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁11により区画された圧力発生室12が幅方
向に並設され、その長手方向外側には、後述するリザー
バ形成基板30のリザーバ部31に連通して各圧力発生
室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を
構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長
手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通
されている。
結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われ
る。例えば、本実施形態では、シリコン単結晶基板をK
OH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて
(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1
の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(11
0)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが
出現し、(110)面のエッチングレートと比較して
(111)面のエッチングレートが約1/180である
という性質を利用して行われる。かかる異方性エッチン
グにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第
2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加
工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室
12を高密度に配列することができる。
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12よ
り浅く形成されており、圧力発生室12に流入するイン
クの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク
供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中ま
でエッチング(ハーフエッチング)することにより形成
されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時
間の調整により行われる。
各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通
するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が
接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。な
お、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1
mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜
4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又
は不錆鋼などからなる。ノズルプレート20は、一方の
面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン
単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果
たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10
と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよ
い。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート
20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の
接着剤等を用いて容易に接合することができる。
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口21の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口21は数十μmの直径で精度よく形成する必要
がある。
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部が形成されていることになる。また、ここでは、
圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位
が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称す
る。
傍には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90
が上電極膜80から弾性膜50上まで延設されており、
このリード電極90は、接続配線を介して後述する駆動
回路110に電気的に接続されている。
基板10上には、リザーバ100の少なくとも一部を構
成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が
接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態で
は、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発
生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のよう
に流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発
生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成
している。
00に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害
しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可
能な圧電素子保持部32が設けられ、圧電素子300は
この圧電素子保持部32内に密封されている。なお、本
実施形態では、圧電素子保持部32が圧電素子300の
列毎に設けられているが、勿論、この圧電素子保持部3
2は、複数の圧電素子300の列に亘って一体的に設け
るようにしてもよい。
しては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、
例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ま
しく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料の
シリコン単結晶基板を用いて形成した。これにより、熱
硬化性の接着剤を用いた高温での接着であっても両者を
確実に接着することができる。
子保持部32に対応する領域上には、各圧電素子300
を駆動するための、例えば、半導体集積回路(IC)等
の駆動回路110が搭載されている。そして、この駆動
回路110は、リザーバ形成基板30の圧電素子保持部
32とリザーバ部31との間の領域に設けられた貫通部
33を介して延設されたボンディングワイヤ等からなる
接続配線120によって、各リード電極90とそれぞれ
電気的に接続されている。
成基板30の圧電素子保持部32の内側から貫通部33
に対向する領域まで連続的に延設されており、リード電
極90は、この貫通部33内で延設されている。
は、圧力発生室12に対応する領域に設けられて実質的
な駆動部となる圧電体能動部320と、圧電体能動部3
20から連続する圧電体層を少なくとも有するが実質的
に駆動されない圧電体非能動部330とを有し、この圧
電体非能動部330が圧電素子保持部32内から貫通部
33内まで延設されている。
では、圧電体層70と上電極膜80とが圧電体能動部3
20から連続的に延設され、リザーバ形成基板30が接
合される領域の圧電体層70の下側には、圧電体能動部
320を構成する下電極膜60と同一の層からなり且つ
下電極膜60とは不連続の不連続下電極膜61が設けら
れている。
が形成される領域以外の領域、すなわち、流路形成基板
10のリザーバ形成基板30が接合される領域には、圧
電素子300の上電極膜80と同一層からなり且つこの
上電極膜80とは不連続の不連続上電極膜81を有する
接合層130が設けられている。
は、圧電素子300を構成し且つ圧電素子300とは不
連続の層で形成されている。すなわち、本実施形態の接
合層130は、不連続下電極膜61と、圧電素子300
の圧電体層70と同一層からなり且つこの圧電体層70
とは不連続の不連続圧電体層71と、不連続上電極膜8
1とからなり、圧電素子300と略同一の高さで形成さ
れている。
うな圧電体非能動部330を構成する上電極膜80と、
接合層130の不連続上電極膜81とに、接着剤等によ
って接着されることになる。上述したように、この上電
極膜80と不連続上電極膜81とは略同一の高さであ
り、リザーバ形成基板30が接合される面に実質的に段
差がないため、リザーバ形成基板30を良好に接合する
ことができる。
層130が、各圧電体非能動部330の間にもそれぞれ
独立して設けられている(図3(b)参照)。これによ
り、圧電素子300が形成されている領域でも、リザー
バ形成基板30が接合される領域は、実質的に段差がな
くなり略平坦となっている。
形成基板10にさらに良好に接合することができ、圧電
素子保持部32も確実に封止することができる。すなわ
ち、圧電素子300と接合層130とが略同一の高さで
あり、流路形成基板10のリザーバ形成基板30が接合
される全ての領域が実質的に略平坦となっているため、
接着時の荷重を面内方向で容易に均一化することがで
き、両者を良好に接着することができる。
に大気中の水分が侵入するのを確実に防止することがで
き、水分に起因する圧電素子300の破壊を防止するこ
とができる。
32の外側の貫通部33内にリード電極90を延設する
ようにしたので、流路形成基板10とリザーバ形成基板
30とを接着するための接着剤が、リード電極90上ま
ではみ出すことがないため、ワイヤボンディングによっ
て接続配線120をリード電極90に良好に接続するこ
とができる。
電素子300を構成する層で形成されているが、接合層
130は、最上層に圧電素子300の上電極膜80とは
不連続の不連続上電極膜81を有していればよく、その
他の層は、勿論、圧電素子300を構成する層とは別の
層で形成するようにしてもよい。
には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライ
アンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41
は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6
μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィル
ム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31
の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属
等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス
鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザ
ーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去さ
れた開口部43となっているため、リザーバ100の一
方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止され、内部
圧力の変化によって変形可能な可撓部34となってい
る。
記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からイ
ンクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に
至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路110か
らの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞ
れの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加
し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわ
み変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が
高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
式記録ヘッドの製造方法は、特に限定されないが、その
一例を図4〜図6を参照して説明する。図4〜図6は、
圧力発生室12の長手方向の一部を示す断面図である。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
リングで下電極膜60を弾性膜50の全面に形成後、下
電極膜60を圧電素子300に対応する領域にパターニ
ングすると共に、リザーバ形成基板30が接合される領
域に圧電素子300を構成する下電極膜60とは不連続
の不連続下電極膜61を形成する。この下電極膜60
(不連続下電極膜61)の材料としては、白金(Pt)
等が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲ
ル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰
囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温
度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すな
わち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰
囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電
体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用い
た場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ない
ことが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
70を成膜する。この圧電体層70は、結晶が配向して
いることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有
機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥し
てゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物か
らなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用
いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層
70とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使
用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の
成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング
法で形成してもよい。
法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、
アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長さ
せる方法を用いてもよい。
体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向
しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶
が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の
配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の
方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜
とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させ
た状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状
態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された
薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造
された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmであ
る。
80をスパッタリング等によって成膜する。この上電極
膜80は、導電性の高い材料であり且つシリコン単結晶
基板からなるリザーバ形成基板30との接着性が良好な
材料を用いることが好ましい。このため、上電極膜80
の材料としては、例えば、ルテニウム、酸化ルテニウ
ム、白金、イリジウム等を用いることが好ましく、本実
施形態では、酸化ルテニウムを用いた。
70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子3
00を形成すると共に、不連続下電極膜61上に不連続
圧電体層71及び不連続上電極膜81をパターニングし
て接合層130を形成する。
極90を形成する。具体的には、例えば、金(Au)等
からなるリード電極90を流路形成基板10の全面に亘
って形成すると共に、各圧電素子300毎にパターニン
グする。
して膜形成を行った後、前述したアルカリ溶液によるシ
リコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、図5
(c)に示すように、圧力発生室12、連通部13及び
インク供給路14等を形成する。
成基板10上に設けられた接合層130及び圧電素子3
00(圧電体非能動部330)上に接着剤によってリザ
ーバ形成基板30を接着する。
層130及び圧電素子300上に接合することにより、
すなわち、上電極膜80及び不連続上電極膜81に接合
することにより、リザーバ形成基板30と流路形成基板
10とを良好に接合することができる。特に、本実施形
態では、圧電素子300と接合層130との高さを略同
一としているため、リザーバ形成基板30が接合される
面が実質的に平坦となり、リザーバ形成基板30をさら
に良好に接合することができる。
に、流路形成基板10のリザーバ形成基板30とは反対
側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート2
0を接合すると共に、リザーバ形成基板30上にコンプ
ライアンス基板40を接合する。そして、図示しない
が、リザーバ形成基板30上に駆動回路110を搭載す
ると共に、この駆動回路110とリード電極90とを接
続する接続配線120をワイヤボンディングによって形
成して、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとす
る(図2(b)参照)。
子保持部32の外側の貫通部33内に形成されているた
め、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着
するための接着剤はリード電極90上まではみ出してい
ることはない。したがって、接続配線120とリード電
極90との接合強度が向上し、耐久性及び信頼性を向上
したインクジェット式記録ヘッドを実現することができ
る。
び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチ
ップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すよう
な一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割す
る。そして、分割した流路形成基板10に、リザーバ形
成基板30及びコンプライアンス基板40を順次接着し
て一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
ソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のイン
クジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定
されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付す
る等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式
記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
板を圧電素子の上電極を構成する上電極膜に接合するよ
うにしたので、封止基板と流路形成基板との接合強度が
向上すると共に封止部を確実に密封することができる。
したがって、大気中の水分が封止部に侵入することがな
く、大気中の水分による圧電素子の破壊を確実に防止す
ることができる。
録ヘッドの概略を示す斜視図である。
録ヘッドを示す平面図及び断面図である。
録ヘッドを示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録装置の概略図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 インクを吐出するノズル開口に連通する
圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路形成基
板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電
体層及び上電極からなる圧電素子とを具備するインクジ
ェット式記録ヘッドにおいて、 前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に、前記圧電素
子に対向する領域に空間を確保した状態で当該空間を密
封する封止部を有する封止基板を具備し、且つ該封止基
板が前記圧電素子の上電極を構成する上電極膜に接合さ
れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記流路形成基板の
前記封止基板が接合される領域には、少なくとも最上層
に前記上電極とは不連続の不連続上電極膜を有する接合
層が設けられていることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記圧電素子
が前記封止部の外側まで連続的に延設されていることを
特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項4】 請求項3において、前記圧電素子が実質
的な駆動部である圧電体能動部と該圧電体能動部から連
続する圧電体層を少なくとも有するが実質的に駆動され
ない圧電体非能動部とを有し、且つこの圧電体非能動部
が前記封止部内から当該封止部の外側まで延設されてい
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項5】 請求項4において、前記圧電体非能動部
の前記封止基板が接合される領域には、前記圧電体能動
部の下電極を構成する下電極膜からなり且つこの下電極
とは不連続の不連続下電極膜が設けられていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項6】 請求項3〜5の何れかにおいて、一端が
外部配線に接続されるリード電極が、前記封止部の外側
で前記圧電素子に電気的に接続されていることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項3〜6の何れかにおいて、前記接
合層が、各圧電素子の間にそれぞれ独立して設けられて
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項8】 請求項2〜7の何れかにおいて、前記接
合層が、前記圧電素子を構成する層であり且つ当該圧電
素子とは不連続の層からなることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッド。 - 【請求項9】 請求項1〜8の何れかにおいて、前記上
電極膜が、ルテニウム、酸化ルテニウム、イリジウム及
び白金からなる群から選択される材料で形成されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
接合基板が、シリコン単結晶基板からなることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項11】 請求項1〜10の何れかにおいて、前
記封止基板が各圧力発生室の共通インク室の少なくとも
一部を構成するリザーバ部を有することを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項12】 請求項1〜11の何れかにおいて、前
記圧力発生室がシリコン単結晶基板を異方性エッチング
することによって形成され、前記圧電素子の各層が薄膜
及びリソグラフィ法により形成されたものであることを
特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項13】 請求項1〜12の何れかのインクジェ
ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
ェット式記録装置。
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JP2016002722A (ja) * | 2014-06-18 | 2016-01-12 | 株式会社リコー | 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 |
US9238367B2 (en) | 2013-03-15 | 2016-01-19 | Ricoh Company, Ltd. | Droplet discharging head and image forming apparatus |
US9815283B2 (en) | 2015-05-25 | 2017-11-14 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Liquid discharging apparatus |
JP2020073353A (ja) * | 2015-05-25 | 2020-05-14 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出装置 |
-
2001
- 2001-10-26 JP JP2001329607A patent/JP4120761B2/ja not_active Expired - Fee Related
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