JP2000197068A - ミスコンバージェンス補正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画面コーナーの横ミスコンバージェンスを補
正可能なこれまでのミスコンバージェンス補正装置で
は、カラー陰極線管の前面スクリーンの画面上に生じる
中間左右ピン歪の補正については考慮がなされていなか
った。 【解決手段】 ２つのコイルＬ１とＬ２、Ｌ３とＬ４を
直列に接続し、これらコイルに対して固定バイアス磁界
を与えるとともに、垂直周期の電流に応じた可変バイア
ス磁界を与えてなる２組の可飽和リアクタ１１，１２を
並列に接続し、またこれら可飽和リアクタ１１，１２の
２つのコイルＬ１とＬ２、Ｌ３とＬ４の共通接続点Ｏ，
Ｐ間に４つのコイルＬ６〜Ｌ９をブリッジ状に接続する
とともに、このブリッジ回路１４の回路出力端Ｑ，Ｒ間
にコンバージェンス補正用コイルＬｃ１〜Ｌｃ４を接続
し、２組の可飽和リアクタ１１，１２のブリッジ状に接
続された４つのコイルＬ１〜Ｌ４に対して水平偏向電流
を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受像
機やディスプレイモニター等で使用するカラー陰極線管
（ＣＲＴ）のミスコンバージェンスを補正するミスコン
バージェンス補正装置に関し、特に可飽和リアクタを用
いてミスコンバージェンスの補正をなすミスコンバージ
ェンス補正装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】コアに巻回されかつ互いに直列に接続さ
れた第１，第２のコイルと、同コアに巻回されかつ互い
に直列に接続された第３，第４のコイルとをブリッジ状
に結線し、同コアを通して第１，第４のコイルと第２，
第３のコイルに対して固定のバイアス磁界を与える構成
の可飽和リアクタを用いて、カラー陰極線管のミスコン
バージェンスを補正するミスコンバージェンス補正装置
が知られている。

【０００３】上記構成のミスコンバージェンス補正装置
では、第１，第３のコイルの接続点と第２，第４のコイ
ルの接続点が水平偏向コイルに接続される一方、第１，
第２のコイルの共通接続点と第３，第４のコイルの共通
接続点との間にコンバージェンス補正用コイルが接続さ
れ、水平偏向コイルを通してノコギリ波状の水平偏向電
流が供給されることで、コンバージェンス補正用コイル
には水平周期のパラボラ状波形電流（以下、パラボラ電
流と称す）が流れ、これによって横ミスコンバージェン
スの補正が行われる。

【０００４】また、第１〜第４のコイルと同じコアにバ
イアス用コイルを巻回し、このバイアス用コイルに垂直
周期のパラボラ電流を供給することによって第１〜第４
のコイルに与える可変バイアス磁界を形成する構成の可
飽和リアクタを用いたミスコンバージェンス補正装置も
知られている（例えば、特開平４−２９８９４３号公報
参照）。このミスコンバージェンス補正装置では、コン
バージェンス補正用コイルにパラボラ電流が水平周期で
供給されるとともに、この水平周期のパラボラ電流が垂
直周期で変調されるため、特に画面のコーナー部の横ミ
スコンバージェンスを補正することができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のミスコンバージェンス補正装置では、特に画面
コーナーの横ミスコンバージェンスについては補正でき
るものの、カラー陰極線管の前面スクリーンの画面上に
生じる中間左右ピンクッション歪（縦線内部ピンクッシ
ョン歪）の補正については考慮がなされていなかった。

【０００６】ここで、この中間左右ピンクッション歪に
ついて説明する。テレビジョン受像機において、電子ビ
ームを偏向してカラー陰極線管の前面スクリーンに投影
することによって形成される画像には、いわゆるピンク
ッション形状の歪が生じる。このピンクッション歪（以
下、ピン歪と略称する）は、上下横線歪や縦線歪であ
る。しかし、これらの歪を補正しても、前面スクリーン
の画面上には、中間左右ピン歪が生じる。

【０００７】図１０に、中間左右ピン歪について、前面
スクリーンを正面から見た状態を示す。同図において、
Ｏは画面の横方向の中心を通る中心線である。カラー陰
極線管において、画面の左右両端が直線となるように補
正すると、図１０に実線で示したように、中心線Ｏに近
いほど大きな補正残りが生じる。

【０００８】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、画面コーナーの横ミ
スコンバージェンスについて補正できることに加えて、
中間左右ピン歪についても補正可能なミスコンバージェ
ンス補正装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明によるミスコンバ
ージェンス補正装置では、２つのコイルを直列に接続
し、これらコイルに対して固定バイアス磁界を与えると
ともに、垂直周期の電流に応じた可変バイアス磁界を与
えてなる２組の可飽和リアクタを並列に接続し、またこ
れら可飽和リアクタの２つのコイルの共通接続点間に４
つのコイルをブリッジ状に接続するとともに、このブリ
ッジ回路の回路出力端間にコンバージェンス補正用コイ
ルを接続する。そして、２組の可飽和リアクタの計４つ
のコイルに対して水平偏向電流を供給する。

【００１０】上記構成のミスコンバージェンス補正装置
において、２組の可飽和リアクタが並列に接続されるこ
とで、固定バイアス磁界が与えられている各組２つ、計
４つのコイルが第１のブリッジ回路を形成する。そし
て、この第１のブリッジ回路に水平偏向電流を供給する
ことで、当該ブリッジ回路の各コイルのインダクタンス
が流れる電流の方向に応じて増減する。このインダクタ
ンスの増減に伴い、第１のブリッジ回路の回路出力端間
に接続されている４つのコイルからなる第２のブリッジ
回路に水平周期のパラボラ電流が流れる。

【００１１】また、２組の可飽和リアクタの各２つのコ
イルに対して垂直周期の電流に応じた可変バイアス磁界
が与えられることから、第２のブリッジ回路の回路出力
端間に接続されているコンバージェンス補正用コイルに
は垂直周期で変調された水平周期のパラボラ電流が補正
電流として流れる。これにより、画面の上下端と中央部
では電流値が異なり、コンバージェンス補正量も変化す
る。その結果、画面コーナーの横ミスコンバージェンス
の補正が行われる。

【００１２】さらに、２組の可飽和リアクタにおいて、
各組の２つ、計４つのコイルが水平補正コイルとして、
垂直周期の電流に応じた可変バイアス磁界を与える垂直
変調用コイルが垂直補正コイルとしても機能する。すな
わち、この各組２つの水平補正コイルとこれに固定バイ
アス磁界を与える永久磁石および垂直補正コイルの作用
により、画面の上下に偏向した場合に、中間部で画サイ
ズが小さくなり、左右のコーナー部では画サイズが等し
くなり、画面上では、中間左右ピン歪の補正が行われ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。図１は、本発明の一
実施形態に係るミスコンバージェンス補正装置の回路図
である。

【００１４】図１において、第１の可飽和リアクタ１１
は、互いに直列に接続された第１，第２のコイルＬ１，
Ｌ２を有し、この２つのコイルＬ１，Ｌ２に対して固定
バイアス磁界を与えるとともに、垂直周期の電流に応じ
た可変バイアス磁界を与える構成となっている。第２の
可飽和リアクタ１２も第１の可飽和リアクタ１１と同様
に、互いに直列に接続された第３，第４のコイルＬ３，
Ｌ４を有し、この２つのコイルＬ３，Ｌ４に対して固定
バイアス磁界を与えるとともに、垂直周期の電流に応じ
た可変バイアス磁界を与える構成となっている。

【００１５】図２は、第１，第２の可飽和リアクタ１
１，１２の具体的な構成の一例を示す概略構成図であ
る。

【００１６】図２において、第１のコイルＬ１と第４の
コイルＬ４、第２のコイルＬ２と第３のコイルＬ３は、
２つのドラムコア２１，２２にそれぞれバイファイラー
巻にて巻回されている。このように、バイファイラー巻
にて巻回されることにより、第１のコイルＬ１と第４の
コイルＬ４、第２のコイルＬ２と第３のコイルＬ３は互
いに磁気的に密に結合されることになり、ほぼ等しい磁
気的特性を持つことになる。また、第１，第４のコイル
Ｌ１，Ｌ４の巻線方向と、第２，第３のコイルＬ２，Ｌ
３の巻線方向とは、逆方向の磁界を発生する方向となっ
ている。

【００１７】また、２つのドラムコア２１，２２の外側
には２つの永久磁石２３，２４が配置され、これら２つ
の永久磁石２３，２４によって第１，第４のコイルＬ
１，Ｌ４および第２，第３のコイルＬ２，Ｌ３に対して
固定のバイアス磁界が与えられるようになっている。本
例では、永久磁石２３はドラムコア２１側がＳ極となる
ように、永久磁石２４はドラムコア２２側がＮ極になる
ようにそれぞれ配置されている。

【００１８】さらに、２つのドラムコア２１，２２の間
には、同じ形状のドラムコア２５が介在している。この
ドラムコア２５には、第５のコイルＬ５が第１，第２の
可飽和リアクタ１１，１２に共通の垂直変調用コイルと
して巻回されている。この垂直変調用コイルＬ５は、当
該コイルＬ５に流れる電流に応じたバイアス磁界を第１
〜第４のコイルＬ１〜Ｌ４に対して与える。

【００１９】以上により、第１，第２の可飽和リアクタ
１１，１２が構成され、５つのコイルＬ１〜Ｌ５、３つ
のドラムコア２１，２２，２５および２つの永久磁石２
３，２４はケース２６に収納されている。なお、本例で
は、第１，第２の可飽和リアクタ１１，１２に対して垂
直変調用コイルＬ５を共通に設けるとしたが、別々に設
けることも可能である。ただし、共通に設けた方が、構
造の簡略化を図る上で有利である。

【００２０】上記構成の第１，第２の可飽和リアクタ１
１，１２は、電気的に互いに並列に接続されている。す
なわち、第１の可飽和リアクタ１１の第１，第２のコイ
ルＬ１，Ｌ２と、第２の可飽和リアクタ１２の第３，第
４のコイルＬ３，Ｌ４とが並列に接続されて第１のブリ
ッジ回路１３を形成している。

【００２１】第１〜第４のコイルＬ１〜Ｌ４からなる第
１のブリッジ回路１３において、当該ブリッジ回路１３
の回路出力端間、即ち第１，第２のコイルＬ１，Ｌ２の
共通接続点Ｏと第３，第４のコイルＬ３，Ｌ４の共通接
続点Ｐとの間には、第６，第７のコイルＬ６，Ｌ７が互
いに直列に接続され、さらに第８，第９のコイルＬ８，
Ｌ９が互いに直列に接続されている。すなわち、直列接
続の第６，第７のコイルＬ６，Ｌ７と、直列接続の第
８，第９のコイルＬ８，Ｌ９とが互いに並列に接続され
て第２のブリッジ回路１４を形成している。

【００２２】４つのコイルＬ６〜Ｌ９からなる第２のブ
リッジ回路１４において、当該ブリッジ回路１４の回路
出力端間、即ち第６，第７のコイルＬ６，Ｌ７の共通接
続点Ｑと第８，第９のコイルＬ８，Ｌ９の共通接続点Ｒ
との間には、コンバージェンス補正用コイルＬｃ１〜Ｌ
ｃ４が接続されている。このコンバージェンス補正用コ
イルＬｃ１〜Ｌｃ４は四重極コイルであり、カラー陰極
線管のネック部に配される。

【００２３】すなわち、コンバージェンス補正ヨークの
構成の一例を示す図３において、カラー陰極線管のネッ
ク部３１を左右から挟むように略Ｕ字形状の一対のコア
３２ａ，３２ｂが配され、この一対のコア３２ａ，３２
ｂの各脚部にコンバージェンス補正用コイルＬｃ１〜Ｌ
ｃ４が巻回されている。

【００２４】再び図１において、互いに並列に接続され
た水平偏向コイルＬ１０，Ｌ１１および互いに直列に接
続された垂直偏向コイルＬ１２，Ｌ１３は偏向ヨークの
コイルであり、水平偏向コイルＬ１０，Ｌ１１には図示
せぬ水平偏向回路から水平周期のノコギリ波形状の電
流、即ち水平偏向電流が供給され、垂直偏向コイルＬ１
２，Ｌ１３には図示せぬ垂直偏向回路から垂直周期のノ
コギリ波形状の電流、即ち垂直偏向電流が供給される。
その結果、電子ビームの偏向が行われる。

【００２５】そして、水平偏向電流は水平偏向コイルＬ
１０，Ｌ１１を通して、コイルＬ１〜Ｌ４からなるブリ
ッジ回路１３の回路入力端間、即ちコイルＬ１，Ｌ３の
共通接続点ＳとコイルＬ２，Ｌ４の共通接続点Ｔとの間
に流れる。一方、垂直偏向コイルＬ１２，Ｌ１３の直列
回路に対して、抵抗Ｒ１，可変抵抗ＶＲおよび抵抗Ｒ３
の直接回路が並列に接続され、可変抵抗ＶＲの摺動子が
垂直偏向コイルＬ１２，Ｌ１３の共通接続点Ｕに接続さ
れている。

【００２６】また、第１，第２の可飽和リアクタ１１，
１２の垂直変調用コイルＬ５の一端にはダイオードＤ
１，Ｄ２の各カソードが接続され、その他端には抵抗Ｒ
３，Ｒ４の各一端が接続されている。ダイオードＤ１の
アノードと抵抗Ｒ３の他端が、またダイオードＤ２のア
ノードと抵抗Ｒ４の他端がそれぞれ接続されている。ダ
イオードＤ１のアノードと抵抗Ｒ３の他端はさらに、垂
直偏向コイルＬ１３と抵抗Ｒ２の共通接続点に接続され
ている。

【００２７】次に、上記構成の本実施形態に係るミスコ
ンバージェンス補正装置の回路動作について説明する。

【００２８】先ず、第１，第２の可飽和リアクタ１１，
１２において、４つのコイルＬ１，Ｌ２，Ｌ３，Ｌ４が
ブリッジ状に接続され、互いに逆方向の磁界が発生する
ように巻回された第１，第２のコイルＬ１，Ｌ２および
第３，第４のコイルＬ３，Ｌ４に対してそれぞれ永久磁
石２３，２４によって固定バイアス磁界が与えられてい
る状態での回路動作について、図４の原理説明図を用い
て説明する。

【００２９】第１のブリッジ回路１３の２つの回路入力
端間、即ちコイルＬ１，Ｌ３の共通接続点ＳとコイルＬ
２，Ｌ４の共通接続点Ｔとの間に、水平偏向コイルＬ１
０，Ｌ１１を通してノコギリ波状の水平偏向電流を供給
したとき、電流が図４に実線の矢印で示すように接続点
Ｓに流入したとすると、コイルＬ１，Ｌ４によって固定
バイアス磁界と同一方向の磁界が発生し、またコイルＬ
２，Ｌ３によって当該バイアス磁界と反対方向の磁界が
発生する。

【００３０】このとき、コイルＬ１，Ｌ４での磁界は、
水平偏向電流に応じて発生した磁界が固定バイアス磁界
と同一方向であることから増加する。したがって、コイ
ルＬ１，Ｌ４のインダクタンスが減少する。また、コイ
ルＬ２，Ｌ３での磁界は、水平偏向電流に応じて発生し
た磁界が固定バイアス磁界と反対方向であることから減
少する。したがって、コイルＬ２，Ｌ３のインダクタン
スが増加する。これにより、共通接続点Ｓから流入した
電流は、インダクタンスの小さい方のコイルを流れるこ
とになる。

【００３１】すなわち、共通接続点Ｓから流れ込んだ電
流は、図５に実線の矢印で示すように、コイルＬ１を流
れた後共通接続点ＯからコイルＬ６〜Ｌ９の第２のブリ
ッジ回路１４に流入し、当該ブリッジ回路１４を流れた
後共通接続点Ｐから流出し、さらにコイルＬ４を経て共
通接続点Ｔから外部へ流れ出る。

【００３２】一方、ノコギリ波の水平偏向電流が図４に
破線の矢印で示すように共通接続点Ｔに流入すると、コ
イルＬ１，Ｌ４によって固定バイアス磁界と反対方向の
磁界が発生し、またコイルＬ２，Ｌ３によって当該バイ
アス磁界と同一方向の磁界が発生する。

【００３３】このとき、コイルＬ１，Ｌ４での磁界は、
水平偏向電流に応じて発生した磁界が固定バイアス磁界
と反対方向であることから減少する。したがって、コイ
ルＬ１，Ｌ４のインダクタンスが増加する。また、コイ
ルＬ２，Ｌ３での磁界は、水平偏向電流に応じて発生し
た磁界が固定バイアス磁界と同一方向であることから増
加する。したがって、コイルＬ２，Ｌ３のインダクタン
スが減少する。これにより、共通接続点Ｔから流入した
電流は、先の場合と同様に、インダクタンスの小さい方
のコイルを流れることになる。

【００３４】すなわち、共通接続点Ｔから流れ込んだ電
流は、図４に破線の矢印で示すように、コイルＬ２を流
れた後共通接続点ＯからコイルＬ６〜Ｌ９の第２のブリ
ッジ回路１４に流入し、当該ブリッジ回路１４を流れた
後共通接続点Ｐから流出し、さらにコイルＬ３を経て共
通接続点Ｓから外部へ流れ出る。

【００３５】このように、ブリッジ状に結線された４つ
のコイルＬ１〜Ｌ４に流れる電流の方向にかかわらず、
４つのコイルＬ６〜Ｌ９からなる第２のブリッジ回路１
４には同一方向（図の矢印方向）の電流が流れるため、
この電流の波形は図５の波形図に示すようにパラボラ状
波形に近いものとなる。すなわち、この水平周期のパラ
ボラ電流がコイルＬ６〜Ｌ９のブリッジ回路１４に流れ
ることになる。

【００３６】次に、ブリッジ状に結線された４つのコイ
ルＬ１〜Ｌ４に対して、垂直変調用コイルＬ５によって
垂直周期の電流に応じた可変バイアス磁界を与えた場合
の回路動作について説明する。

【００３７】ノコギリ波の垂直偏向電流が垂直偏向コイ
ルＬ１２，Ｌ１３に供給されると、この垂直偏向電流が
ダイオードＤ１，Ｄ２で整流されて垂直変調用コイルＬ
５に流れることにより、コイルＬ１，Ｌ２およびコイル
Ｌ３，Ｌ４には垂直偏向電流に応じた可変バイアス磁界
が発生する。この可変バイアス磁界は、コイルＬ１，Ｌ
２およびコイルＬ３，Ｌ４に対する永久磁石２３，２４
による固定バイアス磁界を打ち消す方向の磁界である。

【００３８】このように、第１，第２の可飽和リアクタ
１１，１２において、ノコギリ波状の垂直偏向電流を整
流した電流を垂直変調用コイルＬ５に供給し、コイルＬ
１，Ｌ２およびコイルＬ３，Ｌ４にその固定バイアス磁
界を打ち消す方向の可変バイアス磁界を発生させること
により、コイルＬ６〜Ｌ９のブリッジ回路１４には、垂
直周期で変調された水平周期のパラボラ電流が流れるこ
とになる。

【００３９】ここで、ブリッジ回路１４において、コイ
ルＬ６〜Ｌ９の各インダクタンスを当該ブリッジが不平
衡となるように設定しておくことにより、ブリッジ回路
１４の回路出力端Ｑ，Ｒ間に接続されているコンバージ
ェンス補正用コイルＬｃ１〜Ｌｃ４にはその不平衡条件
に応じて、図６の波形図に示すように、垂直周期で変調
された水平周期のパラボラ電流が流れることになる。

【００４０】ところで、図３のコンバージェンス補正ヨ
ークの概略構成図において、同図に矢印で示す方向の電
流がコンバージェンス補正用コイルＬｃ１〜Ｌｃ４に流
れると、コンバージェンス補正用コイルＬｃ１〜Ｌｃ４
による磁界の発生によってコア３２ａ，３２ｂの各端部
が図示のような極性となる。その結果、緑色のセンター
ビームＧに対してその両側の青色，赤色の再度ビーム
Ｂ，Ｒが外方向に変位してＸ軸（水平走査軸）の左右両
端近傍で発生する対称横ミスコンバージェンスの補正が
行われる。

【００４１】そして、上述したように、垂直周期で変調
された水平周期のパラボラ電流がコンバージェンス補正
用コイルＬｃ１〜Ｌｃ４に流れることにより、画面の上
下端と中央部では電流値（磁界の大きさ）が異なり、コ
ンバージェンス補正量も変化するため、画面コーナーの
横ミスコンバージェンスの補正が行われる。

【００４２】また、図２に示す第１，第２の可飽和リア
クタ１１，１２、即ち４つのコイルＬ１〜Ｌ４、垂直変
調用コイルＬ５および永久磁石２３，２４は、中間左右
ピン歪を補正する機能をも持つ。このとき、４つのコイ
ルＬ１〜Ｌ４は水平補正コイルとして機能し、垂直変調
用コイルＬ５は垂直補正コイルとして機能する。

【００４３】なお、以下の説明では、右側偏向の場合を
例に採って説明するが、左側偏向の場合にも、基本的に
は同様である。また、４つのコイルＬ１〜Ｌ４を水平補
正コイルＬ３，Ｌ４と称し、垂直変調用コイルＬ５を垂
直補正コイルと称するものとする。

【００４４】右側偏向の場合において、一方の水平補正
コイル、例えばコイルＬ１，Ｌ３が発生する磁界の方向
は、一対の永久磁石２３，２４による固定バイアス磁界
の方向と逆であり、他方の水平補正コイルＬ２，Ｌ４が
発生する磁界の方向は、当該バイアス磁界の方向と同じ
であるとする。

【００４５】また、カラー陰極線管の画面上の位置は、
図７に示す関係になっているものとする。図７は、画面
上の表示位置の関係を説明する図であり、前面スクリー
ンを正面から見た状態を示している。図７において、
Ａ，Ｂ，Ｅ，Ｆは画面の水平方向の各位置を、Ｃ，Ｄ，
Ｇ，Ｈは水平方向の各位置Ａ，Ｂ，Ｅ，Ｆの上下方向の
位置をそれぞれ示している。

【００４６】先述した画面上の中間左右ピン歪は、図７
の画面上では、位置Ａ，Ｅにおいて特に顕著に現れる。
これらの位置Ａ，Ｅは、画面の中心と水平方向の左右端
の位置Ｂ，Ｆとの中間に位置しているので、以下、中間
部と言う。

【００４７】右側偏向の場合、中間左右ピン歪が生じる
と、図１０に示したように、図７の中間部Ａがその上下
方向の位置Ｃよりも画面の中心側になる。なお、左側偏
向の場合は、画面の中心位置を通る垂直線に対して左右
対称の関係にあるので、中間部Ｅとその上下方向の位置
Ｃと同様である。

【００４８】以下には、画面上の位置（表示位置）Ａ〜
Ｇを、それぞれ図７のように定義して、各位置Ａ〜Ｇに
おけるコイルのインダクタンスの変化状態を説明する。

【００４９】図２において、水平補正コイルＬ１，Ｌ３
が発生する磁界の方向は、一対の永久磁石２３，２４に
よる固定バイアス磁界の方向と逆である。右側偏向の場
合、図７の位置Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄにおいて、水平補正コイ
ルＬ１，Ｌ３のインダクタンスは、磁束密度の変化に伴
って図８の特性図に示すようになる。図８は、水平補正
コイルＬ１，Ｌ３について、磁束密度とインダクタンス
の変化状態の一例を示す特性図である。図８において、
横軸は磁束密度に対応する位置を、縦軸はインダクタン
スをそれぞれ示す。

【００５０】他方、水平補正コイルＬ２，Ｌ４が発生す
る磁界の方向は、一対の永久磁石２３，２４による固定
バイアス磁界の方向と同じである。右側偏向の場合、図
７の位置Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄにおいて、水平補正コイルＬ
２，Ｌ４のインダクタンスは、磁束密度の変化に伴って
図９の特性図に示すようになる。図９は、水平補正コイ
ルＬ２，Ｌ４について、磁束密度とインダクタンスの変
化状態の一例を示す特性図である。図９において、横軸
は磁束密度に対応する位置を、縦軸はインダクタンスを
それぞれ示す。

【００５１】図８および図９において、白矢印Ｍは一対
の永久磁石２３，２４によるバイアス磁束密度、斜線の
矢印Ａは水平補正コイルＬ１〜Ｌ４による位置（中間
部）Ａの磁束密度、網目の矢印Ｂは水平補正コイルＬ１
〜Ｌ４による位置（右端）Ｂの磁束密度、実線の矢印
Ｃ，Ｄは垂直補正コイルＬ５による画面の上下端の位置
Ｃ，Ｄの磁束密度をそれぞれ示している。

【００５２】また、インダクタンスＬ(1A)〜Ｌ(1D)は、
それぞれ位置Ａ〜位置Ｄにおける水平補正コイルＬ１，
Ｌ３のインダクタンスを示し、インダクタンスＬ(2A)〜
Ｌ(2D)は、それぞれ位置Ａ〜位置Ｄにおける水平補正コ
イルＬ２，Ｌ４のインダクタンスを示している。

【００５３】図１に示したように、水平補正コイルであ
るコイルＬ１とＬ２、コイルＬ３とＬ４は互いに直列に
接続されており、またコイルＬ１とＬ２、コイルＬ３と
Ｌ４の巻線方向は逆方向の磁界を発生するように互いに
逆方向である。そして、この水平補正コイルＬ１〜Ｌ４
には、水平偏向回路（図示せず）からノコギリ波の水平
偏向電流が水平偏向コイルＬ１０，Ｌ１１を通して供給
される。

【００５４】一方、垂直補正コイルＬ５には、垂直偏向
回路（図示せず）から垂直偏向コイルＬ１２，Ｌ１３に
供給されるノコギリ波の垂直偏向電流を、ダイオードＤ
１，Ｄ２によって整流した電流が流れる。これにより、
垂直周期で変調された可変バイアス磁界が垂直補正コイ
ルＬ５によって、一対の永久磁石２３，２４による固定
バイアス磁界を打ち消す方向に与えられる。その結果、
図７に示したそれぞれの位置Ａ〜Ｄごとにインダクタン
スが変化する。

【００５５】先ず、図８により、水平補正コイルＬ１，
Ｌ３について、中間部の位置Ａとその上下方向の位置Ｃ
におけるインダクタンスの変化を考察する。水平補正コ
イルＬ１，Ｌ３が発生する磁界の方向は、一対の永久磁
石２３，２４の磁界の方向と逆であり、その分だけバイ
アス磁界が加わっている。

【００５６】したがって、画面の中間部である位置Ａの
インダクタンスＬ(1A)は、図８に示したように、白矢印
Ｍ（一対の永久磁石２３，２４によるバイアス磁束密
度）と、斜線の矢印Ａ（水平補正コイルＬ１，Ｌ３によ
る位置Ａの磁束密度）との差、即ち斜線の矢印Ａの先端
に対応する位置Ａのインダクタンス(1A)となる。図８に
おいては、このインダクタンス(1A)はインダクタンスの
最大値とほぼ一致する。

【００５７】また、画面上の位置Ｃにおけるインダクタ
ンスＬ(1C)は、斜線の矢印Ａの位置から、実線の矢印Ｃ
（垂直補正コイルＬ５による画面の上下端の位置Ｃの磁
束密度）の分だけ左方、即ち実線の矢印Ｃの先端に対応
する。この位置ＣにおけるインダクタンスＬ(1C)は、位
置ＡのインダクタンスＬ(1A)よりもやや小さいが、イン
ダクタンスＬ(1A)とほぼ等しい値である。よって、Ｌ(1
A)≒Ｌ(1C)となる。

【００５８】続いて、図９により、水平補正コイルＬ
２，Ｌ４について、中間部の位置Ａとその上下方向の位
置Ｃにおけるインダクタンスの変化を考察する。水平補
正コイルＬ２，Ｌ４が発生する磁界の方向は、一対の永
久磁石２３，２４の磁界の方向と同じである。そのた
め、水平補正コイルＬ２，Ｌ４の場合、位置Ａにおける
インダクタンスＬ(2A)は、図９から明らかなように、白
矢印Ｍ（一対の永久磁石２３，２４によるバイアス磁束
密度）と、斜線の矢印Ａ（水平補正コイルＬ２，Ｌ４に
よる位置Ａの磁束密度）との差、即ち斜線の矢印Ａの先
端に対応する位置Ａのインダクタンス(2A)となる。

【００５９】他方、画面上の位置Ｃにおけるインダクタ
ンスＬ(2C)は、斜線の矢印Ａの位置から、実線の矢印Ｃ
（垂直補正コイルＬ５による画面の上下端の位置Ｃの磁
束密度）の分だけ左方、即ち実線の矢印Ｃの先端に対応
する。したがって、位置ＡのインダクタンスＬ(2A)と位
置ＣのインダクタンスＬ(2C)とを比べると、位置Ａのイ
ンダクタンスＬ(2A)よりも位置ＣのインダクタンスＬ(2
C)の方が大きい。すなわち、Ｌ(2A)＜Ｌ(2C)である。

【００６０】そして、位置Ａにおける水平補正コイルＬ
１〜Ｌ４の合成インダクタンスＬ(1A)＋Ｌ(2A)と、位置
Ｃにおける合成インダクタンスＬ(1C)＋Ｌ(2C)とを比較
すると、Ｌ(1A)＋Ｌ(2A)＜Ｌ(1C)＋Ｌ(2C)となる。その
結果、位置Ａよりも位置Ｃの方がインダクタンスが大き
くなり、画サイズは小さくなる。

【００６１】次に、図７に示した画面上の右端の位置Ｂ
とその上下方向の位置Ｄにつき、同様に、インダクタン
スの変化について考察する。

【００６２】先ず、水平補正コイルＬ１，Ｌ３について
は、図８に示したように、位置ＢのインダクタンスＬ(1
B)は、網目の矢印Ｂの先端に対応する値で、位置Ｃにお
けるインダクタンスＬ(1C)と等しい。位置Ｄのインダク
タンスＬ(1D)は、この網目の矢印Ｂの先端から、実線の
矢印Ｄの長さ分だけ左方、即ち実線の矢印Ｄの先端に対
応する。したがって、位置ＢのインダクタンスＬ(1B)と
位置ＤのインダクタンスＬ(1D)との関係は、図８からも
明らかなように、Ｌ(1B)＞Ｌ(1D)である。

【００６３】また、水平補正コイルＬ２，Ｌ４について
は、図９に示したように、位置ＢのインダクタンスＬ(2
B)は、白矢印Ｍ（一対の永久磁石２３，２４によるバイ
アス磁束密度）と、網目の矢印Ｂとが加わった位置、即
ち網目の矢印Ｂの選択に対応する値である。同様に、位
置ＤのインダクタンスＬ(2D)は、この網目の矢印Ｂの先
端に対応する値よりも、実線の矢印Ｄの長さ分だけ左
方、即ち実線の矢印Ｄの先端に対応する。そして、両者
の大小関係は、Ｌ(2B)＜Ｌ(2D)である。

【００６４】そこで、位置Ｂにおける水平補正コイルＬ
１〜Ｌ４の合成インダクタンスＬ(1B)＋Ｌ(2B)と、位置
Ｄにおける水平補正コイルＬ１〜Ｌ４の合成インダクタ
ンスＬ(1D)＋Ｌ(2D)とが、Ｌ(1B)＋Ｌ(2B)＝Ｌ(1D)＋Ｌ
(2D)となるように、水平補正コイルＬ１〜Ｌ４のインダ
クタンスを変化させれば、位置Ｂと位置Ｄにおけるイン
ダクタンスを等しくすることができる。したがって、位
置Ｂと位置Ｄにおける画サイズも等しくなる。

【００６５】以上の説明から明らかなように、互いに逆
方向の磁界が発生する巻線方向で巻回された水平補正コ
イルＬ１，Ｌ２および水平補正コイルＬ３，Ｌ４、これ
ら水平補正コイルＬ１〜Ｌ４に対して固定のバイアス磁
界を与える一対の永久磁石２３，２４および一つの垂直
補正コイルＬ５の作用により、中間左右ピン歪を補正す
ることができる。すなわち、画面の上下に偏向した場合
に、中間部で画サイズが小さくなり、左右の部分（コー
ナー部）では画サイズが等しくなるので、画面上では、
中間左右ピン歪が補正されることになる。

【００６６】特に、画面コーナーの横ミスコンバージェ
ンスの補正をなす第１，第２の可飽和リアクタ１１，１
２の２組のコイルＬ１，Ｌ２およびＬ３，Ｌ４が共に、
中間左右ピン歪の補正をなす機能をも持つことから、中
間左右ピン歪に対する補正量を向上できることになる。

【００６７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
２つのコイルを直列に接続し、これらコイルに対して固
定バイアス磁界を与えるとともに、垂直周期の電流に応
じた可変バイアス磁界を与えてなる２組の可飽和リアク
タを並列に接続し、またこれら可飽和リアクタの２つの
コイルの共通接続点間に４つのコイルをブリッジ状に接
続するとともに、このブリッジ回路の回路出力端間にコ
ンバージェンス補正用コイルを接続し、２組の可飽和リ
アクタの計４つのコイルに対して水平偏向電流を供給す
るようにしたことにより、画面コーナーの横ミスコンバ
ージェンスおよび中間左右ピン歪の各補正を同時に行え
ることになる。

【００６８】このように、中間左右ピン歪の補正機能を
コーナー横ミスコンバージェンスの補正機能の中に組み
込むようにしたことにより、コンバージェンス特性を合
わせたり、フォーカスを最適にするために巻線分布を変
更するときの制約条件が少なくなるため、全体のコンバ
ージェンスの性能を向上させることができ、また無効の
インダクタンスが減るため、偏向感度を向上できること
になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係るミスコンバージェン
ス補正装置の回路図である。

【図２】第１，第２の可飽和リアクタの一例を示す概略
構成図である。

【図３】コンバージェンス補正ヨークの概略構成図であ
る。

【図４】第１，第２の可飽和リアクタの原理説明図であ
る。

【図５】ブリッジ回路に流れる水平パラボラ電流の波形
図である。

【図６】コンバージェンス補正用コイルに流れる垂直周
期で変調された水平パラボラ電流の波形図である。

【図７】画面上の表示位置の関係を説明する図である。

【図８】一方の水平補正コイルについて磁束密度とイン
ダクタンスの変化状態の一例を示す特性図である。

【図９】他方の水平補正コイルについて磁束密度とイン
ダクタンスの変化状態の一例を示す特性図である。

【図１０】中間左右ピン歪についての説明図である。

【符号の説明】

１１…第１の可飽和リアクタ、１２…第２の可飽和リア
クタ、１３，１４…ブリッジ回路、２１，２２，２５…
ドラムコア、２３，２４…永久磁石、Ｌ５…垂直変調用
コイル、Ｌｃ１〜Ｌｃ４…コンバージェンス補正用コイ
ル、Ｌ１０，Ｌ１１…水平偏向コイル、Ｌ１２，Ｌ１３
…垂直偏向コイル

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１，第２のコイルを直列に接続し、こ
   れらコイルに対して固定バイアス磁界を与えるととも
   に、垂直周期の電流に応じた可変バイアス磁界を与えて
   なる第１の可飽和リアクタと、 第３，第４のコイルを直列に接続し、これらコイルに対
   して固定バイアス磁界を与えるとともに、垂直周期の電
   流に応じた可変バイアス磁界を与えてなり、前記第１の
   可飽和リアクタに対して並列に接続された第２の可飽和
   リアクタと、 前記第１，第２のコイルおよび前記第３，第４のコイル
   に対して水平偏向電流を供給する手段と、 前記第１，第２のコイルの共通接続点と前記第３，第４
   のコイルの共通接続点との間にブリッジ状に接続された
   ４つのコイルと、 前記４つのコイルからなるブリッジ回路の回路出力端間
   に接続されたコンバージェンス補正用コイルとを備えた
   ことを特徴とするミスコンバージェンス補正装置。
2. 【請求項２】 前記第１，第２の可飽和リアクタは、前
   記第１，第２のコイルおよび前記第３，第４のコイルに
   対してその固定バイアス磁界を打ち消す方向の可変バイ
   アス磁界を与える垂直変調用コイルを有することを特徴
   とする請求項１記載のミスコンバージェンス補正装置。
3. 【請求項３】 前記垂直変調用コイルは、前記第１，第
   ２の可飽和リアクタに対して共通のコイルであることを
   特徴とする請求項２記載のミスコンバージェンス補正装
   置。
4. 【請求項４】 前記第１，第２の可飽和リアクタは、前
   記第１，第４のコイルがバイファイラー巻にて巻回され
   た第１のコアと、前記第２，第４のコイルがバイファイ
   ラー巻にて巻回された第２のコアと、前記第１，第２の
   コア間に介在しかつ前記垂直変調用コイルが巻回された
   第３のコアと、前記第１，第２のコアの外側に配された
   一対の永久磁石とを有することを特徴とする請求項３記
   載のミスコンバージェンス補正装置。
5. 【請求項５】 前記第１，第２の可飽和リアクタの各々
   において、２つのコイルの巻線方向が互いに逆向きの磁
   界を発生する方向であることを特徴とする請求項１記載
   のミスコンバージェンス補正装置。