JP2000195488A - 電池用セパレ―タの製造方法、およびそのセパレ―タが組み込まれているニッケル・水素二次電池 - Google Patents

電池用セパレ―タの製造方法、およびそのセパレ―タが組み込まれているニッケル・水素二次電池

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JP2000195488A
JP2000195488A JP10370585A JP37058598A JP2000195488A JP 2000195488 A JP2000195488 A JP 2000195488A JP 10370585 A JP10370585 A JP 10370585A JP 37058598 A JP37058598 A JP 37058598A JP 2000195488 A JP2000195488 A JP 2000195488A
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battery
nickel
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JP10370585A
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English (en)
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Masahiko Tsukiashi
雅彦 月脚
Hirohito Teraoka
浩仁 寺岡
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FDK Twicell Co Ltd
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Toshiba Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温保管時における自己放電特性が向上した
ニッケル・水素二次電池と、それに用いるセパレータの
製造方法を提供する。 【解決手段】 パワー電極7とアース電極16が平行配
置されている低温プラズマ処理装置のアース電極16の
上に合成樹脂繊維から成るセパレータ材料3Aを配置し
てセパレータ材料に低温プラズマ処理を行うことにより
電池用セパレータを製造する際に、アース電極16の表
面が露出していない状態でセパレータ材料3Aに低温プ
ラズマ処理が行われる電池用セパレータの製造方法と、
そのセパレータが組み込まれていて、自己放電特性が向
上したニッケル・水素二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池用セパレータの
製造方法とそのセパレータが組み込まれているニッケル
・水素二次電池に関し、更に詳しくは、好適な親水化処
理が施されている電池用セパレータを製造する方法と、
そのセパレータが組み込まれていて優れた自己放電特性
を示すニッケル・水素二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話や携帯型のノートパソコ
ンのような各種電子機器のコードレス化,高機能化,小
型化,軽量化の進展に伴い、その電源である二次電池に
対しては高容量化の要望が高まっている。従来、これら
電子機器の電源としてはニッケル・カドミウム二次電池
が主として使用されてきた。しかし、上記した高容量化
への要望の高まりに伴い、ニッケル・カドミウム二次電
池の電圧との互換性があり、かつニッケル・カドミウム
二次電池よりも高容量であるということから、最近で
は、ニッケル・水素二次電池が広く使用され始めてい
る。
【0003】しかしながら、ニッケル・水素二次電池
は、ニッケル・カドミウム二次電池よりも高容量である
とはいえ、充電状態で高温環境下に保管しておくと自己
放電を起こしやすいという問題がある。したがって、ニ
ッケル・水素二次電池の使用環境が多様化して過酷な条
件下で使用される機会も増加していることに対応して、
当該ニッケル・水素二次電池には、高容量であることは
勿論のこと、自己放電特性の向上や充放電サイクル寿命
特性の向上が強く求められている。
【0004】ところで、ニッケル・水素二次電池は、一
般に、水酸化ニッケルのようなニッケル化合物の粉末を
担持するニッケル極と、水素吸蔵合金の粉末を担持する
水素吸蔵合金電極との間に電気絶縁性でかつ保液性を備
えたセパレータを介装して電極群を形成し、この電極群
を負極端子も兼ねる電池缶の中に所定のアルカリ電解液
と一緒に収容したのち、前記電池缶を封口した構造にな
っている。
【0005】そして従来から、セパレータとしては、ア
ルカリ電解液との濡れ性を確保するために、親水性が良
好であるポリアミド繊維から成る不織布が広く用いられ
ている。しかしながら、このポリアミド繊維はアルカリ
電解液中での加水分解によって例えば硝酸イオン,亜硝
酸イオン,アンモニアのような不純物を生成し、この不
純物がニッケル極に生成したオキシ水酸化ニッケルを還
元することにより、ニッケル極の自己放電反応を助長し
て電池の自己放電特性を劣化させている。
【0006】このようなことから、セパレータとして
は、前記したポリアミド繊維よりも耐酸化性が優れてい
る繊維材料、例えばポリプロピレン繊維のようなポリオ
レフィン繊維やPTFE繊維のようなフッ素樹脂の繊維
を選定し、これらに親水化処理を施して製造されたもの
の使用が試みられている。具体的には、例えばポリオレ
フィン繊維の不織布を陰イオン系,陽イオン系,非イオ
ン系の界面活性剤のような界面活性剤で表面処理して製
造したものをセパレータとして使用することが試みられ
ている。しかしながら、上記セパレータは、電池に対す
る充放電を反復すると表面の界面活性剤が離脱して親水
性は低下し、その結果、充放電サイクル寿命特性の低下
が起こってくるという問題がある。
【0007】また、ポリオレフィン繊維の不織布の全表
面に、スルホン化処理,アクリル酸グラフト処理などの
処理を行うことにより親水性の活性基を外部から不織布
に付加して、その不織布全体の表面の親水性を高め、自
己放電特性の向上を意図する処理が試みられているが、
これらの処理を行っても、自己放電特性の向上はいまだ
充分とはいえない状況にある。
【0008】しかも、これらの処理の場合には、いずれ
も、使用した薬液の廃液処理が必要であるため、セパレ
ータの製造コストを引き上げるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来方法で
製造されたセパレータにおける上記した問題を解決し、
親水化のために薬液を使用する必要もなく、またセパレ
ータに好適な親水性を付与することができる電池用セパ
レータの製造方法と、そのセパレータを用いることによ
り優れた自己放電特性を発揮するニッケル・水素二次電
池の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した目
的を達成するために鋭意研究を重ねる過程で、最近、各
種材料の表面改質法として注目されている低温プラズマ
処理に着目した。そして、セパレータ材料にその低温プ
ラズマ処理を適用してセパレータを製造し、それを用い
てニッケル・水素二次電池を組み立て、その電池特性を
調べた。
【0011】その結果、後述する状態でセパレータ材料
に低温プラズマ処理を施して製造されたセパレータは、
それを組み込んだニッケル・水素二次電池の自己放電特
性を向上せしめるとの知見を得、本発明の電池用セパレ
ータの製造方法を開発し、またそのセパレータを組み込
んだニッケル・水素二次電池を開発するに至った。すな
わち、本発明の電池用セパレータの製造方法は、パワー
電極とアース電極が平行配置されている低温プラズマ処
理装置の前記アース電極の上に合成樹脂繊維から成るセ
パレータ材料を配置して前記セパレータ材料に低温プラ
ズマ処理を行うことにより電池用セパレータを製造する
方法であって、前記アース電極の表面が露出していない
状態で前記セパレータ材料に低温プラズマ処理が行われ
ていることを特徴とする。
【0012】また、本発明においては、ニッケル極と水
素吸蔵合金電極の間に上記した方法で製造された電池用
セパレータを介装して成る電極群がアルカリ電解液と一
緒に電池缶の中に封入されていることを特徴とするニッ
ケル・水素二次電池が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明のニッケル・水素二
次電池の構造を、円筒形ニッケル・水素二次電池を例に
して説明する。図1において、有底円筒形の電池缶1の
中には、ニッケル極(正極)2と後述するセパレータ3
と水素吸蔵合金電極(負極)4とを重ね合わせたシート
を渦巻状に巻回して成る電極群5が収容されている。そ
して、負極4は電極群5の最外側に配置されることによ
り電池缶1と電気的に接触し、また、電極群5の底部
は、電池缶1の底部に配置された絶縁板6の上に位置し
ている。
【0014】そして、電池缶1の上部開口部の内側には
リング状の絶縁ガスケット7が配置され、この絶縁ガス
ケット7に周縁部が噛み込んだ状態で中央に孔8を有す
る円盤形状の第1封口板9が配置され、前記電池缶1の
上部開口部を内側に縮径する加締加工を行うことによ
り、前記第1封口板9は絶縁ガスケット7を介して電池
缶1の上部開口部を気密に封口している。
【0015】また、電極群5の上部にはリード端子10
が付設され、このリード端子10は前記した第1封口板
9の下面と溶接されている。そして、ゴム製の安全弁1
1が第1封口板9の中央孔8を塞ぐようにして配置さ
れ、更にそれを覆うようにして帽子形状の正極端子12
が第1封口板9に溶接されて電極群が封入されている。
また、上記した構造の電池缶の上部には、中央孔を有す
る絶縁材料の押さえ板13が当該中央孔から前記正極端
子12のみを突出させた状態で配置され、そして押さえ
板13の周縁部,電池缶1の側面部と底面部を被覆して
外装チューブ14が配置されている。
【0016】なお、本発明の電池は上記したような円筒
形に限定されるものではなく、例えば、ニッケル極とセ
パレータと負極と交互に積層して直方体形状の電極群と
し、これを角形の電池缶に収容して封入した構造の角形
電池であってもよい。電極群5のニッケル極2は、概ね
次のようにして製造される。すなわちまず、水酸化ニッ
ケルのようなニッケル化合物の粉末に金属コバルト,コ
バルト酸化物,コバルト水酸化物のような導電材の粉末
を混合した混合粉末、またはニッケル化合物の粉末表面
に前記導電材をコーティングした粉末と、例えばカルボ
キシメチルセルロース,メチルセルロース,ポリアクリ
ル酸ナトリウム,ポリテトラフルオロエチレン,ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースのような結着剤とを水で
混練して粘稠なペーストを調製する。なお、用いる水酸
化ニッケルには、Co,Cu,Zn,Al,Mn,C
a,Mg,Fe,Siのような元素が固溶していてもよ
い。
【0017】ついで、このペーストを、例えばスポンジ
状ニッケル基板,網状焼結金属繊維基板、または不織布
にニッケルめっきを施して成るフェルトめっき基板のよ
うな3次元網状構造の集電体に充填・塗布したのち前記
ペーストを乾燥し、更に続けて加圧成形して所定厚みの
正極シートにする。なお、このときの集電体としては、
パンチドメタルやエキスパンドメタルのような2次元基
板や、パンチドメタルの開口部にバリを有する構造の
2.5次元基板を用いることもできる。
【0018】また、負極4は、水素吸蔵合金粉末と結着
剤と、必要に応じては例えばカーボンブラックのような
導電材との所定量を水で混練して成るペーストを集電体
に充填・塗布したのち、乾燥,成形して製造される。用
いる水素吸蔵合金としては、格別限定されるものではな
く、電気化学的に水素を吸蔵・放出できるものであれば
何であってもよく、例えば、LaNi5,MmNi5(M
mはミッシュメタル),LmNi5(Lmはランタン富
化のミッシュメタル)、またはNiの一部をAl,M
n,Co,Ti,Cu,Zn,Zr,Cr,Bなどで置
換した多元素系のもの;TiNi系,TiFe系,Mg
Ni系またはそれらの混合系;をあげることができる。
とくに、次式;LmNixAly z(AはAl,Coか
ら選ばれる少なくとも1種であり、x,y,zは4.8
≦x+y+z≦5.4を満足する原子比を表す)で示さ
れる水素吸蔵合金は、充放電サイクル時における微粉化
が抑制され、電池のサイクル寿命特性を向上せしめるこ
とができるという点で好適である。
【0019】また、結着剤としては、ニッケル極2の製
造時に用いる前記した高分子材料をあげることができ、
集電体としては、例えばパンチドメタル,エキスパンド
メタル,穿孔鋼板,ニッケルネットなどの2次元基板
や、フェルト状金属多孔体,スポンジ状金属基板などの
3次元網状構造のものをあげることができる。本発明の
電池においては、上記したニッケル極2と水素吸蔵合金
電極4の間に介装されるセパレータ3が次に述べるよう
なものであることを特徴とする。
【0020】まず、セパレータ材料としては、合成樹脂
繊維が選択される。具体的には、ポリエチレン繊維,ポ
リプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維それ自体;
あるポリオレフィン繊維の表面が異種類のポリオレフィ
ン繊維で被覆されている芯鞘構造の複合繊維;互いに異
種類であるポリオレフィン繊維の分割構造になっている
複合繊維などをあげることができる。また、PTFE繊
維も使用することができるが、その場合には、例えばガ
ラス繊維のような無機繊維を混在せしめることにより全
体の機械的強度を高めてもよい。なお、上記した繊維は
いずれもその表面は疎水性になっている。
【0021】セパレータ材料の形態としては、上記した
繊維の不織布の形態であることが好ましいが、また微孔
性のプラスチックシートの形態であってもよい。なお、
不織布として用いる場合には、その不織布は上記した繊
維を例えば乾式法,湿式法,スパンボンド法,メルトブ
ロー法などによって織成することができる。セパレータ
材料が不織布である場合、その目付量は30〜70g/
2であることが好ましい。目付量が30g/m2より小
さい不織布は、セパレータ材料としての強度が低いため
前記した電極群を製造する際の巻回時に破損することも
起こりやすく、逆に70g/m2より大きい場合には、
電極群を製造したときの当該セパレータの占有体積が大
きくなって電極容量の低下を招くことになるからであ
る。
【0022】また、用いるセパレータ材料としては、窒
素を用いたBET1点法で測定したときの比表面積が
0.5〜5.0m2/gの値を示すものであることが好ま
しい。比表面積が0.5m2/gより小さいセパレータ材
料を用いると、保液性が低下し、また比表面積が5.0
2/gより大きいセパレータ材料は、その引張強度が
低くなるので保形性は低下し、電極群を製造する際の巻
回時にセパレータの破損などが起こりやすいからであ
る。セパレータ材料としては、1.0〜4.0m2/gの
比表面積のものがとくに好ましい。
【0023】そして、上記したセパレータ材料に対し、
図2で示したような低温プラズマ処理装置を用いた低温
プラズマ処理が行われることにより、本発明のセパレー
タ3が製造される。図2の装置において、密閉容器15
の中にはアース電極16とパワー電極17が所定の間隔
を置いて平行配置されていてパワー電極16は電源8に
接続されている。このアース電極16とパワー電極17
のそれぞれの対向面16a,17aは、いずれも、所定
直径の円形になっているのが通例である。そして、密閉
容器15には減圧機構19が接続され、密閉容器15の
中を所定の真空度に減圧できるようになっている。
【0024】また、密閉容器15には、ガス源供給機構
20が接続され、装置の運転時にここから所定のガス源
を容器内に供給することにより、処理対象のセパレータ
材料の表面に親水性の官能基を導入できるようになって
いる。ガス源としては、例えば、O2,N2,Ar,He
などを使用することができる。この装置を運転してセパ
レータを製造する際には、まず、アース電極16の上に
処理対象のセパレータ材料3Aが配置される。このと
き、アース電極16の表面16aは露出しないようにセ
パレータ材料3Aが配置される。
【0025】具体的には、図3で示したように、セパレ
ータ材料3Aとしてアース電極より大きいサイズのもの
を用い、これでアース電極16の表面16aの全面を覆
うような状態で配置したり、またアース電極の表面16
aがセパレータ材料3Aのサイズより大きい場合は、図
4で示したように、セパレータ材料3Aで覆われること
なくパワー電極17に向かって露出している部分16b
を例えばポリプロピレンフィルムのような別の絶縁材料
16Aで覆い隠せばよい。
【0026】このような状態でセパレータ材料3Aを配
置したのち、減圧機構19を運転して密閉容器1の中を
一旦減圧にし、ついでガス源供給機構20から所定のガ
ス源を供給しながら、密閉容器1の中を例えば0.05
〜1Torrの真空度に保持する。そして、パワー電極17
とアース電極16を運転して両極間に高周波電場を形成
する。
【0027】具体的には、出力5〜100Wにおいて、
例えばラジオ周波数13.56MHzの高周波、または2.
54GHzのマイクロ波で放電を行い、電極間に配置され
ているセパレータ材料3Aに低温プラズマ処理を施す。
処理時間は0.1〜30分に設定することが好ましい。
上記した条件下における発生プラズマのパラメータの1
例を示すと、電子温度2000〜4000°K,電子密
度109〜1013個/cm3,イオン温度200〜400°
K,イオン密度109〜1013個/cm-3,プラズマ空間
電位10〜90Vである。
【0028】このように、アース電極16の表面16a
が露出していない状態で低温プラズマ処理を行うと、次
のような理由でセパレータ材料3Aの表面に対する親水
性官能基の導入が好適に進むものと考えられる。一般
に、ガス源が導入された状態で低温プラズマが発生する
と、その発生場は、電子,ガス源のイオン,ラジカル,
光などで構成される。そして、これらの電子,イオン,
ラジカルなどによりセパレータ材料3Aを構成する合成
樹脂のC−H結合が攻撃されてHが脱離し、その跡にラ
ジカルが形成され、ここに生成したガス源の官能基が導
入されることによりセパレータ材料の親水化が進行す
る。なお、上記した過程は、競争反応として進み、操作
条件によっては、一旦セパレータ材料の構成樹脂に導入
された官能基が再び離脱してしまうこともある。
【0029】このとき、仮にアース電極16のサイズの
方がそこに配置されているセパレータ材料3Aのサイズ
よりも大きくなっている状態で低温プラズマ処理が行わ
れると、露出しているアース電極の近傍はセパレータ材
料3Aで被覆されている箇所に比べてパワー電極のシー
ス電圧が高くになっているため、その近傍に飛来してく
る電子,イオンは加速されてその運動エネルギーは大に
なる。
【0030】そして、上記近傍に位置するセパレータ材
料3Aの部分は、これら運動エネルギーが大きい粒子、
とりわけ生成したガス源のイオンで激しく攻撃されるこ
とになるため、例えば一旦導入された官能基が再び追放
されたり、またはセパレータ材料3Aを構成する樹脂繊
維の鎖状格子部分が攻撃を受けてそこが切断されたりす
ることも考えられる。すなわち、セパレータ材料の親水
化は阻害されるだけではなく、セパレータ材料それ自体
の損傷が進むものと考えられる。
【0031】これに反し、アース電極16の表面が露出
していない場合には、上記した事態は起こりづらく、ま
た、飛来したイオンや電子によりセパレータ材料3Aの
帯電も起こり、イオンによるセパレータ材料の樹脂繊維
に対するラジカル化作用が有効に進み、その結果、そこ
に官能基が有効に導入されていくものと考えられる。し
たがって、得られた本発明のセパレータは、それを構成
する樹脂繊維に良好に官能基が導入された構造になって
おり、しかも損傷が起こりづらい状態になっている。
【0032】なお、上記した低温プラズマ処理時にガス
源としてO2やN2を使用すれば、これらのラジカルイオ
ンが直接導入されることになる。また、ArやHeなど
の不活性ガスを使用すれば、セパレータ材料それ自体は
ラジカル化する。そして、それを大気中に取り出すこと
により、生成したラジカルに水酸基のような親水性基が
導入されてセパレータ材料の親水化が実現する。
【0033】このようにして製造されたセパレータを、
前記したニッケル極と水素吸蔵合金電極の間に介装して
電極群を形成し、これをアルカリ電解液と一緒に電池缶
の中に収容したのち封口することにより、自己放電特性
が優れた本発明のニッケル・水素二次電池を得ることが
できる。
【0034】
【実施例】(1)セパレータの製造 図2で示した装置を用いて、次のようなセパレータを製
造した。まず、平均繊維径10μmのポリプロピレン繊
維を用いて、スパンポンド法で目付量50g/m2,厚
み0.16mmの不織布を製造した。
【0035】この不織布を縦(A)120mm,横(B)
120mmの正方形の形状に裁断した。この不織布を、直
径110mmのアース電極16の上に図5で示したように
配置した。すなわち、この場合は、アース電極16の表
面16aの全部が上記不織布で覆われた状態になってい
る。
【0036】密閉容器1に1時間の減圧処理を行ったの
ち、ガス源供給機構20から酸素ガスを30ml/minの
流量で送入して容器内を0.1Torrに調整した。つい
で、ラジオ周波数13.56kHz,パワー電極17の出力
50Wで5分間の低温プラズマ処理を行った。処理した
材料を装置から取り出したのちその両端部を切除し、図
5で示したように、幅(b)40mm、長さ(a)100
mmの短冊状のセパレータ3とした。これをセパレータA
とする。
【0037】前記した不織布を縦(A)40mm,横
(B)100mmの短冊状に裁断し、これを直径110mm
のアース電極16の上に図6で示したように載置し、ア
ース電極の露出している表面をポリプロピレンフィルム
で完全に被覆したことを除いては、セパレータAの場合
と同様の条件で低温プラズマ処理を行った。得られたセ
パレータをセパレータBとする。
【0038】セパレータBの場合と異なり、アース電極
路露出表面をポリプロピレンフィルムを被覆しないでそ
のまま低温プラズマ処理を行ってセパレータを製造し
た。これをセパレータCとする。また、前記した不織布
の前記短冊状のものをそのままセパレータとして用意し
た。これをセパレータDとする。
【0039】(2)電池の製造 水酸化ニッケル粉末100重量部に対し、酸化コバルト
粉末6.1重量部,ポリアクリル酸ナトリウム0.16重
量部,ヒドロキシメチルセルロース0.06重量部,カ
ルボキシメチルセルロース0.11重量部,PTFEデ
ィパーション(比重1.5,固形分含量60重量%)0.
67重量部を混合し、更に純水30重量部を添加し、全
体を混練してペーストを調製した。
【0040】このペーストをニッケルの発泡基板に充填
し、乾燥したのちロール圧延を行って厚み0.6mmのニ
ッケル極(正極)を製造した。一方、組成がLmNi
4.0Co0.04Mn0.3Al0.3(LmはLa富化のミッシ
ュメタル)の水素吸蔵合金を機械粉砕して200メッシ
ュ(タイラー篩)下の粉末にした。
【0041】ついで、この粉末100重量部に対し、ポ
リアクリル酸ナトリウム0.3重量部,カルボキシメチ
ルセルロース0.05重量部,カーボンブラック1.0重
量部,PTFEディパーション(比重1.5,固形分含
量60重量%)1.0重量部を配合し、全体を44重量
部の水で混練してペーストを調製した。このペーストを
ニッケルパンチドメタル(開口率45%)に塗布し、乾
燥し、更にロール圧延して厚み0.3mmの水素吸蔵合金
電極(負極)を製造した。
【0042】これらニッケル極と水素吸蔵合金電極の間
に、表1で示したように、上記した各セパレータをそれ
ぞれ挟んで積層体シートにしたのち、水素吸蔵合金電極
を外側にして巻回し、図1で示した各種の電極群5を製
造した。
【0043】
【表1】
【0044】そして、この電極群5を用い、電解液とし
てKOH 7NとLiOH 1Nとの混合液を用いて図
1で示した構造のAAAサイズニッケル・水素二次電池
を製造した。
【0045】(3)電池特性 得られた各電池につき、温度20℃において公称容量に
対して0.2Cで150%の充電を行ったのち、1Cで
電池電圧が1.0Vになるまで放電する充放電サイクル
を3回反復した。その後、0.2Cで150%の充電を
行い、その状態で温度45℃の恒温槽に14日間保管
し、保管後に1Cで電池電圧が1.0Vになるまでの放
電を行い、そのときの残存容量を測定した。
【0046】電池の公称容量をC0,上記した残存容量
をC1としたとき、次式:100×C 1/C0(%)に基
づいて各電池の容量残存率を算出した。その結果を図7
に示した。図7から次のことが明らかである。 1)低温プラズマ法で親水化処理を行っている実施例
1,2と比較例1の場合は、いずれの場合も、上記処理
を行わなかった場合(比較例2)に比べて容量残存率が
大幅に向上して高温下における自己放電特性の向上が認
められる。
【0047】2)しかしながら、比較例1の場合は、実
施例1,2の場合よりも容量残存率が低くなっている。
このことから、低温プラズマ処理を行うときに、アース
電極の表面を露出させない状態にすることの有用性が明
らかである。
【0048】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明方
法で製造されたセパレータを用いると、高温保管時にお
ける自己放電特性が向上したニッケル・水素二次電池を
得ることができる。これは、セパレータとして、低温プ
ラズマ処理時にアース電極の表面を露出させなかったこ
とによって得られる効果である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法のセパレータが組み込まれている円
筒形ニッケル・水素二次電池を示す一部切欠斜視図であ
る。
【図2】低温プラズマ装置を示す概略図である。
【図3】セパレータ材料をアース電極に配置した1例を
示す平面図である。
【図4】セパレータ材料をアース電極に配置した別の例
を示す平面図である。
【図5】実施例1でセパレータ材料をアース電極に配置
した状態を示す平面図である。
【図6】実施例2でセパレータ材料をアース電極に配置
した状態を示す平面図である。
【図7】各電池の容量残存率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電池缶 2 ニッケル極(正極) 3 セパレータ 3A セパレータ材料 4 水素吸蔵合金電極(負極) 5 電極群 6 絶縁板 7 絶縁ガスケット 8 孔 9 第1封口板 10 リード端子 11 安全弁 12 正極端子 13 押さえ板 14 外装チューブ 15 密閉容器 16 アース電極 16a アース電極16の表面 16b アース電極の露出表面 16A 絶縁材料 17 パワー電極 17a パワー電極17の表面 18 電源 19 減圧機構 20 ガス源供給機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H021 AA01 BB15 BB19 CC02 CC17 EE04 5H028 AA05 AA06 AA07 BB10 BB17 CC12 EE06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パワー電極とアース電極が平行配置され
    ている低温プラズマ処理装置の前記アース電極の上に合
    成樹脂繊維から成るセパレータ材料を配置して前記セパ
    レータ材料に低温プラズマ処理を行うことにより電池用
    セパレータを製造する方法であって、前記アース電極の
    表面が露出していない状態で前記セパレータ材料に低温
    プラズマ処理が行われていることを特徴とする電池用セ
    パレータの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記セパレータ材料が不織布である請求
    項1の電池用セパレータの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記セパレータ材料がポリオレフィン樹
    脂繊維の不織布である請求項1の電池用セパレータの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 ニッケル極と水素吸蔵合金電極の間に請
    求項1に記載の電池用セパレータを介装して成る電極群
    がアルカリ電解液と一緒に電池缶の中に封入されている
    ことを特徴とするニッケル・水素二次電池。
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