JP2000138050A - ニッケル・水素二次電池 - Google Patents

ニッケル・水素二次電池

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JP2000138050A
JP2000138050A JP10311417A JP31141798A JP2000138050A JP 2000138050 A JP2000138050 A JP 2000138050A JP 10311417 A JP10311417 A JP 10311417A JP 31141798 A JP31141798 A JP 31141798A JP 2000138050 A JP2000138050 A JP 2000138050A
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nickel
electrode
hydrophilic
battery
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JP10311417A
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English (en)
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Masahiko Tsukiashi
雅彦 月脚
Katsuyuki Hata
勝幸 秦
Hirohito Teraoka
浩仁 寺岡
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FDK Twicell Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Battery Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温保管時における自己放電特性が向上した
ニッケル・水素二次電池を提供する。 【解決手段】 正極2と負極4の間に合成樹脂繊維から
成るセパレータ3が介装されている電極群5をアルカリ
電解液と一緒に電池缶1の中に封入した構造のニッケル
・水素二次電池において、セパレータ3の表面には、親
水性領域と疎水性領域が併存しているニッケル・水素二
次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はニッケル・水素二次
電池に関し、更に詳しくは、高温保管時の自己放電特性
が優れているニッケル・水素二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話や携帯型のノートパソコ
ンのような各種電子機器のコードレス化,高機能化,小
型化,軽量化の進展に伴い、その電源である二次電池に
対しては高容量化の要望が高まっている。従来、これら
電子機器の電源としてはニッケル・カドミウム二次電池
が主として使用されてきた。しかし、上記した高容量化
への要望の高まりに伴い、ニッケル・カドミウム二次電
池の電圧との互換性があり、かつニッケル・カドミウム
二次電池よりも高容量であるということから、最近で
は、ニッケル・水素二次電池が広く使用され始めてい
る。
【0003】しかしながら、ニッケル・水素二次電池
は、ニッケル・カドミウム二次電池よりも高容量である
とはいえ、充電状態で高温環境下に保管しておくと自己
放電を起こしやすいという問題がある。したがって、ニ
ッケル・水素二次電池の使用環境が多様化して過酷な条
件下で使用される機会も増加していることに対応して、
当該ニッケル・水素二次電池には、高容量であることは
勿論のこと、自己放電特性の向上や充放電サイクル寿命
特性の向上が強く求められている。
【0004】ところで、ニッケル・水素二次電池は、一
般に、水酸化ニッケルのようなニッケル化合物の粉末を
担持する正極と、水素吸蔵合金の粉末を担持する負極と
の間に電気絶縁性でかつ保液性を備えたセパレータを介
装して電極群を形成し、この電極群を負極端子も兼ねる
電池缶の中に所定のアルカリ電解液と一緒に収容したの
ち、前記電池缶を封口した構造になっている。
【0005】そして従来から、セパレータとしては、ア
ルカリ電解液との濡れ性を確保するために、親水性が良
好であるポリアミド繊維から成る不織布が広く用いられ
ている。しかしながら、このポリアミド繊維はアルカリ
電解液中での加水分解によって例えば硝酸イオン,亜硝
酸イオン,アンモニアのような不純物を生成し、この不
純物が正極に生成したオキシ水酸化ニッケルを還元する
ことにより、正極の自己放電反応を助長して電池の自己
放電特性を劣化させている。
【0006】このようなことから、セパレータの材料と
しては、前記したポリアミド繊維よりも耐酸化性が優れ
ている繊維材料、例えばポリプロピレン繊維のようなポ
リオレフィン繊維やPTFE繊維のようなフッ素樹脂の
繊維を選定し、これらに親水化処理を施したものの使用
が試みられている。具体的には、例えばポリオレフィン
繊維の不織布を陰イオン系,陽イオン系,非イオン系の
界面活性剤のような界面活性剤で表面処理したものをセ
パレータとして使用することが試みられている。しかし
ながら、上記セパレータは、電池に対する充放電を反復
すると表面の界面活性剤が離脱して親水性は低下し、そ
の結果、充放電サイクル寿命特性の低下が起こってくる
という問題がある。
【0007】また、ポリオレフィン繊維の不織布の全表
面に、スルホン化処理,アクリル酸グラフト処理などの
処理を行うことにより親水性の活性基を外部から不織布
に付加して、その不織布全体の表面の親水性を高め、自
己放電特性の向上を意図する処理が試みられているが、
これらの処理を行っても、自己放電特性の向上はいまだ
充分とはいえない状況にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のニッ
ケル・水素二次電池における上記した問題を解決するこ
とにより、自己放電特性が優れているニッケル・水素二
次電池の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、正極と負極の間に合成樹脂
繊維から成るセパレータが介装されている電極群をアル
カリ電解液と一緒に電池缶の中に封入した構造のニッケ
ル・水素二次電池において、前記セパレータの表面に
は、親水性領域と疎水性領域が併存していることを特徴
とするニッケル・水素二次電池が提供され、更には、前
記セパレータは、窒素を用いたBET1点法で測定した
比表面積が0.5〜5.0m2/gであるニッケル・水素
二次電池が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明のニッケル・水素二
次電池の構造を、円筒形ニッケル・水素二次電池を例に
して説明する。図1において、有底円筒形の電池缶1の
中には、ニッケル極(正極)2と後述するセパレータ3
と負極4とを重ね合わせたシートを渦巻状に巻回して成
る電極群5が収容されている。そして、負極4は電極群
5の最外側に配置されることにより電池缶1と電気的に
接触し、また、電極群5の底部は、電池缶1の底部に配
置された絶縁板6の上に位置している。
【0011】そして、電池缶1の上部開口部の内側には
リング状の絶縁ガスケット7が配置され、この絶縁ガス
ケット7に周縁部が噛み込んだ状態で中央に孔8を有す
る円盤形状の第1封口板9が配置され、前記電池缶1の
上部開口部を内側に縮径する加締加工を行うことによ
り、前記第1封口板9は絶縁ガスケット7を介して電池
缶1の上部開口部を気密に封口している。
【0012】また、電極群5の上部にはリード端子10
が付設され、このリード端子10は前記した第1封口板
9の下面と溶接されている。そして、ゴム製の安全弁1
1が第1封口板9の中央孔8を塞ぐようにして配置さ
れ、更にそれを覆うようにして帽子形状の正極端子12
が第1封口板9に溶接されて電極群が封入されている。
また、上記した構造の電池缶の上部には、中央孔を有す
る絶縁材料の押さえ板13が当該中央孔から前記正極端
子12のみを突出させた状態で配置され、そして押さえ
板13の周縁部,電池缶1の側面部と底面部を被覆して
外装チューブ14が配置されている。
【0013】なお、本発明の電池は上記したような円筒
形に限定されるものではなく、例えば、ニッケル極とセ
パレータと負極と交互に積層して直方体形状の電極群と
し、これを角形の電池缶に収容して封入した構造の角形
電池であってもよい。電極群5のニッケル極2は、概ね
次のようにして製造される。すなわちまず、水酸化ニッ
ケルのようなニッケル化合物の粉末に金属コバルト,コ
バルト酸化物,コバルト水酸化物のような導電材の粉末
を混合した混合粉末、またはニッケル化合物の粉末表面
に前記導電材をコーティングした粉末と、例えばカルボ
キシメチルセルロース,メチルセルロース,ポリアクリ
ル酸ナトリウム,ポリテトラフルオロエチレン,ヒドロ
キシプロピルメチルセルロースのような結着剤とを水で
混練して粘稠なペーストを調製する。なお、用いる水酸
化ニッケルには、Co,Cu,Zn,Al,Mn,C
a,Mg,Fe,Siのような元素が固溶していてもよ
い。
【0014】ついで、このペーストを、例えばスポンジ
状ニッケル基板,網状焼結金属繊維基板または不織布に
ニッケルめっきを施して成るフェルトめっき基板のよう
な3次元網状構造の集電体に充填・塗布したのち前記ペ
ーストを乾燥し、更に続けて加圧成形して所定厚みの正
極シートにする。なお、このときの集電体としては、パ
ンチドメタルやエキスパンドメタルのような2次元基板
や、パンチドメタルの開口部にバリを有する構造の2.
5次元基板を用いることもできる。
【0015】また、負極4は、水素吸蔵合金粉末と結着
剤と、必要に応じては例えばカーボンブラックのような
導電材との所定量を水で混練して成るペーストを集電体
に充填・塗布したのち、乾燥,成形して製造される。用
いる水素吸蔵合金としては、格別限定されるものではな
く、電気化学的に水素を吸蔵・放出できるものであれば
何であってもよく、例えば、LaNi5,MmNi5(M
mはミッシュメタル),LmNi5(Lmはランタン富
化のミッシュメタル)、またはNiの一部をAl,M
n,Co,Ti,Cu,Zn,Zr,Cr,Bなどで置
換した多元素系のもの;TiNi系,TiFe系,Mg
Ni系またはそれらの混合系;をあげることができる。
とくに、次式;LmNixAly z(AはAl,Coか
ら選ばれる少なくとも1種であり、x,y,zは4.8
≦x+y+z≦5.4を満足する原子比を表す)で示さ
れる水素吸蔵合金は、充放電サイクル時における微粉化
が抑制され、電池のサイクル寿命特性を向上せしめるこ
とができるという点で好適である。
【0016】また、結着剤としては、ニッケル極2の製
造時に用いる前記した高分子材料をあげることができ、
集電体としては、例えばパンチドメタル,エキスパンド
メタル,穿孔鋼板,ニッケルネットなどの2次元基板
や、フェルト状金属多孔体,スポンジ状金属基板などの
3次元網状構造のものをあげることができる。本発明に
おいては、上記したニッケル極と負極の間に介装される
セパレータが次に述べるようなものであることを特徴と
する。
【0017】まず、構成材料としては、合成樹脂繊維が
選択される。具体的には、ポリエチレン繊維,ポリプロ
ピレン繊維などのポリオレフィン繊維それ自体;あるポ
リオレフィン繊維の表面が異種類のポリオレフィン繊維
で被覆されている芯鞘構造の複合繊維;互いに異種類で
あるポリオレフィン繊維の分割構造になっている複合繊
維などをあげることができる。また、PTFE繊維も使
用することができるが、その場合には、例えばガラス繊
維のような無機繊維を混在せしめることにより全体の機
械的強度を高めてもよい。なお、上記した繊維はいずれ
もその表面は疎水性になっている。
【0018】セパレータの形態としては、上記した繊維
の不織布の形態であることが好ましいが、また微孔性の
プラスチックシートの形態であってもよい。なお、不織
布として用いる場合には、その不織布は上記した繊維を
例えば乾式法,湿式法,スパンボンド法,メルトブロー
法などによって織成することができる。セパレータが不
織布である場合、その目付量は30〜70g/m2であ
ることが好ましい。目付量が30g/m2より小さい不
織布は、セパレータとしての強度が低いため前記した電
極群を製造する際の巻回時に破損することも起こりやす
く、逆に70g/m2より大きい場合には、電極群を製
造したときの当該セパレータの占有体積が大きくなって
電極容量の低下を招くことになるからである。
【0019】また、用いるセパレータとしては、窒素を
用いたBET1点法で測定したときの比表面積が0.5
〜5.0m2/gの値を示すものであることが好ましい。
比表面積が0.5m2/gより小さいセパレータを用いる
と、保液性が低下し、また比表面積が5.0m2/gより
大きいセパレータは、その引張強度が低くなるので保形
性は低下し、電極群を製造する際の巻回時にセパレータ
の破損などが起こりやすいからである。セパレータとし
ては、1.0〜4.0m2/gの比表面積のものがとくに
好ましい。
【0020】本発明で用いるセパレータは、その表面に
親水性領域と疎水性領域が併存する状態で形成されてい
ることを特徴とする。ここで、親水性領域とは、後述す
る方法でセパレータの表面に親水性の官能基が導入され
ている領域であり、電池反応にとって必要なイオンや水
が円滑に移動できる濡れ性に富む領域である。また疎水
性領域とは、上記した親水性の官能基が導入されず、し
たがってセパレータの構成繊維の疎水性が発現している
領域である。
【0021】セパレータの表面に親水性領域と疎水性領
域が併存していると、その理由は明確ではないが、この
セパレータ表面の疎水性領域においては、組み立てた電
池内に存在していて自己放電に関与する窒素根や、正極
の活物質から溶出して自己放電を誘発する前記した不純
物などがトラップされたり、また親水性領域と疎水性領
域の併存パターンに相応してセパレータ表面における電
解液の分布状態が変化し、その結果、負極から放出され
た水素ガスが正極に到達しづらくなるために、自己放電
の発生が抑制されるのではないかと考えられる。
【0022】ここで、セパレータ表面における親水性領
域の面積割合が小さすぎる(疎水性領域の面積割合が大
きすぎる)と、そのセパレータの保液性が低下して電池
反応にとって必要なイオンや水の移動が円滑に進まず、
また親水性領域の面積割合が大きすぎる(疎水性領域の
面積割合が小さすぎる)と、自己放電特性の改善効果が
減退する。
【0023】このような親水性領域と疎水性領域の併存
状態は次のようにして形成することができる。第1の方
法は、低温プラズマ法を適用することである。すなわち
まず、プラズマ処理装置の中に平行配置されている一対
の電極板の間に、処理対象のセパレータを配置する。そ
のとき、セパレータの表面に、発生させるプラズマに対
する透過性が前記セパレータに対する場合と異なる材
料、例えばチタン,ステンレス鋼などの材料で構成され
た所望パターンのマスクを重ね合わせる。また、セパレ
ータと同じ材料であるが、プラズマの透過性が異なって
いて、プラズマ処理後のセパレータ表面に親水性のムラ
を生じさせるような材料をマスクとすることもできる。
【0024】用いるマスクのパターンはプラズマの透過
部(開口部)とプラズマの遮蔽部(骨格部)とを組み合
わせた平面パターンになっている。したがって、後述す
る低温プラズマ処理の過程で、前記プラズマの透過部を
通って親水性の官能基がセパレータに導入されて親水性
領域が形成され、プラズマの遮蔽部の下はセパレータに
おける構成繊維の疎水性が保持されて疎水性領域が形成
される。
【0025】したがって、上記したマスクにおける平面
パターンを適宜に設定することにより、低温プラズマ処
理後のセパレータの表面における親水性領域と疎水性領
域との面積割合を選定することができる。ついで、装置
内を一旦減圧状態にしたのち、例えばO2,N2,Arな
どの親水性付与用のガスを流入しながら、装置内を0.
05〜1Torrに保持する。
【0026】その後、電極板の間に高周波電場を形成す
る。具体的には、出力5〜100Wにおいて、例えばラ
ジオ周波数13.56MHzの高周波、または2.54GHzの
マイクロ波で放電を行い、電極間に配置されているセパ
レータにプラズマ処理を施す。処理時間は0.1〜30
分に設定することが好ましい。上記した条件下における
発生プラズマのパラメータの1例を示すと、電子温度2
000〜4000°K,電子密度109〜1013個/c
m3,イオン温度200〜400°K,イオン密度109
〜1013個/cm-3,プラズマ空間電位10〜90Vにな
っている。
【0027】このような低温プラズマ処理により、処理
対象のセパレータの表面には、用いたマスクの平面パタ
ーンと同じパターンをなして、親水性領域と疎水性領域
が併存するパターンが形成される。第2の方法は、処理
対象のセパレータの表面に対する選択的な親水化処理で
ある。
【0028】具体的には、親水性のビニルモノマーをセ
パレータの構成繊維にグラフト重合させる処理である。
例えば、親水性ビニルモノマーに処理対象のセパレータ
を浸漬して前記親水性ビニルポリマーを含浸せしめ、つ
いでセパレータを取り出し、その表面に第1の方法で説
明したようなマスクを配置する。
【0029】用いる親水性ビニルモノマーとしては、例
えば、アクリル酸,メタクリル酸、またはそれらのエス
テル,ビニルピリジン,ビニルピロリドン,スチレンス
ルホン酸,スチレンのように、直接、酸または塩基と反
応して塩を形成するような官能基を有するもの;グラフ
ト重合後にあっても加水分解して塩を形成する官能基を
有するもの;をあげることができる。とくにアクリル酸
モノマーは好適である。
【0030】そして、このマスクの上から紫外線,電子
線,X線のような電離放射線を照射する。その結果、マ
スクの開口部から表出する親水性ビニルモノマーはセパ
レータの構成繊維とグラフト重合し、マスクの骨格部の
下に位置する親水性ビニルモノマーは重合しない。
【0031】ついで、前記マスクを取り外し、親水性ビ
ニルモノマーを溶解する溶剤でセパレータを洗浄し、重
合していない親水性ビニルモノマーを除去する。その結
果、セパレータの表面には、親水性ビニルモノマーのグ
ラフト重合体から成る親水性領域と、表出した構成繊維
から成る疎水性領域とが併存するパターンが形成され
る。
【0032】このようにして形成されたセパレータの表
面における親水性領域の割合は、構成繊維とグラフト重
合している親水性ビニルポリマーの親水基の多寡によっ
て規定される。そして、本発明で用いるセパレータの場
合には、親水性ビニルモノマーのグラフト重合の割合
が、後述する滴定法で測定したときのイオン交換量で
0.2〜2.0meq/gになっていることが好ましい。
【0033】このイオン交換量が0.2meg/gより小さ
いときは、親水性ビニルモノマーのグラフト重合量が少
ないため、セパレータの保液性は低下して電池反応に必
要なイオンや水の移動が阻害されるようになり、また、
イオン交換量が2.0meq/gより大きくなると、大電流
放電時に電池の作動電圧が低下するようになるからであ
る。
【0034】ここで、上記した滴定法は次のようにして
進められる。 1)まず、グラフト重合処理後の試料0.5〜1gを内
容積100mlのポリエチレン製広口瓶にいれ、ここに1
NのHCl溶液100mlを注入し、試料が浮上している
場合は完全に沈めた状態にして、温度60℃の恒温槽内
で1時間保存する。
【0035】2)ついで、試料を200mlのイオン交換
水が入っているビーカーに移し、ガラス棒で撹拌し、イ
オン交換水を取り替えながら洗浄液のpH値が6〜7に
なるまで前記試料を洗浄する。 3)試料を取り出して水切りを行ったのちステンレス鋼
製のバットの上に広げ、温度100℃で1時間の乾燥処
理を行う。
【0036】4)冷却後、試料重量を0.1mgの値まで
秤量したのち、内容積100mlのポリエチレン製製広口
瓶に写し、その中に、0.01NのKOH溶液を110
±0.01g注入する。これを試験液とする。 5)一方、0.01NのKOH溶液を内容積100mlの
ポリエチレン製広口瓶に110±0.01g注入し、こ
れをブランク試験液とする。
【0037】6)上記した2個の広口瓶を温度60℃の
恒温槽に入れ、30分ごとに軽く振とうして2時間保存
する。 7)2個の広口瓶を取り出し、室温になるまで放冷した
のち、試験液100gを内容積200mlのコニカルビー
カーに0.01gまで秤量して注入し、フェノールフタ
レインを指示薬にして、0.1NのHCl溶液で中和滴
定する。ブランク試験液も同様に操作して中和滴定す
る。
【0038】8)そして、次式:
【0039】
【数1】 (ただし、I.E.C:カリウムイオン交換量(meq/
g)、 T1:試験液の滴定に要した0.1NのHCl溶液量(m
l)、 T2:ブランク試験液の滴定に要した0.1NのHCl溶
液量(ml)、 S1:採取した試験液の重量(g)、 S2:採取したブランク試験液の重量(g)、 E1:5)で広口瓶に注入した0.01NのKOH溶液量
(g)、 F:0.1NのHCl溶液のファクタ、 である)に基づいてI.E.Cを計算する。
【0040】
【実施例】実施例1〜3,比較例1〜4 (1)セパレータの製造 まず、平均繊維径10μmのポリプロピレン繊維を用い
て、スパンポンド法で目付量50g/m2,厚み0.16
mmの不織布を製造した。これをセパレータ(1)とす
る。
【0041】また、平均繊維径1μmのポリプロピレン
繊維を用いて、メルトブロー法で目付量40g/m2
厚み0.18mmの不織布を製造した。これをセパレータ
(2)とする。更に、平均繊維径が25μmで、ポリプ
ロピレン繊維とポリエチレン繊維から成る複合繊維を用
いて、目付量60g/m2,厚み0.18mmの乾式不織布
を製造した。これをセパレータ(3)とする。
【0042】上記したセパレータ(1)をプラズマ処理
装置の電極板の間に平行配置し、更にその両面に100
メッシュ(タイラー篩:線径104μm,開口の広さ
0.15mm×0.15mmのTi網)を重ね合わせたのち1
時間減圧し、ここに酸素ガスを30ml/minの流量で流
入して装置内を0.1Torrに調整した。ついで、ラジオ
周波数13.56KHz,出力50W,時間10分間の条件
でプラズマ処理を行った。得られたセパレータをセパレ
ータAとする。
【0043】装置内への流入ガスが窒素ガスであったこ
とを除いては、セパレータAの場合と同様にしてセパレ
ータ(1)の処理を行った。得られたセパレータをセパ
レータBとする。セパレータ(1)をアクリル酸水溶液
に浸漬したのち取り出し、その両面に100メッシュの
Ti網を重ね合わせたのち紫外線を照射した。ついで、
Ti網を取り外し、処理後のセパレータ(1)を水で洗
浄した。得られたセパレータをセパレータCとする。
【0044】セパレータ(1)の両面にTi網を配置し
なかったことを除いては、セパレータAの場合と同様に
してセパレータ(1)を処理した。得られたセパレータ
をセパレータDとする。セパレータ(1)に代えてセパ
レータ(2)を用いたことを除いては、セパレータAの
場合と同様にしてセパレータ(2)を処理した。得られ
たセパレータをセパレータEとする。
【0045】セパレータ(1)に代えてセパレータ
(3)を用いたことを除いては、セパレータAの場合と
同様にしてセパレータ(3)を処理した。得られたセパ
レータをセパレータFとする。以上の各処理後のセパレ
ータに関しては、温度80℃で30分間加熱したのち、
窒素を用いたBET1点法でそれぞれの比表面積を測定
した。また、セパレータCに関しては、前記した滴定法
でI.E.Cを算出した。
【0046】以上の結果を一括して表1に示した。な
お、何らの処理も行わないセパレータ(1)の場合につ
いても、セパレータGとして表1に併記した。また、セ
パレータDを除いた他のセパレータについては、100
メッシュのTi網の寸法形状から、形成されたと想定で
きる親水性領域と疎水性領域の面積割合を計算し、その
値も表1に併記した。
【0047】
【表1】
【0048】(2)電池の製造 水酸化ニッケル粉末100重量部に対し、酸化コバルト
粉末6.1重量部,ポリアクリル酸ナトリウム0.16重
量部,ヒドロキシメチルセルロース0.06重量部,カ
ルボキシメチルセルロース0.11重量部,PTFEデ
ィパーション(比重1.5,固形分含量60重量%)0.
67重量部を混合し、更に純水30重量部を添加し、全
体を混練してペーストを調製した。
【0049】このペーストをニッケルの発泡基板に充填
し、乾燥したのちロール圧延を行って厚み0.6mmのニ
ッケル極(正極)を製造した。一方、組成がLmNi
4.0Co0.04Mn0.3Al0.3(LmはLa富化のミッシ
ュメタル)の水素吸蔵合金を機械粉砕して200メッシ
ュ(タイラー篩)下の粉末にした。
【0050】ついで、この粉末100重量部に対し、ポ
リアクリル酸ナトリウム0.3重量部,カルボキシメチ
ルセルロース0.05重量部,カーボンブラック1.0重
量部,PTFEディパーション(比重1.5,固形分含
量60重量%)1.0重量部を配合し、全体を44重量
部の水で混練してペーストを調製した。このペーストを
ニッケルパンチドメタル(開口率45%)に塗布し、乾
燥し、更にロール圧延して厚み0.3mmの水素吸蔵合金
電極(負極)を製造した。
【0051】これらニッケル極と水素吸蔵合金電極の間
に、表2で示したように、表1の各セパレータをそれぞ
れ挟んで積層体シートにしたのち、水素吸蔵合金電極を
外側にして巻回し、図1で示した各種の電極群5を製造
した。なお、セパレータEの場合は、巻回時に破損し電
極群を製造することができなかった。
【0052】そして、この電極群5を用い、電解液とし
てKOH 7NとLiOH 1Nとの混合液を用いて図
1で示した構造のAAAサイズニッケル・水素二次電池
を製造した。
【0053】
【表2】
【0054】(3)電池特性 得られた各電池につき、温度20℃において公称容量に
対して0.2Cで150%の充電を行ったのち、1Cで
電池電圧が1.0Vになるまで放電する充放電サイクル
を3回反復した。その後、0.2Cで150%の充電を
行い、その状態で温度45℃の恒温槽に14日間保管
し、保管後に1Cで電池電圧が1.0Vになるまでの放
電を行い、そのときの残存容量を測定した。
【0055】電池の公称容量をC0,上記した残存容量
をC1としたとき、次式:100×C 1/C0(%)に基
づいて各電池の容量残存率を算出した。その結果を図2
に示した。図2から次のことが明らかである。 1)低温プラズマ法やグラフト重合法で親水化処理を行
っている実施例1〜3と比較例1,3の場合は、いずれ
の場合も、上記処理を行わなかった場合(比較例4)に
比べて容量残存率が大幅に向上して高温下における自己
放電特性の向上が認められる。
【0056】2)しかしながら、比較例1の場合は、実
施例1〜3の場合よりも容量残存率が低くなっている。
このことから、セパレータの全表面を親水化するより
も、親水性領域と疎水性領域を併存させることの有用性
が明らかである。 3)また、セパレータの比表面積が5.5m2/gと大き
いセパレータEの場合は破損により電極群が製造でき
ず、そして比表面積が0.5m2/gより小さいセパレー
タGを用いた電池の容量残存率も低い。このようなこと
から、セパレータとしては、その比表面積が0.5〜5.
0m2/gであるものを用いることが好適であることが
わかる。
【0057】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、高温保管時における自己放電特性が向上したニ
ッケル・水素二次電池を得ることができる。これは、セ
パレータとして、表面に親水性領域と疎水性領域が併存
しているものを用いたことがもたらす効果である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法のセパレータが組み込まれている円
筒形ニッケル・水素二次電池を示す一部切欠斜視図であ
る。
【図2】各電池の容量残存率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電池缶 2 ニッケル極(正極) 3 セパレータ 4 負極 5 電極群 6 絶縁板 7 絶縁ガスケット 8 孔 9 第1封口板 10 リード端子 11 安全弁 12 正極端子 13 押さえ板
フロントページの続き (72)発明者 寺岡 浩仁 東京都品川区南品川3丁目4番10号 東芝 電池株式会社内 Fターム(参考) 5H021 AA06 BB01 BB02 BB09 BB12 BB13 BB15 BB20 CC02 CC17 EE04 EE06 EE10 EE16 HH04 5H028 AA01 BB03 BB04 BB05 BB06 BB07 HH01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と負極の間に合成樹脂繊維から成る
    セパレータが介装されている電極群をアルカリ電解液と
    一緒に電池缶の中に封入した構造のニッケル・水素二次
    電池において、 前記セパレータの表面には、親水性領域と疎水性領域が
    併存していることを特徴とするニッケル・水素二次電
    池。
  2. 【請求項2】 前記セパレータは、窒素を用いたBET
    1点法で測定した比表面積が0.5〜5.0m2/gであ
    る請求項1のニッケル・水素二次電池。
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