JP2000191416A - 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法 - Google Patents

農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法

Info

Publication number
JP2000191416A
JP2000191416A JP11302995A JP30299599A JP2000191416A JP 2000191416 A JP2000191416 A JP 2000191416A JP 11302995 A JP11302995 A JP 11302995A JP 30299599 A JP30299599 A JP 30299599A JP 2000191416 A JP2000191416 A JP 2000191416A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
copper
compound
agricultural
seed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11302995A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4526622B2 (ja
Inventor
Satoshi Kondo
藤 智 近
Seiichi Kutsuma
誠一 久津間
Shinichi Kondo
藤 真 一 近
Takeshi Tamamura
村 健 玉
Motohiro Hiramatsu
松 基 弘 平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokko Chemical Industry Co Ltd filed Critical Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP30299599A priority Critical patent/JP4526622B2/ja
Publication of JP2000191416A publication Critical patent/JP2000191416A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4526622B2 publication Critical patent/JP4526622B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記式[I]で表されるアミノ酸金属錯化
合物あるいはその塩を有効成分として含有することを特
徴とする農園芸用種子消毒剤; 【化1】 [式[I]中、R1 、R2はそれぞれアミノ酸の側鎖を示
し、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、M
は、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムのうち
の何れかを示す。] 金属あるいは無機金属化合物を有効成分として含有する
農園芸用殺菌剤と、水と、塩基性、中性または酸性アミ
ノ酸あるいはその塩とを同時に、あるいは任意の順序で
配合してなる種子消毒液を用いて種子を消毒することを
特徴とする種子の消毒方法。 【効果】 イネ種子をはじめとする種々の植物の種子に
対して優れた消毒活性を有すると共に、作物や人畜に対
する安全性が高く、イネ種子などに適用できる農園芸用
種子消毒剤が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農園芸用種子消毒
剤に関し、さらに詳しくはアミノ酸金属錯化合物を含有
してなる農園芸用種子消毒剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】水稲の病害には、糸状菌に起因す
る糸状菌性病害と、細菌に起因する細菌性病害とがあ
り、従来より、イネ馬鹿苗病、いもち病、ごま葉枯病な
どの糸状菌性病害に対しては、ベノミル、ペフラゾエー
トなどの有効な薬剤(種子消毒剤)が開発されている。
【0003】また上記のような種子消毒剤以外に、水稲
の細菌性病害に対する種子消毒剤および育苗箱施用消毒
剤(なお、本明細書において、消毒剤について「施用」
とは、灌注、土壌混和、散布などを含む広範な使用態様
を示す。)としては、無機系銅化合物を有効成分とする
無機系銅消毒剤、有機系銅化合物を有効成分とする有機
系銅消毒剤、TMTD剤、オキソリニック酸剤およびカ
スガマイシン剤が広く用いられている。しかしながら、
これらの種子消毒剤には、イネ苗立枯細菌病などの細菌
性病害の防除に対しては必ずしも十分でないか、ヒトや
魚類、作物に対する安全性の点で不十分であるか、ある
いは継続使用すると薬剤耐性菌が発生してしまい十分な
防除効果を発揮できないなどの問題点がある。
【0004】このため、イネを代表とする種々の植物の
細菌性病害に卓効を示し、かつ安全性が高く、安価な種
子消毒剤の開発が望まれていた。このような問題点を解
決すべく本発明者らが鋭意研究したところ、特定のアミ
ノ酸金属錯化合物は、種子消毒剤などとして用いると、
イネをはじめとする種々の植物の細菌性病害に優れた防
除効果を発揮でき、作物や人畜に対する安全性も高いこ
となどを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】詳説すれば、本発明者らは、特定のアミノ
酸金属錯化合物は、生育した農園芸作物の茎葉に散布処
理した場合には、作物に強く薬害を与える恐れがあり、
またこのアミノ酸金属錯化合物は、稲苗立枯細菌病など
の細菌性病害に対してシャーレ試験では抗菌活性を示さ
ないが、細菌性病原菌が感染したイネの種子などに対し
ては種子消毒剤等として極めて有用であり、このように
種子消毒した後に生育したイネ等に対しては薬害が生じ
ず、しかも人畜に対して安全性が高く、また、既存の種
子消毒剤に比べて少量使用するだけで優れた薬効を発揮
することなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】なお、アミノ酸の金属錯化合物は、公知化
合物であるが、このアミノ酸金属錯化合物のうちでも、
メチオニン、スレオニン、バリン、フェニルアラニン、
イソロイシン、プロリン、グリシン、トリプトファン、
アスパラギンおよびグルタミンの銅錯化合物、あるいは
メチオニンのニッケル錯化合物は、カンキツ潰瘍病、カ
ンキツ黒点病、イネいもち病およびイネ紋枯病に対して
防除効果を示す殺菌剤(特公昭48−34205号公
報)として公知である。また、メチオニンの銅錯化合物
は、これらの病害の他にイネのいもち病、トマト疫病お
よびカンキツ潰瘍病に対する殺菌あるいは病疫抵抗性賦
与剤として公知であり(特開昭47−49548号公
報)、またブドウ栽培におけるべと病の防除剤として
(WO95/13700)、および作物の成長促進剤と
して(DE2217896)も公知であり、その他、ブ
タの寄生虫に対して駆虫活性を示すこと(日本獣医学雑
誌 24,309,1962)も知られている。
【0007】また、グリシンの銅錯化合物などは、除草
剤として公知(特開昭58−162508号公報)であ
る。その他、種々のアミノ酸の銅錯化合物が抗カビおよ
び抗菌活性を有することが既に知られている[インディ
アン・ジャーナル・オブ・フィジカル・アンド・ナチュ
ラル・サイエンス(Indian J.Phys. Nat.Sci.,3,5
1,1983),ジャーナル・オブ・リサーチ・パキスタン
(J.Res.Pak.,5,7,1993)]。
【0008】しかしながら、アミノ酸金属錯化合物が、
イネ種子等の種子消毒剤などとして実用上十分な活性を
有することなどはこれまで知られていない。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、イネ種子をは
じめとする種々の植物の種子に対して優れた消毒活性を
有すると共に、作物や人畜に対する安全性が高く、イネ
種子などに適用できる農園芸用種子消毒剤を提供するこ
とを目的としている。
【0010】また、本発明は、作物や人畜に対して安全
で、しかも効率的な種子の消毒方法を提供することを目
的としている。
【0011】
【発明の概要】本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、下
記式[I]で表されるアミノ酸金属錯化合物あるいはその
塩(これらをまとめて「アミノ酸金属錯化合物類」とも
言う。)を有効成分として含有することを特徴としてい
る。
【0012】
【化2】
【0013】[式[I]中、R1、R2はそれぞれアミノ酸の
側鎖を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよ
く、Mは、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウム
のうちの何れかを示す。] 本発明においては、上記式[I]中、R1、R2が同一であ
って、これらが中性アミノ酸側鎖、塩基性アミノ酸側
鎖、酸性アミノ酸側鎖の何れかであってもよい。本発明
においては、上記式[I]中、R1が塩基性アミノ酸側鎖で
あり、R2が酸性アミノ酸側鎖であってもよい。
【0014】本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、(i)
塩基性、中性または酸性アミノ酸あるいはその塩と、(i
i)金属あるいは無機金属化合物と、を有効成分として含
有していることを特徴としている。本発明に係る種子の
消毒方法は、金属あるいは無機金属化合物を有効成分と
して含有する農園芸用殺菌剤と、水と、塩基性、中性ま
たは酸性アミノ酸あるいはその塩とを同時に、あるいは
任意の順序で配合してなる種子消毒剤、好ましくは上記
農園芸用殺菌剤に水と、上記アミノ酸あるいはその塩と
を配合してなる種子消毒液を用いて種子を消毒すること
を特徴としている。
【0015】本発明においては、上記何れの場合も、無
機金属化合物が、金属亜酸化物、金属水酸化物、金属塩
のうちの何れか1種以上であることが望ましい。本発明
においては、上記何れの場合も、金属あるいは無機金属
化合物が、銅あるいは無機系銅化合物、例えば、亜酸化
銅、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性
硫酸銅であることが好ましい。
【0016】このような本発明に係る農園芸用種子消毒
剤は、イネ種子をはじめとする種々の植物の種子に対し
て優れた種子消毒活性を有すると共に、作物や人畜に対
する安全性も高い。このような本発明に係る種子の消毒
方法によれば、作物や人畜に対して安全で、しかも効率
よく種子の消毒を行うことができる。
【0017】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る農園芸用種子
消毒剤について具体的に説明する。 <アミノ酸金属錯化合物類>本発明に係る農園芸用種子
消毒剤には、殺菌性有効成分である次式[I]で表される
アミノ酸金属錯化合物あるいはその塩(アミノ酸金属錯
化合物類)が含まれている。
【0018】
【化3】
【0019】[式[I]中、R1 、R2はそれぞれアミノ酸
の側鎖を示し、これらは互いに同一でも異なっていても
よく、Mは、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウ
ムのうちの何れかを示す。] 上記アミノ酸側鎖R1、R2としては、水素原子あるい
は、炭素数が1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ま
しくは1〜3、特に好ましくは1〜2の直鎖状あるいは
分岐状のアルキル基;水素原子の一部が水酸基にて置換
された上記アルキル基(水酸基含有アルキル基);上記
アルキル基中の隣接するH−C間あるいはC−C間にS
原子が介在した硫黄含有アルキル基;上記アルキル基中
の水素原子の一部がカルボキシル基にて置換されたカル
ボキシル基含有アルキル基;同じくアミノ基にて置換さ
れたアミノ基含有アルキル基;アミド基含有アルキル
基;上記アルキル基中の水素原子の一部が芳香環にて置
換された芳香環含有アルキル基;複素環含有アルキル基
(あるいはアルキレン基)が挙げられる。但し、各種置
換基含有アルキル基、アルキレン基におけるアルキル基
等の炭素数は、何れも上記アルキル基の場合と同様であ
る(以下同様)。
【0020】上記アミノ酸側鎖R1、R2が水素原子、あ
るいはアルキル基の例としては、グリシン由来の水素原
子、アラニン由来のCH3−、バリン由来の(CH32
CH−、ロイシン由来の(CH32CHCH2−、イソ
ロイシン由来のC25CH(CH3)−等が挙げられ、
これらのうちでは、上記アミノ酸側鎖R1、R2が水素原
子、あるいは炭素数3以下さらには2以下のアルキル基
であると、水溶性に優れ、種子消毒効果に優れるアミノ
酸金属錯化合物類となるため好ましい。
【0021】水酸基含有アルキル基としては、例えば、
セリン由来のHOCH2−、トレオニン由来のCH3CH
(OH)-等が挙げられる。上記硫黄含有アルキル基と
しては、例えば、システィン由来のHSCH2−、シス
チン由来のHOOC(NH2)CHCH2SSCH2−、
メチオニン由来のCH3S(CH22−等が挙げられ
る。
【0022】カルボキシル基含有アルキル基としては、
酸性アミノ酸のアスパラギン酸由来のHOOCCH
2−、酸性アミノ酸のグルタミン酸由来のHOOC(C
22−等が挙げられる。アミノ基含有アルキル基(ア
ミド基を有するものを除き、水酸基とアミノ基の両者を
有するもの、アミノ基とS原子を有するもの、およびグ
アニジル基を有するものを含む。)としては、塩基性ア
ミノ酸のリジン(Lysine)由来のH2N(CH24−、
塩基性アミノ酸のアルギニン由来のH2NC(=NH)
NH(CH23−、オルニチン由来のH2N(CH23
−、ヒドロキシリジン由来のH2NCH2CH(OH)
(CH22−、チアリジン由来のH2N(CH2)SCH
2−、ジアミノブチル酸由来のH2N(CH22−、ジア
ミノプロピオン酸由来のH2NCH2−等が挙げられる。
【0023】アミド基含有アルキル基としては、グルタ
ミン由来のH2NCO(CH22−、アスパラギン由来
のH2NCOCH2−等が挙げられる。芳香環含有アルキ
ル基としては、フェニルアラニン由来のPh-CH2
(但し、Ph:フェニル基)、チロシン由来のHO−P
he−CH2−(但し、Phe:フェニレン基)等が挙
げられる。
【0024】複素環含有アルキル基(あるいはアルキレ
ン基)としては、塩基性アミノ酸のヒスチジン由来のI
mi−CH2−(但し、Imi:イミダゾール環)、ト
リプトファン由来のIndo−CH2−(但し、Ind
o:インドール環)、プロリン由来の−(CH23−、
オキシプロリン由来の−CH2CH(OH)CH2−等が
挙げられる。
【0025】上述したようなR1、R2のうちでは、水溶
性に優れ、種子消毒効果に優れたアミノ酸金属錯化合物
が得られる点で、R1、R2が、水素原子、炭素数3以
下、さらには2以下のアルキル基;水酸基含有アルキル
基;カルボキシル基含有アルキル基;アミノ基含有アル
キル基(アミド基を有するものを除き、水酸基とアミノ
基の両者を有するもの、アミノ基とS原子を有するも
の、およびグアニジル基を有するものを含む。);アミ
ド基含有アルキル基;芳香環含有アルキル基のうちのチ
ロシン由来のHO-Ph−CH2−(但し、Ph:フェニ
レン基);複素環含有アルキル基(あるいはアルキレン
基)のうちのヒスチジン由来のImi−CH 2−(但
し、Imi:イミダゾール環)、プロリン由来の−(C
23−、ヒドロキシプロリン由来の−CH2CH(O
H)CH2−が好ましい。
【0026】これらのうちでも、アミノ酸側鎖R1、R2
としては、特に、グリシン由来の水素原子、アラニン由
来のCH3−、セリン由来のHOCH2−、リジン(Lysi
ne)由来のH2N(CH24−、アルギニン由来のH2
C(=NH)NH(CH23−、オルニチン由来のH2
N(CH23−、ヒドロキシリジン由来のH2NCH2
H(OH)CH2CH2−、チアリジン由来のH2N(C
2)SCH2−、ジアミノブチル酸由来のH2N(C
22−、ジアミノプロピオン酸由来のH2NCH 2−、
ヒドロキシプロリン由来の−CH2CH(OH)CH2
が好ましい。
【0027】このようなアミノ酸金属錯化合物[I]とし
ては、具体的には、例えば、表1にまとめて示すよう
に、上記式[I]中、R1、R2が共にアスパラギン側鎖
(H2NCO−CH2−)であり、Mが銅であるビス−L
-アスパラギン銅錯化合物(化合物No.1)、R1、R
2が共にアラニン側鎖(CH3−)であり、Mが銅である
ビス−L-アラニン銅錯化合物(化合物No.2)ある
いはビス−β-アラニン銅錯体(化合物No.3)、
1、R2がイソロイシン側鎖(C25CH(CH3
−)であり、Mが銅であるビス−L-イソロイシン銅錯
化合物(化合物No.5)、R1、R2がグリシン側鎖
(H)であり、Mが銅であるビス−グリシン銅錯化合物
(化合物No.7)、R1、R2が共にグルタミン側鎖
(H2N(CO)−(CH22−)であり、Mが銅であ
るビス−L-グルタミン銅錯化合物(化合物No.
8)、R1、R2が共にセリン側鎖(HOCH2−)であ
り、Mが銅であるビス−L-セリン銅錯化合物(化合物
No.11)、R1、R2が共にトリプトファン側鎖[I
ndo−CH2−(但し、Indo:インドール環)]
であり、Mが銅であるビス−L-トリプトファン銅錯化
合物(化合物No.12)、R1、R2が共にトレオニン
側鎖[CH3CH(OH)-]であり、Mが銅であるビス
−L-トレオニン銅錯化合物(化合物No.14)、
1、R2が共にバリン側鎖[(CH32CH−]であ
り、Mが銅であるビス−L-バリン銅錯化合物(化合物
No.15)、R1、R2が共にヒドロキシプロリン側鎖
[−CH2CH(OH)CH2−]であり、Mが銅である
ビス−L-ヒドロキシプロリン銅錯化合物(化合物N
o.17)、R1、R2が共にプロリン側鎖[−(CH2
3−]であり、Mが銅であるビス−L-プロリン銅錯化合
物(化合物No.19)、R1、R2が共にフェニルアラ
ニン側鎖[Ph-CH2−(但し、Ph:フェニル基)]
であり、Mが銅であるビス−L-フェニルアラニン銅錯
化合物(化合物No.20)、R1、R2が共にリジン側
鎖[H2N(CH24−]であり、Mが銅であるビス−L
-リジン銅錯化合物(化合物No.21)、R1、R2
共にロイシン側鎖[(CH32CHCH2−]であり、M
が銅であるビス−L-ロイシン銅錯化合物(化合物N
o.30)等が挙げられる。
【0028】また、このようなアミノ酸金属錯化合物
[I]の塩(アミノ酸塩の金属錯化合物)としては、塩基
性アミノ酸金属錯化合物の場合は、無機酸塩、有機酸
塩、脂肪酸塩およびアニオン性界面活性剤塩が用いられ
る。上記無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、沃化水素
酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等が挙げられる。有機酸
としては、酢酸、安息香酸、ソルビン酸、グリコール
酸、乳酸、酒石酸、蓚酸等が挙げられる。脂肪酸として
は、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂
脂肪酸等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、
ラウリル硫酸エステル、ラウリルエーテル硫酸エステ
ル、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0029】また酸性アミノ酸金属錯化合物の場合は、
上記酸性アミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシ
ウム塩などが挙げられる。その他、金属錯化合物のアミ
ノ酸側鎖の一方が、塩基性アミノ酸側鎖であり、他方が
酸性アミノ酸側鎖からなる、塩基性アミノ酸と酸性アミ
ノ酸との塩の金属錯化合物等が挙げられる。
【0030】このようなアミノ酸金属錯化合物[I]の塩
としては、具体的には、例えば、上記式[I]中、R1、R
2が共にアルギニン側鎖[H2NC(=NH)NH(C
23−]であり、Mが銅であるビス−L-アルギニン銅
錯化合物の塩酸塩(ビス−L−アルギニン・1塩酸塩銅
錯化合物:化合物No.4)、R1、R2が共にオルニチ
ン側鎖[H2N(CH23−]であり、Mが銅であるビス
−L-オルニチン銅錯化合物の塩酸塩(ビス−L−オル
ニチン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物No.6)、
1、R2が共にL−2,4−ジアミノブチル酸側鎖[H2
N−(CH22−]であり、Mが銅であるビス−L-2,
4−ジアミノブチル酸(DABA)銅錯化合物の塩酸塩(ビ
ス−L−2,4−ジアミノブチル酸(DABA)・1塩酸塩
銅錯化合物:化合物No.9)、R1、R2が共にDL−
2,3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)側鎖[H2N−CH
2−]であり、Mが銅であるビス−DL-2,3−ジアミ
ノプロピオン酸(DAPA)銅錯化合物の塩酸塩(ビス−DL
−2,3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)・1塩酸塩銅
錯化合物:化合物No.10)、R1、R2が共にL−4
−チアリジン側鎖[H2N(CH22SCH2−]であり、
Mが銅であるビス−L-4−チアリジン銅錯化合物の塩
酸塩(ビス−L−4−チアリジン・1塩酸塩銅錯体:化
合物No.13)、R1、R2が共にヒスチジン側鎖[I
mi−CH2−(但し、Imi:イミダゾール環)]であ
り、Mが銅であるビス−L-ヒスチジン銅錯化合物の塩
酸塩(ビス−L−ヒスチジン・1塩酸塩銅錯体:化合物
No.16)、R1、R2が共にヒドロキシリジン側鎖
[H2NCH2CH(OH)(CH22−]であり、Mが銅
であるビス−DL-ヒドロキシリジン銅錯化合物の塩酸
塩(ビス−DL−ヒドロキシリジン・1塩酸塩銅錯体:
化合物No.18)、R1、R2が共にリジン側鎖[H2
(CH24−]であり、Mが銅であるビス−L-リジン銅
錯化合物の塩酸塩(ビス−L−リジン・1塩酸塩銅錯化
合物:化合物No.22)、R1、R2が共にリジン側鎖
[H2N(CH24−]であり、Mが銅であるビス−L-リ
ジン銅錯化合物の炭酸水素塩(ビス−L−リジン・1炭
酸水素塩銅錯化合物:化合物No.23)、R1、R2
共にリジン側鎖[H2N(CH24−]であり、Mが銅で
あるビス−L-リジン銅錯化合物のドデシルベンゼンス
ルホン酸(DBSA)塩(ビス−L−リジン・DBSA塩銅
錯化合物:化合物No.24)、R1、R2が共にリジン
側鎖[H2N(CH24−]であり、Mが銅であるビス−
L-リジン銅錯化合物のラウリン酸(LauA)塩(ビス−
L−リジン・LauA塩銅錯化合物:化合物No.2
5)、R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH24−]
であり、Mが銅であるビス−D-リジン銅錯化合物の塩
酸塩(ビス−D−リジン・1塩酸塩銅錯化合物:化合物
No.26)、R1、R2が共にリジン側鎖[H2N(CH
24−]であり、Mが銅であるビス−DL-リジン銅錯化
合物の塩酸塩(ビス−DL−リジン・1塩酸塩銅錯化合
物:化合物No.27)、R1、R2が共にリジン側鎖
[H2N(CH24−]であり、Mが亜鉛であるビス−L-
リジン亜鉛錯化合物の塩酸塩(ビス−L−リジン・1塩
酸塩亜鉛錯化合物:化合物No.31)、R1、R2が共
にリジン側鎖[H2N(CH24−]であり、Mがマグネ
シウムであるビス−L-リジンマグネシウム錯化合物の
塩酸塩(ビス−L−リジン・1塩酸塩マグネシウム錯化
合物:化合物No.32)等が挙げられる。
【0031】また上記式[I]中、R1、R2が互いに異な
るものとしては、上記式[I]中、R1がリジン側鎖[H3
+(CH24−]であり、R2がアスパラギン酸側鎖[-
OCCH2−]であり、Mが銅であるL−リジン・L-ア
スパラギン酸塩の銅錯化合物(L−リジン・L-アスパ
ラギン酸塩銅錯化合物:化合物No.28)、また上記
式[I]中、R1がリジン側鎖[H3+(CH24−]であ
り、R2がグルタミン酸側鎖[-OOC−(CH22−]
であり、Mが銅であるL−リジン・L-グルタミン酸塩
の銅錯化合物(L−リジン・L-グルタミン酸塩銅錯化
合物:化合物No.29)等が挙げられる。
【0032】このようなアミノ酸金属錯化合物類は、本
発明の農園芸用種子消毒剤中に1種または2種以上含ま
れていてもよい。上記例示のアミノ酸金属錯化合物[I]
を表1にまとめて示す。このようなアミノ酸金属錯化合
物類のうちでは、下記表1中付番1、4〜7、9〜1
1、13〜14、16〜19、21〜27が好ましく、
さらには付番4、6〜7、9〜11、13、17〜1
8、21〜27が水溶性に優れ、特に種子消毒効果に優
れるため好ましい。
【0033】
【表1】
【0034】この化合物番号は、後述する実施例、試験
例でも参照される。上記式[I]中、R1とR2とが異なる
錯化合物では、R1が塩基性アミノ酸側鎖であり、R2
酸性アミノ酸側鎖である場合のように塩が形成されてい
る場合に安定的に単一な錯化合物が得られる。本発明に
おいては、上記式[I]中、R1が塩基性アミノ酸側鎖であ
り、R2が酸性アミノ酸側鎖であるアミノ酸金属錯化合
物(塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩の金属錯化合物)
は、下記式[II]で表される。
【0035】
【化4】
【0036】[式[II]中、R3は、塩基性アミノ酸の側鎖
を示し 、R4は酸性アミノ酸の側鎖を示し、Mは、銅、
亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムのうちの何れか
を示す。] このような金属錯化合物[II]としては、上記例示のアミ
ノ酸金属錯化合物[I]のうちでは、L−リジン・L-アス
パラギン酸塩銅錯化合物(化合物No.28)および、
L−リジン・L-グルタミン酸塩銅錯化合物(化合物N
o.29)が、前記式[II]で表される化合物すなわち塩
基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩の金属錯化合物に含まれ
る。
【0037】すなわち、L−リジン・L-アスパラギン
酸塩銅錯化合物(化合物No.28)は、式[II]中、塩
基性アミノ酸側鎖R3がリジン側鎖[H3+(CH2
4−]であり、酸性アミノ酸側鎖R4がアスパラギン酸側
鎖[-OOCCH2−]であり、Mが銅である錯化合物に
相当している。またL−リジン・L-グルタミン酸塩銅
錯化合物(化合物No.29)は、上記式[II]中、塩基
性アミノ酸側鎖R3がリジン側鎖[H3+(CH24−]
であり、酸性アミノ酸側鎖R4がグルタミン酸側鎖[-
OC(CH22−]であり、Mが銅である錯化合物に相
当している。 <アミノ酸金属錯化合物類の製造>上記式[I]または[I
I]で表されるアミノ酸金属錯化合物あるいはその塩(ア
ミノ酸金属錯化合物類)は、前記の文献等に記載の従来
より公知の方法にて製造できる。
【0038】例えば、式[I]中、Mが銅であるアミノ酸
銅錯化合物[I-a]は、下記反応式で示すように、各種ア
ミノ酸(a)の水溶液中に塩基性炭酸銅をアミノ酸に対し
て銅として1/2当量になるように加えて、必要に応じ
て加熱して反応させることにより好適に製造できる。な
お、上記塩基性炭酸銅に代えて、亜酸化銅、硫酸銅、塩
化銅、水酸化銅、塩基性塩化銅あるいは塩基性硫酸銅を
用いてもよい。
【0039】
【化5】
【0040】[式(a)中、R1は、上記と同様、アミノ酸
側鎖を示す。] また、前記式[II]中、Mが銅であるアミノ酸銅錯化合物
[II-a]は、下記式に示すように、遊離の塩基性アミノ酸
(a-2)および酸性アミノ酸(a-3)をそれぞれ等モルずつ水
に溶解して塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸塩溶液を調製
し、この水溶液に塩基性炭酸銅をアミノ酸に対して銅と
して1/2当量になるよう加えて、必要に応じて加熱
し、反応させることにより塩基性アミノ酸の酸性アミノ
酸塩の銅錯化合物[II-a]を好適に製造できる。
【0041】
【化6】
【0042】[但し、上記反応式中、R3は、塩基性アミ
ノ酸側鎖を示し、R4は、酸性アミノ酸側鎖を示す。] 上記式[II]中、Mが銅以外の他の金属のアミノ酸錯化合
物も上記と同様に製造できる。上記アミノ酸(a-2)、(a-
3)および上記塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2
・H2O)等の金属化合物は何れも公知物質であり、市
販品を使用すればよい。
【0043】上記反応の際に使用されるアミノ酸として
は、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸等が
挙げられる。中性アミノ酸としては、具体的には、例え
ば、アスパラギン、アラニン、イソロイシン、グリシ
ン、グルタミン、セリン、チロシン、トリプトファン、
トレオニン、バリン、ヒドロキシプロリン、フェニルア
ラニン、プロリン、メチオニン、ロイシン等が挙げら
れ、これらのうちで、得られる化合物の種子消毒効果の
点を考慮すると、アラニン、イソロイシン、グリシン、
セリン、チロシン、トレオニン、バリン、ヒドロキシプ
ロリン、プロリン、メチオニンが好ましく用いられる。
【0044】塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギ
ニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン、オルニ
チン、2,4−ジアミノブチル酸、2,3−ジアミノプ
ロピオン酸、4−チアリジン等が挙げられ、これらのう
ちで、得られる化合物の種子消毒効果の点を考慮する
と、2,4−ジアミノブチル酸、アルギニン、リジン、
ヒドロキシリジン、オルニチン、2,3−ジアミノプロ
ピオン酸、4−チアジリンが好ましく用いられる。
【0045】酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラ
ギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。なお、上記塩基
性アミノ酸としては、その遊離物あるいは無機酸塩、有
機酸塩、脂肪酸塩およびアニオン界面活性剤塩を用いる
こともできる。上記無機酸としては、塩酸、臭化水素
酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸等が挙げら
れる。有機酸としては、酢酸、安息香酸、ソルビン酸、
グリコール酸、乳酸、酒石酸、蓚酸等が挙げられる。脂
肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油
脂肪酸、牛脂脂肪酸等が挙げられる。アニオン界面活性
剤としては、ラウリル硫酸エステル、ラウリルエーテル
硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げら
れる。
【0046】また、上記酸性アミノ酸としては、その遊
離物あるいは金属塩を用いることもできる。この金属と
してはナトリウム、カリウムおよびカルシウムが挙げら
れる。また、上記アミノ酸金属錯化合物類を製造する際
に用いられるアミノ酸としては、光学活性体のL体ある
いはD体であってもよく、光学的に不活性なラセミ体で
あってもよい。なお、これらの中でリジンやオルニチン
などの塩基性アミノ酸が殺菌効果を増強する上で特に好
適である。上記のようなアミノ酸金属錯化合物類を製造
する際には、金属Mの単体、該金属の亜酸化物、該金属
の水酸化物の他、これら金属の硫酸塩、塩酸塩、硝酸
塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩等を用いることができ
る。金属Mとしては、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマ
グネシウムが挙げられる。本発明で用いられるアミノ酸
金属錯化合物では、上記式[I]から明らかなように、ア
ミノ酸と金属の結合モル比は2:1であることが好まし
い。
【0047】また、アミノ酸金属錯化合物の塩(アミノ
酸塩の金属錯体)は、例えば、L−リジン・1塩酸塩等
のアミノ酸塩と、金属供給源の亜酸化銅、塩基性炭酸銅
などとを必要により加熱し、反応させることにより得ら
れる。 <農園芸用種子消毒剤>本発明に係る農園芸用種子消毒
剤は、上記アミノ酸金属錯化合物類を有効成分として含
有しているが、このアミノ酸金属錯化合物類の含有率
は、この消毒剤の剤型、その使用方法などの条件により
適宜変更でき、特に制限されないが、通常、0.1〜9
5重量%程度である。
【0048】また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤に
は、上記アミノ酸金属錯化合物類は、1種または2種以
上含まれていてもよい。また、本発明に係る農園芸用種
子消毒剤は、上記アミノ酸金属錯化合物類のほかに、他
の公知の活性化合物、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ
剤、殺線虫剤、昆虫生育調節剤、除草剤、鳥類忌避剤、
植物成長調節剤、肥料、土壌改良剤などを含んでいても
よい。このようにアミノ酸金属錯化合物類と他の活性化
合物とを含有する農園芸用種子消毒剤では、適用範囲
(適用病害、使用方法、使用時期など)の拡大を図るこ
とができ、場合によっては配合した種々の有効成分の相
乗効果も期待できる。
【0049】本発明においては、アミノ酸[上記式(a)、
(a-2)、(a-3)で表されるようなアミノ酸金属錯化合物類
形成性のアミノ酸]と、金属(上記アミノ酸金属錯化合
物中に含まれるものと同様の金属)あるいは無機金属化
合物とを、好ましくは化学量論量すなわち2:1のモル
比で製剤中に配合し、使用時にこの製剤を水で希釈する
ことにより、上記アミノ酸金属錯化合物類を生成する農
園芸用種子消毒剤とすることもできる。
【0050】この際用いられる上記金属化合物として、
例えば、金属亜酸化物;金属水酸化物;硫酸塩、塩酸
塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、蓚酸塩等の金属塩等を用
いることができる。金属としては、銅、亜鉛、マンガ
ン、鉄、マグネシウム等が挙げられ、中でも銅が好まし
い。銅系の無機化合物(無機銅化合物)としては、亜酸
化銅、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基
性硫酸銅等が挙げられる。
【0051】また、銅あるいは上記無機銅化合物を有効
成分とする既存の農薬製剤と、前記アミノ酸とを混合す
ることにより種子消毒活性の増強効果が期待できる。本
発明に係る農園芸用種子消毒剤は、上記アミノ酸金属錯
化合物類を有効成分として含有する限り、その剤型は特
に制限されず、その使用目的等に応じて従来公知の処方
により種々の剤型のものを調製し得る。
【0052】例えば、アミノ酸金属錯化合物類と後述す
るような各種担体と界面活性剤とその他の製剤用補助剤
等とを配合して、例えば、常法によって、水和剤、顆粒
水和剤、乳剤、液剤、フロアブル剤、微粒剤、粒剤、種
子用コーティング剤などの各種剤型に製剤化して用いる
ことができる。上記のように各種剤型の農園芸用種子消
毒剤を製造する際に用いられる担体には、固体担体、液
体担体などがあり、このうちで固体担体としては、例え
ば、カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイ
ト、タルク、バーミキュライト、アタパルガイド、珪藻
土、珪砂、合成ケイ酸塩、炭酸カルシウム、燐酸カルシ
ウム、アルミナ、ホワイトカーボン、硫安、尿素、デン
プン、結晶セルロース、大豆粉、クルミ穀粉、タバコ茎
粉等が挙げられる。
【0053】液体担体としては、例えば、水、アルコー
ル類(例:メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテ
ル類(例:ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケト
ン類(例:アセトン、メチルエチルケトン等)、エステ
ル類(例:脂肪酸のグリセリンエステル等)、スルホキ
シド類(例:ジメチルスルホキシド等)、脂肪族または
脂環式炭化水素類(例:シクロヘキサン、パラフィン類
等)などが挙げられる。
【0054】また、上記界面活性剤としては、例えば、
アルキル硫酸エステル塩、アルキル(アリール)スルホ
ン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテルリン酸塩などの陰イオン
界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル 、
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビ
タン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン酸
エステルなどの非イオン性界面活性剤;などが挙げられ
る。
【0055】また、製剤用補助剤としては、物理性改良
剤、分解防止剤あるいは粘結剤としてのカルボキシメチ
ルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PV
A)、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸
ソーダ、トラガカントゴム、キサンタンガムなどが挙げ
られる。 <農園芸用種子消毒剤の使用方法>本発明に係る農園芸
用種子消毒剤は、その剤型、用途(例:種子消毒用、育
苗箱施用用)、適用病害、使用時期などに応じて常法に
従って用いられる。
【0056】また、本発明では、予めアミノ酸と金属酸
化物あるいはその塩を配合してなる配合物を調製してお
き、使用時にこの配合物を水で希釈することによりアミ
ノ酸金属錯化合物を形成させて、本発明に係る農園芸用
種子消毒剤として使用してもよい。また、本発明におい
ては、上記金属あるいは該金属の水酸化物等の金属化合
物、例えば水酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅など
を有効成分とする既存の農薬製剤に、リジンなどのアミ
ノ酸を添加し水で希釈することによりアミノ酸金属錯化
合物を形成させて、農園芸用種子消毒剤として使用する
こともできる。この際、アミノ酸は、金属1モルに対し
て、化学量論的には2モルで用いればよいが、通常、
0.1〜2.5モルの量で用いられる。
【0057】また、アミノ酸を添加する時期は、上記金
属あるいは該金属の水酸化物等の金属化合物、例えば水
酸化銅、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅などを有効成分と
する既存の農薬製剤の薬液調製時期に限定されるもので
なく、例えば、既存の農園芸用殺菌剤調製後、浸種前で
あってもよく、浸種期間中であってもよく、浸種期間終
了前であれば、何れの時期においても添加することがで
き、また一度に添加してもよく、複数回に分けて少量ず
つ添加してもよい。また、種子消毒処理した種籾をアミ
ノ酸を含有する液に浸種してもよい。
【0058】本発明に係る農園芸用種子消毒剤の使用方
法についてさらに詳説すると、この消毒剤の用途は特に
限定されるものではなく、また種子消毒用、育苗箱施用
用などの何れの用途にも使用することができる。またこ
の農園芸用種子消毒剤の使用量は、有効成分として含ま
れるアミノ酸金属錯化合物その他の薬効成分の種類、適
用対象(例えば、対象作物、対象病害、その発生状況
等)、使用時期などに応じて適宜変えることができる。
【0059】例えば、本発明の農園芸用種子消毒剤をイ
ネの種子消毒剤として使用するには、一般的な種子消毒
剤の使用方法に準ずればよい。より具体的には、水和
剤、乳剤、フロアブル剤、顆粒水和剤などの液状で使用
する農園芸用種子消毒剤では、該消毒剤を水などで希釈
して有効成分濃度を50〜50000ppm、好ましく
は200〜20000ppmとして、この薬液中にイネ
種籾を10〜60分間浸漬(短時間浸漬)、または24
時間〜48時間浸漬(長時間浸漬)すればよい。
【0060】また、水和剤、フロアブル剤、顆粒水和剤
などの液状で使用する製剤(但し、乳剤を除く。)を、
必要に応じて水などで希釈して、種子重量の1〜5重量
%の量(活性成分量として、0.5〜20g/種子重量
1kg)で種子に吹き付け処理してもよく、またこのよ
うな量となるようにモルタルミキサーなどを用いて均一
に種子に塗抹処理してもよい。
【0061】その他、水和剤などの固体製剤を種子重量
の0.1〜2重量%の量(活性成分量として0.5〜2
0g/種子重量1kg)で種子の表面に粉衣処理するな
どの方法で用いてもよい。本発明に係る農園芸用種子消
毒剤を育苗箱(サイズ:縦×横×高さ=60cm×30
cm×3cm)に散布する場合、その水和剤、乳剤、フ
ロアブル剤を水に希釈して、有効成分濃度が100〜1
0000ppm、好ましくは400〜40000ppm
とし、この薬液をイネ種籾播種後の育苗箱の上方から散
布機にて20〜200ml/育苗箱の量で噴霧するか、
あるいはジョウロなどを用いて200〜1000ml/
育苗箱の量で灌注するなどの方法を採用できる。
【0062】また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤
が、粉剤、粒剤などである場合、これをそのままイネ種
籾の播種後覆土前あるいは覆土後に育苗箱の上方から直
接手にて、あるいは散布機にて5〜50g/育苗箱の量
(活性成分として、0.1〜10g/育苗箱)で散布す
るなどの方法を採用してもよい。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る農園芸用種子消毒剤は、イ
ネ種子をはじめとする各種種子に対して優れた消毒活性
を有しているが、この種子消毒剤をイネ種子消毒剤、イ
ネ育苗箱施用消毒剤として用いれば、特に、イネ苗立枯
細菌病、イネ籾枯細菌病、イネ褐条病に対して安定した
高い種子消毒効果を発揮し、これらの病害を有効に防除
することができる。
【0064】また、本発明に係る農園芸用種子消毒剤中
に含まれる有効成分のアミノ酸金属錯化合物類は、極め
て低毒性(経口:>1000mg/kg)である。本発
明の農園芸用種子消毒剤は、有効成分がアミノ酸金属錯
化合物等であるため、この錯化合物を合成する際に用い
られる金属、例えば、銅の使用量を従来の薬剤の半量以
下に抑えることができ、また他方の成分であるアミノ酸
は生分解性もよく、環境汚染がほとんどない。
【0065】
【実施例】次に、本発明の農園芸用種子消毒剤およびそ
の使用例、該農園芸用種子消毒剤に含まれるアミノ酸金
属錯化合物の製造例についてさらに具体的に説明する
が、本発明はかかる実施例により何ら制限されるもので
はない。なお、実施例、製造例中、(部)とあるのはす
べて重量部であり、また%は重量%である。
【0066】
【製造例1】(ビス−L−セリン銅錯化合物、化合物N
o.11)L−セリン5.000g(47.58mmo
l)を蒸留水10mlに溶かし、これに塩基性炭酸銅
5.678g(23.79mmol)を突沸させないよ
うに徐々に加えた。得られた混合物を60℃で30分間
加熱撹拌した後、ろ過した。濾紙上に残存する不溶物を
熱水5mlで洗い、この洗液とろ液とを一緒にした。一
緒にしたろ液を半固体状態まで減圧濃縮し、メタノール
を10ml加え60℃で加熱溶解させた。これを室温で
放置すると直ちに結晶が析出した。この結晶をろ取し、
減圧乾燥することにより、L−セリンの銅錯化合物を
6.402g(収率87.45%)得た。
【0067】IR(KBr拡散反射法):3344,3255,3213,31
32,2937,1664,1631,1606,1394,1328,1276,1164,1099,10
58,985,707cm-1
【0068】
【製造例2】(ビス−L−リジン・1塩酸塩銅錯化合
物、化合物No.22)L−リジン・1塩酸塩、5.0
00g(27.37mmol)を蒸留水10mlに溶か
し、これに亜酸化銅0.979g(6.84mmol)
を加えた。得られた混合物を60℃で12時間加熱撹拌
した後、ろ過した。不溶物を熱水5mlで洗い、この洗
液とろ液を一緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態ま
で減圧濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱
溶解させた。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出
した。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L
−リジン・1塩酸塩の銅錯化合物を6.018g(収率
95.04%)得た。
【0069】IR(KBr拡散反射法):3444,3259,3010,29
41,1660,1584,1523,1392,1134cm-1
【0070】
【製造例3】(ビス−L−リジン・1炭酸水素塩銅錯化
合物、化合物No.23)L−リジン(遊離塩基)5.
000g(34.20mmol)を蒸留水10mlに溶
かし、これに塩基性炭酸銅4.082g(17.10m
mol)を突沸させないように徐々に加えた。得られた
混合物を60℃で30分間加熱撹拌した後、室温で撹拌
下に炭酸ガスを2時間通気しpHを7.0に調整した。
ろ過後、不溶物を熱水5mlで洗い、この洗液とろ液を
一緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態になるまで減
圧濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解
させた。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出し
た。この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−
リジン炭酸水素塩の銅錯化合物を4.988g(収率7
8.93%)得た。
【0071】IR(KBr拡散反射法):3220,2968,2869,16
43,1458,1359,1240,1199,1083,918,877,767,700cm-1
【0072】
【製造例4】(ビス−L−オルニチン・1塩酸塩銅錯化
合物、化合物No.6)L−オルニチン(遊離塩基)
5.000g(37.83mmol)を蒸留水10ml
に溶かし、これに塩化銅2.543g(18.92mm
ol)を加えた。得られた混合物を60℃で30分間加
熱撹拌した後、半固体状態になるまで減圧濃縮した。こ
れに熱メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解させ
た。これを室温で放置すると直ちに結晶が析出した。こ
の結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−オルニ
チン・1塩酸塩の銅錯化合物を8.184g(収率9
6.4%)得た。
【0073】IR(KBr拡散反射法):3396,3232,3012,16
25,1593,1523,1400,1344,1134,1053,813,648cm-1
【0074】
【製造例5】(L−リジン・L−グルタミン酸塩銅錯化
合物、化合物No.29)L−リジン(遊離塩基)2.
000g(13.68mmol)およびL−グルタミン
酸2.013g(13.68mmol)を蒸留水10m
lに溶かし、これに塩基性炭酸銅3.266g(13.
68mmol)を突沸させないように徐々に加えた。得
られた混合物を60℃で30分間加熱撹拌した後、ろ過
した。不溶物を熱水5mlで洗い、この洗液とろ液を一
緒にした。一緒にしたろ液を半固体状態になるまで減圧
濃縮し、メタノールを10ml加え60℃で加熱溶解さ
せた。次いで冷蔵庫で一夜放置すると結晶が析出した。
この結晶をろ取し、減圧乾燥することにより、L−リジ
ン・L−グルタミン酸塩の銅錯化合物を4.524g
(収率84.62%)得た。
【0075】IR(KBr拡散反射法):3280,3242,3028,29
45,2862,1618,1556,1504,1398,1334,1145,1058,798,659
cm-1
【0076】
【実施例1】(水和剤)ビス−L−リジン・1塩酸塩銅
錯化合物(化合物No.22)30部、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム3部、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル5部およびクレー62部を均一に混
合・粉砕して、有効成分を30%含有する水和剤を得
た。
【0077】
【実施例2】(乳剤)ビスグリシン銅錯化合物(化合物
No.7)30部、メチルエチルケトン55部およびポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル15部を混合
・溶解して、有効成分を30%含有する乳剤を得た。
【0078】
【実施例3】(粒剤)ビス−L−オルニチン・1塩酸塩
銅錯化合物(化合物No.6)5部、ラウリルサルフェ
ート1.5部、リグニンスルホン酸カルシウム1.5
部、ベントナイト25部およびクレー67部を均一に混
合し、これに水15部を加えて混練機で混練した後、造
粒機で造粒し、流動乾燥機で乾燥して、有効成分を5%
含有する粒剤を得た。
【0079】
【実施例4】(フロアブル剤)ビス−L−アラニン銅錯
化合物(化合物No.2)40部、ラウリルサルフェー
ト2部、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2部、ヒ
ドロキシプロピルセルロース1部および水55部を均一
に混合し、有効成分を40%含有するフロアブル剤を得
た。
【0080】
【実施例5】(水和剤)L−アルギニン・1塩酸塩2
3.4部、塩基性炭酸銅6.6部、アルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル55部およびクレー62部を均一に混合
・粉砕して、水和剤を得た。本水和剤は使用時に水で希
釈すると、有効成分であるビス−L−アルギニン・1塩
酸塩銅錯化合物(化合物No.4)を28.8%含有相
当分を生成する。
【0081】次に、本発明に係る農園芸用種子消毒剤の
各種植物病害に対する防除活性の試験例を示すが、本発
明は、以下の試験例に限定されるものではない。
【0082】
【試験例1】(イネ苗立枯細菌病防除のための種子消毒
効果試験)供試籾としては、イネ(品種:きらら39
7)の開花期にイネ苗立枯細菌病菌(Pseudomonas pla
ntarii)の濃厚菌懸濁液(104/ml)を噴霧接種し
て得たイネ苗立枯細菌病感染籾を用いた。
【0083】種子消毒液(薬液)は実施例2に準じて調
製した、第2表に示す種々のアミノ酸金属錯化合物の水
和剤または対照剤を、水で所定濃度に希釈して調製し
た。この薬液中に、上記方法で得られたイネ苗立枯細菌
病菌感染籾を、種籾と薬液との容量比(v/v)が1対
1の割合になるようにして加え、20℃で24時間にわ
たり該種籾を浸漬させ、消毒した。消毒後の種籾を、2
0℃で3日間水に浸漬した後、水を切り30℃で24時
間催芽させた。そして、鳩胸状になった種籾を慣用の箱
育苗法に準じてクミアイ粒状培土K(呉羽化学工業株式
会社製)に播種し、32℃で2日間出芽させた。その後
はガラス温室内で栽培管理した。
【0084】発病の有無の調査は、播種21日後(2.
5葉期)に下記の調査基準によりイネ苗立枯細菌病発病
苗数と健全苗数を調査し(1箱当たり約150本)、下
記の式(1)により発病度を求めた。発病の調査基準0: 発病してない苗数 N1: 葉身に発病による白化あるいは黄化が認められる
苗数 N2: 葉身が発病により白化し、生育が劣る苗数 N3: 枯死
【0085】
【数1】
【0086】本試験は、1区3連制で行い、その平均発
病度を算出し、次式より防除価(%)を求めた。この防
除価を下記基準により防除効果の評価値に換算した。そ
の結果を表2に示す。
【0087】
【数2】
【0088】 またイネに対する薬害については出芽状態および生育程
度などについて観察し、下記の薬害調査指標の基準で表
示した。
【0089】その試験結果を表2に要約して示す。薬害の調査指標 5:激甚、 4:甚、 3:多、 2:若干、 1:わ
ずか、 0:なし
【0090】
【表2】
【0091】
【試験例2】(イネ籾枯細菌病防除のための種子消毒効
果試験)供試籾としては、イネ(品種:きらら397)
籾にイネ籾枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)の濃厚菌
懸濁液(108/ml)を減圧接種して得たイネ籾枯細
菌病菌感染籾を用いた。種子消毒液は実施例2に準じて
調製した、表3に示す種々のアミノ酸金属錯化合物の水
和剤または対照剤を、水で所定濃度に希釈して調製し
た。
【0092】この薬液中に、上記方法で得られたイネ籾
枯細菌病菌感染籾を、種籾と薬液との容量比(v/v)
が1対1の割合になるようにして加え、20℃で24時
間にわたり該種籾を浸漬して、消毒した。消毒後の種籾
は、20℃で3日間水に浸種した後、水を切り30℃で
24時間催芽させた。そして、鳩胸状になった種籾を慣
用の箱育苗法に準じてクミアイ粒状培土K(呉羽化学工
業株式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽させた。
その後はガラス温室内で栽培管理した。
【0093】発病の有無の調査は、播種21日後(2.
5葉期)に下記の調査基準によりイネ籾枯細菌病発病苗
数と健全苗数を調査し(1箱当たり約150本)、試験
例1と同様に発病度を求め、防除価(%)を算出し、評
価値に換算した。また、試験例1と同様に、イネに対す
る薬害の程度についても調査した。その結果を表3に示
す。発病の調査基準0: 発病してない苗数 N1: 葉身に発病による白化が認められるが、生育は健
全苗とほぼ同等の苗数 N2: 葉身が発病により白化し、生育が劣る苗数 N3: 枯死
【0094】
【表3】
【0095】
【試験例3】(イネ褐条病防除のための種子殺菌効果試
験)供試籾としては、イネ(品種:きらら397)籾に
イネ褐条病菌(Pseudomonas avenae)の濃厚菌懸濁液
(108/ml)を減圧接種して得たイネ褐条病菌感染
籾を用いた。種子消毒液は実施例2に準じて調製した、
表4に示す種々のアミノ酸金属錯化合物の水和剤または
対照剤を、水で所定濃度に希釈して調製した。
【0096】この薬液中に、上記方法で得られたイネ褐
条病菌感染籾を、種籾と薬液との容量比(v/v)が1
対1の割合になるようにして加え、20℃で24時間に
わたり該種籾を浸漬して、消毒した。消毒後の種籾は、
20℃で3日間水に浸種した後、水を切り30℃で24
時間催芽させた。そして、鳩胸状になった種籾を慣用の
箱育苗法に準じてクミアイ粒状培土K(呉羽化学工業株
式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽させた。その
後はガラス温室内で栽培管理した。
【0097】発病の有無の調査は、播種21日後(2.
5葉期)に下記の調査基準によりイネ褐条病発病苗数と
健全苗数を調査し(1箱当たり約150本)、試験例1
と同様に発病度を求め、防除価(%)を算出し、評価値
に換算した。また、試験例1と同様にイネに対する薬害
の程度についても調査した。その結果を表4に示す。発病の調査基準0: 発病してない苗数 N1: 不完全葉に病斑が認められるが、生育は健全苗と
ほぼ同等の苗数 N2: 葉鞘および葉身に病斑が認められ、生育が劣る苗
数 N3: 枯死
【0098】
【表4】
【0099】
【試験例4】(イネ苗立枯細菌病防除のための種子消毒
効果試験)供試籾として、イネ籾(品種:きらら39
7)をイネ苗立枯細菌病(Pseudomonas plantarii)の
細菌懸濁液中(106cfu/ml)に減圧接種することによ
りイネ苗立枯細菌病罹病籾を得た。市販の水酸化銅、塩
基性塩化銅を有効成分の一つとする農園芸用殺菌剤を水
で所定濃度に希釈した。この殺菌剤希釈液に所定濃度と
なるようにアミノ酸を添加し、種子消毒液を調製した。
【0100】得られた種子消毒液(薬液、浸種水)に、
上記方法で得られたイネ苗立枯細菌病罹病種子を、種籾
と薬液との容積比が1:1となるようにして、20℃、
24時間浸漬した。その後、薬液浸漬後の種籾を、種籾
と浸種水との容積比が1:2となるように薬液量(浸種
水量)を変えて20℃、3日間浸種した。浸種終了後の
種籾は、水を切り30℃で24時間蒸気催芽処理し、鳩
胸状態になった種籾を慣用の育苗方法に準じて市販の粒
状育苗培土(呉羽化学工業株式会社製)に播種し、32
℃で2日間出芽処理した。その後は、ガラス温室で発病
管理した。
【0101】以下、上記各試験例と同様に、薬害を評価
し、また防除価を算出した。結果を表5に示す。
【0102】
【表5】
【0103】( )内数値は、発病度を示す。 水和剤:市販製剤;ペフラゾエート+フルジオキソニ
ル+塩基性塩化銅水和剤(ペフラゾエート12%+フル
ジオキソニル2%+塩基性塩化銅7.6%、銅として
4.5%含む) フロアブル:市販製剤;イプコナゾール+水酸化第2
銅フロアブル(イプコナゾール5%+水酸化第2銅4.
6%、銅として3%含む) 水酸化第2銅水和剤:市販製剤(水酸化第2銅を有効
成分とし、銅として17%含む) 塩基性塩化銅水和剤:市販製剤(塩基性塩化剤を有効
成分とし、銅として50%含む)
【0104】
【試験例5】(イネ苗立枯細菌病防除のための種子消毒
効果試験)供試籾として、イネ籾(品種:きらら39
7)をイネ苗立枯細菌病(Pseudomonas plantarii)の
細菌懸濁液中(106cfu/ml)に減圧接種することによ
りイネ苗立枯細菌病罹病籾を得た。市販の水酸化銅、塩
基性塩化銅を有効成分の一つとする農園芸用殺菌剤を水
で所定濃度に希釈した。
【0105】得られた種子消毒液(薬液、浸種水)に、
上記方法で得られたイネ苗立枯細菌病罹病種子を、種籾
と種子消毒液(薬液)との容積比が1:1となるように
して、20℃、24時間浸漬した。その後、薬液浸漬後
の種籾を、種籾と浸種水との容積比が1:2となるよう
に薬液量を変えて20℃、3日間水に浸種した。なお、
試験例5において、L−リジン塩酸塩は、所定濃度にな
るように種籾浸漬直前(種子消毒薬液調整直後)、
種籾浸種直前(薬液浸漬終了後の浸種開始時の浸種
水)、浸種2日終了後にそれぞれアミノ酸を添加し
た。
【0106】浸種終了後の種籾は、水を切り30℃で2
4時間蒸気催芽処理し、鳩胸状態になった種籾を慣用の
育苗方法に準じて市販の粒状育苗培土(呉羽化学工業株
式会社製)に播種し、32℃で2日間出芽処理した。そ
の後は、ガラス温室で発病管理した。以下、上記各試験
例と同様に、薬害を評価し、また防除価を算出した。
【0107】結果を表6に示す。
【0108】
【表6】
【0109】( )内数値は、発病度を示す。水和剤
,フロアブル,水酸化第2銅水和剤,塩基性塩化
銅水和剤は、前記に同じ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 59/20 A01N 59/20 Z (72)発明者 玉 村 健 神奈川県大和市中央林間5丁目18番4号 (72)発明者 平 松 基 弘 神奈川県厚木市旭町5丁目20番3号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[I]で表されるアミノ酸金属錯化合
    物あるいはその塩を有効成分として含有することを特徴
    とする農園芸用種子消毒剤; 【化1】 [式[I]中、R1 、R2はそれぞれアミノ酸の側鎖を示
    し、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、M
    は、銅、亜鉛、マンガン、鉄およびマグネシウムのうち
    の何れかを示す。]
  2. 【請求項2】上記式[I]中、R1、R2が同一であって、
    これらが中性アミノ酸側鎖、塩基性アミノ酸側鎖、酸性
    アミノ酸側鎖の何れかである請求項1に記載の農園芸用
    種子消毒剤。
  3. 【請求項3】上記式[I]中、R1が塩基性アミノ酸側鎖で
    あり、R2が酸性アミノ酸側鎖である請求項1に記載の
    農園芸用種子消毒剤。
  4. 【請求項4】(i)塩基性、中性または酸性アミノ酸ある
    いはその塩と、 (ii)金属あるいは無機金属化合物と、 を有効成分として含有していることを特徴とする農園芸
    用種子消毒剤。
  5. 【請求項5】上記無機金属化合物が、金属亜酸化物、金
    属水酸化物、金属塩のうちの何れか1種以上である請求
    項4に記載の農園芸用種子消毒剤。
  6. 【請求項6】上記金属あるいは無機金属化合物(ii)が、
    銅あるいは無機系銅化合物である請求項4に記載の農園
    芸用種子消毒剤。
  7. 【請求項7】金属あるいは無機金属化合物を有効成分と
    して含有する農園芸用殺菌剤と、水と、塩基性、中性ま
    たは酸性アミノ酸あるいはその塩とを同時に、あるいは
    任意の順序で配合してなる種子消毒液を用いて種子を消
    毒することを特徴とする種子の消毒方法。
JP30299599A 1998-10-23 1999-10-25 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法 Expired - Fee Related JP4526622B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30299599A JP4526622B2 (ja) 1998-10-23 1999-10-25 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30307898 1998-10-23
JP10-303078 1998-10-23
JP30299599A JP4526622B2 (ja) 1998-10-23 1999-10-25 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000191416A true JP2000191416A (ja) 2000-07-11
JP4526622B2 JP4526622B2 (ja) 2010-08-18

Family

ID=26563346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30299599A Expired - Fee Related JP4526622B2 (ja) 1998-10-23 1999-10-25 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4526622B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002009522A1 (en) * 2000-07-31 2002-02-07 Sicit Chemitec S.P.A. Copper-based fungicide and bactericide agents and use thereof
WO2006108834A1 (de) * 2005-04-15 2006-10-19 Basf Aktiengesellschaft Verwendung von basischen aminosäuren in kupferhaltigen bioziden formulierungen
WO2006108835A3 (de) * 2005-04-15 2007-04-19 Basf Ag Verwendung von polylysin in kupferhaltigen bioziden formulierungen
JP2016508978A (ja) * 2012-12-19 2016-03-24 コルゲート・パーモリブ・カンパニーColgate−Palmolive Company 亜鉛リジン錯体
CN107074884A (zh) * 2014-06-18 2017-08-18 西蒂斯制药有限责任公司 活性剂的矿物质氨基酸复合物
WO2019172277A1 (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 味の素株式会社 植物の病害抵抗性誘導用または植物の病害防除用の組成物
US11135298B2 (en) 2016-06-03 2021-10-05 Thetis Pharmaceuticals Llc Compositions and methods relating to salts of specialized pro-resolving mediators
JPWO2022264768A1 (ja) * 2021-06-15 2022-12-22
KR102649073B1 (ko) * 2023-01-31 2024-03-18 황성모 부추 재배 방법 및 이에 의해 재배된 부추

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4834205B1 (ja) * 1970-08-04 1973-10-19
JPH04264011A (ja) * 1991-02-18 1992-09-18 Kureha Chem Ind Co Ltd 種子消毒剤
JPH04264010A (ja) * 1991-02-18 1992-09-18 Kureha Chem Ind Co Ltd 種子消毒剤
JPH06247808A (ja) * 1993-02-24 1994-09-06 Sankyo Co Ltd 種子消毒剤組成物
WO1995013700A2 (en) * 1993-11-15 1995-05-26 Degussa Aktiengesellschaft Use of copper (ii) methioninate as fungicide in viticulture
JPH1112112A (ja) * 1997-04-28 1999-01-19 Nippon Soda Co Ltd 種子消毒剤および方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4834205B1 (ja) * 1970-08-04 1973-10-19
JPH04264011A (ja) * 1991-02-18 1992-09-18 Kureha Chem Ind Co Ltd 種子消毒剤
JPH04264010A (ja) * 1991-02-18 1992-09-18 Kureha Chem Ind Co Ltd 種子消毒剤
JPH06247808A (ja) * 1993-02-24 1994-09-06 Sankyo Co Ltd 種子消毒剤組成物
WO1995013700A2 (en) * 1993-11-15 1995-05-26 Degussa Aktiengesellschaft Use of copper (ii) methioninate as fungicide in viticulture
JPH1112112A (ja) * 1997-04-28 1999-01-19 Nippon Soda Co Ltd 種子消毒剤および方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002009522A1 (en) * 2000-07-31 2002-02-07 Sicit Chemitec S.P.A. Copper-based fungicide and bactericide agents and use thereof
WO2006108834A1 (de) * 2005-04-15 2006-10-19 Basf Aktiengesellschaft Verwendung von basischen aminosäuren in kupferhaltigen bioziden formulierungen
WO2006108835A3 (de) * 2005-04-15 2007-04-19 Basf Ag Verwendung von polylysin in kupferhaltigen bioziden formulierungen
US10610470B2 (en) 2012-12-19 2020-04-07 Colgate-Palmolive Company Oral care composition zinc-lysine complex
JP2016508978A (ja) * 2012-12-19 2016-03-24 コルゲート・パーモリブ・カンパニーColgate−Palmolive Company 亜鉛リジン錯体
US9757316B2 (en) 2012-12-19 2017-09-12 Colgate-Palmolive Company Zinc-lysine complex
US10195125B2 (en) 2012-12-19 2019-02-05 Colgate-Palmolive Company Oral care composition comprising zinc-lysine complex
CN107074884A (zh) * 2014-06-18 2017-08-18 西蒂斯制药有限责任公司 活性剂的矿物质氨基酸复合物
US11135298B2 (en) 2016-06-03 2021-10-05 Thetis Pharmaceuticals Llc Compositions and methods relating to salts of specialized pro-resolving mediators
US11191840B2 (en) 2016-06-03 2021-12-07 Thetis Pharmaceuticals Llc Compositions and methods relating to salts of specialized pro-resolving mediators
US11925688B2 (en) 2016-06-03 2024-03-12 Thetis Pharmaceuticals Llc Compositions and methods relating to salts of specialized pro-resolving mediators
WO2019172277A1 (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 味の素株式会社 植物の病害抵抗性誘導用または植物の病害防除用の組成物
JPWO2019172277A1 (ja) * 2018-03-05 2021-03-11 味の素株式会社 植物の病害抵抗性誘導用または植物の病害防除用の組成物
JP7375743B2 (ja) 2018-03-05 2023-11-08 味の素株式会社 植物の病害抵抗性誘導用または植物の病害防除用の組成物
JPWO2022264768A1 (ja) * 2021-06-15 2022-12-22
WO2022264768A1 (ja) * 2021-06-15 2022-12-22 Dic株式会社 抗菌抗ウイルス剤、抗菌抗ウイルス性コーティング組成物、積層体、抗菌抗ウイルス性樹脂組成物および成形体
KR102649073B1 (ko) * 2023-01-31 2024-03-18 황성모 부추 재배 방법 및 이에 의해 재배된 부추

Also Published As

Publication number Publication date
JP4526622B2 (ja) 2010-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FI63567C (fi) Substituerad furan-2-karbonsyra-anilid med fungicidisk verkan och dess anvaendning
JP4526622B2 (ja) 農園芸用種子消毒剤および種子の消毒方法
JPS6239563A (ja) β−ニトロフエネチル誘導体および農園芸用殺菌剤
US4324795A (en) Acaricidal agents
JP2001081003A (ja) 水田用殺菌殺虫剤組成物
JPS608247A (ja) フタラミド誘導体及び農園芸用殺菌剤
JPS61275255A (ja) 新規アミド化合物、除草剤および除草方法
JP2001181114A (ja) 農園芸用殺菌剤組成物
JP7082796B2 (ja) トマトかいよう病抵抗性誘導剤及びトマトかいよう病防除方法
EP0210446A2 (en) Nitro- and cyanoguanidines as selective preemergence herbicides and plant defoliants
JPS6054954B2 (ja) ジフエニルエ−テル誘導体,およびジフエニルエ−テル誘導体を含有する除草剤
RU2101953C1 (ru) Средство для предпосевной обработки семян
JPH0226632B2 (ja)
JPH0546333B2 (ja)
GB2136433A (en) Phosphonium Salt of N-Formyl-N-Hydroxy-Alanine
JPH0576941B2 (ja)
RU1781211C (ru) N,NЪ-Бис-(винилоксиэтил)тиурамдисульфид, про вл ющий фунгицидную и бактерицидную активность
JPH03284601A (ja) 農園芸用殺菌組成物
JPS62148493A (ja) 新規ホスホン酸誘導体および除草剤
KR830001714B1 (ko) 디페닐 에테르 유도체의 제조방법
RU2047612C1 (ru) 5-амино -2-метилбензодиоксолан -1,3(2,4- дихлорофенокси)ацетат в качестве гербицида и регулятора роста растений
JPS6348843B2 (ja)
JPS58152871A (ja) キナゾリン誘導体、その製造法および有害生物防除剤
JPS6372668A (ja) 新規シアナミド誘導体および除草剤
JPH0649007A (ja) 殺菌性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080909

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100506

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100525

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100602

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees