JP2000186894A - 転炉の環境集煙用フードおよびその使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷材投入量を増加させたとしても建屋内
への炉内反応ガスの漏れを防止できる新規な環境集煙用
フードの提供を課題とする。 【解決手段】 ペレット状、あるいは塊状の冷材を炉内
に投入する装置を有する非鉄金属製錬用転炉の冷材投入
口直上に、正面、背面、左右側面の四面を囲うフード板
と、前記四面のフード板がその下方に設けられたフード
上部と、その内部に可動に設けられた冷材投入口開閉用
ダンパーとから基本的に構成される環境集煙用フードを
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、非鉄金属製錬用転
炉の操業に用いられる環境集煙用フードに関する。

【０００２】

【従来の技術】非鉄金属製錬法の一つに熔錬炉、転炉、
精製炉を用いるものがある。このような製錬法では、例
えば硫化精鉱等を原料とし、熔錬炉で原料を熔錬して硫
化銅と硫化鉄とを主体とするマットを得、このマットを
転炉で吹錬して不純物である鉄等をスラグとして分離し
て粗銅を得る。そして、この粗銅を精製炉で吹錬してア
ノードに鋳造し、精製アノードを得、これより電解精製
法により目的金属を高純度金属として得ている。

【０００３】ところで、このような製錬方法において、
転炉の操業は、通常まずマット中の不純物である鉄をス
ラグにする、いわゆる造カン期と、引き続き硫化銅を酸
化して粗銅とする造銅期とに分けられる。これらの反応
の中で鉄は酸化鉄としてスラグ化され、イオウは二酸化
硫黄として排ガス中に放出され、後工程の硫酸製造工程
でこの二酸化硫黄を回収し、硫酸とされるが、上記これ
らの酸化反応は激しい発熱反応であるため、そのまま放
置すれば熔体温度が極めて高くなり、転炉内壁煉瓦を損
傷し、ひいては転炉より熔体が漏出することになる。

【０００４】そのため、転炉操業中には、適宜冷材を転
炉内に投入して熔体温度を調節している。この冷材には
主として、煙灰や故銅といったものがある。煙灰や故銅
を転炉に投入する際には、煙灰はペレット化し、故銅は
塊状に成型して投入している。

【０００５】これらの冷材は、転炉頂部に設けられた開
口部より炉内に投入されるが、この開口部には通常ダン
パーが設けられ、さらにダンパー部、及び後述するパン
チング時等の炉内反応ガスの急激な変動による屋内への
炉内反応ガスの漏れを防止するために転炉まわり全体を
包み込むように環境集煙用のフードを設け、転炉内の炉
内反応ガスが建屋内に洩れても建屋外には漏れ出さない
ようにしている。加えて、投入時にはダンパーを開とす
るために、一時的に送風量を抑えて操業し、当該部より
炉内反応ガスの建屋内への流出を防止するのが常であっ
た。

【０００６】しかし、ダンパー部の間隙を無くすことは
困難であり、パンチングで炉内に吹き込まれる風量が変
動したり、冷材の反応により発生ガス量が急激に増加す
ると、ダンパー部の間隙等シール性の弱い部分より炉内
反応ガスが漏れ、環境集煙設備に吸引しきれず、建屋内
に漏れるということがあった。

【０００７】近年製錬コストの引き下げが強く求めら
れ、一炉当たりの処理量の増加が求められている。この
処理量の増加は、具体的には単位時間当たりの処理量の
増加となるため、どうしても送風量の増加と冷材投入量
の増加とを余儀なくさせるものである。しかし、上記し
た従来の環境集煙用フードでは処理量を増加させても炉
内反応ガスを建屋外に漏出させないということを保証す
るには不十分なものとなっていた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記状況を改
良すべくなされたものであり、その目的とするところ
は、冷材投入量を増加させたとしても建屋内への炉内反
応ガスの漏れを防止できる新規な環境集煙用フードの提
供を課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、煙灰や故銅等のペレット状、あるいは塊状の冷材
を炉内に投入する装置を有する非鉄金属製錬用転炉の、
冷材投入口直上に設けられた環境集煙用フードであり、
該フードが正面、背面、左右側面の四面を囲うフード板
とで構成されたフード下部と、フード下部の上に設けら
れたフード上部と、該フード内に可動に設けられた冷材
投入口開閉用ダンパーとから基本的に構成されるもので
ある。

【００１０】本発明の環境集煙用フードは、使用に際し
ては、該フードの上部に設けられた、コントロールバル
ブ付き吸引ダクトに取り付けられ、通常時には上記ダン
パーが冷材投入口を塞ぎ、冷材投入時には該ダンパーが
開けられ、冷材が投入されるように構成されており、冷
材投入口より洩れ出す炉内反応ガスは上記フードより吸
引ダクトを経て環境集煙設備に吸引される。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明は、従来のような転炉上部
全体を覆うようにしていた環境集煙用フードを用いるの
ではなく、冷材投入口直上部にフードを設け、該フード
内に投入口の開閉に用いるダンパーを可動となるように
設けたものであり、フードより吸引する範囲を狭めるこ
とによりフード内へ流入するガスの線速度を大きくし、
これにより確実に炉内反応ガスを環境集煙設備に吸引
し、屋内、屋外への反応ガスの漏れを防止しようとする
ものである。

【００１２】本発明において、フード内でダンパーを可
動に設けたため、そしてフードを冷材投入口直上部に設
けたため、その分フードの大きさを適切に選択でき、吸
引すべき範囲の適切化を行うことが可能となっている。

【００１３】本発明では、冷材投入時はダンパーを例え
ば、引き上げ、冷材投入口より冷材を転炉内に投入す
る。この際、投入口より漏れ出てくる炉内反応ガスは、
冷材投入口直上に設けられたフードより環境集煙設備に
吸引される。そして、冷材投入後はダンパーが例えば、
降ろされ、冷材投入口が閉鎖される。そして、パンチン
グ時に著しいガス量の変動が発生しても、冷材の急激な
反応により反応ガスが突沸状態で発生したとしても、こ
れらによりダンパーの隙間より漏れ出た炉内反応ガスは
確実にフードより環境集煙設備に吸引される。 以上の
様に本発明を構成する結果、ガス漏れによる制約が極め
て小さくなり、送風量を増加させること、即ち、単位時
間当たりの処理量を増加させることが可能となる。

【００１４】以下、図を用いて本発明を説明する。図
１、２はペレット状冷剤を転炉に投入するための投入口
直上に設けた本発明例の環境集煙用フードの正面図と側
面図である。

【００１５】図の環境集煙用フードは、投入口の開口部
１直上に、該開口部１を覆うように前面フード板２、左
側面フード板３、右側面フード板４、背面フード板５に
よりフード下部が構成され、その上に上面フード６が設
けられている。そして、上面フード６は吸引ダクト７と
フランジ８により結合されており、吸引ダクト７にはコ
ントロールバルブ９が設けられている。

【００１６】また、環境集煙用フード内には投入口１を
開閉するためのダンパー１０が設けられているが、本例
では、ダンパー１０は上下にスライドさせて開閉するよ
うにしてある。さらに、本例では、投入口１にペレット
状冷剤を装入するためのシュート１１がフード内に入り
込むように設けられており、投入口１より上昇する炉内
反応ガスとペレット装入時に発生する粉塵とを併せて環
境集煙設備に吸引可能にしている。

【００１７】本例のフードを使用するに際しては、ま
ず、コントロールバルブの開度を調節してフード内のガ
ス吸引速度を大きくし、次いでダンパーを引き上げ、シ
ュートよりペレット状冷剤を投入口に装入する。装入終
了後、ダンパーを下降させて投入口を閉とし、コントロ
ールバルブの開度を炉内圧に応じて設定される値に戻
す。

【００１８】図３、４は故銅等の塊状に成型された冷剤
を転炉に投入するための投入口直上に設けられた本発明
例の環境集煙用フードの正面図と側面図である。形状に
おいて多少の差はあるものの、基本的には図１、２に例
示された環境集煙用フードと同じ構成であり、作動機構
も同じである。

【００１９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明では環境集煙
設備に吸引する範囲を、従来のように転炉全般となるよ
うに広くするのではなく、冷剤投入口直上のに限定する
ことにより環境集煙用フード内の吸引ガス速度を大きく
し、冷剤投入に伴う漏洩ガス等を吸引するため、効率的
に漏洩ガスを環境集煙設備に吸引することができる。

【００２０】このため、冷剤投入時ばかりでなく、パン
チングで炉内に吹き込まれる風量が変動したり、冷材の
反応により発生ガス量が急激に増加した場合でも効果的
に漏洩ガスを環境集煙設備に吸引することができる。そ
の結果、単位時間当たりの転炉処理量も増加させること
が可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 ペレット状冷剤を転炉に投入するための投入
口直上に設けた本発明例の環境集煙用フードの正面図で
ある。

【図２】 図１の環境集煙用フードの側面図である。

【図３】 故銅等の塊状に成型された冷剤を転炉に投入
するための投入口直上に設けられた本発明例の環境集煙
用フードの正面図である。

【図４】 図３の環境集煙用フードの側面図である。

【符号の説明】

１−−−開口部 ２−−−前面フード板 ３−−−左側面フード板 ４−−−右側面フード板 ５−−−背面フード板 ６−−−上面フード ７−−−吸引ダクト ８−−−フランジ ９−−−コントロールバルブ １０−−−ダンパー １１−−−シュート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 悦希 愛媛県西条市船屋字新地乙145−１ 住友 金属鉱山株式会社別子事業所東予工場 Ｆターム(参考） 4K056 AA02 CA04 DC01 DC03

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 煙灰や故銅等のペレット状、ある
   いは塊状の冷材を炉内に投入する装置を有する非鉄金属
   製錬用転炉の、冷材投入口直上に設けられた環境集煙用
   フードであり、該フードが正面、背面、左右側面の四面
   を囲うフード板とで構成されたフード下部と、フード下
   部の上に設けられたフード上部と、該フード内に可動に
   設けられた冷材投入口開閉用ダンパーとから基本的に構
   成される転炉の環境集煙用フード。
2. 【請求項２】 請求項１記載の環境集煙用フードを、
   該フードの上部に設けられた、コントロールバルブ付き
   吸引ダクトに取り付け、通常時には上記ダンパーで冷材
   投入口を塞ぎ、冷材投入時には該ダンパーをはずして冷
   剤投入口を開け、冷材投入口より冷剤を投入し、かつ冷
   剤投入時の如何にかかわらず、上記コントロールバルブ
   の開度調整により冷剤投入口より洩れ出す炉内反応ガス
   等を確実に環境集煙設備に吸引することを特徴とする環
   境集煙用フードの使用方法。