JP2000179082A - 屋根の構築方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部材の建築現場への運搬が容易で、強度が発
揮でき、安価になる屋根の構築方法を提供することを目
的としている。 【解決手段】 小屋組部の上に屋根パネルを設けた屋根
ユニットと、軒先屋根パネルと、から屋根を構築する方
法であって、上記屋根ユニットは小屋組部の軒先側に屋
根パネルが設けられておらず、軒先屋根パネルの上側部
を上記屋根ユニットの小屋組部の上にまで延在させて連
結し、屋根ユニットの屋根パネルと軒先屋根パネルとを
連続させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根の構築
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、屋根を構築する場合の工業化手法
として、屋根を複数の屋根ユニットに分割し、工場で生
産する方法がある。この時、一般的には、中央部の屋根
ユニットは、分割された小屋組部の上にこれに対応した
大きさの屋根パネルを設けたものになる。軒先部の屋根
ユニットは、建物本体から軒先が突出するために、屋根
パネルが小屋組部の上から更にその軒先部が下方に突出
したものになる。

【０００３】この軒先部の屋根ユニットは、形状が複雑
なために、運搬が難しい、増築の場合には、この屋根ユ
ニットの全体を取り替えなければならない、などの問題
を有している。

【０００４】このため、特開平５−３０２３９２号公報
には、軒先部のみの屋根パネルと、軒先に隣接する屋根
ユニットとに、分割し、両者を建築現場で接合する技術
が提案されている。この軒先の屋根パネルは、ボルトで
屋根ユニットに片持ちの支持状態で接合されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平５−３０２３９２号公報の技術では、軒先の屋根パ
ネルが片持ちの支持構造となるために、積雪などの大き
な荷重に耐えるためには、その支持構造を強固にしなけ
ればならず、費用がかかるとともに、大きな強度を得る
のが構造的に難しいという問題があった。

【０００６】本発明は、上記従来技術の問題を解消し、
部材の建築現場への運搬が容易で、強度が発揮でき、安
価になる屋根の構築方法を提供することを目的としてい
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明
は、小屋組部の上に屋根パネルを設けた屋根ユニット
と、軒先屋根パネルと、から屋根を構築する方法であっ
て、上記屋根ユニットは小屋組部の軒先側に屋根パネル
が設けられておらず、軒先屋根パネルの上側部を上記屋
根ユニットの小屋組部の上にまで延在させて連結し、屋
根ユニットの屋根パネルと軒先屋根パネルとを連続させ
ることを特徴とする屋根の構築方法である。

【０００８】請求項２記載の本発明は、上記軒先屋根パ
ネルの裏面に予め軒先天井を取り付けて軒先天井付の軒
先屋根パネルとしてから、屋根ユニットに連結すること
を特徴とする請求項１記載の屋根の構築方法である。

【０００９】本発明において、屋根ユニットとは、建物
の小屋組を複数に分割し、小屋組部とし、その上に野地
板などの屋根パネルを設けたものである。

【００１０】

【作用】請求項１記載の屋根の構築方法は、小屋組部の
上に屋根パネルを設けた屋根ユニットと、軒先屋根パネ
ルとに部品分割するから、屋根ユニットの形状が屋根パ
ネルの突出しないものになり、軒先屋根パネルも単純な
形状になり、工場での生産が容易で、しかも、建築現場
への運搬が容易になる。

【００１１】また、請求項１記載の屋根の構築方法は、
上記屋根ユニットは小屋組部の軒先側に屋根パネルを設
けず、軒先屋根パネルの上側部を上記屋根ユニットの小
屋組部の上にまで延在させて連結し、屋根ユニットの屋
根パネルと軒先屋根パネルとを連続させるから、簡単な
支持構造でも軒先屋根パネルは屋根ユニットの小屋組部
に強固に連結することができる。また、屋根ユニットの
屋根パネルと軒先屋根パネルとの接続部は屋根ユニット
の小屋組部の上に位置することになり、両者をそり、ね
じれ等がなく連続した精度のよいものとして納めること
ができる。

【００１２】請求項２記載の屋根の構築方法は、上記軒
先屋根パネルの裏面に予め軒先天井を取り付けて軒先天
井付の軒先屋根パネルとしてから、屋根ユニットに連結
するから、足場が悪く危険な建築現場における軒先天井
工事が省略できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１は本発明の屋根の構築方法の
実施例を説明する斜視図、図２は本発明の屋根ユニット
と軒先屋根パネルの輸送状態を説明する正面図、図３は
軒先屋根パネルの連結部を示す一部切り欠き断面図であ
る。

【００１４】図１は、ユニット建物における屋根の構築
方法を示している。居室となる箱形状の建物ユニット１
１、１２、１３の上に、対応する屋根ユニット２１、２
２、２３が載置固定される。軒先側の屋根ユニット２
１、２３には、軒先屋根パネル３１、３３が載置連結さ
れる。

【００１５】建物ユニット１１、１２、１３は、鋼製の
４隅の柱の上下を鋼製の梁で連結した直方体状の構造体
に床、天井、壁等を取り付けた箱形状のものや、木製の
床パネルと壁パネルを箱形状に連結したものなどが用い
られる。

【００１６】屋根ユニット２１、２２、２３は、平面形
状が建物ユニット１１、１２、１３と対応する形状の小
屋組部２１１、２２１、２３１の上に屋根パネル２１
２、２２２、２３２が設けられている。

【００１７】中央の屋根ユニット２２は、その屋根パネ
ル２２２もその平面形状が建物ユニット１２の平面形状
とほぼ同形状になっている。

【００１８】軒先側の屋根ユニット２１、２３は、その
屋根パネル２１２、２３２が小屋組部２１１、２３１の
上半部のみに設けられている。

【００１９】小屋組部２１１、２２１、２３１は、木材
や鋼材などの構造材によりトラス形状などに組みパネル
化したものを組み合わせるなどして、所定の側面三角形
状、側面五角形状に小屋組みされて積雪荷重などに耐え
られる構造になされ、屋根パネル２１２、２２２、２３
２を支持し、建物ユニット１１、１２、１３に荷重を伝
えるようになっている。これらの側面材は外壁になって
いる。

【００２０】屋根パネル２１２、２２２、２３２は、垂
木２４と横枠材２５とが枠状に組まれ、この上に野地板
が張られており、小屋組部２１１、２２１、２３１に
釘、ビス、ボルトなどにより固定されている。

【００２１】軒先屋根パネル３１、３３は、上記と同様
に垂木３４と横枠材３５が枠状に組まれ、先端の横枠材
３５は鼻隠し板となされ、この上に野地板３６が張ら
れ、先端部の裏面には軒先天井板３７が張られている。

【００２２】これらの建物ユニット１１、１２、１３、
屋根ユニット２１、２２、２３、軒先屋根パネル３１、
３３は、製造装置などの設備の整った工場で製造され
る。

【００２３】この工場で製造した建物ユニット１１、１
２、１３などは、トラックに積んで建築現場に運搬され
る。この時、屋根ユニット２１、２３と軒先屋根パネル
３１、３３は、図２に示すように、余分な空間ができな
いように重ね合わせて、効率よく運搬される。

【００２４】建築現場においては、建物ユニット１１、
１２、１３をクレーンで吊り上げ、基礎４の上の設置す
る。この建物ユニット１１、１２、１３の上に、屋根ユ
ニット２１、２２、２３をクレーンで吊り上げて設置す
る。両者の連結、固定はボルトにより行なう。

【００２５】次いで、屋根ユニット２１、２３の上に軒
先屋根パネル３１、３３を、クレーンで吊り上げ、屋根
パネル２１２、２３２と連続するように連結、固定す
る。連結は、図３に示すように、両屋根パネルの横枠材
３５、２５どうしをボルト３８で固定するとともに、小
屋組部２１１の構造材にスクリュウ釘３９で固定する。

【００２６】この屋根の構築方法は、小屋組部２１１、
２３１の上に屋根パネル２１２、２３２を設けた屋根ユ
ニット２１、２３と、軒先屋根パネル３１、３３とに部
品分割するから、屋根ユニット２１、２３の形状が屋根
パネル２１２、２３２の突出しないものになり、軒先屋
根パネル３１、３３も単純な形状になり、工場での生産
が容易で、しかも、建築現場への運搬が、図２に示すよ
うに、デットスペースもなく、容易で効率のよいものに
なる。

【００２７】また、この屋根の構築方法は、上記屋根ユ
ニット２１、２３は小屋組部２１１、２３１の軒先側に
屋根パネルを設けず、軒先屋根パネル３１、３３の上側
部を上記屋根ユニット２１、２３の小屋組部２１１、２
３１の上にまで延在させて連結し、その屋根ユニット２
１、２３の屋根パネル２１２、２３２と軒先屋根パネル
３１、３３とを連続させるから、簡単な支持構造でも軒
先屋根パネル３１、３３は屋根ユニット２１、２３の小
屋組部２１１、２３１に強固に連結することができる。
また、その屋根パネル２１２、２３２と軒先屋根パネル
３１、３３との接続部は小屋組部２１１、２３１の上に
位置することになり、両者をそり、ねじれ等がなく連続
した精度のよいものとして納めることができる。

【００２８】また、この屋根の構築方法は、上記軒先屋
根パネル３１、３３の裏面に予め軒先天井板３７を取り
付けて軒先天井付の軒先屋根パネル３１、３３としてか
ら、屋根ユニット２１、２３に連結するから、足場が悪
く危険な建築現場における軒先天井工事が省略できる。

【００２９】また、実施例のように、軒先屋根パネル３
１、３３がその略半分を屋根ユニット２１、２３の小屋
組部２１１、２３１の上に載置固定されると、軒先屋根
パネル３１、３３の垂木３４と野地板３６もその上下に
受ける荷重がバランスされ、更に強度的に優れたものに
なる。

【００３０】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
てきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるもので
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があ
っても本発明に含まれる。例えば、実施例では、屋根ユ
ニットと軒先屋根パネルに野地板を張った状態で説明し
たが、これらには、更にアスファルトルーフィングや瓦
などの屋根材を設けておいてもよい。

【００３１】

【発明の効果】請求項１記載の屋根の構築方法は、屋根
ユニットと軒先屋根パネルとに部品分割するから、屋根
ユニットの形状が屋根パネルの突出しないものになり、
軒先屋根パネルも単純な形状になり、工場での生産が容
易で、しかも、建築現場への運搬が容易で安価なものに
できる。

【００３２】また、請求項１記載の屋根の構築方法は、
軒先屋根パネルの上側部を上記屋根ユニットの小屋組部
の上にまで延在させて連結し、屋根ユニットの屋根パネ
ルと軒先屋根パネルとを連続させるから、簡単な支持構
造でも軒先屋根パネルは屋根ユニットの小屋組部に強固
に連結することができ、そり、ねじれ等がなく精度のよ
いものとして納めることができ、全体の強度を大きくで
きる。

【００３３】請求項２記載の屋根の構築方法は、上記軒
先屋根パネルの裏面に予め軒先天井を取り付けて軒先天
井付の軒先屋根パネルとしてから、屋根ユニットに連結
するから、足場が悪く危険な建築現場における軒先天井
工事が省略でき、更に安価なものにできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の屋根の構築方法の実施例を説明する斜
視図である。

【図２】本発明の屋根ユニットと軒先屋根パネルの輸送
状態を説明する正面図である。

【図３】本発明の実施例の軒先屋根パネルの連結部を示
す一部切り欠き断面図である。

【符号の説明】

１１、１２、１３ 建物ユニット ２１、２２、２３ 屋根ユニット ２１１、２２１、２３１ 小屋組部 ２１２、２２２、２３２ 屋根パネル ３１、３３ 軒先屋根パネル ３７ 軒先天井板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 小屋組部の上に屋根パネルを設けた屋根
   ユニットと、軒先屋根パネルと、から屋根を構築する方
   法であって、上記屋根ユニットは小屋組部の軒先側に屋
   根パネルが設けられておらず、軒先屋根パネルの上側部
   を上記屋根ユニットの小屋組部の上にまで延在させて連
   結し、屋根ユニットの屋根パネルと軒先屋根パネルとを
   連続させることを特徴とする屋根の構築方法。
2. 【請求項２】上記軒先屋根パネルの裏面に予め軒先天井
   を取り付けて軒先天井付の軒先屋根パネルとしてから、
   屋根ユニットに連結することを特徴とする請求項１記載
   の屋根の構築方法。