JP2000177520A - 運転手の足部を保護するための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突の際の乗員の足部を、さらに大変に好都
合なコストで保護できるようにする。 【解決手段】 フットスペースにペダルが設けられた車
両の運転手の足部を保護するための装置に関する。前記
装置は、カバー（３）を備えており、前記カバーは、ペ
ダル（９）を十分に押し下げることができるように、ま
た、足部のペダル（９）の後ろへの移動を防止できるよ
うに、通常の運転状態において、少なくとも部分的にペ
ダル（９）上で伸長している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、フットスペース
（すなわち、足部空間）にペダル（すなわち、足踏みレ
バー）が設けられている車両の運転手の足部を保護する
ための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】事故の際に、運転手の足部は、高い加速
を受ける。運転手の足部がペダル（例えば、アクセルペ
ダル（すなわち、加速ペダル）やブレーキペダル）に載
置されていた場合、運転手の足部は、衝撃でまず第１の
応力を受ける。それによって、運転手の足部は、前記ペ
ダルから滑り落ち、アクセルペダルやブレーキペダルの
の後ろに滑り、あるいは、アクセルペダルとブレーキペ
ダルとの間に滑り、いわゆるスプラッシュボードに打ち
つけられる。この打ち付けによって、第２の応力が加え
られる。前記スプラッシュボードは、エンジンチャンバ
からフットスペース（足部空間）の範囲を定めており、
車両のフロアに隣接している。前記スプラッシュボード
に打ちつけられた後、前記車両のフロント部（すなわ
ち、前部）の構造が大きく変形させられたとき、前記ス
プラッシュボードの侵入が起きる可能性がある。これに
よって、運転手の足部が前記ペダルの間に挟まれた場
合、または、前記スプラッシュボードと前記ペダルとの
間に挟まれた場合、足部が押しつぶされる可能性があ
る。これを避けるために、例えば、足部用のガスバッグ
をペダルの領域に設けることが提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本願発明は、衝突の際
の乗員の足部を、さらに大変に好都合なコストで保護で
きるようにしたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】これは、カバー（被覆
体）によって、最初に述べたタイプの装置で達成され
る。前記カバーは、通常の運転状態において、ペダルを
十分に踏む（押し下げる）ことができるように、また、
ペダルの後ろへの足部の移動が妨げられるように、少な
くとも部分的にペダル上でまたはペダルの上をおおって
伸長している。このカバーは、微細に加速や制動を行う
のに必要なペダルを操作したときでも、足部を傷つける
ことがないように構成されている。他方、前記カバー
は、衝突の際に、足部がペダル間に移動しないように、
また、ペダルの後ろに移動しないように、すなわち、ペ
ダルのフットプレートとスプラッシュボードとの間の空
間内に移動しないように、大きく且つ剛性のあるように
構成されている。この故に、ペダルからの滑り落ち、足
部のスプラッシュボードへの打ちつけ、及びスプラッシ
ュボードとペダルとの間での足部の挟み込みが、もはや
起きる可能性がなくなり、足部に傷害を負うおそれが著
しく減少する。

【０００５】カバーとして、ペダル全体を覆う可撓性の
ある膜を提供するだけで十分である。したがって、前記
可撓性のある膜は、有利なコストで構成できる。この膜
は、プラスチックから構成することができ、したがっ
て、滑り止め効果があり、その結果、前記足部は、前記
ペダルから滑り落ちることはない。

【０００６】接触によりペダルを確認するために、ま
た、対応するトレッド面（ｔｒｅａｄｆａｃｅ）を前記
カバーに設けることが必要となる可能性がある。前記ト
レッド面は、ペダルのトレッドプレート（ｔｒｅａｄ
ｐｌａｔｅ）上に事前に位置しているか、あるいは、ペ
ダルを踏む（すなわち、押圧する）際に、前記トレッド
面はペダルのトレッドプレート上に位置する。これらの
トレッド面は、わずかにフットスペース（足部空間）に
向けて突出しており、それによって、運転手は、個々の
ペダルをそのままで（あるいは、それがあるように）感
じることができる。すなわち、各トレッド面は前記個々
のペダルの位置を示している。

【０００７】前記カバーは、取り外しできるように、車
両に収容されていることが好ましい。前記カバーのうち
前記フットスペースに向いた部分は、ゴムで被覆された
被覆部（コーティング）を有することができ、また、前
記カバーは、フロアマットの形状を有することができ
る。

【０００８】発展的展開によれば、前記カバーは、ま
た、中空体として構成することによって、膨張可能にな
る。この中空体は、リブ付きの構造体となっており、流
路または溝を備えている。前記流路または溝は、リブに
よって範囲が定められており、ガス発生器に流体連通し
ている。拘束する場合、前記カバーはそのとき膨張し
て、よりいっそう安定した保護が可能になり、さらに、
減衰機能も提供される。

【０００９】衝突によるペダルの侵入をできるだけ減少
させるために、発展的展開によれば、前記装置の一部と
なっている前記ペダルを、電気式のペダルとすることが
できる。これは、例えば、スプラッシュボードを通して
制動力増幅器（ブレーキ力アンプリファイア）やクラッ
チシリンダーに接続される機械的なリンク装置が設けら
れていないということを意味する。ペダルと、フットス
ペースの外側に設けられた装置との間を機械的に剛性連
結すると、エンジンブロックが変位させられた場合に、
実際、フットスペースの外側に設けられた前記装置が、
運転手の方向にめがけて大変に早く移動することにな
る。そして、この故に、ペダルがフットスペース内に大
変に大きく変位することになる。しかしながら、電気式
のペダルを用いた場合、ペダルに固定して連結される部
品が、エンジンスペース内に突出していないため、前記
侵入の危険を減少させることができる。

【００１０】本願発明の別の展開によれば、ペダル領域
内の車両フロアは、また、本願発明に係わる前記装置の
一部となっている。前記ペダルは、トレッドプレート
（すなわち、踏面用プレート）を備えている。前記トレ
ッドプレートの領域において、前記フロアまたは前記ス
プラッシュボードは、前記トレッドプレートの形状及び
厚さに適合する凹部を備えている。前記ペダルが十分に
踏まれたとき（すなわち、押圧されたとき）、前記トレ
ッドプレートは、前記凹部内に突出する。前記ペダルが
十分に踏まれたとき、前記フットスペースに面する前記
トレッドプレートの上面が、前記隣接する車両フロアの
上面と同一平面になるように、前記トレッドプレート
は、さらに、前記凹部内に伸長することが好ましい。こ
れは、前記ペダルが十分に踏まれたとき、滑り落ちる可
能性がもはやなくなるというという効果がある。といの
は、前記アクセルペダルが十分に踏み込まれた後に置か
れる箇所に応じて、前記車両フロアや前記スプラッシュ
ボードは、前記ペダルに対して平らな面を形成するから
である。

【００１１】本願発明の他の特徴や効果は、下記の記述
や下記の図面とを参照することによって、明らかとなる
であろう。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１には、運転手の足部を保護す
るための装置が図示されている。前記装置は、カバー
（すなわち、被覆体）３を備えている。カバー３は、可
撓性のあるゴムのような膜の形状となっている。カバー
３は、フットスペースにおいてに張力をかけられてい
る。カバー３のエッジ（すなわち、縁部）の一方が、ス
プラッシュボード５に固定されており、他方のエッジは
車両フロア７に固定されている。図示されているよう
に、車両フロア７は、段部（すなわち、ステップ）がな
い状態でスプラッシュボード５に連続している。カバー
３は、全てのペダルを覆っている。図示されているペダ
ルのうちブレーキペダル９は、一例である。各ペダル
は、ガイドロッド１１と、トレッドプレート（すなわ
ち、踏面用プレート）１５とを備えている。ガイドロッ
ド１１は、スプラッシュボード５に収容されたガイド部
１３に変位可能に取り付けられている。トレッドプレー
ト１５は、フットスペースに面する上面１７を備えてい
る。この実施例において、ペダルは通常のペダルとなっ
ている。この実施例において、スプラッシュボード５
は、また、本願発明に係わる装置に属している。トレッ
ドプレート１５の領域において、スプラッシュボード５
は、凹部１９を備えている。凹部１９は、以下のように
なるように、トレッドプレート１５の厚さに整合されて
いる。すなわち、トレッドプレート１５が凹部１９内に
完全に沈み、ブレーキペダル９が十分に踏まれたとき、
上面１７がスプラッシュボード５の外面より突出しない
ように、凹部１９はトレッドプレート１５の厚さに整合
されている。

【００１３】一方、カバー３は、他のペダルに影響を及
ぼすことなく、個々のペダルを十分に踏み込むことがで
きるように、可撓性を有している。さらに、この膜状の
カバー３は、また、大変薄いので、足部のペダルへの接
触が依然として、良好となっている。他方、カバー３
は、ペダルの後ろに（より正確にはブレーキペダル９の
トレッドプレート１５の後ろに）足部が変位するのを防
止できるように、十分な剛性を有している。それによっ
て、事故が起きた場合に、運転手の足部が、ペダルから
滑り落ちることが防止され、また、トレッドプレート１
５の後ろへ回ることが防止される。トレッドプレート１
５の後ろでは、足部は、スプラッシュボード５の侵入に
よって押しつぶされる可能性がある。

【００１４】図２に示された実施例においては、前記装
置は、ペダルを覆う、フロアマットのタイプとなってい
る。このカバーは、１０３によって示されており、上述
したものに対照的に膨張可能になっている。この目的の
ために、カバー１０３は、流体連通可能にガス発生器に
接続されている。前記ガス発生器は、拘束する場合に、
ガスをカバー１０３の内部に吹き込む。そのとき、図２
に示されたようなカバー１０３は、減衰機能を果たすこ
とができる詰物（又は、クッション）のタイプとなる。
図３において、ガス発生器は、概略的に図示されてお
り、参照符号１０５が付与されている。ほかの点では、
既に上述された全ての部品は、それに応じて構成されて
いる限りにおいて、また、既に付与された参照符号を有
している。

【００１５】カバー１０３は、その外面にゴム製の被覆
部（すなわち、ラバーコーティング）を備えている。前
記ゴム製のコーティングは、滑り（すなわち、スリッ
プ）を防止することができるように意図されている。さ
らに、カバー１０３からわずかに突出するトレッド面１
０７が、カバー１０３の外面に設けられている。トレッ
ド面１０７は、感触により、その真後ろにトレッドプレ
ート１５が位置するトレッド面領域を見出すことができ
るように意図されている。

【００１６】図１に図示された実施例とは対照的に、前
記ペダルは、被作動部材（ブレーキ、アクセル、クラッ
チ）に機械的に連結されておらず、電気的に連結されて
いる。このために、スプラッシュボード５を通った各ペ
ダルは、走査（スキャン）装置を作動させる。前記走査
装置は、ペダルの位置を検出する。この実施例におい
て、ペダルは、本願発明に係わる装置の一部となってい
る。

【００１７】図２及び図３に示された膨張可能なカバー
は、図４に示されるように、個々のリブ２０５が流路を
画定するように、リブ付きの構造体を備えることができ
る。図４に示されたカバー２０３は、カバー２０７のタ
イプのものによって塞ぐ（換言すれば、閉鎖する）こと
ができる端面を備えている。カバー２０７は、図４にお
いて、取り外されて示されている。ガス発生器１０５に
通じる管（すなわち、チューブ）２０９が、カバー２０
７に固定されている。カバー２０７をカバー２０３に取
り付けたとき、管２０９は、個々の流路（例えば、流路
２１１）内に突出する。カバー２０３の上側と下側は、
非膨張状態において互いに重なるように置かれ、リブは
補強効果をもたらさない。一方、膨張状態において、カ
バー２０３は、比較的に厚いマットとなる。このマット
は、ガス発生器１０５との連結を切り離すことによって
取り外すことができる。これは、例えば、クリーニング
（洗浄）や交換目的のために行われる。

【００１８】図５ないし図７に図示された実施例のカバ
ー３０３は、リブ３０５と流路（換言すれば、導管）３
１１とを備えている。流路３１１の横断面は、円形にな
っている。流路３１１内で、ガスが膨張される。図６は
非膨張状態を示しており、図７は膨張状態を示してい
る。図６と図７とを比較することによって、膨張状態に
あるカバー３０３は、非膨張状態にあるカバー３０３よ
りも厚くなっているということが明瞭に理解できる。

【００１９】図８ないし図１０に図示された実施例にお
いて、多数の伸長可能（または、拡張可能）な管４０５
が、カバー４０３と一体化、または、カバー４０３に組
み込まれている。これらの伸長可能な管４０５は、近隣
のリブ４０７に隣接するように配置されている。図９
は、非伸長状態にある管を示しており、図１０は、伸長
状態にある管を示している。図１０において、管４０５
が、また、リブ４０７を変位させることが理解できる。

【００２０】一体化された（すなわち、一体型またはワ
ンピースの）カバーを図示し、説明したが、２またはそ
れ以上の部品からなるカバーも本願発明の範囲内に含ま
れることを理解すべきである。前記部品は、例えば、個
々のプレートを画定している。前記プレートの各々は、
１つのペダルに割り当てられている。前記個々のプレー
トは、互いに隣接している。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本願発明に係わる装置の第１の実施例
を示す、運転手のフットスペースの領域おいて車両を破
断した断面図である。

【図２】図２は、膨張可能なマットを備えた本願発明の
第２の実施例に係わる装置の断面図である。

【図３】図３は、斜め上から前記フットスペースを見
た、図２に係わる実施例の斜視図である。

【図４】図４は、フロント面が上に持ち上げられた状態
にある、本願発明に係わる膨張可能な装置の実施例を示
している。

【図５】図５は、さらに発展させた実施例に係わる膨張
可能な装置を破断した断面図を示している。

【図６】図６は、図５のＸによって印をつけられた領域
の、非膨張状態にある拡大図である。

【図７】図７は、膨張状態にある、図６に示された装置
の領域を示している。

【図８】図８は、異なったリブ付き構造体を備えた、図
５と比較してわずかに変更された膨張可能な装置を示し
ている。

【図９】図９は、非膨張状態にある装置において、図８
のＸによって印をつけられた領域の拡大図である。

【図１０】図１０は、膨張状態にある、図９に示された
領域を示している。

【符号の説明】

３ カバー ５ スプラッシュ
ボード ７ 車両フロア ９ ブレーキペダ
ル １１ ガイドロッド １３ ガイド部 １５ トレッドプレート １７ 上面 １９ 凹部 １０３ カバー １０５ ガス発生器 １０７ トレッド
面 ２０３ カバー ２０５ リブ ２０７ カバー ２０９ 管 ２１１ 流路（通路） ３０３ カバー ３１１ 流路（通路） ４０３ カバー ４０５ 管 ４０７ リブ

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フットスペースにペダルが設けられた車
   両の運転手の足部を保護するための装置であって、 カバー（３；１０３；２０３；３０３；４０３）を備え
   ており、 前記カバーは、ペダル（９）を十分に押し下げることが
   できるように、また、足部のペダル（９）の後ろへの移
   動を防止できるように、通常の運転状態において、少な
   くとも部分的にペダル（９）上で伸長していることを特
   徴とする運転手の足部を保護するための装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の装置において、 前記カバー（３；１０３；２０３；３０３；４０３）
   は、前記ペダルの全てをを覆う可撓性のある膜であるこ
   とを特徴とする装置。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の装置におい
   て、 前記カバー（１０３）は、突出するトレッド面（１０
   ７）を有しており、 前記ペダルを押し下げる際に、前記トレッド面の少なく
   とも一部が、前記カバー（１０３）の後ろにあるペダル
   トレッドプレート（１５）上に位置することを特徴とす
   る装置。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３のいずれか１項に記載
   の装置において、 前記カバー（３０３）は、取り外し可能に前記車両に設
   けられていることを特徴とする装置。
5. 【請求項５】 請求項１ないし４のいずれか１項に記載
   の装置において、 前記カバー（３；１０３；２０３；３０３；４０３）
   は、前記フットスペースに向いたゴム製の被覆部を有し
   ており、前記カバーはフロアマットの形状を有している
   ことを特徴とする装置。
6. 【請求項６】 請求項１ないし５のいずれか１項に記載
   の装置において、 前記カバー（１０３；２０３；３０３；４０３）は、膨
   張可能に構成されていることを特徴とする装置。
7. 【請求項７】 請求項６に記載の装置において、 前記カバー（２０３；３０３；４０３）は、リブ付き構
   造体を有する膨張可能な中空体となっており、 リブ（２０５；３０５）によって画定された通路（２１
   １；３１１）が、ガス発生器に流体連通可能に接続され
   ていることを特徴とする装置。
8. 【請求項８】 請求項７に記載の装置において、 管（２０９、４０５）が、前記カバー（２０３；４０
   ３）の内部を通っており、また、前記管（２０９、４０
   ５）はガス発生器（１０５）に接続されており、 ガスが、前記管（２０９、４０５）を通って、前記カバ
   ー（２０３；４０３）内に導入されることを特徴とする
   装置。
9. 【請求項９】 請求項１ないし８のいずれか１項に記載
   の装置において、 前記ペダル（９）は、前記装置の一部となっており、電
   気式のペダルとして構成されていることを特徴とする装
   置。
10. 【請求項１０】 請求項１ないし９のいずれか１項に記
    載の装置において、 前記ペダルの領域における前記スプラッシュボード
    （５）または前記車両フロア（７）は、前記装置の一部
    となっており、 前記ペダル（９）はトレッドプレート（１５）を有して
    おり、 前記車両フロア（７）または前記スプラッシュボード
    （５）は、前記トレッドプレート（１５）の領域におい
    て、前記トレッドプレート（１５）の形状及び厚さに適
    合した凹部（１９）を有しており、それによって、関係
    するペダル（９）が十分に押し下げられたとき、各トレ
    ッドプレート（１５）は、前記関係する凹部（１９）内
    に突出することを特徴とする装置。
11. 【請求項１１】 請求項９に記載の装置において、 前記ペダル（９）が十分に押し下げられたとき、前記フ
    ットスペースに面する、前記トレッドプレート（１５）
    の上側は、前記スプラッシュボード（５）又は前記車両
    フロア（７）に関して、前記フットスペースの内側に突
    出していないことを特徴とする装置。