JP2000177126A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
く、インクを充満させる圧力室内の気泡あるいは異物を
小さなエネルギで排除できるようにする。 【解決手段】 圧力室の固有振動周波数に近似する周波
数の電気信号を電気機械変換素子に与えて圧力室を共鳴
振動させる。充満しているインクに断続的に繰り返し共
鳴振動を引き起こし、圧力室壁面に付着した気泡を剥離
し異物とともに吸引排除する。
Description
インク滴を噴出して印字を行うインクジェット記録装置
に関する。特に、インク滴を吐出させるための圧力室の
構造および圧力室に与える電気信号に関する。本発明
は、圧力室に発生した気泡など正常な印字を阻害する要
素を圧力室から排除するための改良に関する。
さい吐出口を有する圧力室に導入して、この圧力室内の
インクを制御されたタイミングで加圧することにより、
その吐出口からインク滴を噴出させて印字を行う。この
とき圧力室内にはインクが充満していることが必要であ
り、圧力室内のインクに小さい気泡が含まれている、あ
るいは何らかの密度の異なる小さい異物が混入している
などの場合には、印字が適正に行われなくなる。従来か
ら、このような気泡や異物を圧力室から排除するため
に、最初に使用するとき、長時間休止した状態から使用
を再開するときなどに、インクヘッドを回復させるため
の動作を行う技術が知られている。
として、非記録時に圧力室を加温するとともに圧力室に
振動を与える技術がある(特開昭58−132563号
公報)。これは基本的な優れた技術であり、広く実施さ
れるとともに、この公報には、この回復動作の期間にわ
たり、圧力室を振動させる周波数を変動させることが開
示されている。
るタイミングで圧力室に印加する振動エネルギを徐々に
減衰させる技術がある(特開昭61−227061号公
報)。さらに、この公報には回復動作を行うときに、イ
ンク吐出口を覆い、吐出口から送り出されるインクをイ
ンク溜まりに排除する技術も開示されている。
から圧力室内の異物の移動状態に合わせて圧力室に印加
する振動を断続的に制御する技術も知られている(特開
昭59−218866号公報)。
適正な量のインクが適正な速度で吐出するように、気泡
や異物により印字が乱れないように、印字状態で圧力室
にインクが適正に充満するように制御する工夫は上記の
ような技術によってもなお十分ではない。とくに、圧力
室内の気泡を排除するために余分な部品などの要素を新
しく導入することは望ましいことではない。また、この
ために圧力室に余分なエネルギを印加するには、別の加
熱装置などのエネルギ発生装置を必要とし、またこれら
により予期しない別の不都合を招くことがあり、これも
望ましいことではない。
あって、圧力室内に発生する気泡や密度のことなる異物
を適正に排除することができる装置を提供することを目
的とする。本発明は、圧力室に印加するエネルギを小さ
くして、気泡あるいは異物を排除することができる装置
を提供することを目的とする。本発明は、印字のために
利用する電気機械変換装置をそのまま利用して、余分の
要素を設けることなく圧力室内の気泡を排除することが
できる装置を提供することを目的とする。本発明はイン
クジェット用記録ヘッドの製造歩留りを向上することを
目的とする。
力を変動させることによりインクを吐出する電気機械変
換素子の振動により圧力室を共鳴振動させ、圧力室壁面
に付着した気泡その他密度の異なる異物を剥離して排除
することを特徴とする。これは非記録時のクリーニング
動作の一つとして行うことが望ましい。
吐出口が形成された壁面で囲まれインクが充満する圧力
室と、この圧力室に導入路を介して連通するインクタン
クと、前記圧力室内の圧力を変動させる電気機械変換素
子と、この電気機械変換素子に電気信号を供給する駆動
回路とを備えたインクジェット記録装置において、前記
電気信号は、前記圧力室の固有振動周波数に近似する周
波数の信号を含むことを特徴とする。ここで圧力室の固
有振動周波数に近似する周波数とは、圧力室を共鳴状態
にすることができる周波数である。短い時間であっても
圧力室を継続的な共鳴状態にすることができる周波数で
ある。その周波数は圧力室の固有振動周波数に必ずしも
等しくなくともよい。圧力室に固有振動周波数が複数あ
るときには、圧力室に最も大きい共鳴状態を引き起こす
周波数であることが望ましいが、小さい共鳴状態を起こ
すことができる周波数でもよい。また、圧力室の固有振
動周波数の基本周波数でなくとも、その整数倍または整
数分の1の周波数など、圧力室の共鳴状態を引き起こす
ことができる周波数であればよい。
動周波数に近似する周波数とすることにより、圧力室が
共鳴し、供給する電気信号は小さいエネルギであって
も、圧力室は大きい振幅の振動を行うことになる。これ
は、特別に大きいエネルギを供給しなくとも、小さいエ
ネルギが定在波に累積されて、大きい振幅の振動となっ
て圧力室内のインクに作用させることができる。
として前記圧力室の固有振動周波数に近似する周波数の
信号を断続的に繰り返し発生する手段を含み、前記固有
振動周波数を印加する時間は数サイクル分の時間であ
り、この時間の数倍ないし数十倍の時間を休止時間と
し、前記周波数の信号を断続的に繰り返し発生する期間
にわたり前記インク吐出口を吸引する手段を備えること
が望ましい。この吸引する手段にはダイヤフラムポンプ
を用いることができる。
路を介して壁面で囲まれた圧力室内に圧送され充満す
る。圧力室の壁面に設けられた電気機械変換素子は制御
手段の制御にしたがって駆動する駆動回路からの電気信
号により圧力室内の圧力を変動させる。この圧力の変動
により圧力室の一部に形成された小さいインク吐出口か
らインク滴が吐出し印字を行う。
ンクに蓄積されたインクが供給されるが、この供給され
るインクには小さい気泡などの密度の異なる異物が含ま
れ、また、インク供給時に圧力室内に空気が残存するこ
とがある。インク中に浮遊している気泡や異物は吐出口
からインク滴とともに吐出されるが、圧力室壁面に付着
した気泡はインク吐出口からの吸引やインクタンクから
の圧送だけでは壁面から剥離しにくく排出されにくい。
すべての異物を適正に排除するもので、電気機械変換素
子に圧力室を共鳴状態にする電気信号を印加して圧力室
内のインクを激しく振動させ、その振動により圧力室壁
面に付着した気泡を圧力室壁面から剥離するとともに、
この気泡を含むインクを吸引することにより外部に排出
する。電気信号は、周期的に印加することが効果的であ
り、これは、非記録時に駆動回路により圧力室の固有振
動周波数に近似する周波数の駆動波形を発生させ、これ
を電気機械変換素子に断続的に繰り返し印加する。
近似する周波数の印加は数サイクル分の時間にわたり行
い、それに合わせてダイヤフラムポンプによりインク吐
出口を吸引することがよい。数サイクル分の時間にわた
り電気信号を供給し、つづくこの時間の数倍ないし数十
倍の時間にわたり、残響が収束するまでの休止時間とし
てこのサイクルを断続的に繰り返すことが最も効果的で
ある。
は、インクの移動や気泡の発生状態の変化に応じてわず
かに変化することがわかった。したがって、固有振動周
波数を連続的に印加するより、前述したように、数サイ
クルずつ、たとえば5〜10サイクル毎に固有振動周波
数を印加し、その数倍〜数十倍の時間にわたり振動を休
止させることがよいことがわかった。この休止期間に固
有振動周波数がはじめの共鳴を起こす状態に回復するも
のと考えられる。
気機械変換素子をそのまま利用し、余分な部品などの要
素を新たに設けることなく、インクを加圧する圧力室内
の気泡や異物を小さなエネルギで排除することができ、
適正な印字を行うことができる。
て充填させたときは、内部の空気が気泡となって壁面に
付着し剥離しにくい状態で残存することがあるが、圧力
室の固有振動周波数に近似する周波数の電気信号で振動
が与えられたときに、圧力室が共鳴してインクを激しく
振動させるので、大きい気泡であっても小さい気泡であ
ってもこれらを容易に剥離し、同時に行われる吸引によ
りほぼ完全に排除される。これにより、本来正常にイン
クを充填することができる圧力室を不良品として廃棄し
てしまうことを回避することができるから、インクジェ
ット用ヘッドの製造歩留りを向上することができる。
明する。図1は本発明実施例装置の要部の構成を示す
図、図2は本発明実施例装置の記録ヘッド部の構造を示
す概念図である。
ンク2が蓄積されたインクタンク3と、記録ヘッド1に
電気信号を供給する駆動回路4と、記録ヘッド1からイ
ンク2を吸引するダイヤフラムポンプ5と、このダイヤ
フラムポンプ5により吸引されたインク2を蓄積する廃
液タンク6と、駆動回路4、ダイヤフラムポンプ5、記
録ヘッド1を駆動する記録ヘッド駆動手段21、および
記録紙22を密着させて搬送するプラテン23を駆動す
るプラテン駆動手段24をそれぞれ制御する制御回路1
0とが備えられる。
口7が形成された壁面で囲まれインク2を充満する圧力
室8と、この圧力室8の壁面の内側に設けられその内部
の圧力を変動させる電気機械変換素子9とにより構成さ
れる。圧力室8は導入路11を介してインクタンク3に
連通され、電気機械変換素子9は電気信号線により駆動
回路4に接続される。
ンク2を吸引するダイヤフラム12と、このダイヤフラ
ム12を制御回路10の制御にしたがって駆動する駆動
手段13とにより構成される。ダイヤフラム12は、吸
引路14を介して圧力室8内からインク2を吸引すると
きインク吐出口7に対向するキャップ15に接続される
とともに、排出路16を介して廃液タンク6に接続され
る。
される電気信号には圧力室8の固有振動周波数に近似す
る周波数の信号が含まれることに本発明の特徴がある。
駆動回路4には非記録時にこの圧力室8の固有振動周波
数に近似する周波数の電気信号を制御回路10の制御に
したがって断続的に繰り返し発生する手段が含まれる。
御回路10の制御にしたがって圧力室8の固有振動周波
数に近似する周波数の信号を断続的に繰り返し発生する
期間にわたりインク吐出口7を吸引する手段が含まれ
る。
電気信号を印加する時間は数サイクル分の時間とし、こ
の時間の数倍ないし数十倍の時間を休止時間として繰り
返し印加される。
装置の動作について説明する。
制御にしたがって、記録ヘッド駆動手段21が記録ヘッ
ド1を移動させ、プラテン駆動手段24がプラテン23
を回転させて記録紙22を搬送させながら、駆動回路4
が電気機械変換素子9に電気信号を供給して、圧力室8
内のインク2をインク吐出口7から噴射させる。これに
より記録紙22の表面に印字が行われる。
ンクタンク3に蓄積されたインク2が導入路11を介し
て圧力室8内に圧送され充填される。充填されたインク
2中には図2に示すように小さい気泡17あるいは異物
が混入することがある。これらがインク吐出口7からイ
ンク2とともに噴射されると、印字の一部が欠落したり
あるいは異物が付着して適正な印字が行われない。さら
に、圧力室8の壁面に付着した気泡は剥離しにくく、気
泡17が圧力室8内に残留することによって、電気機械
変換素子9により発生した圧力が正常に伝達されなくな
り適正な印字が行えなくなる。
など非記録時に、制御回路10が記録ヘッド駆動手段2
1を駆動し、図1に示すように記録ヘッド1をキャップ
15の位置まで移動させ、図2に示すようにインク吐出
口7をキャップ15に対向させる。さらに、制御回路1
0はこの状態で駆動回路4を駆動し、圧力室8の固有振
動周波数に近似する周波数の電気信号を電気機械変換素
子9に供給し、圧力室8内のインク2に振動を与える。
これにより圧力室8は共鳴振動を起こし、充満するイン
ク2は激しく振動する。
変換素子に印加する電気信号の一例を示す図である。同
図中tは圧力室8の固有周期に近似した周期、nは印加
するサイクル数(例えば数サイクル)、Tは残響が収束
するまでの時間(例えばtの数倍ないし数十倍)であ
る。
似する周波数の電気信号を断続的に繰り返し印加するこ
とにより、圧力室8に共振が発生し充填されたインク2
に激しい振動が与えられ、この振動によって圧力室8の
壁面に付着した気泡17が効率よく剥離される。
に、制御回路10はダイヤフラムポンプ5の駆動手段1
3を駆動してダイヤフラム12を脈動させ、キャップ1
5内に圧力室8内のインク2を断続的に吸引する。これ
により剥離された気泡17および異物を含むインク2が
圧力室8内から排出される。キャップ15内に吸引され
たインク2は吸引路14からダイヤフラム12内を通過
して排出路16から廃液タンク6に排出される。この排
出動作にともなってインクタンク3から新しいインク2
が導入路11を介して圧力室8内に気泡のない状態で充
填される。
て次の実験を行った。まず、図1および図2に示すよう
に記録ヘッド1をキャップ15に対向させてインク2を
充填する状態を設定し、駆動回路4から電気機械変換素
子9に圧力室8の固有振動周波数に近似する周期tの電
気信号を7サイクル印加し、残響が収束する時間間隔
(T)をおいて再度同様の電気信号を印加した。
手段13を駆動してダイヤフラム12によりキャップ1
5内に圧力室8内のインク2を脈動により吸引するとと
もに、インクタンク3から圧力室8内にインク2を充填
させた。図4は本発明実施例装置にかかわる電気機械変
換素子の振動周期に対する圧力室内のインク充填率を示
したものであるが、これに示すように圧力室8内に残留
していた気泡17の排出は効率よく行われ、圧力室8内
へのインク2の充填率が97%を示した。
でインク充填を行った場合はその充填率は約82%を示
し、また、ダイヤフラムポンプ5の吸引によりインク吐
出口7からの吸引のみで充填を行った場合には約88%
を示した。
吐出動作を行わせたときの吐出しなかった圧力室の排除
操作後の回復数について実験を行ったところ表1に示す
結果が得られた。
った圧力室は、本発明装置の場合は16個中6個(3
7.5%)、従来装置の場合は21個中16個(76.
2%)を示し、この不吐出圧力室に対しインクの排除操
作を行った後の回復数は本発明装置の場合には6個すべ
てが回復し、従来装置の場合は13個は回復したものの
3個は回復しない結果を得た。
インクの初期充填後に印字を行ったときに、インクが吐
出しない圧力室はあるもののその発生率は従来装置より
も低く、さらに本発明によりインクの排除操作を行うこ
とによって、そのすべてが回復されることがわかった。
すなわち本発明により、正常な吐出を行う圧力室を異常
とするようなことを回避できることが立証された。
分な要素を新たに設けることなく、印字のために利用す
る電気機械変換素子をそのまま利用することにより、圧
力室内に発生する気泡あるいは異物を小さなエネルギで
適正に排除することができる。さらに、製造後のインク
初期充填時に発生した不吐出状態はインクの排除操作を
行うことによってほぼすべてが回復状態となるので、本
来正常であるものを不良品として製造歩留りを低下させ
てしまうことを回避することができる。
模式図。
印加する電気信号の一例を示す図。
動周期に対する圧力室内のインク充填率を示す図。
Claims (5)
- 【請求項1】 一部に小さいインク吐出口が形成された
壁面で囲まれインクが充満する圧力室と、この圧力室に
導入路を介して連通するインクタンクと、前記圧力室内
の圧力を変動させる電気機械変換素子と、この電気機械
変換素子に電気信号を供給する駆動回路とを備えたイン
クジェット記録装置において、 前記電気信号は、前記圧力室の固有振動周波数に近似す
る周波数の信号を含むことを特徴とするインクジェット
記録装置。 - 【請求項2】 前記駆動回路は、非記録時に前記電気信
号として前記圧力室の固有振動周波数に近似する周波数
の信号を断続的に繰り返し発生する手段を含む請求項1
記載のインクジェット記録装置。 - 【請求項3】 前記固有振動周波数を印加する時間は数
サイクル分の時間であり、この時間の数倍ないし数十倍
の時間を休止時間とする請求項2記載のインクジェット
記録装置。 - 【請求項4】 前記周波数の信号を断続的に繰り返し発
生する期間にわたり前記インク吐出口を吸引する手段を
備えた請求項2記載のインクジェット記録装置。 - 【請求項5】 前記吸引する手段はダイヤフラムポンプ
を含む請求項4記載のインクジェット記録装置。
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1999
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