JP2000173448A - 電界放射冷陰極の製造方法 - Google Patents

電界放射冷陰極の製造方法

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JP2000173448A
JP2000173448A JP34921698A JP34921698A JP2000173448A JP 2000173448 A JP2000173448 A JP 2000173448A JP 34921698 A JP34921698 A JP 34921698A JP 34921698 A JP34921698 A JP 34921698A JP 2000173448 A JP2000173448 A JP 2000173448A
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Nobuya Seko
暢哉 世古
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォトリソグラフィの解像度を越える微細な
ゲート径を実現可能な電界放射冷陰極の製造方法を提供
する。 【解決手段】 シリコン基板1の上に第1の絶縁層2を
成長させ、その上に第2の絶縁層3を堆積する。この上
にフォトレジストを塗布して開口を形成し、これをマス
クとして第2の絶縁層3及び第1の絶縁層2をエッチン
グする。エミッタ材料をシリコン基板1に対して垂直に
入射するように成膜すると、シリコン基板1上にはエミ
ッタ下層5aが堆積し、第2の絶縁層2上には第1の堆
積層6aが堆積する。シリコン基板1に垂直な軸で、シ
リコン基板1を回転させながら斜め方向から犠牲層材料
を蒸着し、犠牲層7を成膜する。犠牲層7の上に第2の
堆積層6bを堆積しつつ、エミッタ上層5bを形成す
る。最後に、リン酸で犠牲層7のアルミナを選択エッチ
ングし、第2の堆積層6bをリフトオフする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界放射冷陰極の製
造方法に関し、特に導電性の基板上に形成された絶縁層
とゲート電極とに基板表面を露出する略円形の開口を開
け、その開口内において基板と電気的に接続された略円
錐状のエミッタをその頂点が開口中央の領域に位置する
よう配設したスピント型の電界放射冷陰極の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電界放射冷陰極の特性は低電圧で大電流
が取り出せることが望ましい。その手段はファウラノル
ドハイムの式で分かるように、エミッタの仕事関数を低
くするか、エミッタ先端の電界集中係数を大きくするこ
とによって実現することができる。
【0003】ここで、ファウラノルドハイムの式とは真
空に放出される電流密度j(A/cm2 )を記述するも
ので、 j=AF2 /φ・exp(−Bφ3/2 /F),F=βV で表される。尚、A,Bは定数、βは印加電圧Vを電界
Fに変換する係数である。係数βはエミッタ先端の鋭さ
やエミッタとアノードとの間の距離等の幾何学的な量に
依存して決まり、エミッタ先端の形状が鋭いほど大きく
なる。
【0004】エミッタの仕事関数は材料及びその表面状
態で決まるので、これを低減することは簡単なことでは
ない。電界集中係数はゲートとエミッタとを近づけてエ
ミッタを尖らせることで大きくなるが、先端の先鋭化は
エミッタの形成プロセスの本質に関わる問題であり、も
っとも単純で確実に効果が上がるのはエミッタとゲート
とを近づける、スピントタイプにおいてはゲート径を小
さくすることであるといえる。
【0005】ゲート電圧の低減は単に同じ電圧で多くの
電流を得られるだけでない。スピントタイプのような突
起の先端からエミッションを得る場合、本来電子ビーム
を取り出したい方法に対する横方向の速度成分があるこ
とは避けがたいことである。
【0006】同じ電流であっても、低いゲート電圧で引
き出された方が横方向の速度成分を小さくすることがで
き、その後のビームの広がりを抑制することができる。
また、収束(制御)電極によってビームの発散を抑える
場合にも引き出し電圧が低く、初期の横方向の速度成分
が小さい方がその効果が大きい。
【0007】電界放射冷陰極の応用を考えた場合に、こ
こから得られる電子ビームは進行方向に対して広がるこ
となく放射されることが望ましい。そのためにも低電圧
駆動、有効な収束効果が期待される。
【0008】上記のエミッタの形成方法については、特
開平9−259743(以下、文献1とする)、特開平
4−262337(以下、文献2とする)、特開平5−
21003(以下、文献3とする)、特開平4−672
8(以下、文献4とする)、特開平9−293451
(以下、文献5とする)等に詳述されている。
【0009】文献1には、エミッタ形成前の犠牲層蒸着
及びリフトオフを行う代わりにゲート上方に堆積した膜
をエッチングで取り去る方法が記載されている。これら
の方法を図22及び図23に示す。
【0010】図22にはエミッタ47の形成と同時に堆
積した堆積層46をエッチングしてゲート電極とする方
法が示されている。図23ではゲート48を別の材料で
形成してエミッタ47を形成した後、堆積層46をRI
E(Reactive Ion Etching:反応
性イオンエッチング)で除去する方法が示されている。
尚、図22及び図23において、41は基板、42はカ
ソード、43は抵抗層、44は絶縁層、45は開口部を
夫々示している。
【0011】文献2には絶縁層がオーバハングした形状
の基板に対して、「Pt−Auを蒸着で」成膜すると、
図24に示すようにカソード54とゲート層55とが同
時に形成することができる方法が記載されている。尚、
図24において、51はシリコン基板、52はSi
2 、53はボロンがイオン注入されたSiO2 を夫々
示している。
【0012】文献3には、図25に示すように、エミッ
タチップ61を形成した後で、回転斜め蒸着でゲート開
口内面に導電材料を蒸着してゲート開口径を小さくする
という方法が記載されている。尚、図25において、6
2は基板、63は絶縁層、64はゲート層、65は放射
孔、66は金属膜を夫々示している。
【0013】文献4には、図26に示すように、シリコ
ン基板71をエッチングして錘状突起74を残してエミ
ッタ電極とした構造において、素子構造完成後に導電物
質を蒸着してゲートを狭めるとともに、エミッタのアス
ペクト比を大きくしようという方法が記載されている。
【0014】ゲート開口を狭める手段としてはスピント
法のエミッタ形成機構と同じであるが、錘状突起74上
に入射する蒸着粒子の入射角は錘状突起74の側面に対
して浅い角度で斜めに入射している。尚、図26におい
て、72は絶縁層、73はゲート電極、75は錘先端、
76は錘状電極、77は電極開口、78は再堆積層、7
9は突起先端を夫々示している。
【0015】文献5には、図27に示すように、集束電
極85を持つ電界放射冷陰極の製造方法を示している。
図27(c)の傘状堆積物91は2段に形成された電極
の上段(制御電極)にマスクされて外側面が形成され、
下段(ゲート電極83)から下へ通過してエミッタ電極
90となる部分が抜けることで内側面が形成されたもの
である。
【0016】尚、図27において、81は基板、82は
第1の絶縁層、84は第2の絶縁層、86はゲート電極
の開口、87は集束電極の開口、88,88Gは第1の
犠牲層、89は第2の犠牲層、92はエミッタ材料層、
θ1,θ2は入射角度を夫々示している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のエミッ
タの形成方法では、文献1に記載の方法の場合、絶縁層
の開口断面が底の方が細くなるテーパが付いているの
で、エミッタ形成時に絶縁層の開口内壁面にエミッタ材
料が堆積し、絶縁特性を劣化させる。しかも、絶縁層表
面への入射角は極めて浅い角度となるため、膜質は極め
て疎となり、ごみの発生等の弊害を引起こす恐れがあ
る。
【0018】また、文献1に記載の方法では絶縁層を開
口してエミッタを露出させる工程を「エッチング」であ
るとしているが、ゲート(堆積層)とエミッタとは同一
の材料であり、エッチングの選択性を確保するのが実質
上不可能である。
【0019】さらに、文献1に記載の方法ではエミッタ
に比べて大面積のゲート(堆積層)が存在し、ローディ
ング効果でエミッタ先端が保持されるとの記述がある
が、たとえ外形が円錐状で保持されたところで、エミッ
ション特性に重要な影響を及ぼすエミッタ先端が良好な
状態(先鋭)である可能性は実質上期待できない。
【0020】さらにまた、文献1に記載の方法ではRI
Eで堆積層を除去するという記述があるが、RIEの特
性上、エッチングガスのイオンが基板に対して垂直成分
の大きなエネルギを持って入射し、物理的かつ化学的な
複合作用によってエッチングが進行する。したがって、
堆積層を除去できてもゲートが開口してエミッタが露出
した後、堆積層と同じ材料であるエミッタはエッチング
レートに多少の差があっても、エッチングされていく。
【0021】文献2の記載の方法ではスピント法に属す
るエミッタの形成機構をとっている。スピント法による
エミッタ形成のメカニズムは、開口(通常はゲート)が
基板上に投影された(開口を通過した蒸着粒子のみが基
板に堆積する)ものがエミッタであり、開口部が徐々に
閉口するのにしたがってエミッタの先端が先鋭になると
いうものである。しかしながら、この文献2の記載の方
法では開口部の閉口が起きておらず、先鋭なエミッタを
形成することができないことは明らかである。
【0022】文献3に記載の方法ではゲート開口に対し
てエミッタの高さを自由に選べないという問題がある。
文献3に記載の方法ではゲートの開口径を小さくするこ
とはできるが、エミッタ先端がゲート電極から十分に下
にないと、ゲートを狭める際の蒸着材料がエミッタ先端
に堆積してエミッタ先端を鈍化させてしまう。
【0023】エミッタ先端は元のゲートの下面に近くか
つ低い位置になければならず、さらにゲートを狭める時
にゲート電極上面に堆積する膜によって、ゲート電極上
面からはかなり低い位置に先端が位置することになる。
【0024】エミッタ先端が極端に低い場合にはエミッ
タ先端の電界集中が小さくなり、エミッション特性が低
下するだけでなく、ゲート電極へのエミッション電流の
飛び込みが大きくなり、効率の低下を引起す。
【0025】PVD(Physical Vapor
Deposition)(蒸着、スパッタ等)による薄
膜形成では、堆積粒子が基板に斜めに入射した場合、垂
直に入射させた場合と比べて膜質に変化が現れることが
広く知られている。
【0026】膜質の変化とは柱状組織が入射方向に近い
角度に成長し、しかも、密度が低い“疎”な構造になる
というものである。この点については、例えば「薄膜形
成技術」(応用物理学会薄膜・表面物理分科会編、共立
出版(株)刊、1991年3月25日、P.72及び図
4.24)等に記載されている。
【0027】文献4に記載の方法では2回目以降の堆積
粒子が既に堆積しているエミッタの斜面上に、基板と垂
直な方向から入射する。これを、2回目以降の基板とな
るエミッタの斜面を基準に見ると、堆積粒子は“基板”
に対して垂直から大きく傾いた浅い角度で入射してくる
ことになる。ここで、斜め蒸着効果が生じると、比較的
なめらかな1回目堆積部分のエミッタ表面に多数の柱状
構造が毛羽立ったように生えた形状の2回目堆積部分が
できあがる。
【0028】このような形状が生じることによって、機
械的強度の不足とそれによるエミッタの一部脱落→ゲー
ト−エミッタ間の短絡、極先端以外の下の部分からのエ
ミッション増加、ゲートへの飛び込み、表面積増加に伴
う吸着ガスの増加等という問題が生ずる。
【0029】文献5に記載の方法では傘状堆積物の形成
され初め(蒸着開始)から蒸着終了までが、他の条件あ
るいは他の材料の成膜を間に入れることなく、断続的で
あっても良いが、先端部が閉口するまで継続して行われ
る。最終的には傘状堆積物が全てリフトオフの工程で除
去され、完成した品物の一部分とはなり得ない。
【0030】そこで、本発明の目的は上記の問題点を解
消し、フォトリソグラフィの解像度を越える微細なゲー
ト径を実現することができる電界放射冷陰極の製造方法
を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明による電界放射冷
陰極の製造方法は、導電性の基板上に形成された絶縁層
とゲート電極とに前記基板表面を露出する略円形の開口
を開け、その開口内において前記基板と電気的に接続さ
れた略円錐状のエミッタをその頂点が前記開口中央の領
域に位置するよう配設したスピント型の電界放射冷陰極
の製造方法であって、前記エミッタ形成途中で上部堆積
膜の開口径が縮小していく過程でその上端面のみに犠牲
層を形成し、前記エミッタ先端を形成した後で前記犠牲
層に対するエッチングを行って前記犠牲層形成後に堆積
した膜を除去し、前記犠牲層形成前にゲート上方に堆積
した膜を前記ゲート電極として用いるようにしている。
【0032】すなわち、本発明の電界放射冷陰極の製造
方法は、スピント型の電界放射冷陰極の製造工程におい
て、エミッタ形成途中で上部堆積膜の開口径が縮小して
いく過程でその上端面のみに犠牲層を形成し、さらに続
けてエミッタ先端を形成した後でリフトオフを行い、エ
ミッタ形成時の犠牲層形成前にゲート上方に堆積した膜
をゲート電極として用いている。
【0033】本発明はスピント型の電界放射冷陰極のエ
ミッタ形成工程に準じた次のようなプロセスで構成され
る。つまり、エミッタが形成されるべき基板の上方にエ
ミッタ形成のマスクとなる開口が位置する。ここでは第
2の絶縁層またはゲート層に開口が形成されている。垂
直方向からエミッタ材料を堆積させると、この開口を通
過した成分は基板上に開口を投影するようにエミッタ下
層として堆積するが、開口以外の部分は開口を含む層の
上に第1の堆積層として堆積する。この時、開口端部で
は膜厚方向に膜が成長するとともに、開口内へ向けて一
定の割合で張り出すように成長している。
【0034】これは開口端部をかすめるような軌道を飛
んできた堆積粒子が、開口端部に堆積するか、あるいは
堆積粒子の中の非垂直成分(蒸発源から斜めに飛び出し
たあるいは飛行途中で残留ガスあるいは堆積粒子同士で
散乱された成分)が開口部を閉める方向に成長したもの
であり、この状態の第1の堆積層の開口径は蒸着開始前
の開口径よりも小さくなっている。
【0035】次に、回転斜め蒸着によって、第1の堆積
層の上面に犠牲層を成膜する。その後、エミッタ形成を
続けると、エミッタ下層の上にエミッタ上層が堆積し、
開口部が閉口するにいたり、先鋭なエミッタが完成す
る。また、犠牲層を選択エッチングして第2の堆積膜を
除去すると、第1の堆積膜をゲート電極としたゲート径
の小さな電界放射冷陰極が完成する。
【0036】第1及び第2の堆積層はエミッタと同じ材
料が堆積したものであり、導電性を持っている。したが
って、これらの一部をゲート電極として使用することに
は何ら問題を生じない。
【0037】従来のプロセスではゲート電極の開口をフ
ォトリソグラフィで形成するため、小さなゲート径を得
るためにはゲート径はフォトリソグラフィ及びエッチン
グ技術によって限界がある。しかしながら、上述した本
発明の製法によれば、フォトリソグラフィの解像度を越
えた微細なゲート径を実現することが可能となる。
【0038】本発明は犠牲層のみを選択的にエッチング
することによって、その上方の第2の堆積層をリフトオ
フするので、エミッタに損傷を与えることがない。ま
た、本発明はゲートの厚さが第1の堆積層の膜厚のみ
(文献1では堆積層の膜厚+エッチング量)で決まるの
で、予想しやすく制御性がよい等の点で、上記の問題を
解決しており、実現性が高い。
【0039】ここで、本発明は文献1記載の方法と、堆
積層をゲートとして利用するという点での共通点がある
が、その実現手段(構成)が全く異なっており、文献1
とは別の技術である。
【0040】また、本発明と文献3との相違点は、文献
3がエミッタ形成後にゲートを回転斜め蒸着で狭めてい
るのに対して、本発明ではスピント法のエミッタ形成メ
カニズムによって上方の堆積層の開口が狭まる現象を利
用してエミッタ形成と同時に、ゲートを狭めているいう
点にある。
【0041】さらに、文献5に記載の方法に対して、本
発明では筒状堆積物の先端が閉口する前にその上面に犠
牲層を形成し、その後にエミッタ蒸着を継続し、筒状堆
積物の上層が形成され、先端部が閉口する。最終的には
犠牲層から上の上層が除去されるが、下層はゲート電極
として完成した品物の一部分として機能する。これらの
点で、文献5に記載の傘状堆積物と本発明の筒状堆積物
とは、形成されるメカニズムに共通点はあるものの、異
なる目的で使用され、異なる作用をもたらす。
【0042】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。図1(a)〜(c)及び図2
(a),(b)は本発明の第1の実施例によるエミッタ
形成過程を示す断面図である。これらの図において、本
発明の第1の実施例によるエミッタ形成過程ではエミッ
タ形成を2段階で実施しており、第1段階の堆積層をゲ
ート電極とし、第2段階の堆積層は第1,2段階の途中
で成膜する犠牲層でリフトオフし、犠牲層を回転斜め蒸
着で形成している。これら図1及び図2を参照して本発
明の第1の実施例によるエミッタ形成過程について説明
する。
【0043】まず、シリコン基板1の上に第1の絶縁層
2として熱酸化膜を0.14μmの厚さで成長させ、続
いて第2の絶縁層3としてシリコン窒化膜を化学的気相
成長法(CVD:Chemical Vapor De
position)で0.06μm堆積する。
【0044】この上にフォトレジスト(図示せず)を塗
布し、直径0.4μmφの開口を形成し、これをマスク
として第2の絶縁層3及び第1の絶縁層2を反応性イオ
ンエッチング(RIE:Reactive Ion E
tching)とウェットエッチングとでエッチング
し、図1(a)のような形状とする。
【0045】ここで、上記の説明ではシリコン基板1を
用いているが、シリコン基板1に限らず、金属等の導電
性材料からなる基板、あるいはセラミックやガラス等の
絶縁性材料の表面に導電性膜を付着させた基板等を用い
てもよい。
【0046】第1の絶縁層2は基板がシリコンでない場
合、蒸着やスパッタ、及びCVD等で堆積させるが、シ
リコン基板1の場合にも、堆積した膜を用いることが可
能である。
【0047】第2の絶縁層3は絶縁層であるが、導電性
材料(従来の電界放射冷陰極でゲートとして用いられて
いるようなMo、Nb、W、金属珪化物等)で形成して
もよい。その場合には必要に応じて予め所定の形状にパ
ターニングしておく。
【0048】次に、エミッタ材料としてMoを真空蒸着
法でシリコン基板1に対して垂直に入射するように成膜
する。シリコン基板1上には開口4を通過したエミッタ
材料がエミッタ下層5aとして堆積し、第2の絶縁層2
上には第1の堆積層6aが堆積する。第1の堆積層6a
の開口径は徐々に狭まり、それに応じてエミッタ下層5
aの直径も次第に細くなっていく。
【0049】その傾斜はMoを基板温度200℃で蒸着
した場合、円錐の先端半角で約21゜、円錐の底面直径
に対する高さの比(アスペクト比)では約1.3になる
ことが分かっている。
【0050】ここではMoを膜厚0.32μmにするこ
とで、エミッタ下層5aが膜厚とほぼ同じ高さの円錐台
形状となり、第1の堆積層6aの開口径は約0.15μ
mφとなる[図1(b)参照]。
【0051】続いて、シリコン基板1に垂直な軸で、シ
リコン基板1を回転させながら斜め方向から犠牲層材料
として、酸化アルミニウム(アルミナ)を蒸着する。犠
牲層7の成膜は第1の堆積層6aの上面及び開口部に犠
牲層7が被着し、エミッタ下層5aの上面には被着しな
い角度で行う必要がある。すなわち、この後に形成され
る第2の堆積層6bを剥離し、第1の堆積層6aをゲー
トとして使用するためであり、その時にエミッタ5が下
層と上層とに分離していまわないようにする必要がある
からである。
【0052】具体的な条件としては、上述の寸法設定に
おいて次のようになる。シリコン基板1に垂直に犠牲層
材料を入射させた場合、当然エミッタ下層5aの上面に
犠牲層材料が堆積する。入射角を垂直を0゜として傾斜
させていくと、図面上では、約37.7゜の時、第1の
堆積層6aの開口端部に遮られて、エミッタ下層5aの
上面に犠牲層7が堆積しなくなる。
【0053】したがって、少なくともこの角度(37.
7゜)以上の入射角とする必要がある。ここでは、入射
角を垂直から60゜に設定して成膜し、膜厚は同じ位置
で垂直に入射させた場合の膜厚で、0.1μmとする。
犠牲層7は第1の堆積層6aとその開口端部とに堆積す
る[図1(c)参照]。
【0054】さらに続いて、垂直方向からMoを真空蒸
着すると、犠牲層7の上に第2の堆積層6bが堆積され
つつ、エミッタ上層5bが形成される。この時の膜厚が
約0.2μmを越えると、第2の堆積層6bの開口は閉
口し、先端が先鋭なエミッタ5ができあがる。Moはこ
の膜厚を越える厚さであればよい[図2(a)参照]。
【0055】最後に、リン酸で犠牲層7のアルミナを選
択エッチングし、第2の堆積層6bをリフトオフする
と、第1の堆積層6aをゲートとする電界放射冷陰極8
が完成する。ここで述べた条件及び寸法設定でプロセス
を行うと、約0.15μmφのゲート開口の高さにエミ
ッタ先端が位置する[図2(b)参照]。
【0056】第2の堆積層6aからなるゲート電極をパ
ターニングする必要がある場合には、図2(a)または
図2(b)の段階でフォトリソグラフィとエッチングと
を行えばよい。ここで、説明した膜厚及び寸法等は組合
せの一例であり、他の組合せであっても同様なプロセス
が可能である。
【0057】上記のようにしてエミッタ5を形成するこ
とによって、フォトリソグラフィの解像度を越える微細
なゲート径(本発明の第1の実施例では0.4μmの解
像力で、0.15μmのゲート径)が得られる。
【0058】図3(a)〜(c)、図4(a)〜
(d)、図5(a)〜(c)、図6(a),(b)は本
発明の第2の実施例によるエミッタ形成過程を示す断面
図である。これらの図において、本発明の第2の実施例
によるエミッタ形成過程では絶縁層,導電層の構成を2
段に積層した基板を使用し、エミッタ形成を2段階で実
施しており、第1段階の最下層導電層の上に堆積した筒
状堆積物をゲート電極とし、第2段階の筒状堆積物を第
1,2段階の途中で成膜する犠牲層でリフトオフし、上
部電極の上部堆積層を最初に形成した犠牲層でリフトオ
フし、犠牲層を回転斜め蒸着で形成している。これら図
3〜図6を参照して本発明の第2の実施例によるエミッ
タ形成過程について説明する。
【0059】まず、図3及び図4を参照して2段電極構
造の基板を作る手順について説明する。シリコン基板1
1に第1の絶縁層12として熱酸化膜を0.14μm成
長させ、その上にゲート電極13としてタングステンシ
リサイドを0.06μm、第2の絶縁層14としてシリ
コン酸化膜を0.48μm、制御電極15としてタング
ステンシリサイドを0.1μm、上層酸化膜16として
シリコン酸化膜を0.1μmの順に夫々積層する[図3
(a)参照]。
【0060】0.6μmφの開口を持つフォトレジスト
層17を形成し[図3(b)参照]、これをマスクとし
て上層酸化膜16、制御電極15、第2の絶縁層14を
夫々エッチングする[図3(c)参照]。
【0061】次に、マスク酸化膜18をCVDによっ
て、開口内部の側壁厚さが0.1μmとなるように成長
させ[図4(a)参照]、RIEによってエッチバック
することで開口底部にゲート電極13を露出させ、サイ
ドウォール19を形成する。サイドウォール19の内径
は0.4μmになっている[図4(b)参照]。
【0062】サイドウォール19をマスクとしてゲート
電極13、第1の絶縁層12をRIEでエッチングする
[図4(c)参照]。バッファードフッ酸でサイドウォ
ール19、上層酸化膜16を除去し、同時に第1、第2
の絶縁層12,14を開口内壁からエッチングし、図4
(d)に示す断面形状を持つ基板が完成する。図4
(c)の段階のエッチングで、基板11が露出する直前
でエッチングを終了しておくと、この時、同時に開口底
部に基板11を露出させることができる。
【0063】続いて、図5及び図6を参照してエミッタ
形成の手順について説明する。図4(d)の基板11
を、基板11に対して垂直な方向で回転させながら、斜
め方向から犠牲層材料として酸化アルミニウム(アルミ
ナ)を蒸着する。
【0064】第1の犠牲層20の成膜は制御電極15の
上面及び開口部に犠牲層が被着し、ゲート電極13の上
面には被着しない角度で行う必要がある。すなわち、こ
の後に形成される第1の堆積層22aを剥離できるよう
にするためであり、その時にゲート電極13の上に堆積
した筒状堆積物下層23が剥離されないようにする必要
があるからである。
【0065】具体的な条件としては上述の寸法設定にお
いて次のようになる。基板11に垂直に犠牲層材料を入
射させた場合、当然ゲート電極13の上面に犠牲層材料
が堆積する。入射角を垂直を0゜として傾斜させていく
と、図面上では約50゜の時、制御電極15の開口端部
に遮られて、ゲート電極13の上面に犠牲層が堆積しな
くなる。したがって、少なくともこの角度(50゜)以
上の入射角とする必要がある。厳密には筒状堆積物下層
23が堆積する部分にのみ被着しなければよいので、も
う少し小さい角度でもよいことになる。
【0066】さらに、角度を大きくしていくと、制御電
極15の開口に遮られる部分が開口の反対側の制御電極
15の開口端部にかかるようになる。図面上では約80
゜である。これよりも角度を大きくすると、開口端部全
面に第1の犠牲層20が付着しなくなるので、後のリフ
トオフで第1の堆積膜22aが残る恐れがある。ここで
は、入射角を垂直から75゜に設定して成膜し、膜厚は
同じ位置で垂直に入射させた場合の膜厚で、0.1μm
として、第1の犠牲層20は制御電極15の上面と、そ
の開口端部とに堆積させる[図5(a)参照]。
【0067】次に、エミッタ材料としてMoを真空蒸着
法で基板11に対して垂直に入射するように成膜する。
制御電極15上には第1の堆積層22aが堆積する。第
1の堆積層22aの開口径は徐々に狭まっていく。この
開口を通ったエミッタ材料がゲート電極13に筒状堆積
物下層23として堆積する。筒状堆積物下層23の外径
は第1の堆積層22aの開口径に伴って細くなってい
く。筒状堆積物下層23の内径(開口径)は第1の堆積
層22aの開口径と同様に徐々に狭まっていく。この開
口を通ったエミッタ材料が基板11上にエミッタ材料が
エミッタ下層21aとして堆積する。エミッタ下層21
aの直径は筒状堆積物下層23の内径の減少に伴って細
くなっていく。
【0068】上述の条件で、第1の堆積層22aの膜厚
を0.32μmまで堆積すると、エミッタ下層21aは
膜厚とほぼ同じ高さの円錐台形状となり、筒状堆積物下
層23は膜厚とほぼ同じ高さで厚さが約0.08μmの
“テーパ付き円筒状”の形状となる。この時の第1の堆
積層22aの開口径は約0.34μmφ、筒状堆積物下
層の内径は約0.15μmφとなる[図5(b)参
照]。
【0069】続いて、基板11に垂直な軸で、基板11
を回転させながら斜め方向から犠牲層材料として、酸化
アルミニウム(アルミナ)を蒸着する。第2の犠牲層2
4a,24bの成膜は筒状堆積物下層23の上面に第2
の犠牲層24bが被着し、エミッタ下層22aの上面に
は被着しない角度で行う必要がある。もちろん、第1の
堆積層22aの上面にも第2の犠牲層24aとして被着
する。すなわち、この後に形成される筒状堆積物上層2
5を剥離し、筒状堆積物下層23をゲートとして使用す
るためであり、そのときにエミッタ21が下層と上層と
に分離してしまわないようにする必要があるからであ
る。
【0070】具体的な条件としては、上述の寸法設定に
おいて次のようになる。基板11に垂直に犠牲層材料を
入射させた場合、当然エミッタ下層21aの上面に犠牲
層材料が堆積する。入射角を垂直を0゜として傾斜させ
ていくと、図面上では、約16.3゜の時、第1の堆積
層22aの開口端部に遮られてエミッタ下層21aの上
面に犠牲層が堆積しなくなる。
【0071】この時、筒状堆積物下層23の上面には第
1の堆積層22aに遮られずに犠牲層が堆積する。した
がって、入射角はこの角度以上である必要がある。さら
に、角度を大きくしていくと、図面上では、約21.3
゜以上になると、筒状堆積物下層23の上面の一部が第
1の堆積層22aの開口端部に遮られはじめ、この角度
以上ではあとで堆積する筒状堆積物上層25を完全に剥
離することができなくなる。よって、上記二つの角度の
間に入射角を設定する必要がある。ここでは、入射角を
垂直から18.5゜に設定して成膜し、膜厚は同じ位置
で垂直に入射させた場合の膜厚で、0.1μmとする。
第2の犠牲層24a,24bは筒状堆積物下層23の上
面と、第1の堆積層22aの上面に堆積する[図5
(c)参照]。
【0072】さらに続いて、垂直方向からMoを真空蒸
着すると、第1の堆積層22a及び筒状堆積物下層23
の上の第2の犠牲層24bの上に第2の堆積層22bが
堆積されつつ、エミッタ上層21bが形成される。この
時の膜厚が約0.2μmを越えると、筒状堆積物上層2
5の開口が閉口し、先端が先鋭なエミッタ21ができあ
がる。Moはこの膜厚を越える厚さであればよい[図6
(a)参照]。
【0073】最後に、リン酸で第1及び第2の犠牲層2
0,24a,24bのアルミナを選択エッチングし、第
2の堆積層22b及び筒状堆積物上層25をリフトオフ
すると、筒状堆積物下層23をゲートとし、0.6μm
φの制御電極15を持った電界放射冷陰極26が完成す
る。ここで、述べた条件及び寸法設定でプロセスを行う
と、約0.15μmφのゲート開口の高さにエミッタ先
端が位置する[図6(b)参照]。
【0074】ここで、説明した膜厚や寸法等、及び材料
構成は組合せの一例であり、他の組合せであっても同様
なプロセスが可能である。エミッタ下層21a及びエミ
ッタ上層21bはいずれもMoである例を示したが、同
じ材料や同じ電気特性(抵抗)である必要はなく、構成
元素や組成の違い、金属、合金、半導体、炭化物、酸化
物、窒化物、珪化物、等の組合せであってもよい。
【0075】第2の絶縁層14の厚さを変化させること
で、集束電極としての効果を変化させることができる。
第1の絶縁層12及び第2の絶縁層14は単一の絶縁材
料で構成されているが、複数の絶縁材料を積層して構成
してもよく、その際に開口部の内壁面はそれら複数の材
料層で同一面でなく、凹凸があっても良い。
【0076】上記のようにしてエミッタ21を形成する
ことによって、フォトリソグラフィの解像度を越える微
細なゲート径(本発明の第2の実施例では0.6μmの
解像力で、0.15μmのゲート径)、制御電極15を
持った構造が得られる。
【0077】図7(a)〜(c)、図8(a)〜
(c)、図9(a),(b)は本発明の第3の実施例に
よるエミッタ形成過程を示す断面図である。これらの図
において、本発明の第3の実施例によるエミッタ形成過
程では上記の本発明の第2の実施例において第1段階の
エミッタ形成後にリフトオフを行い、その後に犠牲層、
第2段階のエミッタ形成を行い、リフトオフする。これ
ら図7〜図9を参照して本発明の第3の実施例によるエ
ミッタ形成過程について説明する。
【0078】ここで用いる基板11は本発明の第2の実
施例と同じもので、図3及び図4に示す手順によって作
製されたものであり、寸法設定も同じものを使用するも
のとして説明を進める。また、エミッタ形成の手順も、
本発明の第2の実施例と類似した点が多いので、本発明
の第3の実施例と本発明の第2の実施例との相違点を中
心に説明する。
【0079】まず、本発明の第2の実施例と同様にし
て、第1の犠牲層20を蒸着し[図7(b)参照]、エ
ミッタ材料としてMoを蒸着する[図7(c)参照]。
次に、リン酸で第1の犠牲層20のアルミナを選択エッ
チングし、第1の堆積層22aをリフトオフする[図8
(a)参照]。
【0080】続いて、基板11に垂直な軸で基板11を
回転させながら斜め方向から犠牲層材料として酸化アル
ミニウム(アルミナ)を蒸着する。第2の犠牲層24
b,24cの成膜は筒状堆積物下層23の上面に第2の
犠牲層24bが被着し、エミッタ下層21aの上面には
被着しない角度で行う必要がある。もちろん、制御電極
15の上面にも第2の犠牲層24cとして被着する。す
なわち、この後に形成される筒状堆積物上層25及び第
2の堆積層22cを剥離し、筒状堆積物下層23をゲー
トとして使用するためであり、その時にエミッタ21が
下層と上層とに分離してしまわないようにする必要があ
るからである。
【0081】具体的な条件としては、上述の寸法設定に
おいて次のようになる。基板11に垂直に犠牲層材料を
入射させた場合、当然エミッタ下層21aの上面に犠牲
層材料が堆積する。入射角を垂直を0゜として傾斜させ
ていくと、図面上では、約37.6゜の時、筒状堆積物
下層23の開口端部及び制御電極15に遮られてエミッ
タ下層21aの上面に犠牲層が堆積しなくなる。
【0082】この時、筒状堆積物下層23の上面には制
御電極15に遮られずに犠牲層が堆積する。したがっ
て、入射角はこの角度以上である必要がある。さらに、
角度を大きくしていくと、図面上では、約55.4゜以
上になると、筒状堆積物下層23の上面の一部が制御電
極15の開口端部に遮られはじめ、この角度以上ではあ
とで堆積する筒状堆積物上層25を完全に剥離すること
ができなくなる。したがって、上記二つの角度の間に入
射角を設定する必要がある。
【0083】ここでは、入射角を垂直から47゜に設定
して成膜し、膜厚は同じ位置で垂直に入射させた場合の
膜厚で、0.1μmとする。第2の犠牲層24b,24
cは筒状堆積物下層23の上面と、制御電極15の上面
とに夫々堆積する[図8(b)参照]。
【0084】さらに、基板11に垂直な軸で、基板11
を回転させながら斜め方向から第3の犠牲層27を蒸着
する。第3の犠牲層27はこの後に行うエミッタ材料の
蒸着の際に、筒状堆積物下層23の外側にエミッタ材料
が堆積しないようにする目的がある。基板11に対して
垂直にエミッタ材料を蒸着した場合、筒状堆積物下層2
3の外側へ入射する角度は垂直に対して約69゜にな
る。このような浅い角度で入射した場合の堆積膜は斜め
蒸着の効果によって、膜質が疎となる。この膜は、この
後で除去する工程がないために最終的に残る膜となって
しまう。
【0085】このような疎な膜が存在することはガス吸
着、不要な突起の形成、機械的強度等の面で好ましくな
い。そこで、エミッタ材料の蒸着に先立って、筒状堆積
物下層23の外側へエミッタ材料が到達しない程度ま
で、制御電極15の開口を第3の犠牲層27で小さくし
ておく。
【0086】成膜の条件としては筒状堆積物下層23の
上面に堆積しないようにするために、59゜以上、制御
電極15の開口部下端に堆積させるためには78゜以下
にする必要がある。ここでは、70゜の入射角で開口径
が、筒状堆積物下層23の上端の外径と同程度になるま
で、犠牲層としてアルミナを蒸着する[図8(c)参
照]。
【0087】さらに続いて、垂直方向からMoを真空蒸
着すると、第3の犠牲層27及び筒状堆積物下層23の
上の第2の犠牲層24bの上に第2の堆積層22cが堆
積されつつ、エミッタ上層21bが形成される。この時
の膜厚が約0.2μmを越えると、筒状堆積物上層25
の開口は閉口し、先端が先鋭なエミッタ21ができあが
る。Moはこの膜厚を越える厚さであればよい[図9
(a)参照]。
【0088】最後に、リン酸で第2及び第3の犠牲層2
4b,24c,27のアルミナを選択エッチングし、第
2の堆積層22c及び筒状堆積物上層25をリフトオフ
すると、筒状堆積物下層23をゲートとし、0.6μm
φの制御電極15を持った電界放射冷陰極26が完成す
る。ここで述べた条件及び寸法設定でプロセスを行う
と、約0.15μmφのゲート開口の高さにエミッタ先
端が位置する[図9(b)参照]。ここで、説明した膜
厚及び寸法等は組合せの一例であり、他の組合せであっ
ても同様なプロセスが可能である。
【0089】図10(a)は本発明の第2の実施例に相
当する第2の犠牲層24bを形成する時の入射角の上限
及び下限を示す図であり、図10(b)は本発明の第3
の実施例に相当する第2の犠牲層24bを形成する時の
入射角の上限及び下限を示す図である。これら図10
(a),(b)を参照して本発明の第2の実施例と本発
明の第3の実施例との相違点について説明する。
【0090】入射角の下限はエミッタ下層21aの上面
に犠牲層が堆積せず、リフトオフによってエミッタ21
が分離してしまわないための条件であり、入射角の上限
は筒状堆積物下層23の上面に犠牲層が堆積し、筒状堆
積物上層25を確実に取去るための条件である。
【0091】この2つの入射角の間で蒸着を行う必要が
あるが、実作業としてはこの角度範囲が広い方がプロセ
ス上のマージンが大きくなる。この角度差は本発明の第
2の実施例の約5゜に比べて、本発明の第3の実施例で
は約18゜であり、3倍以上のマージンがあることが分
かる。これは単に条件設定の中心値にマージンがあるだ
けでなく、基板11全面にわたっての一様なエミッタ形
成に対して有利である。すなわち、本発明のようなプロ
セスの場合、説明においては蒸着粒子が基板へ入射する
角度を特定の角度で記述しているが、実際の蒸着装置の
蒸発源、基板の配置を考慮すると、数10mm程度の大
きさの蒸発源から数100mm離れた位置にある基板へ
蒸着を行っているため、基板の中央部と周辺部分とにお
いて、実際には蒸着粒子の入射角度に違いが生じるから
である。
【0092】上記のようにしてエミッタ21を形成する
ことによって、フォトリソグラフィの解像度を越える微
細なゲート径(本発明の第3の実施例では0.6μmの
解像力で、0.15μmのゲート径)が、しかも制御電
極15を持った構造が得られ、プロセス上のマージンを
大きくすることができる。
【0093】図11(a)〜(d)、図12(a)〜
(c)、図13(a)〜(c)、図14(a),
(d)、図15(a)〜(c)は本発明の第4の実施例
によるエミッタ形成過程を示す断面図である。これらの
図において、本発明の第4の実施例によるエミッタ形成
過程では上記の本発明の第2の実施例及び本発明の第3
の実施例においてエミッタが形成される部分を残し、他
の部分の基板を掘下げ、絶縁層で充填したような形状を
作っておく。これら図11〜図15を参照して本発明の
第4の実施例によるエミッタ形成過程について説明す
る。
【0094】本発明の第4の実施例は基板部分の構成に
特徴があり、その他の部分は本発明の第2の実施例と同
じであるので、異なる部分のみについて説明する。ここ
ではLOCOS(Local Oxidation o
f Silicon)プロセスによってシリコン基板の
うち、エミッタを形成しない部分に酸化膜を成長させる
方法を用いる。
【0095】シリコン基板31上に窒化膜32を成膜
し、フォトリソグラフィと反応性イオンエッチング(R
IE)とによって、エミッタ形成部分に相当する位置に
窒化膜を残す[図11(a)参照]。
【0096】熱酸化を行うと、シリコン基板31が露出
した部分から酸化が進み、エミッタを形成する部分を残
して酸化膜30が形成される[図11(b)参照]。ケ
ミカルメカニカルポリッシング(CMP)によって基板
表面を平坦化する[図11(c)参照]。
【0097】この後のプロセスは図3〜図6に示す処理
と同様である。シリコン基板31が露出した部分にエミ
ッタが形成されるように位置を合わせる。図11〜図1
5では制御電極15を持つ構造であるが、制御電極15
のない本発明の第1の実施例にも適用可能である。
【0098】ここではLOCOSプロセスを用いたが、
フォトリソグラフィと反応性イオンエッチング(RI
E)とでエミッタ形成部以外を掘下げ、絶縁材料、例え
ばBPSG(Boro Phosphor Silic
ate Glass)をCVDで形成し(リフロー)、
CMP、というプロセスも可能である。
【0099】図14及び図15のプロセスを図7〜図9
(本発明の第3の実施例)のように行えば、犠牲層形成
のマージンが大きくなる。本発明の第1〜第3の実施例
では従来の構造に比べ、ゲート−エミッタ間の絶縁膜の
厚さが薄くなっていたが、本発明の第4の実施例ではエ
ミッタ21が形成される部分以外の部分の絶縁層の厚さ
を厚くすることができ、静電容量を低減することができ
る。
【0100】上記のようにしてエミッタ21を形成する
ことによって、フォトリソグラフィの解像度を越える微
細なゲート径(本発明の第4の実施例では0.6μmの
解像力で、0.15μmのゲート径)が、しかも制御電
極15を持った構造が得られ、静電容量増加を抑制する
ことができるので高周波特性に優れる。
【0101】図16(a)〜(c)及び図17(a)〜
(c)は本発明の第5の実施例によるエミッタ形成過程
を示す断面図である。これらの図において、本発明の第
5の実施例によるエミッタ形成過程では本発明の第1〜
第4の実施例において第1段階のエミッタ形成後にリフ
トオフを行い、その後に犠牲層、第2段階のエミッタ形
成を行い、リフトオフする。また、本発明の第5の実施
例では第2段階のエミッタ形成を傾斜の急なエミッタ形
成プロセスで行う。これら図16及び図17を参照して
本発明の第5の実施例によるエミッタ形成過程について
説明する。
【0102】本発明の第5の実施例では基本的なプロセ
スフローが本発明の第2の実施例のプロセスフローと同
じである。本発明の第5の実施例の特徴をまとめると、
最終形状[図17(c)参照]は図6(b)と比べて、
エミッタ21の先端と筒状堆積物下層(ゲート)23と
の位置関係が同じで、エミッタ上層21bのアスペクト
比が大きくなった分、第1の絶縁層12が厚く、エミッ
タ下層21aの底面が下に下がったような形状である。
【0103】エミッタ下層21aは基板温度200℃
で、先端半角が約21゜、アスペクト比が約1.3、膜
厚が0.32μmで形成される[図16(c)参照]。
また、エミッタ上層21bは基板温度400℃で、先端
半角が約12.5゜、アスペクト比が約2.26、膜厚
が約0.38μmで形成される。この時、筒状堆積物上
層25が閉口し、蒸着膜厚は0.45μmに設定する。
その場合、エミッタ上層21bはエミッタ下層21aに
比べて、傾斜の急な形状となる[図17(b)参照]。
【0104】本発明の第5の実施例では第1の絶縁層1
2の厚さを0.14μmから0.31μmに厚くするこ
とで、エミッタ上層21bを高くすることができる。こ
の時、第1の絶縁層12を厚くすることで、静電容量を
低減することが可能となる。
【0105】また、エミッタ下層21aの上面と筒状堆
積物下層23の上面との段差が他の実施例と比べて大き
くなるので、第2の犠牲層24a,24bを形成する時
の入射角マージンを大きくすることができる[図17
(a)参照]。
【0106】この場合、本発明の第5の実施例では犠牲
層材料の入射角の下限が13.6゜(本発明の第2の実
施例では16.3゜)であり、この角度において犠牲層
材料の入射が第1の堆積層22aで遮られる。また、本
発明の第5の実施例では犠牲層材料の入射角の上限が2
1.3゜(本発明の第2の実施例では21.3゜)であ
り、そのマージンは7.7゜(本発明の第2の実施例で
は5゜)である。よって、本発明の第5の実施例では犠
牲層材料の入射角を垂直から17.5゜に設定して成膜
している。
【0107】図16及び図17に示す本発明の第5の実
施例では制御電極15を持つ構造であるが、制御電極1
5のない本発明の第1の実施例にも適用可能であり、第
1の絶縁層12が本発明の第2の実施例と比べて約2倍
以上になるので、ゲート−エミッタ間の静電容量を小さ
くすることができ、高周波特性に優れる。
【0108】本発明の第5の実施例ではゲート電極とエ
ミッタ電極との最短距離がゲート開口部にあるので、ゲ
ート−エミッタ間の不要な放電を低減することができる
[図17(c)のx部参照]。
【0109】本発明の第5の実施例では筒状堆積物下層
23とエミッタ上層21bとのなす角が平行でなく、先
端が狭まっているので[図17(c)参照]、エミッタ
21の先端での電界集中が高まり、低電圧化が可能とな
る。
【0110】図18(a)〜(c)、図19(a)〜
(c)、図20(a),(b)は本発明の第6の実施例
によるエミッタ形成過程を示す断面図である。これらの
図において、本発明の第6の実施例によるエミッタ形成
過程では上記の本発明の第5の実施例と同様に、第2段
階のエミッタ形成を、傾斜の急なエミッタ形成プロセス
で行い、第2段階のエミッタ形成を基板温度が第1段階
よりも高くなるようにする(Moの場合、200℃に対
して400℃)。また、本発明の第6の実施例では第5
の実施例において、第1段階のエミッタ形成後にリフト
オフを行い、その後に犠牲層、第2のエミッタ形成を行
い、リフトオフする。これら図18〜図20を参照して
本発明の第6の実施例によるエミッタ形成過程について
説明する。
【0111】本発明の第6の実施例では基本的なプロセ
スフローが本発明の第3及び第5の実施例のプロセスフ
ローと同じである。本発明の第6の実施例の特徴は、第
5の実施例において第3の実施例と同様に、第1段階の
エミッタ形成後にリフトオフを行い、その後に犠牲層、
第2のエミッタ形成を行うところにある[図18
(c)、図19(a)参照]。
【0112】また、エミッタ下層21aは基板温度20
0℃で、先端半角が約21゜、アスペクト比が約1.
3、膜厚が0.32μmで形成され[図18(c)参
照]、エミッタ上層21bは基板温度400℃、先端半
角が約12.5゜、アスペクト比が約2.26、膜厚が
約0.38μmで形成される。この時、筒状堆積物上層
25が閉口し、蒸着膜厚は0.45μmに設定する。そ
の場合、エミッタ上層21bはエミッタ下層21aに比
べて、傾斜の急な形状になる[図20(a)参照]。
【0113】本発明の第6の実施例では第5の実施例と
同様に、第1の絶縁層12の厚さを0.14μmから
0.31μmに厚くすることで、エミッタ上層21bを
高くすることができる。こうして、第1の絶縁層12を
厚くすることで、静電容量を低減することが可能とな
る。
【0114】また、本発明の第6の実施例では第5の実
施例と比べて、エミッタ下層21aの上面と筒状堆積物
下層23の上面との段差が大きくなるので、第2の犠牲
層24bを形成する時の入射角マージンをさらに大きく
することができる[図19(b)参照]。
【0115】この場合、本発明の第6の実施例では犠牲
層材料の入射角の下限が22.7゜(本発明の第5の実
施例では13.6゜)であり、この角度において犠牲層
材料の入射が筒状堆積物下層23で遮られる。また、本
発明の第6の実施例では犠牲層材料の入射角の上限が5
5.4゜(本発明の第5の実施例では21.3゜)であ
り、そのマージンは32.6゜(本発明の第5の実施例
では7.7゜)である。よって、本発明の第6の実施例
では犠牲層材料の入射角を垂直から39゜に設定して成
膜している。
【0116】本発明の第6の実施例では第3の犠牲層2
7の設定[図19(c)参照]は本発明の第3の実施例
における第3の犠牲層27の設定[図8(c)参照]と
同じである。
【0117】したがって、本発明の第6の実施例では本
発明の第5の実施例の効果に加えて、第2の犠牲層24
a,24bの形成時の角度マージンが約32゜となり、
基板全面にわたって安定した素子形成が容易となる。
【0118】図21(a)は本発明の第5の実施例に相
当する第2の犠牲層24bを形成する時の入射角の上限
及び下限を示す図であり、図21(b)は本発明の第6
の実施例に相当する第2の犠牲層24bを形成する時の
入射角の上限及び下限を示す図である。これら図21
(a),(b)を参照して本発明の第5の実施例と本発
明の第6の実施例との相違点について説明する。
【0119】入射角の下限はエミッタ下層21aの上面
に犠牲層が堆積せず、リフトオフによってエミッタ21
が分離してしまわないための条件であり、入射角の上限
は筒状堆積物下層23の上面に犠牲層が堆積し、筒状堆
積物上層25を確実に取去るための条件である。
【0120】この2つの入射角の間で蒸着を行う必要が
あるが、実作業としてはこの角度範囲が広い方がプロセ
ス上のマージンが大きくなる。この角度差は本発明の第
5の実施例の約7.7゜に比べて、本発明の第6の実施
例では約32.6゜であり、4倍以上のマージンがある
ことが分かる。これは単に条件設定の中心値にマージン
があるだけでなく、基板11全面にわたっての一様なエ
ミッタ形成に対して有利である。
【0121】このように、スピント型の電界放射冷陰極
の製造工程において、エミッタ形成途中で上部堆積膜の
開口径が縮小していく過程でその上端面のみに犠牲層を
形成し、さらに続けてエミッタ先端を形成した後でリフ
トオフを行い、エミッタ形成時にゲート上方に堆積した
膜をゲート電極として用いることによって、フォトリソ
グラフィの解像度を越えた微細なゲート径を実現するこ
とができる。
【0122】つまり、エミッタ5,21が形成されるべ
き基板1,11の上方にエミッタ形成のマスクとなる開
口が位置する。ここでは第2の絶縁層またはゲート層
3,13に開口が形成されている垂直方向からエミッタ
材料を堆積させると、この開口を通過した成分は基板
1,11上に開口を投影するようにエミッタ下層5a,
21aとして堆積するが、開口以外の部分は開口を含む
層の上に第1の堆積層6a,22aとして堆積する。こ
の時、開口端部では膜厚方向に膜が成長するとともに、
開口内へ向けて一定の割合で張り出すように成長してい
る。
【0123】これは開口端部をかすめるような軌道を飛
んできた堆積粒子が、開口端部に堆積するか、あるいは
堆積粒子の中の非垂直成分(蒸発源から斜めに飛び出し
たあるいは飛行途中で残留ガスあるいは堆積粒子同士で
散乱された成分)が開口部を閉める方向に成長したもの
であり、この状態の第1の堆積層6a,22aの開口径
は蒸着開始前の開口径よりも小さくなっている。
【0124】次に、回転斜め蒸着によって、第1の堆積
層6a,22aの上面に犠牲層7,24a,24bを成
膜する。その後、エミッタ形成を続けると、エミッタ下
層5a,21aの上にエミッタ上層5b,21bが堆積
し、開口部が閉口するにいたり、先鋭なエミッタ5,2
1が完成する。また、犠牲層7,24a,24bを選択
エッチングして第2の堆積膜6b,22bを除去する
と、第1の堆積膜6a,22aをゲート電極としたゲー
ト径の小さな電界放射冷陰極が完成する。
【0125】第1の堆積層6a,22a及び第2の堆積
層6b,22bはエミッタ5,21と同じ材料が堆積し
たものであり、導電性を持っている。したがって、これ
らの一部をゲート電極として使用することには何ら問題
を生じない。
【0126】従来のプロセスではゲート電極の開口をフ
ォトリソグラフィで形成するため、小さなゲート径を得
るためにはゲート径はフォトリソグラフィ及びエッチン
グ技術によって限界がある。しかしながら、上述した本
発明の製法によれば、フォトリソグラフィの解像度を越
えた微細なゲート径を実現することが可能となる。
【0127】本発明は犠牲層7,24a,24bをエッ
チングすることによって、その上方の第2の堆積層6
b,22bをリフトオフするので、エミッタ5,21に
損傷を与えることがない。また、本発明はゲートの厚さ
が第1の堆積層6a,22aの膜厚のみで決まるので、
予想しやすく制御性がよい等の点で、上記の問題を解決
しており、実現性が高い。
【0128】尚、請求項の記載に関連して本発明はさら
に次の態様をとりうる。
【0129】(1)導電性の基板上に形成された絶縁層
とゲート電極とに前記基板表面を露出する略円形の開口
を開け、その開口内において前記基板と電気的に接続さ
れた略円錐状のエミッタをその頂点が前記開口中央の領
域に位置するよう配設したスピント型の電界放射冷陰極
の製造方法であって、前記エミッタ形成途中で上部堆積
膜の開口径が縮小していく過程でその上端面のみに犠牲
層を形成する工程と、前記エミッタ先端を形成した後で
前記犠牲層に対するエッチングを行って前記犠牲層形成
後に堆積した膜を除去する工程とを有し、前記犠牲層形
成前にゲート上方に堆積した膜を前記ゲート電極として
用いるようにしたことを特徴とする電界放射冷陰極の製
造方法。
【0130】(2)前記導電性の基板は、表面に導電性
材料の膜が形成された基板であることを特徴とする
(1)記載の電界放射冷陰極の製造方法。
【0131】(3)前記エミッタは、真空蒸着法によっ
てその上方に設けられた開口を通過した蒸着粒子が堆積
する際に前記開口を徐々に小さくすることで略円錐状に
形成するようにしたことを特徴とする(1)または
(2)記載の電界放射冷陰極の製造方法。
【0132】(4)前記エミッタの形成を2回に分けて
行う際に、1回目のエミッタ形成と2回目のエミッタ形
成との間で前記1回目のエミッタ形成で形成されたエミ
ッタ下層に堆積せずかつ前記1回目のエミッタ形成で堆
積された第1の堆積層に犠牲層を回転斜め蒸着で堆積す
る工程と、前記2回目のエミッタ形成で堆積された第2
の堆積層を前記犠牲層に対するエッチングで除去する工
程とを含み、前記第1の堆積層を前記ゲート電極として
用いるようにしたことを特徴とする(3)記載の電界放
射冷陰極の製造方法。
【0133】(5)前記ゲート電極の上に絶縁層と導電
層とからなる制御電極を形成するようにしたことを特徴
とする(1)から(3)のいずれか記載の電界放射冷陰
極の製造方法。
【0134】(6)前記エミッタの形成を2回に分けて
行う際に、前記制御電極の上に第1の犠牲層を形成する
工程と、1回目のエミッタ形成と2回目のエミッタ形成
との間で前記1回目のエミッタ形成で形成されたエミッ
タ下層に堆積せずかつ前記1回目のエミッタ形成で前記
開口内に堆積された筒状堆積物下層に第2の犠牲層を回
転斜め蒸着で堆積する工程と、前記2回目のエミッタ形
成後に前記第1及び第2の犠牲層に対するエッチングで
前記2回目のエミッタ形成で前記筒状堆積物下層に堆積
された筒状堆積物上層と前記制御電極上の堆積物とを除
去する工程とを含むことを特徴とする(5)記載の電界
放射冷陰極の製造方法。
【0135】(7)前記エミッタの形成を2回に分けて
行う際に、前記制御電極の上に第1の犠牲層を形成する
工程と、1回目のエミッタ形成後に前記第1の犠牲層に
対するリフトオフで前記1回目のエミッタ形成で前記制
御電極上に堆積された第1の堆積層を除去する工程と、
前記1回目のエミッタ形成と2回目のエミッタ形成との
間で前記1回目のエミッタ形成で形成されたエミッタ下
層に堆積せずかつ前記1回目のエミッタ形成で前記開口
内に堆積された筒状堆積物下層に第2の犠牲層を回転斜
め蒸着で堆積する工程と、前記2回目のエミッタ形成の
後に前記第1及び第2の犠牲層に対するエッチングで前
記2回目のエミッタ形成で前記筒状堆積物下層に堆積さ
れた筒状堆積物上層と前記2回目のエミッタ形成で前記
制御電極上に堆積された第2の堆積層とを除去する工程
とを含むことを特徴とする(5)記載の電界放射冷陰極
の製造方法。
【0136】(8)前記2回目のエミッタ形成の前に前
記制御電極上に犠牲層を形成し、この部分の開口径を前
記筒状堆積物下層の上端外径程度まで狭めておくように
したことを特徴とする(7)記載の電界放射冷陰極の製
造方法。
【0137】(9)前記基板上の前記エミッタが形成さ
れる部分以外の部分の導電層表面を低くして絶縁材料で
充填することで前記エミッタと前記ゲート電極との間の
絶縁層の厚さを厚くするようにしたことを特徴とする
(1)から(8)のいずれか記載の電界放射冷陰極の製
造方法。
【0138】(10)前記エミッタが形成される部分以
外の部分の絶縁層は、LOCOS(Local Oxi
dation of Silicon)プロセスで形成
するようにしたことを特徴とする(9)記載の電界放射
冷陰極の製造方法。
【0139】(11)前記2回目のエミッタ形成は前記
1回目のエミッタ形成とは用いる材料を異なるようにし
たことを特徴とする(4)から(10)のいずれか記載
の電界放射冷陰極の製造方法。
【0140】(12)前記2回目のエミッタ形成は前記
1回目のエミッタ形成とは製法及び条件を異なるように
したことを特徴とする(4)から(11)のいずれか記
載の電界放射冷陰極の製造方法。
【0141】(13)前記1回目のエミッタ形成で形成
されたエミッタの斜面の傾斜に比べて前記2回目のエミ
ッタ形成で形成されたエミッタの斜面の傾斜を垂直に近
づけるようにしたことを特徴とする(4)から(12)
のいずれか記載の電界放射冷陰極の製造方法。
【0142】(14)前記基板にシリコンを用いかつ前
記エミッタにモリブデンを用いるとともに、前記1回目
のエミッタ形成を基板温度T1℃、前記2回目のエミッ
タ形成を基板温度T2℃で行う際に、T1及びT2をと
もに常温から525℃の範囲でかつT1<T2とするよ
うにしたことを特徴とする(13)記載の電界放射冷陰
極の製造方法。
【0143】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、導
電性の基板上に形成された絶縁層とゲート電極とに基板
表面を露出する略円形の開口を開け、その開口内におい
て基板と電気的に接続された略円錐状のエミッタをその
頂点が開口中央の領域に位置するよう配設したスピント
型の電界放射冷陰極の製造方法において、エミッタ形成
途中で上部堆積膜の開口径が縮小していく過程でその上
端面のみに犠牲層を形成し、エミッタ先端を形成した後
で犠牲層に対するエッチングを行って犠牲層形成後に堆
積した膜を除去し、犠牲層形成前にゲート上方に堆積し
た膜をゲート電極として用いることによって、フォトリ
ソグラフィの解像度を越えた微細なゲート径を実現する
ことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図2】(a),(b)は本発明の第1の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の第2の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第2の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第2の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図6】(a),(b)は本発明の第2の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の第3の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の第3の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図9】(a),(b)は本発明の第3の実施例による
エミッタ形成過程を示す断面図である。
【図10】(a)は本発明の第2の実施例に相当する第
2の犠牲層を形成する時の入射角の上限及び下限を示す
図、(b)は本発明の第3の実施例に相当する第2の犠
牲層を形成する時の入射角の上限及び下限を示す図であ
る。
【図11】(a)〜(d)は本発明の第4の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明の第4の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明の第4の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図14】(a),(d)は本発明の第4の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図15】(a)〜(c)は本発明の第4の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図16】(a)〜(c)は本発明の第5の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図17】(a)〜(c)は本発明の第5の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図18】(a)〜(c)は本発明の第6の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図19】(a)〜(c)は本発明の第6の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図20】(a),(b)は本発明の第6の実施例によ
るエミッタ形成過程を示す断面図である。
【図21】(a)は本発明の第5の実施例に相当する第
2の犠牲層を形成する時の入射角の上限及び下限を示す
図、(b)は本発明の第6の実施例に相当する第2の犠
牲層を形成する時の入射角の上限及び下限を示す図であ
る。
【図22】(a)〜(d)は従来例によるエミッタの形
成と同時に堆積した堆積層をエッチングしてゲート電極
とする方法を示す図である。
【図23】(a)〜(e)は従来例によるゲートを別の
材料で形成してエミッタを形生した後、堆積層を反応性
イオンエッチングで除去する方法を示す図である。
【図24】従来例によるカソードとゲート層とを同時に
形成する方法を示す図である。
【図25】従来例によるエミッタチップを形成した後で
回転斜め蒸着でゲート開口内面に導電材料を蒸着してゲ
ート開口径を小さくする方法を示す図である。
【図26】従来例による素子構造完成後に導電物質を蒸
着してゲートを狭めるとともにエミッタのアスペクト比
を大きくする方法を示す図である。
【図27】(a)〜(c)は従来例による集束電極を持
つ電界放射冷陰極の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1,11 シリコン基板 2,12 第1の絶縁層 3 第2の絶縁層またはゲート電極 4 開口 5,21 エミッタ 5a,21a エミッタ下層 5b,21b エミッタ上層 6a,22a 第1の堆積層 6b,22b 第2の堆積層 7 犠牲層 8,26 電界放射冷陰極 13 ゲート電極 14 第2の絶縁層 15 制御電極 16 上層酸化膜 17 フォトレジスト層 18 マスク酸化膜 19 サイドウォール 20 第1の犠牲層 23 筒状堆積物下層 24a,24b,24c 第2の犠牲層 25 筒状堆積物上層 27 第3の犠牲層 30 酸化膜 31 シリコン基板 32 窒化膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性の基板上に形成された絶縁層とゲ
    ート電極とに前記基板表面を露出する略円形の開口を開
    け、その開口内において前記基板と電気的に接続された
    略円錐状のエミッタをその頂点が前記開口中央の領域に
    位置するよう配設したスピント型の電界放射冷陰極の製
    造方法であって、前記エミッタ形成途中で上部堆積膜の
    開口径が縮小していく過程でその上端面のみに犠牲層を
    形成し、前記エミッタ先端を形成した後で前記犠牲層に
    対するエッチングを行って前記犠牲層形成後に堆積した
    膜を除去し、前記犠牲層形成前にゲート上方に堆積した
    膜を前記ゲート電極として用いるようにしたことを特徴
    とする電界放射冷陰極の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記導電性の基板は、表面に導電性材料
    の膜が形成された基板であることを特徴とする請求項1
    記載の電界放射冷陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記エミッタは、真空蒸着法によってそ
    の上方に設けられた開口を通過した蒸着粒子が堆積する
    際に前記開口を徐々に小さくすることで略円錐状に形成
    するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の電界放射冷陰極の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記エミッタの形成を2回に分けて行う
    際に、1回目のエミッタ形成と2回目のエミッタ形成と
    の間で前記1回目のエミッタ形成で形成されたエミッタ
    下層に堆積せずかつ前記1回目のエミッタ形成で堆積さ
    れた第1の堆積層に犠牲層を回転斜め蒸着で堆積し、前
    記2回目のエミッタ形成で堆積された第2の堆積層を前
    記犠牲層に対するエッチングで除去することで前記第1
    の堆積層を前記ゲート電極として用いるようにしたこと
    を特徴とする請求項3記載の電界放射冷陰極の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記ゲート電極の上に絶縁層と導電層と
    からなる制御電極を形成するようにしたことを特徴とす
    る請求項1から請求項3のいずれか記載の電界放射冷陰
    極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記エミッタの形成を2回に分けて行う
    際に、前記制御電極の上に第1の犠牲層を形成し、1回
    目のエミッタ形成と2回目のエミッタ形成との間で前記
    1回目のエミッタ形成で形成されたエミッタ下層に堆積
    せずかつ前記1回目のエミッタ形成で前記開口内に堆積
    された筒状堆積物下層に第2の犠牲層を回転斜め蒸着で
    堆積し、前記2回目のエミッタ形成後に前記第1及び第
    2の犠牲層に対するエッチングで前記2回目のエミッタ
    形成で前記筒状堆積物下層に堆積された筒状堆積物上層
    と前記制御電極上の堆積物とを除去するようにしたこと
    を特徴とする請求項5記載の電界放射冷陰極の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記エミッタの形成を2回に分けて行う
    際に、前記制御電極の上に第1の犠牲層を形成し、1回
    目のエミッタ形成後に前記第1の犠牲層に対するエッチ
    ングで前記1回目のエミッタ形成で前記制御電極上に堆
    積された第1の堆積層を除去し、前記1回目のエミッタ
    形成と2回目のエミッタ形成との間で前記1回目のエミ
    ッタ形成で形成されたエミッタ下層に堆積せずかつ前記
    1回目のエミッタ形成で前記開口内に堆積された筒状堆
    積物下層に第2の犠牲層を回転斜め蒸着で堆積し、前記
    2回目のエミッタ形成の後に前記第1及び第2の犠牲層
    に対するエッチングで前記2回目のエミッタ形成で前記
    筒状堆積物下層に堆積された筒状堆積物上層と前記2回
    目のエミッタ形成で前記制御電極上に堆積された第2の
    堆積層とを除去するようにしたことを特徴とする請求項
    5記載の電界放射冷陰極の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記2回目のエミッタ形成の前に前記制
    御電極上に犠牲層を形成し、この部分の開口径を前記筒
    状堆積物下層の上端外径程度まで狭めておくようにした
    ことを特徴とする請求項7記載の電界放射冷陰極の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記基板上の前記エミッタが形成される
    部分以外の部分の導電層表面を低くして絶縁材料で充填
    することで前記エミッタと前記ゲート電極との間の絶縁
    層の厚さを厚くするようにしたことを特徴とする請求項
    1から請求項8のいずれか記載の電界放射冷陰極の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記エミッタが形成される部分以外の
    部分の絶縁層は、LOCOS(Local Oxida
    tion of Silicon)プロセスで形成する
    ようにしたことを特徴とする請求項9記載の電界放射冷
    陰極の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記2回目のエミッタ形成は前記1回
    目のエミッタ形成とは用いる材料を異なるようにしたこ
    とを特徴とする請求項4から請求項10のいずれか記載
    の電界放射冷陰極の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記2回目のエミッタ形成は前記1回
    目のエミッタ形成とは製法及び条件を異なるようにした
    ことを特徴とする請求項4から請求項11のいずれか記
    載の電界放射冷陰極の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記1回目のエミッタ形成で形成され
    たエミッタの斜面の傾斜に比べて前記2回目のエミッタ
    形成で形成されたエミッタの斜面の傾斜を垂直に近づけ
    るようにしたことを特徴とする請求項4から請求項12
    のいずれか記載の電界放射冷陰極の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記基板にシリコンを用いかつ前記エ
    ミッタにモリブデンを用いるとともに、前記1回目のエ
    ミッタ形成を基板温度T1℃、前記2回目のエミッタ形
    成を基板温度T2℃で行う際に、T1及びT2をともに
    常温から525℃の範囲でかつT1<T2とするように
    したことを特徴とする請求項13記載の電界放射冷陰極
    の製造方法。
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