JP2000168013A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP2000168013A
JP2000168013A JP10343717A JP34371798A JP2000168013A JP 2000168013 A JP2000168013 A JP 2000168013A JP 10343717 A JP10343717 A JP 10343717A JP 34371798 A JP34371798 A JP 34371798A JP 2000168013 A JP2000168013 A JP 2000168013A
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decorative sheet
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resin
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Kazuteru Onoda
一輝 小野田
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Vカット等の2次加工性を有し、耐スクラッ
チ性、耐摩耗性に優れた化粧シートを提供することにあ
る。 【解決手段】 着色剤を含有したポリエステル樹脂フイ
ルムからなる基材シートの一方の面に、着色下地層、絵
柄模様層、トップコート層を順次積層してなる化粧シー
トにおいて、前記トップコート層がポリエステルポリオ
ールとポリイソシアネート化合物からなるポリエステル
系ポリウレタン樹脂からなり、前記ポリエステル系ポリ
ウレタン樹脂中のポリイソシアネート化合物の硬化率が
45〜80%の範囲にある化粧シートとすることであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種家具類や建築
内装材等に装飾あるいは表面保護の目的で貼着される化
粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種家具類や建築内装材等に表面
に装飾あるいは表面保護の目的で貼着される化粧シート
としては、紙質系シートからなる基材シートに絵柄模様
層を印刷し、この絵柄模様層上に合成樹脂塗料によるト
ップコート層を形成したものが知られている。しかしな
がら、該化粧シートにおいて、基材シートに紙質系シー
トを用いたものは、基材シートの加工性が劣るため、V
カット、ラッピング等の2次加工で基材シートが破れ加
工部から剥離し易いという欠点があった。
【0003】上記の欠点を解決するために、基材シート
に着色ポリエステル樹脂フイルムを用いたものが提案さ
れている。そうすることによって、基材シートの加工性
に優れるため、合板、MDF等の木質基板に貼着後、V
カットをし折り曲げを行っても基材シートが破れ、加工
部から基材シートが剥離するとか加工部の塗膜に亀裂が
発生する等という問題も解決されたが、新たに、机、椅
子の足、花瓶の底、コイン等硬い鈍器で傷を付けると引
っ掻き傷が付きやすい(スクラッチ性が悪い)、表面塗
膜の耐摩耗性が弱いという問題が生じた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
に鑑みてなされたものであって、その目的とするところ
は、Vカット等の2次加工性を有し、耐スクラッチ性、
耐摩耗性に優れた化粧シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の解決手段は、着色剤を含有したポリエステル
樹脂フイルムからなる基材シートの一方の面に、着色下
地層、絵柄模様層、トップコート層を順次積層してなる
化粧シートにおいて、前記トップコート層がポリエステ
ルポリオールとポリイソシアネート化合物からなるポリ
エステル系ポリウレタン樹脂からなり、前記ポリエステ
ル系ポリウレタン樹脂中のポリイソシアネート化合物の
硬化率が45〜80%の範囲にあることを特徴とする化
粧シートとすることである。この構成とすることによ
り、トップコート層を形成するポリエステル系ポリウレ
タン樹脂の架橋密度が適切となることから、耐スクラッ
チ性、耐摩耗性等の表面物性に優れた化粧シートとな
る。また、基材シートが着色剤を含有したポリエステル
樹脂フイルムからなることにより、燃焼等により容易に
廃棄処理のできる化粧シートとなる。
【0006】また、前記絵柄模様層が木肌模様層と導管
模様層からなり、前記導管模様層を前記木肌模様層上に
撥液性を有する硬化型インキにより形成した後、前記導
管模様層によりはじかれる性質を有する透明インキを用
いてトップコート層を施すことにより、前記導管模様層
を形成した部分の前記トップコート層がはじかれ凹状部
が形成されていることを特徴とする積層構成の化粧シー
トのように、導管凹状部を有することにより、耐スクラ
ッチ性に劣る可能性の高いものには、最も効果の大きい
ものである。また、基材シートが撥液性を有する硬化型
インキ及び透明インキを吸収することが無いため、撥液
効果が大きく、立体感に優れた意匠性を有する化粧シー
トとなる。
【0007】さらに、基材シートと前記着色下地層との
間にプライマー層や前記木肌模様層と前記導管模様層の
間に透明樹脂層が積層されていることを特徴とするもの
である。そうすることにより、基材シートとしての着色
剤を含有したポリエステル樹脂フイルムと絵柄模様層と
の間で緩衝層として作用し、化粧シートに柔軟性と伸度
を付与することが容易となり、Vカット適性に優れた化
粧シートとすることができ、また、透明樹脂層を設けた
ことで、微細かつ複雑な形状の凹凸模様に、より深みを
持たせることができ、意匠性に優れた化粧シートとな
る。
【0008】また、化粧シートの引張破断点伸度が40
%以上であることを特徴とするものである。そうするこ
とで、耐スクラッチ性、耐摩耗性を有したまま、Vカッ
ト加工等の2次加工性にも適したものとなり、より利用
範囲の拡がった化粧シートとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態
を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の化粧シ
ートの第1の実施形態の積層構成を示す断面図、図2は
本発明の化粧シートの第2の実施形態の積層構成を示す
断面図であり、1、10は化粧シート、2は着色ポリエ
ステル樹脂フイルム、3はプライマー層、4は着色下地
層、5は絵柄模様層、5aは木肌模様層、5bは導管模
様層、6は透明樹脂層、7は撥液導管模様層、8はトッ
プコート層をそれぞれ表している。
【0010】本発明の化粧シート1の第1の実施形態の
構成は図1に示すように、下から順に着色ポリエステル
樹脂フイルム2、ポリエステル系ウレタン樹脂よりなる
プライマー層3および着色下地層4、通常インキによる
絵柄模様層5及び透明インキによるトップコート層8が
積層された構成である。その特徴は、該トップコート層
8をポリエステル系ウレタン樹脂を塗工して設けた後、
所定の条件で加温養生をし、トップコート層8を形成す
るポリエステル系ウレタン樹脂のポリイソシアネート化
合物の硬化率を45〜80%にすることにより、化粧シ
ートの柔軟性と伸度を維持しながら、耐スクラッチ性、
耐摩耗性等の表面物性に優れた化粧シートとすることで
ある。
【0011】本発明に用いる着色ポリエステル樹脂フイ
ルム2とは、いわゆる押出口金から溶融押し出されたフ
イルムであって、通常、縦方向および横方向の二軸方向
に配向させたフイルムであり、ジカルボン酸とグリコー
ルとから縮重合によって得られたポリマーであり、ジカ
ルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、
セバチン酸などが挙げられ、またグリコールとしては、
エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなど
が挙げられる。具体的には例えばポリエチレンテレフタ
レート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロ
ヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられ
る。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレートが
好ましく、着色ポリエステル樹脂フイルム2の厚みとし
ては20〜100μm、コストおよび使用上の取扱の良
さから40〜50μmが好ましいものである。
【0012】本発明において、着色ポリエステル樹脂フ
イルム2には、顔料および/または染料を配合されてい
ることが必要である。顔料としては、無機顔料と有機顔
料とに分類することができ、無機顔料としては、酸化チ
タン白、亜鉛華、鉛白、がーボンブラック、弁柄、朱、
黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンククロメー
トなどが挙げられる。有機顔料としては、フタロシアニ
ン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの顔料で
代表的なものとして、キナクリドン、ウォッチアングレ
ッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。また
染料としては、天然染料と合成染料に分類することがで
き、天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表され
る。合成染料としては、アゾ染料、インジゴイド染料、
硫化染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等が挙げられる。
これらの顔料および染料は、1種または2種以上併用し
て使用することができ、耐光性に優れ、基材シートに隠
蔽性を持たせるようにするためには、無機顔料が最適で
ある。
【0013】本発明に用いられるプライマー層3は、着
色ポリエステル樹脂フイルム2とその上面に設けられる
着色下地層4との密着性、および化粧シート1に柔軟
性、可撓性を付与し、化粧シート1の伸び率を向上させ
るために設けられるものであって、用いられる樹脂とし
てはポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリ
エステル系ポリウレタン樹脂に用いられるポリエステル
ポリオールは多塩基性有機酸と多価アルコールとの重縮
合反応によって得られ、多塩基性有機酸としては、例え
ば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン
酸、ピメリン酸等の飽和脂肪酸、マレイン酸、フマール
酸等の不飽和脂肪酸、フタール酸、イソフタール酸、テ
レフタール酸等の芳香族酸が挙げられ、多価アルコール
としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコール等のジオールが挙げられ、こ
のような多塩基性有機酸と多価アルコールの色々の組み
合わせによって多種のポリエステルポリオールが得られ
るが、本発明においては飽和脂肪酸系のアジピン酸とジ
オール系のブチレングリコールとの重縮合反応により作
製した直鎖タイプのポリエステルポリオール樹脂が好ま
しいものである。
【0014】また、プライマー層3に用いられるポリイ
ソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等
の脂肪族ポリイソシアネート化合物、イソホロンジイソ
シアネート、1,4シクロヘキサジイソシアネート、1
−メチル−2,4−シクロヘキサジイソシアネート、1
−メチル−2,6−シクロヘキサジイソシアネート等の
脂環族ポリイソシアネート化合物、キシリレンジイソシ
アネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6
−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート等の芳香族
ポリイソシアネート化合物が挙げられ、本発明では、脂
肪族系、あるいは脂環族系のポリイソシアネート化合物
が好ましく用いられ、中でも、イソホロンジイソシアネ
ートが適しており、また、膜厚としては、1.5〜3.
5μmが好ましいものである。
【0015】また、着色ポリエステル樹脂フイルム2の
上面には、着色下地層4及び、例えば、オーク、チー
ク、ウォルナット等の柾目、板目状の木目模様を現出す
る木肌模様層5a、導管模様層5bからなる絵柄模様層
5がグラビア印刷によって形成されており、着色下地層
4を形成するインキとしては、プライマー層3に用いた
ものと同様のポリエステル系ポリウレタン樹脂が好まし
いものであり、また、塗膜厚としても、プライマー層3
と同様1.5〜3.5μmの範囲が好ましいものであ
る。また、絵柄模様層5を形成するインキとしては、従
来のセルロース系、セルロース−アルキッド系、塩−酢
ビ系、アクリル系、アクリルポリオール系のバインダー
用樹脂を利用したものが用いられ、木目の「照り」を良
く表現できるようにするためには、パール顔料や金属粉
などの光輝性顔料を添加したものが好ましい。
【0016】本発明のトップコート層8に用いられるポ
リエステル系ポリウレタン樹脂としては、多塩基性有機
酸と多価アルコールとの重縮合反応によって得られるポ
リエステルポリオールを主成分とする主剤と、ポリイソ
シアネート化合物を主剤とする硬化剤とからなるもので
あり、多塩基性有機酸としては、例えばアジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ピメリン酸等の
飽和脂肪酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和脂肪
酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸等の
芳香族酸が挙げられ、多価アルコールとしては、例えば
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリ
コール等のジオール、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールエタン、ヘキサントリオール、グリセリン等の
トリオール、ソルビトール等のヘキサオールが挙げられ
る。
【0017】また、硬化剤として用いられるポリイソシ
アネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、メチレンジフェ
ニルジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化
合物、イソホロンジイソシアネート、1,4シクロヘキ
サジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキ
サジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキ
サジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート化合
物、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物
が挙げられ、本発明では、芳香族ポリイソシアネート化
合物と脂肪族ポリイソシアネート化合物の混合系が好ま
しく、芳香族ポリイソシアネート化合物100重量部に
対して脂肪族ポリイソシアネート化合物を40〜60重
量部の比で混合して用いることで、トップコート層8の
延伸性が良好となり、化粧シート1の引張破断点伸度を
40%以上としやすくなるので、Vカット加工性等の2
次加工に対応できるものとなる。
【0018】ポリエステルポリオールとポリイソシアネ
ート化合物からなるポリエステル系ポリウレタン樹脂
は、塗布乾燥後、加熱養生することによって、ポリエス
テルポリオールとイソシアネート化合物のウレタン化反
応が進行し、架橋密度の高い硬化塗膜に成長するもので
あって、使用用途に適した架橋密度、即ちイソシアネー
ト化合物の硬化率にすることによって種々の性能を有す
る塗膜に仕上げることができ、用いられるイソシアネー
ト化合物の硬化率を45〜80%の範囲とすることが必
要である。即ち、イソシアネート化合物の硬化率が45
%以下の場合には、表面の硬化塗膜の架橋密度が低くな
るため、引っ掻き傷が付きやすく、スクラッチ性、耐摩
耗性が悪い等の問題が生じ、また、イソシアネート化合
物の硬化率が80%を超えると、表面の硬化塗膜の架橋
密度が高くなりすぎ、脆弱となりこれもまたスクラッチ
性に劣るものとなる。ここで、イソシアネート化合物の
硬化率をこの条件とするには、ポリエステルポリオール
に対してイソシアネート化合物を多くするのが好ましい
ものである。
【0019】また、以上のように構成された透明インキ
を硬化処理する際の条件としては、加熱温度を60〜7
0℃、養生時間を24〜48時間の間で処理したものが
性能的に安定したものとなる。引張破断点伸度は加熱温
度、養生時間に余り影響されないものであるが、Vカッ
ト加工性の面では、養生時間は短く、加熱温度は低い方
が硬化率が低いので良い方向となる。例えば、加熱温度
が40℃では養生時間72時間経過後も硬化が安定せ
ず、加熱温度を80℃とすると巻き芯の温度と巻き端と
の温度差が大きく、均一な塗膜を得ることが出来にく
い。即ち巻き芯側が適した硬化率となる頃には巻き端側
が必要以上に硬化することとなっているものである。
【0020】本発明の化粧シートの第2の実施形態を図
2に示す。以下既に説明した構成要素と同一の符号によ
って表記し、重複する説明は省略する。化粧シート10
は着色ポリエステル樹脂フイルム2の表面にポリエステ
ル系ポリウレタン樹脂によるプライマー層3、および着
色下地層4を形成し、その上面に通常インキによる木肌
模様層5aを設け、次いでその表面全面に透明樹脂層6
を形成し、しかる後に前記透明樹脂層6面に撥液性を有
する硬化型インキによる撥液導管模様層7を設け、次い
で前記撥液導管模様7を含む全面に透明インキを塗装
し、撥液導管模様層7によりはじかれたトップコート層
8を形成する構成とすることも出来る。即ち着色ポリエ
ステル樹脂フイルム2が撥液性を有する硬化型インキお
よび透明インキを吸収することが無いため、撥液効果が
大きく立体感に優れた意匠性を発現する化粧シート10
とすることができる。このとき撥液導管模様層7を木肌
模様層5aに同調させて設けることにより、さらに優れ
た意匠性を有するものとすることができる。
【0021】撥液性を有する撥液導管模様層7は、表面
のトップコート層8をはじかせるために、ワックス、シ
リコーン、フッ素化合物等の撥液剤を含むインキを用い
て設けられる。また、撥液導管模様層7はその部分が凹
部で有るように見るものにより強く感じさせるためにト
ップコート層8よりも艶消し度の高いインキを用いて設
けることが好ましく、また、天然木の導管の色調に近づ
けるようにするためには、カーボンブラック等の着色顔
料を添加したインキを用いることが好ましいものであ
る。また、撥液導管模様層7でのはじき性を良くするた
めに、撥液剤を表面に浮きださせることから、硬化が速
い熱硬化型の印刷インキを用いることが好ましく、ま
た、化粧シートの表面に好ましい意匠性を現出すること
は勿論のこと、耐溶剤性、耐汚染性、耐油性等の化学的
性質に優れた性能を備えていることも望ましく、ビヒク
ルとしては、アミノアルキッド系樹脂、アクリル系樹
脂、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポ
キシ系樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、中でも、尿素樹
脂又はメラミン樹脂の初期生成物に変性アルキッド樹脂
を加えた尿素アルキッド樹脂、メラミンアルキッド樹脂
などのアミノアルキッド樹脂が好ましいものであり、本
発明においては、塗膜層に柔軟性を有することも必要な
ことから、アミノ樹脂に対するアルキッド樹脂の混合比
率を、アミノ樹脂100重量部に対して、アルキッド樹
脂100〜200重量部の添加としたものが好ましいも
のである。また、撥液剤としては、公知のもの、例え
ば、シリコーン、ポリエチレンワックス、パラフィンワ
ックス、アマイドワックス、蝋ワックス、フッ化ビニル
化合物等の撥液性物質を使用することができ、中でもシ
リコーンが最も適したもので、その添加量はインキ組成
物中に該組成物に対して4〜10重量%とするのが好ま
しい。
【0022】本実施例では、トップコート層8をシリコ
ーン樹脂、フッ素樹脂、ワックス等からなるスリップ剤
を全く添加しない組成とした透明インキで形成すること
で、撥液性物質を含む硬化型インキによる撥液導管模様
層7との臨界表面張力の差をより大きなものとすること
ができるものである。即ち、表面の凹凸模様がより深い
ものとなり、立体感をさらに強調した意匠性の発現が可
能となる。
【0023】本発明の化粧シートを用いて化粧板を製造
するには、上記で得られた化粧シートの、絵柄層を設け
ない面に酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン系樹脂などの接着剤を使用して、合板、MDF、
パーチクルボード等の基板に接着積層するものである。
さらに、この化粧板の製造において、化粧シートと基板
との接着を強固にするために、化粧シートの裏面に予め
ポリエステル樹脂などのプライマー層を設けてもよいも
のである。
【0024】実施例1 厚さ50μmの着色ポリエステル樹脂フイルムの表面に
ポリエステル系ウレタン樹脂からなるプライマーインキ
を2.0g/m2 (ドライ)塗布し、その上に同じくポ
リエステル系ウレタン樹脂よりなる着色下地層を2.0
g/m2 (ドライ)塗布し、次いで、ニトロセルロース
・アルキッド系樹脂からなるインキを使用して木目模様
絵柄層をグラビア印刷し、その上にポリエステル系ウレ
タン樹脂を3.2g/m2 (ドライ)塗布し、さらに木
目模様絵柄層に同調した木目導管模様を撥液剤を含有す
るアミノアルキッド系樹脂インキでグラビア印刷し15
0℃、20秒間の加熱により溶剤を除去するとともに、
木目導管模様層を硬化する。さらにその印刷面全面に下
記配合からなる透明ポリエステル系ウレタン樹脂塗料を
6.5〜8.0g/m2 (ドライ)塗布して、170℃
で20秒間の加熱により乾燥させ巻き取った後、表1に
示す条件で加熱養生し化粧シートを得た。 〔ポリエステル系ウレタン樹脂よりなる透明塗料配合〕 ポリエステルポリオール 100重量部 トリレンジイソシアネート 77重量部 ヘキサメチレンジイソシアネート 38重量部
【0025】上記の実施例の各化粧シートについて、硬
化率測定、耐スクラッチ性試験を行い、次いで、前記各
化粧シートを厚さ2.7mmのMDFにエチレン−酢酸
ビニル系接着剤を用いて貼合せて化粧板を作製した。そ
して、得られた化粧板について、耐摩耗性試験、Vカッ
ト加工性試験を行い、その結果を表1にまとめて示し
た。 〔硬化率測定〕得られた化粧シートを赤外分光分析器
(Shimazu HYPER IR)を用いて測定し、次式にて硬化率
を算定した。 硬化率=(未養生シートのピーク比)−(養生後シート
のピーク比)/(未養生シートのピーク比)×100 ポリエステルポリオールのエステルのピーク部の値を基
準値100とし、それぞれに於けるイソシアネートのピ
ーク部の値を比率で表示する。未養生シートのピーク比
は20〜25%である。 〔耐スクラッチ性試験〕試験用化粧シートを鉄板面に貼
着し、該化粧シートの塗面に対し、10円硬貨を45度
の角度で押しつけるようにエッジを塗面に当て、荷重を
掛けながら、10円硬貨の平面と直角の方向に引っ張
り、化粧シートに傷が付く荷重で評価する。 ○:2.5kg以上、 △:2.5〜1.5kg、×:
1.5kg以下 〔耐摩耗性試験〕JAS摩耗試験に準じた摩耗試験機
に、研摩紙(JIS−K6902に定める検定に合格
品)を巻き付けたゴム製円板2個を取付けて試験を行
い、50回転時における絵柄の残存量を読み取り残存率
で評価する。 〔Vカット加工性試験〕得られた化粧板の裏面から、V
カット切削機を用いてVカット加工を行った。この際、
シート裏面からVカットの最深部頂点までの距離を0μ
mとし、Vカット面に接着剤を塗布し、折り曲げてセロ
ハンテープで固定し、折り曲げた外側の化粧シート角面
を観察し割れの長さで比較評価した。 ◎:0%、 ○:0〜5%、 △:5〜10%、 ×:
10%以上
【0026】
【表1】 上記結果から判るように、試験例4〜7はいずれも硬化
率が45〜80%の範囲にあり、耐スクラッチ性、耐摩
耗性、Vカット性に良好な結果が得られた。これに対し
試験例1〜3はVカット性は良好であるが耐スクラッチ
性、耐摩耗性、が不良であり、試験例8は耐摩耗性は良
好であるが耐スクラッチ性、Vカット性がやや不良であ
る。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の化粧シー
トは、トップコート層を形成するポリエステル系ポリウ
レタン樹脂のポリイソシアネート化合物の硬化率を45
〜80%の範囲とすることで、ポリエステル系ポリウレ
タン樹脂の架橋密度が好適となることから、化粧シート
を木質基板に貼着後、Vカット加工等の2次加工性に適
応した柔軟性、延伸性を有し、しかも耐スクラッチ性、
耐摩耗性等の表面物性に優れた化粧シートとなる。ま
た、基材シートが着色剤を含有したポリエステル樹脂フ
イルムからなることにより、燃焼等により容易に廃棄処
理のできる化粧シートを得ることができる。
【0028】また、基材シートが撥液性を有する硬化型
インキ及び透明インキを吸収することが無いため、撥液
効果が大きく、立体感に優れた意匠性を有する化粧シー
トとなる。特に、この積層構成の化粧シートのように、
Vカット等の加工を行った時に導管凹状部から割れやす
いものには、最も効果の大きいものである
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの第1の実施形態の積層構
成を示す断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの第2の実施形態の積層構
成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート 2 着色ポリエステル樹脂フイルム 3 プライマー層 4 着色下地層 5 絵柄模様層 5a 木肌模様層 5b 導管模様層 6 透明樹脂層 7 撥液導管模様層 8 トップコート層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色剤を含有したポリエステル樹脂フイ
    ルムからなる基材シートの一方の面に、着色下地層、絵
    柄模様層、トップコート層を順次積層してなる化粧シー
    トにおいて、前記トップコート層がポリエステルポリオ
    ールとポリイソシアネート化合物からなるポリエステル
    系ポリウレタン樹脂により形成され、前記ポリエステル
    系ポリウレタン樹脂中のポリイソシアネート化合物の硬
    化率が45〜80%の範囲にあることを特徴とする化粧
    シート。
  2. 【請求項2】 前記絵柄模様層が木肌模様層と導管模様
    層からなり、前記導管模様層を前記木肌模様層上に撥液
    性を有する硬化型インキにより形成した後、前記導管模
    様層によりはじかれる性質を有する透明インキを用いて
    トップコート層を施すことにより、前記導管模様層を形
    成した部分の前記トップコート層がはじかれ凹状部が形
    成されることを特徴とする請求項1に記載の化粧シー
    ト。
  3. 【請求項3】 前記基材シートと前記着色下地層との間
    にプライマー層が積層されていることを特徴とする請求
    項1または2に記載の化粧シート。
  4. 【請求項4】 前記木肌模様層と前記導管模様層との間
    に透明樹脂層が積層されていることを特徴とする請求項
    2または3に記載の化粧シート。
  5. 【請求項5】 前記化粧シートの引張破断点伸度が40
    %以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の化粧シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101773533B1 (ko) 2017-05-12 2017-08-31 강신성 리얼우드 판넬 및 그의 제조방법

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