JP2015086373A - プライマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 強固な密着性、優れた耐久性、優れた意匠性を実現することが可能な加飾材を製造するために用いられるプライマー組成物の提供。
【解決手段】 化粧材の表面に備えられたメラミン含有層の表面に適用され、当該メラミン含有層の表面にプライマー層を形成するために用いられ、かつ、硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むインクを適用し、当該インクを硬化してインク層を形成するために用いられる、イソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物。
【選択図】 図1
【解決手段】 化粧材の表面に備えられたメラミン含有層の表面に適用され、当該メラミン含有層の表面にプライマー層を形成するために用いられ、かつ、硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むインクを適用し、当該インクを硬化してインク層を形成するために用いられる、イソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物。
【選択図】 図1
Description
本発明は加飾材の製造に用いられるプライマー組成物に関し、とりわけ、化粧材のメラミン含有層の表面にプライマー層を形成するために、かつ当該プライマー層を介してその表面にインク層による加飾を施すために用いられるプライマー組成物に関する。
低圧メラミン化粧材は、壁材、床材、テーブル、家具など各種製品に用いられている。また、低圧メラミン化粧材に塗装を施した加飾材は、キッチン、洗面所、バスルームおよびトイレまわり等の水まわり機器にも用いられている。
一方、ある種の基材にインクジェット印刷で紫外線硬化型インクを吐出し、紫外線照射により基材を加飾する技術が知られている。また、このような紫外線硬化型インクに用いられる重合性化合物として、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物が知られている。
特開2005−238035号公報(特許文献1)には、アクリルポリオール等の活性水素を有する化合物およびポリイソシアネート化合物を樹脂成分とする下塗塗料を、石綿スレート板等の表面に凹凸を有する基材の該凹凸表面に塗布し、該塗布した下塗塗料の反応率が20〜80%の状態で、該下塗塗料上にインクジェットプリンターを用いて下塗塗料との密着性がよい樹脂を含む着色インクを模様状に塗布して模様塗膜を形成し、該模様塗膜の全面にクリア塗料を塗装することを特徴とする表面に凹凸を有する化粧板の製造方法が記載されている。この文献によれば、表面に凹凸を有する基材表面に意匠性に優れた模様塗膜層を容易に、能率よく且つ精度よく描画でき、しかも耐久性に優れた化粧板の製造方法を提供するとしている。
低圧メラミン化粧材は水分や湿気により膨潤する性質を有しており、このため、低圧メラミン化粧材に塗装を施した水まわり機器用の加飾材にあっては、水分や湿気による低圧メラミン化粧材の体積変化により加飾材の塗装が剥がれる、亀裂が生じるという問題があった。
また、低圧メラミン化粧材に、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含む紫外線硬化型インクを印刷しても、低圧メラミン化粧材の表面に含まれるメラミン樹脂と紫外線硬化型インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物とは化学的または物理的に作用することが不可能であるため、この紫外線硬化型インクと低圧メラミン化粧材との間には密着性が得られず、印刷物が剥がれてしまうという問題があった。この問題を解決するための手段として、低圧メラミン化粧材に対して密着可能な専用の紫外線硬化型インクを開発すること、紫外線硬化型インクが密着可能となるように市販の低圧メラミン化粧材を改良すること等が考えられるが、コストがかかる等の理由で実用的ではない。
本発明者らは、今般、化粧材、好ましくは低圧メラミン化粧材がその表面に備えるメラミン含有層の表面に、特定のプライマー組成物を硬化させることにより形成されるプライマー層を設け、このプライマー層の表面にさらに、所定の時期に、特定のインクを適用して形成されるインク層を設けることにより、以下の知見を得た。
ここで、特定のプライマー組成物は、前記メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基、好ましくはイソシアネート基およびカルボジイミド基より選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、この硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含む。また、所定の時期とは、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤とが反応して反応生成物(架橋体)を生成する当該架橋反応が進行している間の適切な時期、すなわちプライマー層の硬化が不完全な状態である間の適切な時期である。また、特定のインクは、前記反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含む。
第一に、(i)メラミン化粧材がその表面に備えるメラミン含有層とプライマー層とが、特定の化学結合によって強固に密着することが可能となるとの知見を得た。特定の化学結合とは、メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と、プライマー組成物が含む硬化剤が有するイソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基との化学反応によりこれら2層の界面で生じたウレア結合およびアミド結合より選択される少なくとも一種の化学結合である。
加えて、(ii)プライマー層とインク層とが、特定のメカニズムによりこれら2層の界面で生じた密な(凝縮した)構造的絡み合いによって、強固に密着することが可能となるとの知見を得た。特定のメカニズムとは、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤とが反応して生成する反応生成物に対してインクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物が浸透・拡散すること、そしてその後インクが硬化されることにより反応生成物と重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体とが構造的に密に作用する(例えば絡み合う)ことである。
その結果、(iii)プライマー層を介して、メラミン化粧材とインク層とが、これら3層一体として強固に密着した加飾材が得られるとの知見を得た。
第二に、メラミン化粧材が水分により体積変化を起こした場合であっても、この体積変化により生じる応力を、メラミン化粧材と強固に密着した、優れた柔軟性を有するプライマー層が分散・吸収することを可能とするとの知見を得た。加えて、このプライマー層の応力分散・吸収能力を、プライマー層と強固に密着した高い層強度を有するインク層が確実に発揮させることを可能とすることにより、プライマー層やインク層が剥がれたり、亀裂を生じたりすることのない耐久性に優れた加飾材が得られるとの知見を得た。
第三に、高い発色性を有し、意匠性に優れた加飾材が得られるとの知見を得た。
また、本発明者らは、今般、前記インク層の表面に、特定のクリア塗料から形成されてなるクリア層をさらに設けることにより、第四に、インク層とクリア層とが、特定の化学結合によって、強固に密着することが可能となるとの知見を得た。その結果、メラミン化粧材とプライマー層とインク層とクリア層との4層が一体として強固に密着した加飾材が得られるとの知見を得た。
ここで、特定のクリア塗料は、前記インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含む。また、特定の化学結合とは、当該インク層を形成するインクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体と、当該クリア層を形成するクリア塗料が含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体とが同一の重合反応機構で生成されるものであることによりこれら2層の界面で生じる化学結合である。
第五に、上述したプライマー層が有する、メラミン化粧材の体積変化により生じる応力を分散・吸収する能力を、インク層に加えてさらに、インク層と強固に密着した高い層強度を有するクリア層も確実に発揮させることを可能とするとの知見を得た。これにより、プライマー層、インク層、クリア層が剥がれたり、亀裂を生じたりすることのない耐久性に優れた加飾材が得られるとの知見を得た。
第六に、インク層を外的ストレスから保護し、さらに光沢性および写像性に優れた加飾材が得られるとの知見を得た。本発明は以上の知見に基づくものである。
従って、本発明は、強固な密着性、優れた耐久性、優れた意匠性を実現することが可能な加飾材を製造するために用いられるプライマー組成物の提供をその目的としている。
そして、本発明によるプライマー組成物は、
化粧材の表面に備えられたメラミン含有層の表面に適用され、当該メラミン含有層の表面にプライマー層を形成するために用いられ、かつ、
硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むインクを適用し、当該インクを硬化してインク層を形成するために用いられる、
イソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなることを特徴とする。
化粧材の表面に備えられたメラミン含有層の表面に適用され、当該メラミン含有層の表面にプライマー層を形成するために用いられ、かつ、
硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むインクを適用し、当該インクを硬化してインク層を形成するために用いられる、
イソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなることを特徴とする。
加飾材
本発明によるプライマー組成物を用いて形成される加飾材10は、概略的には、化粧材11と、プライマー層14と、インク層15とが少なくとも積層されてなり、場合によりさらにクリア層16がこれらの順に積層されてなる。化粧材は、基材12と、当該基材上にメラミン含有層13が積層されてなる。図1に本発明による加飾材の概略構成図を示す。
本発明によるプライマー組成物を用いて形成される加飾材10は、概略的には、化粧材11と、プライマー層14と、インク層15とが少なくとも積層されてなり、場合によりさらにクリア層16がこれらの順に積層されてなる。化粧材は、基材12と、当該基材上にメラミン含有層13が積層されてなる。図1に本発明による加飾材の概略構成図を示す。
化粧材
本発明による加飾材を構成する化粧材は、基材と当該基材の表面にメラミン含有層を備える。本発明にあっては、このような化粧材として公知のものを用いることができ、例えば高圧メラミン化粧材、低圧メラミン化粧材を用いることができる。これらメラミン化粧材は一般に、紙にメラミン樹脂を含浸させたいわゆるメラミン樹脂含浸紙を化粧材原紙として用い、これと各種基材とを加熱圧縮して製造され、熱圧成形時の圧力により、高圧メラミン化粧材(例えば70〜120kgf/cm2)と低圧メラミン化粧材(例えば10〜40kgf/cm2)に分けられる。高圧メラミン化粧材の具体例としては、上層と下層にそれぞれメラミン樹脂含浸紙1枚ずつと中層にフェノール樹脂を含浸したコア紙を5枚積層し、最外層にメラミンを含浸したオーバーレイ紙を1枚ずつ積層したものが挙げられる。高圧メラミン化粧材を本発明による加飾材を構成する化粧材として用いる場合、適当な基材にこの高圧メラミン化粧材を接着させて用いる。
本発明による加飾材を構成する化粧材は、基材と当該基材の表面にメラミン含有層を備える。本発明にあっては、このような化粧材として公知のものを用いることができ、例えば高圧メラミン化粧材、低圧メラミン化粧材を用いることができる。これらメラミン化粧材は一般に、紙にメラミン樹脂を含浸させたいわゆるメラミン樹脂含浸紙を化粧材原紙として用い、これと各種基材とを加熱圧縮して製造され、熱圧成形時の圧力により、高圧メラミン化粧材(例えば70〜120kgf/cm2)と低圧メラミン化粧材(例えば10〜40kgf/cm2)に分けられる。高圧メラミン化粧材の具体例としては、上層と下層にそれぞれメラミン樹脂含浸紙1枚ずつと中層にフェノール樹脂を含浸したコア紙を5枚積層し、最外層にメラミンを含浸したオーバーレイ紙を1枚ずつ積層したものが挙げられる。高圧メラミン化粧材を本発明による加飾材を構成する化粧材として用いる場合、適当な基材にこの高圧メラミン化粧材を接着させて用いる。
低圧メラミン化粧材
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材を構成する化粧材は低圧メラミン化粧材であることが好ましい。本発明にあっては、このような低圧メラミン化粧材として公知のものを用いることができる。低圧メラミン化粧材としては、例えば、後述する基材の表面に、メラミン樹脂含浸紙を、例えば10〜40kgf/cm2の圧力にて熱圧一体成形したものを用いることができる。低圧メラミン化粧材は表面が白色であるため、多彩な加飾が可能となる。また、地色の白色を加飾材の色としてそのまま利用することができる。さらに、低圧メラミン化粧材は現にシステムキッチンのキャビネット等に多用されており、価格も比較的低廉である。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材を構成する化粧材は低圧メラミン化粧材であることが好ましい。本発明にあっては、このような低圧メラミン化粧材として公知のものを用いることができる。低圧メラミン化粧材としては、例えば、後述する基材の表面に、メラミン樹脂含浸紙を、例えば10〜40kgf/cm2の圧力にて熱圧一体成形したものを用いることができる。低圧メラミン化粧材は表面が白色であるため、多彩な加飾が可能となる。また、地色の白色を加飾材の色としてそのまま利用することができる。さらに、低圧メラミン化粧材は現にシステムキッチンのキャビネット等に多用されており、価格も比較的低廉である。
基材
低圧メラミン化粧材に用いられる基材(芯材)は、木材を主とするものである。具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、配向性ストランドボード(OSD)などの木質材が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、キッチンや洗面化粧台で実績があり、十分な機械強度を有し、比較的安価で、入手が容易であるという観点から、基材がパーティクルボードもしくはMDFであることが好ましい。
低圧メラミン化粧材に用いられる基材(芯材)は、木材を主とするものである。具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、配向性ストランドボード(OSD)などの木質材が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、キッチンや洗面化粧台で実績があり、十分な機械強度を有し、比較的安価で、入手が容易であるという観点から、基材がパーティクルボードもしくはMDFであることが好ましい。
プライマー層
本発明による加飾材に含まれるプライマー層は、化粧材が備えるメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤との反応生成物から形成される。
本発明による加飾材に含まれるプライマー層は、化粧材が備えるメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤との反応生成物から形成される。
硬化剤
本発明による加飾材のプライマー層を形成するプライマー組成物が含む硬化剤は、化粧材が備えるメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基を有する化合物である。本発明の好ましい態様によれば、この硬化剤が有する、メラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基が、イソシアネート基またはカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基であることが好ましい。これらの官能基が、メラミン化粧材のメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学反応することにより、メラミン含有層とプライマー層とは、これら2層の界面で生じたウレア結合およびアミド結合より選択される少なくとも一種の化学結合によって、付着することが可能となる。ここで、メラミン含有層とプライマー層の界面とは、これら2層の境界を含み、上記化学結合が生じる領域である限りにおいて、メラミン含有層の表面側の一部の領域やプライマー層の底面側の一部の領域を含む所定の厚みを有する領域を意味する。
本発明による加飾材のプライマー層を形成するプライマー組成物が含む硬化剤は、化粧材が備えるメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基を有する化合物である。本発明の好ましい態様によれば、この硬化剤が有する、メラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基が、イソシアネート基またはカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基であることが好ましい。これらの官能基が、メラミン化粧材のメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学反応することにより、メラミン含有層とプライマー層とは、これら2層の界面で生じたウレア結合およびアミド結合より選択される少なくとも一種の化学結合によって、付着することが可能となる。ここで、メラミン含有層とプライマー層の界面とは、これら2層の境界を含み、上記化学結合が生じる領域である限りにおいて、メラミン含有層の表面側の一部の領域やプライマー層の底面側の一部の領域を含む所定の厚みを有する領域を意味する。
イソシアネート基は、メラミン化粧材のメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂(その成分であるメラミン、メチロールメラミンもメラミン樹脂に包含されるものとする)中の酸素原子や窒素原子の隣の水素をこれらから引き抜き、ウレア結合(−NH−CO−NH−)を形成し、これによりメラミン化粧材のメラミン含有層とプライマー層とはこれら2層の界面を介して化学的に強固に密着することが可能となる。また、カルボジイミド基は、メラミン樹脂中の酸素原子や窒素原子の隣の水素をこれらから引き抜き、アミド結合(−NH−CO−)を形成し、これによりメラミン化粧材のメラミン含有層とプライマー層とはこれら2層の界面を介して化学的に強固に密着することが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、化粧材が備えるメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基はイソシアネート基であることが好ましい。イソシアネート基を有する化合物は、その種類が多く、多彩な化合物から特定のものを選択することによって、アミノ基との反応性や反応生成物の物性を調整できる点で有利である。イソシアネート基を有する化合物として、ウレタン樹脂系二液型イソシアネート基を有する化合物を好ましく用いることができる。より好ましくは、ウレタン樹脂系二液型ジイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。ウレタン樹脂系二液型ジイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、2,4―トリレンジイソシアネート、2,6―トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4′―ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの水素添加体などの各種ジイソシアネート系モノマーを好適に用いることができる。また、これらジイソシアネートモノマーを、トリメチロールプロパンやグリセロールなどの3官能の活性水素含有化合物と反応させたアダクトタイプ、水と反応させたビューレットタイプ、イソシアネート基の自己重合を利用したトリマー(イソシアヌレート)タイプなど3官能性またはそれ以上の多官能性の誘導体を好ましく用いることもできる。
上記したウレタン樹脂系二液型イソシアネート基を有する化合物は比較的低温(常温〜80℃)で後述する主剤と反応することが可能である。そのため、木材を主とするメラミン化粧材を高温処理せずとも済み、その結果、メラミン化粧材の熱変形や、ガス放出によるプライマー層の剥離、膨れ、および割れといった欠点を防ぐことが可能となる。なお、ブロック型イソシアネートは比較的高温で加熱する必要があるため、メラミン化粧材が変形してしまうので不適切である。
カルボジイミド基を有する化合物としては、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ポリ4,4′−ジフェニルメタンカルボジイミド、ポリ4,4′−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、ポリ4,4′−ジフェニルエーテルカルボジイミド、ポリ3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニルカルボジイミド、ポリp−フェニレンカルボジイミド、ポリナフチレン−1,5−カルボジイミド、ポリm−キシリレンカルボジイミド、ポリ水添キシリレンカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ポリ2,4−トルイレンカルボジイミド、ポリ2,6−トルイレンカルボジイミド、ポリo−トリジンカルボジイミド;ポリtert−ブチルカルボジイミド、ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド;ジC3〜10シクロアルキルカルボジイミド、ポリテトラメチルキシリレンカルボジイミド、ポリイソホロンカルボジイミドなどを好適に用いることができる。
また、C2〜12またはそれ以上(但し−N=C=N−基中のCを除く)の分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する芳香族、脂肪族および脂環含有ポリカルボジイミド化合物を好適に用いることができる。芳香族ポリカルボジイミド化合物の具体例としては、キシリレンジカルボジイミド、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミド、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミド等;脂肪族ポリカルボジイミド化合物の具体例としては、アルキレン(C2〜12)ジカルボジイミド、アルキレン(C2〜12)ポリカルボジイミド、ジアルキルカルボジイミド(ジエチルカルボジイミド、ジプロピルカルボジイミドなどのジC1〜10アルキルカルボジイミド)等;脂環含有ポリカルボジイミド化合物の具体例としては、ビシクロヘプタントリカルボジイミド、ジシクロヘキシルメタンジカルボジイミド等を挙げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、プライマー組成物が含む硬化剤は、黄変防止の観点等から、その構造中に不飽和結合を含まないことが好ましい。さらに、硬化剤は、前記「構造的絡み合い」の観点から、その反応性官能基以外の部分で、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と構造的に類似性が高いもの、あるいは、環状構造(例えば、脂環、芳香環、複素環構造)を含まないような、直鎖状の化合物であることが好ましい。より好ましい硬化剤は、HDIおよびその誘導体(例えば、イソシアヌレート型HDI)である。
主剤
本発明による加飾材の製造に用いられるプライマー組成物が含む主剤は、前記硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する化合物である。本発明の好ましい態様によれば、この主剤は、OH基および/またはNH基(好ましくは、アミン由来のNH基)を有する高分子化合物であることが好ましい。OH基および/またはNH基を複数有する高分子化合物は、前記イソシアネート基またはカルボジイミド基を有する硬化剤と重合し、ウレタン結合、アミド結合、またはウレア結合を形成する。これらの化学結合を骨格とする反応生成物(架橋体)は柔軟性のあるプライマー層を形成することが可能となる。すなわち、この場合プライマー組成物はいわゆる二液型ウレタン樹脂の被膜形成成分を含む。
本発明による加飾材の製造に用いられるプライマー組成物が含む主剤は、前記硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する化合物である。本発明の好ましい態様によれば、この主剤は、OH基および/またはNH基(好ましくは、アミン由来のNH基)を有する高分子化合物であることが好ましい。OH基および/またはNH基を複数有する高分子化合物は、前記イソシアネート基またはカルボジイミド基を有する硬化剤と重合し、ウレタン結合、アミド結合、またはウレア結合を形成する。これらの化学結合を骨格とする反応生成物(架橋体)は柔軟性のあるプライマー層を形成することが可能となる。すなわち、この場合プライマー組成物はいわゆる二液型ウレタン樹脂の被膜形成成分を含む。
ポリマーポリオール
本発明の好ましい態様によれば、前記OH基および/またはNH基を複数有する高分子化合物としては、場合により複数のNH基を有していてもよいポリマーポリオールを好ましく用いることができる。これにより、優れた安定性を有するプライマー層を得ることができる。さらに、プライマー層と、その表面の一部または全部に形成されるインク層との付着性を実現することが可能となる。ポリマーポリオールの具体例として、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、およびポリカーボネートポリオール等を好ましく挙げることができる。本発明のより好ましい態様によれば、水まわり機器には被膜の耐水性が求められるので、アクリルポリオールをより好ましく用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、前記OH基および/またはNH基を複数有する高分子化合物としては、場合により複数のNH基を有していてもよいポリマーポリオールを好ましく用いることができる。これにより、優れた安定性を有するプライマー層を得ることができる。さらに、プライマー層と、その表面の一部または全部に形成されるインク層との付着性を実現することが可能となる。ポリマーポリオールの具体例として、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、およびポリカーボネートポリオール等を好ましく挙げることができる。本発明のより好ましい態様によれば、水まわり機器には被膜の耐水性が求められるので、アクリルポリオールをより好ましく用いることができる。
上記反応生成物から形成されるプライマー層に、このプライマー層の硬化が不完全な状態である間に、後述するインク層を形成するインクが適用されると、以下の現象が起こると考えられる。すなわち、インクが好ましく含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物がプライマー層を形成する架橋反応中のウレタン樹脂に適度に浸透・拡散することが可能となると考えられる。とりわけ主剤がアクリルポリオールである場合、このアクリルポリオールとインクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物はアクリル系である点で共通している。そのため、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物はプライマー層を形成する架橋体に親和的に浸透・拡散することが可能となると考えられる。
そして、このような状態でインクが硬化されることにより(例えば、活性エネルギー線が照射され、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物が重合されることにより)、プライマー層を形成する反応生成物とインクが含むアクリル系重合体とは互いに密に絡み合った状態を形成することが可能となる。その結果、プライマー層とインク層とがこれら2層の界面で生じた構造的絡み合いにより強固に密着することが可能となる。すなわち、プライマー層表面に形成されるインク層は、優れた層強度を有することが可能となる。
以上より、本発明によれば、メラミン化粧材のメラミン含有層とプライマー層とが化学的に強固に密着することが可能となり、さらにプライマー層とインク層とが構造的に強固に絡み合うことが可能となる。その結果、メラミン化粧材、プライマー層、およびインク層の3層が一体として強固に密着した加飾材を得ることが可能となる。さらに、メラミン化粧材が水分により体積変化を起こした場合であっても、この体積変化によるインク層にかかる応力を柔軟性のあるプライマー層が緩和することが可能となり、さらにインク層がこの応力に対して抗力を発生することが可能となるため、プライマー層が確実にこの応力を吸収することを可能とする。従って、インク層の保護を確実なものとすることが可能となり、メラミン化粧材からプライマー層やインク層が剥がれたり、亀裂を生じたりすることのない耐久性に優れた加飾材を得ることができる。
前記ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール)またはアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン)をポリオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、シュークロース等)に付加せしめて得られるものを好ましく用いることができる。
前記ポリエステルポリオールとして、例えば、多塩基酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロルフタル酸、テトラブロムフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ハイミック酸、ヘット酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)またはその無水物と、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA)との縮合反応により得られるポリエステルポリオール、上記多価アルコールとエポキシ化合物(例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル)と上記多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、上記エポキシ化合物と上記多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、高級脂肪酸(例えば、大豆油、アマニ油、サフラワー油、ヤシ油、脱水ヒマシ油、キリ油、ロジン)と上記多塩基酸と上記多価アルコールとの反応により得られるアルキッド型ポリオール、ε−カプロラクタムと上記多価アルコールとを開環重合させて得られる重合型ポリエステルポリオール等を好ましく用いることができる。
前記アクリルポリオールとして、例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)を必須単量体とし、必要に応じてその他の単量体(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート)を併用して重合反応により得られるものを好ましく用いることができる。
前記ポリウレタンポリオールとして、例えば、イソシアネート化合物(例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアネートシクロヘキサン、ω,ω’−ジイソシアネートジエチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネートメチルアミノトルエン、ω,ω’−ジイソシアネートジメチルキシレン、ω,ω’−ジイソシアネートジエチルキシレン、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4’−エチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トリフェニルメタントリイソシアネート)またはその多量体と、これらに対して過剰量の低分子ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ソルビトール、ソルビタン、シュークロース、ペンタエリスリトール)との付加反応によって得られるポリウレタンポリオール;前記ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、重合型ポリエステルポリオールおよびアクリルポリオールの中で比較的低分子量のポリオール化合物と、モノイソシアネート、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートなどのイソシアネート化合物との付加反応によって得られるポリウレタンポリオール等を好ましく用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、上述したポリマーポリオールは、黄変防止の観点等から、その構造中に共役二重結合や芳香環などの不飽和結合を含まないことが好ましい。さらに、ポリマーポリオールは、前記「構造的絡み合い」の観点から、その反応性官能基以外の部分で、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と構造的に類似性が高い単位構造を有するもの、あるいは、その主鎖が、環状構造(例えば、脂環、芳香環、複素環構造)を含まないような、直鎖であることが好ましい。主鎖が直鎖状の分子であることにより、インクがプライマー層を形成する架橋体に拡散、浸透し易く、メラミン含有層と主剤が硬化剤を介して架橋反応することにより、プライマー層とインク層とは強固に密着することが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造に用いられるプライマー組成物は、主剤が有するOH基に対する、硬化剤が有するイソシアネート基の割合がNCO/OH(mol比)で0.3以上2.0以下であることが好ましい。配合比がこの範囲であることにより、プライマー層はメラミン化粧材のメラミン含有層と強固に密着することが可能となり、さらに、プライマー層はインク層と強固に密着することが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、メラミン化粧材のメラミン含有層に対するプライマー層の剥離強度(JIS K 5600の)塗膜引っ張り試験)が2MPa以上4MPa以下であることが好ましい。これにより、プライマー層がメラミン化粧材のメラミン含有層に対して強固に密着することが可能となる。その強度は、基材とメラミン含有層との密着強度よりも高い。
プライマー組成物の硬化状態とインクの濡れ性および密着性との関係
本発明による加飾材のプライマー層を形成するプライマー組成物は、これをメラミン含有層の表面に適用した後架橋反応が進むが、この架橋反応の進行に伴って、プライマー層に対する後述するインクの濡れ性および密着性は変動する。本発明の好ましい態様によれば、プライマー組成物は、プライマー層に対するインクの濡れ性および密着性の経時変化が小さいものであることが好ましい。このような性質を有するプライマー組成物として、プライマー組成物が含む好ましい主剤であるポリマーポリオールの水酸基価が小さいもの、重量平均分子量が比較的大きいものを好ましく用いることができる。
本発明による加飾材のプライマー層を形成するプライマー組成物は、これをメラミン含有層の表面に適用した後架橋反応が進むが、この架橋反応の進行に伴って、プライマー層に対する後述するインクの濡れ性および密着性は変動する。本発明の好ましい態様によれば、プライマー組成物は、プライマー層に対するインクの濡れ性および密着性の経時変化が小さいものであることが好ましい。このような性質を有するプライマー組成物として、プライマー組成物が含む好ましい主剤であるポリマーポリオールの水酸基価が小さいもの、重量平均分子量が比較的大きいものを好ましく用いることができる。
ポリマーポリオールの水酸基価
本発明の好ましい態様によれば、前記ポリマーポリオールの水酸基価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が比較的小さいこの範囲内のポリマーポリオールを用いることにより、主剤と硬化剤との架橋反応が遅くなるか、または緩やかに進むように制御することが可能となるため、プライマー層への後述するインクの浸透・拡散を適切に制御することが可能となる。また、プライマー層の養生後において、インクの線幅の変化が小さくなるように制御することが可能となる。さらに、インクをプライマー層へ適用したとき、インクのプライマー層に対する濡れ広がりの程度がその硬化状態によって大きく変化しないものとすることが可能となる。以上の結果、高い発色性、高い意匠性を有し、安定した加飾性を実現可能なインク層を得ることが可能となる。前記ポリマーポリオールのより好ましい水酸基価は5mgKOH/g以上160mgKOH/g以下、さらに好ましくは5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、最も好ましくは5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である。ここで、「水酸基価」とは、ポリマーポリオール1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要するKOHのmg数を意味する。
本発明の好ましい態様によれば、前記ポリマーポリオールの水酸基価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が比較的小さいこの範囲内のポリマーポリオールを用いることにより、主剤と硬化剤との架橋反応が遅くなるか、または緩やかに進むように制御することが可能となるため、プライマー層への後述するインクの浸透・拡散を適切に制御することが可能となる。また、プライマー層の養生後において、インクの線幅の変化が小さくなるように制御することが可能となる。さらに、インクをプライマー層へ適用したとき、インクのプライマー層に対する濡れ広がりの程度がその硬化状態によって大きく変化しないものとすることが可能となる。以上の結果、高い発色性、高い意匠性を有し、安定した加飾性を実現可能なインク層を得ることが可能となる。前記ポリマーポリオールのより好ましい水酸基価は5mgKOH/g以上160mgKOH/g以下、さらに好ましくは5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、最も好ましくは5mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である。ここで、「水酸基価」とは、ポリマーポリオール1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要するKOHのmg数を意味する。
本発明の好ましい態様によれば、プライマー組成物は、ポリマーポリオールの水酸基価に対し末端基等量0.6〜2.4の割合で硬化剤を含んでなることが好ましい。
ポリマーポリオールの重量平均分子量
本発明の好ましい態様によれば、前記ポリマーポリオールの重量平均分子量が2万以上6万以下であることが好ましい。重量平均分子量が比較的大きいこの範囲のポリマーポリオールを用いることにより、後述するインクをプライマー層の表面へ適用したとき、インクのプライマー層に対する濡れ広がりを適切に制御することが可能となる。その結果、高い発色性、高い意匠性を有し、安定した加飾性を実現可能なインク層を得ることが可能となる。また、インクの濡れ性が良好であると、プライマー層に対するインク適用量が少ない場合でも発色性の高いインク層を得ることが可能となり有利である。前記ポリマーポリオールのより好ましい重量平均分子量は3万以上6万以下であることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、前記ポリマーポリオールの重量平均分子量が2万以上6万以下であることが好ましい。重量平均分子量が比較的大きいこの範囲のポリマーポリオールを用いることにより、後述するインクをプライマー層の表面へ適用したとき、インクのプライマー層に対する濡れ広がりを適切に制御することが可能となる。その結果、高い発色性、高い意匠性を有し、安定した加飾性を実現可能なインク層を得ることが可能となる。また、インクの濡れ性が良好であると、プライマー層に対するインク適用量が少ない場合でも発色性の高いインク層を得ることが可能となり有利である。前記ポリマーポリオールのより好ましい重量平均分子量は3万以上6万以下であることが好ましい。
プライマー組成物は、後述するこれを塗布する手段に合わせて、適宜酢酸ブチルのなどのシンナーを含むことができる。これにより、プライマー組成物の粘性や濡れ性を調整することが可能となる。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による加飾材のプライマー層は無色透明であることが好ましい。無色透明なプライマー層は、低圧メラミン化粧材の地色である白色を生かす加飾を施すことが可能となり、好ましい。また、本発明の別の好ましい態様によれば、プライマー層は加飾材の意匠に応じて色材(後述のインク層にて説明)を含有しても良い。
インク層
本発明による加飾材に含まれるインク層は、プライマー層の表面の一部または全部に形成される。そして、このインク層は、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むインクにより形成される。また、前記プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物が、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物であることが好ましい。
本発明による加飾材に含まれるインク層は、プライマー層の表面の一部または全部に形成される。そして、このインク層は、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むインクにより形成される。また、前記プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物が、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物であることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、上記インクとして、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と色材とを少なくとも含む着色インク、および/または、色材を含まず重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を少なくとも含む透明インクを好ましく用いることができる。
本発明にあっては、インク層は、プライマー層が完全に硬化する前に、好ましくはプライマー層の硬化が不完全な状態である間の適切な時期に、形成される。これにより、プライマー層を形成する反応生成物(架橋体)に対し、インク層を形成するインクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物が適度に浸透・拡散することが可能となる。さらにその後、インクが硬化されることにより、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物は反応生成物に浸透・拡散した状態で重合体を形成し、この重合体は反応生成物と構造的に密に(凝縮した状態で)絡み合うことが可能となる。その結果、プライマー層とインク層とは強固に密着することが可能となる。ここで、プライマー層とインク層の界面とは、これら2層の境界を含み、上記構造的な絡み合いが生じる領域である限りにおいて、プライマー層の表面側の一部の領域やインク層の底面側の一部の領域を含む所定の厚みを有する領域を意味する。
着色インク
本発明による加飾材を構成するインク層は着色インクにより形成することができる。これにより、様々な絵柄、文字、図形、記号その他の模様に多岐にわたるバリエーションで色彩を付した加飾材を得ることができる。本発明にあっては、着色インクはプライマー層の表面の一部または全部に適用することができる。この着色インクは、既に述べたとおり、色材と、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物とを少なくとも含む。
本発明による加飾材を構成するインク層は着色インクにより形成することができる。これにより、様々な絵柄、文字、図形、記号その他の模様に多岐にわたるバリエーションで色彩を付した加飾材を得ることができる。本発明にあっては、着色インクはプライマー層の表面の一部または全部に適用することができる。この着色インクは、既に述べたとおり、色材と、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物とを少なくとも含む。
色材
着色インクに含まれる色材としては、公知の顔料、染料、これらの組合せを用いることができる。本発明の好ましい態様によれば、色材として顔料を用いることが好ましい。これにより、化学的安定性(例えば耐光性)の高い着色インク層を形成することが可能となる。
着色インクに含まれる色材としては、公知の顔料、染料、これらの組合せを用いることができる。本発明の好ましい態様によれば、色材として顔料を用いることが好ましい。これにより、化学的安定性(例えば耐光性)の高い着色インク層を形成することが可能となる。
顔料
顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、カーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタン等を使用することができる。また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、カーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタン等を使用することができる。また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,151,153,154,167,172,180が挙げられる。
マゼンタインク、ライトマゼンタインクに使用される顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88,112,114,122,123,144,146,149,150,166,168,170,171,175,176,177,178,179,184,185,187,202,209,219,224,245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット19,23,32,33,36,38,43,50が挙げられる。
シアンインク、ライトシアンインクに使用される顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66,またはC.I.バットブルー4,60が挙げられる。
また、上記イエロー、マゼンタ(ライトマゼンタ)およびシアン(ライトシアン)以外の顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン7,10、またはC.I.ピグメントブラウン3,5,25,26、またはC.I.ピグメントオレンジ1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合性不飽和基を有する化合物
着色インクに含まれる、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線により硬化可能な化合物を用いることができる。活性エネルギー線により硬化可能な化合物としては、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を用いることが好ましい。重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の好ましい例としては、アクリル系重合性モノマー、アクリル系重合性オリゴマー、アクリル系プレポリマーおよび低分子アクリル系ポリマーから選択される少なくとも一種を挙げることができる。これらの中でも、アクリル系重合性モノマー、アクリル系重合性オリゴマーおよびアクリル系重合性プレポリマーがより好ましく、アクリル系重合性モノマーが最も好ましい。これにより、プライマー層との良好な密着性、後述するクリア層との良好な密着性、インク層の高発色性等を実現することが可能となる。アクリル系重合性モノマーとしては、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを主として含むアクリル系重合性モノマーを好適に用いることができる。
着色インクに含まれる、プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線により硬化可能な化合物を用いることができる。活性エネルギー線により硬化可能な化合物としては、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を用いることが好ましい。重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の好ましい例としては、アクリル系重合性モノマー、アクリル系重合性オリゴマー、アクリル系プレポリマーおよび低分子アクリル系ポリマーから選択される少なくとも一種を挙げることができる。これらの中でも、アクリル系重合性モノマー、アクリル系重合性オリゴマーおよびアクリル系重合性プレポリマーがより好ましく、アクリル系重合性モノマーが最も好ましい。これにより、プライマー層との良好な密着性、後述するクリア層との良好な密着性、インク層の高発色性等を実現することが可能となる。アクリル系重合性モノマーとしては、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを主として含むアクリル系重合性モノマーを好適に用いることができる。
活性エネルギー線
本発明において、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、赤外線などの被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル重合反応の引き金となり得るエネルギー線を示すが、重合反応を誘発させるエネルギー線であれば、これらに限定されない。活性エネルギー線の好ましい具体例としては、波長800nm以上の赤外線、波長400〜800nmの可視光、波長400nm以下の紫外線、および電子線を挙げることができる。これらの中でも、それをつくりだす装置の価格が比較的低廉であるとの観点から、紫外線、可視光線、赤外線がより好ましい。
本発明において、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、赤外線などの被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル重合反応の引き金となり得るエネルギー線を示すが、重合反応を誘発させるエネルギー線であれば、これらに限定されない。活性エネルギー線の好ましい具体例としては、波長800nm以上の赤外線、波長400〜800nmの可視光、波長400nm以下の紫外線、および電子線を挙げることができる。これらの中でも、それをつくりだす装置の価格が比較的低廉であるとの観点から、紫外線、可視光線、赤外線がより好ましい。
重合開始剤
本発明の好ましい態様によれば、着色インクは重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、前記活性エネルギー線の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明にあっては、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を好ましく用いることができ、光ラジカル重合開始剤をより好ましく用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、さらに好ましくは、紫外線感応型の重合開始剤を用いることができる。具体的には、α−アミノアセトフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、および炭素ハロゲン結合を有する化合物等を好ましく用いることができる。また、重合開始剤の具体例としては、特開2008−208190号公報、特開2010−013574号公報に記載のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、着色インクは重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、前記活性エネルギー線の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明にあっては、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を好ましく用いることができ、光ラジカル重合開始剤をより好ましく用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、さらに好ましくは、紫外線感応型の重合開始剤を用いることができる。具体的には、α−アミノアセトフェノン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、および炭素ハロゲン結合を有する化合物等を好ましく用いることができる。また、重合開始剤の具体例としては、特開2008−208190号公報、特開2010−013574号公報に記載のラジカル重合開始剤を挙げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明に用いられる着色インクは、これをプライマー層の表面に適用した後、活性エネルギー線を照射することにより硬化させて用いられるものであるため、無溶剤系のインクであることが好ましい。これにより、硬化された着色インクから形成されるインク層中に溶剤が残留し、耐溶剤性が劣化したり、VOCの発生を防いだりすることが可能となる。
着色インクによりプライマー層の表面の一部または全部に形成されるインク層は、その層厚が1〜50μmであることが好ましい。また、インク層の表面に後述するクリア層を設ける場合は、インク層の層厚は1〜30μmであることが好ましい。これにより、クリア層の表面に高い鏡面光沢性を付与することができ、良好な写像性を有する加飾材を得ることが可能となる。
着色インクは、必要に応じて、界面活性剤、色材として顔料を用いる場合には顔料分散剤などの各種添加剤を含むことができる。
透明インク
本発明による加飾材を構成するインク層は透明インクにより形成することができる。本発明にあっては、透明インクはプライマー層の表面の一部または全部に適用することができる。この透明インクは、既に述べたとおり、色材を含まずプライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を少なくとも含む。本発明の好ましい態様によれば、透明インクは、色材を含まない点以外は着色インクと同じ組成を有することが好ましい。これより、色材以外の成分を個別に調製する手間を省くことができ、製造工数および費用の低減を図ることが可能となる。なお、着色インクについて既に説明した色材以外の成分に関する事項は透明インクについてもあてはまる。
本発明による加飾材を構成するインク層は透明インクにより形成することができる。本発明にあっては、透明インクはプライマー層の表面の一部または全部に適用することができる。この透明インクは、既に述べたとおり、色材を含まずプライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を少なくとも含む。本発明の好ましい態様によれば、透明インクは、色材を含まない点以外は着色インクと同じ組成を有することが好ましい。これより、色材以外の成分を個別に調製する手間を省くことができ、製造工数および費用の低減を図ることが可能となる。なお、着色インクについて既に説明した色材以外の成分に関する事項は透明インクについてもあてはまる。
着色インクおよび/または透明インクが適用されて形成されるインク層の態様
本発明による加飾材を構成するインク層は、プライマー層の表面の一部または全部に着色インクを適用して形成される着色インク層および/または透明インクを適用して形成される透明インク層により形成することができる。インク層は例えば以下の態様をとり得る。
本発明による加飾材を構成するインク層は、プライマー層の表面の一部または全部に着色インクを適用して形成される着色インク層および/または透明インクを適用して形成される透明インク層により形成することができる。インク層は例えば以下の態様をとり得る。
第1の態様にあっては、プライマー層の表面全体に着色インクが適用されてインク層が形成されている。
第2の態様にあっては、プライマー層の表面全体に透明インクが適用されてインク層が形成されている。この態様にあっては、例えば、加飾材に色彩を付した模様を特に必要とせず、メラミン化粧材の表面の色味、好適には低圧メラミン化粧材の白色の地色を生かした白色の加飾材を得ることが可能となる。
第3の態様にあっては、プライマー層の表面の一部の領域に着色インクが適用され、着色インクが適用されない残りの部分の一部または全部の領域に透明インクが適用されてインク層が形成されている。例えば、プライマー層の表面の独立した複数の領域に着色インクが適用されて着色インク層が形成され、一方当該着色インク層が形成されていないプライマー層の表面の独立した複数の領域に透明インクが適用されて透明インク層が形成されているような場合が挙げられる。また、この態様にあっては、プライマー層の表面の一部の領域に着色インクおよび透明インクが適用され、残りの部分の全部の領域が、着色インクも透明インクも適用されていない領域、すなわちプライマー層がむき出しになっている(外界と接している)領域である態様も含まれる。
また、上記第3の態様にあっては、その具体例として、プライマー層の表面の一部に着色インクを適用して着色インク層(例えば、島状または斑状の着色インク層)が形成される場合、プライマー層の表面の一部に着色インクによる微細なドットを形成して淡色系の着色インク層が形成される場合、またはこれらの組合せの場合、などを挙げることができる。プライマー層の表面全体において着色インクが適用された領域が僅かである場合に、その後このプライマー層の全面にさらに後述するクリア層を設けようとすると、着色インクが適用されていない残りの領域、すなわちプライマー層がむき出しになっている広い領域に直接クリア層が形成されることとなる。ところがこの場合、プライマー層の硬化反応が相当程度進行した状態では、クリア塗料はプライマー層に浸透・拡散することが困難であるため、プライマー層とクリア層との密着性を得ることが困難である。
一方、プライマー層の架橋反応が相当程度進んだ状態であっても、着色インクが適用された領域では、着色インクが完全に硬化するまでの間は、着色インク層とクリア層とはこれら2層の界面で生じた化学結合によって付着可能であるため、着色インク層を介してプライマー層とクリア層との密着性を確保することが可能となる。
要するに、着色インク層を介してプライマー層とクリア層との密着性が確保できる領域が僅かであり、一方プライマー層とクリア層とが直に接触することとなり両者の密着性が得難い領域が広い場合には、クリア層がプライマー層から剥離してしまう傾向が高い。そこで、このような場合には、着色インクが適用されない領域の一部または全部に透明インクを適用することによって、この透明インク層を介して、プライマー層とクリア層との密着性を実現することが可能となる。その結果、プライマー層からクリア層が剥離してしまうのを防止することが可能となる。
透明インクを適用して形成される透明インク層の態様
上記のとおり、透明インクを適用して形成される透明インク層は、プライマー層とクリア層との密着性を確保できるのに十分な領域で形成されていればよいため、本発明の好ましい態様によれば、プライマー層表面に適用される透明インクの単位面積当たりの適量用が、着色インクの単位面積当たりの適用量よりも少ないことが好ましい。
上記のとおり、透明インクを適用して形成される透明インク層は、プライマー層とクリア層との密着性を確保できるのに十分な領域で形成されていればよいため、本発明の好ましい態様によれば、プライマー層表面に適用される透明インクの単位面積当たりの適量用が、着色インクの単位面積当たりの適用量よりも少ないことが好ましい。
具体的には、単位面積当たりの透明インク層の存在領域が、単位面積当たりの着色インク層の存在領域よりも狭く、透明インク層が、着色インク層が形成されていない領域の全部に形成されている態様を挙げることができる。また、着色インク層が形成されていない領域の全部の領域が、さらに透明インク層の形成領域と非形成領域とに分けられてこれらが混在していることにより、単位面積当たりの透明インク層の存在領域が着色インク層の存在領域より狭くなっている態様を挙げることができる。また、これらの態様を組み合わせた態様を挙げることもできる。
この組み合わせた態様の具体例としては、着色インク層がプライマー層表面の周縁部に形成されない場合に、透明インク層がプライマー層表面の当該周縁部に形成され、プライマー層表面の中央部には透明インク層の形成領域と非形成領域とが混在している(例えば、島状または斑状に点在している)状態で形成されている態様を挙げることができる(図2参照)。これにより、透明インク層および着色インク層からなるインク層全体を介して、プライマー層とクリア層との良好な密着性を確保することが可能となる。
クリア層
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材は、インク層の表面にクリア層がさらに積層されてなり、当該クリア層が、インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物を含むクリア塗料から形成されてなるものであることが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、クリア塗料が含む前記重合性不飽和基を有する化合物が重合性不飽和基を有するアクリル系化合物であることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材は、インク層の表面にクリア層がさらに積層されてなり、当該クリア層が、インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物を含むクリア塗料から形成されてなるものであることが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、クリア塗料が含む前記重合性不飽和基を有する化合物が重合性不飽和基を有するアクリル系化合物であることが好ましい。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、クリア層は、プライマー層の表面にインク層が形成されている領域、インク層が形成されていない領域がどのような態様で存在しているかどうかを問わず、プライマー層表面のインク層が形成され得る領域全体にわたって形成され、プライマー層もしくはインク層またはこれら双方を被覆している状態であることが好ましい。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明による加飾材は、インク層とクリア層とが、当該インク層を形成する着色インクおよび/または透明インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体と、当該クリア層を形成するクリア塗料が含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体とが同一の重合反応機構で生成されるものであることによりこれら2層の界面で生じた化学結合によって、付着してなることがより好ましい。ここで、インク層とクリア層の界面とは、これら2層の境界を含み、上記化学結合が生じる領域である限りにおいて、インク層の表面側の一部の領域やクリア層の底面側の一部の領域を含む所定の厚みを有する領域を意味する。
クリア層が設けられることにより、本発明による加飾材は優れた写像性、光沢性を得ることが可能となる。また、加飾材を汚染、外傷等の外的ストレスから保護することが可能となる。
また、クリア層が設けられることにより、メラミン化粧材が水分により体積変化を起こした場合であっても、メラミン化粧材の変形力に対して、上述したインク層に加え、さらにクリア層も抗力を発生することが可能となり、その結果、柔軟性を有するプライマー層が確実にメラミン化粧材の変形力を吸収することが可能となる。従って、インク層およびクリア層の保護を確実なものとすることが可能となり、メラミン化粧材を基礎とし、これにプライマー層、インク層およびクリア層が設けられた状態でもこれらが一体となった優れた耐久性を有する加飾材を得ることができる。
クリア塗料
本発明による加飾材を構成するクリア層を形成するクリア塗料は、インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含む。本発明の好ましい態様によれば、クリア層を形成するクリア塗料は、既に説明したインクが含む重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と同種または同一の重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むことが好ましい。
本発明による加飾材を構成するクリア層を形成するクリア塗料は、インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含む。本発明の好ましい態様によれば、クリア層を形成するクリア塗料は、既に説明したインクが含む重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と同種または同一の重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むことが好ましい。
クリア塗料に含まれる重合性不飽和基を有するアクリル系化合物は、前記インクに含まれる重合性不飽和基を有するアクリル化合物と同種または同一であるため、両者の活性エネルギー線の照射による重合反応機構は(活性エネルギー線の種類が異なっている場合であっても)同一である。従って、クリア層とインク層とはこれら2層の界面付近で生じた化学結合によって、強固に密着することが可能となる。さらに、クリア塗料に含まれる重合性不飽和基を有するアクリル系化合物が、インク層に浸透、拡散して、インク層を形成する重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と構造的に絡み合ってクリア層とインク層の密着性を高めることが可能となる。
このような重合性不飽和基を有するアクリル系化合物として、アクリル系重合性オリゴマー、プレポリマー、低分子アクリル系ポリマーを好ましく用いることができる。本発明のより好ましい態様によれば、前記重合性不飽和基を有するアクリル系化合物は、アクリルウレタン系重合性化合物である。この具体例としては、アクリルウレタン系重合性モノマー、オリゴマー、プレポリマー、低分子アクリルウレタンポリマーを挙げることができる。これにより、インク層の表面を透明な耐水被膜で保護することが可能となる。また、高い表面硬度を有する加飾材を得ることが可能となる。
また、クリア塗料は、既に説明したインクが含む重合開始剤と同じものを含むことができる。
また、クリア塗料は、溶剤(水および/または有機溶剤)を含んでいてもよい。また、クリア塗料は、適宜酢酸ブチルのなどのシンナー、つや消し剤、レオロジーコントロール剤などの各種添加剤を含むことができる。さらに、クリア層の透明性を損なわない範囲で色材を含んでも良い。
クリア塗料により、プライマー層の表面のインク適用可能領域全面に形成されるクリア層は、その層厚が30〜150μmであることが好ましい。クリア層の写像性、耐久性等の観点から、層厚が50〜120μmであることがより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材は、前記プライマー層、インク層およびクリア層各々の厚みが、以下の関係式を満たすものであることが好ましい。
プライマー層の厚み<インク層の厚み<クリア層の厚み
これにより、メラミン化粧材の体積変化により生じる応力のプライマー層による分散・吸収を確実に行わせることができる。また、軟質のプライマー層の平面精度を高くできるため、塗装品質を高く保ちつつ、応力の影響を抑えることができる。
プライマー層の厚み<インク層の厚み<クリア層の厚み
これにより、メラミン化粧材の体積変化により生じる応力のプライマー層による分散・吸収を確実に行わせることができる。また、軟質のプライマー層の平面精度を高くできるため、塗装品質を高く保ちつつ、応力の影響を抑えることができる。
縁材
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材にあっては、加飾材の側面のうち、少なくともメラミン化粧材の基材部分の側面、すなわち加飾材の側面であって、メラミン含有層、プライマー層、インク層および場合によりクリア層が形成されている部分を除く側面に、縁材がさらに設けられてなることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材にあっては、加飾材の側面のうち、少なくともメラミン化粧材の基材部分の側面、すなわち加飾材の側面であって、メラミン含有層、プライマー層、インク層および場合によりクリア層が形成されている部分を除く側面に、縁材がさらに設けられてなることが好ましい。
低圧メラミン化粧材の基材は木材を主成分とする多孔質構造を有している。低圧メラミン化粧材の側面にはメラミン層が無く、木材が露出しているため、低圧メラミン化粧材にプライマー組成物やインクを施すとこれら組成物が基材に浸透してしまう。すると、この部分から水分や湿分が浸透して、基材が変形したり、この変形に起因してプライマー層、インク層および場合によりクリア層が剥離したりすることがある。従って、加飾材の側面に縁材を設けることにより、とりわけ本発明による加飾材が水まわり機器に用いられる場合において、水分や湿分が低圧メラミン化粧材の基材の側面または内部に浸透して、基材が変形したり、この変形に起因してプライマー層、インク層およびクリア層の塗膜が剥離したりするのを防止することが可能となる。この縁材は、例えば接着剤を用いてメラミン化粧材の側面に貼り付けることにより設けることができる。
本発明のより好ましい態様によれば、縁材は加飾材の側面全面、すなわちメラミン化粧材(基材およびメラミン含有層)の側面、さらにメラミン化粧材の表面に積層されてなるプライマー層、インク層および場合によりクリア層の側面に設けることがより好ましい。プライマー層の周縁部分に着色インクも透明インクも適用されていない領域がある場合は、その領域におけるクリア層の密着が不十分で、クリア層が剥がれることがあり得るが、加飾材の側面全面に縁材を設けることにより、これを防止することができる。
縁材に用いられる材料としては、メラミン化粧材の基材の側面または内部への水分の浸透を回避可能なものであれば何らの制限なく用いることができる。例えば、公知の天然樹脂、合成樹脂等を用いることができる。これらの中でも、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、PET樹脂、DAP樹、アクリル樹脂などを好適に用いることができる。縁材は厚みが0.5〜3mmの長尺薄板形状のものを用いることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、縁材は加飾材のインク層の意匠とマッチングする意匠を有することが好ましい。
用途
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材は、強固な密着性、優れた耐久性、意匠性を有するため、キッチン、洗面所、バスルームおよびトイレ等の水まわり機器に好ましく用いることができる。水まわり機器用の加飾材の具体例としては、例えば、水まわり機器がシステムキッチンである場合、これを構成するフロアキャビネット、ウォールキャビネットおよび周辺ユニット等を構成する扉板や、各収納の底板、側板および天板等を好ましく挙げることができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材は、強固な密着性、優れた耐久性、意匠性を有するため、キッチン、洗面所、バスルームおよびトイレ等の水まわり機器に好ましく用いることができる。水まわり機器用の加飾材の具体例としては、例えば、水まわり機器がシステムキッチンである場合、これを構成するフロアキャビネット、ウォールキャビネットおよび周辺ユニット等を構成する扉板や、各収納の底板、側板および天板等を好ましく挙げることができる。
加飾材の製造方法
本発明の別の態様によれば、本発明は、強固な密着性、優れた耐久性、優れた意匠性を実現可能な加飾材の製造方法の提供をその目的としている。そして、本発明による加飾材の製造方法は、
その表面にメラミン含有層を備えてなる化粧材を用意する工程と、
前記化粧材が備えるメラミン含有層の表面に、当該メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物を適用する工程と、
前記プライマー組成物を硬化させて、硬化が不完全な状態であるプライマー層を形成する工程と、
前記硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、前記プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むインクを適用し、その後当該インクを硬化させて、インク層を形成する工程と
を少なくとも含んでなることを特徴とする。
本発明の別の態様によれば、本発明は、強固な密着性、優れた耐久性、優れた意匠性を実現可能な加飾材の製造方法の提供をその目的としている。そして、本発明による加飾材の製造方法は、
その表面にメラミン含有層を備えてなる化粧材を用意する工程と、
前記化粧材が備えるメラミン含有層の表面に、当該メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物を適用する工程と、
前記プライマー組成物を硬化させて、硬化が不完全な状態であるプライマー層を形成する工程と、
前記硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、前記プライマー組成物が含む硬化剤と主剤との反応生成物に対して作用可能な重合性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むインクを適用し、その後当該インクを硬化させて、インク層を形成する工程と
を少なくとも含んでなることを特徴とする。
化粧材の用意
本発明による加飾材の製造方法にあっては、先ず化粧材を用意する。本発明による製造方法において用いられる化粧材については既に説明したとおりである。
本発明による加飾材の製造方法にあっては、先ず化粧材を用意する。本発明による製造方法において用いられる化粧材については既に説明したとおりである。
プライマー組成物の適用
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、化粧材が備えるメラミン含有層の表面に、当該メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基、好ましくはイソシアネート基およびカルボジイミド基より選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物を適用する。プライマー組成物が含む硬化剤、主剤の詳細については既に説明したとおりである。
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、化粧材が備えるメラミン含有層の表面に、当該メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学的に結合可能な官能基、好ましくはイソシアネート基およびカルボジイミド基より選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物を適用する。プライマー組成物が含む硬化剤、主剤の詳細については既に説明したとおりである。
また、既に説明したとおり、メラミン含有層の表面にプライマー組成物を適用すると、このプライマー組成物が含む硬化剤が有するイソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基が、メラミン化粧材のメラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と化学反応する。これにより、メラミン含有層とプライマー層とは、これら2層の界面付近で生じたウレア結合およびアミド結合より選択される少なくとも一種の化学結合によって、付着することが可能となる。
プライマー組成物をメラミン化粧材が備えるメラミン含有層の表面に適用する方法としては、一般的な塗布方法、例えば、スプレー塗布、ロールコーター塗布、フローコーター塗布を用いることができる。プライマー組成物の適用にあたっては、異物の混入や塗布ムラがないようにすることが考慮される。
プライマー組成物の硬化が不完全な状態であるプライマー層の形成
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、プライマー組成物を硬化させ、硬化が不完全な状態であるプライマー層を形成する。
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、プライマー組成物を硬化させ、硬化が不完全な状態であるプライマー層を形成する。
本発明において、「硬化が不完全な状態」とは、プライマー組成物に含まれる硬化剤と主剤とが架橋反応を始めてから終了するまでの状態を意味する。硬化が不完全な状態であるか否かは、例えば以下の簡易試験により判別することができる。具体的には、先ず、メラミン化粧材にプライマー組成物を塗布し、その後所定の条件で硬化させる。次いで、プライマー層の表面に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを0.2ml滴下する。5秒後、「キムワイプ」(日本製紙クレシア社製)1枚を用い、前記アクリレートを滴下した箇所を手で往復摺動して、前記アクリレートをふき取る。手でキムワイプを10往復摺動させても、プライマー層の表面にその痕跡が残らない場合を、「完全硬化」の状態であると判断する。一方、手でキムワイプを10往復以下摺動させたとき、プライマー層の表面にその痕跡が残る場合や、プライマー層が前記アクリレートにより膨潤または溶解しているために除去された場合を「不完全硬化」の状態であると判断する。
プライマー層の架橋反応が進むにつれて、プライマー層に対するインクの浸透性および密着性は変化するため、インクの濡れ性および密着性が最適な状態となるように、プライマー層の硬化が不完全な状態を制御することが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、プライマー層の硬化が不完全な状態を制御するために、例えば、赤外分光測定においてNCO基に由来するピーク(2269cm−1)の強度とCH3基に由来するピーク(2946cm−1)の強度との比を取ったNCO/CH3比を元に、プライマー組成物に含まれる硬化剤が有するイソシアネート基の残存率を特定の範囲に制御することができる。NCO/CH3比の好ましい範囲は、0.8以上1.1以下である。また、プライマー層とメラミン化粧材との良好な密着性を維持しながら、プライマー層に対するインクの浸透・拡散性を制御することが考慮される。
本発明の好ましい態様によれば、プライマー組成物を硬化させる方法として、加熱を含む乾燥を行うことが好ましい。これにより、プライマー組成物中の溶剤(希釈剤)が揮発し、プライマー組成物の粘度が上昇し、硬化剤と主剤との架橋反応が進行する。乾燥の具体例としては、常温乾燥または強制的な乾燥を挙げることができる。強制的な乾燥の具体例としては、一般的な乾燥方法、例えば、IR(赤外線)乾燥、熱風乾燥を挙げることができる。また、強制乾燥を行う場合、40〜70℃の範囲の基材温度で乾燥を行うことが好ましい。これにより、例えば、溶剤の残存による硬化不良を防ぐことが可能となる。また、メラミン化粧材の基材である木材に反りが発生するのを防ぐことが可能となる。さらに、過剰な乾燥を防ぐことにより、過剰な硬化を防ぐことが可能となる。より好ましい基材温度は50〜65℃である。
また、プライマー層は適宜養生させることができる。これにより、プライマー組成物の硬化を適切な状態に調整することが可能となる。その結果、プライマー層とインク層とが強固に密着することが可能となり、さらには、インクのプライマー層への適度な浸透・拡散状態を確保し、高い発色性を有する優れたインク層を得ることが可能となる。本発明の好ましい態様によれば、養生は、例えば20〜40℃の温度、5〜95%の相対湿度で、0時間を超え18時間以内で行うことが好ましい。
硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面へのインクの適用
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、その硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、インクを適用する。インク、着色インク、透明インクの詳細については既に説明したとおりである。
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、その硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、インクを適用する。インク、着色インク、透明インクの詳細については既に説明したとおりである。
また、既に説明したとおり、硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面にインクを適用すると、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物が架橋反応中のプライマー層を形成する架橋体に適度に浸透・拡散し、その後インクを硬化させることによりこの反応生成物と構造的に絡み合うことが可能となる。その結果、プライマー層とインク層とはこれら2層の界面で生じた構造的絡み合いにより強固に密着することが可能となる。
インクジェット印刷によるインクの適用
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、その硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部にインクを適用する方式が、インクジェット方式であることが好ましい。インクジェット印刷を行うことにより、プライマー層にカラーバリエーションおよびデザインバリエーションに富んだ高品質な加飾を簡便に施すことが可能となる。また、個々の多様なデザイン要求に、短時間で、低コストで、柔軟に対応することが可能であり、実用的に価値の高い加飾材の製造法を提供することが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、その硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部にインクを適用する方式が、インクジェット方式であることが好ましい。インクジェット印刷を行うことにより、プライマー層にカラーバリエーションおよびデザインバリエーションに富んだ高品質な加飾を簡便に施すことが可能となる。また、個々の多様なデザイン要求に、短時間で、低コストで、柔軟に対応することが可能であり、実用的に価値の高い加飾材の製造法を提供することが可能となる。
インクジェット印刷装置
インクをインクジェット印刷するのに用いられるインクジェット印刷装置は、シリアル型またはライン型のいずれであってもよい。例えば、デザイン性を重視する場合、シリアル型のインクジェット印刷装置を用いるのが好ましい。
インクをインクジェット印刷するのに用いられるインクジェット印刷装置は、シリアル型またはライン型のいずれであってもよい。例えば、デザイン性を重視する場合、シリアル型のインクジェット印刷装置を用いるのが好ましい。
シリアル型(シャトルスキャン型)インクジェット印刷装置の概略構成図を図3に示す。着色インクおよび透明インク各々は、インクタンク8から、インク供給用チューブ(図示せず)を通して、ヘッドユニット部2に供給される。このヘッドユニット部2は、長軸の金属軸からなる固定軸5で固定され、往復運動が可能な動力部4によって、可変スピードで往復運動を行う。なお、往復運動が可能な動力部4には、インク供給用チューブ(図示せず)とヘッド制御用の電気配線(図示せず)が内蔵されている。ヘッドユニット部2の固定軸5の両端には、ヘッドのメンテナンスおよびクリーニングを実施するためのメンテナンス部3が設けられる。さらにこれらの外側には、インクジェット印刷装置をコントロールするための制御部6(例えば、パーソナルコンピュータ)、およびインクタンク8が配置される。
ヘッドユニット部2は、ヘッドを1色当たり2つ配列して例えば200dpiにしたヘッドセット7組と、紫外線照射手段(例えば、メタルハライドランプ)2基で構成される。なお、ヘッドセットは、左から順に、例えばブラックインク用、シアンインク用、マゼンタインク用、イエローインク用、ライトシアンインク用、ライトマゼンタインク用、透明インク用で配置される。また、双方向印刷での着色インクと透明インクの吐出方法のバリエーションを豊富にするため、上記7組のヘッドセットの例において、さらに一番左に透明インク用ヘッドセットを設けた8組のヘッドセットとすることもできる。図3では紫外線照射手段をヘッドセットの両側に計2基設けているが、片側1基としても良い。
ヘッドの直下には、被印刷媒体を固定可能な被印刷媒体ステージ7が配置される。被印刷媒体9は、ヘッドの往復運動とは水平面に沿って直角の方向、すなわち副走査方向に搬送される。印刷時の副走査方向への移動は、ヘッドを可動式にして行なってもよく、ステージを可動式にして行なってもよい。
プライマー層表面へのインクの適用態様
本発明による加飾材の製造方法にあっては、プライマー組成物の硬化が不完全な状態である間に、当該プライマー組成物が塗布された領域上の一部または全部に、好ましくはインクジェット印刷によって以下の態様で、着色インクおよび/または透明インクが適用され得る。
本発明による加飾材の製造方法にあっては、プライマー組成物の硬化が不完全な状態である間に、当該プライマー組成物が塗布された領域上の一部または全部に、好ましくはインクジェット印刷によって以下の態様で、着色インクおよび/または透明インクが適用され得る。
第1の態様にあっては、プライマー層表面の印刷可能領域に着色インクがベタ印刷され、プライマー層の表面全体に着色インクからなるインク層が形成されている。
第2の態様にあっては、プライマー層表面の印刷可能領域に透明インクがベタ印刷され、プライマー層の表面全体に透明インクからなるインク層が形成されている。この態様にあっては、例えば、加飾材に色彩を付した模様を特に必要とせず、メラミン化粧材の表面の色味、好適には低圧メラミン化粧材の白色の地色を生かした白色の加飾材を得ることが可能となる。
第3の態様にあっては、プライマー層表面の印刷可能領域の一部に着色インクが印刷されて、着色インクからなる着色インク層が形成され、着色インクが印刷されない残りの部分の一部または全部に透明インクが印刷されて、透明インクからなる透明インク層が形成されている。例えば、プライマー層表面の独立した複数の領域に着色インクが適用されて着色インク層が形成され、一方当該着色インク層が形成されていないプライマー層の表面の独立した複数の領域に透明インクが適用されて透明インク層が形成されているような場合が挙げられる。また、この態様にあっては、プライマー層表面の印刷可能領域の一部に着色インクおよび透明インクが適用されており、残りの領域の全部が、着色インクも透明インクも適用されていない領域、すなわちプライマー層がむき出しになっている(外界と接している)領域である態様も含まれる。
また、上記第3の態様にあっては、その具体例として、プライマー層表面の一部に着色インクを適用して着色インク層(例えば、島状または斑状の着色インク層)が形成される場合、プライマー層表面の一部に着色インクによる微細なドットを形成して淡色系の加飾が施される場合、またはこれらの組合せの場合、などを挙げることができる。プライマー層の表面全体において着色インクが適用された領域が僅かである場合に、その後このプライマー層全面にさらにクリア層を設けようとすると、着色インクが適用されていない残りの領域、すなわちプライマー層がむき出しになっている広い領域に直接クリア塗料が適用されることとなる。ところがこの場合、プライマー層の架橋反応が相当程度進んだ状態では、クリア塗料はプライマー層に浸透・拡散することが困難であるため、プライマー層とクリア層との密着性を得ることが困難である。
一方、プライマー層の架橋反応が相当程度進んだ状態であっても、着色インクが適用された領域では、着色インクが完全に硬化するまでの間は、着色インク層とクリア層とはこれら2層の界面で生じた化学結合によって付着可能であるため、着色インク層を介してプライマー層とクリア層との密着性を確保することが可能となる。
要するに、着色インク層を介してプライマー層とクリア層との密着性が確保できる領域が僅かであり、一方プライマー層とクリア層とが直に接触することとなり両者の密着性が得難い領域が広い場合には、クリア層がプライマー層から剥離してしまう傾向が高い。そこで、このような場合には、着色インクが適用されない領域の一部または全部に透明インクを適用することによって、この透明インク層を介して、プライマー層とクリア層との密着性を実現することが可能となる。その結果、プライマー層からクリア層が剥離してしまうのを防止することが可能となる。
透明インクの適用態様
上記のとおり、透明インクを適用して形成される透明インク層は、プライマー層とクリア層との密着性を確保できるのに十分な領域で形成されていればよいため、本発明の好ましい態様によれば、プライマー層表面に適用される透明インクの単位面積当たりの適量用が、着色インクの単位面積当たりの適用量よりも少ないことが好ましい。
上記のとおり、透明インクを適用して形成される透明インク層は、プライマー層とクリア層との密着性を確保できるのに十分な領域で形成されていればよいため、本発明の好ましい態様によれば、プライマー層表面に適用される透明インクの単位面積当たりの適量用が、着色インクの単位面積当たりの適用量よりも少ないことが好ましい。
具体的には、単位面積当たりの透明インク層の存在領域が、単位面積当たりの着色インク層の存在領域よりも狭く、透明インク層が、着色インク層が形成されていない領域の全部に形成されている態様を挙げることができる。また、着色インク層が形成されていない領域の全部の領域が、さらに透明インク層の形成領域と非形成領域とに分けられてこれらが混在していることにより、単位面積当たりの透明インク層の存在領域が着色インク層の存在領域より狭くなっている態様を挙げることができる。また、これらの態様を組み合わせた態様を挙げることもできる。
前記組み合わせた態様の具体例としては、着色インクがプライマー層表面の周縁部に適用されない場合に、透明インクをプライマー層表面の当該周縁部に適用し、プライマー層表面の中央部には透明インクの適用領域と非適用領域とが混在する(例えば、島状または斑状に点在する)ように適用する方法を用いることができる(図2参照)。これにより、透明インク層および着色インク層からなるインク層全体を介して、プライマー層とクリア層との良好な密着性を確保することが可能となる。
本発明の別の好ましい態様によれば、プライマー層とクリア層との密着性を確保する透明インクの適用態様として、透明インクを間引き印刷することが好ましい。間引き印刷を行うことにより、透明インクの適用領域が小さくなるようにすることができる。これにより、間引き印刷をしない場合に比べて少量の透明インクの使用量でプライマー層とクリア層との密着性を確保することができ、効率的かつ経済的である。
透明インクの間引き印刷は、着色インク層と透明インク層からなるインク層全体を介してプライマー層とクリア層との密着性を確保することが可能な範囲内で適宜行うことができる。本発明において、「間引き印刷」とは、1回のパスにおいて1バンド内の全てのピクセルを印刷の対象としないような印刷をいう。ここで、印刷領域の主走査方向に延長する1本のライン上に位置する複数のピクセルを印刷単位としての「バンド」と称することとし、印刷可能領域はその面積に相当する複数のバンドから構成される。間引き印刷の具体例としては、例えば、印字されない1ドットまたはそれ以上の空ドット幅を間において印刷し、単位面積当たりに吐出するインク滴を所定間隔毎に間引いて印刷することが挙げられる。また、単位面積当たりに吐出するインク滴をランダムな間隔で間引いて印刷してもよいし、インク滴を所定間隔とランダムな間隔とが規則的または不規則的に混在する態様で間引いて印刷してもよい。
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、透明インクの単位面積当たりの適用量は、着色インクの適用量の20%以上100%未満(面積%または体積%)であることが好ましい。すなわち、透明インクの単位面積当たりの適用量が、透明インク層のプライマー層表面における面積が、着色インク層のプライマー層表面における面積に対して占める割合(百分率;面積%)として20%以上100%未満であることが好ましい。また、透明インクの単位面積当たりの適用量が、プライマー層表面における透明インク層の体積が、着色インク層の体積に対して占める割合(百分率;体積%)として20%以上100%未満であることが好ましい。
また、上記第3の態様にあっては、例えば、透明インクの吐出量と着色インクの吐出量とを調整してプライマー層の表面に印刷することにより、着色インク印刷領域と着色インク非印刷領域における光沢性を実質的に均一にするようにすることが可能となる。つまり、プライマー層の表面における印刷デューティーの高低差に依存する光沢度比を最小(最大光沢度/最小光沢度が1またはその近傍)にすることができ、光沢ムラのない高品位な加飾を実現することができる。とりわけ、クリア層を形成しない場合であっても、加飾材の表面、すなわちインク層の表面に光沢性を付与することが可能となる点で有利である。なお、印刷デューティーとは、下記の式で定義され、算出される値Dの単位を示すものを意味する。
D={実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)}×100(%)
(式中、「実印字ドット数」は、単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」は、それぞれ単位面積当たりの解像度である。)
(式中、「実印字ドット数」は、単位面積当たりの実印字ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」は、それぞれ単位面積当たりの解像度である。)
透明インクの吐出量と着色インクの吐出量とを調整するために、例えば、着色インクの印刷デューティーの値に応じて透明インクの吐出量を調整することが好ましい。具体的には、着色インクの印刷デューティーが低い場合、透明インクの吐出量を多くし、着色インクの印刷デューティーが高い場合、透明インクの吐出量を少なくする。着色インクの印刷デューティーが20〜60%、とりわけ30〜50%の範囲の場合、透明インクの吐出量を調整することが望ましい。
また、別の調整方法にあっては、着色インクの印刷デューティーが低い場合、着色インクと透明インクとの吐出量の合計を一定量に調整し、着色インクの印刷デューティーが高い場合、着色インクの印刷デューティーに拘わらず透明インクの吐出量を一定の少量に調整することもできる。具体的には、着色インクの印刷デューティーが低い場合、着色インクと透明インクとの吐出量の合計を印刷デューティーの合計で20〜60%の範囲に調整し、着色インクの印刷デューティーが高い場合、透明インクの吐出量を印刷デューティーで1〜20%の範囲内で一定になるように調整することができる。
インクの硬化
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面に適用されたインクを硬化させて、インク層を形成する。インクの硬化は、硬化後に形成されるインク層の強度が良好なものであり、かつインク層がプライマー層に強固に密着するように制御されることが好ましい。また、後述するように、クリア層を形成する場合はインク層が不完全硬化の状態でクリア塗料を適用するのが好ましい。
本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面に適用されたインクを硬化させて、インク層を形成する。インクの硬化は、硬化後に形成されるインク層の強度が良好なものであり、かつインク層がプライマー層に強固に密着するように制御されることが好ましい。また、後述するように、クリア層を形成する場合はインク層が不完全硬化の状態でクリア塗料を適用するのが好ましい。
既に説明したとおり、インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物がプライマー層を形成する架橋反応中の架橋体に適度に浸透・拡散した状態で、インクが硬化されることにより、プライマー層を形成する架橋体とインクが含むアクリル系化合物とは互いに密に(凝縮して)絡み合った状態を形成することが可能となる。その結果、プライマー層とインク層とが強固に密着することが可能となる。
着色インクおよび/または透明インクを硬化させる方法は、活性エネルギー線を用いることができる。本発明の好ましい態様によれば、熱硬化または光硬化のいずれかにより硬化させる方法であることが好ましい。これにより、硬化時間を短縮できる、熱に弱い材料を硬化させることができる、光の照度や波長の調整により、塗膜特性の繊細なコントロールが可能である、光を瞬時にオン/オフできるため熱硬化に比べて装置の立ち上げにかかる時間を短縮でき、作業効率を向上できる、無溶剤で使用が可能なため揮発性有機化合物(VOC)や有害大気汚染物質(HAP)などの環境汚染物質の発生がなく、二酸化炭素の発生もないため、環境対応性に優れるなど種々の利点をもたらす。
本発明の好ましい態様によれば、このようなインク層の強度および密着性を実現するために、例えば、インクをプライマー層へ適用した後、直ちに活性エネルギー線を照射して硬化を開始させることが好ましい。また、活性エネルギー線の照度、積算光量を適切に制御し、例えばこれらが不足する場合に起こり得る酸素阻害に起因する硬化不良を防止することが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、活性エネルギー線として紫外線を用いることが好ましい。
着色インクおよび/または透明インクの硬化は、熱硬化または光硬化のいずれの方法を用いる場合であっても、加熱条件下で行なって良い。加熱する際には、基材温度が40〜70℃の範囲の最高温度で行うことが好ましい。これにより、例えば、低圧メラミン化粧材の基材である木材に反りが発生するのを防ぐことが可能となる。さらに、過剰な乾燥を防ぐことにより、インク層の過剰な硬化を防ぐことが可能となる。より好ましい基材温度は50〜65℃である。
クリア層を形成する工程
クリア塗料の適用
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、インク層の表面に、インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むクリア塗料を適用することが好ましい。これにより、既に説明したとおり、インク層とクリア層とが、当該インク層を形成する着色インクおよび/または透明インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体と、当該クリア層を形成するクリア塗料が含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体とが同一の重合反応機構で生成されるものであることによりこれら2層の界面で生じた化学結合によって、付着することが可能となる。
クリア塗料の適用
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、インク層の表面に、インクが含む重合性不飽和基を有する化合物と同一の重合反応機構を有する重合性不飽和基を有する化合物、好ましくは重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むクリア塗料を適用することが好ましい。これにより、既に説明したとおり、インク層とクリア層とが、当該インク層を形成する着色インクおよび/または透明インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体と、当該クリア層を形成するクリア塗料が含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物の重合体とが同一の重合反応機構で生成されるものであることによりこれら2層の界面で生じた化学結合によって、付着することが可能となる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、クリア塗料は、プライマー層表面上においてインクが適用される領域、インクが適用されない領域がどのように存在しているかどうかを問わず、プライマー層表面のインクが適用され得る領域全体にわたって適用されることが好ましい。
クリア層が設けられることにより、本発明による製造方法により得られる加飾材は優れた写像性、光沢性を得ることが可能となる。また、本発明による製造方法によれば、これにより得られた加飾材を汚染、外傷等の外的ストレスから保護することが可能となる。
クリア塗料をインク層の表面に適用する方法として、一般的な塗布方法、例えば、スプレー塗布、ロールコーター塗布、フローコーター塗布を用いることができる。塗布にあたっては、異物の混入や塗布ムラがないようにすることが考慮される。
クリア塗料の乾燥
クリア塗料に溶剤が含まれている場合は、塗布後、加熱を含む乾燥を行うことが好ましい。乾燥の具体例としては、常温乾燥または強制的な乾燥を挙げることができる。強制的な乾燥の具体例としては、一般的な乾燥方法、例えば、IR(赤外線)乾燥、熱風乾燥を挙げることができる。また、強制乾燥を行う場合、40〜70℃の範囲の基材温度で乾燥を行うことが好ましい。これにより、例えば、溶剤の残存による硬化不良を防ぐことが可能となる。また、メラミン化粧材の基材である木材に反りが発生するのを防ぐことが可能となる。さらに、過剰な乾燥を防ぐことにより、クリア塗料の過剰な硬化を防ぐことが可能となる。より好ましい基材温度は50〜65℃である。
クリア塗料に溶剤が含まれている場合は、塗布後、加熱を含む乾燥を行うことが好ましい。乾燥の具体例としては、常温乾燥または強制的な乾燥を挙げることができる。強制的な乾燥の具体例としては、一般的な乾燥方法、例えば、IR(赤外線)乾燥、熱風乾燥を挙げることができる。また、強制乾燥を行う場合、40〜70℃の範囲の基材温度で乾燥を行うことが好ましい。これにより、例えば、溶剤の残存による硬化不良を防ぐことが可能となる。また、メラミン化粧材の基材である木材に反りが発生するのを防ぐことが可能となる。さらに、過剰な乾燥を防ぐことにより、クリア塗料の過剰な硬化を防ぐことが可能となる。より好ましい基材温度は50〜65℃である。
クリア塗料の硬化
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、塗布したクリア塗料に活性エネルギー線を照射して、当該クリア塗料を硬化させて、クリア層を形成する。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、次いで、塗布したクリア塗料に活性エネルギー線を照射して、当該クリア塗料を硬化させて、クリア層を形成する。
クリア塗料の硬化は、インク層の硬化が不完全な状態で始めることが好ましい。既に説明したように、クリア塗料に好ましく含まれるアクリル系重合性化合物と着色インクおよび/または透明インクに好ましく含まれるアクリル系重合性化合物とは両者の重合機構が同一であるため、インク層とクリア層とはこれら2層の界面で生じた化学結合によって、付着することが可能となる。しかし、クリア塗料を塗布する時点で既にインク層が完全に硬化している場合や、硬化反応がかなり進行している場合には、もはやクリア塗料に含まれる重合性化合物が重合可能な対象が存在しないか、あるいは非常に少ないこととなる。従って、クリア層とインク層との良好な付着状態を実現するためには、インク層が完全に硬化する前の適切な状態でクリア塗料を硬化させることが好ましい。
クリア塗料を硬化させる方法として、熱硬化または光硬化のいずれを用いることもできるが、光硬化の方が好ましい。これにより、優れた表面硬度を有するクリア層を得ることが可能となる。熱硬化または光硬化のいずれの方法を用いる場合であっても、加熱条件下で行なって良い。加熱する際には、基材温度が40〜70℃の範囲の最高温度で硬化を行うことが好ましい。これにより、例えば、溶剤の残存による硬化不良を防ぐことが可能となる。また、メラミン化粧材の基材である木材に反りが発生するのを防ぐことが可能となる。さらに、過剰な乾燥を防ぐことにより、クリア層の過剰な硬化を防ぐことが可能となる。より好ましい基材温度は50〜65℃である。
本発明の好ましい態様によれば、クリア層の表面強度および密着性を実現するために、例えば、クリア塗料をインク層、プライマー層へ塗布した後、溶剤が含まれる場合は乾燥され次第、活性エネルギー線を照射して硬化を開始させる。また、活性エネルギー線の照度、積算光量を適切に制御し、例えばこれらが不足する場合に起こり得る酸素阻害に起因する硬化不良を防止することが好ましい。溶剤が過剰に残存して、クリア層の白化、クラックを生じないように、クリア塗料が含む溶剤の残存率を制御することが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、活性エネルギー線として紫外線、IRを用いることが好ましい。
プライマー層の完全硬化(後硬化)
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、プライマー層の硬化が不完全な状態で当該プライマー層上にインクが適用されるため、その後プライマー層を完全硬化させることが好ましい。完全硬化の処理は、既に説明したプライマー層を硬化させる方法と同様の方法で行うことができる。また、プライマー層の完全硬化はインクの硬化と同一の工程で行うこともできる。ここで、「同一の工程で行う」には、プライマー層の完全硬化を、インクの硬化工程に含ませ、これに替えることも包含するものとする(以下同様)。また、インク層を形成した後この上にさらにクリア層を設ける場合は、クリア塗料を適用した後に完全硬化させることが好ましい。特に、クリア塗料が溶剤を含む場合や、熱硬化型塗料である場合は、溶剤を乾燥させる処理またはクリア層を硬化させる処理と、プライマー層を後硬化する処理とを同一の工程で行うことができる。また、プライマー層の完全硬化は、これら双方の処理にまたがって行うこともできる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、プライマー層の硬化が不完全な状態で当該プライマー層上にインクが適用されるため、その後プライマー層を完全硬化させることが好ましい。完全硬化の処理は、既に説明したプライマー層を硬化させる方法と同様の方法で行うことができる。また、プライマー層の完全硬化はインクの硬化と同一の工程で行うこともできる。ここで、「同一の工程で行う」には、プライマー層の完全硬化を、インクの硬化工程に含ませ、これに替えることも包含するものとする(以下同様)。また、インク層を形成した後この上にさらにクリア層を設ける場合は、クリア塗料を適用した後に完全硬化させることが好ましい。特に、クリア塗料が溶剤を含む場合や、熱硬化型塗料である場合は、溶剤を乾燥させる処理またはクリア層を硬化させる処理と、プライマー層を後硬化する処理とを同一の工程で行うことができる。また、プライマー層の完全硬化は、これら双方の処理にまたがって行うこともできる。
加飾材の側面に縁材を設ける工程
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、加飾材の側面のうち、少なくともメラミン化粧材の基材部分の側面、すなわち加飾材の側面であって、メラミン含有層、プライマー層、インク層および場合によりクリア層が形成されている部分を除く側面に、さらに縁材を設ける工程を含むことが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、加飾材の側面のうち、少なくともメラミン化粧材の基材部分の側面、すなわち加飾材の側面であって、メラミン含有層、プライマー層、インク層および場合によりクリア層が形成されている部分を除く側面に、さらに縁材を設ける工程を含むことが好ましい。
低圧メラミン化粧材の基材は木材を主成分とする多孔質構造を有している。低圧メラミン化粧材の側面にはメラミン層が無く、木材が露出しているため、低圧メラミン化粧材にプライマー組成物やインクを施すとこれら組成物が基材に浸透してしまう。すると、この部分から水分や湿分が浸透して、基材が変形したり、この変形に起因してプライマー層、インク層および場合によりクリア層が剥離したりすることがある。従って、加飾材の側面に縁材を設けることにより、とりわけ本発明による加飾材が水まわり機器に用いられる場合において、水分や湿分が低圧メラミン化粧材の基材の側面または内部に浸透して、基材が変形したり、この変形に起因してプライマー層、インク層およびクリア層の塗膜が剥離したりするのを防止することが可能となる。この縁材は、例えば接着剤を用いてメラミン化粧材の側面に貼り付けることにより設けることができる。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、加飾材の側面全面、すなわちメラミン化粧材(基材およびメラミン含有層)の側面、さらにプライマー層、インク層および場合によりクリア層の側面に、さらに縁材を設ける工程を含むことが好ましい。プライマー層の周縁部分に着色インクも透明インクも適用されていない領域がある場合は、その領域におけるクリア層の密着が不十分で、プライマー層からクリア層が剥がれることがあり得るが、加飾材の側面全面に縁材を設けることにより、これを防止することができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、加飾材の側面全面に、プライマー層、インク層およびクリア層を形成(塗装)することなく、縁材を設けることが好ましい。内部に空気を多く含む低圧メラミン化粧材にあっては、通気性を遮断するよう全面塗装を施すと変形が大きくなり、その結果塗装面が大きく変形したり、割れが生じたりするおそれがあるが、側面を塗装することなく縁材を設けることにより、変形を小さくすることができる。またこれにより、プライマー層を薄くすることが可能となる。さらに、プライマー層を薄くしても、変形を吸収でき、変形量を緩和できるため、塗装面のうねりを小さくでき、綺麗な塗装面を実現できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、インク層およびクリア層の乾燥後に縁材を設けることが好ましい。側面を塗装せず乾燥させることで、低圧メラミン化粧材故の内部空気の膨張収縮による変形を緩和することができ、加飾材(完成品)の塗装品質を高めることが可能となる。
研削処理
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、加飾材の側面に縁材を設ける前に、さらに加飾材の側面を研削処理することが好ましい。上述のとおり、加飾材の側面のうち低圧メラミン化粧材の基材の側面部分は基材がむき出しになっており、側面の形状は凹凸になっている。従って、加飾材の側面に縁材を設ける前処理として研削処理を行うことにより、側面を平面にすることが可能となる。その結果、加飾材の側面に縁材を容易にかつ密封状態で設けることが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による加飾材の製造方法にあっては、加飾材の側面に縁材を設ける前に、さらに加飾材の側面を研削処理することが好ましい。上述のとおり、加飾材の側面のうち低圧メラミン化粧材の基材の側面部分は基材がむき出しになっており、側面の形状は凹凸になっている。従って、加飾材の側面に縁材を設ける前処理として研削処理を行うことにより、側面を平面にすることが可能となる。その結果、加飾材の側面に縁材を容易にかつ密封状態で設けることが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、縁材は、メラミン化粧材のメラミン含有層の表面にプライマー層、インク層、および場合によりクリア層を順次形成した後で設けることが好ましい。これにより、研削処理の際、メラミン化粧材のチッピングを防ぐことが可能となる。インク層形成後に縁貼りする際には、インク層を完全硬化させた後に研削を行い、研削粉でインク層を汚さないようにすることが好ましい。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
使用材料
低圧メラミン化粧材
低圧メラミン化粧材として、カインドル社製の低圧メラミンパーティクルボードt15ミリ(18U)(JIS A5908)を用いた。
低圧メラミン化粧材
低圧メラミン化粧材として、カインドル社製の低圧メラミンパーティクルボードt15ミリ(18U)(JIS A5908)を用いた。
プライマー組成物
プライマー組成物として以下のものを調製した。
プライマーD5
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量55000、水酸基価52mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、酢酸ノルマルブチル52質量%
・硬化剤:イソシアヌレート型HDI(NCO含量12.4質量%)60質量%、酢酸ノルマルブチル40質量%
・希釈剤:メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=6:1:6となるように混合した。すなわち、硬化剤を主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で1.1の割合になるように添加した。
プライマー組成物として以下のものを調製した。
プライマーD5
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量55000、水酸基価52mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、酢酸ノルマルブチル52質量%
・硬化剤:イソシアヌレート型HDI(NCO含量12.4質量%)60質量%、酢酸ノルマルブチル40質量%
・希釈剤:メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸ブチル
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=6:1:6となるように混合した。すなわち、硬化剤を主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で1.1の割合になるように添加した。
プライマーD1
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量20000、水酸基価156mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、酢酸ノルマルブチル52質量%
・硬化剤:イソシアヌレート型HDI(NCO含量12.4質量%)60質量%、酢酸ノルマルブチル40質量%
・希釈剤:メチルイソブチルケトン(MIBK)および酢酸ブチルの混合溶媒
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=2:1:2となるように混合した。すなわち、硬化剤を主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で1.1の割合になるように添加した。
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量20000、水酸基価156mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、酢酸ノルマルブチル52質量%
・硬化剤:イソシアヌレート型HDI(NCO含量12.4質量%)60質量%、酢酸ノルマルブチル40質量%
・希釈剤:メチルイソブチルケトン(MIBK)および酢酸ブチルの混合溶媒
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=2:1:2となるように混合した。すなわち、硬化剤を主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で1.1の割合になるように添加した。
プライマーG
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量38000、水酸基価36mgKOH/g)32質量%(加熱残分)、セロソルブアセテート22質量%、酢酸ブチル45質量%、シリカ1質量%
・硬化剤:イソシアヌレート型HDI(NCO含量12.4 質量%)、60質量%、酢酸ノルマルブチル40質量%、
・希釈剤:メチルイソブチルケトン(MIBK)および酢酸ブチルの混合溶媒
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=8:1:3となるように混合した。すなわち、硬化剤は主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で1.2の割合になるように添加した。
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量38000、水酸基価36mgKOH/g)32質量%(加熱残分)、セロソルブアセテート22質量%、酢酸ブチル45質量%、シリカ1質量%
・硬化剤:イソシアヌレート型HDI(NCO含量12.4 質量%)、60質量%、酢酸ノルマルブチル40質量%、
・希釈剤:メチルイソブチルケトン(MIBK)および酢酸ブチルの混合溶媒
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=8:1:3となるように混合した。すなわち、硬化剤は主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で1.2の割合になるように添加した。
プライマーC
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量42000、水酸基価92mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、エチルベンゼン21質量%、キシレン21質量%、酢酸ノルマルブチル10質量%
・硬化剤:アダクト型HDI(NCO含量8.6質量%)51質量%、酢酸エチル49質量%
・希釈剤:酢酸エチル5質量%、酢酸イソブチル20質量%、酢酸ブチル25質量%、メトキシプロピルアセテート50質量%
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=4:1:3となるように混合した。すなわち、硬化剤を主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で0.65の割合になるように添加した。
・主剤:アクリルポリオール(重量平均分子量42000、水酸基価92mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、エチルベンゼン21質量%、キシレン21質量%、酢酸ノルマルブチル10質量%
・硬化剤:アダクト型HDI(NCO含量8.6質量%)51質量%、酢酸エチル49質量%
・希釈剤:酢酸エチル5質量%、酢酸イソブチル20質量%、酢酸ブチル25質量%、メトキシプロピルアセテート50質量%
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=4:1:3となるように混合した。すなわち、硬化剤を主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で0.65の割合になるように添加した。
プライマーB
・主剤:ポリエステルポリオール(重量平均分子量30000、水酸基価10mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、酢酸ノルマルブチル52質量%
・硬化剤:アダクト型XDI(NCO含量6質量%)51質量%、酢酸エチル49質量%
・希釈剤:酢酸エチル5質量%、酢酸イソブチル20質量%、酢酸ノルマルブチル25質量%、メトキシプロピルアセテート50質量%
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=7:1:3となるように混合した。すなわち、硬化剤は主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で2.30の割合になるように添加した。
・主剤:ポリエステルポリオール(重量平均分子量30000、水酸基価10mgKOH/g)48質量%(加熱残分)、酢酸ノルマルブチル52質量%
・硬化剤:アダクト型XDI(NCO含量6質量%)51質量%、酢酸エチル49質量%
・希釈剤:酢酸エチル5質量%、酢酸イソブチル20質量%、酢酸ノルマルブチル25質量%、メトキシプロピルアセテート50質量%
上記主剤、硬化剤および希釈剤を、これらの混合比(質量比)が主剤:硬化剤:希釈剤=7:1:3となるように混合した。すなわち、硬化剤は主剤の樹脂の水酸基価に対してモル比で2.30の割合になるように添加した。
プライマー(カルボジイミド)
・主剤:水性アクリル樹脂分散体(日清紡ケミカル社製「カルボジライト」PX-05A)90.75質量%
・硬化剤:ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製「カルボジライト」V-02-L2)9.25質量%
・主剤:水性アクリル樹脂分散体(日清紡ケミカル社製「カルボジライト」PX-05A)90.75質量%
・硬化剤:ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル社製「カルボジライト」V-02-L2)9.25質量%
プライマー(塩素化ポリプロピレン(塩素化PP))
・主剤:塩素化PP(重量平均分子量10万、塩素化率20〜22%)10質量%
・希釈剤:メチルシクロヘキサンおよび酢酸ブチル混合溶媒90質量%
・主剤:塩素化PP(重量平均分子量10万、塩素化率20〜22%)10質量%
・希釈剤:メチルシクロヘキサンおよび酢酸ブチル混合溶媒90質量%
ポリオールの分子量の測定
上記各プライマー組成物の成分であるポリオールの重量平均分子量は、測定装置として東ソー株式会社製 HLC−8120GPC(示差屈折計(東ソー株式会社製 RI−8020)、およびソフトウエア(東ソー株式会社製 マルチステーション−8020)を搭載)を用いて以下のとおり測定した。具体的には、各ポリオール80mgを秤量し、THF20mlで溶解したものを試料とし、この試料100μLを下記カラムHまたはLに注入し、展開溶媒(流量:1ml/分)としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、カラム温度40℃で、高速ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行った。なお、標準物質として用いた標準ポリスチレンは、分子量の異なる5種または6種の標準ポリスチレンを、各々10mg秤量し、THF100mlで溶解(20℃)し、24時間静置して調製した。
上記各プライマー組成物の成分であるポリオールの重量平均分子量は、測定装置として東ソー株式会社製 HLC−8120GPC(示差屈折計(東ソー株式会社製 RI−8020)、およびソフトウエア(東ソー株式会社製 マルチステーション−8020)を搭載)を用いて以下のとおり測定した。具体的には、各ポリオール80mgを秤量し、THF20mlで溶解したものを試料とし、この試料100μLを下記カラムHまたはLに注入し、展開溶媒(流量:1ml/分)としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、カラム温度40℃で、高速ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行った。なお、標準物質として用いた標準ポリスチレンは、分子量の異なる5種または6種の標準ポリスチレンを、各々10mg秤量し、THF100mlで溶解(20℃)し、24時間静置して調製した。
使用カラム
・カラムH:下記カラム6にカラム5を4本接続したもの。重量平均分子量が10万〜100万のポリオールを移動させることを目的として使用した。
・カラムL:下記カラム6、カラム4、カラム3、カラム2、カラム1を順に接続したもの。重量平均分子量が10万以下のポリオールを移動させることを目的として使用した。
東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL(カラム1)
東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL(カラム2)
東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL(カラム3)
東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL(カラム4)
東ソー株式会社製 TSKgel GMHXL(カラム5)
東ソー株式会社製 ガードカラムHXL−H(カラム6)
・カラムH:下記カラム6にカラム5を4本接続したもの。重量平均分子量が10万〜100万のポリオールを移動させることを目的として使用した。
・カラムL:下記カラム6、カラム4、カラム3、カラム2、カラム1を順に接続したもの。重量平均分子量が10万以下のポリオールを移動させることを目的として使用した。
東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL(カラム1)
東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL(カラム2)
東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL(カラム3)
東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL(カラム4)
東ソー株式会社製 TSKgel GMHXL(カラム5)
東ソー株式会社製 ガードカラムHXL−H(カラム6)
着色インク
以下の基本成分および色材を含む着色インク(シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、イエローインク(Yインク)、およびブラックインク(Kインク))を用意した。Cインク、Mインク、YインクおよびKインクに用いた色材は、それぞれC.I.ピグメントブルー15:3(3質量%)、C.I.ピグメントレッド122(3質量%)、C.I.ピグメントイエロー74(3質量%)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)(3質量%)であった。
基本成分
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを主として含むアクリル系重合性モノマー 70〜80質量%
紫外線感応型の光重合開始剤 10質量%
分散剤 10質量%
添加剤(界面活性剤) 残量
以下の基本成分および色材を含む着色インク(シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、イエローインク(Yインク)、およびブラックインク(Kインク))を用意した。Cインク、Mインク、YインクおよびKインクに用いた色材は、それぞれC.I.ピグメントブルー15:3(3質量%)、C.I.ピグメントレッド122(3質量%)、C.I.ピグメントイエロー74(3質量%)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)(3質量%)であった。
基本成分
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを主として含むアクリル系重合性モノマー 70〜80質量%
紫外線感応型の光重合開始剤 10質量%
分散剤 10質量%
添加剤(界面活性剤) 残量
透明インク
以下の成分を含む透明インクを用意した。
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを主として含むアクリル系重合性モノマー 70〜80質量%
紫外線感応型の光重合開始剤 10質量%
分散剤 10質量%
添加剤(界面活性剤) 残量
以下の成分を含む透明インクを用意した。
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを主として含むアクリル系重合性モノマー 70〜80質量%
紫外線感応型の光重合開始剤 10質量%
分散剤 10質量%
添加剤(界面活性剤) 残量
クリア塗料
重合性不飽和基を有するアクリル系化合物および紫外線感応型の光重合開始剤を固形分で約50質量%含有し、酢酸ブチル約40質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよび酢酸エチルを残量含有する、紫外線硬化型クリア塗料を用意した。
重合性不飽和基を有するアクリル系化合物および紫外線感応型の光重合開始剤を固形分で約50質量%含有し、酢酸ブチル約40質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよび酢酸エチルを残量含有する、紫外線硬化型クリア塗料を用意した。
加飾材の作製
後述する実施例の加飾材は、以下の手順および条件で作成した。
低圧メラミン化粧材の前処理
前記低圧メラミンパーティクルボードの表面を、シクロヘキサンを湿らせた布でふき取って脱脂し、乾燥させた。
後述する実施例の加飾材は、以下の手順および条件で作成した。
低圧メラミン化粧材の前処理
前記低圧メラミンパーティクルボードの表面を、シクロヘキサンを湿らせた布でふき取って脱脂し、乾燥させた。
プライマー層の形成
上記の各プライマー組成物を、バーコーター♯4を用いて、前処理した低圧メラミンパーティクルボードの表面に塗布し、熱風乾燥炉(60℃)で30分乾燥させ、乾燥後の膜厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。
上記の各プライマー組成物を、バーコーター♯4を用いて、前処理した低圧メラミンパーティクルボードの表面に塗布し、熱風乾燥炉(60℃)で30分乾燥させ、乾燥後の膜厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。
着色インク層、透明インク層の形成
得られたプライマー層の表面に、インクジェットプリンターを用いて、上記着色インク、透明インクをインクジェット印刷し、直ちに紫外線照射して、層厚が7.5μm、22.5μm、および30μmの、プライマーが露出した部分がない均一なインク層を形成した。インクジェット印刷条件および紫外線照射条件は以下のとおりとした。
得られたプライマー層の表面に、インクジェットプリンターを用いて、上記着色インク、透明インクをインクジェット印刷し、直ちに紫外線照射して、層厚が7.5μm、22.5μm、および30μmの、プライマーが露出した部分がない均一なインク層を形成した。インクジェット印刷条件および紫外線照射条件は以下のとおりとした。
インクジェット印刷条件
インクジェットプリンターのキャリッジ移動速度は1000mm/sとし、32mm幅で印写を行った。また、インクジェット印刷は、主走査方向に2パスでインクの塗布および紫外線(UV)の照射を行う毎に、副走査方向に低圧メラミンパーティクルボードを送り、これを繰り返すことにより行った。すなわち、主走査方向の印刷は、1パス目の往路では、インクの塗布およびUV照射を行い、復路ではUV照射のみを行い、次いで1パス目と同様に、2パス目の往路では、インクの塗布およびUV照射を行い、復路ではUV照射のみを行った。使用したインクジェットプリンターヘッドにおける各インクのノズル列とUV照射手段の概略構成を図4に示す。ここで、Tは透明インク、Yはイエローインク、Mはマゼンタインク、Cはシアンインク、Kはブラックインクを表わす。また、主走査方向の往路は紙面左から右の方向である。
インクジェットプリンターのキャリッジ移動速度は1000mm/sとし、32mm幅で印写を行った。また、インクジェット印刷は、主走査方向に2パスでインクの塗布および紫外線(UV)の照射を行う毎に、副走査方向に低圧メラミンパーティクルボードを送り、これを繰り返すことにより行った。すなわち、主走査方向の印刷は、1パス目の往路では、インクの塗布およびUV照射を行い、復路ではUV照射のみを行い、次いで1パス目と同様に、2パス目の往路では、インクの塗布およびUV照射を行い、復路ではUV照射のみを行った。使用したインクジェットプリンターヘッドにおける各インクのノズル列とUV照射手段の概略構成を図4に示す。ここで、Tは透明インク、Yはイエローインク、Mはマゼンタインク、Cはシアンインク、Kはブラックインクを表わす。また、主走査方向の往路は紙面左から右の方向である。
また、紫外線硬化は、照度:0.5〜0.8W/cm2、積算光量:0.1〜0.2J/cm2の条件で行った。なお、上記照度および積算光量の測定は、受光する光の波長が365nmである受光器を備えるEYE UV METERを用いて行った。
クリア層の形成
得られたインク層の表面に、カーテンコーターを用いて、上記クリア塗料を塗布し、熱風乾燥炉(60℃)で30分乾燥させた後、紫外線照射して、固形分層厚が60±10μmのクリア層を得た。紫外線硬化は、低圧メラミンパーティクルボードの送り速度を1.3m/分とし、ランプ光源として高圧水銀ランプ(ランプ長(発光長):1400mm)を用い、所定のピーク照度と積算光量とで行った。
得られたインク層の表面に、カーテンコーターを用いて、上記クリア塗料を塗布し、熱風乾燥炉(60℃)で30分乾燥させた後、紫外線照射して、固形分層厚が60±10μmのクリア層を得た。紫外線硬化は、低圧メラミンパーティクルボードの送り速度を1.3m/分とし、ランプ光源として高圧水銀ランプ(ランプ長(発光長):1400mm)を用い、所定のピーク照度と積算光量とで行った。
評価
密着性試験1
旧JIS K5400−8.5(現JIS D0202)の碁盤目試験
塗膜表面にカッターで切り込み(2mm間隔に、水平方向に11箇所および垂直方向にも11箇所)を入れ、2mm×2mmの切込みマスを100個作った。その後、セロハンテープ(CT−24 ニチバン社製)を貼り付け、テープ剥離後の塗膜の状態を以下の評価基準により確認した。
密着性試験1
旧JIS K5400−8.5(現JIS D0202)の碁盤目試験
塗膜表面にカッターで切り込み(2mm間隔に、水平方向に11箇所および垂直方向にも11箇所)を入れ、2mm×2mmの切込みマスを100個作った。その後、セロハンテープ(CT−24 ニチバン社製)を貼り付け、テープ剥離後の塗膜の状態を以下の評価基準により確認した。
評価基準
○:テープ剥離後に膜の剥離がない。
△:テープ剥離後に膜が一部剥離する。
×:テープ剥離により、膜が100マス全て剥がれる。
○:テープ剥離後に膜の剥離がない。
△:テープ剥離後に膜が一部剥離する。
×:テープ剥離により、膜が100マス全て剥がれる。
密着性試験2
JIS K 5600−5−7のプルオフ(引っ張り)試験に準拠した。
JIS K 5600−5−7のプルオフ(引っ張り)試験に準拠した。
評価基準
○:基材内で剥離が発生した
×:基材と塗膜との界面で剥離が発生した
○:基材内で剥離が発生した
×:基材と塗膜との界面で剥離が発生した
着色インクの色見試験1(目視外観) プライマー層の表面の任意の領域に32mm幅で印刷した着色インクを以下の評価基準により目視で評価した。
評価基準
○:発色性に優れる(印刷スジが無く、均一な発色を呈する)
△:発色性が良い(一部に印刷スジが見られる)
×:発色性が劣る(印刷スジによる発色ムラが目立つ)
評価基準
○:発色性に優れる(印刷スジが無く、均一な発色を呈する)
△:発色性が良い(一部に印刷スジが見られる)
×:発色性が劣る(印刷スジによる発色ムラが目立つ)
着色インクの色見試験2
プライマー層の養生(気温40℃、相対湿度90%で、2時間静置)を行なった試料と行なわなかった試料それぞれについて、着色インクの線幅を測定し、その差分を養生を行った試料の線幅で除した値(%)を求めた。
プライマー層の養生(気温40℃、相対湿度90%で、2時間静置)を行なった試料と行なわなかった試料それぞれについて、着色インクの線幅を測定し、その差分を養生を行った試料の線幅で除した値(%)を求めた。
実施例1〜3、比較例1、2 (プライマー層+インク層1)
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、下記表1に記載の各プライマー塗料をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、インクジェットプリンターを用いてMインクをプライマー層の全面にベタ印刷し、硬化させて、層厚が7.5μmのインク層を形成し、実施例1〜3、比較例1、2の加飾材試料を得た。得られた試料について、温度40℃、相対湿度80%の環境に2週間放置した後、密着性試験1および2を行なった。結果は表1に示されるとおりであった。
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、下記表1に記載の各プライマー塗料をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、インクジェットプリンターを用いてMインクをプライマー層の全面にベタ印刷し、硬化させて、層厚が7.5μmのインク層を形成し、実施例1〜3、比較例1、2の加飾材試料を得た。得られた試料について、温度40℃、相対湿度80%の環境に2週間放置した後、密着性試験1および2を行なった。結果は表1に示されるとおりであった。
実施例4〜8 (プライマー層+インク層2)
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、下記表2に記載の各プライマー塗料をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、(1)直ちに、(2)温度40℃、相対湿度90%の環境で2時間養生した後、(3)温度40℃、相対湿度90%の環境で15時間養生した後、インクジェットプリンターを用いて、Cインク、Mインク、YインクおよびKインクの4色を等量ずつ全面に塗布し、硬化させて、層厚が30μmのインク層を形成し、実施例4〜8の加飾材試料を得た。得られた試料について、密着性試験1と、インクの色見試験1および2を行なった。結果は表2に示されるとおりであった。
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、下記表2に記載の各プライマー塗料をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、(1)直ちに、(2)温度40℃、相対湿度90%の環境で2時間養生した後、(3)温度40℃、相対湿度90%の環境で15時間養生した後、インクジェットプリンターを用いて、Cインク、Mインク、YインクおよびKインクの4色を等量ずつ全面に塗布し、硬化させて、層厚が30μmのインク層を形成し、実施例4〜8の加飾材試料を得た。得られた試料について、密着性試験1と、インクの色見試験1および2を行なった。結果は表2に示されるとおりであった。
実施例9 (プライマー層+インク層2:プライマーの硬化条件)
プライマー塗料の乾燥時間を150分とした以外は実施例4と同様に試料を作製した。また、実施例4と同様の評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。また、実施例4と同じ方法で作製したプライマー層#1と、実施例9と同じ方法で作製したプライマー層#2について、プライマー層の硬化状態を以下の方法で評価した。
プライマー塗料の乾燥時間を150分とした以外は実施例4と同様に試料を作製した。また、実施例4と同様の評価を行った。結果は表2に示されるとおりであった。また、実施例4と同じ方法で作製したプライマー層#1と、実施例9と同じ方法で作製したプライマー層#2について、プライマー層の硬化状態を以下の方法で評価した。
先ず、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.2mlをプライマー層の表面に滴下した。5秒後、「キムワイプ」(日本製紙クレシア社製)1枚を用い、アクリレートを滴下した部分を手で10往復摺動させてふき取った。
その結果、プライマー層#2は、手でキムワイプを10往復摺動させても、表面に痕跡が残らなかった。従って、プライマー層は1,6−ヘキサンジオールジアクリレートに溶解せず、ほぼ完全に硬化したと考えられた。一方、プライマー層#1は、手でキムワイプを5往復摺動させたところプライマー層が剥離したことから、プライマー層は不完全な硬化の状態であると考えられた。
実施例10(クリア層の形成)
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、プライマー塗料D5をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、直ちに、インクジェットプリンターを用いて、Cインク、Mインク、YインクおよびKインクの4色を塗布し、硬化させて、層厚が22.5μmのインク層を形成した。次いで、その全面に層厚が60μmのクリア層を形成し、実施例10の加飾材試料を得た。得られた試料は、優れた写像性および鏡面光沢性を有した塗膜であった。また、表面の鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4)は2Hであり、十分な耐傷性も備えていた。
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、プライマー塗料D5をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、直ちに、インクジェットプリンターを用いて、Cインク、Mインク、YインクおよびKインクの4色を塗布し、硬化させて、層厚が22.5μmのインク層を形成した。次いで、その全面に層厚が60μmのクリア層を形成し、実施例10の加飾材試料を得た。得られた試料は、優れた写像性および鏡面光沢性を有した塗膜であった。また、表面の鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4)は2Hであり、十分な耐傷性も備えていた。
実施例11、12(透明インク)
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、プライマー塗料D5をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、直ちにインクジェットプリンターを用いて、透明インクを下記方法で塗布し、硬化させて、層厚が22.5μmの透明インク層を形成した。次いで、その全面に平均膜厚が60μmのクリア層を形成し、実施例11、12の加飾材試料を得た。得られた試料について、密着性試験1を行なった。
100mm×100mmの上記前処理済み低圧メラミン化粧材の表面に、プライマー塗料D5をウェット層厚で9μmとなるように塗布し、60℃で30分乾燥させ、層厚が3〜5μmのプライマー層を形成した。これを乾燥炉から取り出し、30分間常温下に放置して冷却後、直ちにインクジェットプリンターを用いて、透明インクを下記方法で塗布し、硬化させて、層厚が22.5μmの透明インク層を形成した。次いで、その全面に平均膜厚が60μmのクリア層を形成し、実施例11、12の加飾材試料を得た。得られた試料について、密着性試験1を行なった。
実施例11の加飾材試料の透明インク層は、プライマー層の全面に、一辺1mmの正方形のパターンが4mm2当たりに1つ配置するように形成した。また、実施例12の加飾材試料の透明インク層は、プライマー層の端部から奥に10mmの幅で、プライマー層の縁に沿って四辺全周にわたってインク層を形成した。
密着性試験1の結果、実施例12の加飾材にあっては、各層いずれも、剥離は全く無く、優れた密着性が得られた。一方、実施例12の加飾材にあっては、インク層を形成した部分は、各層いずれも、剥離は全く無かったが、インク層を形成していない中央部分はクリア層が剥離した。
実施例13(縁材の貼り付け)
実施例10の試料と同様に作製した試料の端部を研削し、木質部が露出した平坦な端面を形成した。次いで、縁材(ポリプロピレン製、幅18mm、厚さ1mmのテープ形状のもの)を4つの端面に接着剤を用いて貼り付けた後、縁材の端部を研削して、表面はクリア層の高さと面一になるように、また裏面は低圧メラミン化粧材の裏面の高さと一面になるように揃え、実施例13の加飾材を得た。得られた試料は、端部からの吸水による基材の膨潤が無く、水まわり部材の扉に使用する加飾材として十分な耐久性が得られることが確認された。
実施例10の試料と同様に作製した試料の端部を研削し、木質部が露出した平坦な端面を形成した。次いで、縁材(ポリプロピレン製、幅18mm、厚さ1mmのテープ形状のもの)を4つの端面に接着剤を用いて貼り付けた後、縁材の端部を研削して、表面はクリア層の高さと面一になるように、また裏面は低圧メラミン化粧材の裏面の高さと一面になるように揃え、実施例13の加飾材を得た。得られた試料は、端部からの吸水による基材の膨潤が無く、水まわり部材の扉に使用する加飾材として十分な耐久性が得られることが確認された。
101 着色インク層、102 透明インク層(全面)、103 透明インク層(島状または斑状)、1 シリアル型インクジェット印刷装置、2 ヘッドユニット部、3 メンテナンス部、4 動力部、5 固定軸、6 制御部、7 被印刷媒体ステージ、8 インクタンク、9 被印刷媒体、10 加飾材、11 化粧材、12 基材、13 メラミン含有層、14 プライマー層、15 インク層、16 クリア層
Claims (11)
- 化粧材の表面に備えられたメラミン含有層の表面に適用され、当該メラミン含有層の表面にプライマー層を形成するために用いられ、かつ、
硬化が不完全な状態であるプライマー層の表面の一部または全部に、重合性不飽和基を有するアクリル系化合物を含むインクを適用し、当該インクを硬化してインク層を形成するために用いられる、
イソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基を有する硬化剤と、当該硬化剤と架橋反応が可能な官能基を複数有する主剤とを含んでなるプライマー組成物。 - 前記メラミン含有層と前記プライマー層とが、前記メラミン含有層に含まれるメラミン樹脂中のアミノ基と、前記イソシアネート基およびカルボジイミド基から選択される少なくとも一種の官能基との化学反応によりこれら2層の界面で生じたウレア結合およびアミド結合より選択される少なくとも一種の化学結合によって、付着してなり、さらに
前記プライマー層と前記インク層とが、前記硬化剤と前記主剤との反応生成物と前記重合性不飽和基を有するアクリル系化合物またはその重合体との構造的絡み合いにより付着してなる、請求項1に記載のプライマー組成物。 - 前記イソシアネート基が、ウレタン樹脂系二液型イソシアネート基である、請求項1または2に記載のプライマー組成物。
- 前記イソシアネート基が、ウレタン樹脂系二液型ジイソシアネート基である、請求項3に記載のプライマー組成物。
- 前記主剤が有する官能基が、OH基および/またはNH基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- 前記OH基および/またはNH基を複数有する主剤が、場合により複数のNH基を有していてもよいポリマーポリオールである、請求項5に記載のプライマー組成物。
- 前記ポリマーポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールおよびポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも一種である、請求項6に記載のプライマー組成物。
- 前記ポリマーポリオールの水酸基価が5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、請求項6または7に記載のプライマー組成物。
- 前記ポリマーポリオールの重量平均分子量が2万以上6万以下である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- 前記ポリマーポリオールが、その主鎖が直鎖である、請求項6〜9のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- 前記ポリマーポリオールが、その反応性官能基以外の部分で、前記インクが含む重合性不飽和基を有するアクリル系化合物と構造的に類似性が高い単位構造を有するものである、請求項6〜10のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
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