JP2000167892A - 射出成形機の射出制御方法 - Google Patents

射出成形機の射出制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に薄肉成形品の成形においてショット間の
成形品の重量、寸法の安定性を確保できるように改善し
た射出制御方法を提供すること。 【解決手段】 充填工程から保圧工程への切換えに至る
前の充填工程後半においてスクリュを後退または停止さ
せるステップを設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形機の射出制
御方法に関し、特に薄肉成形品の成形に適した射出制御
方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】射出成形のうち、特に薄肉成形品の成形
においては、ショット間の重量、寸法の安定性が要求さ
れる。
【０００３】これまでの薄肉成形品の成形における射出
制御方法について、図５を参照して説明する。図５
（ａ）は、充填工程から保圧工程にかけてのスクリュ位
置とスクリュ移動速度の設定例を時間軸に沿って示して
いる。スクリュ位置及びスクリュ移動速度はあらかじめ
図５（ｂ）に示すように複数段について設定される。す
なわち、充填を開始してからスクリュ位置がＳ１に到達
するまでの一段目については移動速度Ｖ１、位置Ｓ１か
らＳ２までの二段目は移動速度Ｖ２、位置Ｓ２からＳ３
までの三段目は移動速度Ｖ３でそれぞれ移動し、位置Ｓ
３において充填工程から保圧工程への切換えが行われ
る。このような設定は、あらかじめ射出装置を制御する
制御装置に対して行われる。また、スクリュ位置の検出
器が設けられ、制御装置は上記の各設定値とスクリュ位
置検出器からの検出信号とに基づいてスクリュ移動速度
の切換え制御を行う。
【０００４】図５（ｂ）において、速度切換え位置の大
小関係は、Ｓ３＜Ｓ２＜Ｓ１とされるのが普通である。
仮に、誤ってＳ２＜Ｓ３＜Ｓ１と設定されると、これは
充填工程の途中においてスクリュを後退させることを意
味する。しかし、制御装置はこのような設定値Ｓ３を誤
入力と判断し、設定値Ｓ３は無視する。これは、スクリ
ュを後退させるのは、樹脂の充填圧力を下げてバリの発
生やその他の成形不良を防止するためであるが、このよ
うな後退動作は図５（ａ）から明らかなように保圧工程
において行われるからである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】図５（ａ）のような設
定に基づく射出制御は、一般的に厚みの大きい成形品に
は適している。これは、充填工程が終了しても、成形品
には樹脂の圧力がかかっている。厚肉の成形品の場合、
充填が終了すると成形品が収縮しようとするが、その収
縮量が多い。しかし、保圧工程で成形品に対して圧力を
かけることにより、上記の収縮分を補うことができる。
【０００６】ところが、このような射出制御をディスク
のような薄肉成形品の成形に適用した場合には、成形品
に圧力がかかりすぎてバリが出たり、残留応力による品
質不良を発生する場合がある。よって、成形品にかかる
圧力を減少させる必要がある。ところが、従来の射出制
御方法では、保圧工程においては通常、スクリュの最大
移動速度あるいは加速度は充填工程におけるそれと比べ
て小さく、圧力の急速な減少の要求に対応しきれない。
言い換えれば、薄肉の成形品の場合、樹脂の収縮しよう
とする量が少ないので、厚肉の場合と異なり、樹脂をあ
まり補う必要が無いにもかかわらず、成形品に大きな樹
脂圧力がかかり続けるからである。
【０００７】そこで、本発明の課題は、特に薄肉成形品
の成形においてショット間の成形品の重量、寸法の安定
性を確保できるように改善した射出制御方法を提供する
ことにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、充填工
程中にスクリュを後退させるステップを設定したことを
特徴とする射出成形機の射出制御方法が提供される。
【０００９】なお、前記スクリュを後退させるステップ
の開始タイミングは、あらかじめ設定された前記スクリ
ュの位置によって判定され、スクリュ後退速度は任意に
設定される。
【００１０】また、前記任意に設定される前記スクリュ
後退速度は、後退開始時が最も高くなるように設定され
る。
【００１１】更に、前記任意に設定されるスクリュ後退
動作の間に、少なくとも１回のスクリュ停止動作を設定
するようにしても良い。
【００１２】本発明によればまた、充填工程中にスクリ
ュを停止させるステップを設定したことを特徴とする射
出成形機の射出制御方法が提供される。
【００１３】そして、前記スクリュ停止動作の開始タイ
ミングは、あらかじめ設定された前記スクリュの位置に
よって判定される。
【００１４】
【発明の実施の形態】図１を参照して、本発明の第１の
実施の形態について説明する。図１（ａ）において、本
形態では、充填工程から保圧工程への切換えに至る前の
充填工程後半においてスクリュを後退させるステップを
設定したことを特徴とする。図１（ａ）は、充填工程か
ら保圧工程にかけてのスクリュ位置とスクリュ移動速度
の設定例を時間軸に沿って示している。充填工程におい
ては、スクリュ位置及びスクリュ移動速度はあらかじめ
図１（ｂ）に示すように５段について設定される。すな
わち、充填を開始してからスクリュ位置がＳ１に到達す
るまでの一段目については移動速度Ｖ１、位置Ｓ１から
Ｓ２までの二段目は移動速度Ｖ２、位置Ｓ２からＳ３ま
での三段目は移動速度Ｖ３でそれぞれ移動する。これ
は、従来の設定と同じであるが、位置Ｓ３においてスク
リュの後退を開始させる。本形態では、後退動作は２段
（充填工程開始から四段目及び五段目）について設定さ
れる。位置Ｓ３からＳ４までの四段目は移動速度Ｖ４、
位置Ｓ４からＳ５までの五段目は移動速度Ｖ５でそれぞ
れ後退する。そして、位置Ｓ５において充填工程から保
圧工程への切換えが行われる。速度切換え位置の大小関
係は、Ｓ３＜Ｓ２＜Ｓ４＜Ｓ５＜Ｓ１とされる。
【００１５】あらかじめ上記のような設定を行うことに
より、スクリュを後退させるステップの開始タイミング
は、従来と同様、スクリュ位置検出器の検出信号を用
い、設定されたスクリュの位置によって判定される。
【００１６】上記のように、充填工程の後半のある段数
に限ってスクリュの前進動作だけでなく後退動作を可能
にし、充填圧力を急速に下げられるようにしている。こ
のように、不要な充填圧力を、射出装置の持つ最大の移
動速度あるいは加速度で下げることが可能であるので、
薄肉の成形品に対するバリ発生防止、残留応力の低減に
効果がある。また、保圧工程（圧力制御にて）において
スクリュを後退させた場合にはショット間の重量がばら
つくことがあるが、本形態では充填工程においては速度
あるいは位置制御でスクリュを後退させるので、成形品
の重量、寸法が安定する。
【００１７】次に、図２を参照して、本発明の第２の実
施の形態について説明する。本形態においては、複数段
数設定されたスクリュ後退動作の間に、少なくとも１回
のスクリュ停止動作を設定するようにしたことを特徴と
している。このスクリュ停止動作の開始タイミングも、
あらかじめ設定されたスクリュの位置によって判定され
る。すなわち、充填を開始してからスクリュ位置がＳ１
に到達するまでの一段目については移動速度Ｖ１、位置
Ｓ１からＳ２までの二段目は移動速度Ｖ２、位置Ｓ２か
らＳ３までの三段目は移動速度Ｖ３でそれぞれ移動す
る。これは、第１の実施の形態と同じである。
【００１８】次に、位置Ｓ３においてスクリュの後退を
開始させる。本形態でも、後退動作は２段（充填工程開
始から四段目及び五段目）について設定され、そのそれ
ぞれの後に停止動作が設定される。その結果、位置Ｓ３
からＳ４までの四段目は移動速度Ｖ４で後退し、続いて
位置Ｓ４において時間Ｔ１だけ停止し、時間Ｔ１後には
位置Ｓ５までの五段目において移動速度Ｖ５で後退す
る。更に、位置Ｓ５では時間Ｔ２だけ停止し、時間Ｔ２
後には充填工程から保圧工程への切換えが行われる。各
段の切換え位置の大小関係は、Ｓ３＜Ｓ２＜Ｓ４＜Ｓ５
＜Ｓ１である。
【００１９】次に、図３を参照して、本発明の第３の実
施の形態について説明する。本形態においては、充填工
程の後半にスクリュを停止させる動作を設定するように
したことを特徴としている。このスクリュ停止動作の開
始タイミングも、あらかじめ設定されたスクリュの位置
によって判定される。すなわち、充填を開始してからス
クリュ位置がＳ１に到達するまでの一段目については移
動速度Ｖ１、位置Ｓ１からＳ２までの二段目は移動速度
Ｖ２、位置Ｓ２からＳ３までの三段目は移動速度Ｖ３で
それぞれ移動する。これは、第１の実施の形態と同じで
ある。
【００２０】次に、位置Ｓ３においてスクリュが時間Ｔ
１だけ停止し、時間Ｔ１後には、位置Ｓ４まで移動速度
Ｖ４で後退する。各段の切換え位置の大小関係は、Ｓ３
＜Ｓ２＜Ｓ４＜Ｓ１である。
【００２１】また、図４に示す如く、位置Ｓ３において
スクリュが時間Ｔ１だけ停止し、時間Ｔ１後には、位置
Ｓ４まで移動速度Ｖ４で前進するようにしても良い。各
段の切換え位置の大小関係は、Ｓ４＜Ｓ３＜Ｓ２＜Ｓ１
である。
【００２２】充填工程の後半でスクリュを急激に前進、
後退させると、樹脂の種類、状態や成形品の形状によっ
て、スクリュの移動に対して樹脂の移動が間に合わず、
成形品にエアの巻込み等の不良が発生する場合がある
が、スクリュを停止させることにより樹脂の状態を安定
させる効果がある。
【００２３】なお、いずれの形態においても、保圧工程
無しで、冷却工程へ移行しても良い。また、本発明は、
油圧式、電動式のいずれの射出成形機にも適用可能であ
る。
【００２４】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
充填工程の後半においてスクリュの後退動作を可能に
し、充填圧力を急速に下げられるようにしたことによ
り、特に薄肉の成形品に対する残留応力の低減に効果が
あり、バリ発生の防止、成形品の重量、寸法の安定化を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施形態におけるスクリュ移動
速度及びこれを切換えるスクリュ位置の設定例を示した
図である。
【図２】本発明の第２の実施形態におけるスクリュ移動
速度及びこれを切換えるスクリュ位置の設定例を示した
図である。
【図３】本発明の第３の実施形態におけるスクリュ移動
速度及びこれを切換えるスクリュ位置の設定例を示した
図である。
【図４】図３の形態の変形例を示した図である。
【図５】従来のスクリュ移動速度及びこれを切換えるス
クリュ位置の設定例を示した図である。
【符号の説明】
Ｖ１〜Ｖ５ 移動速度 Ｓ１〜Ｓ５ スクリュ位置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 射出成形機の射出制御方法において、充
    填工程中にスクリュを後退させるステップを設定したこ
    とを特徴とする射出成形機の射出制御方法。
  2. 【請求項２】 請求項１記載の射出制御方法において、
    前記スクリュを後退させるステップの開始タイミング
    は、あらかじめ設定された前記スクリュの位置によって
    判定され、スクリュ後退速度は任意に設定されることを
    特徴とする射出成形機の射出制御方法。
  3. 【請求項３】 請求項２記載の射出制御方法において、
    前記任意に設定される前記スクリュ後退速度は、後退開
    始時が最も高くなるように設定されることを特徴とする
    射出成形機の射出制御方法。
  4. 【請求項４】 請求項２あるいは３記載の射出制御方法
    において、前記任意に設定されるスクリュ後退動作の間
    に、少なくとも１回のスクリュ停止動作を設定すること
    を特徴とする射出成形機の射出制御方法。
  5. 【請求項５】 射出成形機の射出制御方法において、充
    填工程中にスクリュを停止させるステップを設定したこ
    とを特徴とする射出成形機の射出制御方法。
  6. 【請求項６】 請求項４あるいは５記載の射出制御方法
    において、前記スクリュ停止動作の開始タイミングは、
    あらかじめ設定された前記スクリュの位置によって判定
    されることを特徴とする射出成形機の射出制御方法。
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