JP2000158909A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JP2000158909A
JP2000158909A JP10333110A JP33311098A JP2000158909A JP 2000158909 A JP2000158909 A JP 2000158909A JP 10333110 A JP10333110 A JP 10333110A JP 33311098 A JP33311098 A JP 33311098A JP 2000158909 A JP2000158909 A JP 2000158909A
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pneumatic tire
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 案内輪用路面の寿命低下を抑え、かつ、サイ
プの底部からの割れの発生を抑えることのできる、新交
通用車両の主輪用タイヤに好適な空気入りタイヤを提供
すること。 【解決手段】 タイヤ周方向に沿って蛇行して延びる複
数本のコード22からなる4層構造のウェーブドベルト
層24が、内圧充填時の径成長量を抑制し、陸部32の
サイプ34の底から発生する割れを防止することができ
る。また、ウェーブドベルト層24がタイヤ周方向に対
して傾斜しているコード18からなる傾斜ベルト層20
の影響を遮断してプライステアーを大幅に低減すること
ができる。これにより、新交通用車両の案内輪に作用す
る負荷が低減され、案内輪用路面の寿命低下を抑えるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空気入りタイヤに係
り、特に、地下鉄、モノレール等の新交通車両の主輪に
好適な空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地下鉄、モノレール等の新交通車
両に空気入りタイヤが使用されている。これは空気入り
タイヤが、従来の車輪と比べ騒音レベルが低い、加速性
及び減速性が優れている、乗り心地が優れている等の利
点を備えているためである。
【0003】この種の新交通車両は、図4,5に示すよ
うに、台車100に車両の荷重を支える主輪用タイヤ1
02と、車両の案内を行う案内輪用タイヤ104とを備
えている。
【0004】主輪用タイヤ102はコンクリート製の主
輪用路面106を走行し、案内輪用タイヤ104は垂直
に形成された同じくコンクリート製の案内輪用路面10
8を走行するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
主輪用タイヤ102には大きなプライステアーが発生し
ていたため、進行方向(矢印A方向)片側、即ち、進行
方向に対して右側又は左側の案内輪用タイヤ104の負
荷荷重が増加し、片側の案内輪用路面108の寿命が低
下する問題があった。
【0006】また、主輪用タイヤ102は、車両がカー
ブを曲がる際に案内輪用タイヤ104によって強制的に
スリップ角が付与される(図6参照。主輪用タイヤ10
2のタイヤ進行方向と台車進行方向との間に角度があ
る。)。
【0007】ここで、主輪用タイヤ102のコーナリン
グパワーが高いと、4つの案内輪用タイヤ104の中で
も、カーブの曲率半径外側の進行方向側の案内輪用タイ
ヤ104Aの負荷荷重が最大となり、カーブの曲率半径
外側の案内輪用路面108が受ける荷重も大きくなる問
題があり、主輪用タイヤ102に低コーナリングパワー
特性が望まれていたが、従来の技術では限界があった。
【0008】また、この種の新交通用車両に用いる空気
入りタイヤにおいて、9kg/cm2以上という空気入りタイ
ヤとしては高内圧が充填される場合、トレッドに設けた
サイプの底部に割れが生じ易いという問題がある。
【0009】これは、内圧充填時及び負荷転動時におけ
るサイプ底部の歪が増加して割れに至ることが分かって
いる。
【0010】本発明は上記事実を考慮し、案内輪用路面
の寿命低下を抑え、かつ、サイプの底部からの割れの発
生を抑えることのできる、新交通用車両の主輪用タイヤ
に好適な空気入りタイヤを提供する事が目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の空気入
りタイヤは、一対のビード部間にトロイド状に跨がるカ
ーカスと、タイヤ周方向に対して傾斜する方向に延びる
複数本のコードからなり、前記カーカスのタイヤ径方向
外側に配置される傾斜ベルト層と、タイヤ周方向に沿っ
て蛇行して延びる複数本のコードからなり、前記傾斜ベ
ルト層のタイヤ径方向外側に配置される少なくとも4層
のウェーブドベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向
外側に配置されるトレッドと、前記トレッドに設けら
れ、タイヤ周方向に沿って延びる少なくとも2本の主溝
と、前記主溝によって区画された陸部に形成される複数
のサイプと、を有することを特徴としている。
【0012】次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0013】請求項1に記載の空気入りタイヤでは、ト
レッドに設けられた少なくとも2本の主溝によってウエ
ット路面走行時の接地面の水を排水することができる。
また、サイプによってもウエット性能を向上することが
できる。
【0014】また、4層以上のウェーブドベルト層が、
内圧充填時の径成長量を抑制するので、陸部に形成され
たサイプの底から発生する割れを防止することができ
る。なお、ウェーブドベルト層の数が4層未満では、サ
イプの底から発生する割れを防止することができなくな
る。
【0015】また、タイヤ周方向に対して傾斜している
コードからなる傾斜ベルト層は、タイヤのプライステア
ーの原因となるが、傾斜ベルト層とトレッドとの間に、
4層以上のウェーブドベルト層を設けたので、傾斜ベル
ト層の影響が低減され、プライステアーを大幅に低減す
ることができる。なお、ウェーブドベルト層の数が4層
未満でも、プライステアーを低減することは可能である
が、新交通車両の主輪として用いた場合、このプライス
テアーに起因する同車両の案内輪に作用する負荷を十分
に低減することが出来ず、同車両用の案内輪用路面の寿
命低下を抑えることができなくなる。
【0016】また、4層以上のウェーブドベルト層によ
ってコーナリングパワーも低減され、新交通車両の主輪
として用いられてコーナリングによってスリップ角が強
制的に付けられた場合のトレッド踏面への主輪用路面か
らの入力も低減され、これにより摩耗寿命が向上する。
【0017】さらに、コーナリングパワーが低減される
ことにより、車両がコーナリングし易くなり、コーナリ
ング時の案内輪(進行方向のカーブの外側の案内輪)に
作用する負荷を低減することができ、同案内輪の接する
案内輪用路面の寿命低下を抑えることができる。
【0018】なお、トレッドには、タイヤ周方向に沿っ
て延びる主溝が少なくとも2本以上ないと、ウエット路
面走行時に接地面の水を十分に排水することができなく
なる。
【0019】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の空気入りタイヤにおいて、前記傾斜ベルト層のうちの
1層は、コードの方向がタイヤ軸方向に対して5°〜5
0°であり、その幅がトレッド幅の62%〜98%であ
ることを特徴としている。
【0020】次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0021】傾斜ベルト層のコードの方向がタイヤ軸方
向に対して5°未満になると、トレッドの踏面に局所的
な大変形入力を受けたときにベルト層全体(傾斜ベルト
層+ウェーブドベルト層)が瞬時に破断する虞れがあ
る。
【0022】一方、傾斜ベルト層のコードの方向がタイ
ヤ軸方向に対して50°を越えると、長距離走行時のベ
ルト(傾斜ベルト層+ウェーブドベルト層)耐久力が低
下する。
【0023】傾斜ベルト層の幅がトレッド幅の62%よ
りも狭くすると、ウェーブドベルト層の耐久力が低下す
る。
【0024】傾斜ベルト層の幅がトレッド幅の98%を
越えると、負荷転動によってトレッドの傾斜ベルト層の
端部から割れが生じる虞れがある。
【0025】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ウェー
ブドベルト層のコードの振幅をH、同コードの波長をL
としたときに(H/L)×100を5.6〜7.6、前
記ウェーブドベルト層の総幅をトレッド幅の62%〜8
2%とした、ことを特徴としている。
【0026】次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0027】ウェーブドベルト層のコードの(H/L)
×100が5.6未満になると、負荷転動時に同ベルト
が破断し易くなる。
【0028】一方、ウェーブドベルト層のコードの(H
/L)×100が7.6を越えると、即ち、コードの振
幅が大きくなってウエーブベルト層がタイヤ周方向に延
び易くなる。このため、内圧充填時の径成長が増加し
て、陸部がタイヤ周方向伸ばされ、サイプが開く方向と
なって負荷転動時にサイプの底部に割れが生じ易くな
る。
【0029】また、ウェーブドベルト層の総幅がトレッ
ド幅の62%未満になると、ウェーブドベルト層外側領
域のトレッド剛性が低下するため、トレッドの摩耗速度
が早くなる。
【0030】一方、ウェーブドベルト層の総幅がトレッ
ド幅の82%を越えると、ウェーブドベルト層端部領域
の歪が限界を越えるため、ウェーブドベルト層の端部の
コードが破断し易くなる。
【0031】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請
求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、
前記サイプの深さは、前記主溝の深さの65%〜95%
であることを特徴としている。
【0032】次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0033】サイプの深さが主溝の深さの65%未満に
なると、トレッド摩耗時のサイプ消滅が早すぎる。
【0034】一方、サイプの深さが主溝の深さの95%
を越えると、陸部の剛性が低下してサイプ底部付近の歪
が増大するため、負荷転動時にサイプの底部から割れが
生じ易くなる。
【0035】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請
求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、
前記サイプは、タイヤ軸方向に対して5°〜25°の方
向に延びていることを特徴としている。
【0036】次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0037】サイプが、タイヤ軸方向に対して5°〜2
5°の方向に延びていることにより、ウエット路面での
摩擦係数(μ)を高めることができる。
【0038】なお、サイプのタイヤ軸方向に対する角度
が5°未満になると、踏面の動きが大きくなり、耐摩耗
・偏摩耗性能が低下する。
【0039】一方、サイプのタイヤ軸方向に対する角度
が25°を越えると、サイプエッジの周方向のグリップ
力が低下し、ウエット性能が低下する。
【0040】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請
求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、
前記サイプのタイヤ周方向の間隔は、前記主溝深さの
1.2〜2.5倍であることを特徴としている。
【0041】次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの
作用を説明する。
【0042】サイプのタイヤ周方向間隔が主溝深さの
1.2倍未満になると、主溝によって区画される陸部の
剛性が低下し過ぎて、陸部にスポット摩耗が発生し易く
なる。
【0043】一方、サイプのタイヤ周方向間隔が主溝深
さの2.5倍を越えると、サイプのエッジ成分が減少
し、ウエット路面走行時に必要とされる摩擦係数(μ)
が得られなくなる。
【0044】したがって、サイプのタイヤ周方向の間隔
を、主溝深さの1.2〜2.5倍とすることが好まし
い。
【0045】
【発明の実施の形態】以下本発明の空気入りタイヤの一
実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0046】図2に示すように、この空気入りタイヤ1
0は、コード方向がラジアル方向とされた所謂ラジアル
カーカス12を備えている。
【0047】ラジアルカーカス12の幅方向両端部は、
ビード部14に埋設されたビードコア16の回りにそれ
ぞれタイヤ軸方向内側からタイヤ軸方向外側へ向けて折
り返されている。
【0048】ラジアルカーカス12のタイヤ径方向外側
には、図1及び図2に示すように、タイヤ周方向(矢印
S方向)に対して傾斜する方向に延びる複数本のコード
18からなる傾斜ベルト層20が1層配置されている。
なお、傾斜ベルト層20を2層以上配置しても良い。
【0049】傾斜ベルト層20のタイヤ径方向外側(矢
印R方向側)には、タイヤ周方向に沿って蛇行して延び
る複数本のコード22からなる4層構造のウェーブドベ
ルト層24が配置されている。
【0050】本実施形態では、幅方向両側部分で互いに
反対方向に折り返し、両方の幅方向端部をタイヤ赤道面
CL近傍に配置した2枚のプライ26によって4層構造
のウェーブドベルト層24が形成されている。なお、ウ
ェーブドベルト層24は5層以上であっても良く、図示
はしないが折り返しの無い4枚以上のプライを重ね合わ
せても勿論良い。
【0051】図2に示すように、ウェーブドベルト層2
4のタイヤ径方向外側にはトレッド28が配置されてい
る。
【0052】ここで、図1に示すように、傾斜ベルト層
20のコード18の傾斜角度θ1 は、タイヤ軸方向(矢
印W方向)に対して5°〜50°の範囲内であることが
好ましく、傾斜ベルト層20の幅B1 Wがトレッド幅T
Wの62%〜98%の範囲内であることが好ましい。
【0053】一方、ウェーブドベルト層24のコード2
2は、図3に示すように、振幅をH、波長をLとしたと
きに、(H/L)×100が5.6〜7.6の範囲内で
あることが好ましい。
【0054】さらに、図1に示すように、ウェーブドベ
ルト層24は、その総幅B2 Wが傾斜ベルト層20の幅
B1 Wよりも狭く、かつトレッド幅TWの62%〜82
%の範囲内であることが好ましい。
【0055】図1及び図2に示すように、トレッド28
には、タイヤ周方向に沿って延びる少なくとも2本(本
実施形態では4本)の主溝30がタイヤ軸方向(矢印W
方向)に略等間隔で形成されており、これによって、タ
イヤ周方向に延びる5本のリブ状の陸部32がトレッド
28に区画されている。なお、主溝30は、少なくとも
2本以上形成されていれば良い。
【0056】図1に示すように、各陸部32には、タイ
ヤ軸方向に対して同一方向に角度θ2 で傾斜するサイプ
34がタイヤ周方向に沿って間隔Pで形成されている。
本実施形態のサイプ34は、陸部32を完全に横断する
所謂オープンサイプである。
【0057】ここで、タイヤ軸方向に対するサイプ34
の角度θ2 は5°〜25°の範囲内が好ましく、サイプ
34のタイヤ周方向の間隔Pは主溝30の深さH(図2
参照。)の1.2〜2.5倍の範囲内であることが好ま
しい。
【0058】また、サイプ34の深さh(図示せず)
は、主溝30の深さHの65%〜95%の範囲内が好ま
しい。
【0059】次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の
作用を説明する。
【0060】空気入りタイヤ10は、例えば、図4に示
すように、新交通車両の主輪102に用いることによっ
て最大の効果を発揮する。
【0061】先ず、この空気入りタイヤ10では、傾斜
ベルト層20とトレッド28との間に4層構造のウェー
ブドベルト層24が設けられているので、傾斜ベルト層
20の傾斜したコード18の影響を低減でき、プライス
テアーを大幅に低減することができ、案内輪104に作
用する負荷を低減することができ、これにより案内輪用
路面108の寿命低下を抑えることができる。
【0062】また、4層のウェーブドベルト層24によ
ってコーナリングパワーを低減することができるので、
空気入りタイヤ10にスリップ角が強制的に付けられた
場合(即ち、カーブを曲がる場合。図6参照。)のトレ
ッド28の踏面への主輪用路面106からの入力を低減
でき、これにより空気入りタイヤ10の摩耗寿命を向上
することができる。
【0063】さらに、主輪用タイヤ102のコーナリン
グパワーが低減されことにより、カーブ走行時のカーブ
曲率半径外側の進行方向側の案内輪用タイヤ104Aの
負荷荷重が増大することを抑えることができる。これに
より、カーブの曲率半径外側の案内輪用路面108が受
ける荷重の増加を抑えることができ、カーブの曲率半径
外側の案内輪用路面108の寿命低下を抑えることがで
きる。
【0064】さらに、本実施形態の空気入りタイヤ10
では、4層のウェーブドベルト層24によって内圧充填
時の径成長量を抑制することができるので、陸部32に
形成されたサイプ34の底から発生する割れを防止する
ことができる。なお、ウェーブドベルト層24が4層未
満では、サイプ34の底から発生する割れを防止するこ
とができなくなり、案内輪用路面の寿命低下を十分に抑
えることができなくなり、また、摩耗寿命を向上するこ
とが出来なくなる。
【0065】また、傾斜ベルト層20のコード18の傾
斜角度θ1 を5°〜50°の範囲内としたので、トレッ
ド28の踏面に局所的な大変形入力を受けたときのベル
ト層全体(傾斜ベルト層20+ウェーブドベルト層2
4)が瞬時に破断することを防止することができると共
に、長距離走行時のベルト耐久力を確保することができ
る。なお、傾斜ベルト層20のコード18の傾斜角度θ
1 が5°未満になると、トレッド28の踏面に局所的な
大変形入力を受けたときにベルト層全体(傾斜ベルト層
+ウェーブドベルト層)が瞬時に破断する虞れがある。
一方、コード18の傾斜角度θ1 が50°を越えると、
長距離走行時のベルト(傾斜ベルト層20+ウェーブド
ベルト層24)耐久力が低下する。
【0066】また、傾斜ベルト層20の幅B1 Wをウェ
ーブドベルト層24の総幅B2 Wよりも狭くすると、ウ
ェーブドベルト層24の巻き付け成形時に、ウェーブド
ベルト層24を均一な径で巻き付けることが出来なくな
り、しいてはウェーブドベルト層24の耐久力が低下す
る。
【0067】ウェーブドベルト層24の総幅B2 Wがト
レッド幅TWの98%を越えると、負荷転動によってト
レッド28の傾斜ベルト層20の端部から割れが生じる
虞れがある。
【0068】ウェーブドベルト層24のコード22の
(振幅H/波長L)×100が5.6未満になると、負
荷転動時にウェーブドベルト層24が破断し易くなる。
一方、ウェーブドベルト層24のコード22の(振幅H
/波長L)×100が7.6を越えると、ウェーブドベ
ルト層24がタイヤ周方向に延び易くなるため、内圧充
填時の径成長が増加して、陸部32がタイヤ周方向伸ば
され、サイプ34が開く方向となって負荷転動時にサイ
プ34の底部に割れが生じ易くなる。
【0069】また、ウェーブドベルト層24の総幅B2
Wがトレッド幅TWの62%未満になると、ウェーブド
ベルト層24の外側領域のトレッド剛性が低下するた
め、トレッド28の摩耗速度が早くなる。
【0070】一方、ウェーブドベルト層24の総幅B2
Wがトレッド幅TWの82%を越えると、ウェーブドベ
ルト層24の端部領域の歪が限界を越えるため、ウェー
ブドベルト層24の端部のコードが破断し易くなる。
【0071】サイプ34が、タイヤ軸方向に対して5°
〜25°の方向に延びていることにより、ウエット路面
での摩擦係数(μ)を高めることができる。
【0072】なお、サイプ34のタイヤ軸方向に対する
角度θが5°未満になると、踏面の動きが大きくなり、
耐摩耗・偏摩耗性能が低下する。
【0073】一方、サイプ34のタイヤ軸方向に対する
角度θが25°を越えると、サイプエッジの周方向グリ
ップ力が低下し、ウエット性能が低下する。
【0074】サイプ34の深さhが主溝30の深さHの
65%未満になると、トレッド摩耗時のサイプ消滅が早
すぎることになり、摩耗後期にウエット性能が大幅に低
下する。
【0075】一方、サイプ34の深さhが主溝30の深
さHの95%を越えると、陸部32の剛性が低下してサ
イプ34の底部付近の歪が増大するため、負荷転動時に
サイプ34の底部から割れが生じ易くなる。
【0076】サイプ34の間隔Pが主溝30の深さHの
1.2倍未満になると、陸部32の剛性が低下し過ぎ
て、陸部32にスポット摩耗が発生し易くなる。一方、
サイプ34の間隔Pが主溝30の深さHの2.5倍を越
えると、サイプ34のエッジ成分が減少し、ウエット路
面走行時に必要とされる摩擦係数(μ)が得られなくな
る。 (試験例)本発明の効果を確かめるために、従来例の空
気入りタイヤ及び本発明の適用された実施例の空気入り
タイヤを用意し、室内操縦性試験及びロングドラム試験
を行った。
【0077】実施例のタイヤ:前述した実施形態の構造
タイヤであり、傾斜ベルト層のコードの傾斜角度が38
°、傾斜ベルト層の幅が240mm(トレッド幅の96
%)、ウェーブドベルト層のコードの(H/L)×10
0が6.6、ウェーブドベルト層の総幅が180mm(ト
レッド幅の72%)、主溝が4本、サイプの深さが6.
5mm(主溝の深さの81%)、サイプのタイヤ周方向の
間隔が13mm(主溝の深さの1.6倍)である。
【0078】従来例のタイヤ:図7に示すように、ラジ
アルカーカス12のタイヤ径方向外側に、第1ベルト層
120、第2ベルト層122及び第3ベルト層124が
順に配置されたタイヤである。ここで、第1ベルト層1
20は、タイヤ赤道面CL付近には設けられておらず
(所謂中抜き)、コードがタイヤ周方向に対して右上が
りに傾斜しており、タイヤ周方向に対するコードの角度
が50°である。第2ベルト層122は、コードがタイ
ヤ周方向に対して右上がりに傾斜しており、タイヤ周方
向に対するコードの角度が18°である。また、第3ベ
ルト層124は、コードがタイヤ周方向に対して左上が
りに傾斜しており、タイヤ周方向に対するコードの角度
が18°である。
【0079】なお、何れのタイヤもタイヤサイズはE3
15/70R20、装着するリムの幅は8.5インチで
あり、内圧10.5kg/cm2を充填し、荷重4500kgを
負荷させて試験を行った。
【0080】試験方法 室内操縦性試験:速度30km/h、スリップ角0〜3°。
【0081】ロングドラム試験:速度60km/h、走行距
離10万km。
【0082】試験結果は、実施例のタイヤは、従来例の
タイヤに比較してプライステアーが90%低減、コーナ
リングパワーが30%低減された。また、実施例のタイ
ヤは、走行距離10万kmを完走し、サイプ底割れの発
生、コード切れの発生も無かった。
【0083】一方、従来例のタイヤは、10万kmを完
走することができず、また、サイプ底割れの発生、コー
ド切れの発生が有った。
【0084】また、実施例のタイヤはプライステアー及
びコーナリングパワーが従来対比で低減されているの
で、新交通車両の主輪に用いた場合に、案内輪用路面の
寿命を延長する効果があることは明らかである。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
空気入りタイヤは上記の構成としたので、以下のような
優れた効果を有する。 (1) 内圧充填時の径成長量を抑制することができ、
陸部に形成されたサイプの底から発生する割れを防止す
ることができる。 (2) プライステアーを大幅に低減することができ
る。したがって、新交通車両の主輪として用いた場合、
同車両の案内車輪に作用する負荷が低減され、案内輪用
路面の寿命低下を十分に抑えることが可能となる。 (3) コーナリングパワーを低減することができる。
したがって、新交通車両の主輪として用いられてコーナ
リングによってスリップ角が強制的に付けられた場合の
トレッド踏面への主輪用路面からの入力が低減され、摩
耗寿命が向上する。また、カーブ走行時のカーブ曲率半
径外側の進行方向側の案内輪用タイヤの負荷荷重が増大
することを抑え、カーブの曲率半径外側の案内輪用路面
の寿命低下を抑えることができる。
【0086】請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の
構成としたので、ベルト層全体(傾斜ベルト層+ウェー
ブドベルト層)が瞬時に破断することを防止できる。
【0087】長距離走行時のベルト(傾斜ベルト層+ウ
ェーブドベルト層)耐久力の低下を防止することができ
る。
【0088】負荷転動によってトレッドの傾斜ベルト層
の端部から生じる割れを防止することができる。
【0089】請求項3に記載の空気入りタイヤは上記の
構成としたので、負荷転動時のウェーブドベルト層の破
断を防止することができ、内圧充填時の径成長を抑え、
サイプの底部に生じる割れを防止することができる。
【0090】また、トレッドの摩耗速度が早くなること
を防止でき、ウェーブドベルト層の端部のコードが破断
し易くなることを防止できる。
【0091】請求項4に記載の空気入りタイヤは上記の
構成としたので、トレッド摩耗時のサイプ消滅を防止で
き、摩耗末期までサイプによるウエット性能を維持でき
る。
【0092】また、陸部の剛性が低下し過ぎることがな
く、負荷転動時にサイプの底部から生じる割れを防止す
ることができる。
【0093】請求項5に記載の空気入りタイヤは上記の
構成としたので、ウエット路面での摩擦係数(μ)を高
めることができる。
【0094】請求項6に記載の空気入りタイヤは上記の
構成としたので、陸部の剛性が低下し過ぎることがな
く、陸部に発生するスポット摩耗を防止することができ
る。また、ウエット路面走行時に必要とされる摩擦係数
(μ)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのト
レッド及びベルトの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのタ
イヤ回転軸に沿った断面図である。
【図3】ウェーブドベルト層のコードの平面図である。
【図4】新交通車両の台車を示す下面図である。
【図5】台車正面側から見た新交通車両のタイヤ及び路
面を示す説明図である。
【図6】カーブを走行している際の新交通車両の台車の
平面図である。
【図7】従来の空気入りタイヤのタイヤ回転軸に沿った
断面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ 14 ビード部 12 ラジアルカーカス(カーカス) 18 コード 20 傾斜ベルト層 22 コード 24 ウェーブドベルト層 28 トレッド 30 主溝 32 陸部 34 サイプ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部間にトロイド状に跨がる
    カーカスと、 タイヤ周方向に対して傾斜する方向に延びる複数本のコ
    ードからなり、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置
    される傾斜ベルト層と、 タイヤ周方向に沿って蛇行して延びる複数本のコードか
    らなり、前記傾斜ベルト層のタイヤ径方向外側に配置さ
    れる少なくとも4層のウェーブドベルト層と、 前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配置されるトレッド
    と、 前記トレッドに設けられ、タイヤ周方向に沿って延びる
    少なくとも2本の主溝と、 前記主溝によって区画された陸部に形成される複数のサ
    イプと、 を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記傾斜ベルト層のうちの1層は、コー
    ドの方向がタイヤ軸方向に対して5°〜50°であり、
    その幅がトレッド幅の62%〜98%であることを特徴
    とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記ウェーブドベルト層のコードの振幅
    をH、同コードの波長をLとしたときに(H/L)×1
    00を5.6〜7.6、 前記ウェーブドベルト層の総幅をトレッド幅の62%〜
    82%とした、ことを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記サイプの深さは、前記主溝の深さの
    65%〜95%であることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記サイプは、タイヤ軸方向に対して5
    °〜25°の方向に延びていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記サイプのタイヤ周方向の間隔は、前
    記主溝深さの1.2〜2.5倍であることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタ
    イヤ。
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