JP2000156289A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2000156289A
JP2000156289A JP10328406A JP32840698A JP2000156289A JP 2000156289 A JP2000156289 A JP 2000156289A JP 10328406 A JP10328406 A JP 10328406A JP 32840698 A JP32840698 A JP 32840698A JP 2000156289 A JP2000156289 A JP 2000156289A
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organic
group
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formula
compound
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JP10328406A
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English (en)
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Makoto Mori
誠 毛利
Hisato Takeuchi
久人 竹内
Hiromitsu Tanaka
洋充 田中
Osamu Watanabe
修 渡辺
Tomohiko Mori
朋彦 森
Seiji Tokito
静士 時任
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機電界発光素子の有機層として優れた有機
化合物の提供。 【解決手段】 基板上に形成され、電極対に挟まれた1
層または複数層の有機層を備える有機電界発光素子にお
いて、その有機層の材料として、イソベンゾフラン骨格
の有機化合物のA及びBの位置にかさ高い脂肪族置換
基、あるいは芳香族置換基を備える構成の化合物を用い
る。あるいは、イソベンゾフラン骨格のAの位置および
Bの位置をCの芳香族環と縮合させた化学構造の有機化
合物を用いる。これらのイソベンゾフラン骨格の化合物
は、化学的に安定で発光効率も高い。よってこの材料を
用いて有機電界発光素子を構成することで、高輝度で寿
命が長く、信頼性の高い素子をえることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、有機化合物を利
用した有機電界発光素子(以下有機EL素子という)、
特にその有機材料に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、透明ガラス基板上に、
透明第1電極(例えばITO)と、強い蛍光をもつ有機
化合物を含む有機層と、金属(例えばMg)の第2電極
とが順に積層されて構成されている。前記有機層は例え
ば正孔輸送機能分子層と発光機能分子層と電子輸送機能
分子層とが順に積層されてなり、対の電極へ電界を印加
することにより発光する。すなわち、第1電極から正孔
を、第2電極から電子を注入すると、注入された正孔と
電子は上記有機層の正孔輸送機能分子層と発光機能分子
層および電子輸送機能分子層内を移動して衝突、再結合
を起こして消滅する。この再結合により発生したエネル
ギーは発光性分子が励起状態を生成するのに使われ、こ
れにより有機EL素子が蛍光を発する。
【0003】このような有機EL素子は、視野角の制限
がなく、また低電圧駆動、高速応答が可能であり、液
晶、プラズマディスプレイ、無機EL素子といった他の
表示素子と比較して、ディスプレイとして優れた特性を
持っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発光部
として、電子輸送機能と発光性機能をもつ公知のキノリ
ノール誘導体(例えば、アルミキノリノール錯体Alq
3 )などの有機層で形成された有機EL素子は、まだ素
子としての要求性能の全てを十分満たすような特性が得
られていない。このため、有機EL素子の有機層とし
て、発光輝度が高く、また材料の安定性等にも優れた有
機材料の開発が望まれている。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、新たな発光性を示す有機化合物を発光機能分子と
して採用することで、従来の素子以上に発光輝度を高め
た電界発光素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る有機EL素子は、有機層の材料として
イソベンゾフランを基本骨格とする上述の化学式(1)
に示すような有機化合物であって、そのR1基〜R8基
のうちR1基及びR2基がかさ高い脂肪族置換基又は芳
香族置換基からなる化合物を用いることを特徴とする。
【0007】また、本発明の別の特徴は、上記有機EL
素子において、前記かさ高い脂肪族置換基は、2級ある
いは3級の炭素原子がイソベンゾフラン骨格と結合する
置換基であり、該置換基の炭素数は3以上、好ましくは
4以上であることである。
【0008】ここで、下記化学式(3)
【化3】 に示すイソベンゾフランは、蛍光の量子収率が高い化合
物である。
【0009】しかし、このイソベンゾフランは、化合物
自身の安定性が非常に低く、この化合物を有機層の一部
として有機EL素子を作製しても、実用的な性能は得ら
れない。
【0010】しかし、本発明の発明者らの研究の結果、
化学式(1)に示すイソベンゾフランを基本骨格とする
化合物において、そのR1基及びR2基、つまり図1に
示すイソベンゾフラン骨格のAおよびBの位置に、かさ
高い脂肪族の置換基、あるいは芳香族の置換基を結合さ
せることにより、化合物の安定性の向上が図られること
が明らかになった。この様な化学構造のイソベンゾフラ
ン化合物を有機層として用いることにより、有機層の安
定性を高め、従来より特性の良い有機EL素子を得るこ
とが可能となる。なお、R1基、R2基は、水素原子で
はない所定の置換基であることが好ましいが、R1とR
2は同じ置換基であっても良いし、異なる置換基であっ
ても良い。
【0011】また、本発明の他の特徴は、有機EL素子
において、有機層に含まれる有機化合物として、図1の
イソベンゾフラン骨格において、そのAの位置およびB
の位置をCの芳香族環と縮合させた構造、つまり、上記
化学式(2)のような化学構造の有機化合物を有機EL
素子の有機層の材料として用いることである。イソベン
ゾフラン骨格の化合物において、化学式(2)のような
化学構造とすることで、その化合物の安定性が一段と向
上するため、より特性の良い有機EL素子を得ることが
可能となる。
【0012】また、本発明の有機EL素子に用いられる
図1に示すような基本骨格の有機化合物は、そのCの位
置の芳香族の骨格を変化させることにより、化合物の安
定性が向上する。
【0013】例えば、上記化学式(1)のR1基〜R8
基のうちのR3基〜R6基は以下のような構成とするこ
とができる。まず、R1〜R8基のうち、置換基R3〜
R6が、互いに独立している場合に、これらの基が、
(a)水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、エ
ステル基またはカルボキシル基のいずれか、または
(b)それらの各誘導体である構成が適用可能である。
また、他の構成として、前記化学式(1)のR1基〜R
8基のうち、R3とR4、R4とR5、R5とR6が、
互いに結合した芳香族環、または該芳香族環の誘導体と
してもよい。
【0014】また、上記化学式(2)のような化学構造
の前記有機化合物を用いる場合に、そのR11基〜R1
8基が互いに独立していて、それぞれが(a)水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基また
はカルボキシル基のいずれか、または(b)それらの基
の各誘導体とする構成が採用可能である。他の構成とし
ては、R11基〜R18基のうち、R13とR14、R
14とR15、R15とR16、R16とR17、R1
7とR18とのうち、少なくとも一組が互いに結合した
芳香族環、または該芳香族環の誘導体も採用可能であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の好
適な実施の形態(以下実施形態という)について説明す
る。図2は、本実施形態に係る有機EL素子の概略構成
を示している。透明基板10上には、透明第1電極12
と、一層または複数の有機化合物層からなる有機層20
と、第2電極14とがこの順に積層されて構成されてい
る。
【0016】透明基板10は、ガラス基板、透明セラミ
ックス基板、ダイヤモンド基板等を用いることができ、
特に限定されるものではない。
【0017】本実施形態において陽極として用いられて
いる透明第1電極12は、高い光透過性と導電性を備え
る電極材料が用いられており、例えば、ITO、SnO
2 、In2 3 、ポリアニリン等の薄膜から形成されて
いる。
【0018】有機層20は、電界の印加により発光する
部位であり、単層、2層あるいは3層若しくはそれ以上
の有機化合物層からなる多層構造が採用されている。図
2に示す例では、該有機層20は、例えば正孔輸送層2
2、発光層24及び電子輸送層26の三層構造である。
そして、これらの有機層20の材料(例えば発光層2
4)として後述する本実施形態の有機化合物、つまり図
1あるいは化学式(1)に示すようなイソベンゾフラン
骨格を有する有機化合物を用いている。なお、各層2
2、24及び26の厚みは、例えば数十から数百nm程
度である。
【0019】また、陰極として用いられている第2電極
14は、Mg、Ag、Mg−Ag、AlLi、LiF/
Al等から形成されている。
【0020】次に、本発明に係る上記有機化合物につい
て説明する。この有機化合物は、上記化学式(3)に示
されるイソベンゾフランを主たる骨格構造とし、図1の
骨格のAの位置およびBの位置が、かさ高い脂肪族の置
換基あるいは芳香族の置換基で置換された化学式(1)
に示すような化学構造を有している。この化学式(1)
に示される有機化合物としては、具体的には、例えば化
学式(4)〜化学式(13)に示される化合物が適用可
能である。
【0021】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】 一般式として化学式(1)に示される上記本実施形態の
有機化合物において、R1、R2は、その両方が所望の
置換基に置換されていることが必要であるが、このR1
基とR2基は同じ置換基であっても良いし、異なる置換
基であっても良い。
【0022】また、R1基及びR2基は、かさ高い脂肪
族の置換基または芳香族の置換基等であることが有機E
L素子の有機化合物としての安定性を高める上で重要で
ある。
【0023】ここでかさ高い脂肪族の置換基とは、2級
あるいは3級の炭素原子がイソベンゾフラン骨格と結合
する置換基であり、この脂肪族置換基の炭素数は3以上
が好ましく、より好ましくは4以上である。具体的に
は、上述のようなイソプロピル基(化学式(4)参
照)、イソブチル基、tert−ブチル基(化学式
(5)参照)、シクロヘキシル基(化学式(6)参
照)、シクロペンチル基などがあげられる。また、これ
らの置換基は、その一部が更に他の置換基によって置換
された誘導体であっても良い。該他の置換基としては、
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アル
コキシ基、シアノ基、ニトロ基、エステル基、カルボキ
シル基などがあげられる。
【0024】化学式(1)のR1基、R2として芳香族
の置換基を採用する場合、この芳香族としては、ベンゼ
ン環、ナフタレン環のような炭素と水素だけからなる芳
香族環、あるいはこれらだけでなく、芳香族環にヘテロ
原子を含むものでも良い。ヘテロ原子としては窒素、硫
黄、酸素、ケイ素等があげられる。
【0025】R1基及びR2基の芳香族置換基として
は、例えば、ベンゼン環(化学式(7)参照)、ナフタ
レン環(化学式(8)参照)、アントラセン環(化学式
(9)参照)、フェナントレン環、ピリジン環、キノリ
ン環(化学式(10)参照)、アクリジン環、チオフェ
ン環などがあげられる。更に、これらの芳香族置換基
は、更に他の置換基でその一部が置換された誘導体であ
ってもよい。他の置換基としては、上記「他の置換基」
と同様なものが採用できる。
【0026】次に、化学式(1)の有機化合物のR3基
〜R6基について説明する。これらのR3基〜R6基は
互いに独立していても良いし、R3とR4、R4とR
5、R5とR6が互いに結合した芳香族環でも良い。R
3基〜R6基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ
基、シアノ基、ニトロ基、エステル基またはカルボキシ
ル基のいずれか、または各基の一部が他の置換基で置換
された誘導体などが適用可能である。
【0027】但し、好ましくは、R3とR4、R4とR
5、R5とR6とのうち少なくとも一組が、互いに結合
した芳香族環であることが望ましい。イソベンゾフラン
が不安定であるのは、図1のAとBの位置の二重結合の
反応性が非常に高いためである。これに対しA及びBの
位置にかさ高い置換基を結合させることにより、化合物
としての安定性を向上させることが可能となり、有機E
L素子の有機化合物として好適な材料となる。更に、図
1のCの位置の構造を変化させ、例えば、Cの位置の環
の数が増加するにつれ、A及びB位置の二重結合の反応
性が低下し、化合物の安定性が向上する。従って、上記
のR3とR4、R4とR5、R5とR6のいずれかの組
が互いに結合した芳香族環から形成されていることで、
有機EL素子の有機化合物としての安定性がより高くな
る。ここで、Cの位置のR3基〜R6基が芳香族環を構
成しない構造、つまり化学式(11)のようにベンゼン
環のままの化合物と、R3基〜R6基が芳香族環を構成
する場合において、ナフタレン環(化学式(8)参
照)、アントラセン環(化学式(12)参照)、フェナ
ントレン環(化学式(13)参照)である化合物とをそ
れぞれ検討すると、有機化合物の安定性は、ベンゼン環
(化学式(11))<ナフタレン環(化学式(8))<
アントラセン環(化学式(12)),フェナントレン環
(化学式(13))の順に高くなる。このような傾向
は、上述のように図1のCの位置の環の数の増加につれ
てA及びBの位置の反応性が低くなって化合物の安定性
が高まることと、環の増加につれ分子構造の非対称性が
高まり、有機化合物が結晶化し難くかつ分散性が良くな
るためであると考えられる。従って、有機化合物の安定
性の向上のためには、R3基〜R6基によってナフタレ
ン環以上が形成されていることが好ましい。なお、これ
らR3基〜R6基の組合せによる環は、その一部が他の
置換基で置換された誘導体であっても良い。
【0028】また、R3基〜R6基として、所定の置換
基を用いることにより、実施例において説明するよう
に、発光波長を変化させたり、蛍光の量子収率を向上さ
せたりすることも可能となる。
【0029】次に、本発明の有機化合物として用い得る
化学式(2)の化学構造を有する化合物について説明す
る。この化学式(2)の有機化合物は、化学式(1)の
化合物と同様に化学式(3)のイソベンゾフランを骨格
構造とする。そして、更に図1のAの位置およびBの位
置がCの芳香族環と縮合した化学構造を備えている。化
学式(2)の化合物のように図1のAの位置およびBの
位置をCの芳香族環と縮合させた構成とすることで、図
1のA及びBの位置の二重結合の反応性が大きく低下す
る。このため、有機化合物としての安定性は一段と向上
する。化学式(2)に示す化合物としては、具体的に
は、例えば下記化学式(14)〜化学式(16)に示す
ような化合物があげられる。
【0030】
【化14】
【化15】
【化16】 以上に説明した化学式(1)または(2)で示されるよ
うな有機化合物は、発光機能分子として優れた機能を示
す。従って、図2の発光層24の構成材料や、発光層材
料へドーピングすることで発光機能分子として用いるこ
とができる。また、これらの有機化合物は、発光機能だ
けでなく、電子輸送機能をも合せ持っている。そのた
め、電子輸送層26を別途形成せずに、本発明の有機化
合物を含む層を発光層24及び電子輸送層26に兼用
し、この電子輸送兼用発光層と、正孔輸送層22とで、
有機層20を構成してもよい。ただし、より高い発光輝
度を得るためには正孔輸送層22と電子輸送層26との
間に発光層24としてあるいは発光層にドープする発光
機能分子として上記化学式(1)または(2)に示すよ
うな有機化合物を用いて、有機EL素子を作製すること
が好ましい。
【0031】これらの本実施形態の有機化合物と共に、
有機層20に用いられる材料としては、電子輸送機能分
子、発光機能分子、正孔輸送機能分子、マトリックス、
バインダー、あるいはこれらの機能を兼ね備えた既知の
分子材料があげられる。例えば、本実施形態の有機化合
物と共に使用する電子輸送機能材料としては、Alq3
(アルミキノリノール錯体)やその誘導体などが利用で
きる。また、正孔輸送機能材料としては、銅−フタロシ
アニン、下記化学式(17)の様な構造のm−MTD
A、
【化17】 TPTE(トリフェニルアミン四量体)などが利用でき
る。
【0032】化学式(1)や化学式(2)に代表される
上記化学式(4)〜化学式(16)に示す有機化合物
は、まず、芳香族のジカルボン酸無水物とグリニャール
試薬との反応あるいはフリーデルクラフツタイプの反応
によって、図1のAの位置に所望の置換基を導入する。
そして、その後、NaBH4 を用いて還元してラクトン
化合物に誘導し、これにグリニャール試薬を反応させて
Bの位置に所望の置換基を導入し、最後に酸で処理する
ことにより得ることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施形態の実施例について説
明する。
【0034】(i)化学式(11)に示す有機化合物の
合成 フタル酸無水物2.96g(20mmol)をテトラヒ
ドロフラン10mlに溶解させる。この溶液に、テトラ
ヒドロフラン10ml中でマグネシウム583mg(2
4mmol)とブロモナフタレン4.1g(20mmo
l)とから調製したナフチルマグネシウムブロミドのテ
トラヒドロフラン溶液を、室温下で15分かけて滴下
し、この溶液をそのまま室温で5時間攪拌した。反応溶
液に2mol/lの塩酸を加えて反応を終了させ、有機
物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧下で取り除いた
残りにヘキサン50mlを加え、析出した沈殿物をろ過
したところ、下記化学式(18)示す化合物5.0g
(18mmol、収率90%)を得た。
【0035】
【化18】 次に、この得られた化学式(18)の化合物5.0g
(18mmol)を水20mlに加え、そこに水酸化ナ
トリウムを化学式(18)の化合物が完全に溶解するま
で添加した。この溶液に室温でNaBH4 を室温で3g
添加し、そのまま室温で60時間攪拌した。この溶液を
2mol/lの塩酸を用いて中性にした後にさらにNa
BH4 を1g加え室温で70時間攪拌した。この溶液を
ジクロロメタンで抽出し、溶媒を減圧下で取り除き、下
記化学式(19)に示す化合物2g(8mmol、収率
48%)を得た。
【0036】
【化19】 得られた化学式(19)の化合物2g(8mmol)を
テトラヒドロフラン10mlに溶解させた。この溶液
に、テトラヒドロフラン10ml中でマグネシウム24
3mg(10mmol)とブロモナフタレン1.4g
(8mmol)とから調製したナフチルマグネシウムブ
ロミドのテトラヒドロフラン溶液を、室温下で15分か
けて滴下し、この溶液をそのまま室温で5時間攪拌し
た。反応溶液に2mol/lの塩酸を加えて反応を終了
させ、有機物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧下で
取り除いた残りに酢酸50mlを加え、室温で16時間
攪拌した。析出した沈殿物をろ過し、ヘキサンで洗浄す
ることにより、上記化学式(11)に示すような化合
物、つまり化学式(1)のR1基及びR2がナフタレン
環で、置換基R3〜R6が水素原子である化合物1.5
g(6.5mmol、収率80%)を得ることができ
た。
【0037】(ii)化学式(7)に示す有機化合物の
合成方法 2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物3.96g(2
0mmol)をベンゼン50mlに溶解させる。この溶
液に、無水塩化アルミニウム7.2gを室温で加え、こ
の溶液を80℃で15時間攪拌した。反応溶液に室温で
2mol/lの塩酸とクロロホルムを加えて、沈殿物が
全て溶解するまで攪拌した。有機物をクロロホルムで抽
出し、その後、目的物を炭酸水素ナトリウム溶液で抽出
した。この炭酸水素ナトリウム溶液を2mol/lの塩
酸で酸性にすることにより、沈殿物として下記化学式
(20)に示す化合物5.0g(18mmol、収率9
0%)を得た。
【0038】
【化20】 次に、得られたこの化学式(20)に示す化合物5.0
g(18mmol)を水20mlに加え、そこに水酸化
ナトリウムを化学式(20)の化合物が完全に溶解する
まで添加した。この溶液に室温でNaBH4 を室温で3
g添加し、そのまま室温で60時間攪拌した。この溶液
を2mol/lの塩酸を用いて中性にした後にさらにN
aBH4 を1g加え室温で70時間攪拌した。この溶液
をジクロロメタンで抽出し、溶媒を減圧下で取り除くこ
とで下記化学式(21)に示す化合物1.5g(6mm
ol、収率33%)を得た。
【0039】
【化21】 得られた化学式(21)の化合物1.5g(6mmo
l)をテトラヒドロフラン10mlに溶解した。更に、
この溶液に、フェニルマグネシウムブロミドのテトラヒ
ドロフラン溶液(1mol/l)6ml(6mmol)
を、室温下で15分かけて滴下し、この溶液をそのまま
室温で5時間攪拌した。反応溶液に2mol/lの塩酸
を加えて反応を終了させ、有機物を酢酸エチルで抽出し
た。溶媒を減圧下で取り除いた。残渣に酢酸を50ml
加え、室温で16時間攪拌した。析出した沈殿物をろ過
し、ヘキサンで洗浄することにより上記化学式(7)に
示されるような化合物、即ち、化学式(1)のR1基及
びR2がベンゼン環、R4とR5とが結合することでフ
ランにナフタレン環が結合した構造の化合物1.0g
(4.2mol、収率70%)を得ることができた。
【0040】次に、上記方法によって合成した化学式
(11)に示す化合物、及び上述の方法と同様な方法で
作製したR1基及びR2基がナフタレン環である化学式
(8)及び化学式(12)に示す化合物について、それ
ぞれ蛍光波長と蛍光量子収率を測定したところ、以下の
ような結果が得られた。
【0041】・化学式(11)の化合物:蛍光波長41
0nm、蛍光量子収率 25% ・化学式(8)の化合物 :蛍光波長430nm、蛍光
量子収率 28% ・化学式(12)の化合物:蛍光波長450nm、蛍光
量子収率 30% 以上の結果から、例えば化学式(1)に示すイソベンゾ
フランを骨格とする化合物において、R3基〜R6基を
変更することで、実際に、蛍光波長及び蛍光量子収率を
微妙に調整することが可能であることが理解できる。
【0042】(実施例1)次に、上記合成例によって作
製可能な化学式(11)に示す有機化合物を発光層とし
て用いて図2に示すような有機EL素子を作製した結果
を以下に示す。
【0043】まずガラス基板10上に透明第1電極12
としてITO電極を形成し、次に、この第1電極12上
に、正孔輸送層22としてTPTEを真空蒸着により6
00Åの厚さ形成した。この正孔輸送層22の上には、
上記化学式(11)に示す有機化合物を600Å蒸着し
て、発光層24を形成した。さらに発光層24の上に、
Alq3 を厚さ600Å蒸着して電子輸送層26を形成
した。最後に、電子輸送層26上に、第2電極14とし
て、Mg/Ag電極(9:1)を蒸着し、有機EL素子
を作製した。作製したこの有機EL素子を室温、窒素ガ
ス雰囲気下で駆動したところ、10mA/m2 の電界印
加で300cd/cm2 と高い発光輝度が得られた。
【0044】(比較例1)上記実施例1で発光層24と
して用いた化学式(11)に示す有機化合物に代えて、
化学式(3)に示すイソベンゾフランを用いて有機EL
素子の作製を試みた。その結果、本来青色の蛍光を発す
るこのイソベンゾフランは、100℃に加熱しただけで
蛍光を生じない化合物へと変化してしまった。このた
め、イソベンゾフランを用いた有機EL素子の作製は、
その化合物が不安定であるため実際には不可能であっ
た。
【0045】(実施例2)実施例1で発光層24として
使用した化学式(11)の有機化合物の代わりに化学式
(7)の化合物を用いて有機EL素子を作製した。なお
有機EL素子の他の構成については、上記実施例1と同
様とした。得られた有機EL素子を室温、窒素ガス雰囲
気下で駆動したところ、10mA/m2 の電界印加で3
50cd/cm2 と非常に高い発光輝度が得られた。
【0046】(実施例3)実施例1で発光層24として
使用した化学式(11)に代えて化学式(8)の有機化
合物を用いて有機EL素子を作製した。なお、素子の他
の構成は、実施例1と同様とした。作製した有機EL素
子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動したところ、10m
A/m2 の電界印加で500cd/cm2 と非常に高い
発光輝度が得られた。
【0047】(比較例2)実施例1と同様にして、ガラ
ス基板上にITO電極を形成し、ITO上に正孔輸送層
としてTPTEを真空蒸着により厚さ600Å形成し
た。この上にAlq3 を600Å蒸着して発光層兼電子
輸送層を形成した。最後にMg/Ag電極(9:1)を
蒸着して従来知られた構成の有機EL素子を作製した。
そして、作製したこの有機EL素子を室温、窒素ガス雰
囲気下で駆動させたところ、10mA/m2の電界印加
で200cd/cm2 の発光輝度であった。
【0048】以上の実施例及び比較例から本実施形態の
ようにイソベンゾフランの誘導体をを有機層に用いるこ
とで、従来のようにAlq3を有機発光材料として用い
た場合と同等の駆動条件で、非常に高い発光輝度が得ら
れることがわかった。更に、上述のようにイソベンゾフ
ランの誘導体は、イソベンゾフラン自体と比べても結晶
化し難く、化学的に安定であることから、有機層として
の信頼性も向上し、有機EL素子の寿命を延ばすことが
可能となる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明において
は、有機EL素子の有機層に用いる有機化合物として化
学式(1)や化学式(2)に示されるようなイソベンゾ
フラン骨格の化合物を用いている。このような有機化合
物は化学的に安定であると共に発光効率も高い。よって
この材料を用いて有機電界発光素子を構成することで、
高輝度で寿命が長く、信頼性の高い有機EL素子を得る
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機EL素子に用いられる有機化合
物の構造を説明するための図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る有機EL素子の概略
構造を示す図である。
【符号の説明】
10 基板、12 第1電極、14 第2電極、20
有機層、22 正孔輸送層、24 発光層、26 電子
輸送層。
フロントページの続き (72)発明者 田中 洋充 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 渡辺 修 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 森 朋彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 時任 静士 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB03 AB12 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 FA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成され、電極対に挟まれた1
    層または複数層の有機層を備える有機電界発光素子であ
    って、 前記有機層は、化学式(1)に示すイソベンゾフラン骨
    格を基本骨格とした有機化合物を含み、 【化1】 該有機化合物は、前記化学式(1)のR1基〜R8基の
    うちのR1基及びR2基が、かさ高い脂肪族置換基、あ
    るいは芳香族置換基であることを特徴とする有機電界発
    光素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の有機電界発光素子にお
    いて、 前記かさ高い脂肪族置換基は、2級あるいは3級の炭素
    原子がイソベンゾフラン骨格と結合する置換基であり、
    該置換基の炭素数は3以上であることを特徴とする有機
    電界発光素子。
  3. 【請求項3】 基板上に形成され、電極対に挟まれた1
    層または複数層の有機層を備える有機電界発光素子であ
    って、 前記有機層は、化学式(2) 【化2】 に示す有機化合物を含むことを特徴とする有機電界発光
    素子。
  4. 【請求項4】 請求項1又は3のいずれかに記載の有機
    電界発光素子において、 前記化学式(1)のR1基〜R8基のうちのR3基〜R
    6基、又は前記化学式(2)のR11基〜R18基は、 それぞれ互いに独立していて、水素原子、ハロゲン原
    子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ
    基、シアノ基、ニトロ基、エステル基またはカルボキシ
    ル基のいずれか、またはそれらの各誘導体であることを
    特徴とする有機電界発光素子。
  5. 【請求項5】 請求項1又は3のいずれかに記載の有機
    電界発光素子において、 前記化学式(1)のR1基〜R8基のうちR3とR4、
    R4とR5、R5とR6、又は前記化学式(2)のR1
    1基〜R18基のうちR11とR12、R12とR1
    3、R13とR14、R14とR15、R15とR1
    6、R16とR17、R17とR18は、互いに結合し
    た芳香族環、または該芳香族環の誘導体であることを特
    徴とする有機電界発光素子。
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