JP2000154462A - 繊維構造物の製造方法 - Google Patents

繊維構造物の製造方法

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JP2000154462A
JP2000154462A JP10327969A JP32796998A JP2000154462A JP 2000154462 A JP2000154462 A JP 2000154462A JP 10327969 A JP10327969 A JP 10327969A JP 32796998 A JP32796998 A JP 32796998A JP 2000154462 A JP2000154462 A JP 2000154462A
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稔典 原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】溶出処理後に溶出物を高濃度で含む廃液を生じ
ることなく繊維構造物の溶出加工をすることができる繊
維構造物の製造方法を提供する。 【解決手段】超臨界流体またはそれに類する流体に溶解
する化合物を含有する繊維構造物を、超臨界流体または
それに類する流体で処理して該化合物の少なくとも一部
を溶出して繊維構造物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超臨界流体または
それに類する流体を利用した繊維構造物の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維構造物の製造方法においては
水を使うのが一般的であった。しかし最近の環境への配
慮の意識の高まりから、染料や加工剤などを大量に含ん
だ廃液を生成するプロセスは、その処理のコスト増大か
ら徐々に不利になりつつある。特に、繊維構造物の一部
を溶出して風合いの柔軟化、中空部の生成、繊維の分割
などを行う加工は大量の溶出物を含んだ廃液が生成する
ため大きな廃液処理コストを必要としている。
【0003】このような廃液処理コストが低減できる方
法として、超臨界流体を繊維構造物の染色に利用し排水
ゼロの染色を行う試みがすでに始められているが(特開
平4−245981号公報など)、この方法は染色や一
部の機能加工剤の吸尽に適用できるのみで、これまでの
ところ繊維構造物の一部を溶出する方法として利用でき
ることは知られていない。
【0004】また繊維構造物からその一部を溶出する方
法としては、水溶性高分子をブレンドしたり混繊したり
してそれを熱水で溶出する方法の試みがあるが、溶出速
度が遅いことや溶出可能な化合物が高価なものに限定さ
れることなどの問題があった。特に疎水性高分子からな
る繊維においては水溶性の化合物を繊維内部から溶出す
ることは難しかった。さらに、溶出処理後に溶出物を高
濃度で含む廃液が生じ、その処理のために排水処理設備
の負荷が大きく増加するという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶出処理後
に溶出物を高濃度で含む廃液を生じることなく繊維構造
物の溶出加工をすることができる繊維構造物の製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、超臨界流体またはそれに類する流体に溶
解する化合物を含有する繊維構造物を該流体で処理して
該化合物の少なくとも一部を溶出する方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において超臨界流体とは、
臨界温度および臨界圧力を超えた温度および圧力下の流
動体をいう。この状態は気相および液相のどちらに属す
るともいえない状態であり、密度は液体と同程度である
にもかかわらず、気体と同程度の運動性を持つ。このた
め、超臨界流体には種々の薬剤が液体と同様に溶解可能
であり、かつ繊維構造物の細部まで浸透しやすいという
利点もある。また超臨界流体は圧力を下げることにより
気体となり、その現象を利用して容易に溶解物を分離で
きるという利点もある。このことは繊維構造物から溶出
した化合物を再利用する上で非常に有利である。
【0008】また、本発明でいう超臨界流体に類する流
体とは、通常の繊維加工で用いられる装置の圧力より十
分高い、例えば1Mpa以上の高圧状態にある気体また
は液体の状態の流動体をいう。このような高圧状態にあ
る流動体は、超臨界流体と同様に種々の薬剤を溶解可能
であり、かつ繊維構造物の細部まで浸透しやすいため、
本発明において超臨界流体と同様の作用を有する。
【0009】本発明で超臨界流体またはそれに類する流
体の状態にして用いる物質の例としては、二酸化炭素、
窒素、水、エタノールなどが挙げられるが、超臨界流体
の状態にする条件の容易さや安全性の面から二酸化炭素
を用いるのが最も望ましい。なお、二酸化炭素の臨界温
度は31.1℃、臨界圧力は7.2Mpaである。
【0010】かかる超臨界流体またはそれに類する流体
に溶解する化合物には、各種有機化合物や染料が含まれ
る。そのなかでも繊維形状にして用いることが容易であ
ることから高分子化合物であることが好ましい。ここで
いう高分子とは低分子の繰り返し構造を持ち、かつ分子
量500以上の化合物をいう。この例としては、種々の
シリコーン系ポリマー、種々のフッ素系ポリマー、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるい
はその誘導体、ポリカーボネートなどが挙げられる。本
発明においては、超臨界流体またはそれに類する流体へ
の溶解性の高さと加工の容易さとから、ポリプロピレン
グリコールあるいはその誘導体とポリカーボネートある
いはその誘導体がより望ましい。
【0011】ポリプロピレングリコールあるいはその誘
導体の分子量は約5000以上が望ましい。分子量がこ
れより低いと紡糸することが難しくなる。他の高分子と
の複合紡糸に用いる場合には、その誘導体の分子量は約
10万以上が望ましい。ポリプロピレングリコール単独
ではこのように大きい分子量のものを工業的に得ること
は容易ではないため、本発明では低分子量のポリプロピ
レングリコールを他の化合物で連結した誘導体を用いる
ことが望ましい。連結に用いる化合物の例としては、ポ
リエステル、ポリウレタン、多価エステル化合物、多価
エポキシ化合物、多価アミンなどを挙げることができ
る。
【0012】ポリカーボネートあるいはその誘導体の分
子量は約1000以上が望ましい。分子量がこれより低
いと紡糸することが難しくなる。他の高分子との複合紡
糸に用いる場合には、その誘導体の分子量は約1万以上
が望ましい。また本発明ではポリカーボネートに他の化
合物を導入した誘導体を用いることもできる。この誘導
体を用いる理由は、誘導体の方がポリカーボネート単独
に比べて溶融時の流動性が高くなり、溶融紡糸が容易に
なる場合があるからである。
【0013】本発明において用いる繊維構造物として
は、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合繊繊維のうち
少なくとも一つからなるフィラメント、紡績糸、織物、
編物、不織布などを用いることができる。天然繊維とし
ては綿、獣毛繊維、絹、麻など、再生繊維としてはセル
ロース系再生繊維のレーヨン(ビスコースレーヨン)、
キュプラ(銅アンモニアレーヨン)など、半合成繊維と
してはセルロース系半合成繊維としてアセテート(トリ
アセテート)など、また合成繊維としてはポリエステ
ル、ナイロン、アクリル、アラミドなどの各種繊維を挙
げることができる。なかでも、高度な機能付与が求めら
れる汎用繊維としてポリエステル繊維が最も実用面で重
要であるため、ポリエステル繊維を含有するポリエステ
ル系繊維構造物を用いることがより有効である。
【0014】ポリエステル系繊維構造物としては、ポリ
エステルのみからなる繊維構造物の他に、綿、羊毛など
の天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンな
どの再生繊維、ナイロンなどの合成繊維のうち少なくと
も一つとポリエステル繊維を混紡または交撚、交織、交
編などしたものなどが含まれる。
【0015】本発明で用いる繊維構造物の一態様は、繊
維構造物が超臨界流体またはそれに類する流体に溶解す
る化合物をブレンドした繊維を含有してなるものであ
る。ここでブレンドとは、溶融紡糸あるいは溶液紡糸に
おいて、繊維を形成する高分子と超臨界流体またはそれ
に類する流体に溶解する化合物とを混合した状態で紡糸
し糸を製造することをいう。この繊維構造物では繊維を
形成する高分子中に均一に超臨界流体またはそれに類す
る流体に溶解する化合物が分散され、それを溶出する。
【0016】本発明において、超臨界流体またはそれに
類する流体に溶解する化合物をブレンドした繊維への超
臨界流体またはそれに類する流体に溶解する化合物のブ
レンド比率は特に限定されないが、好ましくは0.1%
以上50%以下が望ましい。この理由はブレンド比率が
0.1%未満であるとブレンドした化合物の溶出による
繊維の物性変化が大きくなりにくいためであり、ブレン
ド比率が50%より大きいと溶融紡糸あるいは溶液紡糸
が困難になる場合が多いからである。
【0017】本発明で用いる繊維構造物の他の一態様
は、繊維構造物が芯部または鞘部に超臨界流体またはそ
れに類する流体に溶解する化合物を配置した芯鞘複合糸
を含有してなるものである。ここで芯鞘複合糸とは、複
合紡糸により2種の高分子を同心円状に配置する方法に
より製造された糸をいう。これらの様態の繊維構造物で
は、芯鞘複合糸の芯部または鞘部を溶出する。繊維構造
物が芯部に超臨界流体またはそれに類する流体に溶解す
る化合物を配置した芯鞘複合糸を含有してなる様態で
は、仮撚加工など繊維が大きく変形する処理を化合物の
溶出前に行うことで、中空部の変形の少ない中空糸を得
ることができる。
【0018】本発明で用いる繊維構造物の他の一様態
は、繊維構造物が島部または海部に超臨界流体またはそ
れに類する流体に溶解する化合物を配置した海島複合糸
を含有してなるものである。ここで海島複合糸とは、複
合紡糸により1種の高分子のマトリックス中に他の1種
を島状に分散して配置する方法により製造された糸をい
う。これらの様態の繊維構造物では、海島複合糸の島部
または海部を溶出する。
【0019】本発明では芯鞘、海島以外の複合形態の複
合紡糸により超臨界流体またはそれに類する流体に溶解
する化合物を含有する繊維を製造し、それを用いて繊維
構造物を得ることもできる。芯鞘、海島以外の複合形態
の例としては、張合せ型、分割型、ランダム分散型、部
分的に溶解部を持つ形などを挙げることができる。
【0020】複合紡糸における超臨界流体またはそれに
類する流体に溶解する化合物の使用比率は特に限定され
ないが、好ましくは0.1%以上80%以下が望まし
い。この理由は使用比率が0.1%未満であると使用し
た化合物の溶出による繊維構造物の物性変化が大きくな
りにくいためであり、使用比率が80%より大きいと溶
出後の繊維構造物の実用特性の低下が大きい場合が多い
からである。
【0021】本発明で用いる繊維構造物のもう一つの態
様は、繊維構造物が超臨界流体またはそれに類する流体
に溶解する化合物からなる繊維を含有してなるものであ
る。ここで超臨界流体またはそれに類する流体に溶解す
る化合物からなる繊維とは、超臨界流体またはそれに類
する流体に溶解する高分子を用いて溶融紡糸あるいは溶
液紡糸により形成された繊維をいう。この様態の繊維構
造物では超臨界流体またはそれに類する流体に溶解する
化合物からなる繊維を溶出する。
【0022】繊維構造物が超臨界流体またはそれに類す
る流体に溶解する化合物からなる繊維を含有してなる形
態としては、混繊、混紡、交織、交編などの方法を用い
ればよい。このうち混繊の方法を用いる場合は、引き揃
え、交絡加工、複合仮撚加工などの方法を用いればよ
い。
【0023】本発明において、超臨界流体またはそれに
類する流体に溶解する化合物からなる繊維を含有する繊
維構造物中の超臨界流体またはそれに類する流体に溶解
する高分子からなる繊維の使用比率は特に限定されない
が、好ましくは0.1%以上80%以下が望ましい。こ
の理由は使用比率が0.1%未満であると使用した繊維
の溶出による繊維構造物の物性変化が大きくなりにくい
ためであり、使用比率が80%より大きいと溶出後の繊
維構造物の実用特性の低下が大きい場合が多いからであ
る。
【0024】本発明においては、特に芯部または島部の
ように、溶媒と接していない領域から容易に化合物を溶
出できることが大きな特徴である。この理由は、高圧で
は鞘部あるいは海部を構成する高分子に超臨界流体また
はそれに類する流体が大量に吸尽されて膨潤が起こり、
溶出される化合物が通過しやすくなっているためと考え
られる。
【0025】かかる繊維構造物を装置に充填し、その装
置に超臨界流体またはそれに類する流体の状態にして用
いる物質を注入して圧力を加え、必要により温度を変更
して超臨界状態またはそれに類する状態とし一定時間そ
の状態を保つことにより、溶出処理された繊維構造物を
製造することができる。この処理の間に、本発明では超
臨界流体またはそれに類する流体に溶解する化合物の少
なくとも一部が繊維構造物から溶出される。超臨界流体
またはそれに類する流体の状態にして用いる物質として
二酸化炭素を用いる場合、好ましくは圧力は10Mpa
以上、温度は40℃以上が望ましい。この理由は圧力が
これより小さいと超臨界流体またはそれに類する流体へ
の化合物の溶解度が小さいからであり、また温度がこれ
より低いと超臨界流体またはそれに類する流体への高分
子の溶解速度が小さいからである。
【0026】ここで、繊維構造物を充填する装置は、超
臨界流体およびそれに類する流体に溶解する化合物の溶
出速度を高めるために、超臨界流体またはそれに類する
流体を循環させる設備または繊維構造物を循環させる設
備、あるいはその両者を備えていることが望ましい。こ
こで超臨界流体またはそれに類する流体を循環させるに
は、繊維構造物を充填した容器へ媒体を注入する配管と
排出する配管を取付け、それをポンプでつないで駆動す
るなどすればよい。また、繊維構造物を循環させるに
は、繊維構造物を充填する容器中で超臨界流体またはそ
れに類する流体を流動させて繊維構造物を回転させるな
どすればよい。
【0027】また、溶出を完全に行うために一度目の溶
出処理後に化合物が溶解していない超臨界流体またはそ
れに類する流体で繊維構造物を再度洗浄してもよい。特
に風合い柔軟化を目的とする場合、未溶出の化合物が繊
維構造物に付着すると悪影響が出る可能性が高いので、
上記洗浄処理を行うことが望ましい。
【0028】なお、本発明の繊維構造物の製造方法にお
いては、溶出した化合物を回収して再利用してもよい。
この場合溶出した化合物をより容易に回収するために、
圧力を下げて溶解していた化合物を回収する専用の回収
槽を設けることが望ましい。
【0029】
【実施例】実施例1 分子量約8000のポリプロピレングリコールをポリエ
チレンテレフタレートに5%混合し、溶融紡糸により7
5デニール、36フィラメントのマルチフィラメント糸
を得た。この糸を用いて経糸密度110本/inch、緯糸
密度80本/inchの平織織物を作成した。
【0030】得られた織物50gを内容積500mlの
高圧容器に充填した後、二酸化炭素を容器に注入しなが
ら温度を80℃に上昇させた。さらにその温度を保った
まま二酸化炭素を継続して注入し、圧力を20Mpaと
した。この後この条件を30分保った後、徐々に二酸化
炭素を排出した。処理後の上記織物の重量は47.7g
であった。
【0031】次いで、処理後の織物を分散染料(Dianix
Black HR-FS:ダイスタージャパン製)を織物重量に対
して10%の濃度で含んだ水溶液中で染色したところ、
染料吸尽率は5.2%であり、比較例1と比べて染料吸
尽率が大きく向上した。
【0032】実施例2 分子量約3000のポリカーボネートを用いることを除
いては実施例1と同様に行った。超臨界状態の二酸化炭
素による処理後の織物の重量は47.9gであった。
【0033】次いで、処理後の織物を実施例1と同様に
染色したところ、染料吸尽率は5.1%であり、比較例
1と比べて染料吸尽率が大きく向上した。
【0034】比較例1 ポリエチレンテレフタレートのみを用いることを除いて
は実施例1と同様に行った。超臨界状態の二酸化炭素に
よる処理後の織物の重量は49.9gであった。
【0035】次いで、処理後の織物を実施例1と同様に
染色したところ、染料吸尽率は2.3%であった。
【0036】実施例3 分子量約5000のポリプロピレングリコールをヘキサ
メチレンジイソシアネートと反応させて分子量約10万
のポリプロピレングリコール誘導体を得た。
【0037】このポリプロピレングリコール誘導体を芯
部に配置し、鞘部にはポリエチレンテレフタレートを配
置して、単繊維においてポリプロピレングリコール誘導
体の占める断面積が20%で、75デニール、36フィ
ラメントのマルチフィラメント糸を得た。この糸を用い
て経糸密度110本/inch、緯糸密度80本/inchの平
織織物を作製した。
【0038】得られた織物を実施例1と同様の条件で超
臨界二酸化炭素により処理した。処理後の織物の重量は
40.7gであった。
【0039】次いで、処理後の織物の断面を走査型電子
顕微鏡で観察した結果、各繊維が明らかに中空部を有す
ることが観察された。
【0040】実施例4 分子量約2万のポリカーボネートを芯部に用いることを
除いては実施例3と同様に行った。超臨界状態の二酸化
炭素による処理後の織物の重量は40.7gであった。
【0041】処理後の織物の断面を走査型電子顕微鏡で
観察した結果、実施例3と同様に各繊維が明らかに中空
部を有することが観察された。
【0042】比較例2 織物の処理は比較例1と同様に行った。超臨界状態の二
酸化炭素による処理後の織物の重量は49.9gであっ
た。
【0043】処理後の織物の断面を実施例3と同様に走
査型電子顕微鏡で観察しても中空部は観察されなかっ
た。
【0044】実施例5 ポリプロピレングリコール誘導体を鞘部に配置すること
を除いては実施例3と同様に行った。超臨界状態の二酸
化炭素による処理後の織物の重量は40.1gであっ
た。
【0045】この処理前後の織物の曲げ剛性をKES
(Kawabata Evaluation System)測定機(カトーテック
社製)により測定したところ、処理前の織物の曲げ剛性
は経糸方向0.082gf・cm2/cm、緯糸方向0.078gf・cm2/cm
で、処理後の織物の曲げ剛性は経糸方向0.030gf・cm2/c
m、緯糸方向0.024gf・cm2/cmであり、超臨界状態の二酸
化炭素による処理で大きく風合いが柔軟化した。
【0046】実施例6 ポリカーボネートを鞘に配置することを除いては実施例
4と同様に行った。超臨界状態の二酸化炭素による処理
後の織物の重量は40.3gであった。
【0047】この処理前後の織物の曲げ剛性を実施例5
と同様に測定したところ、処理前の織物の曲げ剛性は経
糸方向0.083gf・cm2/cm、緯糸方向0.080gf・cm2/cmで、
処理後の織物の曲げ剛性は経糸方向0.035gf・cm2/cm、
緯糸方向0.033gf・cm2/cmであり、超臨界状態の二酸化
炭素による処理で大きく風合いが柔軟化した。
【0048】比較例3 織物の処理は比較例1と同様に行った。超臨界状態の二
酸化炭素による処理後の織物の重量は49.9gであっ
た。
【0049】この処理前後の織物の曲げ剛性を実施例5
と同様に測定したところ、処理前の織物の曲げ剛性は経
糸方向0.080gf・cm2/cm、緯糸方向0.073gf・cm2/cmで、
処理後の織物の曲げ剛性は経糸方向0.078gf・cm2/cm、
緯糸方向0.074gf・cm2/cmであり、超臨界状態の二酸化
炭素により風合いは大きくは柔軟化しなかった。
【0050】実施例7 実施例3で用いたポリプロピレングリコール誘導体を島
部に配置し、海部にはポリエチレンテレフタレートを配
置して、単繊維においてポリプロピレングリコール誘導
体の占める断面積が20%で島数が30で、75デニー
ル、36フィラメントのマルチフィラメント糸を得た。
この糸を用いて経糸密度110本/inch、緯糸密度80
本/inchの平織織物を作成した。
【0051】得られた織物を実施例1と同様の条件で超
臨界二酸化炭素により処理した。処理後の織物の重量は
40.9gであった。
【0052】処理後の織物の断面を走査型電子顕微鏡で
観察した結果、各繊維が明らかにレンコン状の中空部を
有することが観察された。
【0053】実施例8 実施例4で用いたポリカーボネートを用いることを除い
ては実施例7と同様に行った。超臨界状態の二酸化炭素
による処理後の織物の重量は41.0gであった。
【0054】上記処理後の織物の断面を走査型電子顕微
鏡で観察した結果、実施例7と同様に各繊維が明らかに
レンコン状の中空部を有することが観察された。
【0055】実施例9 ポリプロピレングリコール誘導体を海部に配置し、島数
を90とすることを除いては実施例7と同様に行った。
超臨界状態の二酸化炭素による処理後の織物の重量は4
0.1gであった。
【0056】処理後の織物の断面を走査型電子顕微鏡で
観察した結果、各繊維が明らかに極細繊維となっている
ことが観察された。
【0057】実施例10 ポリカーボネートを海部に配置し、島数を90とするこ
とを除いては実施例8と同様に行った。超臨界状態の二
酸化炭素による処理後の織物の重量は40.3gであっ
た。
【0058】処理後の織物の断面を走査型電子顕微鏡で
観察した結果、実施例9と同様に各繊維が明らかに極細
繊維となっていることが観察された。
【0059】実施例11 実施例3で用いたポリプロピレングリコール誘導体を用
いて、溶融紡糸により25デニール、12フィラメント
のマルチフィラメント糸を得た。この糸と75デニー
ル、36フィラメントのレギュラーポリエステル糸を混
繊し、その混繊糸を用いて経糸密度80本/inch、緯糸
密度64本/inchの平織織物を作成した。
【0060】得られた織物を実施例1と同様の条件で超
臨界二酸化炭素により処理した。処理後の織物の重量は
37.7gであった。
【0061】この処理前後の織物の曲げ剛性を実施例5
と同様に測定したところ、処理前の織物の曲げ剛性は経
糸方向0.159gf・cm2/cm、緯糸方向0.120gf・cm2/cmで、
処理後の織物の曲げ剛性は経糸方向0.050gf・cm2/cm、
緯糸方向0.044gf・cm2/cmであり、超臨界状態の二酸化
炭素による処理で大きく風合いが柔軟化した。
【0062】実施例12 実施例4で用いたポリカーボネートを用いることを除い
ては実施例11と同様に行った。超臨界状態の二酸化炭
素による処理後の織物の重量は37.8gであった。
【0063】この処理前後の織物の曲げ剛性を実施例5
と同様に測定したところ、処理前の織物の曲げ剛性は経
糸方向0.174gf・cm2/cm、緯糸方向0.135gf・cm2/cmで、
処理後の織物の曲げ剛性は経糸方向0.056gf・cm2/cm、
緯糸方向0.047gf・cm2/cmであり、超臨界状態の二酸化
炭素による処理で大きく風合いが柔軟化した。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、次のような繊維構造物
を得ることができる。
【0065】(1)超臨界流体またはそれに類する流体
に溶解する化合物をブレンドした繊維を含有してなる態
様によれば、ブレンドされた化合物を溶出することによ
り強度、伸度、ヤング率、染料の吸尽性など繊維構造物
自身の物性を改良することができる。
【0066】(2)芯部に超臨界流体またはそれに類す
る流体に溶解する化合物を配置した芯鞘複合糸を含有し
てなる様態によれば、芯部を溶出することにより中空糸
を得ることができる。
【0067】(3)鞘部に超臨界流体またはそれに類す
る流体に溶解する化合物を配置した芯鞘複合糸を含有し
てなる様態によれば、鞘部を溶出することにより繊維間
空隙の増大した柔軟な繊維構造物を得ることができる。
【0068】(4)島部に超臨界流体またはそれに類す
る流体に溶解する化合物を配置した海島複合糸を含有し
てなる様態においては、島部を溶出することによりレン
コン状の中空繊維を得ることができる。
【0069】(5)海部に超臨界流体またはそれに類す
る流体に溶解する化合物を配置した海島複合糸を含有し
てなる様態においては、海部を溶出することにより極細
繊維を得ることができる。
【0070】(6)超臨界流体またはそれに類する流体
に溶解する化合物からなる繊維を含有してなる様態にお
いては、この繊維を溶出することにより、繊維間空隙の
増大した柔軟な繊維構造物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L031 AA18 AB01 AB10 AB11 BA02 BA08 CA07 CA11 DA00 DA05 DA09 4L041 AA07 BA02 BA04 BA05 BA16 BA21 BD14 CA06 CA07 CA17 DD01 DD11 DD14 EE06 EE08 EE20 4L048 AA20 AA21 AA29 AB07 AB09 BA01 BA02 CA00 CA01 CA02 CA04 CA12 CA15 EB04 EB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超臨界流体またはそれに類する流体に溶解
    する化合物を含有する繊維構造物を超臨界流体またはそ
    れに類する流体で処理して該化合物の少なくとも一部を
    溶出することを特徴とする繊維構造物の製造方法。
  2. 【請求項2】該繊維構造物が超臨界流体またはそれに類
    する流体に溶解する化合物をブレンドした繊維を含有し
    てなることを特徴とする請求項1記載の繊維構造物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】該繊維構造物が芯部または鞘部に超臨界流
    体またはそれに類する流体に溶解する化合物を配置した
    芯鞘複合糸を含有してなることを特徴とする請求項1記
    載の繊維構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】該繊維構造物が島部または海部に超臨界流
    体またはそれに類する流体に溶解する化合物を配置した
    海島型複合糸を含有してなることを特徴とする請求項1
    記載の繊維構造物の製造方法。
  5. 【請求項5】該繊維構造物が超臨界流体またはそれに類
    する流体に溶解する化合物からなる繊維を含有してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の繊維構造物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】超臨界流体またはそれに類する流体に溶解
    する化合物がポリプロピレングリコール、ポリカーボネ
    ートまたはその誘導体であることを特徴とする請求項1
    〜5いずれかに記載の繊維構造物。
  7. 【請求項7】該繊維構造物がポリエステル系繊維からな
    ることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の繊維
    構造物の製造方法。
  8. 【請求項8】該超臨界流体またはそれに類する流体が二
    酸化炭素を媒体とすることを特徴とする請求項1〜7い
    ずれかに記載の繊維構造物の製造方法。
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WO2021208191A1 (zh) * 2020-04-16 2021-10-21 博聚(上海)生态科技有限公司 一种快速生物降解的孔洞聚酯纤维的生产工艺

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