JP3760647B2 - 発砲繊維構造物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡繊維構造物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡繊維構造物はクッション性や保温性が高いことから、特開昭50−77619号公報や特開平4−214407号公報にあるように、これまで主として発泡剤を紡糸前の合成高分子溶融液に添加して紡糸とともに発泡させる試みが行われてきた。しかし、このような方法では残留した発泡剤が繊維物性を低下させたり、発泡剤が紡糸装置を汚して生産性を低下させたりする問題があった。また紡糸の際に発泡させると発泡による空孔が繊維軸方向に大きく引き延ばされ、クッション性や保温性向上効果の大きい球形の微細な空孔は得られなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繊維軸方向に引き延ばされていない略球形の空孔を持つ発泡繊維構造物の製造に適し、上記のような発泡剤が残留したり紡糸時の問題を生じたりしない発泡繊維構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の発泡繊維構造物の製造方法は次の構成を有する。
【0007】
すなわち、繊維構造物に二酸化炭素を圧力1Mpa以上、50℃以下で吸尽させた後、該二酸化炭素を膨張させる処理を行うことを特徴とする発泡繊維構造物の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、発泡繊維構造物とは、繊維構造物を構成する繊維内部に略球形の独立した空孔を有する繊維構造物をいう。ここで略球形には、球の形状のほか、完全な球形から凹凸あるいは偏平化などの変形が生じているものが含まれる。球形からの変形度合いは最も直径が大きくなる部分と最も直径が小さくなる部分との比で表すことができるが、本発明においてこの比はおおむね2以下となる。
【0009】
本発明の発泡繊維構造物の空孔の平均直径は、繊維直径の1/1000以上1/5以下であることが望ましい。繊維直径の1/1000より空孔の大きさが小さいとクッション性や保温性が不足するからであり、繊維直径の1/5より空孔の大きさが大きいと繊維強度の低下が大きくなるからである。
【0010】
本発明において繊維構造物としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合繊繊維のうち少なくとも一つからなるフィラメント、紡績糸、織物、編物、不織布などを用いることができる。天然繊維としては綿、獣毛繊維、絹、麻など、再生繊維としてはセルロース系再生繊維のレーヨン(ビスコースレーヨン)、キュプラ(銅アンモニアレーヨン)など、半合成繊維としてはセルロース系半合成繊維としてアセテート(トリアセテート)など、また合成繊維としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミドなどの各種繊維を挙げることができる。なかでも、高度な機能付与が求められる汎用繊維としてポリエステル繊維が最も実用面で重要であるため、ポリエステル繊維を含有するポリエステル系繊維構造物を用いることがより有効である。
【0011】
ポリエステル系繊維構造物としては、ポリエステルのみからなる繊維構造物以外に、綿、羊毛などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、ナイロンなどの合成繊維のうち少なくとも一つとポリエステル繊維を混紡または交撚、交織、交編などしたものなどが含まれる。
【0012】
本発明のポリエステル系繊維構造物においては、それを構成するポリエステル系繊維の複屈折率が0.04以上0.10以下であることが望ましい。この理由は複屈折率がこの範囲であると発泡がより効率的に行われるからである。ここで複屈折率の測定は、例えばOLIMPUS BH-2などの偏光顕微鏡を用いて単繊維のレターデーションと光路長を測定し、複屈折度を求めればよい。
【0013】
本発明では吸尽効率と取扱の容易さの2点から二酸化炭素が用いられる。
【0014】
本発明においては、上記低分子化合物を繊維構造物に吸尽させ、その後にその低分子化合物を膨張させて発泡させる。このとき発泡を効率よく行うため、低分子化合物の繊維への吸尽率は2%以上であることが望ましい。
【0015】
このような高い吸尽率を得るために、本発明では低分子化合物の臨界温度および臨界圧力を超えた温度および圧力下において繊維構造物に吸尽させることが好ましい。すなわち、臨界温度および臨界圧力を超えた温度および圧力下では、超臨界流体という流動体の形態をとる。この状態は気相および液相のどちらに属するともいえない状態であり、密度は液体と同程度であるにもかかわらず、気体と同程度の運動性を持つため、この超臨界流体が繊維構造物の細部に吸尽されやすいのである。
【0016】
また本発明では、超臨界流体に類する流体を用いることも有効である。ここで超臨界流体に類する流体とは通常の繊維加工で用いられる装置の圧力より十分高い、例えば1Mpa以上の高圧状態にある気体または液体の状態の流動体をいう。このような高圧状態にある流動体は、超臨界流体と同様に種々の薬剤を溶解可能であり、かつ繊維構造物の細部まで浸透しやすいため、本発明において超臨界流体と同様の作用を有する。
【0017】
このような超臨界流体または超臨界流体に類する流体での吸尽は、例えば二酸化炭素を用いる場合、圧力は1Mpa以上、温度は50℃以下とすることで達成できる。
【0018】
このように高い圧力の二酸化炭素で繊維構造物を処理するには、高圧に耐えるオートクレーブなどに繊維構造物を充填した後二酸化炭素を導入して高圧にするなどすればよい。
【0019】
本発明においては二酸化炭素を繊維構造物に吸尽させた後、二酸化炭素を膨張させる。これには、温度や圧力を瞬時に大きく変化させて、吸尽された二酸化炭素の体積を数倍以上に膨張させればよい。
【0020】
二酸化炭素を用いる場合、圧力を急激に低下させるとか、温度を急激に上昇させるなどの方法を用いればよいが、なかでも10℃以上100℃未満の水に繊維構造物を浸漬する処理を用いることが望ましい。この理由は水は熱伝導率が大きく繊維構造物の温度を急速に変化させるのに有利だからである。
【0021】
【実施例】
実施例1
75デニール、36フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(複屈折率0.145の延伸糸)を用いた平織織物(経糸密度110本/inch、緯糸密度80本/inch)50gを内容積500mlの高圧容器に充填した後、室温(25℃)のまま二酸化炭素を容器に注入し、圧力を20Mpaとした。次いで、この条件を10分保った後、二酸化炭素を急速に排出した。このとき織物への二酸化炭素の吸尽率は、重量変化から求めると約5%であった。
【0022】
次に、この織物を80℃に保った恒温水槽に10秒間浸漬して二酸化炭素を急速に膨張させた。
【0023】
発泡処理後の織物の空孔の大きさを見積もるために、繊維軸方向に平行な断面と垂直な断面のSEM観察を行ったところ、どちらの断面についても空孔はほぼ球形で独立しており、その平均直径は約0.2μm(繊維直径の約100分の1)であった。
【0024】
実施例2
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント延伸糸の代わりにポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント半延伸糸(複屈折率0.065)を用いることを除いては実施例1と同様に行った。このとき織物への二酸化炭素の吸尽率は約7%であった。
【0025】
発泡処理後の織物について実施例1と同様に断面のSEM観察を行ったところ、空孔の大きさは約1μm(繊維直径の約20分の1)であった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の発泡繊維構造物によれば、略球形の独立した空孔により、クッション性や保温性の高い発泡繊維構造物を得ることができる。また本発明の発泡繊維構造物の製造方法によれば、発泡剤の残留による繊維物性の低下や紡糸装置の汚れによる生産性の低下を起こさずに発泡繊維構造物を製造することができる。
Claims (4)
- 繊維構造物に二酸化炭素を圧力1Mpa以上、50℃以下で吸尽させた後、該二酸化炭素を膨張させる処理を行うことを特徴とする発泡繊維構造物の製造方法。
- 該二酸化炭素の吸尽率が2%以上であることを特徴とする請求項1記載の発泡繊維構造物の製造方法。
- 10℃以上100℃未満の水に繊維構造物を浸漬して二酸化炭素を膨張させることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡繊維構造物の製造方法。
- 該繊維構造物がポリエステル系繊維からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡繊維構造物の製造方法。
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