JP2000153385A - レーザ照射ヘッドおよびこの照射ヘッドを備えた原子炉内構造物の予防保全・補修装置および作業方法 - Google Patents

レーザ照射ヘッドおよびこの照射ヘッドを備えた原子炉内構造物の予防保全・補修装置および作業方法

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JP2000153385A
JP2000153385A JP10325608A JP32560898A JP2000153385A JP 2000153385 A JP2000153385 A JP 2000153385A JP 10325608 A JP10325608 A JP 10325608A JP 32560898 A JP32560898 A JP 32560898A JP 2000153385 A JP2000153385 A JP 2000153385A
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Yutaka Togasawa
裕 戸賀沢
Hiroaki Ikakura
尋明 猪鹿倉
Takuya Uehara
拓也 上原
Yuji Sano
雄二 佐野
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正樹 依田
Minoru Obata
稔 小畑
Shigehiko Mukai
成彦 向井
Tatsuki Ogisu
達樹 荻須
Nobuhiko Tanaka
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Makoto Kondo
允 近藤
Yasuki Kitajima
靖己 北島
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】施工対象箇所が狭隘部であってもレーザ光によ
る予防保全・補修作業を効率的に行なうことができるレ
ーザ照射ヘッドおよび原子炉内構造物の予防保全・補修
装置ならびにその作業方法を提供する。 【解決手段】原子炉内構造物の予防保全・補修装置20
は、レーザ光を出力させるレーザ装置24と、このレー
ザ装置24からのレーザ光Lを原子炉10内に導くレー
ザ導光手段25と、原子炉内に導かれたレーザ光を原子
炉内構造物15の施工対象箇所21に照射させるレーザ
照射ヘッド26とを備える。さらに、予防保全・補修装
置20は、原子炉10内に吊り込まれて炉心部に設置さ
れる本体位置決め装置29と、この本体位置決め装置2
9内に収納されたレーザ照射ヘッド26を施工対象箇所
21付近に進退自在に張り出させて設置するヘッド進退
機構31と、原子炉10内に導かれたレーザ光Lを受光
してレーザ照射ヘッド26に導くレーザ光伝送手段27
とを備え、前記レーザ照射ヘッド26はシュラウド11
内側壁の施工対象に向けて張り出されて位置決め固定し
たものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ照射ヘッド
およびこの照射ヘッドを備えた原子炉内構造物の予防保
全・補修装置ならびにその作業方法に係り、特にレーザ
光を用いて原子炉内構造物の狭隘部の予防保全および補
修を行なう原子炉内構造物の予防保全・補修装置ならび
にその作業システムに関する。具体的には原子炉内構造
物の狭隘部を効率よく能率的にレーザ光を用いて水中環
境下で予防保全および補修を行なうことができる原子炉
内構造物の予防保全・補修装置およびその作業方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、軽水炉、例えば沸騰水型原子炉の
炉内構造物は水中の高温高圧環境下において十分な耐食
性と高温強度を有する材料、例えばオーステナイト系ス
テンレス鋼またはニッケル基合金が用いられている。こ
の炉内構造物のうち、交換困難な部材についてはこれら
の部材が原子力発電プラントの長期に及ぶ運転により厳
しい環境に曝され、また中性子照射の影響も有り材料劣
化の問題が懸念される。特に炉内構造物の溶接部近傍は
溶接時の入熱による材料の鋭敏化および引張り残留応力
の影響で潜在的な応力腐食割れの危険性を有している。
【0003】最近、原子力発電プラントの安定運転のた
め、予防保全対策として種々の材料の表面改良技術が開
発されている。その中でレーザ光を材料表面に照射して
表面の改質を行う技術が例えば特開平7−246483
号公報および特開平8−206869号公報に開示され
ている。
【0004】すなわち、前者はパルスレーザ装置から発
振されたパスルレーザ光を反射鏡を通して被加工物(施
工面)の表面に照射し、その施工面での照射位置を変え
ながら、施工面での残留引張り応力を圧縮応力に変える
レーザピーニング方法である。
【0005】一方、後者は冷却水に浸された施工面に可
視波長を持つ高出力、短パルスのレーザ光を照射して、
施工面の残留応力改善、亀裂除去、またはクラッドの除
去を行う水中レーザ加工方法および装置である。
【0006】上記の水中レーザ加工方法および装置は、
レーザ光を発振器から施工箇所まで導くのに光ファイバ
を使用している。光ファイバを用いた場合に、光ファイ
バ内を導光可能なレーザ光のパワーまたはエネルギには
限界があり前述のような表面改質を行うために必要な施
工面での光パワーおよびエネルギ密度を得るためには、
光ファイバから出射した光をできるだけ小さく集光させ
る必要がある。
【0007】ところが一般のパワーレーザ用の光ファイ
バでは光ファイバの出射レーザ光の拡散率が大きいた
め、逆に深い角度で収束させなければならない。その結
果焦点深度が非常に浅い集光レンズを用いることにな
り、施工面に対して光ファイバおよび集光レンズを含む
レーザ照射光学系を精密に位置決めしなければならな
い。
【0008】そこでレーザ照射光学系の位置決め問題を
解決するため、本発明者らは光ファイバおよびレーザ照
射光学系の精密な位置決めが不要となるよう、オペレー
ションフロア上あるいはシュラウド胴上部のレーザ発振
器から出力されるレーザ光を気中伝送してレーザ照射光
学系に導き、このレーザ照射光学系で特にシュラウド胴
内部の原子炉内構造物を対象として、エネルギ密度が高
くしかも平行光に近いレーザ光を用いた予防保全・補修
装置を特願平8−256532号により特許出願した。
【0009】この原子炉内構造物の予防保全・補修装置
の従来例について図9を参照して説明する。
【0010】従来の原子炉内構造物の予防保全・補修装
置は、図9に示すように、例えば沸騰水型原子炉の原子
炉圧力容器1内に据付けられるシュラウド2等の炉内構
造物を施工対象とするものである。この原子炉内構造物
の予防保全・補修装置は、オペレーションフロア3に設
置されたレーザ電源4と、レーザ発振器5と、導光部材
6からなる導光装置7と、その先端に配置されたレーザ
照射ヘッド8から構成される。この原子炉内構造物の予
防保全・補修装置においては、レーザ発振器5から出力
されるレーザ光Lを導光部材6によってレーザ照射ヘッ
ド8まで気中伝送して炉内構造物の施工対象に照射して
いる。このためレーザ照射ヘッド8を高精度に位置決め
する必要がなく、高エネルギ密度のレーザ光によりレー
ザピーニング、溶融、クラッディング(Cladding)、溶
接等の予防保全・補修作業を行なうことができ、原子炉
の信頼性、安全性が向上する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来の原子炉内構造物
の予防保全・補修装置においては、原子炉圧力容器1内
の炉内構造物であるシュラウド2の内壁各部および各炉
内構造物を施工対象としているが、シュラウド中間部胴
内側の下半分に存在する縦溶接線(V5内側溶接線)や
シュラウド中間部胴内側下端の水平溶接線(H6a内側
溶接線)を施工する場合、シュラウド中間部胴と炉心支
持板9に挟まれた幅約30mm、深さ約400mmの円筒状
狭隘部内までレーザ光を導き照射しなければならない
が、このレーザ照射ヘッド8では上記円筒状狭隘部内に
レーザ光を導くことが困難であった。
【0012】レーザ光によりシュラウド中間部胴の円筒
状狭隘部の溶接線近傍の表層の応力改善、また鋭敏化し
た金属組織の表面改質、溶接補修を行う場合、レーザ光
で施工可能なエネルギ密度を得るためには照射面に対す
る照射角度を深く取りながら照射点の走査をしなければ
ならない。
【0013】しかし、炉心支持板9上にレーザ照射光学
系を配置し、円筒状狭隘部の底部へレーザ光を照射する
方法では照射角度が浅くなってしまい施工に必要なレー
ザ光のエネルギ密度が充分に得られないといった課題
や、照射距離が長くなるので照射点を走査するために高
精度な位置決め機構が必要になり予防保全・補修装置が
複雑化し信頼性が低下してしまうという課題があった。
【0014】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、施工対象箇所が狭隘部であってもレーザ光に
よる予防保全、補修作業を効率的に行なうことができる
レーザ照射ヘッドおよびこの照射ヘッドを備えた原子炉
内構造物の予防保全・補修装置ならびにその作業方法を
提供することを目的とする。
【0015】本発明の他の目的は、原子炉内構造物であ
るシュラウド胴内壁のうち、シュラウド中間部胴と炉心
支持板に挟まれた円筒状狭隘部の予防保全、補修作業を
レーザ光を用いて水中環境下で効率よく能率的に行なう
ことができるレーザ照射ヘッドおよびこの照射ヘッドを
備えた原子炉内構造物の予防保全・補修装置ならびにそ
の作業方法を提供するにある。
【0016】本発明の別の目的は、原子炉内構造物であ
るシュラウド胴内壁の溶接線のうち、特にシュラウド中
間部胴と炉心支持板に挟まれた円筒状狭隘部内に存在す
る溶接線を対象に、レーザ光を用いて水中環境下で溶接
線近傍の表層の応力改善、鋭敏化した金属組織の表面改
質、溶接補修を効率よく有効的に行なう原子炉内構造物
の予防保全・補修装置およびその作業方法を提供するに
ある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレーザ照射
ヘッドは、上述した課題を解決するために、請求項1に
記載したように、レーザ装置から出力されたレーザ光を
施工対象箇所に照射するレーザ照射ヘッドにおいて、上
記レーザ光を導光させるヘッド内導光部材を備えた照射
ヘッド本体と、上記ヘッド内導光部材からのレーザ光を
集光させる集光レンズと、集光されたレーザ光を施工対
象箇所に照射させる反射ミラーと、この反射ミラーをレ
ーザ光軸廻りに回転可能に保持するミラー回転手段と、
上記反射ミラーと集光レンズの相対距離を調整する距離
調整手段と、上記反射ミラーと集光レンズの相対距離を
保持してレーザ光軸方向に移動させる移動手段とを備
え、前記ヘッド内導光部材、集光レンズおよび反射ミラ
ーを狭隘な隙間に形成される施工対象箇所に出入れ可能
に構成したものである。
【0018】請求項2に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、照射ヘッド本体に偏平で細
長い昇降サポート機構をフレーム昇降装置でスライド昇
降自在に設け、上記昇降サポート機構に集光レンズおよ
び反射ミラーで構成される照射走査光学系を取付ける一
方、前記フレーム昇降装置は集光レンズと反射ミラーの
相対距離を保って移動させる移動手段を構成したもので
ある。
【0019】請求項3に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、昇降サポート機構は、反射
ミラーを回転させるミラー回転手段と上記反射ミラーと
集光レンズの相対距離を調整する距離調整手段とをヘッ
ド内導光部材を挟んだ両側にバランスさせて備えたもの
である。
【0020】請求項4に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、ヘッド内導光部材は、筒状
部材とこの筒状部材の筒内を気中に保つ光学部材とを有
し、上記ヘッド内導光部材はレーザ光を集光レンズに導
くように、照射ヘッド本体に取付けられたものである。
【0021】請求項5に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、ヘッド内導光部材は、石英
ガラスまたは光ファイバで構成され、集光レンズにレー
ザ光を導くように設けられたものである。
【0022】請求項6に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、照射ヘッド本体は、直交す
る二軸廻りに回転可能なジンバル機構を備え、このジン
バル機構の内側フレームにヘッド内導光部材を取付けた
ものである。
【0023】請求項7に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、ヘッド内導光部材から集光
レンズに至る光路、および上記集光レンズから反射ミラ
ーに至る光路を周囲環境に露出させ、上記光路は周囲環
境による空間伝送路に構成されたものである。
【0024】請求項8に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、昇降サポート機構または照
射ヘッド本体にヘッド位置計測手段を設け、この位置計
測手段で施工対象箇所に対するレーザ照射ヘッドの位置
を計測したものである。
【0025】請求項9に係るレーザ照射ヘッドは、上述
した課題を解決するために、昇降サポート機構にレーザ
光照射点位置計測手段を設け、この位置計測手段で施工
対象箇所におけるレーザ光照射点の位置検出を行なうよ
うにしたものであり、また、請求項10に係るレーザ照
射ヘッドは、昇降サポート機構に施工対象箇所へのレー
ザ光照射状態を把握する手段を設けたものである。
【0026】また、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置は、上述した課題を解決するために、請
求項11に記載したように、レーザ光を出力させるレー
ザ装置と、このレーザ装置からのレーザ光を原子炉内に
導くレーザ導光手段と、原子炉内に導かれたレーザ光を
原子炉内構造物の施工対象箇所に照射させるレーザ照射
ヘッドとを備えた原子炉内構造物の予防保全・補修装置
において、前記原子炉内に吊り込まれて炉心部に設置さ
れる本体位置決め装置と、この本体位置決め装置内に収
納されたレーザ照射ヘッドを施工対象箇所付近に進退自
在に張り出させて設置するヘッド進退機構と、原子炉内
に導かれたレーザ光を受光してレーザ照射ヘッドに導く
レーザ光伝送手段とを備え、前記レーザ照射ヘッドはシ
ュラウド内側壁の施工対象に向けて張り出されて位置決
め固定されたものである。
【0027】請求項12に係る原子炉内構造物の予防保
全・補修装置は、上述した課題を解決するために、レー
ザ照射ヘッドは請求項1乃至10のいずれかに記載の照
射ヘッドが用いられるものである。
【0028】請求項13に係る原子炉内構造物の予防保
全・補修装置は、上述した課題を解決するために、本体
位置決め装置は、細長い筒状本体ケースを備え、この本
体ケース内にレーザ照射ヘッドおよびレーザ光伝送手段
が出し入れ可能に収納され、収納状態で本体位置決め装
置は上部格子板の格子を通して吊り込まれ、制御棒案内
管上に設置されたものである。
【0029】請求項14に係る原子炉内構造物の予防保
全・補修装置は、上述した課題を解決するために、本体
位置決め装置は上部を上部格子板に固定させるクランプ
装置と、本体ケース内に収納されたレーザ照射ヘッドの
張出し方向を定める旋回装置と、レーザ照射ヘッドおよ
びレーザ光伝送手段を施工対象へ張り出させるヘッド進
退機構と、このヘッド進退機構を支持する本体ベースを
本体ケース内で昇降させるベース昇降装置とを備えたも
のである。
【0030】請求項15に係る原子炉内構造物の予防保
全・補修装置は、上述した課題を解決するために、レー
ザ光伝送手段は、原子炉内の水中環境下でレーザ光を受
けてレーザ照射ヘッドに気中伝送される可動の伝送路を
構成したものである。
【0031】請求項16に係る原子炉内構造物の予防保
全・補修装置は、上述した課題を解決するために、レー
ザ光伝送手段は、本体位置決め装置内に収納された導光
パイプと、この導光パイプに第1クランク走査機構によ
り回転および摺動関節を介して回転・伸縮自在に連結さ
れた張出し導光パイプと、この張出導光パイプに第2ク
ランク走査機構により回転関節を介して回転自在に連結
された張出し筒とを備え、この張出し筒からレーザ照射
ヘッドのヘッド内導光部材にレーザ光を導いたものであ
る。
【0032】請求項17に係る原子炉内構造物の予防保
全・補修装置は、上述した課題を解決するために、レー
ザ光伝送手段は、原子炉内の水中環境下でレーザ光を受
けてレーザ照射ヘッドに導く可撓性の光ファイバで構成
したものである。
【0033】さらに、本発明に係る原子炉内予防保全・
補修作業システムは、上述した課題を解決するために、
請求項18に記載したように、原子炉内の炉内構造物に
レーザ光を照射して予防保全・補修を行なう原子炉内構
造物の予防保全・補修装置と、原子炉上方のオペレーシ
ョンフロア上に設置された予防保全・補修装置の制御盤
および操作盤と、上記予防保全・補修装置の移動および
設置を行なうために、燃料交換機または作業台車に取付
けられた吊込み装置とを備え、レーザ装置から出力され
たレーザ光をレーザ導光手段を介して予防保全・補修装
置のレーザ照射ヘッドに導いて施工するようにしたもの
である。
【0034】一方、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置の作業方法は、上述した課題を解決する
ために、請求項19に記載したように、原子炉の炉心部
に本体位置決め装置を吊り込んで設置した後、本体位置
決め装置からレーザ照射ヘッドおよびレーザ光伝送手段
を張り出させてレーザ照射ヘッドを原子炉内構造物の施
工対象箇所付近に位置決め固定し、その後、レーザ装置
からのレーザ光をレーザ光伝送手段を介してレーザ照射
ヘッドに導き、このレーザ照射ヘッドから施工対象箇所
にレーザ光を照射させて溶接する作業方法において、反
射ミラーの反射点から施工対象箇所のレーザ光照射点ま
での距離が変化し、施工に必要なレーザ光のエネルギ密
度が得られないとき、レーザ照射ヘッドに設けられた集
光レンズと反射ミラーの距離を変化させ、必要なエネル
ギ密度を得て作業を進めるものである。
【0035】また、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置の作業方法は、上述した炉内予防保全・
補修装置の作業方法は、上述した課題を解決するため
に、請求項20に記載したように、原子炉内構造物にレ
ーザ照射ヘッドを位置決め固定し、レーザ装置から出力
されたレーザ光をレーザ照射ヘッドに導き、このレーザ
照射ヘッドから原子炉内構造物に照射して施工対象箇所
の予防保全・補修を行なう作業方法において、レーザ照
射ヘッドに備えられた集光レンズと反射ミラーの相対距
離を保持したまま、上記集光レンズおよび反射ミラーを
移動手段でレーザ光の光軸方向に移動させてレーザ光を
走査するものである。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明に係るレーザ照射ヘッドお
よびこの照射ヘッドを備えた原子炉内構造物の予防保全
・補修装置の一実施形態について添付図面を参照して説
明する。
【0037】図1は、本発明に係る原子炉内構造物の予
防保全・補修装置を原子炉内の狭隘部分に適用した例を
示す模式図である。
【0038】図1において符号10は、原子炉として例
えば沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器を示し、この原子
炉圧力容器10内に円筒状のシュラウド11、炉心支持
板12および上部格子板13が収容されて炉心部14が
構成される。これらのシュラウド11、炉心支持板12
および上部格子板13は原子炉内構造物15を構成する
一方、炉心支持板12の下方に多数の制御棒案内管16
が設置される。図1には制御棒案内管16を1本だけ示
している。なお、符号17はジェットポンプである。
【0039】原子炉圧力容器10内は、定期検査時等を
利用して炉内構造物15の点検・検査が行なわれる一
方、次の原子炉運転に備えて所定量の燃料交換が行なわ
れる。定期検査は、原子炉圧力容器10の上方に水を張
った状態で行なわれる。この定期検査時等を利用して本
発明に係る原子炉内構造物の予防保全・補修装置20が
用いられる。
【0040】この予防保全・補修装置20は、原子炉圧
力容器10内の狭隘部分をレーザ光を用いて水中環境下
で予防保全や補修を行なうものである。原子炉圧力容器
10内には種々の狭隘部分が存在する。例えば、原子炉
圧力容器10内の円筒状のシュラウド11と炉心支持板
12に挟まれたスリーブ状あるいはトーラス状間隙部分
は、幅約30mm、深さ400mmの円筒状狭隘部21とな
っている。シュラウド11の縦溶接線の一部や横溶接線
が上記円筒状狭隘部21に対応する部分に位置してい
る。
【0041】シュラウド11はプレート状あるいはリン
グ状シュラウド構成メンバ(上部胴、中間部胴、下部
胴)を縦・横の溶接線に沿って溶接して一体化し、円筒
状に構成したもので、シュラウド11と炉心支持板12
の円筒状狭隘部21にシュラウド中間部胴内側下半部分
に存在する縦溶接線(V5内側溶接線)の一部やシュラ
ウド中間部胴内側下端の水平溶接線(H6a内側溶接
線)が位置される。シュラウド11の各溶接線は原子炉
運転中に熱的に厳しい環境下で使用されるため、長年の
使用により劣化する恐れがある。この予防保全・補修装
置20は原子炉内構造物15の狭隘部分の予防保全や補
修を行なって、炉内構造物15の施工困難な狭隘部21
の表層の応力改善、鋭敏化した金属組織の表面改質、溶
接補修(メンテナンス)を効率よく、有効的に行なうも
のである。
【0042】原子炉内構造物の予防保全・補修装置20
は、図1に示すように、原子炉圧力容器10の上方のオ
ペレーションフロア23に設置されたレーザ装置24
と、このレーザ装置24から発振されたレーザ光Lを原
子炉圧力容器10内に導くレーザ導光手段25と、導か
れたレーザ光をレーザ照射ヘッド26に案内するレーザ
光伝送手段としてのレーザガイド関節走査手段27とを
備える。このレーザガイド関節走査手段27はレーザ導
光手段25からのレーザ光Lをレーザ照射ヘッド26に
気中伝送させるレーザ光伝送手段を構成している。この
伝送手段27は水中環境下でレーザ光Lをレーザ照射ヘ
ッド26に導く水中環境下導光手段を構成している。
【0043】一方、予防保全・補修装置20は図2に示
すように、炉心部14の上部格子板13と炉心支持板1
2との間に設置される細長い筒状あるいはボックス状の
本体位置決め装置29を備える。本体位置決め装置29
は旋回自在に設けられた筒状の本体ケース30を備え、
この本体ケース30にレーザ照射ヘッド26がヘッド進
退機構31により進退自在に収納される。レーザ照射ヘ
ッド26は本体ケース30内に収納される格納位置と本
体ケース30の側開口から側方に突出する張出し位置と
の間を進退して移動自在に支持される。
【0044】また、レーザ照射ヘッド26は偏平なフレ
ーム枠あるいはプレート構造の照射ヘッド本体32とこ
の照射ヘッド本体32に昇降自在に支持された同じく細
長くて偏平な昇降サポート機構としての昇降支持フレー
ム機構33とを備え、この昇降支持フレーム機構33の
下端部付近にレーザ光Lを出射させる出射ミラーとして
の反射ミラー(後述する)が備えられる。
【0045】ところで、例えば原子炉圧力容器10の上
方のオペレーションフロア23上に設置されたレーザ装
置24は、図1に示すように、レーザ発振器35とこの
レーザ発振に必要な高電圧を供給するレーザ電源36と
を備える。さらに、オペレーションフロア23上には予
防保全・補修装置20の作動制御や操作を行なう制御盤
および操作盤34が設けられる。
【0046】レーザ発振器35から出力されたレーザ光
Lは、レーザ導光手段である原子炉内上部導光装置25
により上部格子板13付近まで導かれ、続いて本体位置
決め装置29の本体ケース30内に伝送される。原子炉
内上部導光装置25は気中導光手段25aおよび水中導
光手段25bを略L字状に連結して気中伝送されるもの
である。水中導光手段25bの下端部は上部格子板13
上に設置され、支持される。
【0047】本体位置決め装置29は、図2に示すよう
に、軸方向上部に円筒部材38が本体ケース30と軸方
向一体に備えられる一方、軸方向下端部に本体ケース3
0のケースフランジ39が備えられ、このケースフラン
ジ39が制御棒案内管16の頂部に旋回自在にサポート
される。本体ケース30上部の円筒部材38は上部格子
板13の格子部に対応して位置し、本体ケース30の上
部がクランプ装置40により上部格子板13に旋回可能
にクランプされる。
【0048】クランプ装置40は円筒部材38を回転可
能に覆うスリーブ状のクランプ筒41と、上部格子板1
3の格子壁に当接して停止可能なクランプパッド42
と、このクランプパッド42をクランク筒41に進退自
在に支持するパッド進退支持機構43と、このパッド進
退支持機構43を作動させるクランプ作動機構44とを
有する。クランプパッド42は上部格子板13の矩形の
格子壁に対応して4箇所設けられる。
【0049】クランプ作動機構44は、例えばエアシリ
ンダであり、本体ケース30内に設けられた固定導光パ
イプ45に固定される。このエアシリンダの作動により
作動ロッド44aが昇降し、クランプパッド42を上部
格子板13の格子壁に押圧して係止させるクランプ位置
と格子壁から後退した解放位置との間を進退自在に支持
している。
【0050】また、クランプ装置40に対応して本体ケ
ース30を旋回させる旋回装置46が設けられ、この旋
回装置46は固定用導光パイプ45に付設される。旋回
装置46は、例えば旋回用モータ47を備え、このモー
タ駆動によりモータ出力軸を介して動力伝動手段48に
より円筒部材38を回転駆動させ、本体ケース30を中
心軸線廻りに旋回させるようになっている。固定導光パ
イプ45の頂部側に吊りボルト49が設けられ、この吊
りボルト49を利用して予防保全・補修装置20の本体
ケース30が吊込み装置(図示せず)により吊り込ま
れ、設置されるようになっている。吊込み装置は、原子
炉建屋内に付設される燃料交換機あるいは作業台車に取
付けられる。
【0051】一方、本体ケース30内には固定導光パイ
プ45に昇降導光パイプ50がテレスコピック状に設け
られる。昇降導光パイプ50は固定導光パイプ45に昇
降かつ旋回自在にテレスコピックに支持され、本体ケー
ス30と回転一体に保持される。上記昇降導光パイプ5
0の下端部には細長い本体ベース51が一体に連接され
る。上記昇降導光パイプ50および本体ベース51の昇
降は、本体ケース30の下部に設けられたベース昇降装
置53により行なわれる。
【0052】ベース昇降装置53は本体ケース30の下
端部に固定された可逆回転可能な昇降用モータ54と、
この昇降用モータ54の駆動により動力伝達手段を介し
て回転駆動される昇降用ボールネジとしてのスクリュー
シャフト55と、このスクリューシャフト55にねじ結
合する昇降用ナット56とを備える。昇降用ナット56
は昇降用本体ベース51に固定され、昇降用モータ53
のモータ駆動により、昇降用ナット56が昇降せしめら
れる。この昇降用ナット56の昇降に追従して昇降用本
体ベース51および昇降導光パイプ50が一体的に昇降
せしめられる。
【0053】さらに昇降用本体ベース51にヘッド張出
し機構としてのヘッド進退機構31を介してレーザ照射
ヘッド26が進退自在に支持される。ヘッド進退機構3
1は例えば平行4節リンク機構55とリンク作動機構5
6とで構成される。平行4節リンク機構55はレーザ照
射ヘッド26と本体ケース30の昇降ベース52との間
に対向して一対設けられる。平行4節リンク機構55は
エアシリンダ等のリンク作動機構56により作動せしめ
られ、シュラウド11の内側壁に押圧される張出し位置
と本体ケース30の収納位置との間を進退自在に支持さ
れる。リンク作動機構56は例えばエアシリンダで構成
され、このエアシリンダ56の一端を昇降ベース52
に、その他端側の作動ロッドを平行4節リンク機構55
の構成リンクの途中に、それぞれ回転可能にヒンジ連結
することにより構成される。
【0054】レーザ照射ヘッド26は図3に示すよう
に、ヘッド進退機構31である平行4節リンク機構55
にリンク結合された偏平な矩形枠体構造の照射ヘッド本
体32を有する。照射ヘッド本体32は中央部にレーザ
光導光パイプとしてのヘッド内導光部材58を長手方向
に備える一方、照射ヘッド本体32は平行4節リンク機
構55の先端揺動リンクを備えている。照射ヘッド本体
32は揺動リンクを構成する対をなす外側フレーム60
と、この外側フレーム60に耳軸回りに回転可能に支持
された矩形の中間フレーム枠としての第1フレーム61
と、この第1フレーム61の垂直軸廻りに回転可能に支
持された内側フレーム枠としての矩形の第2フレーム6
2とからフレーム組立体を構成している。
【0055】第1フレーム61と第2フレーム62は、
図3および図4に示すように、直交2軸のジンバル機構
を構成しており、平行4節リンク機構55を作動させて
レーザ照射ヘッド26をシュラウド11に押し付けたと
き、内側フレームである第2フレーム62の4隅部に設
けられた押付部63がシュラウド11内側壁に安定的に
当接して押圧し、レーザ照射ヘッド26をシュラウド1
1に安定的にかつ確実に設置できるようになっている。
【0056】予防保全・補修装置20が斜めに設置され
たときにも、レーザ照射ヘッド26はジンバル機構6
1,62により水平軸、垂直軸廻りのずれを吸収して押
付けることが可能になる。
【0057】照射ヘッド本体32の内側フレームである
第2フレーム62には、中央にヘッド内導光部材58が
長手方向に取付けられており、第2フレーム62の下方
に昇降支持フレーム機構33が昇降可能に配置されてい
る。昇降支持フレーム機構33も全体として偏平な矩形
の枠体構造に構成され、フレーム昇降装置65の作動に
より、ガイドレール66に沿って安定的に昇降せしめら
れる。
【0058】フレーム昇降装置65は第2フレーム62
と昇降支持フレーム機構33との間に設けられる。具体
的には、例えば、第2フレーム62を補強する水平ブリ
ッジフレーム67に設けられた昇降用モータ68と、こ
の昇降用モータ68にて回転駆動される出力シャフトと
してのスクリューシャフト69と、このスクリューシャ
フト69にねじ結合されるフレーム昇降ナット70とを
有する。フレーム昇降ナット70は昇降支持フレーム機
構33に固定される。
【0059】フレーム昇降装置65の作動により、昇降
支持フレーム機構33は両側に設けられたガイドシュー
71が第2フレーム62のガイドレール66に沿ってス
ライドして案内され、安定的にかつスムーズに昇降せし
められる。
【0060】レーザ照射ヘッド26の昇降支持フレーム
機構33は上下にブリッジフレーム72が設けられて補
強される一方、上下のブリッジフレーム72間にスライ
ドフレーム73が昇降自在に支持される。このスライド
フレーム73はレンズ移動調整装置74により昇降支持
フレーム機構33の昇降フレーム75に沿って昇降せし
められる。スライドフレーム73は両側に昇降フレーム
75に沿って案内されるスライダ76を備える一方、中
央に集光レンズ77を設置している。
【0061】レンズ移動調整装置74は、スライドフレ
ーム73に設けられた集光レンズ77と昇降支持フレー
ム機構33下端部の反射ミラー78との間の間隔を調整
する距離調整手段として機能する。レンズ移動調整装置
74は昇降フレーム75に固定された調整用昇降モータ
80と、このモータ80により回転駆動される調整用ス
クリューシャフト81と、このスクリューシャフト81
にねじ結合される調整用ナット82とを備え、調整用ナ
ット82はスライドフレーム73に取付けられる。
【0062】前記集光レンズ77と反射ミラー78はレ
ーザ照射ヘッド26の照射走査光学系79を構成してい
る。この照射走査光学系79は、細長い偏平フレーム構
造の昇降支持フレーム機構33内に収納され、昇降支持
フレーム機構33とともに原子炉内構造物15の円筒状
狭隘部21等の種々の狭隘部に自由に出し入れできるよ
うになっている。照射走査光学系79の集光レンズ77
と反射ミラー78間の光路およびヘッド内導光部材58
から集光レンズ77に至る光路は周囲環境に露出して空
間伝送路を構成している。ヘッド内導光部材58、集光
レンズ77、反射ミラー78は各々独立してレーザ照射
ヘッド26に取付けられるようになっており、取付けの
自由度を向上させることができる。
【0063】また、昇降支持フレーム機構33の下端部
中央に設けられた反射ミラー78は、ミラー回転手段と
しての首振装置84によりレーザ光Lの光軸廻りに首振
り自在(回転自在)に支持される。首振装置84は昇降
フレーム75のブリッジフレーム72に設置された首振
り用モータ85と、このモータの回転駆動力を反射ミラ
ー78に伝達する動力伝動手段86とを備える。動力伝
動手段87はモータ出力軸に固定されたドライブプーリ
87と、このドライブプーリ87にタイミングベルト8
8を介して作動連結するドリブンプーリ89とを備え、
このドリブンプーリ89が昇降支持フレーム機構33の
下部ブリッジフレーム72に回転可能に支持される。ド
リブンプーリ89は反射ミラー78を支持する支持筒と
一体あるいは一体的に形成される一方、ドライブプーリ
87より大径に形成され、反射ミラー78の首振り角度
を微調整できるようになっている。動力伝達手段86は
ベルトプーリ機構に代えてギヤ機構で構成してもよい。
【0064】昇降支持フレーム機構33の上部ブリッジ
フレーム72の左右に首振装置84のモータ85とレン
ズ移動調整装置74のモータ80とを設置することによ
り、昇降支持フレーム機構33の左右をヘッド内導光部
材58の両側で重量的にバランスさせることができる。
レンズ移動調整用モータ80を昇降支持フレーム機構3
3側に設ける代りに、スライドフレーム73側に設けて
もよい。この場合には、調整用ナット82は昇降支持フ
レーム機構33側に設けられる。
【0065】また、昇降支持フレーム機構33を昇降さ
せるフレーム昇降装置65のモータ68を照射ヘッド本
体32側の第2フレーム62に設ける代りに昇降支持フ
レーム機構33側に設けてもよい。この場合には、昇降
用ナット70は第2フレーム62側に設けられる。この
フレーム昇降装置65は集光レンズ77と反射ミラー7
8の相対距離を一定に保ったまま、レーザ光の光軸方向
に集光レンズ77および反射ミラー78を移動させ得る
ようになっている。
【0066】さらに、レーザ照射ヘッド26の昇降支持
フレーム機構33には、施工対象箇所に対するレーザ照
射ヘッド26の位置を計測するヘッド位置計測手段とし
ての目視用カメラ90を設け、この目視用カメラ90で
レーザ照射ヘッド26の設置位置や溶接線、施工状態を
遠隔地から目視確認できるようになっている。また、昇
降支持フレーム機構33には、施工対象箇所へのレーザ
光照射状態を把握し、計測する複数箇、例えば3箇の超
音波マイク91が取付けられている。さらに、レーザ光
照射点(溶接線)位置検出手段としてフェライトインジ
ケータ92が昇降支持フレーム機構33に備えられ、こ
のインジケータ92により溶接線に対するレーザ照射ヘ
ッド26の位置を計測してレーザ照射ヘッド26の位置
合せを行なっており、位置を調整することができるよう
になっている。
【0067】次に、図5および図6を参照して原子炉圧
力容器10内に導かれたレーザ光Lをレーザ照射ヘッド
26に案内されるレーザ光伝送装置について説明する。
【0068】原子炉圧力容器10内の上部格子板13付
近までレーザ導光手段25により導かれたレーザ光L
は、予防保全・補修装置20の本体ケース30内に導か
れる。具体的には、本体位置決め装置29を構成する本
体ケース30の固定導光パイプ45に導かれ、この固定
導光パイプ45から昇降導光パイプ50に案内される。
【0069】昇降導光パイプ50の下部には、レーザ光
Lをクランク状に回転走査可能な第1クランク走査機構
95が設けられ、このクランク走査機構95が上部回転
関節走査機構を構成している。第1クランク走査機構9
5は、図5に示すように対をなすクランクミラー96,
97を有し、レーザ光をクランク状に走査させるように
なっている。第1クランクミラー96は昇降導光パイプ
50の下方固定の本体筒98に傾斜して設置されたハー
フミラーであり、昇降導光パイプ50内を上方より案内
されたレーザ光Lは、第1クランクミラー96で90度
真横に反射される。この反射レーザ光Lは第2クランク
ミラー97により再び90度真横に反射されてクランク
状に走査され、張出し導光パイプ99内に導かれる。
【0070】第1クランク走査機構95の本体筒98は
昇降導光パイプ50と昇降用本体ベース51とを一体に
連結する連結手段を構成しており、上記本体筒98の側
方にエルボメンバ100が上部回転関節101により旋
回可能に支持される。このエルボメンバ100には反射
ミラーとしての第2クランクミラー97が設けられる。
上記エルボメンバ100には張出し導光パイプが摺動関
節102により伸縮スライド自在に支持される。張出し
導光パイプ99が回転してもレーザ光Lをその中心に向
けて伝送させることができる。
【0071】一方、第1クランク走査機構95の第1ク
ランクミラー96はハーフミラーとなっており、透過し
たレーザ光Lの一部は偏光素子103を通過して光軸ず
れ検出手段としてのレトロリフレクタ104に入光され
る。レトロリフレクタ104はレーザ光Lが昇降導光パ
イプ50の軸心を通っている間は中心に反射し、軸心か
らずれた場合は軸心に関してずれた方向と反対側に反射
する光学素子である。このレトロリフレクタ104によ
り、レーザ光Lの光軸が軸心からずれた場合でも、レト
ロリフレクタ104からの反射光を入射側(レーザ出力
側)で検出することでレーザ光Lの光軸補正を行なうこ
とができる。
【0072】また、昇降導光パイプ50から第1クラン
ク走査機構95を通って張出し導光パイプ99に案内さ
れたレーザ光Lは、続いてこの張出し導光パイプ99の
他側に設けられた第2クランク走査機構106に導かれ
る。第2クランク走査機構106は、図6に示すよう
に、対向する一対のクランクミラー107,108を備
えてレーザ光Lをクランク状に走査させるようになって
いる。第1クランクミラー107は張出し導光パイプ9
9の他側に斜設され、張出し導光パイプ99内を通って
きたレーザ光Lを90度真横に、例えば水平方向に反射
させている。反射されたレーザ光Lは第2クランクミラ
ー108により90度下方に、例えば垂直方向に反射さ
れ、クランク状に走査される。
【0073】第2クランクミラー108を保持する保持
筒109は下部水平回転関節110により第1クランク
ミラー107の保持筒111に軸線廻りに回転自在に支
持される。
【0074】また、第2クランクミラー108の保持筒
110には、ヘッド上部ハウジングとしての張出し筒1
12が下部垂直回転関節113により軸線廻りに回転自
在に支持される。張出し筒112はレーザ照射ヘッド2
6の照射ヘッド本体32に取付ブラケット114を介し
て取付られ、照射ヘッド上部115を構成している。
【0075】張出し筒112の途中には図7に示すよう
に、照射ヘッド上部ミラー116が斜設される。この上
部ミラー116はハーフミラーで構成され、第2クラン
ク走査機構106により張出し筒112内に案内された
レーザ光Lは、照射ヘッド上部ミラー116により90
度前方に反射され、シールガラス117を通過してレー
ザ照射ヘッド26の筒状ヘッド内導光部材58に導か
れ、このヘッド内導光部材58を気中伝送される。
【0076】また、照射ヘッド上部ミラー116はハー
フミラーとなっており、レーザ光Lの一部は透過して偏
光素子118に案内され、続いてこの偏光素子118を
透過して光軸ずれ検出手段としてのレトロリフレクタ1
19に入光される。このレトロリフレクタ119は本体
ケース30側に格納されたレトロリフレクタ104(図
5参照)と同様レーザ光Lの光軸ずれを検出し、補正す
る手段を構成している。
【0077】レトロリフレクタ104を設置することに
より、張出し導光パイプ99を通過する前に光軸補正さ
れたレーザ光Lが第1および第2クランク走査機構9
5,106を通過することで下流側で光軸ずれが生じた
場合にも、軸心側へのレーザ光Lの補正が可能となる。
【0078】さらに、張出し筒112の光学素子である
シールガラス117からレーザ照射ヘッド26のヘッド
内導光部材58に案内されたレーザ光Lは、このヘッド
内導光部材58内を気中伝送されて図3および図4に示
すように、下端部から水中に放射され、集光レンズ77
を経て反射ミラー78により円筒状狭隘部21の施工対
象箇所に照射し、シュラウド中間胴下部の施工対象箇所
の予防保全・補修を行なうようになっている。この施工
対象箇所へのレーザ光の照射により、溶接施工時に熱影
響を受けて発生した残留引張応力を圧縮応力に変える応
力改善を行なったり、この溶接線近傍の表層応力改善の
他、鋭敏化した金属組織の表面改質、溶接補修を行なう
ことができる。
【0079】その際、レーザ照射ヘッド26のヘッド内
導光部材58は照射ヘッド本体32のジンバル機構を構
成する第2フレーム62に取付部材120で固定されて
いるので、ヘッド内導光部材58も水平軸および垂直軸
廻りに動くことになる。しかし、第2フレーム62と張
出し筒112は取付ブラケット114で連結固定されて
いるので、レーザ照射ヘッド26はレーザ光受光部分が
ずれることがない。ヘッド内導光部材58は上部に図示
しないプリズムを、下部に図示しないシールガラス等の
光学部材を取付けた導光管で構成されており、内部にレ
ーザ光Lを気中伝送するようになっている。なお、符号
121はヘッド内導光部材58の位置調整機構である。
【0080】また、このとき、レーザ照射ヘッド26の
第2フレーム62のジンバル機構による水平軸、垂直軸
廻りの変位は、図2乃至図7に示された上部回転関節1
01、摺動関節部102、下部水平回転関節110およ
び下部垂直回転関節113の回転(旋回)およびスライ
ド動作により吸収されるので、レーザ光Lの光軸がずれ
ることはない。
【0081】さらに、ヘッド内導光部材58を透過した
レーザ光Lは集光レンズ77に集光され、反射ミラー7
8により施工箇所に照射される。反射ミラー78から施
工対象箇所(レーザ照射点)までの距離が変化した場合
でも、集光レンズ77と反射ミラー78との距離をレン
ズ移動調整装置74で変化させることで、レーザ光Lの
焦点を施工対象箇所に合せることができる。レーザ照射
ヘッド26の設置時等の位置ずれを調整し、施工可能な
レーザ光Lのエネルギ密度を有効的に得ることができ
る。
【0082】このようにして、レーザ発振器35から出
力されたレーザ光Lは、導光手段である原子炉内導光装
置25により上部格子板13付近に案内され、案内され
たレーザ光Lは続いて予防保全・補修装置20の本体ケ
ース30内に導かれる。
【0083】本体位置決め装置29の本体ケース30に
導かれたレーザ光Lは、固定導光パイプ45から昇降導
光パイプ50に案内され、さらに昇降導光パイプ50か
ら第1クランク走査機構95を経て張出し導光パイプ9
9に案内される。続いてこの張出し導光パイプ99から
第2クランク走査機構106を経てレーザ照射ヘッド2
6のヘッド上部ハウジングである張出し筒112内に案
内される。これらの固定導光パイプ45、昇降導光パイ
プ50、第1クランク走査機構95、張出し導光パイプ
99、第2クランク機構106および張出し筒112に
より、原子炉圧力容器10の上部格子板13付近に案内
されたレーザ光Lをレーザ照射ヘッド26に導くレーザ
光伝送手段としてのレーザガイド関節走査手段27が構
成される。
【0084】次に、原子炉内構造物の予防保全・補修装
置の作業方法を説明する。
【0085】原子炉内構造物の予防保全・補修装置20
は、レーザ照射ヘッド26を本体ケース30に格納した
状態で、図示しない天井クレーンや燃料交換機に付設さ
れた図示しない吊込み装置を利用して吊り降し、予防保
全・補修装置20の本体位置決め装置29を、上部格子
板13の格子を通過させて制御棒案内管16上に設置す
る。このとき、原子炉圧力容器10内は水を張った状態
に維持される。また、本体位置決め装置29は、本体ケ
ース30内にレーザ照射ヘッド26やレーザ光伝送手段
を収納した状態で吊り降される。
【0086】予防保全・補修装置20の本体位置決め装
置29を制御棒案内管16上に設置した後、クランプ装
置40を作動させてクランプパッド42を上部格子板1
3の格子内4箇所に押し付け、本体位置決め装置29を
上部格子板13と炉心支持板12の間で固定させる。そ
の後、旋回装置47を駆動させて本体位置決め装置29
の本体ケース30をその長手軸線廻りに旋回させてレー
ザ照射ヘッド26を張り出す方向を定める。
【0087】続いて、ベース昇降装置53を駆動させて
本体ベース51を昇降させ、レーザ照射ヘッド26を上
下に移動させ、レーザー施工を行なう位置を位置決めす
る一方、ヘッド進退機構31を駆動させてレーザ照射ヘ
ッド26を本体ケース30から張り出させ、レーザ照射
ヘッド26を原子炉内構造物15であるシュラウド11
の内側壁に押し付け、固定させる。この固定はレーザ照
射ヘッド26に備えられたジンバル機構61,62によ
り安定的に行なわれる。
【0088】レーザ照射ヘッド26をシュラウド11の
内側壁に押圧し、固定した状態で、シュラウド11と炉
心支持板12の円筒状狭隘部21に、レーザ照射ヘッド
26の下端延長部を挿入する。具体的には、レーザ照射
ヘッド26の偏平フレーム構造の昇降支持フレーム機構
33を、図3に示すフレーム昇降装置65を駆動させて
照射ヘッド本体32に対して下方にスライドさせて円筒
状狭隘部21に挿入する。
【0089】一方、原子炉圧力容器10上方のオペレー
ションフロア23上にレーザ装置24を設置するととも
に、レーザ装置24から出力されるレーザ光Lを原子炉
圧力容器10内に気中伝送させるレーザ導光手段25の
下端部を上部格子板13上に設置して予防保全・補修作
業の準備が完了する。
【0090】その後、レーザ装置24を作動させて原子
炉内構造物15の円筒状狭隘部21の予防保全・補修作
業を水中環境下にて行なう。
【0091】レーザ装置24を作動させるとレーザ発振
器35からレーザ光Lが発振せしめられる。発振された
レーザ光Lはレーザ導光手段25(気中導光手段25a
および水中導光手段25b)を経て原子炉圧力容器10
内の上部格子板13付近に案内され、続いて予防保全・
補修装置20の本体位置決め装置29内に導かれる。
【0092】レーザ光Lは、本体位置決め装置29の本
体ケース30上部の固定導光パイプ45に案内されて昇
降導光パイプ50に導かれ、この昇降導光パイプ50か
ら第1クランク走査機構95により張出し導光パイプ9
9に気中伝送され、続いてこの導光パイプ99から第2
クランク走査機構106を経てレーザ照射ヘッド26の
ヘッド上部ハウジングである張出し筒112に案内され
る。すなわち、レーザ導光手段25により原子炉圧力容
器10内の上部格子板13付近に案内されたレーザ光L
はレーザ光伝送手段であるレーザガイド関節走査手段2
7によりレーザ照射ヘッド26に気中伝送され、レーザ
照射ヘッド26のヘッド内導光部材58に案内される。
【0093】レーザ照射ヘッド26に導かれたレーザ光
Lはヘッド内導光部材58内を気中伝送されて下端から
取り出され、図3に示された集光レンズ77で集光さ
れ、反射ミラー78により円筒状狭隘部21の施工箇所
に照射され、各種の施工を行なうことができる。
【0094】レーザ照射ヘッド26からのレーザ光L照
射は、図8(A)および(B)に示す手順で行なわれ
る。このレーザ照射ヘッド26によるレーザ光Lの照射
手順を説明する。
【0095】図8(A)は、原子炉内構造物15の円筒
状狭隘部21に位置するシュラウド11の縦溶接線(V
5縦溶接線)123を例にとり、熱影響部の右側に照射
したレーザ光Lの軌跡を示したものである。
【0096】レーザ光Lは反射ミラー78の反射点0か
ら斜め下方に図4に示すように照射され、シュラウド1
1内側壁のレーザ照射点Aに到達する。このレーザ照射
状態でレンズ移動調整装置74を駆動させて集光レンズ
77と反射ミラー78間の距離を調整し、この調整後、
集光レンズ77と反射ミラー78の相対距離を保ったま
ま、フレーム昇降装置65を作動させて昇降支持フレー
ム機構33を下降(昇降)スライドさせる。この昇降支
持フレーム機構33の下降スライドによりレーザ照射点
Aを点Bまで移動させる。
【0097】この場合、昇降支持フレーム機構33のス
ライド移動は、ヘッド内導光部材58の軸方向に行なわ
れるので、レーザ光Lは集光レンズ77までの光軸と平
行にスキャンされ、集光レンズ77から反射ミラー78
を経由したレーザ照射点までの光路長はスキャン中一定
となる。したがって、反射ミラー78をレーザ光軸と直
角な軸廻りに回転させる場合と異なり、レーザ光Lの照
射エネルギ密度が均一化し、施工品質を向上させること
ができる。
【0098】1スパンS分のレーザ光走査が終了した
ら、首振装置84を駆動させて1ピッチP分だけ移動さ
せる。具体的には首振り用モータ85により反射ミラー
78を回転させ、1ピッチP分だけ、レーザ照射点を右
方向に移動させる。その後、フレーム昇降装置65を作
動させて1スパンS分だけ上方に昇降支持フレーム機構
33をスライド移動させ、以後、順次これらの操作を繰
り返す。そのときのレーザ光Lによる照射軌跡124は
図8(A)に示すようにジグザグ状に走査された軌跡を
たどる。
【0099】反射ミラー78を首振装置84の作動で順
次回転させていくと、反射ミラー78の反射点0からレ
ーザ照射点までの距離が変化していくが、この距離変化
によりレーザ照射点において、レーザ光Lの焦点が合わ
ず、施工可能なレーザエネルギ密度が得られなくなった
場合には、レンズ移動調整装置74を作動させて集光レ
ンズ77と反射ミラー78の距離を調整することで、レ
ーザ光Lの焦点を施工点(レーザ照射点)に合わせるこ
とができる。
【0100】ところで、本実施形態に示された予防保全
・補修装置20において、レーザ照射ヘッド26は図7
に示すように、張出し筒112のシールガラス117か
らヘッド内導光部材58までの光路と、ヘッド内導光部
材58から集光レンズ77までの光路、さらに、集光レ
ンズ77から反射ミラー78までの光路を周囲環境に露
出させ、レーザ光Lを直接水中伝送させている。これら
のレーザ光Lの導光に気中光伝送用の導光管を使用しな
いので、ヘッド内導光部材58と集光レンズ77と反射
ミラー78をレーザ照射ヘッド26に個別に各々取付け
ることができ、取付自由度が向上し、レーザ光Lの光軸
調整が容易となる。
【0101】また、集光レンズ77と反射ミラー78の
相対距離をレンズ移動調整装置74で容易に移動調整さ
せることができる一方、集光レンズ77と反射ミラー7
8の相対距離を保ったまま、フレーム昇降機構65で昇
降させることができる。これらの集光レンズ77と反射
ミラー78の相対距離調整や、相対距離を保ったままの
昇降に、両者を液密シールの導光管で接続させる必要が
ないので、導光管の肉厚分を導光面積としてレーザ光導
光に利用でき、反射ミラー78までの導光時の信頼性を
向上させることができる。
【0102】以上に述べたレーザ照射ヘッド26による
レーザ光Lの照射手順は、レーザ照射ヘッド26を一ケ
所に押付けて固定したときのレーザ光照射手順を開示し
たものであり、以後このレーザ光照射手順を縦溶接線
(V5内側溶接線)123に対してレーザ照射ヘッド2
6の設置位置を上下、左右に変えて行なう。
【0103】レーザ照射ヘッド26の設置位置を変える
には、図2に示されたヘッド進退機構31の張出し力を
リンク作動機構56のエアシリンダを作動させて低下さ
せ、その後、ベース昇降装置53および旋回装置47を
作動させ、レーザ照射ヘッド26を移動させることによ
り行なう。
【0104】円筒状狭隘部21の水平溶接線(H6a内
側溶接線)をレーザ照射ヘッド26の設置位置を種々変
えてレーザ光照射することにより、同様に施工すること
ができる。
【0105】この予防保全・補修装置20においては、
原子炉内構造物15であるシュラウド胴内壁の溶接線の
うち、施工困難なシュラウド中間部胴と炉心支持板12
に挟まれた円筒状狭隘部21の箇所でも、レーザ光を用
いた溶接線近傍の表層の応力改善や鋭敏化した金属組織
の表面改質、溶接補修作業を遠隔にて自動的に行うこと
が可能になる。
【0106】また、図3に示すようにレーザ照射ヘッド
26に取付けた目視用カメラ90により施工位置や施工
状態を監視、記録することが可能であり、施工品質を向
上することができる。さらに、レーザ照射ヘッド26内
に取付けた超音波マイク91によりレーザ照射点Bから
発生伝播した超音波を検出し、レーザ照射ヘッド26に
対する相対的なレーザ照射点Bの位置が計測できるので
施工位置の信頼性を向上させることができる。
【0107】次に、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置の変形例について説明する。
【0108】予防保全・補修装置20の一実施形態で
は、図2に示すように、本体位置決め装置29を構成す
る本体ケース30内の固定導光パイプ45、昇降導光パ
イプ50および張出し導光パイプ99等気中導光部材を
備えた気中伝送のレーザガイド関節走査手段27より、
レーザ光Lをレーザ照射ヘッド26に導く例を説明した
が、この気中導光部材に代わり、光伝送損失の小さい可
撓性の光ファイバを用いてレーザ照射ヘッド26までレ
ーザ光Lを導光させてもよい。光ファイバをレーザ導光
手段として用いることにより、各導光パイプを省略で
き、予防保全・補修装置20内部の光伝送機構の構成を
簡素化する一方、気中導光時の反射ミラーの取付けずれ
や部材の変形等に起因する光軸のずれを考慮せずに済
む。その結果予防保全・補修装置20の信頼性が向上
し、さらに施工品質を向上させることができる。
【0109】また、予防保全・補修装置20には気中伝
送のヘッド内導光部材58を備えた例を説明したが、ヘ
ッド内導光部材58を透明度の高い棒状石英ガラスで構
成してもよい。ヘッド内導光部材58を石英ガラス製と
することにより、石英ガラスの取付け位置がずれてしま
ってもレーザ照射ヘッド26上部で受光したレーザ光L
を石英ガラスの側面で反射し導光することができるので
必ず集光レンズ77に導くことが可能になる。その結
果、予防保全・補修装置20の信頼性が向上し、さらに
施工品質を向上させることができる。
【0110】さらに、ヘッド内導光部材58を光伝送損
失の小さい光ファイバで構成してもよい。ヘッド内導光
部材58を光ファイバで構成することにより、レーザ照
射ヘッド26の上部で受光したレーザ光Lを確実に導光
することができるので必ず集光レンズ77に導くことが
可能になる。その結果予防保全・補修装置20の信頼性
が向上し、さらに施工品質を向上させることができる。
【0111】さらにまた、レーザ照射ヘッド26には、
照射ヘッド本体32に偏平フレーム構造の昇降支持フレ
ーム機構33を昇降自在に設け、この昇降支持フレーム
機構33に図3に示すようにレンズ移動調整装置74を
設けて集光レンズ77を移動調節自在とした例を示した
が、このレンズ移動調整装置74に代えて集光レンズ7
7と反射ミラー(出射ミラー)78の間の相対間隔を調
整できる間隔調整装置であればよい。この間隔調整装置
は、反射ミラー78側を移動調整できるものであっても
よい。
【0112】また、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置においては、レーザ照射ヘッドを照射ヘ
ッド本体とこの照射ヘッド本体にスライド昇降自在な昇
降支持フレーム機構で構成し、昇降支持フレーム機構を
細長い偏平フレーム構造に形成して原子炉内構造物の円
筒状狭隘部に出し入れ自在とした例を示したが、昇降支
持フレーム機構は、炉内構造物の狭隘部に出し入れでき
るものであれば、偏平フレーム構造に限定されず、細長
いボックス構造であっても、細長い筒状構造あるいは他
の形状であってもよい。
【0113】さらに、本発明に係る原子炉内構造物の予
防保全・補修装置は、沸騰水型原子炉内の炉内構造物だ
けでなく、加圧水型原子炉の炉内構造物の予防保全・補
修を行なうことができる。
【0114】
【発明の効果】以上に述べたように本発明に係るレーザ
照射ヘッドは、照射ヘッド本体に備えられるヘッド内導
光部材とこの導光部材からのレーザ光を集光させる集光
レンズと集光されたレーザ光を施工対象箇所に照射する
反射ミラーとを狭隘な隙間に出し入れ可能に設けたの
で、原子炉内構造物の狭隘部、例えばシュラウドと炉心
支持板の円筒状狭隘部に集光レンズおよび反射ミラーを
自由に出し入れでき、施工困難な狭隘部であってもレー
ザ光を用いて予防保全・補修作業を効率よく、スムーズ
に行なうことができる。
【0115】また、レーザ照射ヘッドは、照射ヘッド本
体に偏平で細長い昇降サポート機構をフレーム昇降装置
でスライド昇降自在に設けたので、昇降サポート機構に
取付けられた集光レンズおよび反射ミラーの相対距離を
保ってレーザ光の光軸に沿って昇降移動させることがで
き、レーザ光照射による予防保全・補修作業を能率よく
円滑に行なうことができる。
【0116】さらに、レーザ照射ヘッドは反射ミラーを
回転させるミラー回転手段と反射ミラーと集光レンズの
相対距離を移動調整させる距離調整手段を備えたので、
集光レンズと反射ミラー間の距離を調整して施工対象箇
所にレーザ光の焦点が合うように容易に調整できる一
方、反射ミラーをミラー回転手段で回転させることによ
り、施工対象箇所でのレーザ光照射点を振って移動させ
得るので、レーザ光照射による予防保全・補修作業を一
層効率よくスムーズに行なうことができる。
【0117】レーザ照射ヘッドは筒状のヘッド内導光部
材を備え、このヘッド内導光部材内にレーザ光を気中伝
送させて集光レンズに導くように照射ヘッド本体に取付
けられたから、ヘッド内導光部材を集光レンズや反射ミ
ラーから独立して取付けることができて取付構造が簡素
化される一方、ヘッド内導光部材や集光レンズ、反射ミ
ラーの部品交換、メンテナンスを容易に行なうことがで
き、その結果レーザ照射ヘッドの信頼性を向上すること
ができる。
【0118】さらに、レーザ照射ヘッドはヘッド内導光
部材を石英ガラスで構成することにより、レーザ照射ヘ
ッド内の取付け位置がずれた場合でも、受光したレーザ
光を石英ガラスの側面で反射し導光することができるの
で必ず集光レンズに導くことが可能になり、また、光フ
ァイバで構成することにより、受光したレーザ光を確実
に導光し集光レンズに導くことが可能になり、その結果
レーザ照射ヘッドの信頼性が向上し、さらに施工品質を
向上させることができる。
【0119】さらにまた、レーザ照射ヘッドは、照射ヘ
ッド本体に直交する二軸廻りに回転可能なジンバル機構
を備え、このジンバル機構の内側フレームにヘッド内導
光部材を取付けたので、原子炉内構造物の設置面の凹凸
を吸収してレーザ照射ヘッドを安定的に設置し、ヘッド
内導光部材を安定的に支持させることができる。
【0120】また、レーザ照射ヘッドは、ヘッド内導光
部材から集光レンズに至る光路および集光レンズから反
射ミラーに至る光路を周囲環境に露出させ、空間伝送路
を構成したので、ヘッド内導光部材、集光レンズおよび
反射ミラーをレーザ照射ヘッドに独立させて設置でき、
各光路に固定導光パイプを用いる必要がないのでレーザ
光の導光断面積を広くとることができて、導光の信頼性
が向上し施工品質を向上させることができる。
【0121】さらに、レーザ照射ヘッドは昇降サポート
機構あるいは照射ヘッド本体にヘッド位置計測手段を設
けてレーザ照射ヘッドの位置を計測したので、施工対象
に対する照射ヘッドの位置を計測してレーザ照射ヘッド
の位置合わせを行なったり、レーザ照射ヘッドの位置調
整が可能になり、施工品質を向上させることができる。
【0122】さらにまた、レーザ照射ヘッドは昇降サポ
ート機構にレーザ光照射点位置計測手段を設け、この計
測手段でレーザ光照射点位置を検出したので、施工位置
の計測、記録を行なうことが可能になって施工品質の向
上に寄与することができる。
【0123】また、レーザ光照射ヘッドは、昇降サポー
ト機構にレーザ光照射状態を把握する手段を設けたの
で、レーザ光の照射状態把握手段により、施工状態の監
視、記録を行なうことが可能になり、施工品質を向上さ
せることができる。
【0124】一方、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置においては、原子炉炉心部に設置される
本体位置決め装置と、この本体位置決め装置に収納され
たレーザ照射ヘッドを施工対象箇所付近に張り出させる
ヘッド進退機構と、原子炉内に導かれたレーザ光をレー
ザ照射ヘッドに導くレーザ光伝送手段とを備えたので、
この原子炉内構造物の予防保全・補修装置により予防保
全・補修作業を遠隔操作で行なうことが可能になり、作
業効率を向上させ省力化することができる。
【0125】また、原子炉内構造物の予防保全・補修装
置は、請求項1乃至10に記載のレーザ照射ヘッドを備
えているので、原子炉内構造物の狭隘部、例えばシュラ
ウド内壁と炉心支持板に挟まれた円筒状の狭隘な隙間内
でレーザ光を照射して各種の作業を遠隔で行なうことが
可能になるので、作業効率を向上させ省力化することが
できる。
【0126】さらに、原子炉内構造物の予防保全・補修
装置は、本体位置決め装置の細長い本体ケース内にレー
ザ照射ヘッドおよびレーザ光伝送手段を出し入れ可能に
収納させ、収納状態で本体位置決め装置を上部格子板の
格子を通して吊り込むようにしたので、本体位置決め装
置を上部格子板を通して吊り降ろし、制御棒案内管上に
安定的にスムーズに設置させることができる。
【0127】また、原子炉内構造物の予防保全・補修装
置は、本体位置決め装置の上部を上部格子板に固定させ
るクランプ装置と、本体ケースに収納されたレーザ照射
ヘッドの張出し方向を定める旋回装置と、レーザ照射ヘ
ッドおよびレーザ光伝送手段を施工対象部へ張り出させ
るヘッド進退機構と、ヘッド進退機構を支持する本体ベ
ースを本体ケース内で昇降させるベース昇降装置とを備
えたので、レーザ照射ヘッドの移動、位置決め作業を、
簡素な本体位置決め装置により、遠隔で行なうことが可
能になるので、作業効率を向上させ省力化することがで
きる。
【0128】さらに、レーザ光伝送手段は、水中環境下
でレーザ光をレーザ照射ヘッドに気中伝送させる伝送路
を構成し、導光パイプと、この導光パイプに連結された
回転・伸縮自在な張出し導光パイプと、この張出し導光
パイプに回転自在に連結された張出し筒とを備え、この
張出し筒からレーザ照射ヘッドのヘッド内導光部材に導
くようにしたので、原子炉内で受光したレーザ光を気中
で伝送することが可能になり、伝送損失を低減させるこ
とができる。
【0129】さらにまた、レーザ光伝送手段は、光ファ
イバで構成したので、光伝送損失を少なくして光伝送効
率を向上させることができる。
【0130】一方、本発明に係る原子炉内予防保全・補
修作業システムは、炉内構造物にレーザ光を照射して予
防保全・補修を行なう原子炉内構造物の予防保全・補修
装置と、原子炉上方のオペレーションフロア上に設置さ
れた予防保全・補修装置の制御盤および操作盤と、上記
予防保全・補修装置の移動および設置を行なうために、
燃料交換機または作業台車に取付けられた吊込み装置と
を備え、レーザ装置から出力されたレーザ光をレーザ導
光手段を介して予防保全・補修装置のレーザ照射ヘッド
に導いて施工するように構成したので、原子炉内構造物
の狭隘部、例えばシュラウド内壁と炉心支持板に挟まれ
た円筒状の狭隘な隙間内にレーザ光を照射して行なう各
種の作業を遠隔で行なうことが可能となり、作業効率を
向上させ省力化を図ることができる。
【0131】さらに、本発明に係る原子炉内構造物の予
防保全・補修装置は、レーザ装置からのレーザ光をレー
ザ光伝送手段を介してレーザ照射ヘッドに導き、このレ
ーザ照射ヘッドから施工対象箇所にレーザ光を照射して
施工をする作業方法において、反射ミラーの反射点から
施工対象箇所のレーザ光照射点までの距離が変化し、溶
接施工に必要なレーザ光のエネルギ密度が得られないと
き、レーザ照射ヘッドに設けられた集光レンズと反射ミ
ラーの距離を変化させて必要なエネルギ密度を得て作業
を進める作業方法であるために、レーザ光のエネルギ密
度が均一化し施工品質を向上することができる。
【0132】また、本発明に係る原子炉内構造物の予防
保全・補修装置の作業方法は、レーザ照射ヘッドから原
子炉内構造物に照射して施工対象箇所の予防保全・補修
を行なう作業方法において、レーザ照射ヘッドに備えら
れた集光レンズと反射ミラーの相対距離を保持したま
ま、上記集光レンズおよび反射ミラーを移動手段でレー
ザ光の光軸方向に移動させてレーザ光を走査する作業方
法であるために、レーザ光の光軸と平行な面に照射する
場合に、反射ミラー自身を光軸と直角な軸まわりに回転
させる場合と異なり、レーザ光反射点からレーザ光照射
点までの距離が一定に保たれるのでレーザ光のエネルギ
密度が均一化し施工品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ照射ヘッドおよびこの照射
ヘッドを備えた原子炉内構造物の予防保全・補修装置を
原子炉内に設置した状態を示す模式図。
【図2】本発明に係る原子炉内構造物の予防保全・補修
装置の一実施形態を示す側面図。
【図3】図2の予防保全・補修装置に備えられるレーザ
照射ヘッドの正面図。
【図4】図3のレーザ照射ヘッドの外側フレームを取外
して示す簡略的な側面図。
【図5】図2の予防保全・補修装置に備えられる本体位
置決め装置の上部回転関節部分を示す断面図。
【図6】レーザ照射ヘッドの上方に設置される下部回転
関節部分を示す図。
【図7】レーザ照射ヘッドの照射ヘッド上部を示す一部
側断面図。
【図8】(A)はシュラウドの縦溶接線右側部分におけ
るレーザ光の軌跡を示す図、(B)はシュラウドの縦溶
接線右側部分におけるレーザ光の照射状態を模式的に示
す平面図。
【図9】従来の原子炉内構造物の予防保全・補修装置の
構成を示す模式図。
【符号の説明】
10 原子炉圧力容器 11 シュラウド 12 炉心支持板 13 上部格子板 14 炉心部 15 原子炉内構造物 16 制御棒案内管 20 予防保全・補修装置 21 狭隘部 23 オペレーションフロア 24 レーザ装置 25 導光手段(原子炉内上部導光装置) 25a 気中導光手段 25b 水中導光手段 26 レーザ照射ヘッド 27 レーザガイド関節走査手段(レーザ光伝送手段、
水中環境下導光手段) 29 本体位置決め装置 30 本体ケース 31 ヘッド進退機構 32 照射ヘッド本体 33 昇降支持フレーム機構 35 レーザ発振器 36 レーザ電源 38 円筒部材 39 ケースフランジ 40 クランプ装置 41 クランプ筒 42 クランプパッド 43 パッド進退支持機構 44 クランプ作動機構 45 固定導光パイプ 46 旋回装置 47 旋回用モータ 48 動力伝達手段 49 吊りボルト 50 昇降導光パイプ 51 本体ベース 53 ベース昇降装置 55 平行4節リンク機構 56 リンク作動機構(エアシリンダ) 58 ヘッド内導光部材 60 外側フレーム 61 第1フレーム(中間フレーム) 62 第2フレーム(内側フレーム) 63 押付部 65 フレーム昇降装置(移動手段) 66 ガイドレール 67 水平ブリッジフレーム 68 昇降用モータ 69 スクリューシャフト 70 フレーム昇降ナット 71 ガイドシュー 72 ブリッジフレーム 73 スライドフレーム 74 レンズ移動調整装置(距離調整手段) 75 昇降フレーム 76 スライダ 77 集光レンズ 78 反射ミラー 79 照射走査光学系 80 調整用昇降モータ 81 スクリューシャフト 82 調整用ナット 84 首振装置(ミラー回転手段) 85 首振り用モータ 86 動力伝動手段 87 ドライブプーリ 88 タイミングベルト 89 ドリブンプーリ 90 目視用カメラ(ヘッド位置計測手段) 91 超音波マイク(レーザ照射状態把握手段) 92 フェライトインジケータ(溶接線位置検出手段)
(レーザ光照射点位置計測手段) 95 第1クランク走査機構(上部回転関節走査機構) 96 第1クランクミラー 97 第2クランクミラー 98 本体筒 99 張出し導光パイプ 100 エルボメンバー 101 上部回転関節 102 摺動関節 103 偏光素子 104 レトロリフレクタ(光軸ずれ検出手段、光学素
子) 106 第2クランク走査機構 107 第1クランクミラー 108 第2クランクミラー 110 下部水平回転関節 111 保持筒 112 張出し筒(ヘッド上部ハウジング) 113 下部垂直回転関節 114 取付ブラケット 115 照射ヘッド上部 116 照射ヘッド上部ミラー 117 シールガラス 118 偏光素子 119 レトロリフレクタ 120 取付部材 121 位置調整機構 123 縦溶接線 124 熱影響部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 元比古 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 戸賀沢 裕 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 猪鹿倉 尋明 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 上原 拓也 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 佐野 雄二 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 依田 正樹 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小畑 稔 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 向井 成彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 荻須 達樹 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 田中 信彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 近藤 允 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 北島 靖己 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 伊藤 智之 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 4E068 AH00 BA00 CA05 CA12 CB05 CC06 CD01 CD11 CD13 CD15 CE02 CE07 CE08 CJ07 DA00

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ装置から出力されたレーザ光を施
    工対象箇所に照射するレーザ照射ヘッドにおいて、上記
    レーザ光を導光させるヘッド内導光部材を備えた照射ヘ
    ッド本体と、上記ヘッド内導光部材からのレーザ光を集
    光させる集光レンズと、集光されたレーザ光を施工対象
    箇所に照射させる反射ミラーと、この反射ミラーをレー
    ザ光軸廻りに回転可能に保持するミラー回転手段と、上
    記反射ミラーと集光レンズの相対距離を調整する距離調
    整手段と、上記反射ミラーと集光レンズの相対距離を保
    持してレーザ光軸方向に移動させる移動手段とを備え、
    前記ヘッド内導光部材、集光レンズおよび反射ミラーを
    狭隘な隙間に形成される施工対象箇所に出入れ可能に構
    成したことを特徴とするレーザ照射ヘッド。
  2. 【請求項2】 照射ヘッド本体に偏平で細長い昇降サポ
    ート機構をフレーム昇降装置でスライド昇降自在に設
    け、上記昇降サポート機構に集光レンズおよび反射ミラ
    ーで構成される照射走査光学系を取付ける一方、前記フ
    レーム昇降装置は集光レンズと反射ミラーの相対距離を
    保って移動させる移動手段を構成した請求項1に記載の
    レーザ照射ヘッド。
  3. 【請求項3】 昇降サポート機構は、反射ミラーを回転
    させるミラー回転手段と上記反射ミラーと集光レンズの
    相対距離を調整する距離調整手段とをヘッド内導光部材
    を挟んだ両側にバランスさせて備えた請求項2に記載の
    レーザ照射ヘッド。
  4. 【請求項4】 ヘッド内導光部材は、筒状部材とこの筒
    状部材の筒内を気中に保つ光学部材とを有し、上記ヘッ
    ド内導光部材はレーザ光を集光レンズに導くように、照
    射ヘッド本体に取付けられた請求項1に記載のレーザ照
    射ヘッド。
  5. 【請求項5】 ヘッド内導光部材は、石英ガラスまたは
    光ファイバで構成され、集光レンズにレーザ光を導くよ
    うに設けられた請求項1に記載のレーザ照射ヘッド。
  6. 【請求項6】 照射ヘッド本体は、直交する二軸廻りに
    回転可能なジンバル機構を備え、このジンバル機構の内
    側フレームにヘッド内導光部材を取付けた請求項1に記
    載のレーザ照射ヘッド。
  7. 【請求項7】 ヘッド内導光部材から集光レンズに至る
    光路、および上記集光レンズから反射ミラーに至る光路
    を周囲環境に露出させ、上記光路は周囲環境による空間
    伝送路に構成された請求項1に記載のレーザ照射ヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】 昇降サポート機構または照射ヘッド本体
    にヘッド位置計測手段を設け、この位置計測手段で施工
    対象箇所に対するレーザ照射ヘッドの位置を計測した請
    求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ照射ヘッド。
  9. 【請求項9】 昇降サポート機構にレーザ光照射点位置
    計測手段を設け、この位置計測手段で施工対象箇所にお
    けるレーザ光照射点の位置検出を行なうようにした請求
    項2または3に記載のレーザ照射ヘッド。
  10. 【請求項10】 昇降サポート機構に施工対象箇所への
    レーザ光照射状態を把握する手段を設けた請求項2また
    は3に記載のレーザ照射ヘッド。
  11. 【請求項11】 レーザ光を出力させるレーザ装置と、
    このレーザ装置からのレーザ光を原子炉内に導くレーザ
    導光手段と、原子炉内に導かれたレーザ光を原子炉内構
    造物の施工対象箇所に照射させるレーザ照射ヘッドとを
    備えた原子炉内構造物の予防保全・補修装置において、
    前記原子炉内に吊り込まれて炉心部に設置される本体位
    置決め装置と、この本体位置決め装置内に収納されたレ
    ーザ照射ヘッドを施工対象箇所付近に進退自在に張り出
    させて設置するヘッド進退機構と、原子炉内に導かれた
    レーザ光を受光してレーザ照射ヘッドに導くレーザ光伝
    送手段とを備え、前記レーザ照射ヘッドはシュラウド内
    側壁の施工対象に向けて張り出されて位置決め固定され
    たことを特徴とする原子炉内構造物の予防保全・補修装
    置。
  12. 【請求項12】 レーザ照射ヘッドは請求項1乃至10
    のいずれかに記載の照射ヘッドが用いられる請求項11
    に記載の原子炉内構造物の予防保全・補修装置。
  13. 【請求項13】 本体位置決め装置は、細長い筒状本体
    ケースを備え、この本体ケース内にレーザ照射ヘッドお
    よびレーザ光伝送手段が出し入れ可能に収納され、収納
    状態で本体位置決め装置は上部格子板の格子を通して吊
    り込まれ、制御棒案内管上に設置された請求項11に記
    載の原子炉内構造物の予防保全・補修装置。
  14. 【請求項14】 本体位置決め装置は上部を上部格子板
    に固定させるクランプ装置と、本体ケース内に収納され
    たレーザ照射ヘッドの張出し方向を定める旋回装置と、
    レーザ照射ヘッドおよびレーザ光伝送手段を施工対象へ
    張り出させるヘッド進退機構と、このヘッド進退機構を
    支持する本体ベースを本体ケース内で昇降させるベース
    昇降装置とを備えた請求項11に記載の原子炉内構造物
    の予防保全・補修装置。
  15. 【請求項15】 レーザ光伝送手段は、原子炉内の水中
    環境下でレーザ光を受けてレーザ照射ヘッドに気中伝送
    される可動の伝送路を構成した請求項11に記載の原子
    炉内構造物の予防保全・補修装置。
  16. 【請求項16】 レーザ光伝送手段は、本体位置決め装
    置内に収納された導光パイプと、この導光パイプに第1
    クランク走査機構により回転および摺動関節を介して回
    転・伸縮自在に連結された張出し導光パイプと、この張
    出導光パイプに第2クランク走査機構により回転関節を
    介して回転自在に連結された張出し筒とを備え、この張
    出し筒からレーザ照射ヘッドのヘッド内導光部材にレー
    ザ光を導いた請求項15に記載の原子炉内構造物の予防
    保全・補修装置。
  17. 【請求項17】 レーザ光伝送手段は、原子炉内の水中
    環境下でレーザ光を受けてレーザ照射ヘッドに導く可撓
    性の光ファイバで構成した請求項11に記載の原子炉内
    構造物の予防保全・補修装置。
  18. 【請求項18】 原子炉内の炉内構造物にレーザ光を照
    射して予防保全・補修を行なう原子炉内構造物の予防保
    全・補修装置と、原子炉上方のオペレーションフロア上
    に設置された予防保全・補修装置の制御盤および操作盤
    と、上記予防保全・補修装置の移動および設置を行なう
    ために、燃料交換機または作業台車に取付けられた吊込
    み装置とを備え、レーザ装置から出力されたレーザ光を
    レーザ導光手段を介して予防保全・補修装置のレーザ照
    射ヘッドに導いて施工するようにしたことを特徴とする
    原子炉内予防保全・補修作業システム。
  19. 【請求項19】 原子炉の炉心部に本体位置決め装置を
    吊り込んで設置した後、本体位置決め装置からレーザ照
    射ヘッドおよびレーザ光伝送手段を張り出させてレーザ
    照射ヘッドを原子炉内構造物の施工対象箇所付近に位置
    決め固定し、その後、レーザ装置からのレーザ光をレー
    ザ光伝送手段を介してレーザ照射ヘッドに導き、このレ
    ーザ照射ヘッドから施工対象箇所にレーザ光を照射させ
    て施工する作業方法において、反射ミラーの反射点から
    施工対象箇所のレーザ光照射点までの距離が変化し、施
    工に必要なレーザ光のエネルギ密度が得られないとき、
    レーザ照射ヘッドに設けられた集光レンズと反射ミラー
    の距離を変化させ、必要なエネルギ密度を得て作業を進
    めることを特徴とする原子炉内予防保全・補修装置の作
    業方法。
  20. 【請求項20】 原子炉内構造物にレーザ照射ヘッドを
    位置決め固定し、レーザ装置から出力されたレーザ光を
    レーザ照射ヘッドに導き、このレーザ照射ヘッドから原
    子炉内構造物に照射して施工対象箇所の予防保全・補修
    を行なう作業方法において、レーザ照射ヘッドに備えら
    れた集光レンズと反射ミラーの相対距離を保持したま
    ま、上記集光レンズおよび反射ミラーを移動手段でレー
    ザ光の光軸方向に移動させてレーザ光を走査する原子炉
    内予防保全・補修装置の作業方法。
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