JPH07248397A - 原子炉内構造物の補修方法およびその装置 - Google Patents

原子炉内構造物の補修方法およびその装置

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JPH07248397A
JPH07248397A JP6038663A JP3866394A JPH07248397A JP H07248397 A JPH07248397 A JP H07248397A JP 6038663 A JP6038663 A JP 6038663A JP 3866394 A JP3866394 A JP 3866394A JP H07248397 A JPH07248397 A JP H07248397A
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JP
Japan
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laser
scanning
arm
reactor
nuclear reactor
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JP6038663A
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Arata Ito
新 伊藤
Mitsuko Shimizu
みつ子 清水
Nobutada Aoki
延忠 青木
Shigehiko Mukai
成彦 向井
Minoru Obata
稔 小畑
Katsuhiko Sato
勝彦 佐藤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【目的】ショットの回収が不要で、ショットによる粉塵
発生がなく、原子炉内構造物の応力状態を圧縮応力状態
に容易に表面改質できる。 【構成】原子炉圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下
げ上部格子板開口部11を通過させて、上下動自在で回転
自在の折りたたみ式アーム13を上部格子板下方室28に設
置する。このアーム13の取り付け台20にレーザー照射装
置を取付ける。また、取り付け台20に受け渡しする補修
作業装置14を設け、前記レーザー照射装置で可視光のパ
ルスレーザー光を所定範囲ずつ走査しながら照射してシ
ュラウド15の内面をレーザー加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軽水冷却型原子炉におい
て原子炉圧力容器内に設置されている原子炉内構造物の
補修方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】軽水冷却型原子炉の炉内構造物はオース
テナイト系ステンレス鋼あるいはニッケル基合金などの
高温高圧水環境下において十分な耐食性と高温強度を有
する材料で構成されている。
【0003】しかしながら、交換不可能な部材に対して
はプラントの長期に亘る運転により長期間高温高圧環境
中に曝され、しかもシュラウドなどの炉心材料は中性子
照射を受けるため、それらが原因となって起こる材料劣
化の問題が懸念されている。特に炉内構造物の溶接部近
傍は溶接入熱による材料の鋭敏化および引張り残留応力
が形成されているため潜在的な応力腐食割れ発生の危険
性を有している。
【0004】最近、プラントの運転期間の長期化に対応
して予防保全技術対策として種々の材料表面改質技術の
開発が行われている。その一貫として表面残留応力を積
極的に引張りから圧縮に変えることによって応力腐食割
れを未然に防止するための対策工法の開発が行われてい
る。
【0005】たとえば、ショットピーニングあるいはウ
ォータジェットピーニングなどの方法による表面残留応
力改善技術の開発が行われている。
【0006】ショットピーニングは 0.3〜 1.2mm程度の
鋼球を高圧空気あるいは遠心力を利用して加速し、鋼球
の運動エネルギーにより施工部表面を塑性変形させるこ
とにより表面に圧縮残留応力を形成する技術である。
【0007】また、ウォータジェットピーニングは、10
00気圧程度の超高圧水をノズル先端より噴射し水撃作用
およびキャビテーションが破壊する際の衝撃波により表
面に圧縮残留応力を形成する技術である。いずれも水中
での施工により応力腐食割れに対する有効性が実証され
一部実用化されている。
【0008】一方、従来のレーザーを用いた金属材料の
表面処理法としては、加熱による焼き入れ、焼きなま
し、表面溶融固化によるグレージング(非晶質化),ア
ロイイング(合金層形成),クラッディング(高融点材
料のコーティング),瞬間的な蒸発による衝撃硬化があ
る。これらはそれぞれ材料の表面硬度を制御する処理で
あったり、耐摩耗性,耐衝撃性,耐腐食性等を向上させ
ることが目的である。
【0009】軽水冷却原子炉の原子炉上部室に設置され
るシュラウドと原子炉容器の間にある機器および両者の
表面の健全性を点検するためにマストまたは棒の先端に
水中テレビカメラを取付けた装置が、目視点検用として
用いられるが、構造物の表面応力状態を変える作業は行
われていない。
【0010】また、さらに自由度の高い目視点検用の水
中遊泳式の点検ロボットが用いられている。しかし、こ
れも目視点検用であり、構造物の表面応力状態を変える
作業は行われていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ショットピーニングを
用いてシュラウドと原子炉圧力容器の間のアニュラス部
などの狭隘部の構造物の表面残留応力を改善する際に
は、ショットの完全回収が困難である。また、大気中で
施工する場合には粉塵の発生等の問題が生じ、困難な作
業となる課題がある。
【0012】ウォータジェットピーニングを用いて、構
造物の表面応力状態を変える作業を行う場合、ジェット
反力が発生するため、狭隘な場所で遠隔操作により精密
な表面応力状態を変える作業を行う自動化機器を開発す
ることは、きわめて難しい課題がある。
【0013】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、ショットの回収が不要で、ショットによる粉
塵発生のための作業環境の悪化がなく、反力補償の必要
がない金属表面の応力状態変化を行うことができる原子
炉内構造物の補修方法およびその装置を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は原子炉圧力容器
内の構造物に対向して上下動自在でかつ回転自在のアー
ムを取り付け、このアームの先端部に取り付け台を設
け、この取り付け台にレーザー照射装置を取り付け、こ
のレーザー照射装置で可視光のパルスレーザー光を所定
範囲ずつ走査しながら照射して前記原子炉圧力容器内の
構造物をレーザー加工することを特徴とする。
【0015】また本発明は原子炉圧力容器内の構造物に
対向して設けたレーザー照射装置と、このレーザー照射
装置に設けられた可視光のパルスレーザーを所定範囲ず
つ走査する手段と、前記レーザー照射装置を取り付ける
上下動自在でかつ回転自在のアームの取り付け台と、こ
の取り付け台に受け渡しされる遠隔補修装置とを具備し
たことを特徴とする。
【0016】さらに、本発明は原子炉圧力容器の上部か
らワイヤで吊り下げ、炉心中心部の上部格子板開孔部を
通過させ、炉心支持板にリンク式アームを設け、このリ
ンク式アームに可視光のパルスレーザー光を一定範囲ず
つ走査しながら照射するレーザー照射装置を設けてなる
ことを特徴とする。
【0017】
【作用】ここで、本発明の基本原理を図19を用いて簡単
に説明する、図19(a)は、透明液体1中に設置した被
加工物2にパルスレーザー光3を照射した瞬間を模式的
に示したものである。図19(b)は、パルスレーザー光
3の照射が終わった後を示している。ここで使用する透
明液体1は、レーザー光線の波長に対して透明であれば
何でも良い。
【0018】照射されている瞬間に被加工物2の表面で
はパルスレーザー光3が吸収され、瞬時に極表面のみが
加熱され、急激に蒸発し高温高圧のプラズマ4が発生す
る。この瞬間的な高圧プラズマ4の噴出によりその反力
として衝撃力5が被加工物2に加えられる。この衝撃力
5により被加工物2の表面は、圧縮され、塑性変形され
ることが基本的な現象理解である。
【0019】図19(b)は、レーザー3照射が終わり、
被加工物2の表面に塑性変形が起こっていることを示し
たものである。これにより圧縮残留応力6が、被加工物
2の表面に与えられる。
【0020】この現象が発生する場において、透明液体
1は、それの持つ慣性力により、発生したプラズマを閉
じ込める効果がある。透明液体1中では、気中や真空中
で照射する場合に比較して数10倍以上の衝撃力が得られ
る。また、透明液体1の冷却作用によりレーザー照射に
よる熱影響を最小限にすることが可能である。本発明は
このようにして原子炉内構造物の被加工物表面に圧縮応
力を残留させることにある。
【0021】パルスレーザー光3を照射する際に施工部
表面にはプラズマ4の発生効率を高める目的および施工
部材への熱影響を低減する目的でレーザー光を透過しな
い被覆層を形成することが施工上有効である。
【0022】材料に対してレーザー照射による入熱量が
大きい場合、施工部表面が溶融あるいは金属組織に変化
が発生し、それにより表面に圧縮ではなく引張り残留応
力が形成される恐れがある。また施工部表面に十分な大
きさの圧縮残留応力を形成するにはプラズマの単位時間
および単位面積当りの密度を確保する必要がある。
【0023】したがって、施工部に対して直接レーザー
を照射する場合は施工部材料により照射条件が限定さ
れ、しかも厳しい施工条件制御が要求される。それに対
して適当な厚さのレーザー光を透過しない被覆層を形成
すれば、被覆層材がプラズマの供給源になるばかりでな
く施工部材料への入熱量を極力低減する作用を兼ねるこ
とになり、施工裕度が広がるため実機施工上有利であ
る。
【0024】被覆層の材料はレーザー光を吸収する材料
であれば、絶縁体,半導体,金属いずれの種類でも良い
が、非常に薄い被覆層は施工部表面に形成する必要から
金属が有利である。形成方法としては金属薄膜を接着剤
で張り付ける,物理蒸着,塗布等いずれの方法でも良
い。
【0025】実際に、予防保全工法としてレーザーピー
ニングを適用する際にはプラントの長期運転により原子
炉炉内構造物表面は、酸化被膜で覆われている、均一な
膜厚で表面被覆層を形成するためには膜の密着性等を考
慮し、研削等の手段で酸化被膜を除去する必要がある。
【0026】金属薄膜がA1,Sn,Inなどの低融点
金属である場合には0.05から0.2mmでかつレーザー光照
射面の近傍に対向した電極を設置し、これと被加工物間
に直流またはレーザーパルスに同期させた数10から数10
0 ボルトの電圧を印加する。
【0027】この条件で照射することにより、材料に対
する熱影響を極力小さく抑え、さらに、被覆層材料がプ
ラズマ化するためレーザー照射後施工部表面には、被覆
層材料が残存せず施工後被覆材料除去工程がはぶけるた
め工程の簡略化が計れる。
【0028】同様に被覆層材料がW,Mo,Ta,N
b,Ti,Zr,Hfなどの高融点あるいはステンレ
ス、インコネルなどの炉内構造物と同一材料でも良い。
その場合は、0.03以上0.15mm以下でかつ上記と同様の条
件で照射することにより同様な効果が得られることが実
験的に確認されている。
【0029】白金,金,パラジウム,亜鉛が被覆層材料
である場合には積極的にそれらの被覆層材料を残存させ
ることにより、レーザーピーニングによる残留応力改善
効果ばかりでなく被覆層による耐食性改善効果が期待で
きるため、応力腐食割れ対策として非常に有効である。
【0030】その際の被覆層厚さとしては0.03mm以上が
必要であるが0.25mm以上の場合には施工部表面に十分な
圧縮残留応力が形成されないため膜厚の上限値は0.25mm
である。
【0031】原子炉炉内構造物表面に形成されている酸
化被膜を上記被覆膜として利用することにより同様な効
果が得られることが実験的に明らかになった。その場合
には被覆層を形成する必要がなく工程を簡略化できるば
かりでなく、直接レーザー照射することによって表面残
留応力改善を行うと共に酸化膜を除去する効果が期待で
きる。
【0032】また、施工は通常大気中で行われるが水な
どのレーザーを透過する媒体中で行う方が残留応力改善
上有利である。大気中施工の場合はレーザー照射によっ
て発生した高温高圧のプラズマが発散する傾向がある
が、水中で行った場合はプラズマの閉じ込め効果があ
る。
【0033】したがって、その反作用により材料中に効
果的に残留応力を形成することができる。原子炉炉内構
造物に適用する場合には炉水中で施工することによっ
て、残留応力改善効果が促進され施工の信頼性を確保す
る意味で有効である。
【0034】本発明は金属材料の表面残留応力を変化さ
せる目的を達成するために、パルスレーザー装置とレー
ザー光を被加工物表面まで伝送し、照射できる光学装置
で構成されるレーザー加工において、被加工物を透明液
体中に設置し、被加工物表面上での照射位置を変えつつ
照射し、被加工物表面に圧縮応力を残留させる。また、
レーザー透過性の良い液体として放射線遮蔽効果があ
り、安定性の高い水を用いることにある。
【0035】さらに、パルスレーザー光のパルス幅を10
psec以上、1μsec 以下とし、パルスレーザー光のパル
スあたりのエネルギーEとパルス時間幅tと被加工物上
でのレーザースポット面積Sとしたとき、106 <E/(t
×S)<1012[w/cm2 ]の条件を満足させることにあ
る。
【0036】この限定は材料方面の残留応力を圧縮する
ために必要な条件であり、この条件を満たせない場合、
表面残留応力として十分な圧縮が得られなかったり、熱
影響による引っ張り応力のみの残留となることがある。
詳細な照射条件は対象とする材料や必要な残留応力強
度、応力変化を生じさせる深さ、許容できる熱影響部の
厚さ等によって決められる。
【0037】以上の必要な照射条件を得るために、被加
工物でのレーザースポット面積Sを変える目的でレーザ
ー光を集光できる光学装置を備えたことを特徴とするも
のである。
【0038】レーザー光照射面の近傍に対向した電極を
設置し、これと被加工物間に直流もしくはレーザーパル
スに同期させた数10から数100 Vの電圧を印加すること
にある。
【0039】これは、パルス幅が、十分短くない等のレ
ーザー照射の条件によっては、材料極表層部に熱影響に
よる引っ張り応力が残留する場合がある。この極表層部
の厚さが許容できない場合には、被加工物レーザー光照
射面とその近傍に対向して設置した電極間でレーザーで
制御した放電により熱影響部の除去を行う。
【0040】また同様の目的で、透明液体を電解液と
し、その電解液中に被加工物を設置し、レーザー光照射
面に対向して負電極を設け、これと被加工物に直流もし
くはレーザーパルスに同期させた数Vから数10Vの電圧
を印加し電解研磨を行うことで、確実に圧縮応力の残留
した表面を得ることができる。
【0041】本発明は、原子炉上部室のシュラウドと原
子炉容器の間にあるジェットポンプライザーブレースア
ームの加工部,同アームの表面,ジェットポンプライザ
ー管,ジェットポンプディフューザ等の表面改質,シュ
ラウド内面の表面改質,CDRハウジングの加工部の表
面改質,シュラウドと原子炉容器の間のアニュラス部底
面の隔壁表面の除染,ジェットポンプディフューザの溶
断による分解と溶接による組立てを含むジェットポンプ
ディフューザの交換作業機器および両者の表面の補修を
遠隔で行うことができ原子炉内容器の長寿命化をはかる
ことができる。
【0042】施工面に被覆層を形成して材料に対する熱
影響を極力抑え、かつ効果的にプラズマの発生をさせる
ことおよび水中におけるプラズマ閉じ込め効果により被
加工物表面の残留応力改善施工を効率良くしかも高い信
頼性で実施できる。
【0043】しかして、レーザー光照射により発生した
衝撃力で被加工物表面に圧縮残留応力を与えることがで
き、レーザー光による作業のため、施工部を詳細に加工
することが可能となる。また、作業時に反力が発生しな
いため、操作装置に余計な負荷をかけることもなく、装
置の強度を高める必要もなく、取扱いの容易な装置が得
られ、作業効率を高めることができる。
【0044】さらに、透明液体を熱的,化学的に安定な
水とすることで、より確実に被加工物表面に圧縮残留応
力を与えることが可能になり、かつ、水の放射線遮蔽効
果により放射性物質を被加工物にした場合にも安全な施
工が可能になる。
【0045】レーザー照射条件を限定することで被加工
物に対し確実に圧縮応力を残留させることが可能にな
る。レンズまたは集光鏡により照射面積を小さくするこ
とで、パルス当たりのレーザー出力が十分でない場合に
も、圧縮応力を残留させることができる条件で照射する
ことができる。
【0046】
【実施例】図1から図7を参照しながら本発明に係る原
子炉内構造物の補集方法およびその装置の第1の実施例
を説明する。
【0047】第1の実施例は図1に示したように、原子
炉圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ、上部ケー
ス16および下部ケース17を炉心9の中心部の上部格子板
10の開孔部11を通過させ、炉心支持板12に上部ケース16
を設置する。上部ケース16にはリンク式アーム13が付設
されており、このリンク式アーム13の先端に取付けたレ
ーザー照射装置で可視光のパルスレーザー光を一定範囲
ずつ揺動走査しながら照射して遠隔補修作業装置14とに
より例えばシュラウド15の内面の加工を行う方法とその
装置に関するものである。
【0048】図1は、本発明の第1実施例を示すシュラ
ウド15内面補修ロボットに治工具を取付ける様子を示す
概念図である。折りたたみ式アーム13を内蔵する上部ケ
ース16と下部ケース17が天井クレーン(図示せず)より
ワイヤ8で吊られ上部格子板10の開孔部11と炉心支持板
12の開孔部18に挿入され、炉心9内の制御棒駆動装置ハ
ウジング19に設置されている。
【0049】折りたたみ式アーム13には、図2に拡大し
て示したようにアーム30の先端部に補修作業装置取り付
け台20が取付けられている。上部ケース16の上部には上
部格子板10上に位置して上部ケース案内装置21と下部ケ
ース案内装置22が取り付けられている。下部ケース案内
装置22は、固定用脚23で上部格子板10に固定される。
【0050】補修作業ユニット搬送装置24は、天井クレ
ーン(図示せず)からワイヤ8で吊られ上部格子板10の
上面に固定用脚23で固定される、補修作業ユニット搬送
装置24には、補修作業装置14が搭載されていて折りたた
み式アーム13の先端の補修作業装置取り付け台20に受け
渡される構造になっている。
【0051】なお、図1中符号25は据付け案内装置,26
は隔壁,27は原子炉ピット,28は上部格子板下方室を示
している。
【0052】図2は、シュラウド15の内面を補修するレ
ーザー照射装置としてのレーザーピーニング作業ユニッ
ト41の縦断面図である。折りたたみ式アーム13は、エア
シリンダ29でアーム30を伸縮する構成になっている。ま
た、折りたたみ式アーム13は、ワイヤ31で滑車32を介し
てバランサー33と結合されている。
【0053】上部ケース案内装置21と下部ケース案内装
置22にはそれぞれエアシリンダ34,35が設けられ、両装
置21と22間には結合棒36が設けられている。図2中符号
37は上部ベアリング,38は組歯車,39はモータ,40は下
部ベアリングを示している。
【0054】つぎに図3から図5によりレーザースポッ
ト揺動走査型レーザーピーニング作業ユニット4につい
て説明する。この作業ユニット41は、長手方向掃引ユニ
ット42,幅方向掃引ユニット43,取付け構造44および図
4に示す光ファイバー接続構造45等で構成されてい
る。
【0055】長手方向掃引ユニット42は、2枚の上部側
板構造46を接続棒47とスクリューネジ48で接続し、組歯
車49を介してスクリューネジ48を第1の駆動装置50で駆
動する構成である。左右一対の第2の側板構造51,53に
取付けられたボールネジ構造52とスクリューネジ48を嵌
合し、幅方向掃引ユニット43を掃引する。
【0056】幅方向掃引ユニット43は、左右一対の第2
の側板構造51,53を接続棒54とスクリューネジ55で接続
し、組歯車49を介してスクリューネジ55を第2の駆動装
置56で駆動し、枠構造57に取り付けられたボールネジ構
造58とスクリューネジ55を嵌合し、枠構造57を掃引する
構成である。
【0057】枠構造59には、集光反射鏡60,第1反射鏡
61,第2反射鏡62,第3反射鏡63等で構成されている。
光ファイバー接続構造45は、端部構造64に組レンズ65が
押さえリング66を介してスペーサー67,押え板68で取り
付けられた構造である。
【0058】光ファイバー接続構造45は、脱着可能な状
態で長手方向掃引ユニット42の第1の側板構造46に取り
付けられている。光ファイバー69から射出されたレーザ
ー光70は、組レンズ71で平行光線とされ、3個の反射鏡
と1個の集光反射鏡60で壁72の上に焦点が結ばれる長手
方向掃引ユニット42に取り付けられた脚73で壁72との距
離を一定に保持する。
【0059】取付け構造74は、長手方向掃引ユニット42
の2枚の側板構造46に固定され、折りたたみ式アーム13
のアーム30先端の補修作業ユニット取付け台20と嵌合す
る構造である。
【0060】つぎに上記第1の実施例において、XYス
ライド機構利用のレーザースポット揺動走査および鋸歯
状走査する例を図6および図7により説明する。
【0061】図6はレーザースポット揺動走査概念図で
ある。集光反射鏡60を移動して幅方向掃引75をし、長手
方向に掃引する方法の概念を示したものである。壁72の
上のレーザー光スポット78をサークル形状で図示してい
るが、スポットの重なりを発生させない場合は、矩形ス
ポット形状を用いる。
【0062】光ファイバー接続構造45の押え板68の開孔
を矩形とし、アパーチャとして用いる。図中、符号79は
矩形状掃引軸跡である。図7はレーザースポットを鋸歯
波状に走査した場合の例を示している。図中符号80は鋸
歯波状掃引軸跡である。
【0063】つぎに、図1から図5により本発明に係る
第1の実施例の作用を説明する。軽水冷却原子炉の原子
炉圧力容器7の蓋を取外し、原子炉ピット27の床面に遠
隔炉内作業装置取扱い装置(図示せず)を設置し、点検
・補修装置吊込みクレーン(図示せず)で原子炉圧力容
器7の上部に折りたたみ式アーム13を収納した上部ケー
ス16およびその下端に接続される下部ケース17を吊込
み、上部格子板10の開孔部11および炉心支持板12の開孔
部18を順次通過させ、下部ケース17の下端を炉心9の制
御棒駆動装置ハウジング19に嵌合させ据付を終了する。
【0064】上部ケース16および下部ケース17が上部格
子板10の開孔部11を容易に通過できるように上部ケース
案内装置21および下部ケース案内据付装置22が上部ケー
ス16および下部ケース17を軸方向に移動できる状態に取
付けられ、上部ケース16および下部ケース17が上部格子
板10の開孔部11を通過するに従い平面内の回転の位置合
せを行う。
【0065】吊り降ろしを続け、下部ケース案内据付装
置22を固定用脚23で上部格子板10を固定し、下部ケース
17の下端を制御棒駆動装置ハウジング19に嵌合し、据付
を終了する。
【0066】折りたたみ式アーム13を上部ケース16から
上部格子板下方室28に展開し、上部ケース16内に取り付
けられているモータと組歯車を介して折りたたみ式アー
ム13が取り付けられいる上部ケース16を回転し、折りた
たみ式アーム13を所定の方向に向ける。
【0067】折りたたみ式アーム13のエアシリンダ29
(図2参照)を駆動し、アーム30を径方向に出し入れ
し、アーム30の先端に取付けらた補修作業ユニット取付
け台20を径方向の所定の位置に設定する。
【0068】モータ39で組歯車38を駆動し、アーム30を
上部格子板10の近くまで上昇させ、上部ケース16を回転
しながらエアシリンダ29を駆動してアーム30を径方向に
出し入れしてアーム30の先端に取付けられた補修作業ユ
ニット取付け台20を所定の上部格子板10の開孔部11の下
方に持ってゆく。
【0069】据付け案内装置25が取付けられた補修作業
ユニット搬送装置24に補修作業ユニット14を収納した状
態で、点検・補修装置吊込みクレーン(図示せず)で原
子炉圧力容器7に吊り込み、上部格子板10の開孔部11に
据付ける。据付け案内装置25に取付けられた固定用脚23
で上部格子板10に固定する。
【0070】補修作業ユニット14を補修作業ユニット搬
送装置24の下方に押し出し、補修作業装置14の接続構造
53(図4参照)と、折りたたみ式アーム13のアーム30の
先端の補修作業装置取付け台20を結合する。
【0071】結合が終了すると、補修作業ユニット搬送
装置24の補修作業装置14の把持状態を解除する。この解
除が終了すると、折りたたみ式アーム13を上部格子板下
方室28内で三次元的に動かし、補修作業ユニット14をシ
ュラウド15の所定の位置に持って行き、補修作業を行
う。
【0072】補修作業装置14として点検・検査作業ユニ
ット,溶接作業ユニット,EDM作業ユニット,グライ
ンダー作業ユニット,レーザーピーニング作業ユニット
41等を用いる。
【0073】補修作業装置14としてレーザーピーニング
作業ユニット等を用い、シュラウド15の溶接部の表面を
引っ張り応力より圧縮応力状態に表面改質作業を行う。
レーザースポット揺動型レーザーピーニング作業ユニッ
ト41を用いての表面改質作業法を以下で説明する(図
3,図4,図5,図6参照)。
【0074】折りたたみ式アーム13のアーム30の先端部
に設けた補修作業ユニット取付け台20にレーザースポッ
ト揺動型レーザーピーニング作業ユニット41の取付け構
造44の嵌合部を結合し、アーム30を伸ばしシュラウド15
の溶接線等で表面に圧縮応力が発生している場所にレー
ザースポット揺動型レーザーピーニング作業ユニット41
を移行し、そのユニット41の脚73をシュラウド15の表面
に押し当てた状態で所定の位置に設定する。
【0075】溶接線部を表面改質する場合、長手方向掃
引ユニット42を溶接線の方向に、幅方向掃引ユニット43
を溶接線に垂直方向で掃引可能範囲内に溶接部がはまる
ように設定する。レーザー光70として繰り返し数が5K
Hzの銅蒸気レーザーを用いる。口径が 0.3φmm程度の
光ファイバー69を用いる場合、光学系を用いることによ
りレーザー光70を 0.3φmm程度のスポット径77を絞るこ
とができる。
【0076】図6は図3におけるレーザーピーニング作
業ユニット41のXYスライド機器利用のレーザースポッ
ト揺動走査概念図で、Xは例えば長手方向掃引ユニット
42を、Yは例えば幅方向掃引ユニット43を示す。
【0077】銅蒸気レーザーのパルス幅は、40nsec程度
であり、レーザー光70の照射間隔200μsec に比べ、照
射されている時間は、無視できる長さである。幅方向の
掃引75をレーザー光スポット78の重なりが無い状態程度
(図6参照)で行う場合、幅方向の掃引速度を1.5m/s程
度にする必要がある。
【0078】長手方向の掃引76をレーザー光スポット78
の重なりが無い状態(図6参照)で行う場合、幅方向の
掃引75時の照射数に 200μsec を乗じた時間毎に1.5m/s
程度の掃引速度で 0.3mm掃引する。
【0079】レーザー光スポット78を円形とした場合、
1.5m/s程度の速度で掃引すると、図6に示すようにレー
ザー光70の照射されない範囲が生じる。この範囲が発生
するのを防ぐ必要がある場合は、掃引速度を1.5m/s以下
にしてレーザー光スポット78が一部重なるようにする。
【0080】または、光ファイバー接続構造45部にレー
ザー光70のビーム断面形状を矩形にする光学系を入れて
1辺が 0.3mmになるレーザー光スポット78にすると、1.
5m/sの長手および幅方向の掃引を行うことにより一定幅
と長さの範囲にパルスレーザー光70を1度照射すること
ができる。
【0081】これにより現在入手可能な出力が 500W程
度の鋼蒸気レーザーを用いて水中で表面改質補修(引っ
張り応力状態より圧縮応力状態に変える補修)を行うこ
とができる。
【0082】一定範囲の表面改質作業が終了すると、ア
ーム30を多少縮め、溶接線に沿ってアーム30を移動し、
表面改質が終了した範囲に引き続き表面改質作業ができ
る位置にレーザースポット揺動型レーザーピーニング作
業ユニット41を設置し、上記の作業を繰り返す。
【0083】幅方向の掃引75は、駆動装置56を一定方向
に回転させ、所定の幅の掃引が終了すると駆動装置56を
反対方向に回転させ所定の幅を掃引する運動を繰り返
す。長手方向の掃引76は、間欠的に行うが、上記のよう
な一定速度運動をする必要はない。
【0084】つぎに上記第1実施例の効果を説明する。
現在入手可能な出力が 500W程度の可視光レーザーであ
る銅蒸気レーザーを用いて水中で表面改質補修(引っ張
り応力状態より圧縮応力状態に変える補修)作業を行う
ことができるため、シュラウド15の溶接線および表面の
引っ張り応力状態を圧縮応力状態に変える作業を水中で
行うことができ、作業者の被曝を低減することができ
る。
【0085】レーザーを用いることによりウォータジェ
ットピーニングと異なり、表面改質作業時の反力の発生
は無視できるため遠隔取扱い装置の構造が簡単なもので
良い。ショットブラストピーニングとは異なり、ウォー
タジェットピーニングと同様に回収が必要なごみの発生
はない。
【0086】レーザーショットピーニング時には、超音
波音響が発生するため表面改質作業と同時に作業状況の
監視および作業結果の評価を行うことができ、監視およ
び計測のために別途装置を用意する必要がなく、作業の
効率を上げることができる。
【0087】なお、上記第1の実施例において、原子炉
圧力容器7の上部からワイヤ8で吊り下げ、炉心9の中
心部の上部格子板開孔部11を通過させ、炉心支持板12に
リンク式アーム13の付いた遠隔補修装置14を設置し、リ
ンク式アーム13の先端に取付けたレーザー照射装置で可
視光のパルスレーザー光を一定範囲ずつ鋸歯走査しなが
ら照射してシュラウド15の内表面の加工を行うことがで
きる。
【0088】このようにすれば、上記第1の実施例の作
用と本質的に変わらないが、図3,図4に示すように組
歯車49とスクリューネジ55の間に電磁クラッチ等の切り
離し機構と、スクリューネジ55をバネ等の駆動源力によ
り逆回転させ、 200μsec 程度の間に幅方向掃引ユニッ
ト43を元の位置に帰し、その間に長手方向に 0.3mm間欠
的に移動させる。以下第1の実施例と同様な掃引動作を
繰り返す。
【0089】つぎに図8から図11を参照しながら本発明
の第2の実施例を説明する。図8はガルバノミラー機構
使用のレーザースポット揺動走査型レーザーピーニング
作業ユニット81の縦断面図である。このユニット81は、
長手方向掃引ユニット82,幅方向掃引ユニット83,取付
け構造84および光ファイバー接続構造45等で構成されて
いる。
【0090】長手方向掃引ユニット82は、2枚の側板構
造85を接続棒86とスクリューネジ87で接続し、組歯車88
を介してスクリューネジ87を駆動装置89で駆動する構成
である。枠構造90に取り付けらたボールネジ構造91とス
クリューネジ87を嵌合し、幅方向掃引ユニット83を掃引
する構成である。
【0091】幅方向掃引ユニット83は、枠構造92に集光
反射鏡93,ガルバノミラー94,第1反射鏡95,駆動装置
96,組歯車97等で構成されている。光ファイバー接続構
造45は、端部構造64に組レンズ71が押えリング66を介し
てスペーサ67,押え板68で取り付けられた構造である。
【0092】光ファイバー接続構造45は脱着可能な状態
で長手方向掃引ユニット82の側板構造85に取り付けられ
ている。光ファイバー69から射出されたレーザー光70
は、組レンズ71で平行光線とされ、第1反射鏡95からガ
ルバノミラー94に照射され、ガルバノミラー94で幅方向
に振り、集光反射鏡93に照射し、集光反射鏡93で壁72の
上に幅方向に振りながら焦点を結ぶ。
【0093】このスポットの軌跡は図11に示すように円
弧状を形成する。長手方向掃引ユニット82に取り付けら
れた脚73で壁72との距離を一定に保持する。取付け構造
84は、長手方向掃引ユニット82の2枚の側板構造85に固
定され、図2に示す折りたたみ式アーム13のアーム30先
端の補修作業ユニット取付け台20と嵌合する構造であ
る。
【0094】図11はガルバノミラー機構利用のレーザー
光スポットの揺動走査概念図で、符号78はレーザー光ス
ポット78,98は掃引軌跡、99が揺動を示している。
【0095】つぎに第2の実施例の作用を図8から図11
につき説明する。第2の実施例は、原子炉圧力容器7の
上部からワイヤー8で吊り下げ、炉心中央部の上部格子
板開孔部11を通過させ、炉心支持板12にリンク式アーム
13の付いた遠隔補修装置14を設置し、リンク式アーム13
の先端に取付けたレーザー照射装置で可視光のパルスレ
ーザー光を一定範囲ずつガルバノミラー94を使用してレ
ーザースポットを揺動走査しながら照射してシュラウド
15の内表面の加工を行う。
【0096】この第2の実施例の作用は第1の実施例と
本質的に同様であるが、図6,図7に示した幅方向掃引
75をガルバノミラー94を正逆転する駆動装置96と組歯車
97でその軸周りに揺動させシュラウド15表面にレーザー
光スポット78の掃引軌跡79を円弧状に描かせ、その間に
長手方向に 0.3mm間欠的に移動させる。以下第1の実施
例と同様な掃引動作を繰り返す(図11参照)。本実施例
の効果は第1の実施例と同様なのでその説明は省略す
る。
【0097】つぎに図12から図16を参照しながら本発明
の第3の実施例を説明する。図12はポリゴンミラー機構
使用のレーザースポット走査型レーザーピーニング作業
ユニット100 の正面図である(図13のB−B矢視)。レ
ーザーピーニング作業ユニット100 は、取付構造101 部
で図2に示す折りたたみ式アーム13のアーム30の先端の
補修作業ユニット取付20と結合される。
【0098】2枚の端板構造102 間には、取付構造101
,スクリューネジ103 ,スライド棒104 が結合されて
いる。スライド棒104 は、移動板105 を貫通し、この移
動板105 の図13に示すボールネジ106 でスクリューネジ
103 が結合している。
【0099】駆動装置107 を働かせてスクリューネジ10
3 を回転させ、スライド棒104 をガイドとして移動板10
5 をスライドさせる。移動板105 を取付台108 が大径ス
プリング109 を介して結合されている。取付台108 に取
り付けられた車輪形式の脚73を壁面72に押し付けレーザ
ーピーニング作業ユニット100 を設定する。
【0100】光ファイバー69で導かれたレーザー光70
は、組レンズ110 で平行光線とし、偏光ミラー111 ,ミ
ラー112 を介してポリゴンミラー113 を導き、反射させ
て壁面72に像を結ぶ。
【0101】ポリゴンミラー113 と爪114 をアクチュエ
ータ115 で回転し、シリンダ116 の爪117 と爪114 を接
触させ、小径スプリング118 の弾性力に抗して爪117 と
爪114 の接触が外れるまでシリンダ116 (a)を移動さ
せ、壁面72へのレーザー光70の照射を幅方向に掃引させ
る。
【0102】長手方向の掃引は、駆動装置107 でスクリ
ューネジ103 を回転し、移動板105を移送させることに
より、車輪付き脚73を壁面72に密接して回転移動させて
行う。なお、図中符号119 はビームダンパ、120 はアク
チュエータ取付構造を示している。
【0103】図13はポリゴンミラー機構使用のレーザー
スポット走査型レーザーピーニング作業ユニット100 の
側面図である(図12のA−A矢視図)。
【0104】図14(a),(b)はポリゴンミラー113
を使用したレーザースポット走査機構部詳細概念図であ
る。ポリゴンミラー113 と爪114( 114a〜 111k)はア
クチュエータ115 により回転し、この回転に伴いシリン
ダ116 は爪114 と爪117 が接触している間は引き上げら
れ、爪114 と爪117 が離れると、スプリング118 によ
り、もとの位置に戻る構造になっている。
【0105】一方レーザー光70は図示はしないが、光源
側でファラデーローテータ、シャッター等で照射のON
・OFFの切替が可能な構造となっており、レーザー光
70は偏光ミラー111 ,ミラー112 ,ポリゴンミラー113
で反射され、壁面72に照射する構造となっている。
【0106】また、偏光ミラー111 で反射しなかったレ
ーザー光70はビームダンパ119 により吸収される。な
お、図示はしないがビームダンパ119 は冷却機により常
時冷却されている。
【0107】図15は、ポリゴンミラー113 使用のレーザ
ー光スポット78の走査概念図で、符合121 は掃引軌路を
示している。図16は、ポリゴンミラー113 使用のレーザ
ー光スポット78の走査概念図で、符合122 は第1のミラ
ー、123 は第2のミラー、124 は第3のミラーを示して
いる。
【0108】つぎに第3の実施例の作用効果を説明す
る。すなわち、第3の実施例は原子炉圧力容器7の上部
からワイヤー8で吊り下げ、炉心9の中心部の上部格子
板開孔部11を通過させ、炉心支持板12にリンク式アーム
13の付いた遠隔補修装置14を設置し、リンク式アーム13
の先端に取付けたレーザー照射装置で可視光のパルスレ
ーザー光を一定範囲ずつポリゴンミラー113を使用して
レーザー光スポット78を走査しながら照射してシュラウ
ド15内表面の加工を行う。
【0109】第3の実施例の作用効果は、本質的には第
1の実施例と同様であるが、多面鏡のポリゴンミラー11
3 を一定角速度で回転させて鋸歯掃引を行い、同期させ
てミラー112 の高速の原点復帰動作を行うようにしたも
のである。
【0110】つぎに図17および図18を参照しながら本発
明に係る第4の実施例を説明する。図17は多関節腕利用
のレーザー光スポット旋回走査型レーザーピーニング作
業ユニット125 概念図である。レーザーピーニング作業
ユニット125 は、旋回構造126 ,スライド構造127 ,光
ファイバー接続構造128 ,取付構造129 等で構成され、
取付構造129 部で図2に示したたたみ式アーム13のアー
ム30の先端の補修ユニット取付20と結合される。
【0111】旋回構造126 は、スライド構造127 に取り
付けられた駆動装置130 で組歯車131 を介して旋回させ
られる。旋回構造126 とスライド構造127 は、ベアリン
グ132 構造を介して結合されている。取付構造129 とス
ライド構造127 が結合され、スライド構造127 は、水圧
駆動の水圧シリンダー構造133 となっている。
【0112】スライド構造127 には、光ファイバー接続
構造128 が結合され、光ファイバー69からのレーザー光
70を平行光線にする組レンズ134 が取付けられている。
平行光線は、第3反射鏡135 ,第2反射鏡136 ,第1反
射鏡137 で向きを変え、集光反射鏡138 で壁72の表面に
集光される。
【0113】旋回構造126 を旋回させることにより、図
18に示すように小口径のレーザー光スポット78の掃引軌
跡139 を描き、スライド構造127 を水圧で駆動して長手
方向の掃引を行う。図18は図17における装置のレーザー
スポット旋回走査概念図である。
【0114】つぎに第4の実施例の作用効果を説明す
る。すなわち、第4の実施例は図1に示したように原子
炉圧力容器7の上部からワイヤー8で吊り下げ、炉心9
の中心部の上部格子板開孔部11を通過させ、炉心支持板
12にリンク式アーム13を設置し、リンク式アーム13の先
端に取付けたレーザー照射装置で可視光のパルスレーザ
ー光スポット78を微少直径の円状に旋回照射しながら長
手方向に円状照射を移動させて一定範囲を走査すること
を繰り返してレーザーを照射してシュラウド15の表面の
加工を行う(図1,図12参照)。
【0115】第4の実施例の作用効果は、本質的には第
1の実施例と同様である。しかし、以下の点が異なる。
集光反射鏡138 を高速回転させてパルスレーザー光スポ
ット78を微少直径の円状に掃引してシュラウド内表面に
照射しながら、水圧駆動シリンダー構造133 を用いて長
手方向に円状照射を移動させてシュラウド内表面に照射
して一定範囲を走査することを繰り返してレーザーを照
射してシュラウド内表面の加工を行う点である。
【0116】第4の実施例によれば、レーザー光スポッ
ト78を微少直径の円状に掃引するための掃引時の衝撃等
の影響がない。また、先端の構造が円筒形状になってい
るため水中における回転の流動抵抗を小さくする構造に
なっている。また、円筒の軸対称に加重のバランスをと
る構造にできるため、高速回転に対して構造上問題の発
生がない。
【0117】さらに、水圧駆動シリンダーを用いて長手
方向に円状照射を移動させるため、水中での長手方向の
移動機構に水密構造を設ける必要がない。したがって、
構造を簡単にすることができ、遠隔補修装置の先端に取
付ける機器を小形化でき、遠隔補修装置の構造を簡素化
できる。
【0118】つぎに本発明の第5の実施例を説明する。
この第5の実施例は、図1に示すごとく原子炉圧力容器
7の上部からワイヤー8で吊り下げ、炉心9の中心部の
上部格子板開孔部11を通過させ、炉心支持板12にリンク
式アーム13を設置し、リンク式アーム13の先端に取付け
たレーザー照射装置で可視光のパルスレーザー光スポッ
トを第1の実施例で示したXYスライド機構,第2の実
施例で示したガルバノミラー94,第3の実施例で示した
ポリゴンミラー113 ,第4の実施例で示した微少直径の
円状に旋回機構付き伸縮腕等の走査を用いて、シュラウ
ド内表面の切り欠き形状の切り欠き先端部の同一軌跡上
に繰り返してレーザー光を照射して水中でストップホー
ルを形成する装置と方法に関するものである。
【0119】第5の実施例の作用は、本質的には第1か
ら第4の実施例と同様である。しかし、以下の点が異な
る。シュラウド内表面の切り欠き形状の切り欠きの先端
部に円形状の軌跡上に繰り返してレーザーを照射して水
中でストップホールを形成する点である。
【0120】本第5の実施例によれば水中で直接作業が
できるため、水排除機構を備えたレーザー照射トーチを
用いる必要がなく、容易に亀裂の先端にストップホール
を形成でき、応力集中が緩和され亀裂進展が抑止され原
子力プラントを長寿命化させるのに効果がある。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、金属表面の応力状態を
所定の値に変化することができ、構造材が応力腐食損傷
を行わず、機器の寿命を長寿命化することができる表面
改質装置と方法を提供することができる。
【0122】軽水冷却原子炉の原子炉上部室に設置され
ているシュラウドと原子炉容器の間にあるジェットポン
プライザーブレースアーム,ライザー管,ジェットポン
プディフューザの表面,シュラウドの内外表面,シュラ
ウドサポートの内外表面,原子炉容器内表面,CRDハ
ウジング外表面等の応力状態を圧縮応力状態にすること
を容易に行える遠隔炉内点検補修装置および方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉内構造物の補修方法および
その装置の第1の実施例を示す縦断面図。
【図2】図1において、レーザー照射装置としてのレー
ザーピーニング作業ユニットを示す縦断面図。
【図3】図1において使用するXYスライド機構利用レ
ーザースポット揺動走査型レーザーピーニング作業ユニ
ットを示す縦断面図で、図4のC−C矢視方向を示す。
【図4】図3においてA−A矢視方向から見た平面図。
【図5】図3においてB−B矢視方向に沿って切断して
示す横断面図。
【図6】図3におけるXYスライド機器利用のレーザー
スポット揺動走査概念図。
【図7】図3におけるXYスライド機器利用のレーザー
スポット鋸歯走査概念図。
【図8】本発明に係る第2の実施例におけるガルバノミ
ラー機構使用のレーザー光スポット揺動走査型レーザー
ピーニング作業ユニットを示す縦断面図で、図10のC−
C矢視方向を示す。
【図9】図8においてA−A矢視方向から見た平面図。
【図10】図8においてB−B矢視方向から切断した横
断面図。
【図11】図8における装置でのガルバノミラー機構利
用のレーザー光スポット揺動走査概念図。
【図12】本発明に係る第3の実施例におけるポリゴン
ミラー機構使用のレーザー光スポット走査型レーザーピ
ーニング作業ユニットを示す正面図で、図13のB−B矢
視方向を示す。
【図13】図12におけるA−A矢視方向から見た側面
図。
【図14】(a)は図13におけるB−B矢視方向を拡大
して示す側面図で(b)のD−D矢視方向を示し、
(b)は(a)のC−C矢視方向を切断して示す横断面
図。
【図15】図12におけるポリゴンミラー機構利用のレー
ザー光スポット鋸歯状走査の第1の例を示す概念図。
【図16】図12におけるポリゴンミラー機構利用のレー
ザー光スポット鋸歯状走査の第2の例を示す概念図。
【図17】本発明に係る第4の実施例における多関節腕
利用のレーザー光スポット旋回走査型レーザーピーニン
グ作業ユニットを示す縦断面図。
【図18】図17における多関節腕利用のレーザー光スポ
ット旋回走査を示す概念図。
【図19】(a)はレーザーピーニング法による原理を
説明するための模式図、(b)は加工の状態を示す模式
図。
【符号の説明】
1…透明液体、2…被加工物、3…パルスレーザー光、
4…プラズマ、5…衝撃力、6…圧縮残留応力、7…原
子炉圧力容器、8…ワイヤ、9…炉心、10…上部格子
板、11…上部格子板開口部、12…炉心支持板、13…リン
ク式アーム、14…遠隔補修作業装置、15…シュラウド、
16…上部ケース、17…下部ケース、18…炉心支持板開口
部、19…制御棒駆動装置ハウジング、20…補修作業装置
取り付け台、21…上部ケース案内装置、22…下部ケース
案内装置、23…固定用脚、24…補修作業ユニット搬送装
置、25…据付け案内装置、26…隔壁、27…原子炉ピッ
ト、28…上部格子板下方室、29…エアシリンダ、30…ア
ーム、31…ワイヤ、32…滑車、33…バランサ、34,35…
エアシリンダ、36…結合棒、37…上部ベアリング、38…
組歯車、39…モータ、40…下部ベアリング、41…レーザ
ーピーニング作業ユニット、42…長手方向掃引ユニッ
ト、43…幅方向掃引ユニット、44…取付け構造、45…光
ファイバー接続構造、46…第1の側板構造、47…接続
棒、48…スクリューネジ、49…組歯車、50…第1の駆動
装置、51…第2の側板構造、52…ボールネジ構造、53…
接続構造、54…接続棒、55…スクリューネジ、56…第2
の駆動装置、57…枠構造、58…ボールネジ構造、59…枠
構造、60…集光反射鏡、61…第1反射鏡、62…第2反射
鏡、63…第3反射鏡、64…端部構造、65…組レンズ、66
…押えリング、67…スペーサ、68…押え板、69…光ファ
イバー、70…レーザー光、71…組レンズ、72…壁、73…
脚、74…取付け構造、75…幅方向掃引、76…長手方向掃
引、77…スポット径、78…レーザー光スポット、79…矩
形波状掃引軌跡、80…鋸歯状軌跡、81…レーザーピーニ
ング作業ユニット(ガルバノミラー使用)、82…長手方
向掃引ユニット、83…幅方向掃引ユニット、84…取付け
構造、85…2枚の側板、86…接続棒、87…スクリューネ
ジ、88…組歯車、89…駆動装置、90…枠構造、91…ボー
ルネジ構造、92…枠構造、93…集光反射鏡、94…ガルバ
ノミラー、95…第1反射鏡、96…駆動装置、97…組歯
車、98…掃引軌跡、99…揺動、100 …レーザーピーニン
グ作業ユニット(ポリゴンミラー使用)、101 …取付構
造、102…2枚の端板構造、103 …スクリューネジ、104
…スライド棒、105 …移動板、106 …ボールネジ、107
…駆動装置、108 …取付台、109 …大径スプリング、1
10 …組レンズ、111 …偏光ミラー、112 …ミラー、113
…ポリゴンミラー、114…爪、115 …アクチュエータ、
116 …シリンダ、117 …シリンダの爪、118 …小径スプ
リング、119 …ビームダンパ、120 …アクチュエータ取
付構造、121 …掃引軌跡、122 …第1のミラー、123 …
第2のミラー、124 …第3のミラー、125…レーザーピ
ーニング作業(多関節腕利用)、126 …旋回構造、127
…スライド構造、128 …光ファイバー接続構造、129 …
取付構造、130 …駆動装置、131 …組歯車、132 …ベア
リング、133 …水圧シリンダ構造、134 …組レンズ、13
5 …第3反射鏡、136 …第2反射鏡、137 …第1反射
鏡、138 …集光反射鏡、139 …掃引軌跡。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 成彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 小畑 稔 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 佐藤 勝彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉圧力容器内の構造物に対向して上
    下動自在でかつ回転自在のアームを取り付け、このアー
    ムの先端部に取り付け台を設け、この取り付け台にレー
    ザー照射装置を取り付け、このレーザー照射装置で可視
    光のパルスレーザー光を所定範囲ずつ走査しながら照射
    して前記原子炉圧力容器内の構造物をレーザー加工する
    ことを特徴とする原子炉内構造物の補修方法。
  2. 【請求項2】 原子炉圧力容器内の構造物に対向して設
    けたレーザー照射装置と、このレーザー照射装置に設け
    られた可視光のパルスレーザーを所定範囲ずつ走査する
    手段と、前記レーザー照射装置を取り付ける上下動自在
    でかつ回転自在のアームの取り付け台と、この取り付け
    台に受け渡しされる遠隔補修装置とを具備したことを特
    徴とする原子炉内構造物の補修装置。
  3. 【請求項3】 前記レーザー照射装置は光ファイバーか
    ら送られてくるレーザー光を反射させる反射鏡を長手方
    向および幅方向に掃引する長手方向掃引ユニットおよび
    幅方向ユニットと、これらのユニットを駆動する駆動機
    構とからなることを特徴とする請求項2記載の原子炉内
    構造物の補修装置。
  4. 【請求項4】 前記レーザー光を一定範囲ずつ走査する
    手段はガルバノミラー機構またはポリゴンミラー機構か
    らなることを特徴とする請求項2記載の原子炉内構造物
    の補修装置。
  5. 【請求項5】 前記レーザー光を一定範囲ずつ走査する
    手段は複数の反射鏡で反射させて被加工物面に導く直線
    運動の駆動源に水圧シリンダを設けかつ旋回駆動源に組
    歯車を設けてなることを特徴とする請求項2記載の原子
    炉内構造物の補修装置。
  6. 【請求項6】 原子炉圧力容器の上部からワイヤで吊り
    下げ、炉心中心部の上部格子板開孔部を通過させ、炉心
    支持板にリンク式アームを設け、このリンク式アームに
    可視光のパルスレーザー光を一定範囲ずつ走査しながら
    照射するレーザー照射装置を設けてなることを特徴とす
    る原子炉内構造物の補修装置。
  7. 【請求項7】 前記可視光のパルスレーザー光を一定範
    囲ずつ走査手段としてガルバノミラー機構,ポリゴンミ
    ラー機構,レーザー出射孔を旋回させる機構,水圧アク
    チュエーダで直進運動させる機構の少なくとも一つを組
    み合わせてなることを特徴とする請求項6記載の原子炉
    内構造物の補修装置。
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