JP2000150223A - マンガン―亜鉛系フェライトおよびその製造方法 - Google Patents

マンガン―亜鉛系フェライトおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、広帯域で高い初透磁率を示し、特
に10kHz程度の低周波領域において特に高い初透磁
率を示すマンガン−亜鉛系フェライトおよびその製造方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のマンガン−亜鉛系フェライトの
製造方法は、焼成中、1200〜1450℃の主温度保
持工程を有し、この主温度保持工程の前に焼成中降温工
程を設け、この焼成中降温工程の最低温度を、1000
〜1400℃の温度範囲であって、主温度保持工程の保
持温度より少なくとも50℃以上低く設定したことを特
徴とする。これにより、Fe2 3 換算で50〜56モ
ル%の酸化鉄と、MnO換算で22〜39モル%の酸化
マンガンと、ZnO換算で8〜25モル%の酸化亜鉛と
を主成分として含有し、平均結晶粒径が50μm 超15
0μm 以下であるマンガン−亜鉛系フェライトが得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マンガン−亜鉛系フェ
ライトおよびその製造方法に関し、特に広帯域伝送用ト
ランスのコアに用いて好ましい高初透磁率μiのマンガ
ン−亜鉛系フェライトおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような広帯域伝送用トランス、例
えばパルストランスにおいては、正確なデジタル通信を
行なうため、広帯域で透磁率が高く、10〜500kHz
の全域で高い透磁率を示すコア用のマンガン−亜鉛系フ
ェライトが必要である。
【0003】このような要求により、本出願人は、特開
平6−204025号公報において、広帯域で透磁率が
高く、10〜500kHz の全域で高い透磁率を示すマン
ガン−亜鉛系フェライトを提供した。この特許公開公報
で提案されたマンガン−亜鉛系フェライトは、Fe2
3 換算で50〜56モル%の酸化鉄と、MnO換算で2
2〜39モル%の酸化マンガンと、ZnO換算で8〜2
5モル%の酸化亜鉛とを含有するマンガン−亜鉛系フエ
ライトであって、Bi2 3 換算で800ppm以下の酸
化ビスマス成分と、MoO3 換算で1200ppm 以下の
酸化モリブデン成分とを添加して焼結したものである。
【0004】この特許公開公報で提案されたマンガン−
亜鉛系フェライトは、25℃における10kHz、10
0kHzおよび500kHzの初透磁率が、それぞれ9
000以上、9000以上および3000以上と、広帯
域で高い初透磁率を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなパルスト
ランスにおいて、小型化、高速通信化を実現するために
は、特に10kHz程度の低周波領域においてさらに高
い初透磁率を示すことが重要である。これにより、巻線
数を減らしても出力パルスの立ち上げを急峻にでき、動
作減衰量を低減できるので、正確なデジタル通信を行な
うことができる。
【0006】そこで、本発明は、広帯域で高い初透磁率
を示し、特に10kHz程度の低周波領域において特に
高い初透磁率を示すマンガン−亜鉛系フェライトおよび
その製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1) Fe2 3 換算
で50〜56モル%の酸化鉄と、MnO換算で22〜3
9モル%の酸化マンガンと、ZnO換算で8〜25モル
%の酸化亜鉛とを主成分として含有し、平均結晶粒径が
50μm 超150μm 以下であるマンガン−亜鉛系フェ
ライト。 (2) 前記主成分に対し、副成分として、Bi2 3
換算で800ppm 以下の酸化ビスマス成分と、MoO3
換算で1200ppm 以下の酸化モリブデン成分とを有す
る上記(1)のマンガン−亜鉛系フェライト。 (3) さらにCaO換算で50〜500ppm の酸化カ
ルシウムを含有する上記(1)または(2)のマンガン
−亜鉛系フェライト。 (4) 周波数10kHzにおいて、磁束密度B=100
ミリテスラで測定したときの透磁率μ100が、磁束密度
B=1ミリテスラで測定したときの透磁率μ1 の1.2
0倍以上である上記(1)〜(3)のいずれかのマンガ
ン−亜鉛系フェライト。 (5) 10kHzにおける初透磁率μiが15,00
0以上である上記(1)〜(4)のいずれかのマンガン
−亜鉛系フェライト。 (6) 焼成中に少なくとも1回の降温工程を有する上
記(1)〜(5)のいずれかのマンガン−亜鉛系フェラ
イト。 (7) マンガン−亜鉛系フェライトの製造方法であっ
て、焼成中、1200〜1450℃の主温度保持工程を
有し、この主温度保持工程の前に焼成中降温工程を設
け、この焼成中降温工程の最低温度を、1000〜14
00℃の温度範囲であって、主温度保持工程の保持温度
より少なくとも50℃以上低く設定したことを特徴とす
るマンガン−亜鉛系フェライトの製造方法。 (8) 上記(1)〜(6)のいずれかのマンガン−亜
鉛系フェライトを得る上記(7)のマンガン−亜鉛系フ
ェライトの製造方法。
【0008】
【発明の作用・効果】本発明においては、マンガン−亜
鉛系フェライトの焼成中における主温度保持工程の保持
温度を1200〜1450℃の温度範囲に設定し、この
主温度保持工程の前に焼成中降温工程を設け、この焼成
中降温工程の最低温度を、1000〜1400℃の温度
範囲であって、主温度保持工程の保持温度より少なくと
も50℃以上低く(この温度を以下「低下温度」と称す
る)設定したことにより、結晶の異常成長が生ぜず、平
均結晶粒径が50μm 超であって150μm 以下であ
り、好ましくは10kHzにおける初透磁率が15,0
00以上であるマンガン−亜鉛系フェライトが得られ
た。これにより、本発明のマンガン−亜鉛系フェライト
により得られたコアを例えばパルストランスに組み込ん
だ場合には、巻線数を減らしても、出力パルスの立ち上
げを急峻にでき、動作減衰量を低減できるので、小型化
でき、しかもより高速で正確なデジタル通信等を行なう
ことができる。
【0009】また、本発明のマンガン−亜鉛系フェライ
トは、従来のマンガン−亜鉛系フェライトと比べて、1
00kHzの初透磁率も同等かそれ以上であるので、ト
ランスとした場合に、巻線数を低減でき、トランスの小
型化を図ることができる。
【0010】さらにまた、本発明のマンガン−亜鉛系フ
ェライトは、10kHzにおいて、磁束密度B=100
ミリテスラで測定したときの透磁率μ100が、磁束密度
B=1ミリテスラで測定したときの透磁率μ1 の1.2
0倍以上であるという特異な特性を示す。ちなみに、従
来のマンガン−亜鉛系フェライトの透磁率μ100/透磁
率μ1 は、最高で、1.10倍程度である。
【0011】なお、特許第2914554号公報には、
極めて効率よく、低コストで、高性能の高透磁率マンガ
ン−亜鉛系フェライトを製造することのできる方法とし
て、マンガン−亜鉛系フェライトを2回以上焼成する製
造方法が開示されている。この開示された製造方法によ
れば、本発明の焼成中降温工程と同概念の焼成中降温工
程が示されているが、焼成中降温工程の最低温度は、1
100℃以下、望ましくは1000℃以下、さらに望ま
しくは500℃以下が好ましいとしている。この記載か
らは、焼成中降温工程の最低温度は、低ければ低い程望
ましいと解釈できる。
【0012】これに対し、本発明においては、焼成中降
温工程の最低温度を1000〜1400℃の温度範囲に
設定した。また、本発明においては、焼成中降温工程の
上記低下温度を30℃以上、特に50℃以上であればよ
いとした。本発明において、焼成中降温工程の最低温度
を1000〜1400℃の温度範囲に設定した理由は後
述するが、これにより、本発明の焼成方法においては、
上記従来の焼成方法の焼成中降温工程に要する時間を短
縮でき、結果として全体の製造時間を短縮することがで
きる。
【0013】また、本発明は、主として10kHz程度
の低周波領域における初透磁率の向上を目的としている
が、上記従来例は、100kHz以上の高周波領域での
初透磁率の向上を目的としており、両者は目的からして
異なっている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明のマンガン−亜鉛系フェライ
トの製造方法は、仮焼後のフェライト材料の成形体の焼
成中における主温度保持工程の保持温度を1200〜1
450℃、特に1350〜1450℃の温度範囲に設定
し、この主温度保持工程の前に焼成中降温工程を設け、
この焼成中降温工程の最低温度を、1000〜1400
℃の温度範囲であって、上記低下温度を30℃以上、特
に50℃以上に設定したことを特徴とする。
【0015】上記主温度保持工程の保持温度を1200
〜1450℃の温度範囲に設定した理由は、フェライト
化促進ならびに結晶粒径の制御のためであり、この温度
範囲で特に10kHzにおける初透磁率が向上する。こ
の主温度保持工程の温度保持時間は、0.5〜10時間
程度が好ましい。
【0016】また、上記焼成中降温工程の最低温度を、
1000〜1400℃の温度範囲に設定した理由は、結
晶粒子と粒界との間に発生する応力を緩和するためと考
えている。
【0017】この最低温度は、好ましくは、1100〜
1350℃、特に1150〜1300℃、更に好ましく
は1200〜1300℃である。
【0018】さらに、上記低下温度が50℃未満の場合
は、焼成中降温の効果が薄れ、10kHzにおける初透
磁率の向上が充分でない。この低下温度は、好ましくは
100〜250℃であり、特に好ましくは150〜20
0℃である。
【0019】なお、焼成中降温工程では、上記最低温度
での温度保持工程を設けてもよい。この最低温度での温
度保持工程を設ける場合には、3.0時間以内とするこ
とが好ましい。
【0020】この焼成中降温工程での降温速度は、20
〜300℃/時間、好ましくは30〜200℃/時間、
昇温速度は20〜300℃/時間、好ましくは30〜2
00℃/時間に設定することが好ましい。この焼成中降
温工程は、6.0時間以内で行なわれることが好まし
い。
【0021】上記焼成中降温工程は、本発明のマンガン
−亜鉛系フェライトを得る上で必須ではないが、主温度
保持工程の直前に設けるのが好ましい。
【0022】上記焼成中降温工程の前には、副焼成工程
あるいは副温度保持工程が設けられている。この副焼成
工程あるいは副温度保持工程においては、最高温度が、
上記主温度保持工程の保持温度と同じかそれより低く、
かつ焼成中降温工程の最低温度より高いことが必要であ
り、具体的には、1100〜1400℃程度が好まし
い。この最高温度は、ピークとしてあらわれても、5.
0時間以内の範囲で保持してもよい。なお、以下の説明
においては、最高温度がピークとしてあらわれる保持時
間が瞬間的なものも副温度保持工程と称することとす
る。
【0023】本発明の焼成においては、上記副温度保持
工程にいたる昇温工程、および主温度保持工程に続く降
温工程は、従来の焼成の温度プロファイルと同様のもの
を用いることができる。具体的には、上記昇温工程にお
ける昇温速度は、20〜500℃/時間であることが好
ましい。また、この昇温速度は2段階以上に変化させる
ことができ、この場合は、当初の昇温速度を速くし、徐
々に昇温速度を遅くするのが好ましい。例えば2段とす
る場合は、1段目の昇温速度を200〜500℃/時間
程度とし、2段目の昇温速度を20〜200℃/時間程
度とすることが好ましい。一方、降温工程における降温
速度は、20〜500℃/時間であることが好ましい。
この降温工程における降温速度も2段階以上に変化させ
ることができ、2段とする場合は、1段目の降温速度を
20〜200℃/時間程度とし、2段目の降温速度を2
00〜500℃/時間程度とすることが好ましい。
【0024】本発明の焼成においては、用いる炉は、連
続炉でもバッチ炉でもよい。また、焼成時の雰囲気は、
平衡酸素分圧の理論に従い調整すればよく、特に酸素分
圧を制御した窒素雰囲気(酸素のみの場合も存在する)
で行なうことが好ましい。
【0025】以上の条件の本発明の焼成によっても、平
均結晶粒径が50超であって150μm 以下であり、1
0kHzにおける初透磁率が15,000以上であるマ
ンガン−亜鉛系フェライトが得られる。
【0026】本発明のマンガン−亜鉛系フェライトの平
均結晶粒径は、好ましくは50超〜150μm 、さらに
好ましくは60〜130μm、特に好ましくは70〜1
20μmである。また、本発明のマンガン−亜鉛系フェ
ライトにおいては、50超〜140μmの結晶粒径のも
のが、好ましくは50vol%以上、特に70vol%
以上、更には80vol%以上存在していることが好まし
い。また、本発明のマンガン−亜鉛系フェライトの10
kHzにおける初透磁率は、好ましくは20,000以
上、特に25,000以上であることが好ましい。本発
明のマンガン−亜鉛系フェライトの10kHzにおける
初透磁率は、現在のところ、最高35,000程度が達
成できており、この値は、高ければ高いほど好ましい。
【0027】本発明のマンガン−亜鉛系フェライトは、
10kHzにおいて、磁束密度B=100ミリテスラで
測定したときの透磁率μ100が、磁束密度B=1ミリテ
スラで測定したときの透磁率μ1 の1.20倍以上とす
ることができる。このμ100/μ1 は、現在のところ、
1.50倍程度が達成できている。
【0028】本発明は、広範囲の組成のマンガン−亜鉛
系フェライトに適合できるが、上記した主成分は、それ
ぞれ、Fe23 換算50〜56モル%、MnO換算2
2〜39モル%、ZnO換算8〜25モル%程度とする
ことが好ましい。この範囲外では、10kHzでの初透
磁率が低下する傾向がある。
【0029】また、本発明のマンガン−亜鉛系フェライ
トは、酸化カルシウムや、二酸化ケイ素を副成分として
含有することもできる。これらの副成分は、それぞれ、
CaO換算50〜500ppm 、特に100〜300ppm
、SiO2 換算50〜150ppm 程度とする。なお、
CaOやSiO2 は、一般に粒界に存在する。
【0030】このような本発明のフェライトは、酸化ビ
スマスと酸化モリブデンとを、特にBi23 やMoO
3 の形で含有することが好ましい。この場合、添加した
ビスマスやモリブデンの酸化物成分、特に酸化モリブデ
ン成分は、焼成により一部蒸発ないし昇華してしまうこ
とがあり、フェライト中のビスマス酸化物やモリブデン
酸化物の含有量は添加量と一致しないことがある。すな
わち、酸化ビスマスの含有量は、Bi23 換算で添加
量の50〜100重量%程度、また、酸化モリブデンの
含有量は、MoO3 換算で添加量の10〜60重量%程
度、特に10〜30重量%程度が好ましい。
【0031】なお、本発明のフェライト中には、必要に
応じて、さらに、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化バ
ナジウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等の1種以
上を含有させてもよい。これらは、それぞれNb25
換算、In23 換算、V25 換算、Ta25換算、
ZrO2換算にて、合計で0〜3000ppm 程度である
ことが好ましい。
【0032】このような成分を含有する本発明のフェラ
イトの平均結晶粒径は50μm超150μm以内が好ま
しい。平均結晶粒径が大きすぎても小さすぎても10k
Hzにおける初透磁率が低下してしまい、10kHzに
おける初透磁率15,000以上を達成できなくなるお
それがある。なお、平均結晶粒径は、鏡面研摩面を酸エ
ッチング後、光学顕微鏡にて観察される多結晶体を円換
算した場合の平均直径の平均として求めればよい。
【0033】このように平均結晶粒径が大きく、しかも
均一に揃っていると、25℃における10kHzの初透
磁率15,000以上、特に20,000以上、さらに
は25,000以上、例えば15,000〜35,00
0を達成でき、しかも100kHz の初透磁率は8000
以上、特に9000以上、さらには9500以上、例え
ば9500〜15000程度、500kHz の初透磁率は
2000以上、特に3000以上、さらには3500以
上、例えば3500〜6000程度と従来と同程度かそ
れ以上の初透磁率が得られる。
【0034】本発明のマンガン−亜鉛系フェライトを製
造するには、まず、主成分として、通常の酸化鉄成分、
酸化マンガン成分および酸化亜鉛成分の混合物を用意す
る。これらの主成分は、フェライトの最終組成として前
記の量比になるように混合され、原料として供される。
また、副成分の原料として、炭酸カルシウム等の焼成に
より酸化カルシウムになる化合物や酸化カルシウムと、
焼成により酸化ケイ素になる化合物や酸化ケイ素等が添
加される。この場合、これらの副成分の原料は、磁性材
料の最終組成として前記の量比になるように添加され
る。
【0035】そして、さらに酸化ビスマス成分と、酸化
モリブデン成分とが添加される。酸化ビスマス成分とし
ては、Bi23 の他、Bi2 (SO43 等を用いる
ことができるが、Bi23 が好ましい。酸化ビスマス
成分の添加量は、Bi23換算で800ppm 以下、特
に600ppm 以下、好ましくは100〜400ppm とす
る。添加量が前記範囲を超えると却って初透磁率が減少
する。
【0036】また、酸化モリブデン成分としては、Mo
3 の他、MoCl3 等を用いることができるが、Mo
3 が好適である。酸化モリブデン成分の添加量は、M
oO 3 換算で1200ppm 、特に1000ppm 以下、好
ましくは100〜1000ppm とする。添加量が前記範
囲を超えると却って初透磁率が減少する。なお、必要に
応じて、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化バナジウ
ム、酸化タンタル、酸化ジルコニウムの1種以上がさら
に原料混合物中に添加される。
【0037】このように主成分および添加微量成分を混
合した後、これに適当なバインダー、例えばポリビニル
アルコールを少量、例えば0.1〜1.0重量%加え、
スプレードライヤー等にて80〜200μm 程度の径の
顆粒とし、成型する。
【0038】次いで、この成型品を焼成する。この焼成
条件については、上記した内容に従う。
【0039】以上により、本発明のマンガン−亜鉛系フ
ェライトを得ることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 MnO(24モル%)、ZnO(23モル%)、Fe2
3 (53モル%)を主成分とし、副成分としてCaC
3 (磁性材料の最終組成におけるCaO換算で200
ppm )とSiO2 (磁性材料の最終組成において100
ppm )とBi23(200ppm )とMoO3(200ppm
)とを添加して、サンプルを得た。
【0041】これらを混合後、バインダを加えスプレー
ドライヤーにて平均粒径150μmに顆粒化し、成形
し、成形体100個を得た。これらを酸素分圧を制御し
た雰囲気中で、図1(実施例)および図2(比較例)に
示した温度プロファイルにて、50個ずつ焼成し、外径
6mm、内径3mm、高さ1.5mmのトロイダルコアを得
た。
【0042】なお、上記図1(実施例)および図2(比
較例)に示した温度プロファイルを下に詳述する。
【0043】実施例の温度プロファイル 昇温工程 1200℃までの昇温速度:300℃/時間 1200℃から1300℃までの昇温速度:100℃/
時間 副温度保持工程 1300℃で1.0時間保持 焼成中降温工程 最低温度:1200℃(主温度保持工程の保持温度との
差:200℃) 1300℃から1200℃までの降温速度:100℃/
時間 1200℃から1400℃までの昇温速度:100℃/
時間 主温度保持工程 1400℃で3.0時間保持 降温工程 1400℃から1000℃までの降温速度:100℃/
時間 1000℃から常温までの降温速度:250℃/時間
【0044】比較例の温度プロファイル 昇温工程 1200℃までの昇温速度:300℃/時間 1200℃から1400℃までの昇温速度:100℃/
時間 副温度保持工程 なし 焼成中降温工程 なし 主温度保持工程 1400℃で3.0時間保持 降温工程 1400℃から1000℃までの降温速度:100℃/
時間 1000℃から常温までの降温速度:250℃/時間
【0045】すなわち、実施例の温度プロファイルのう
ち副温度保持工程と焼成中降温工程を除いたものを比較
例の温度プロファイルとした。
【0046】なお、実施例および比較例のものの最終組
成を蛍光X線により測定したところ、主成分とCa、S
iは、原料組成とほぼ対応するものであり、酸化ビスマ
スと酸化モリブデンは添加量の10〜80重量%であっ
た。
【0047】得られた各トロイダルコアの25℃におけ
る10kHz と100kHz と500kHz での初透磁率およ
びを平均結晶粒径を測定した。なお、透磁率の測定には
インピーダンスアナライザーを用いた。これらの結果を
表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示される結果から本発明の効果が明
らかである。すなわち、本発明に従い平均結晶粒径が5
2〜146μmと大きくなり、特に10kHzでの初透
磁率が従来に比べて極めて大きくなり、また、100k
Hz以上の初透磁率も従来のものと同等あるいはそれ以
上であることがわかる。また、実施例のものでは、50
超〜140μmの粒径の結晶が80vol%以上であっ
た。
【0050】さらに、実施例と比較例のサンプルを1つ
ずつ任意に選び出し、それぞれ、10kHzにおいて、
磁束密度1および100ミリテスラ下での透磁率
(μ1 、μ 100)を測定したしたところ、実施例では、
μ1 が32,500であり、μ100が49,700と、
μ100/μ1 が1.53となったが、比較例では、μ
1 が12,500であり、μ100が13,900と、
μ100/μ1 が1.11であった。また、これらの実施
例と比較例のサンプルの断面を研磨し、光学顕微鏡にて
撮影した写真をそれぞれ図3,図4に示す。
【0051】実施例2 マンガン−亜鉛系フェライトの組成を、主成分を実施例
1と同一にし副成分を、サンプル12および13につい
てはCaCO3およびSiO2の添加を実施例1と同様に
し、サンプル14〜16では、これらを添加せず、Bi
23とMoO3の添加量を下記した量とした以外は、実
施例1と同様にして、実施例と比較例のコアのサンプル
12〜16を得た。
【0052】サンプル12 Bi23:300ppm MoO3:0 サンプル13 Bi23:300ppm MoO3:300ppm サンプル14 Bi23:400ppm MoO3:400ppm サンプル15 Bi23:600ppm MoO3:200ppm サンプル16 Bi23:200ppm MoO3:800ppm
【0053】以上の12〜16のサンプルのコアにつ
き、実施例1と同様に初透磁率等を測定したところ、実
施例1と同様の傾向が得られた。
【0054】
【発明の効果】本発明のマンガン−亜鉛系フィライト
は、周波数10kHz程度の低周波領域で特に高い初透
磁率を示す。しかも周波数100kHz 以上の高周波領域
でも従来と同等かそれ以上の初透磁率を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の焼成における温度プロファイルを示す
図である。
【図2】比較例の焼成における温度プロファイルを示す
図である。
【図3】本発明サンプルの断面を撮影した図面代用写真
である。
【図4】比較サンプルの断面を撮影した図面代用写真で
ある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe2 3 換算で50〜56モル%の酸
    化鉄と、MnO換算で22〜39モル%の酸化マンガン
    と、ZnO換算で8〜25モル%の酸化亜鉛とを主成分
    として含有し、 平均結晶粒径が50μm 超150μm 以下であるマンガ
    ン−亜鉛系フェライト。
  2. 【請求項2】 前記主成分に対し、副成分として、Bi
    2 3 換算で800ppm 以下の酸化ビスマス成分と、M
    oO3 換算で1200ppm 以下の酸化モリブデン成分と
    を有する請求項1のマンガン−亜鉛系フェライト。
  3. 【請求項3】 さらにCaO換算で50〜500ppm の
    酸化カルシウムを含有する請求項1または2のマンガン
    −亜鉛系フェライト。
  4. 【請求項4】 周波数10kHzにおいて、磁束密度B=
    100ミリテスラで測定したときの透磁率μ100が、磁
    束密度B=1ミリテスラで測定したときの透磁率μ1
    1.20倍以上である請求項1〜3のいずれかのマンガ
    ン−亜鉛系フェライト。
  5. 【請求項5】 10kHzにおける初透磁率μiが1
    5,000以上である請求項1〜4のいずれかのマンガ
    ン−亜鉛系フェライト。
  6. 【請求項6】 焼成中に少なくとも1回の降温工程を有
    する請求項1〜5のいずれかのマンガン−亜鉛系フェラ
    イト。
  7. 【請求項7】 マンガン−亜鉛系フェライトの製造方法
    であって、焼成中、1200〜1450℃の主温度保持
    工程を有し、この主温度保持工程の前に焼成中降温工程
    を設け、この焼成中降温工程の最低温度を、1000〜
    1400℃の温度範囲であって、主温度保持工程の保持
    温度より少なくとも50℃以上低く設定したことを特徴
    とするマンガン−亜鉛系フェライトの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかのマンガン−亜
    鉛系フェライトを得る請求項7のマンガン−亜鉛系フェ
    ライトの製造方法。
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JP2015091748A (ja) * 2013-10-04 2015-05-14 Necトーキン株式会社 フェライトコアおよびその製造方法

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