JP2000145963A - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

Info

Publication number
JP2000145963A
JP2000145963A JP31610198A JP31610198A JP2000145963A JP 2000145963 A JP2000145963 A JP 2000145963A JP 31610198 A JP31610198 A JP 31610198A JP 31610198 A JP31610198 A JP 31610198A JP 2000145963 A JP2000145963 A JP 2000145963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston ring
stainless steel
thermal expansion
aluminum alloy
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31610198A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuji Samejima
修二 鮫島
Toshiaki Takao
敏明 高尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority to JP31610198A priority Critical patent/JP2000145963A/ja
Priority to DE1999153311 priority patent/DE19953311C2/de
Publication of JP2000145963A publication Critical patent/JP2000145963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
    • C22C38/40Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J9/00Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
    • F16J9/26Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction characterised by the use of particular materials

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金製シリンダーを相手材とす
るピストンリングにおいて、アルミニウム合金製シリン
ダーの熱膨張にも追従することができるピストンリング
を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金製のシリンダーを相手
材として摺動するピストンリングとして、15×10-6
/℃以上の熱膨張係数を有するオーステナイト系ステン
レス鋼を用いることによって上記課題を解決した。特
に、ピストンリングが、3.5重量%以上17重量%以
下のNiと15重量%以上20重量%以下のCrを含有
するオーステナイト系ステンレス鋼からなることが好ま
しい。また、ピストンリングには、窒化層を侵入元素型
の窒化処理によって形成したり、クロムメッキ、複合ク
ロムメッキ、複合メッキ、溶射、物理蒸着の何れかの表
面処理を施すことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピストンリングに
関し、特にアルミニウム合金からなるシリンダー用のピ
ストンリングに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関用のピストンリングは、相手材
であるシリンダーとの耐摩耗性や耐スカッフ性に重点を
おいて採用され、主に、マルテンサイト系ステンレス鋼
等が一般的に使用されている。
【0003】相手材であるシリンダーは、その機械的特
性から鋳鉄または鉄鋼等の鉄系材料によって製造されて
いる。しかし、鉄系材料で製造されたシリンダーは重量
が重く、近年の軽量化の要求に対しては不十分であっ
た。
【0004】こうした要求に対し、特開平9−1975
7号公報には、アルミニウム合金を使用したシリンダー
が開示されている。このアルミニウム合金製シリンダー
は、軽量化が達成できると共に、耐摩耗性等の機械的性
質の向上も図られ、現在主に使用されている鉄系シリン
ダーの代替として使用されつつある。
【0005】アルミニウム合金製のシリンダー用として
用いられるピストンリングは、上述と同様に、耐摩耗性
や耐スカッフ性に重点をおいて採用されている。ピスト
ンリングは、通常下記の3つのリングが使用されてい
る。例えば、ファーストリングとしては、マルテンサイ
ト系ステンレス鋼製のピストンリングを窒化処理したも
の、構造用鋼であるSWOSC−V鋼製のピストンリン
グの外周にクロムメッキを施したもの、または特に限定
されない従来からの鉄系材料製のピストンリングの外周
に複合メッキを施したもの、等が採用されている。セカ
ンドリングとしては、高級鋳鉄製または合金鋳鉄製のピ
ストンリングが採用され、特に高級鋳鉄製のピストンリ
ングの外周にクロムメッキを施したものが多く採用され
ている。オイルリングとしては、潤滑油の消費を低減さ
せるのに効果のある3ピースタイプが多く採用されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム合金製の
シリンダー用として用いられる上述のピストンリング
は、耐摩耗性や耐スカッフ性を考慮した材質によって構
成されているので、特に異常な摩耗発生によるエンジン
性能の劣化を招くような事態は発生していなかった。し
かしながら、上述のピストンリングは、ブローバイガス
の発生が多く、その結果、多くの性能劣化、例えばエン
ジン出力の低下や潤滑油消費量の増加が起きるという問
題があった。
【0007】ブローバイガスの発生原因としては、アル
ミニウム合金製シリンダーが、鉄系材料製である従来の
シリンダーよりも熱膨張係数が大きいため、特にファー
ストリングがアルミニウム合金製シリンダーの熱膨張に
追従できなかったからであり、そのため、ファーストリ
ングの本来の機能であるガスシールが悪くなってガスの
吹き抜けを起こし、エンジン出力の低下や潤滑油消費量
の増加を招く結果となっていた。
【0008】本発明の目的は、アルミニウム合金製シリ
ンダーを相手材とするピストンリングにおいて、アルミ
ニウム合金製シリンダーの熱膨張にも追従することがで
きるピストンリングを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミニウム
合金製のシリンダーを相手材として摺動するピストンリ
ングであって、15×10-6/℃以上の熱膨張係数を有
するオーステナイト系ステンレス鋼からなることに特徴
を有する。この発明によれば、熱膨張係数の高いオース
テナイト系ステンレス鋼の熱膨張係数を、15×10-6
/℃以上としたので、アルミニウム合金製のシリンダー
の熱膨張に十分に追従することができる。その結果、ガ
スシール性が維持され、ブローバイガスの発生を抑制す
ることができるので、エンジン出力の低下や潤滑油消費
量の増加を招くことがない。
【0010】前記ピストンリングが、3.5重量%以上
17重量%以下のNiと15重量%以上20重量%以下
のCrを含有するオーステナイト系ステンレス鋼からな
ることが好ましい。この発明によれば、ピストンリング
の構成材料であるオーステナイト系ステンレス鋼のNi
含有量とCr含有量とを、それぞれ3.5重量%以上1
7重量%以下と15重量%以上20重量%以下としたの
で、所定の熱膨張係数と硬度が得られると共に、その後
に処理される窒化処理を容易且つ経済的に行うことがで
きる。
【0011】また、前記ピストンリングには、侵入元素
型の窒化処理によって窒化層が形成されたり、クロムメ
ッキ、複合クロムメッキ、複合メッキ、溶射、物理蒸着
の何れかの表面処理が施されていることが好ましい。こ
の発明によれば、ピストンリングに、侵入元素型の窒化
処理、例えばガス窒化、イオン窒化、塩浴窒化、浸硫窒
化等によって硬質の窒化層が形成されているので、相手
材であるアルミニウム合金製のシリンダーとの耐摩耗性
や耐スカッフ性を向上させることができる。さらに、ク
ロムメッキ、複合クロムメッキ、複合メッキ、溶射、物
理蒸着の何れかの表面処理を施すことによって、耐摩耗
性や耐スカッフ性をより一層向上させることができる。
【0012】特に、前記ピストンリングが、ファースト
リングに用いられることが好ましい。この発明によれ
ば、所定の熱膨張係数を有するオーステナイト系ステン
レス鋼がファーストリングに用いられているので、アル
ミニウム合金製のシリンダーの熱膨張に十分に追従する
ことができる。その結果、ファーストリング本来の機能
であるガスシール性を維持して、ブローバイガスの発生
を抑制することができるので、エンジン出力の低下や潤
滑油消費量の増加を招くことがない。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明のピストンリングに
ついて説明する。
【0014】本発明のピストンリングは、15×10-6
/℃以上の熱膨張係数を有するオーステナイト系ステン
レス鋼によって作製され、アルミニウム合金製のシリン
ダーの相手材として使用される。
【0015】本発明のピストンリングは、熱膨張係数が
15×10-6/℃以上であるので、通常の熱膨張係数が
約20×10-6/℃であるアルミニウム合金製のシリン
ダーの熱膨張に十分追従することができる。熱膨張係数
が15×10-6/℃未満の場合は、アルミニウム合金製
のシリンダーの熱膨張に十分追従することができないの
で、多量のブローバイガスの発生を招き、エンジン出力
の低下や潤滑油消費量の増加という問題を起こすおそれ
がある。
【0016】このような熱膨張係数を有する材料として
採用されたオーステナイト系ステンレス鋼は、耐熱性や
耐食性に優れた性質を有しているので、従来から多方面
で広く使用されている。しかし、オーステナイト系ステ
ンレス鋼は、耐摩耗性や耐スカッフ性がマルテンサイト
系ステンレス鋼に比べて十分ではないので、ピストンリ
ング用鋼材としては従来より使用されていなかった。本
発明では、オーステナイト系ステンレス鋼を、その表面
に窒化処理またはメッキ等の表面処理を施すことによっ
て耐摩耗性や耐スカッフ性を向上させ、ピストンリング
用材料として採用した。
【0017】使用するオーステナイト系ステンレス鋼
は、オーステナイト相を有し、3.5重量%以上17重
量%以下のNiと、15重量%以上20重量%以下のC
rを含有することが好ましい。
【0018】Ni含有量が3.5重量%未満では、Cr
含有量との配合比率を変えても15×10-6/℃以上の
熱膨張係数を確保することができないと共に、窒化処理
されにくく、マルテンサイト系ステンレス鋼の窒化処理
よりも高い温度で窒化処理しなければならないという欠
点がある。一方、Niには、オーステナイト系ステンレ
ス鋼中への窒素元素の侵入を妨害する作用があるので、
Ni含有量が17重量%を超えると、窒化処理時間が長
くなるという不都合がある。従って、Ni含有量を、
3.5重量%以上、より好ましくは8重量%以上とし、
17重量%以下、より好ましくは15重量%以下に限定
した。
【0019】また、Crは、オーステナイト系ステンレ
ス鋼に侵入した窒素元素と結合して高硬度の窒化クロム
を形成し、その結果、窒化層の硬さを向上させるので、
オーステナイト系ステンレス鋼の耐摩耗性や耐スカッフ
性を向上を図るための重要な元素となる。Cr含有量が
15重量%未満では、高硬度の窒化クロムが十分に形成
されないので、高硬度の窒化層が得られない。一方、C
rも、Niほどではないが、オーステナイト系ステンレ
ス鋼中への窒素元素の侵入を妨害する作用があるので、
Cr含有量が20重量%を超えると、窒化処理時間が長
くなるという不都合がある。従って、Cr含有量を、1
5重量%以上、より好ましくは18重量%以上とし、2
0重量%以下に限定した。
【0020】なお、オーステナイト系ステンレス鋼の成
分組成としては、上述のNiやCrのほかに、必要に応
じてMn、Mo、Cu、Nb、Se、Ti、N等の元素
を添加したものを使用することができる。これらの添加
元素の効果は、従来公知のものと同様である。
【0021】本発明のピストンリングには、通常、侵入
元素型の窒化処理によって窒化層が形成される。
【0022】侵入元素型の窒化処理としては、ガス窒
化、イオン窒化、塩浴窒化、浸硫窒化等の窒化処理を挙
げることができる。本発明のピストンリングは、これら
の窒化処理のうち適宜選択された方法で処理される。オ
ーステナイト系ステンレス鋼は、上述のように、窒化処
理で高硬度が得られることにより、、しやすい組成とな
っているので、その表面層に窒素を侵入拡散させ、硬質
の窒化層を形成することができる。その結果、従来はピ
ストンリングには適さないものとされたオーステナイト
系ステンレス鋼を、アルミニウム合金製のシリンダー用
として好適なピストンリングとすることができる。な
お、上記の窒化処理は、従来公知の方法で行なうことが
でき、窒化膜の厚さも、従来と同様に70〜90μm程
度である。また、窒化層は、ピストンリング表面の全表
面に形成しても、相手材であるシリンダーに接触する外
周上のみに選択的に形成してもよい。
【0023】形成された窒化層の表面には、クロムメッ
キ、複合クロムメッキ、複合メッキ、溶射、物理蒸着の
何れかの表面処理を施すことができる。この表面処理
は、予め形成された窒化層上であっても、窒化層が形成
されていないオーステナイト系ステンレス鋼表面であっ
ても何れでもよく、特に限定されない。また、表面処理
は、ピストンリング表面の全表面に施しても、相手材で
あるシリンダーに接触する外周上のみに選択的に施して
もよい。
【0024】クロムメッキ、複合クロムメッキ、複合メ
ッキ、溶射、物理蒸着等の表面処理については、特に限
定されるものではなく、従来からのピストンリングに対
して通常行われる表面処理法をそのまま適用することが
できる。これらのうち、複合メッキとしては、例えばN
i−P−Si34系複合メッキ等を挙げることができ、
溶射としては、例えばMo溶射等を挙げることができ、
物理蒸着としては、イオンプレーティング法、真空蒸着
法、スパッタリング法等によって、例えば(Cr−N
系、Cr−B−N系、Cr−N−O系の物理蒸着膜等の
表面処理を挙げることができる。こうした表面処理によ
って、ピストンリングの耐摩耗性や耐スカッフ性をより
一層向上させることができる。
【0025】得られたピストンリングは、アルミニウム
合金製のシリンダーの熱膨張に十分に追従することがで
きるので、ファーストリングとセカンドリングに用いて
もよいが、ファーストリングのみに用いても十分にその
効果を発揮することができる。
【0026】本発明のピストンリングの相手材であるア
ルミニウム合金製のシリンダーは、上述のように、約2
0×10-6/℃程度の熱膨張係数を有するものであり、
例えばSi量が16〜18%あるいはSi量が23〜2
8%の過共晶Al−Si合金からなるものである。本発
明のピストンリングは、比較的大きな熱膨張を起こすア
ルミニウム合金製のシリンダーに対して特別の効果を有
している。
【0027】以上、熱膨張係数の大きいアルミニウム合
金製シリンダーを相手材としたピストンリングについて
説明したが、本発明のピストンリングの構成を、相手材
の熱膨張に追従することを目的とした他の摺動部材、例
えば自動車部品やコンプレッサー部品等に適用してもよ
い。
【0028】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明する。
【0029】相手材としてアルミニウム合金(過共晶A
l−Si合金)製のシリンダーを用意した。このシリン
ダー内面を摺動するピストンリングとして、従来から主
に用いられているマルテンサイト系ステンレス鋼(例え
ば、Cr量が17重量%)製のピストンリング(比較例
1)と、本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼
(Ni含有量:8.0重量%、Cr含有量:18.0重
量%)製のピストンリング(実施例1)を用意した。こ
のとき、実施例1のピストンリングの熱膨張係数は17
×10-6/℃であり、比較例1のピストンリングの熱膨
張係数は11×10-6/℃であった。また、相手材であ
るアルミニウム合金製シリンダーの熱膨張係数は20×
10-6/℃であった。
【0030】実施例1および比較例1とも、その外周上
にガス窒化法によって深さ70μmの窒化層を形成して
試験試料とした。
【0031】実施例1および比較例1のピストンリング
は、ファーストリングのみに使用し、セカンドリングお
よびオイルリングは従来型のピストンリングを使用し
た。なお、ファーストリングの合口の隙間幅S1は0.
25mm、セカンドリングの合口の隙間幅S2は0.3
5mm、オイルリングの合口の隙間幅S3は0.30m
mとした。
【0032】実施例1のピストンリングと比較例1のピ
ストンリングを用いて、ブローバイガスの発生量を測定
した。測定は、各回転数(rpm)でエンジンを回転さ
せたときの一分間あたりのブローバイガス量(リットル
/分)を測定して評価した。このとき、6000rpm
−WOT(ワイドオープンスロットル)でのPmaxを
65kg/cm2 としてブローバイガス量を計算した。
【0033】図1は、ブローバイガスの発生量につい
て、実施例1と比較例1とを比較したものである。図1
からわかるように、アルミニウム合金製のシリンダーに
対しては、ブローバイガスの発生量は、実施例1のピス
トンリングの方が比較例1のピストンリングよりも少な
い値を示した。
【0034】なお、試験終了後、実施例1のピストンリ
ングの摺動面を観察した結果、耐摩耗性、耐スカッフ性
も、実用に耐えうることが確認された。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のピストン
リングによれば、熱膨張係数の高いオーステナイト系ス
テンレス鋼の熱膨張係数を、15×10-6/℃以上とし
たので、アルミニウム合金製のシリンダーの熱膨張に十
分に追従することができる。その結果、ガスシール性が
維持され、ブローバイガスの発生を抑制することができ
るので、エンジン出力の低下や潤滑油消費量の増加を招
くことがない。
【0036】また、ピストンリングの構成材料であるオ
ーステナイト系ステンレス鋼のNi含有量とCr含有量
とを、それぞれ3.5重量%以上17重量%以下と15
重量%以上20重量%以下としたので、所定の熱膨張係
数および硬度を得ることができると共に、その後に処理
される窒化処理を経済的に行うことができる。
【0037】さらに、ピストンリングに、侵入元素型の
窒化処理、例えばガス窒化、イオン窒化、塩浴窒化、浸
硫窒化等によって窒化層が形成されているので、相手材
であるアルミニウム合金製のシリンダーとの耐摩耗性や
耐スカッフ性を向上させることができ、クロムメッキ、
複合クロムメッキ、複合メッキ、溶射、物理蒸着の何れ
かの表面処理を施すことによって、耐摩耗性や耐スカッ
フ性をより一層向上させることができる。
【0038】特に、所定の熱膨張係数を有するオーステ
ナイト系ステンレス鋼をファーストリングに用いること
によって、アルミニウム合金製のシリンダーの熱膨張に
十分に追従することができる。その結果、ファーストリ
ング本来の機能であるガスシール性を維持して、ブロー
バイガスの発生を抑制することができるので、エンジン
出力の低下や潤滑油消費量の増加を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブローバイガスの発生量について、実施例1と
比較例1とを比較したグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月5日(1999.1.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】侵入元素型の窒化処理としては、ガス窒
化、イオン窒化、塩浴窒化、浸硫窒化等の窒化処理を挙
げることができる。本発明のピストンリングは、これら
の窒化処理のうち適宜選択された方法で処理される。オ
ーステナイト系ステンレス鋼は、上述のように、窒化処
理で高硬度が得られることにより、その表面層に窒素を
侵入拡散させ、硬質の窒化層を形成することができる。
その結果、従来はピストンリングには適さないものとさ
れたオーステナイト系ステンレス鋼を、アルミニウム合
金製のシリンダー用として好適なピストンリングとする
ことができる。なお、上記の窒化処理は、従来公知の方
法で行なうことができ、窒化膜の厚さも、従来と同様に
70〜90μm程度である。また、窒化層は、ピストン
リング表面の全表面に形成しても、相手材であるシリン
ダーに接触する外周上のみに選択的に形成してもよい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金製のシリンダーを相手
    材として摺動するピストンリングであって、当該ピスト
    ンリングは、15×10-6/℃以上の熱膨張係数を有す
    るオーステナイト系ステンレス鋼からなることを特徴と
    するピストンリング。
  2. 【請求項2】 前記ピストンリングが、3.5重量%以
    上17重量%以下のNiと15重量%以上20重量%以
    下のCrを含有するオーステナイト系ステンレス鋼から
    なることを特徴とする請求項1に記載のピストンリン
    グ。
  3. 【請求項3】 前記ピストンリングには、侵入元素型の
    窒化処理によって窒化層が形成されていることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載のピストンリング。
  4. 【請求項4】 前記ピストンリングには、クロムメッ
    キ、複合クロムメッキ、複合メッキ、溶射、物理蒸着の
    何れかの表面処理が施されていることを特徴とする請求
    項1乃至請求項3の何れかに記載のピストンリング。
  5. 【請求項5】 前記ピストンリングが、ファーストリン
    グに用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項4
    の何れかに記載のピストンリング。
JP31610198A 1998-11-06 1998-11-06 ピストンリング Pending JP2000145963A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31610198A JP2000145963A (ja) 1998-11-06 1998-11-06 ピストンリング
DE1999153311 DE19953311C2 (de) 1998-11-06 1999-11-05 Kolbenring

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31610198A JP2000145963A (ja) 1998-11-06 1998-11-06 ピストンリング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000145963A true JP2000145963A (ja) 2000-05-26

Family

ID=18073261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31610198A Pending JP2000145963A (ja) 1998-11-06 1998-11-06 ピストンリング

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2000145963A (ja)
DE (1) DE19953311C2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112008003230T5 (de) 2007-11-30 2010-10-07 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Stahlprodukte für Kolbenringe und Kolbenringe
WO2015114822A1 (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 Tpr株式会社 圧力リングおよび圧力リング用母材

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10012619A1 (de) * 2000-03-15 2001-09-27 Federal Mogul Burscheid Gmbh Stahlkolbenring sowie Verfahren zu seiner Herstellung
DE10225461B4 (de) * 2002-06-05 2004-07-22 Dana Gmbh Hochtemperaturfestes Dichtelement sowie dessen Verwendung und Verfahren zu dessen Herstellung
EP1762756A3 (de) * 2005-09-13 2007-03-28 Wärtsilä Schweiz AG Kolbenringpackung
DE102009015008B3 (de) * 2009-03-26 2010-12-02 Federal-Mogul Burscheid Gmbh Kolbenringe und Zylinderlaufbuchsen
DE102009048124A1 (de) 2009-10-02 2011-04-07 Daimler Ag Stahlkolben für Verbrennungsmotoren
DE102010045221B4 (de) 2010-09-13 2017-10-05 Daimler Ag Stahlkolben für Verbrennungsmotoren

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE17930C (de) * CL. JOUFFREY und J. CHEVALIER in Vienne (Isere, Frankreich) Neuerungen an einem Wasch- und Sortirapparate für Kohlen und Erze
GB1039809A (en) * 1963-09-26 1966-08-24 Deutsche Edelstahlwerke Ag Improvements in and relating to the plasma spraying and welding of metals
JPS477283Y1 (ja) * 1969-05-20 1972-03-17
GB2193786B (en) * 1986-07-31 1990-10-31 Honda Motor Co Ltd Internal combustion engine
DE19523484C2 (de) * 1995-06-28 2002-11-14 Daimler Chrysler Ag Verfahren zum Herstellen einer Zylinderlaufbüchse aus einer übereutektischen Aluminium/Silizium-Legierung zum Eingießen in ein Kurbelgehäuse einer Hubkolbenmaschine und danach hergestellte Zylinderlaufbüchse

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112008003230T5 (de) 2007-11-30 2010-10-07 Nippon Piston Ring Co., Ltd. Stahlprodukte für Kolbenringe und Kolbenringe
WO2015114822A1 (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 Tpr株式会社 圧力リングおよび圧力リング用母材
JP5890946B2 (ja) * 2014-01-31 2016-03-22 Tpr株式会社 圧力リングおよび圧力リング用母材

Also Published As

Publication number Publication date
DE19953311C2 (de) 2003-12-18
DE19953311A1 (de) 2000-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0295111B1 (en) A steel having good wear resistance
JPH11166625A (ja) ピストンリング
JP3766445B2 (ja) 内燃機関用ピストンリング
JPWO2009069762A1 (ja) ピストンリング用鋼材およびピストンリング
JP2000145963A (ja) ピストンリング
JPS62120471A (ja) ピストンリング
US4387140A (en) Slide member
JP4757685B2 (ja) ピストンリング
JPS6070163A (ja) 耐摩耗性焼結合金部材
JP3728740B2 (ja) 内燃機関用ピストンリング
JPS61291950A (ja) 耐摩耗性焼結合金
JPH0560241A (ja) ピストンリングおよびその製造方法
JP2002266697A (ja) 摺動部材およびその製造方法
JPS6160861A (ja) 鋼製ピストンリング用材料
JPS6082654A (ja) 摺動部材
JP4374160B2 (ja) ピストンリング
JPH07286589A (ja) 圧縮機用摺動部材
JPS5993865A (ja) 摺動部材
JP3604452B2 (ja) ピストンリング
JP2866868B2 (ja) ピストンリング材
JPS59157261A (ja) エンジン動弁系部品用材料
JP2006002254A (ja) ピストンリング
JPS6173870A (ja) 摺動部材
JPH112323A (ja) ピストンリング
JPH10213003A (ja) ピストンリングとシリンダライナの組合せ構造

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050329

A521 Written amendment

Effective date: 20050530

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051101