JP2000145915A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
じを提供する。 【解決手段】 ボールねじのナットに装着されるシール
部材21の一部を、ナットの軸線方向外側を向く側面2
12からシール部材21の途中まで延びる複数のスリッ
ト213…213によって周方向に複数のブロック21
4…214に分割する。各ブロック214の周方向に関
する一対の端面214a,214bのうち、ねじ軸11
がナット13内へ送り込まれるときのねじ軸に対するナ
ットの回転方(矢印F方向)に向けられた一方の端面2
14aを、シール部材21の内周側から外周側へ向かう
ほどナット13の半径方向に対して前記回転方向と反対
側に漸次変位するよう傾ける。一方の端面214aと対
向する他方の端面214bは半径方向かまたは当該半径
方向に対して一方の端面214aとは反対側に傾いた方
向に設ける。
Description
シール部材が設けられたボールねじに関する。
ナット内に充填した潤滑剤の漏れとを防止するためにシ
ール装置が取り付けられている。シール装置には種々の
ものが存在するが、その一例として、ねじ軸のボール転
走溝に嵌合する螺旋状の突部が設けられたリング状のシ
ール部材をナットの軸端に取り付けたものが実用に供さ
れている。ところが、ねじ軸やそのボール転走溝とシー
ル部材との間には寸法誤差があり、リング状のシール部
材の内周をその全周に亘ってねじ軸と完全に密着させる
ことは難しい。
グ状のシール部材1の一部を周方向に関して複数のブロ
ック1a…1aに分割し、各ブロック1aをねじ軸2に
向かって押し込んで各ブロック1aの突部1bとボール
転走溝2aとを密着させるとともに、分割された各ブロ
ック1aの互いに対向する分割面1c,1dをねじ軸2
の半径方向に関して傾斜させ、さらにはねじ軸2の軸線
方向に対してもボール転走溝2aのねじれ方向に傾斜さ
せたシール装置が提案されている(例えば実開平6−6
795号公報参照)。この装置によれば、各ブロック1
aが半径方向に変位できるので寸法誤差があっても確実
にブロック1aとねじ軸2とを接触させることができ
る。また、ねじ軸2がナット3内に送り込まれるとき、
そのねじ軸2に対するナット3の回転方向を向いた一方
の分割面1cによってねじ軸2上の異物を掻き取り、そ
の異物を分割面1cの傾きに従ってナット3の外周およ
び軸線方向外側に排出することができる。
部材1では、各ブロック1aの分割面1c,1dがほぼ
平行であり、それらの分割面1c,1dの間に形成され
るスリット4…4の幅は一定である。従って、他方の分
割面1dはシール部材1の内周側から外周側へ向かうほ
ど周方向に突出するいわばオーバーハング形状を呈して
おり、各ブロック1aはナット3の軸線方向からみて平
行四辺形をねじ軸2に沿って湾曲させた形状を呈してい
る。従って、図12(a)に矢印Aで示すように分割面
1dの付近にねじ軸2側への押し込み力が作用した場
合、その力をブロック1aの内周とねじ軸2との間で受
けることができず、その分割面1dの付近がスリット4
を狭めるように半径方向中心側に大きく変位する。これ
により、図12(a)に矢印Bで示したようにブロック
1aの反対側、すなわち分割面1cの側にねじ軸2から
離れる方向の力が作用して分割面1cの内周縁1eがね
じ軸2から浮き上がる。そのような状態でねじ軸2がナ
ット3内に送り込まれると、ねじ軸2に付着した異物が
シール部材1の内周側に噛み込まれるおそれがある。
る際には分割面1cが上述したように機能しても、その
反対にねじ軸2がナット3から送り出される際にスリッ
ト4内に異物が残っていると、その異物が反対側の分割
面1dによってナット3の半径方向中心側および軸線方
向内側に押し込まれる。このため、異物がシール部材1
とねじ軸2との間に噛み込まれるおそれもある。
のであり、その目的は、シール部材の一部を複数のブロ
ックに分割した場合におけるシール性を従来よりも向上
させたボールねじを提供することにある。
明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図
面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本
発明が図示の形態に限定されるものではない。
(11a)を有するねじ軸(11)と、前記ボール転走
溝に沿って転走可能な複数のボール(12…12)と、
前記複数のボールを介して前記ねじ軸に螺合されるナッ
ト(13)と、前記ナットの軸端に設けられるシール部
材(21)とを備え、前記シール部材の内周には前記ボ
ール転走溝に嵌合する螺旋状の突部(211)が設けら
れたボールねじにおいて、前記シール部材(21)の一
部が、前記ナット(13)の軸線方向外側を向く一側面
(212)から当該シール部材の途中まで延びる複数の
スリット(213…213)によって周方向に複数のブ
ロック(214…214)に分割され、各ブロックの前
記周方向に関する一対の端面(214a,214b)の
うち、前記ねじ軸(11)がナット(13)内へ送り込
まれるときの前記ねじ軸に対する前記ナットの回転方向
(矢印F方向)に向けられた一方の端面(214a)は
前記シール部材の内周側から外周側へ向かうほど前記ナ
ットの半径方向に対して前記回転方向と反対側に漸次変
位するよう傾けられ、前記一方の端面(214a)と対
向する他方の端面(214b)は前記半径方向かまたは
当該半径方向に対して前記一方の端面とは反対側に傾い
た方向に延びていることを特徴とするボールねじによ
り、上述した課題を解決する。
がナット(13)の軸線方向からみてそれぞれの内周側
を底辺とする略台形状に形成されるため、図5に矢印P
で示したようにブロック(214)を中心側に押し込ん
でも、各ブロックが半径方向中心側へほぼ均等に変位す
る。そのため、各ブロックの端面の内周縁がねじ軸から
浮き上がるおそれがない。ねじ軸(11)がナット(1
3)内へ入り込むようにねじ軸(11)に対してナット
(13)が回転すると、ねじ軸上に付着した異物は各ブ
ロック(214)の一方の端面(214a)に掻き取ら
れる。端面(214a)に掻き取られた異物はナット
(13)の半径方向に対する端面(214a)の傾きに
従ってシール部材(21)の外周側に押し出される。
において、前記一方の端面(214a)が前記ナット
(13)の軸線方向に対して前記ボール転走溝(11
a)のねじれ方向(矢印D方向)と同一方向に前記ボー
ル転走溝のリード角(α)以上の角度(θ1)で傾けら
れ、前記他方の端面(214b)が、前記ボール転走溝
の中心線(E)の方向と直交する方向かまたは前記直交
する方向から前記ねじれ方向と反対側に傾いた方向に延
びていることを特徴とする。
a)のナット軸線方向に対する傾斜角(θ1)がねじ軸
のボール転走溝(11a)のリード角(α)以上に設定
されているため、端面(214a)に掻き取られた異物
はナットの軸線方向内側に取り込まれることなくスリッ
ト内に保持されるかまたはナットの軸線方向の外側に排
出される。ねじ軸に対するナットの回転方向が上記に対
して反転した場合、スリット(213)に残っている異
物は他方の端面(214b)のボール転走溝に対する傾
き(θ2)によりナット(13)の軸線方向内側に取り
込まれることなくスリット内に保持されるかまたはナッ
ト外に排出される。
ールねじにおいて、前記複数のブロック(214)のう
ち、一部のブロックが前記一方の端面(214a)の内
周縁(214c)と前記突部(211)との交差部分に
おいて前記ボール転走溝(11a)にのみ接触し、他の
一部のブロック(214)が前記一方の端面(214
a)の内周縁(214c)において前記ねじ軸(11)
の外周面(11b)にのみ接触することを特徴とする。
この発明によれば、シール部材やねじ軸に寸法誤差があ
っても各ブロックをねじ軸の目的とする箇所に確実に接
触させることができる。
ねじの一実施形態を示している。周知のように、ボール
ねじ10は、ねじ軸11と、多数のボール12と、それ
らのボール12を介してねじ軸11に装着されるナット
13とを有している。ナット13の中心孔13cにはボ
ール転走溝13aが形成されている(図4参照)。ボー
ル12は、ねじ軸11とナット13との相対回転に伴っ
てねじ軸11のボール転走溝11aとナット13のボー
ル転走溝13aとの間を転走する。ボール転走溝13a
の一端に達したボール12はナット13に固定されたリ
ターンチューブ14を介してボール転走溝13aの反対
側に戻される。
の両端部にはワイパー取付孔13b,13bが形成され
ている。各ワイパー取付孔13bにはワイパーリング2
0が装着されて止め輪15で抜け止めされている。各ワ
イパーリング20は、ねじ軸11に付着した異物のナッ
ト13内への侵入と、ナット13内に充填された潤滑剤
(例えばグリース)の外部への漏れとを防止するシール
装置として機能する。
リング20は、リング状のシール部材21と、その外周
の溝210,210に装着されてシール部材21を中心
側に締め付ける2本のばねリング22,22とを有して
いる。シール部材21は合成樹脂を射出成形または切削
加工して製造され、その内周にはボール転走溝11aに
嵌合する螺旋状の突部211が設けられている。
ら軸線方向に沿って途中の位置まで延びる複数のスリッ
ト213…213が周方向に一定間隔で形成されてい
る。これらスリット213により、シール部材21の一
部は周方向に関して複数のブロック214…214に分
割されている。なお、図ではスリット213およびブロ
ック214をそれぞれ6個としたが、その数は適宜変更
してよい。
周方向に関して一対の端面214a,214bを有して
いる。ねじ軸11がナット13内へ送り込まれるときの
ねじ軸11に対するナット13の回転方向(図1,図
2,図5,図7および図8の矢印F方向)に向けられた
一方の端面214aは、その内周側から外周側へ向かう
ほどナット13の半径方向に関して前進回転方向と反対
側に漸次変位するように傾けられている。以下において
は、矢印Fで示したナット13の回転方向を前進回転方
向と呼び、一方の端面214aを前端面と呼ぶ。
4の他方の端面(以下、後端面と呼ぶ。)214bは、
その内周側から外周側へ向かうほどナット13の半径方
向に関して前進回転方向に漸次変位するよう傾けられて
いる。これにより、スリット213の幅は外周側に向か
うほど漸次拡大する。ナット13の半径方向はシール部
材21の中心を通過する寸法補助線L1,L2の方向に
等しい。なお、後端面214bの傾斜角φ2は0°であ
ってもよい。すなわち、後端面214bはナット13の
半径方向に延びる平面であってもよい。
はナット13の軸線Xの方向に対してボール転走溝11
aのねじれ方向に傾けられている。すなわち、ボール転
走溝11aがナット13の軸線方向と直交する方向(補
助線Cの方向)に対して所定のねじれ方向Dにリード角
αで傾くとき、前端面214aはナット13の軸線方向
に対してねじれ方向Dと同一方向に所定角度θ1だけ傾
けられている。傾斜角θ1はリード角α以上に設定され
る。前端面214aによって掻き取られたねじ軸11上
の異物をナット13の軸線方向外側へ積極的に排出する
ためには、傾斜角θ1をリード角αよりも大きく設定す
ることが望ましい。
1aの中心線Eと直交する方向(補助線Gの方向)に対
してねじれ方向Dと反対方向に所定角θ2だけ傾けられ
ている。傾斜角θ2はリード角αと等しいか、またはそ
れ以上に設定することが望ましい。なお、傾斜角θ2が
リード角αに等しいとき、後端面214bはナット13
の軸線方向と平行である。傾斜角θ2をリード角α以上
に設定した場合、図11に示したようにシール部材21
をその軸線方向に組み合わされる一対の型50,51を
用いて射出成形する際にスリット213内にアンダーカ
ットが生じない。これより、型の部品点数が減るととも
に射出成形に要する手間が軽減されてコストダウンが達
成される。
20はスリット213が開口する側面212がナット1
3の軸線方向外側を向くようにしてナット13に装着さ
れる。図9は、ナット13に装着されたワイパーリング
20とねじ軸11との接触状態を示している。シール部
材21の外周に装着されたばねリング22,22の押圧
力により、各ブロック214はねじ軸11に押し付けら
れる。シール部材21とねじ軸11との接触状態はブロ
ック214によって相違する。すなわち、図10(a)
に示したように、一部のブロック214は、その端面2
14aの内周縁214cと突部211とが交差する部分
においてボール転走溝11aのみと接触し、ねじ軸11
の外周面11bとは接触しない。図10(b)に示した
ように、残りのブロック214はその端面214aの内
周縁214cがねじ軸11の外周面11bのみと接触
し、ボール転走溝11aとは接触しない。このような接
触位置の変化を与えるには、例えば各ブロック214の
内周の曲率や突部211の大きさをブロック214毎に
変化させればよい。ボール転走溝11aと接触するもの
と、ねじ軸外周面11bに接触するものとは周方向交互
に配置してもよく、ランダムに配置してもよい。但し、
突部211の両側にねじ軸11の外周面と対向する円筒
面部分が残っているブロック214、換言すれば突部2
11の一部が切り欠かれていないブロック214を優先
してボール転走溝11aと接触させることが好ましい。
0によれば、ナット13がねじ軸11に対して上述した
前進回転方向に回転する場合、その回転方向に面したブ
ロック214の前端面214aによってねじ軸11上の
異物が掻き取られる。掻き取られた異物は前端面214
aの傾斜角θ1およびφ1に従ってナット13の軸線方
向外側および外周側に排出される。
からみて内周側を底辺とする台形状に形成されているた
め(図5参照)、ばねリング22が各ブロック214を
ナット13の中心側に押し込む力Pを各ブロック214
の内周とねじ軸11との間で確実に受け止めることがで
きる。従って、ブロック214の前端面214aの内周
縁214cがねじ軸11から浮き上がるような力が発生
しない。これにより、ねじ軸11に付着した異物を掻き
取る上で最も重要な前端面214aの内周縁214cを
ねじ軸11に確実に押し付けることができる。さらに、
各ブロック214を、ねじ軸11のボール転走溝11a
に接触するものと、ねじ軸11の外周面11bに接触す
るものとに分けているので、シール部材21やねじ軸1
1に寸法誤差があっても各ブロック214をねじ軸11
の目的とする箇所に確実に接触させることができる。そ
のため、シール部材21の加工に関して特に高い精度が
必要とされず、その加工が簡単に行えてコストダウンが
達成される。
となく、種々の形態にて実施できる。例えば上記の実施
形態では、端面214a,214bをナット13の半径
方向およびボール転走溝11aの中心線と直交する方向
の両者に対して傾斜させたが、ナット13の半径方向に
対する端面214a,214bの傾きのみを設けた場合
でもブロック214の前端面214aの内周縁214c
をねじ軸11に確実に押し付けることができる。
ねじによれば、シール部材に設けられた複数のブロック
のそれぞれを外周からの押圧力に対して半径方向中心側
へほぼ均等に変位させて各ブロックの内周をねじ軸から
浮き上がらせる力の発生を防止し、各ブロックをねじ軸
の所望位置に確実に押し当てることができる。そして、
ねじ軸に押し付けられた各ブロックの端面によりねじ軸
に付着した異物を掻き取ってナット外に効率よく排出で
きる。従って、異物に対するシール性能を高めることが
できる。さらに、ブロック間の端面にねじ軸の軸線方向
に対する傾きを付した場合には、異物をスリットからナ
ットの軸線方向外側に積極的に排出してシール性をさら
に高められる。
図。
グの正面図。
分をその外周側から拡大して示した図。
態を示す図。
れたブロックとねじ軸との接触状態を示す図。
材を射出成形するための構成を示す図。
示す図で、(a)は正面図、(b)は使用状態を示す
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 外周にボール転走溝を有するねじ軸と、
前記ボール転走溝に沿って転走可能な複数のボールと、
前記複数のボールを介して前記ねじ軸に螺合されるナッ
トと、前記ナットの軸端に設けられるシール部材とを備
え、前記シール部材の内周には前記ボール転走溝に嵌合
する螺旋状の突部が設けられたボールねじにおいて、 前記シール部材の一部が、前記ナットの軸線方向外側を
向く一側面から当該シール部材の途中まで延びる複数の
スリットによって周方向に複数のブロックに分割され、
各ブロックの前記周方向に関する一対の端面のうち、前
記ねじ軸がナット内へ送り込まれるときの前記ねじ軸に
対する前記ナットの回転方向に向けられた一方の端面は
前記シール部材の内周側から外周側へ向かうほど前記ナ
ットの半径方向に対して前記回転方向と反対側に漸次変
位するよう傾けられ、前記一方の端面と対向する他方の
端面は前記半径方向かまたは当該半径方向に対して前記
一方の端面とは反対側に傾いた方向に延びていることを
特徴とするボールねじ。 - 【請求項2】 前記一方の端面は前記ナットの軸線方向
に対して前記ボール転走溝のねじれ方向と同一方向に前
記ボール転走溝のリード角以上の角度で傾けられ、前記
他方の端面は、前記ボール転走溝の中心線の方向と直交
する方向かまたは前記直交する方向から前記ねじれ方向
と反対側に傾いた方向に延びていることを特徴とする請
求項1に記載のボールねじ。 - 【請求項3】 前記複数のブロックのうち、一部のブロ
ックは前記一方の端面の内周縁と前記突部との交差部分
において前記ボール転走溝にのみ接触し、他の一部のブ
ロックは前記一方の端面の内周縁において前記ねじ軸の
外周面にのみ接触することを特徴とする請求項1または
2に記載のボールねじ。
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