JP2000136202A - 新規なヘパリン結合ペプチド - Google Patents

新規なヘパリン結合ペプチド

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JP2000136202A JP11285185A JP28518599A JP2000136202A JP 2000136202 A JP2000136202 A JP 2000136202A JP 11285185 A JP11285185 A JP 11285185A JP 28518599 A JP28518599 A JP 28518599A JP 2000136202 A JP2000136202 A JP 2000136202A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心血管用のヘパリンアンタゴニストを提供す
ることである。本発明のヘパリン結合化合物は、有害な
血行力学的副作用または増殖性血管応答の悪化を惹起せ
ずに、ヘパリンの定型的な抗凝固性を特異的に中和す
る。 【解決手段】 本発明のヘパリン結合化合物は、有害な
血行力学的副作用または増殖性血管応答の悪化を惹起せ
ずに、ヘパリンの定型的な抗凝固性安全に且つ特異的に
中和することができる、選択的状況または緊急状況で使
用すべき短時間型薬剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Depatment of Pub
lic Health and Human Services, Public HealthServic
e, National Institutes of Health, National Heat, L
ung, and BloodInstitute(国立心肺血液研究所、国立
衛生研究所、公衆衛生総局、公衆衛生および福祉サービ
ス部門)によって授与された、交付番号1R41 HL
53003−01のもとに政府援助を受けて発明され
た。政府は、本発明について一定の権利を有する。
【0002】本発明は、心血管用のヘパリン結合ペプチ
ドを提供する。さらに詳細には、本発明は、全て、ヘパ
リンを結合して安定なヘパリン/ペプチド複合体を作
り、ヘパリンの生物学的作用を弱めるように設計され
た、6つの関連したペプチド配列を提供する。本発明の
化合物は、ヘパリンの抗凝固作用を弱めたり中和したり
するために、全身(プロタミンのように)または部位ま
たは局所に投与する薬剤として有用である。本発明の化
合物は、糖尿病患者に投与するためのインスリン製剤中
のプロタミンの代替として有用である。
【0003】
【従来の技術】2.関連技術の説明 ヘパリンは、N−グルコースアミンの残基とウロン酸の
残基を交互に含む多分散系の、硫酸と化合した多糖類で
ある(1)。合成の性質上、糖鎖の主鎖のタイプならび
に硫酸化残基の程度および位置は変わりやすい(イズロ
ン酸とグルクロン酸)。医薬品級のヘパリンは、分子量
が6,000〜20,000の範囲の種を含み、その抗
凝固性の全てがヘパリンの約30重量%に起因すると推
定される。しかし、ヘパリンは、平滑筋細胞増殖を阻害
できること(2)、リポタンパク質リパーゼに触媒作用
を及ぼすことができること、内皮細胞に結合できるこ
と、von Willebrand因子(VWF)と血
小板との相互作用を阻害できること(3)を含め、多く
の他の生物学的性質を有する。こうした他の活性に基づ
いた好結果の治療は未だ可能ではないが、それは、主と
して、こうした他の生物学的作用を実現するのに必要な
用量では、過剰な抗凝固を伴うためである。しかし、ヘ
パリンの平滑筋細胞増殖阻害力は、その抗凝固作用と異
質のものであることが、証拠書類によって十分に証明さ
れている(2)。
【0004】硫酸ヘパリンはヘパリンに似ており、僅か
に硫酸化されているにすぎないが、その抗凝固作用は少
ない。デルマタン硫酸も、ヘパリンよりも少なく硫酸化
されており、糖鎖主鎖にガラクトサミンを含む。後者の
2種のへパリン様物質の残余抗凝固性の一部は、抗トロ
ンビンIIIよりむしろ、ヘパリン補助因子Hの触媒作用に
原因があると考えられてきた(6)。しかし、ヘパリン
抗凝固の主要ルートには、抗トロンビンIII(ATIII)
との相互作用が介在する。
【0005】タンパク質ドメインへのヘパリン結合 ヘパリンと複合体を形成すると、ATIII(7〜1
2)、線維芽細胞成長因子(13,14)、および粘液
性プロテイナーゼ阻害剤(15)を含め、多くのタンパ
ク質で、立体配置の変化を引き起こす。ヘパリン−タン
パク質相互作用の原理は、ヘパリンポリマー内の特定の
化学的単位構造が、タンパク質内の構造的に相補的な特
定のドメインに、しっかり結合することである(16〜
19)。本発明者は、von Willebrand因
子またはATIIIのヘパリン結合ドメインが、合成ペプ
チドで完全に置き換えられることを証明した(16〜2
1)。Margalitら(22)は、データベースの
タンパク質およびペプチドのヘパリン結合ドメイン配列
の分子モデル解析を使用して、これらのヘパリン結合配
列全ての塩基性アミノ酸の空間的分布は、塩基性残基2
個(一般にArg)が反対方向に向いている約20Åの
αラセンまたはβ鎖構造によって隔てられており、他の
陽イオン残基は、この2個の残基の間に散在している、
モチーフに準拠することを示した。ヘパリンは、ペプチ
ド主鎖の周りに自らを巻きつけて、ぐるぐる巻きついた
コイル様(coiled coil like)構造を形成することにより
結合することができる。このような複合体はタンパク質
/ペプチド立体配置の変化を起こしやすい。Fanら
(23)およびTyler−Crossら(21)は、
突然変異的置換および化学合成戦略によって、それぞ
れ、高親和部位におけるヘパリンの認識および結合、も
はやヘパリンに結合しないタンパク質(またはペプチド
類)を招来する、これらの残基の置換または修飾には、
抗トロンビンIII内の特定の陽イオン残基が不可欠であ
ることを証明した。本発明者(21)は、保持者が血栓
症に罹り易い天然の変異タンパク質ATIII Gene
vaは、Gln残基に不可欠なArg残基の突然変異に
よって生じ(24)、ヘパリン結合ドメイン配列によっ
て推定される、好ましくない構造の歪曲を引き起こすこ
とを提示した。
【0006】ヘパリン解毒薬の必要性 ヘパリンは、開心術、体外循環、末梢血管手術、経皮血
管形成術および多数の他の急性血管介入の間に、血液を
凝固しないようにさせるために使用される。ヘパリンに
よる出血性合併症は、動脈樹が傷つけられるときに特に
よくみられ、症例の10〜15%に発生する。唯一の入
手可能なアンタゴニストであるプロタミンは、毒性およ
び副作用があるため、その使用は、主として開心術およ
び緊急事態に制限されている。ヘパリンの大抵の他の急
性動脈適用では、抗凝固作用は数時間で自然に徐々に弱
くなる。ヘパリンによって起きる抗凝固をもっと安全且
つ厳重に管理できれば、ヘパリンによる多くのさらなる
出血性合併症は回避できる。したがって、プロタミンの
代用とするためにも、プロタミンの毒性が禁止されてい
る一般的な用途で使用するために、ヘパリン解毒薬が必
要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】プロタミンおよびその
問題 魚(サケ)精子から精製されるプロタミンは、アルギニ
ン残基に富む塩基性タンパク質のファミリーである(2
5)。プロタミンは、陽イオン電荷で炭水化物を覆うこ
とによって、ヘパリンの生物学的作用の全てを中和する
(26〜28)。したがって、ヘパリン中和に関するプ
ロタミンの効力は、その正味の陽イオン電荷の合計にあ
る程度関連するが、残念ながら、プロタミンの毒性も、
その高い電荷密度に関連する(29)。ヘパリン投与を
受けたヒトにプロタミンを投与すると、低血圧、肺動脈
高血圧、心筋抑制、補体活性化、血小板減少、および白
血球減少を惹起することが多い(30〜36)。死亡例
も報告されている(37)。
【0008】心肺バイパスでは、ヘパリンのプロタミン
反転が不可欠であるため、低用量または分割用量で投与
することによって副作用を避けるための多数の臨床戦略
が考案されてきた。これは、ヘパリンアンタゴニストが
臨床上非常に重要である証拠である。プロタミンは、治
癒/毒性比が低いにもかかわらず、1939年以来、臨
床医に利用できる唯一のヘパリンアンタゴニストとして
使用されてきた(38)。
【0009】内因性ヘパリンおよび外因性ヘパリンは血
管損傷部位の平滑筋細胞の増殖を阻害することができる
(39〜41)ため、プロタミンは別の有害な副作用に
巻き込まれている。Edelmanら(42)は、プロ
タミン注入は、ヘパリンの平滑筋細胞増殖に対する有益
な阻害作用を無効にし、プロタミン単独では増殖応答を
悪化させることを明らかにした。これらの研究は細胞培
養で実施され、完全な動物試験で確認された。それぞれ
の状況で、プロタミンは、ヘパリンの有益な抗増殖作用
を無効にすることが確認された。
【0010】したがって、プロタミンは、ヘパリンまた
は内因性ヘパリン様分子を結合することによる正常な血
管修復を、実際に歪めると考えられる。こうした結果
は、プロタミンの連続臨床使用を論駁するものである。
血管損傷、または動脈バイパスや血管形成術のような血
管処置の状況では、プロタミン投与は特に危険であり、
内膜過形成、早期狭窄および血栓症につながる。したが
って、優れたヘパリンアンタゴニスト、すなわち、より
多くの選択的生物学的作用および改良された安全性を有
するものが非常に必要である。
【0011】選択的手技または心血管手術後の緊急手技
におけるヘパリンアンタゴニストとして使用される、安
全なプロタミン代替薬に対する商業的関心が増大してい
る。第一に、この薬剤は、有害な血行力学的副作用また
は損傷に対する増殖性血管応答の悪化を惹起せずに、ヘ
パリンの定型的な抗凝固性を特異的に中和しなければな
らない。
【0012】組換え血小板第4因子を潜在的ヘパリンア
ンタゴニストとして使用したいという臨床医の意思が現
在評価されている(43)。残念ながら、組換え血小板
第4因子は、ラットにおけるヘパリン抗凝固の反転に有
効ではあっても(44)、一部の非囓歯動物種では、こ
れを使用すると、アナフィラキシーや、循環へのトロン
ボキサン放出と関連があると考えられる急性肺血管収縮
および急性肺高血圧をはじめとする重度の有害作用を惹
起した(45)。さらに、血小板第4因子は、ヘパリン
と複合体を形成してヘパリン誘導性血小板減少症を惹起
する免疫原として同定されている(54〜56)。この
ヘパリン(血小板第4因子と複合体を形成したとき)に
対する免疫感作症候群は、重大な罹病および死亡と関連
があるとして一般に恐れられている。こうした新しい知
見は、血小板第4因子をプロタミン代替薬として開発し
ようとした初期の努力以降に生じ、その潜在的臨床使用
に関する疑問が生じる。
【0013】さらに別のアプローチで、Wakefie
ldら(46)は、タンパク質分解的に誘導されたプロ
タミンのフラグメントを潜在的プロタミン代替薬として
試験しつづけた。プロタミンから誘導される比較的高分
子量のフラグメントがプロタミンそのものより毒性が低
いかどうか、あるいは、このようなフラグメントを、潜
在的医薬品として工業的規模で生産できるかどうかは、
未だ明らかではない。また、彼らは、プロタミン代替物
の選択性または特異性を操作しようと試みたかどうかも
明らかではない。明らかに、心血管手術後、および他の
用途で使用するためのヘパリンアンタゴニストとなる、
安全なプロタミン代替薬には、全世界に広がる需要があ
る。
【0014】発明の概要 したがって、本発明の主な目的は、心血管用のヘパリン
アンタゴニストを提供することである。本発明のヘパリ
ン結合化合物は、有害な血行力学的副作用または増殖性
血管応答の悪化を惹起せずに、ヘパリンの定型的な抗凝
固性を特異的に中和する。さらに詳細には、本発明のヘ
パリン結合化合物は、有害な血行力学的副作用または増
殖性血管応答の悪化を惹起せずに、ヘパリンの定型的な
抗凝固性を安全且つ特異的に中和することができる、選
択的状況または緊急状況で使用される短期静脈用薬であ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の好ましい実施形
態の詳細な説明 本発明者は、合成ラセンヘパリン結合ペプチドを投与す
ると、ヘパリンに効果的に結合して失活させ、系からヘ
パリンを除去できることを発見した。全身的使用のほか
にも、本発明のヘパリン結合ペプチドは、たとえば、出
血性創傷、血管吻合、または漏出している人工血管移植
片において、ヘパリンの作用を局所的に無効にするため
の局所適用に有用である。本発明のヘパリン結合ペプチ
ドを、他の医薬品を含む組成物に配合してもよい。たと
えば、本発明のペプチドを、糖尿病治療用のインスリン
を含む医薬組成物に、プロタミンの代替薬として配合し
てもよい。本発明のヘパリン結合ペプチドを、ヘパリン
の活性が他剤の作用を妨害する可能性がある他の治療薬
または診断用薬と複合させてもよい。たとえば、本発明
のヘパリン結合ペプチドを、ヘパリンに敏感な原線維膠
や診断用血漿試薬と複合させてもよい。
【0016】本発明のヘパリン結合ペプチドは、直鎖状
ペプチドであっても分岐したペプチドであってもよい。
好ましい直鎖ヘパリン結合ペプチドとして次のものが挙
げられる。
【0017】ARG HELIX #2:スクシニル
(またはアセチル)−ALA1−GLU2−ALA3−
ARG4−ALA5−ARG6−ARG7−ALA8−
ALA9−ALA10−ARG11−ALA12−AL
A13−ARG14−ARG15−ALA16−ALA
17−ARG18−ALA19−アミド(または酸、C
OOH)、
【0018】ARG Helix #3:スクシニル
(またはアセチル)−ALA1−GLU2−ALA3−
ARG4−ALA5−ARG6−ARG7−ALA8−
ALA9−ALA10−ARG11−ALA12−AL
A13−ARG14−ARG15−ALA16−アミド
(または酸、COOH)、および
【0019】ARG HELIX #4:スクシニル
(またはアセチル)−ALA1−GLU2−ALA3−
ARG4−ALA5−ARG6−ARG7−ALA8−
ALA9−ALA10−ARG11−ALA12−AL
A13−ARG14−ARG15−ALA16−アミド
(または酸、COOH)。
【0020】好ましい分岐鎖ヘパリン結合ペプチドとし
ては、BIS−ARG HELIX#2、Tris−A
RG HELIX #3およびTetra−ARG H
ELIX #3などがある。これらの分岐鎖ペプチド構
造を図1及び図2に示す。
【0021】代替の本発明による好ましい化合物は、T
ris ARG #3 Constrained(以
後、「TR3 CONST」という)である。TR3
CONSTは、Tris−ARG HELIX #3と
同じヘパリン結合活性を有するが、大規模で合成するの
がより簡単であり、したがって、工業化しやすい見込み
がある。
【0022】TR3 CONSTは、Tris−ARG
HELIX #3の「拘束された(constrained)」類
縁体であり、3つのラセンアーム(ヘパリン結合部位を
含む)を、拘束された、または制限された、構造に入れ
るために、分子モデリングおよび計算力学を使用して設
計された。臨界「テザー」領域または主鎖領域のTR3
CONSTの配列は、Tris−ARG HELIX
#3と異なるが、結合アームは同じである(図15参
照)。したがって、TR3 CONSTの配列は以下の
通りである。
【0023】
【化2】
【0024】式中、ARG HELIX #3は、N
(アセチル)−AEARARRAAARAARRA−C
(O)であり、DAPAは2,3−ジアミノプロピオン
酸を表す。
【0025】本化合物は、同じ力でヘパリンを結合でき
る点で、Tris−ARG HELIX #3と同じ挙
動を示す。本発明のペプチドを構成するアミノ酸は、D
−アミノ酸、L−アミノ酸、またはそれらの混合物であ
ってもよいが、好ましくは、アミノ酸は、D−アミノ酸
である。
【0026】本明細書で使用する、本発明が意図するヘ
パリン結合ペプチドには、当技術分野で周知のものの誘
導体、特に、ヘパリンに結合する能力を排除したりまた
は著しく減少させたりしない置換を有する、上述のペプ
チドが含まれる。たとえば、本発明のペプチドは、任意
に官能基で置換されていてもよい。当該技術分野におい
て認められた、ペプチドがヘパリンに結合する能力を排
除したりまたは著しく減少させたりしない官能基として
は、エステル、アミド、酸、アミン、アルコール、エー
テル、チオエーテルなどがあるが、これらに限定されな
い。溶媒化合物、たとえば、本発明の方法で有用なペプ
チドの含水化合物も、本発明の範囲に含まれる。このよ
うな溶媒化合物を製造する溶媒和化する方法は、一般
に、当技術分野で周知である。
【0027】様々な経路で投与するのに適した医薬用の
ヘパリン結合ペプチドの塩類は、当技術分野で周知であ
り、本明細書で詳細に説明する必要はない。本発明によ
る薬学的に許容できるペプチドの塩類およびそれらの誘
導体の例には、たとえば、アルカリ金属(たとえば、リ
チウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属
(たとえば、カルシウム、バリウム)、マグネシウム、
アンモニウムのような適当な塩基から誘導された塩基塩
類、およびNWnm塩基および塩類(nおよびmは、そ
れぞれ、0〜4であって、且つn+mは4であり、W
は、(C1〜C18)アルキルである)が含まれる。酸基
またはアミノ基の薬学的に許容できる塩類としては、酢
酸、酒石酸、リンゴ酸、イソチアン酸、ラクトビオン酸
およびコハク酸のような有機カルボン酸、メタンスルホ
ン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp
−トリルスルホン酸のような有機スルホン酸、および塩
酸、硫酸およびスルファミン酸のような無機酸の塩類が
あるが、これらに限定されない。薬学的に許容できる水
酸基を含む化合物の塩類としては、Na+やNWn
m(Wは、(C1〜C18)アルキルであり、nおよびmは
0〜4であって、且つn+mは4である)のような適当
な陽イオンと組合せた化合物の陰イオンがあるが、これ
らに限定されない。
【0028】本発明のさらなる部分は、上述のヘパリン
結合ペプチド、それらの混合物、および/またはそれら
の医薬品用の塩類のうち少なくとも1つと、薬学的に許
容できる担体とを含む、ヘパリンを結合するための、し
たがってヘパリンの作用に拮抗するのに重要な医薬組成
物である。このような組成物は、一般に認められている
製薬手順に従って、たとえば、Remington's Pharmaceut
ical Sciences、第7版、Alfonso R. Gennaro, Mack Pu
blishing Company, Easton, PA (1985)に記載されてい
る通りに、調製される。
【0029】ヘパリン活性を阻害する方法での治療的使
用では、ヘパリン結合ペプチドまたはその塩類、および
薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物の形で、ヘ
パリン結合ペプチドまたはその塩類を便利に投与するこ
とができる。適当な担体は、当技術分野で周知であり、
医薬組成物の所望の形態および投与方式によって異な
る。たとえば、担体は、フィラー、バインダー、湿潤
剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤等々のような希釈剤ま
たは賦形剤を含んでもよい。一般に、担体は固体、液体
または蒸発可能な担体、またはそれらの組合せであって
もよい。1つの好ましい実施形態では、本組成物は治療
用組成物であり、担体は薬学的に許容できる担体であ
る。
【0030】本発明のヘパリン結合ペプチドまたはその
塩類は、担体と一緒に、所望の単位剤形に調合される。
一般に、単位剤形としては、錠剤、ピル、散剤、液剤、
懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤などがあり、
注射用液および懸濁剤が特に好ましい。
【0031】各担体は、製剤中の他の成分と適合性があ
り、且つ患者に害にならないという意味で、「許容でき
る」ものでなければならない。担体は、生物学的に許容
でき、且つ不活性でなければならない、すなわち、本発
明の化合物がその阻害活性を発揮できるように、担体
は、細胞がその代謝反応を実行できるものでなければな
らない。
【0032】製剤としては、経口投与、直腸投与、鼻投
与、局所投与(頬および舌下を含む)、膣投与および非
経口投与(皮下、筋肉内、静脈内、皮内および経皮を含
む)に適したものなどがあり、静脈内用製剤が好まし
い。たとえば、注射に適した製剤を調製するために溶液
および懸濁液を滅菌するが、この溶液および懸濁液は好
ましくは血液と等張である。注射用製剤を作る際に、当
分野で一般に使用される担体、たとえば、水、エチルア
ルコール、プロピレングリコール、エトキシル化イソス
テアリルアルコール、ポリオキシル化イソステアリルア
ルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびスル
ビテートエステル類を使用することができる。こうした
場合に、塩化ナトリウム、グルコース、またはグリセリ
ンのような等張性調節物質の十分量を加えて、製剤を等
張にすることができる。注射用滅菌水溶液は、酸化防止
剤、緩衝剤、静菌剤、および非経口製剤に許容できる類
似の添加物をさらに含んでもよい。
【0033】本製剤は、便利に単位剤形で存在すること
ができ、薬学の技術分野で周知の方法で調製することが
できる。このような方法は、1種または複数の副成分を
含んでもよい担体と有効成分を関連させるステップを含
む。一般に、本製剤は、有効成分を、液体担体または細
かく分割された固体の担体または両者と一様に且つ密接
に関連させ、次いで、必要に応じて、生成物を造形する
ことによって調製される。様々な単位用量および多回用
量の容器、たとえば、当技術分野で周知の密封されたア
ンプルやバイアルを使用してもよい。
【0034】上記に具体的に記述した成分のほかに、本
発明の製剤は、このタイプの医薬品に関する技術分野で
定型的な他剤も含んでもよい。本発明のヘパリン結合ペ
プチドは、担体に対して広い比率で、組成物中に存在し
てもよい。たとえば、ペプチドは、0.01〜99.9
重量%、さらに好ましくは、約0.1〜99重量%の量
で存在してもよい。さらに好ましくは、ペプチドは、組
成物の約1〜70重量%の量で存在してもよい。
【0035】また、本発明の一部は、患者の血液循環系
からヘパリンを除去するのに十分な、本発明のヘパリン
結合ペプチド、それらの薬学的に許容できる塩類、また
はそれらの混合物の1種または複数の有効量を患者に投
与することによって、患者の循環からヘパリンを除去す
る方法である。この用途で、「患者」は、ヘパリンを投
与されたあらゆる哺乳類を含む。
【0036】患者に投与される本発明の組成物中の、ヘ
パリン結合ペプチド類、それらの薬学的に許容できる塩
類、それらの混合物の投与量は、患者の年齢、体重およ
び種、患者の全身状態、症状の重症度、本組成物を単独
で投与するか他の抗ウイルス剤と併用するか、副作用の
発生率等々を含むが、これらに限定されない、幾つかの
因子によって異なる。
【0037】一般に、ヘパリン投与患者に適用するのに
適した用量は、約0.001〜100mg/kg体重/
投与であり、好ましくは、約0.01〜60mg/kg
体重/投与であり、さらに好ましくは、約0.1〜40
mg/kg体重/投与である。望ましい用量を、必要に
応じて適当な間隔で投与される1〜6回以上の分割投与
として投与してもよい。本化合物は、繰り返し投与して
もよく、あるいは、徐々に且つ絶えず患者に注入てもよ
い。より高用量または低用量を投与してもよい。
【0038】用量は、たとえば、上述の様々なパラメー
タを考慮に入れて調節してもよい。一般に、本組成物
は、約0.001〜100mg/kg体重/日の量で投
与される。しかし、その他の量を投与してもよい。良好
な血漿濃度を達成するために、たとえば、任意に生理食
塩水に溶解した有効成分約0.1〜1%の溶液を静脈内注
射することによって、本有効化合物を投与してもよい。
【0039】治療のために、局所経路、経口経路、直腸
経路、鼻経路、膣経路および非経口経路(腹腔内、皮
下、筋肉内、静脈内、皮内および経皮を含む)を含む任
意の適当な経路で有効成分を投与してもよい。好ましい
経路は、患者の年齢および状態、疾患の性質、および他
の治療薬を含む選択した有効成分によって異なることが
理解されるであろう。静脈内経路が好ましい。しかし、
患者の条件および治療継続期間によって、他の経路を使
用してもよい。
【0040】有効成分を単独で投与することができる
が、医薬組成物として存在することが好ましい。本発明
の製剤は、上述した少なくとも1種の有効成分と共に、
その許容できる1種または複数の担体および任意に他の
治療薬を含む。上記方法は、本化合物を単独で、または
医薬組成物中の抗ウイルス化合物および/または治療薬
を含他の有効成分と組合せて、投与することにより実行
することができる。
【0041】本発明で使用するのに適した他の治療薬
は、同じ機序または他の機序によって所期の目的に有効
な任意の適合性のある薬剤、または、本剤に相補的な薬
剤である。この中には、有効なヘパリン結合剤である薬
剤も含まれる。その例は、とりわけ、プロタミンおよび
組換え血小板第4因子である。
【0042】併用療法で使用される化合物は、同時に投
与してもよく(別個の製剤または配合製剤のいずれで
も)、本化合物と異なる時に、総合作用が得られるよう
に、たとえば、逐次的に、投与してもよい。投与量およ
び投与方式は、好ましくは、最初は標準用量を少なく
し、次いで、得られた結果から投薬量を判断することに
より、個々に調節される。本発明の治療方法は、開業医
が決定した他の治療と一緒に使用することが可能であ
る。
【0043】これまで、本発明を一般的に説明してきた
が、例を挙げて説明するためだけに本明細書に記載した
のであって、本発明またはその実施形態を限定する意図
のない、ある一定の具体的な実施例を参照することによ
り、本発明がいっそう理解されるであろう。
【0044】
【発明の実施の形態】実施例1:ヘパリン結合ペプチド
類の構造的特徴の最適化。 これらの実験を開始する際に、潜在的医薬品の先導的候
補として4つの化合物を考えた。そのうち2つ(K121
−A134およびK121−A134Ext.)は、高親和性ヘ
パリン結合部位のATIIIの一次配列に基づく(2
0)。これらの配列内の各陽イオン残基は、五糖類単位
構造との生産的静電連絡の形成に不可欠であるか、立体
配置的に恵まれたヘパリン/ペプチド複合体を形成する
のに不可欠であるかのいずれかであることが証明されて
いる(21)。両ペプチドの性質は主にβ鎖であり(し
かし、ヘパリンを結合すると、両者とも、若干のラセン
性を獲得する)、したがって、この2つの配列は、どち
らも、かなりの結合エネルギーを潜在的に失わずに、容
易に調製することはできない。このような理由から、本
発明者は、本発明のラセンヘパリン結合ペプチドの独特
なファミリーを開発した。
【0045】堅固なラセンヘパリン結合ペプチドの開発
における本アプローチは、血小板第4因子(47)また
はプロテインC阻害剤の提示されたラセン結合ドメイン
に基づく。ヘパリンアンタゴニストの開発における以前
の戦略の失敗は、その電荷の立体配置的表示を考慮せず
に、単純に正味の陽イオン電荷を増加すれば、最も強力
な化合物が生成すると考えたことにあった。しかし、現
在では、塩基性残基数とプロタミン類縁体の毒性の間に
は正の相関関係があること(29)、また、ヘパリンと
タンパク質との間の最大相互作用は、2つの分子が適当
な電荷および立体配置相補性を示すときに発生すること
(16〜22参照)がわかっている。
【0046】以上の研究に基づいて、本発明者は、陽性
の側鎖がラセンの同じ側に向いているように、ペプチド
の陽イオン残基が適当に間隔を置いて配置されている、
溶液中でラセン構造をとると予期されるペプチドを設計
して合成した(16,22)。このペプチド、スクシニ
ル(succ)−AEAAARAAARRAARRAA
AR−NH2(Arg Helix #1)は、円偏光
二色性(CD)分光測定法で75%ラセンであり、ヘパ
リンとの複合体形成により、ペプチドのラセン含有率が
100%に上昇することがわかった。ヘパリンは、ペプ
チドのみかけの熱安定性も、約1kcal/mol上昇
させる。言いかえれば、ヘパリンによって、ペプチドの
立体配置が安定化した。
【0047】2つのさらなるラセンペプチドを合成し
た。Lys Helix #1(succ−AEAAA
RAAAKKAAKKAAAK−NH2)では、ラセン
構造を維持するための、E2とのイオン対を作るのに必
要なR6以外の全てのArg残基をLysで置き換え、
Arg Helix #2(succ−AEARARR
AAARAARRAARA−NH2)では、Arg H
elix #1の配列がラセンの片面に現れるArg残
基数が最大になるように修飾した。等温滴定熱量測定
(17〜21、47)を使用して、ヘパリンとの複合体
形成を定量し(表1)第Xa因子中和分析(20,2
1)を使用して、抗凝固剤ヘパリンを結合する力を測定
した。
【0048】
【表1】
【0049】実験は全て、50mMリン酸緩衝液(pH
7.01)中、30℃で実施した。一般に、急速混合
している(400rpm)ペプチド溶液に、30秒で1
0μlの注入を20回を行い、注入と注入の間に、2分
間平衡化した。全ての実験について、表示のペプチドを
0.10mMで熱量計キュベットに入れ、ヘパリンを初期
濃度0.5mMで滴下注射器に入れた。緩衝液のみ(ペ
プチドが存在しない)にヘパリンを注入した後、混合熱
および希釈熱を減じることにより、全ての等温式を補正
した。
【0050】ITCの結果に基づいて、それぞれが、結
合ヘパリンに関してATIIIと競合する力について、L
ys Helix #2およびArg HELIX #
2を試験した。図3からわかるように、Arg Hel
ix #2は、ITCでLys Helix #1より
も、ヘパリンに対して高い親和性を有し、抗凝固ヘパリ
ンによく結合する。結合は、エンタルピー的に推進さ
れ、熱力学的に有利であった。このような大きなエンタ
ルピーの変化は、ほとんどいつも、アミノ酸側鎖とヘパ
リンサッカライドの近接して並列するスルフェートおよ
び/またはカルボキシル基との間の、生産的静電連絡の
ような長い範囲の相互作用を含む。
【0051】本発明者は、プロタミンの結合活性にいっ
そうよく似ていると思われるラセンペプチドも創った。
この計画では、最初にBoc−Lys(Boc)誘導体
として合成樹脂に結合させておいたC末端Lys残基の
α−アミノ基およびε−アミノ基上に、Arg Hel
ix #2の2つのコピーを個々にではあるが同時に合
成した。このようにして得られたBis−Arg He
lix #2ペプチドと呼ばれるペプチドは、2つの全
長ラセン配列、リジン残基を介して結合したN→C ⇒
C→Nを有する。
【0052】CDで、Bis−Arg Helix #
2は溶液(25℃)中でラセン45%であるが、ヘパリ
ンと複合体を形成すると、ラセン性はほぼ70%に上昇
し、ヘパリン結合がペプチドに熱安定性を与える。滴定
熱量測定で測定したヘパリンのKD(7.51μM)は、
第Xa因子中和分析(図3)で測定した、Arg He
lix #2のみより約3倍すぐれており、Bis−A
rg Helix #2は、Arg Helix #2
よりほぼ3倍すぐれ、プロタミンより2倍低い、70μ
MというIC50を示す。
【0053】したがって、Arg Helix #2お
よびBis−Arg Helix#2は、陽イオン電荷
密度が高い表面を呈するように操作することができる先
導的化合物を表す。潜在的な結合部位の数が増加すると
効果的な第Xa因子中和の可能性が高くなるため、Bi
s−Arg Helix #2の設計は正しいと思われ
る。本ラセンペプチドは、以前に報告したプロタミン類
縁体(31)より少ない陽イオン残基で、より大きい力
を有する。
【0054】分子モデリングを使用して、Lys He
lix #1またはArg Helix #2とヘパリ
ンの抗凝固五糖類単位構造(参考文献21参照)との間
に形成されると考えられる複合体を概念化した。Sil
icon GraphicsIris WD 35ワー
クステーションで作動するINSIGHT(Biosy
m)でこの複合体のモデルを創った。生体ポリマーモジ
ュールを使用して、CDの結果と一致するαラセン 立
体配座異性体として、各ペプチドを最初に構築した。親
切にも、Dr. Dino Ferro, Istituto di Chimica delle
Macromolecole del C.N.R., Milan, Italyが、ATIII
に結合する抗凝固性五糖類単位構造の原子座標を提供し
て下さった。この座標を使用して、五糖類に関するPr
otein Data Bank(PDB)ファイルを
作成し、これをINSIGHTに直接読みこんだ。全て
の分子について、力場パラメーターをcff91力場
(Biosym)に割り当てた。
【0055】五糖類のスルフェート(六価イオウおよび
3当量の酸素)またはスルホンアミド官能基を十分に表
す力場パラメーターは入手できない。本発明者は、各酸
素原子の部分電荷を−0.339に手動で設定して、こ
れらの基を下記の式に表すような脱プロトンしたイオウ
としてモデルを作ることを選択した。
【0056】
【化3】
【0057】最も急な下降勾配と複合勾配法を使用し
て、DISCOVER(Biosym)で、エネルギー
最小化を実施した。誘電率80でペプチドおよび五糖類
を個々に最小化し、次いで、分子対の間に複合体を手で
形成した。それぞれの場合に、反対に帯電した基の最も
可能性のある近接した並列を創るようにペプチドおよび
五糖類を向け、同時に、ATIIIへの結合に不可欠では
ない五糖類のスルフェート基を(参考文献21参照)ペ
プチドから遠くに向けておこうととした。次いで、誘電
率3で複合体を最小化した。
【0058】Lys Helix #1とヘパリンの五
糖類単位構造の間に形成された、刺激された「ドッキン
グした」複合体の立体図を図4に示す。図の下のA’か
ら上方のK19に向いたペプチドを、淡青色で輪郭を描
き、全てのアミノ側鎖官能基を暗青色で強調してある。
6は、ラセン構造の維持に必要な、E2との重要なイオ
ン対を形成すると考えられる(16)。五糖類単位構造
は、図の下のH単位から上方のD単位に向いており(L
indhalらの命名法、参考文献48、およびAth
aらの命名法、参考文献49)、また、ATIIIに結合
するのに不可欠なことが判明しているスルフェート基
(黄色)またはカルボキシル基(赤色)を示してある。
結合相互作用に関与しない、単位Dの2−N−スルフェー
ト基および単位Fの6−O−スルフェート基は、灰色で
示してある。ドッキングした複合体の場合、多くの重要
な陰イオン基は、ペプチドを基準にした五糖類の配向性
(H→DまたはD→H)と無関係に、ペプチドアミノ酸
側鎖に並列していない。(D→H配向性は示さず)。
【0059】Arg Helix #2とヘパリンの五
糖類単位構造との間に形成された、刺激された「ドッキ
ングした」複合体の立体図を図5に示す。ペプチドおよ
び五糖類の向きは、図4と同様である。この構造では、
結合に不可欠であると認められている全てのスルフェー
ト基およびカルボキシル基は、空間的にペプチドのグア
ニド官能基に近接して並列しており、ぴったり絡みつい
たラセン複合体を作っていることに留意されたい。
【0060】モデル化した複合体に基づいて、Lys
Helix #1は、五糖類のスルフェート基およびカ
ルボキシル基の多くが、隣接して並列するリジン側鎖の
アミノ基と生産的静電連絡をしないため(図4)、好ま
しくないヘパリン結合ペプチドであると結論することが
できる。潜在的結合エネルギーの多くは、リジン側鎖
が、クーロン反発力を最小限に抑えるのに十分に離れて
いることを確実にするのに消耗されるようである。これ
にひきかえ、Arg Helix #2と五糖類の間に
形成される複合体(図5)は、実質的に全てのアルギニ
ン側鎖が五糖類と重要な連絡を行うこと、また、複合体
が[エネルギー的に安定した]堅固なラセンを作ることを
示している。
【0061】その後のペプチド開発−Arg Heli
x #3および#4 Arg Helix #2と五糖類との間のドッキング
した複合体の綿密な調査で、R18およびR5は、五糖類
の反対に帯電した官能基に空間的に近くないようである
ことが明らかになった。また、R5は、みかけ上、糖類
と生産的静電連絡しないが、R5は、E2とのイオン対に
よるラセン構造の維持に必要であると考えられる。
【0062】したがって、R18が省かれるか(Arg
Helix #3、succ−AEARARRAAAR
AARRA−NH2)、R5とR18の両者が省かれた(A
rgHelix #4、succ−AEAAARRAA
ARAARRA−NH2)、2つの誘導体化合物を合成
した。Arg Helix #3は、ヘパリンを結合す
る能力を保持しているが、Arg Helix #4
は、一部のラセン構造を喪失するため、結合ヘパリンに
おいて、同じ位有効ではないと予期される。
【0063】ITC(表2)で判断するとき、Arg
Helix #3は、Arg Helix #2または
Bis−Arg Helix #2とほぼ同じ親和性
で、ヘパリンを結合するが、Arg Helix #4
は、約2倍弱くヘパリンを結合することを、本発明者は
発見した。以上の結果から、モデリングから行った予想
が確証されると思われる。しかし、第Xa因子中和分析
(図6)では、ArgHelix #3は(IC50
00μM)、Bis−Arg Helix #2より有
効性が約3倍低く(且つArg Helix #2より
有効性が約2倍低い)が、Arg Helix #4
は、Arg Helix #2より有効性が約100倍
以上低かった(IC50 > 1000μM)。
【0064】図6は、残余第Xa因子酵素活性で測定し
た、ヘパリン/ATIII複合体形成に対するラセンペプ
チドの阻害作用を表す。ここでは、Arg Helix
#3および#4を含め、Arg Helix #2の
様々な誘導体の間で、阻害の比較を行う。
【0065】
【表2】
【0066】実験は全て、50mMリン酸緩衝液(pH
7.01)中、30℃で実施した。一般に、急速混合し
ている(400rpm)ペプチド溶液に、30秒で10
μlの注入を20回を行い、注入と注入の間に、2分間
平衡化した。全ての実験について、表示のペプチドを
0.10mMで熱量計キュベットに入れ、ヘパリンを初期
濃度0.5mMで滴下注射器に入れた。緩衝液のみ(ペ
プチドが存在しない)にヘパリンを注入した後、混合熱
および希釈熱を減じることにより、全ての等温式を補正
した。
【0067】明らかに、ヘパリン結合の世界的測定法で
あるITCに関して、ヘパリン結合事象の選択性が生物
学的分析からわかる。それとは無関係に、Arg He
lix #3には、結合活性の多くが保持されている
が、Arg Helix #4では、あまりにも多くの
ペプチド構造が破壊されているため、非常に貧弱な結合
ペプチドになると結論することができる。
【0068】実施例2:PTTおよび第Xa因子in
vitro分析におけるラセンペプチドの効力 ラセンを基本とするペプチドが第Xa因子酵素活性を中
和する力について、既に検討してきた。プロタミンは、
試験した最も強力な化合物であるが、Bis−Arg
Helix #2aも、結合ヘパリンに関してATIIIと
効果的に競合した。
【0069】ペプチドがヘパリン誘導性抗凝固を逆転す
る力の最も適切な測定法は、恐らく、プールしたヒト血
漿で行われるex vivo部分部分トロンボプラスチ
ン時間(PTT)分析であろう。ここでは、凝固時間を
延長するために、一定用量のヘパリンを個々の血漿試料
に加え、次いで、プロタミンまたは被験ペプチドを加え
て抗凝固剤ヘパリンを複合させ、ヘパリン誘導性抗凝固
を逆転させた。
【0070】これまでに試験したラセンペプチドの中
で、Bis−Arg Helix #2のみがヘパリン
抗凝固の逆転に有効であった。約80μMで、Bis−
ArgHelix #2はヘパリン誘導性抗凝固の約8
0%を逆転するが、ArgHelix #2は、比較的
無効である(図7)。したがって、Bis−ArgHe
lix #2は、この分析でも有効である。以上の結果
から、ヘパリン結合活性の増強は、潜在的な複合形成部
位の数が増加することによって達成することができると
いう仮説が立証される。
【0071】実施例3:麻酔モルモットにおけるArg
Helix #2の薬物動態学;ヘパリン投与モルモ
ットにおける、プロタミン代替薬としての、Bis−A
rgHelix2およびArg Helix #2のi
n vivo効力の評価。 ヘパリン麻酔モルモットおよび非ヘパリン投与麻酔モル
モットで、Arg Helix #2の血漿クリアラン
スおよび組織分布を研究するために、放射標識したAr
g Helix #2を合成して精製し、非標識ペプチ
ドと同じ生理化学的性質を有することを証明した。さら
に、放射標識したペプチドがヘパリンを結合すること
を、滴定熱量測定、CD分光分析、および第Xa因子中
和分析で証明した。FMOC化学プロトコールに従って
合成を実施し、血漿中に形成されると考えられるArg
Helix #2のタンパク質分解フラグメントの検
出を容易にするために、3つの異なる配列位置に放射標
識したAlaを入れた。このようにして、ペプチドmg
当たり2×106cpm(0.56μCi/μmol)
のAc−AE[U‐14C]−ARARRA[U‐14C]
‐AARAARR[U‐14C]AARA−NH2を調製
した。
【0072】非ヘパリン投与動物またはヘパリン投与動
物に注入すると(図8上および下)、放射標識したAr
g Helix #2は、注入から1分以内に最高血漿
濃度に達した(1循環時間内)。最高血漿濃度は、計算
上の注入量の僅か約20%に相当し、動物に注入した総
カウントの約20%を占める。ピークに達した後、Ar
g Helix #2の濃度は、2時間にわたって連続
的に低下したが、注入後4時間でも、ペプチドの約2.
5%が血漿中に残存していた。
【0073】動物の屠殺後、心臓、腎臓、肝臓、肺、脾
臓、大動脈、および肺動脈を摘出し、シンチレーション
分光測定用に切片を採取した。ペプチドの注入前、実験
中、屠殺直前に尿試料を採集し、放射標識したペプチド
の有無をシンチレーション分光測定で試験し、再度、逆
相HPLCで徹底的に脱タンパク質化した後、オンライ
ンシンチレーション検出装置およびUV検出装置で各試
料中に存在する放射標識したペプチド(またはフラグメ
ント)の性質を特性化した。
【0074】この動物では、ペプチドの一部が試験した
様々な臓器に排除されたが(図9および図10)、せい
ぜい、腎臓と肝臓を併せて、注入したペプチドの4%を
占めるにすぎない。注入後240分における臓器分布
は、1分の時よりも有意に低減しているが、腎臓は、最
高の割合の封鎖(sequestered)ペプチドを示した。これ
は、回収されたペプチドの大部分(14%)が、4時間
の経過をたどって、次第に尿に排出されることを意味す
る(図11)。注入されたArg Helix#2に起
因するカウントの大半が、試験した様々な臓器系で評価
されないのは奇妙であるが、このことは、プロタミンお
よび血小板第4因子にも当てはまる(44)。
【0075】図9は、ヘパリン投与していない麻酔モル
モットにおける、放射標識したArg Helix #
2の臓器分布を表す図である。3匹の異なる動物に、ペ
プチド(3.77mg/kg)を注入した。表示の時刻
に、動物を屠殺し、シンチレーション分光分析に供した
各臓器の一部を秤量した。結果を、臓器総重量当たり
の、局在する動物に注入した総カウントのパーセントと
して表す。
【0076】図10は、ヘパリン投与した麻酔モルモッ
トにおける、放射標識したArgHelix #2の臓
器分布を表す図である。3匹の異なる動物に、ペプチド
(3.77mg/kg)を注入する5分前にヘパリン
(50単位/kg)を注入した。表示の時刻に、動物を
屠殺し、臓器の放射能を定量した。結果を、臓器総重量
当たりの、局在する動物に注入した総カウントのパーセ
ントとして表す。
【0077】図11は、放射標識したArg Heli
x #2の、麻酔モルモットの尿中へのクリアランスを
表す図である。麻酔した動物に、ペプチド(3.7mg
/kg)を注入した。2時間および4時間に、尿試料を
採集し、シンチレーション分光分析に供した。ヘパリン
投与動物および非ヘパリン投与動物について、注入した
総cpmのパーセントを示す。
【0078】ヘパリン投与動物では、ペプチドは、注入
後4時間でさえも実質的に全く臓器に失われず、尿中の
総放射能は〜4時間に減少した。したがって、これらの
結果から、いったんヘパリンと複合体を形成すると、複
合体のクリアランスの機序は、ペプチドのみのクリアラ
ンスの機序と異なることがわかる。
【0079】尿中で確認されたArg−Helix #
2に由来する放射標識フラグメントの特性化 Arg Helix #2がタンパク質分解されたかど
うかを決定するために、ペプチド5.77mg/kgを
注入した非ヘパリン投与動物の尿の一部を、アセトニト
リル(1:1)で連続処理し、次いで、1N HCl中
で3分間沸騰させ、最後に、尿中の高分子量成分を除去
するために限外濾過(5000NMWCO)することに
より、除タンパク質化した。次いで、あらゆる放射標識
成分を分離し、同定するために、濃縮試料を逆相HPL
Cに供した。図12からわかるように、試料を徹底的に
除タンパク質化しようとしたが、UVトレース(上図)
は、依然として多くのUV吸収成分の存在を示してい
る。しかし、シンチレーショントレース(下図)は、A
rg Helix #2由来の2つの放射標識フラグメ
ントを示しただけであった。(これは、この勾配で、2
6分に溶離する)。アミノ酸組成物分析および配列分析
で両フラグメントを特性化しようと試みたが、調製物中
に無関係のタンパク質/ペプチド成分が存在しつづけた
ため、生成物の陽イオンを完全に同定することができな
かった。
【0080】したがって、この時点で、元のままのペプ
チドは尿中に全く排泄されず、Arg Helix #
2由来のタンパク質分解フラグメントのみが腎を通って
濾過されると、安全に結論することができる。次の実験
では、放射標識ペプチドフラグメントをさらに分割し、
分離し、次いで、アミノ酸分析および/またはES/M
S技術で明白に同定するするために、精製(順相HPL
C、TLC、強力陽イオン交換イオン交換クロマトグラ
フィ)のステップをさらに組み込む。次に、血漿半減期
を延長するために、耐蛋白分解結合をペプチドに組み込
む。
【0081】図12は、#2に由来する放射標識フラグ
メントの逆相HPLC分析の結果を表す図である。非ヘ
パリン投与動物から4時間に採集した尿の分析結果を示
す(2時間に採集した尿で、本質的に同じ結果が得られ
る)。除タンパク質化した尿を、18カラム(Colu
mn Resolution, Inc.、 4.5m
m×25cm、5μ)を用いた逆相HPLCに供し、溶
剤B10%から溶剤B80%の直線的勾配(35分、1
ml/分)で展開した(溶剤A:水中、0.1%(v/
v)トリフルオロ酢酸(TFA)、溶剤B:水中、0.
1%(v/v)TFAに溶解した80%(v/v)アセ
トニトリド)。上図は、得られたUVトレース(OD
220mn)の複製であり、下図は、得られた連続シン
チレーション分光分析法トレースを表す。カラムの貫流
容量で溶離する2つの放射標識ペプチドフラグメントが
得られた。Arg Helix #2は、この勾配で2
6分に溶離する(矢印)。
【0082】実施例3:in vivoでヘパリン抗凝
固を効果的に逆転するBis−ArgHelix #
2。 本発明者は、ex vivo血漿aPTT分析結果によ
って予想される通りに、Bis−Arg Helix
#2がヘパリン誘導性抗凝固を逆転することができるか
どうかも試験した。この実験結果を図13に示す。
【0083】この実施例では、19.3mg/kgのB
is−Arg Helix #2を注入する5分前に、
ヘパリン(35単位/kg)を成体モルモットにIV投
与した。ヘパリンは、即座に、持続性のaPTT増加を
惹起し、循環から徐々に除去されたが、aPTTは、6
0分後でも依然として高かった。図からわかるように、
Bis−Arg #2は、直ちに(1分以内)凝固時間
をモルモットとしてはほぼ正常な42秒に回復させた。
【0084】したがって、Bis−Arg Helix
#2は、in vivoでヘパリン抗凝固の逆転に有
効であり、したがって、プロタミン代替薬として非常に
有望である。
【0085】実施例4:培養大動脈平滑筋細胞に対する
ラセンペプチドの毒作用、ヘパリン誘導性平滑筋細胞増
殖阻害に対するラセンペプチドの作用 平滑筋細胞は、血管平滑筋細胞の成長を阻害するヘパリ
ン様化合物を産生し、これらのヘパリン様化合物は、血
管損傷部位で乱される血管のトーンを維持する上で調節
的な役割を演じるようである。プロタミンは、培養平滑
筋細胞の増殖を刺激し、ラットの平滑筋増殖性病変を悪
化させ、ヘパリン誘導性平滑筋細胞増殖阻害を競合的に
逆転することが証明されている(41、42)。ラセン
ペプチドが培養大動脈平滑筋細胞に有毒(溶解を惹起す
る)かどうか、また、ラセンペプチドがヘパリン(およ
び19で検討されている通りに調製された様々なヘパリ
ン代替薬)の有益な成長阻害作用に拮抗するかどうかを
決定した。食肉解体処理で収穫されるウシ大動脈は、P
el Freeze, Inc.(LittleRoc
k, AR)から入手し、冷蔵庫に入れて宅配便で研究
所に輸送した。本質的にEdelmanらの記載の通り
に、平滑筋細胞の初代培養を調製した(41,42)。
10%ウシ胎仔血清(FCS)を加えたDMEM培地に
細胞を継代し、接着細胞を形態学的に平滑筋細胞として
同定し、平滑筋細胞アクチンに対する抗体で染色した
(RBHから市販されているphotos)。細胞はミ
オシンに対する抗体で染まらなかったため、これがネガ
ティブコントロールの役割を果たした。以上の基準によ
り、接着細胞は平滑筋細胞である。
【0086】図14は、大動脈平滑筋細胞生育能に対す
る被験ペプチドの作用を表す図である。この分析では、
第5の継代大動脈平滑筋細胞をトリプシン処理し、カウ
ントし、96微量滴定プレートのウェル当たり約100
0細胞を加えた。penstrepおよび0.4%(v/v)F
CSを含有するDMEM培地中で、細胞の成長を2日間
停止した。、不完全培地を除去し、10%(v/v)F
CSを含有する培地±被験ペプチドを補充した。
【0087】試験したペプチドには、プロタミン、Ar
g Helix #2、およびK12 1−A134ペプチド
が、最終濃度5、50または500μg/mで含まれて
いた。細胞をさらに4日間成長させ、次いで溶解した細
胞の割合(%)を決定した。酵素系分析システム(Cy
toTox96 Non−Radioactive C
ytotoxicity Assay Kit, Pr
omega Corp、製造業者の指示に従って実
施)。細胞溶解率を、3回の測定値の平均±1s.d.
として表す。
【0088】毒性試験で、培地のみで成長させた細胞と
比較すると、試験した各濃度で、プロタミンは有意な培
養平滑筋細胞溶解を惹起した(図14)。対照的に、B
is−Arg Helix #2、Arg Helix
#2、またはK121−A134ペプチドは、中等度の細胞
溶解を惹起するにとどまった。被験試薬の存在下でより
長時間(10日まで)インキュベートすると、プロタミ
ンは、50μg/mlで65%を上回る細胞溶解を惹起
したが、いずれのラセンペプチドもさらなる細胞溶解を
惹起しなかった(データ示さず)。したがって、ヘパリ
ン抗凝固を逆転するには、より高用量のラセンペプチド
が必要と考えられるが、使用される用量で、血管平滑筋
細胞の溶解は発生しないと予測される。
【0089】ラセンペプチドがヘパリン誘導性平滑筋細
胞増殖阻害を逆転する力を評価するために、先ず、平滑
筋細胞増殖に対するヘパリンの作用を証明した。第5継
代後にトリプシン処理することによって平滑筋細胞を採
集し、図13の説明に記載の通りに成長を2日間停止さ
せ、ウェル当たり約1000細胞をプレーティングし
た。
【0090】次に、漸増する濃度のヘパリンの存在下
(または非存在下)で、細胞を6日間増殖させた。用量
依存的に、ヘパリンは、平滑筋細胞の増殖を阻害した
(表3)。この作用は、インキュベーション時間を増加
させるとさらに著明であるが、比較しやすくするため
に、表3の結果は全て、ヘパリンおよび/または被験ペ
プチドの存在下での6日の成長を表す。
【0091】次に、プロタミン、Arg Helix
#2、#3、#4またはBis−Arg Helix
#2が、その固有のヘパリンを結合する力によって、ヘ
パリン誘導平滑筋成長阻害を逆転することができるかど
うかを決定し(表3)、試験した全ての試薬の中で、プ
ロタミンのみがヘパリン誘導性細胞成長阻害を完全に逆
転した。500μg/mlまでの濃度で試験したラセン
ペプチドの中で、ヘパリン阻害後に細胞成長を回復した
ものはなかった。興味深いことに、2つのβ鎖ペプチ
ド、ATIIIの一次配列に基づくK121−A134(20、
21)およびvon Willebrand因子の一次
配列に基づくK569−I580(17、18)は、ヘパリン
誘導性細胞成長阻害の逆転に中等度に有効であった。し
たがって、抗平滑筋細胞増殖を仲介するヘパリンの単位
構造は、αラセン上に存在する陽イオン基よりもβ鎖に
存在する陽イオン基に相補的であると推測される。さら
に重要なことは、ペプチドは、抗平滑筋細胞成長ヘパリ
ン種に結合しない、したがって、ヘパリンの望ましい性
質を実質的に妨害すると結論できることである。
【0092】
【表3】
【0093】*各数値は、ヘパリンに被験ペプチドを加
えたものと共にインキュベートした細胞では、6回の測
定の平均値であり、培地またはヘパリンのみの中でイン
キュベートした細胞ではまたは少なくとも18回の測定
の平均値である。
【0094】酵素系分析システム(Cell Tite
r96 AQUEOUS Non−Radioacti
ve Cell Proliferation Ass
ay(Promega Corp.)を使用して、細胞
増殖を測定する。外的に加えた基質の着色生成物への変
換を、代謝的に活性な細胞の存在下で、デヒドロゲナー
ゼ酵素によって実施する。
【0095】要約すると、これらの実験から、ラセンを
主成分とするペプチドは、結合およびヘパリンの抗凝固
作用の逆転にプロタミンほど有効ではないが、平滑筋細
胞に対して非毒性であり、ヘパリンの平滑筋細胞増殖阻
害に拮抗せず、ヘパリンの作用をin vivoで逆転
することが実証される。さらに、ラセンを主成分とする
ペプチドは、肝臓を介して排除される組換え血小板第4
因子で観察される機序とは異なるに違いない機序で、血
漿から主として尿中に排除される(44)。最後に、ラ
センペプチドの多数のコピーによって、in vivo
有効性が有意に上昇することも証明されている。
【0096】実施例5:生物物理学的方法(円偏光二色
性分光分析法、等温滴定熱量測定)および競合結合分析
で斬新なアンタゴニストの力価を実証する Arg Helix #2と比較してヘパリン結合能を
高める目的で、Bis−Arg Helix #2を調
製した。結果から、第Xa因子分析およびaPTT分析
において、結合配列の多数のコピーはヘパリン結合およ
び力価を増強するという仮説が裏付けられる。しかし、
ヘパリン誘導性抗凝固の逆転において、Bis−Arg
Helix #2は、in vivo薬剤として、未
だプロタミンほど強力ではない。したがって、有害作用
を惹起せずに、そのin vivo効力を増強するため
に、Arg Helix #3のコピーが3、4、5、
6または8個組み込まれているペプチドの生物学的力価
を測定する。
【0097】方法 ペプチド合成は全て、本質的に前に詳述した通りに(1
6−21)tBOC化学またはFMOC化学のいずれか
を使用して(および特別の場合には、直行合成計画で両
化学を使用して)自動固相手順で実施する。すべてのペ
プチドを、分離用逆相HPLCで(適宜、他のクロマト
グラフィーと併用して)、N末端相同性まで精製する。
各ペプチドの純度を、分析用逆相HPLC、定量的アミ
ノ酸組成分析物、自動N末端配列分析、および場合によ
っては、質量分析で評価する。円偏光二色性分光分析法
を定型的に使用して(16〜18,21)、ヘパリンが
結合ペプチドと複合体を形成するとき(または解離する
とき)に生じる二次構造成分の再分布を特徴付けする。
短鎖ペプチドおよびリガンドを含む結合事象を定量する
ために等温滴定熱量測定を使用する手順が当研究所で開
発されており(18、20、21、48)、様々なペプ
チドとヘパリンとの間の結合反応の定量に応用して成功
をおさめている(18、20、21)。1つの実験か
ら、会合定数、および複合体形成のギブスの自由エネル
ギー(ΔG、kcal/mol)へのエンタルピー(Δ
H、kcal/mol)寄与およびエントロピー(Δ
S、eu)寄与が決定される。単位ヘパリンポリマー分
子量15,000を使用して、ペプチド当量当たりの、
結合したリガンド分子(ヘパリン)の化学論Nも決定さ
れる(19)。合成ペプチドが、未分画ヘパリンに結合
する自然のATIIIと競合する力を測定するために、本
発明者は、Teienら(51)のヘパリン分析法に基
づく競合結合分析法を開発した(20)。この分析法で
は、因子X(Xa)酵素活性の中和によって、ヘパリン−
抗トロンビン複合体形成を測定する。間単位記述する
と、ヘパリン(28nM)、精製ヒトATIII(280n
M)および被験ペプチド(0〜10μM)を、微量滴定
プレートのウェル中、室温で15分間、共インキュベート
する。第Xa因子および第Xa因子の発色性基質を順次
加え、残余第Xa因子活性を、熱量測定法的に測定す
る。被験ペプチドがヘパリンの抗トロンビンドメインに
結合すると、ヘパリン−抗トロンビン複合体の形成が減
少し、結果的に、さらに多くの残余Xa活性が観察され
る。ペプチドによる阻害の程度を、ペプチドの非存在下
でのヘパリン−抗トロンビン複合体活性の減少率として
算出する(21,22)。
【0098】調製した新しい構造 1つのC末端テザー残基上に、ペプチドのコピーが3、
4、5、または8個組み込まれているArg Heli
x #3の反復単位の「樹状」構造を調製する。Arg
Helix #3は、Arg Helix #2より
も鎖長が短く(したがって、調製しやすい)、Arg
Helix #2の結合活性の80%を保持しているた
め、Arg Helix #3を合成単位として選択す
る。適当に保護されたLys残基でα−アミノ基および
ε−アミノ基も置換されているLys−βAla−WA
NG合成樹脂コア上に、樹状構造を作る。このようにし
て、標的ペプチドの複数のコピーを組み込むことができ
る対象に「アーム」が作られる。いったん合成される
と、開裂および精製は比較的簡単であり、一般に、1回
の合成で、必要な生物物理学的分析および生物学的分析
を全て実施するのに十分以上の400mgの最終生成物
が得られる。
【0099】ラセンの陽イオン面上に存在する配列スペ
ーシングおよび/またはArg残基数が増加している、
ヘパリンに対して潜在的に高い親和性を有するさらなる
ラセンペプチドを生成する。すなわち、実際に、少なく
とももう1つ多いラセンに適合するようにラセンの鎖長
が増加すると、末端五糖類単位のスルフェート基に近接
して並列するArg残基が存在するようになり、その少
なくとも1つが、Arg Helix #2/糖類ドッ
キング構造で静電連絡しないようである。このようにし
て、Arg Helix #5(スクシニル−AEAR
ARRAAARAARRAAARRA−NH2)が合成
され、これに、スルフェート基に匹敵する位置にさらな
るArg残基を入れなければならない。
【0100】実施例6:血漿に基づいたin vitr
o分析法および動的動物モデルを使用して、新規ヘパリ
ンアンタゴニストの効力および特異性を確認する。 本発明のペプチドのプロタミン代替薬としての有用性を
さらに評価するために、臨床的に適切な状況でin v
itro力価を検証することが可能である。
【0101】方法 in vitro aPTT分析法および第Xa因子分
析法。ある用量範囲のプロタミンまたはペプチドアンタ
ゴニストを、プールしてヘパリン処理した(0.25単
位/ml)ヒト血漿に加え、自動フィブロメーターおよ
びSimplastinII試薬を使用して、aPTT分
析を実施する。同じ部分標本を取り分けて(PTT試薬
を加える前に)、第Xa因子分析法で残余ヘパリン活性
を測定する(19、21、22)。この2つの分析法は
相補的である。PTTは、ATIIIの触媒作用、ならび
に直接ヘパリン−トロンビン相互作用およびヘパリン補
助因子IIの作用を含む、ヘパリンの抗トロンビン作用の
世界的測定法である。残余Xa活性は、被験ペプチドに
よるATIII−ヘパリン複合体形成の特異的阻害を示
す。in vivoモデル。被験作動物質を注入する5
分前に、一定量のヘパリンを、頚静脈から麻酔モルモッ
トに注入する。上述の通りに、第Xa因子活性およびP
TTを定期的に測定することにより、ヘパリン逆転の速
度論および特性を決定する。
【0102】分析/解釈 in vitro試験の場合、図3および図6に示す用
量応答曲線を作成し、PTTまたはXa活性を正常の9
0%まで回復するのに必要なペプチドの用量を算出す
る。動物モデルの場合、10分で90%回復するペプチ
ドの用量を算出する。成功したin vivo実験の結
論は、ヘパリンの抗凝固作用の用量−応答中和である。
【0103】実施例7:平滑筋増殖モデルにおけるヘパ
リンの抗増殖作用とヘパリンアンタゴニストの相対的干
渉の決定および培養血管平滑筋細胞に対する毒性の評
価。 詳しく上述した通り、プロタミン治療の第一の問題は、
プロタミンが全てのヘパリンに無差別に結合し、その結
果、内因性ヘパリンまたは外因性ヘパリンによって提供
される有益な平滑筋細胞抗増殖活性阻害を無効にするこ
とである。したがって、プロタミンは実際に平滑筋細胞
増殖を促進し、血管傷害部位に病変(および再狭窄)を
来す。本発明のラセンを基本とするペプチドは、ヘパリ
ン誘導性平滑筋細胞増殖を妨害せず(図13)、且つ増
殖している培養血管平滑筋細胞に対して有毒ではない
(表3)。この実験で、血管平滑筋細胞に対するラセン
ペプチドおよび後続の誘導体の生物学的作用をさらに評
価する。
【0104】方法 平滑筋細胞増殖に対する被験ペプチド(およびプロタミ
ン)の作用を、大動脈から培養した血管平滑筋細胞で測
定する。簡単に記載すると、ウシ胎仔血清を加えた培地
を用いて、G0相から放出される培養細胞を、ヘパリン
を含む、または含まない、漸増する濃度の被験ペプチド
またはプロタミンに曝露する。6日間成長させた後、細
胞を洗浄し、トリプシン処理によって回収し、非放射性
酵素分析法(Promega Aqueous Non-Radioactive Cell P
roliferation Assay)で細胞数を決定する。この分析方
法で、ウシ胎仔血清含有培地中での成長を基準にした、
ヘパリン存在下での阻害、または被験作動物質(プロタ
ミンまたはペプチド)が存在することによる阻害の逆転
を算出する。
【0105】平滑筋細胞生育能に対する作用も、非放射
性分析法で評価する。ウシ胎仔血清を加えた培地を用い
て、G0相から細胞を放出させ、漸増する濃度の被験ペ
プチドまたはプロタミンに曝露する。4日間成長させた
後、酵素系分析システム(CytoTox96 Non-Radioactive
Cytotoxicity Assay Kit, Promega Corp)を使用して、
培地のみでの成長を基準にした溶解細胞率(%)を決定
した。ペプチド作動物質の各用量を、少なくとも3回実
施した。
【0106】分析/解釈 本ラセンを基本とするペプチドは、ヘパリンの抗平滑筋
増殖単位構造を認識しない。この単位構造は、抗凝固五
糖類単位構造またはvon Willebrand因子
結合単位構造のいずれとも化学的に異なることが、さら
なるデータから示唆される。
【0107】本発明者が収集したデータから、上記の3
つの単位構造(抗平滑筋細胞増殖単位構造、ATIII五
糖類単位構造、およびVWF単位構造)は、同じヘパリ
ンポリマー鎖上ではあるが、重複しない、異なる部位に
存在することが示唆される。したがって、本ラセンを基
本とするペプチドは、見かけ上、抗凝固ヘパリンを結合
する力を保持しているが、平滑筋細胞増殖を刺激した
り、ヘパリンの細胞成長阻害調節に影響したりしない。
【0108】実施例8:薬物動態学を最適化するための
先導的ヘパリンアンタゴニストの構造的操作:タンパク
質分解感受性結合の置換 ラセンペプチドのN末端およびC末端に、それぞれ、血
漿由来のアミノペプチダーゼまたはによる分解から保護
するアシル化およびアミド化を行った。しかし、図から
わかるように(図8〜12)、放射標識したArg H
elix #2は、血漿から急速に排除され、回収され
たペプチドの大半は尿中に排泄されていた。尿中に回収
された放射標識フラグメントの同一性を事前に決定しな
かったが、注入後2時間または4時間のいずれにも、
のままの(intact)ペプチドが尿中に確認されないことは
明白であった。したがって、ペプチドはタンパク質分解
されている。陽イオン電荷密度の高い表面が、ヘパリン
とペプチドとの間の結合を仲介するため、全て(D)立
体配置のペプチド(表面がペプチド主鎖の反対「側」に
ある逆ラセンになる)は、全て(L)立体配置のペプチ
ドと同じぐらい機能的であると安全に予想することがで
きる。あるいは、Arg Helix #2のタンパク
質分解部位を決定することのより、耐タンパク質分解結
合(還元型の、Ψペプチド結合、N−メチルペプチド結
合)をペプチド配列内に組み込むことが可能になる。
【0109】方法 除タンパク質化した尿試料から十分に純粋な放射標識フ
ラグメントを得るためには、さらなるステップが必要で
ある。このステップには、順相シリカクロマトグラフィ
ー、薄層クロマトグラフィー、強力陽イオン交換クロマ
トグラフィー等が含まれ、帯電したペプチドフラグメン
トが尿の高分子量タンパク質/ペプチド成分から分離さ
れる可能性がある。いったん(逆相HPLCで)1つの
ピークに精製されると、アミノ酸、N末端配列、および
/または質量分析でフラグメントを特性化する。
【0110】全て(D)立体配置ペプチドの合成は、全
て(L)立体配置ペプチドの合成ほど難しくない(高価
なだけである)。N−メチルまたは還元形Ψ−ペプチド
結合誘導体の生成は、本質的に、他のペプチド類縁体に
関する記載通りに行われる(52)。
【0111】いったん合成経路が確定したら、ペプチド
合成中に、特定の放射標識アミノ酸を特定の鎖位置に
(たとえば、L−[U−14C]−Ala)組み込む放射
標識ペプチドを調製する。次いで、上述の通りに、放射
標識ペプチドを麻酔モルモットに投与し、経時的に、血
液試料および尿試料を採取する。屠殺時に、臓器試料を
入手する。各資料の部分標本をシンチレーション分光分
析法でカウントし、尿(および血漿)の別の部分標本を
徹底的に除タンパク質化して、上述の通りに、分解性生
物の同一性を(存在する場合)確認する。
【0112】分析/解釈 耐蛋白分解結合を操作することにより、先導的ラセン化
合物の血漿中半減期を延長する。注入された放射標識A
rg Helix #2の多くは、試験した血漿試料中
または組織試料中に存在しないが、放射標識プロタミン
または放射標識組換え血小板第4因子を注入した場合に
も、同じ挙動が確認されている(44)。循環からの放
射標識のクリアランス速度を測定し、循環中で放射標識
ペプチドから得られる分解生成物の同一性を決定する。
【0113】実施例9:イヌ心血管手術モデルにおける
ヘパリン結合ペプチドの効力および毒性の測定:陽イオ
ン急性毒性の定量−血行力学および血球。 プロタミンの急性心血管毒性および血液学的毒性は、新
規ヘパリンアンタゴニストの開発を支える原動力であ
る。したがって、確立されたイヌ心血管手術モデルで、
先導的化合物を評価することが可能である。プロタミン
と各先導的化合物との間で、有害な血行力学的作用およ
び血小板数および白血球数の減少について比較すること
が可能である。
【0114】一般的方法 Wakefieldら(53)によって記述され検証さ
れたイヌモデルを改良して使用した。ペントバルビター
ルナトリウム15mg/kgでメス雑種犬(12〜15
kg)を麻酔し、挿管、機械的換気、および血行力学的
モニタリング用および止血モニタリング用の完全インス
トルメンテーションを実施する。各実験で、標準ヘパリ
ン投与(100U/kg)を行う。安定させた後、血行
力学的作用を最大化するために、プロタミン(1mg/
kg)または先導的アンタゴニスト(in vitro
研究で決定された最適用量)を急速(10秒)ボーラス
静脈内注射で投与する。
【0115】血行力学的方法 下記の実時間測定を実施する。平均動脈圧(MAP)、
脈拍(HR)、および動脈カテーテルによる全身系動脈
飽和(SaO2)、肺動脈収縮期血圧および拡張期血圧
(PAS/PAD)、およびSwan−Ganz酸素測
定用カテーテルによる混合動静脈飽和(SvO2)、肺
動脈を対象とする電磁フロープローブによる心拍出量
(CO)、Fick の式 [流量×Hgb×1.34
(SaO2−SvO2)]による全身酸素消費(V
2)。測定の時期は、ヘパリン投与前のベースライ
ン、ヘパリン投与後であるが逆転の3分前、その後30
秒ごとに5分間、および10分、15分、および30分
である。以前の試験で、この時間間隔は、有意な血行力
学的変化を捉えるのに最適であった。
【0116】血小板減少および白血球減少 血小板数および白血球数をCoulter 計数器で測定するた
めに、ヘパリン逆転から−3、3、10および30分に
静脈血試料を採取する。
【0117】分析/解釈 各アンタゴニストを異なる5〜7匹のイヌで試験した。
動物を回復させ、他と無関係に、任意の順序で、別々の
週に、各化合物について試験する。先導的化合物を2〜
3回とプロタミン(対照)を投与して、各動物を4回試
験してから屠殺する。各アンタゴニストの血行力学的毒
性は、薬剤投与後5分のMAP、Co、VO2およびH
Rの最大変化から導かれる合計毒性得点(TTS−参考
文献53)に要約される。血小板および白血球につい
て、各パラメーターを個々に比較する。先導的ペプチド
は、ヘパリンと比較して、血行力学的抑制は有意に少な
く、血小板減少および白血球減少は少ない。
【0118】実施例10:全動物モデルにおけるヘパリ
ンアンタゴニストの止血効力の評価。 この実験で、上述のin vitro実験を確認するこ
とができる。適当な心血管手術モデルにおいて、先導的
化合物が止血能力を回復する効率の実際的なin vi
vo確認
【0119】方法 上述と、同じモデルおよび調製物を使用する。血行力学
的モニタリングを実行しながら、同時に、ヘパリン逆転
から−3、3、10および30分の止血試験用静脈試料
を分析する。活性化凝固時間(ACT)、aPTT、血
漿抗Xa活性、および出血時間を試験に含める。さらに
3匹の対照動物に、ヘパリンのみと、アンタゴニストの
代わりの生理食塩水プラシーボとを投与する。
【0120】さらに、安楽死の前に、各イヌについて、
心血管移植片止血の外科モデルを最終実験で実施する。
被験ペプチドおよびプロタミンを5〜7匹の異なる動物
で任意の配列で試験するため、各動物にとって、一連の
試験の最後に、外科モデルを実施し、各アンタゴニスト
について外科モデルの試験が5〜7つ行われる。この実
験で、全身麻酔下、大腿動脈を露出し、管理し、ヘパリ
ン投与中に、未使用の、多孔性の編成ダクロン移植片
(10×5mm)のダクロンパッチを縦動脈切開に縫い
付ける。パッチをあてた区画を通って血流が回復した
後、アンタゴニストでヘパリンを逆転する。経験から、
ヘパリンの非存在下で、このダクロンパッチはかなり出
血し、次いで、移植片間隙を原線維で密閉すると止まる
ことがわかっている。外科手術領域から吸引することに
よって、流出した血液総量を測定し、移植片止血までの
時間も記録する。このモデルは、血液−人工装具表面相
互作用を含む、心血管手術中に遭遇する止血処置の、現
実に即した酷似物である。
【0121】分析/解釈 すべての時間間隔に、ヘパリンのみ、プロタミン、およ
び先導的化合物の間で止血パラメーターを比較する。失
血総量、パッチ移植片が止血するまでの時間から導かれ
る出血指数を、異なるアンタゴニストの臨床上の実際の
効力の比較に使用する。個々のin vitro止血分
析は、止血処置の臨床モデルにおけるアンタゴニストの
機能的効力を正確に表さないため、このパラメーターは
重要である。
【0122】実施例11:免疫原性を含む、急性毒性試
験および反復投与毒性試験。 この実験では、前述の薬理学的用量の作用、およびペプ
チドアンタゴニストによる免疫感作の可能性を評価す
る。
【0123】方法 雌雄モルモット5匹のグループおよびオス3匹とメス3
匹のウサギのグループ(軽く麻酔)に、被験化合物の9
0分静脈内注入を1回行う。予想される用量は、2つの
異なる実験で、0(プラシーボ)、1、および10mg
化合物/kg/分である。血圧および脈拍のモニタリン
グ、止血試験、血小板数および白血球数、急性溶血の証
拠のための静脈血試料によって、即時効果を評価する。
動物を、注入後14日間観察し、次いで、死後に、心
臓、脾臓、腎臓、肝臓、脳および骨格筋に対する肉眼的
変化および組織学的変化を検査する。
【0124】反復投与試験では、雌雄モルモットおよび
ウサギを4群に分ける。1群にプラシーボを投与し、他
群に漸増する用量の被験化合物(mg/kg/日のレベ
ルでl)を投与する。投与を、毎日、2週間繰り返し、
次いで、死後に、肉眼的組織化学的変化および組織に対
する形態学的変化について動物を検査する。ペプチドを
プレート上に固定し、結合したウサギまたはモルモット
の血清抗体を二次抗体で検出する従来の固相ELISA
分析法を使用して、注入されたペプチドに対する抗体に
ついて、急性投与実験および反復投与実験後の動物の血
清を定期的に試験する。
【0125】分析/解釈 本発明のラセンを基本とするペプチドは、麻酔モルモッ
トおよび培養血管平滑筋細胞に対して非毒性であること
が既に証明されている。
【0126】実施例12:TR3 CONSTのヘパリ
ン結合特性 この実験では、上述の等温滴定熱量測定(実施例1およ
び5、および図16を参照)によって、TR3 CON
STのヘパリン結合特性が証明された。この実験を実施
するために、30mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶
解した15μMTR3 CONSTを熱量計セルに入
れ、30℃で平衡化させた。初期濃度100μMで、ヘ
パリンを滴下用注射器に入れた。下記の結果が得られ
た。
【0127】
【表4】
【0128】Tris−Arg HELIX #3の場
合と同様、TR3 CONSTによるヘパリンの結合は
エンタルピー的に推進され、エネルギー的に有利であ
る。TR3 示差走査熱量分析で、CONSTの分子挙
動を試験した。ここで、(図17)、化合物が吸熱サー
モグラムを示し、2つのサブドメインを含む可能性があ
ることがわかる。2つのサブドメインの融点(Tm)
は、それぞれ、35.5℃および43.1℃である。ヘ
パリンと複合体を形成すると(図18)、曲線下面積
(ΔH)は有意に減少し、第1ドメイン構造(Tm 3
5.5℃)が存在する証拠はない。第2ドメイン構造
(Tm43.1℃)は依然として存在する。
【0129】我々は、これを、ヘパリンの結合によっ
て、結合ドメイン(ラセンアーム)はもはや熱誘導性変
性を受けない状態まで複合体の熱安定性が高くなった
が、この第2ドメイン構造(「拘束テザー領域」に対応
する)はヘパリン結合による影響を受けず、依然として
熱誘導性変性を受けることを意味すると解釈する。
【0130】分子モデリング(図19)で、提示のTR
3 CONST(Lys−Lys−Pro−DAPA−
Glu−アミド)の臨界テザー領域の構造が明らかにさ
れる。ペプチド主鎖の固有の性質上、テザー領域は、
(テザーの)Lys1のε−アミノ基と、(テザー)の
Glu4のγ−カルボキシ基との間の生産的「イオン
対」の形成によって、拘束された構造内に「閉じ込めら
れる」。ペプチドのラセンアームの組み込みの部位間距
離をオアングストロームで示す。
【0131】さらに、上述の方法(実施例2参照)を使
用して、活性化部分トロンボプラスチン時間分析を実施
した。このex vivoバイオアッセイの結果(図2
0参照)から、TR3CONSTは、Tris−ARG
Helix#3より約3倍強力である(IC50 0.
5μM)ことが明らかに証明される。合わせて考える
と、これらのin vitroデータおよびex vi
voデータから、TR3CONSTは、in vivo
で有効に機能するであろうことが明らかにわかる。
【0132】様々な具体的な物質、手順、および実施例
に言及することにより、本発明を本明細書に記述し、例
を挙げて説明してきたが、本発明は、特定の物質、物質
の組み合わせ、およびその目的のために選択された手順
に制限されないと理解される。このような詳細の多くの
変更が含まれ、当業者はこれを理解するであろう。
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】Bis−Arg Helix #2(上図)、
Tris−Arg Helix#3(下図)の構造を表
す。
【図2】Tetra−Arg Helix #3(図1
C)の構造を表す。
【図3】残余第Xa因子酵素活性で測定した、ヘパリン
/ATIII複合体形成に対するラセンペプチドの阻害作
用を表す。分析は、前述の通りに行った(20、2
1)。
【図4】Lys Helix #1とヘパリンの五糖類
単位構造との間に形成された、刺激された「ドッキング
した」複合体の立体図を表す。
【図5】Arg Helix #2とヘパリンの五糖類
単位構造との間に形成された、刺激された「ドッキング
した」複合体の立体図を表す。
【図6】残余第Xa因子酵素活性で測定した、ヘパリン
/ATIII複合複合体形成に対するラセンペプチドの阻
害作用を表す。
【図7】aPTT分析で判断した、血漿中ヘパリンのi
n vitro中和を表す。ヘパリン処理したヒト血漿
(0.15μ/ml)を、漸増する濃度のアンタゴニス
トで中和した。
【図8】ヘパリン投与モルモットおよび未ヘパリン投与
モルモットにおける、放射標識したArg Helix
#2の最終結果を表す。
【図9】非ヘパリン投与麻酔モルモットにおける、放射
標識したArg Helix#2の臓器分布を表す。
【図10】ヘパリ投与麻酔モルモットにおける放射標識
したArg Helix #2の臓器分布を表す。
【図11】放射標識したArg Helix #2の麻
酔モルモットの尿中へのクリアランスを表す。
【図12】Arg Helix #2から誘導された放
射標識フラグメントの逆相HPLC分析を表す。
【図13】aPTT分析で判断した血漿中ヘパリンのi
n vivo中和を表す。
【図14】大動脈平滑筋細胞生育能に対する被験ペプチ
ドの作用を表す。
【図15】Tris Arg #3 Constrai
ned(「TR3 CONST」)の構造を表す。
【図16】TR3 CONSTの等温滴定熱量測定に関
するフィットパラメーターを表す。
【図17】ヘパリン非存在下での、TR3 CONST
の示差走査熱量分析の結果を表す。
【図18】ヘパリン存在下での、TR3 CONSTの
示差走査熱量分析の結果を表す。
【図19】提示したTR3 CONSTの臨界テザー領
域の3−D構造を表す。
【図20】ヘパリン活性逆転の活性化部分トロンボプラ
スチン時間ex vivoバイオアッセイの結果を表
す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式で表されるTris−Arg
    Helix #3Constrainedを含んでなる
    ヘパリン結合分子。 【化1】 式中、ARG HELIX #3は、N(アセチル)−
    AEARARRAAARAARRA−C(O)であり、
    DAPAは2,3−ジアミノプロピオン酸を表す。
  2. 【請求項2】 アミノ酸が全てD−アミノ酸である請求
    項1に記載のヘパリン結合分子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のヘパリン結合分子およ
    びその担体を含んでなるヘパリン結合組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のヘパリン結合組成物お
    よびその薬学的に許容できる担体を含んでなる医薬組成
    物。
  5. 【請求項5】 インスリンをさらに含んでなる請求項4
    に記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 前記組成物が局所投与に適したものであ
    る請求項4に記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載のヘパリン結合組成物
    を、治療を必要とする哺乳類の血漿ヘパリンレベルを低
    減させるのに有効な量で前記哺乳類に投与することを含
    む哺乳類の血漿ヘパリン含有量を低減させる方法。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載のヘパリン結合組成物
    を、ヘパリンの抗凝固作用を低減させるのに有効な量
    で、治療を必要とする哺乳類に投与することを含む哺乳
    類のヘパリンの抗凝固作用を低減させる方法。
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