JP2000133654A - バイポーラトランジスタの製造方法 - Google Patents

バイポーラトランジスタの製造方法

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JP2000133654A
JP2000133654A JP10302169A JP30216998A JP2000133654A JP 2000133654 A JP2000133654 A JP 2000133654A JP 10302169 A JP10302169 A JP 10302169A JP 30216998 A JP30216998 A JP 30216998A JP 2000133654 A JP2000133654 A JP 2000133654A
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emitter
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Taiichi Shiina
泰一 椎名
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベース層の水素濃度が低く良好な特性を示す
バイポーラトランジスタを簡易な製造工程で経済的に製
造する方法を提供する。 【解決手段】 本製造方法は、有機金属気相成長法を用
いて、Ga As 基板上に、それぞれ、化合物半導体から
なる、コレクタ層16、18、炭素をp型不純物として
含むベース層20、エミッタ層22、エミッタキャップ
層24を、順次、エピタキシャル成長させてエピタキシ
ャル層を形成する過程で、エミッタ層の成長開始以降で
かつ電極層の成長開始前に、水素・砒素非直接結合型有
機砒素化合物ガスを含み、かつ、水素と砒素が直接結合
している砒素化合物ガスを含まない水素雰囲気下で60
0℃以上700℃以下の温度で熱処理をエピタキシャル
層に施す。これにより、ベース層中の水素を放散させ、
かつベース中の不純物である炭素を活性化させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素をp型不純物
として含むベース層をGa As 基板上に有するバイポー
ラトランジスタの製造方法に関し、更に詳細には、通電
初期でも安定した電流増幅率を示し、かつ長時間通電し
ても電流増幅率が低下しないGa As 系バイポーラトラ
ンジスタを経済的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(He
terojunction Bipolar Transistor,HBT)は、ベース
層よりバンドギャップ・エネルギーの大きな化合物半導
体をエミッタ層に使ったトランジスタであって、ベース
層からエミッタ層への少数キャリアの注入がバンドギャ
ップ・エネルギーの大きなエミッタ層によって抑制され
ることにより、電流利得が大きくなる利点を有する。こ
のような利点から、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ
は、移動体通信の増幅素子として広く使われていて、特
に、Ga As 基板上に作製されたバイポーラトランジス
タはトランジスタ特性が良好であることから、その用途
が広がっている。
【0003】ここで、図4を参照して、代表的なGa A
s 系ヘテロ接合バイポーラトランジスタの構成を説明す
る。図4に示すヘテロ接合バイポーラトランジスタ40
は、Ga As 基板上に形成されたGa As 系ヘテロ接合
バイポーラトランジスタであって、基本的には、半絶縁
性(SI)Ga As 基板42上に、n+ −(高濃度n型
不純物含有)Ga As 46、n−(低濃度n型不純物含
有)Ga As (又はi(真性)Ga As )コレクタ層4
8、p+ −(高濃度p型不純物含有)Ga As (又はA
lGa As )ベース層52、n−AlGa As エミッタ
層54、n−Ga As (又はAlGaAs )エミッタキ
ャップ層(又は第2エミッタ層)58、及び、n+ −I
nGaAs 電極層59を備えている。コレクタ層46、
ベース層52、及びエミッタキャップ層58は、それぞ
れ、その上面に、コレクタ電極44、ベース電極50及
びエミッタ電極56を備えている。炭素(C)は、亜鉛
(Zn)やベリリウム(Be)などと比べて、拡散定数
が小さく、コレクタ層及びエミッタ層との境界で急峻な
濃度勾配のp型不純物層を作り易いという理由から、ベ
ース層52のp型不純物には、炭素が多用されている。
【0004】上述のGa As 系バイポーラトランジスタ
40を作製するには、従来、先ず、SI−Ga As 基板
42上に、順次、有機金属気相成長法(MOCVD法)
または分子線エピタキシー法(MBE法)により、n+
−Ga As 層46、Ga Asコレクタ層48、ベース層
52、エミッタ層54、エミッタキャップ層58、及
び、電極層59をエピタキシャル成長させて、化合物半
導体層のエピタキシャル層を形成する。次いで、電極層
59上にマスクを形成し、そのマスクを使って、沸酸と
過酸化水素水の混合液のような適当なエッチャントを使
って、電極層59、エミッタキャップ層58及び第エミ
ッタ層54を選択的にウエットエッチングして、エミッ
タメサを形成すると共にベース層52を露出させる。続
いて、エッチング工程、リフトオフ等による電極形成工
程等を経て、Ga As 系バイポーラトランジスタ40を
得ることができる。
【0005】ところが有機金属気相成長法を用いて、作
製したヘテロ接合バイポーラトランジスタ(以下、特に
断らないかぎり、バイポーラトランジスタと言う)を長
時間使用すると、ベース層中に混入した水素に起因し
て、電流増幅率が経時的に次第に低下することが知られ
ている(Bahl等 IEEE Electron Device Lett. 17, 44
6, 1996)。また、電流増幅率の経時的低下の問題とは
別に、従来の方法で作製したバイポーラトランジスタで
は、通電開始当初、例えば数秒から数十分の間の通電初
期に、電流増幅率が急激に増加するという、電流増幅率
の初期不安定性の問題がある。この現象が発生する原因
も、ベース層中の水素が再結合中心となって、電流を消
費しているためであることがわかっている(伏見等日本
物理学会講演概要集第53巻第1号第2分冊150頁1
p−T−5)。
【0006】ベース層に水素が存在するのは、MOCV
D法によるベース層のエピタキシャル成長中、砒素源と
して供給されたアルシン(AsH3 )等中の水素が、p
型不純物として供給される炭素と結合することにより、
ベース層に混入するからである。通電初期の電流増幅率
が極めて低いのは、通電当初、ベース層中に存在してい
るH+ が、注入された電子とホールの結合反応の触媒と
して働くために、注入された電流の半分ぐらいしか有効
に作用しないからであると言われている。そして、通電
開始後、時間の経過につれてH+ 自身が反応してH+
量が減少し行き、例えば、10秒後には、ベース層中に
+ が無くなって、H- のみになる。H- は安定であっ
て、電子を消費する反応の触媒として働かないので、電
流増幅率や電流は一定になる。
【0007】このように、ベース層中に水素が存在する
ことにより、電流増幅率を始めとして様々な問題が起こ
るため、ベース層中の水素量を低減化することが、バイ
ポーラトランジスタの製造方法の課題になっている。と
ころで、ベース層中の水素は、高温アニール処理を施す
ことにより、ベース層から放散して減少するので、これ
を利用して、従来、次のような処理方法が、提案され、
或いは実施されている。
【0008】第1の方法は、例えば特開平9−6405
4号公報に開示されているように、MOCVD法により
化合物半導体のエピタキシャル積層構造を形成し、次い
でエミッタメサを加工してベース層を露出させた後、不
活性ガス雰囲気中で500℃から600℃の温度で熱処
理を施し、ベース層中の炭素不純物を活性化させると共
にベース層中の水素を拡散脱離させる方法である。第2
の方法は、例えば特開平9−205101号公報に開示
されているように、先ず、MOCVD法によりコレクタ
層、ベース層、エミッタ層、及びエミッタキャップ層の
各化合物半導体エピタキシャル層を順次形成する。次い
で、不活性ガス雰囲気中で熱処理を施してベース層中の
炭素不純物を活性化し、続いて、エミッタキャップ層上
に第2のエミッタ層及び第2のエミッタキャップ層を、
順次、再成長させる方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した第1
の方法では、水素が、エッチングにより露出したベース
層領域から主として拡散脱離するので、ベース層中の水
素濃度にばらつきが生じるという問題があり、また、エ
ミッタメサ形成のエッチング工程を実施した後に、ベー
ス層の脱水素アニール処理を行っているので、製造工程
が複雑になり、製造費が嵩むという問題があった。
【0010】また、第2の方法では、エミッタ層を成長
させた後、一旦、MOCVD装置の反応炉からウエハを
取り出して熱処理炉に入れてアニール処理し、再びMO
CVD装置の反応炉に入れて第2のエミッタ層及び第2
のエミッタキャップ層を成長させることが必要である。
これでは、基板の装置入れ換えが多く、化合物半導体層
の積層に多くの時間と工数が必要で、製造費が嵩む。ま
た、ウエハをMOCVD装置から取り出す代わりに、M
OCVD装置の反応炉内を窒素等の不活性ガス雰囲気下
にして脱水素アニール処理を行うことも考えられる。し
かし、反応炉に送入する窒素等の不活性ガスは、MOC
VD法の際にキャリアガスとして使用する超高純度の水
素ガスに比べて、不純物が多く遙に純度が低いために、
反応炉内が不純物で汚染され、後に続くMOCVD法に
よる第2のエミッタ層及び第2のエミッタキャップ層の
成膜の支障になるという問題がある。
【0011】上述のように、従来の方法には種々の問題
があって、実用化が難しく、このような問題のない脱水
素方法が求められている。そこで、本発明の目的は、ベ
ース層の水素濃度が低いバイポーラトランジスタを簡易
な製造工程で経済的に製造する方法を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、製造工程を
簡易にするには、MOCVD法のよる化合物半導体層の
エピタキシャル層の形成中に、ベース層の脱水素アニー
ル処理を行うことが重要であると考え、種々の実験の末
に、本発明を完成するに到った。
【0013】上記目的を達成するために、本発明に係る
バイポーラトランジスタの製造方法は、Ga As 基板上
に、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて、そ
れぞれエピタキシャル成長させた化合物半導体層からな
る、コレクタ層、炭素をp型不純物として含むベース
層、エミッタ層及び電極層を少なくとも備えたエピタキ
シャル層を有するバイポーラトランジスタの製造方法に
おいて、エピタキシャル層の形成過程で、エミッタ層の
エピタキシャル成長開始後で、かつ電極層の成長開始前
に、水素・砒素非直接結合型有機砒素化合物ガスを含
み、かつ、水素と砒素が直接結合している砒素化合物ガ
スを含まない水素雰囲気下で600℃以上700℃以下
の温度で熱処理をエピタキシャル層に施す熱処理工程を
有することを特徴としている。
【0014】本発明方法は、MOCVD法等のエピタキ
シャル成長法を用いて化合物半導体層のエピタキシャル
層を形成する過程で、エミッタ層をエピタキシャル成
長させている途中で、一旦、エミッタ層のエピタキシャ
ル成長を一時中断し、あるいはエミッタ層のエピタキ
シャル成長を終了した後に、あるいはエミッタキャッ
プ層のエピタキシャル成長を一時中断し、また最も望ま
しくはエミッタキャップ層成長後、水素・砒素非直接
結合型有機砒素化合物、例えばトリメチル砒素又はトリ
エチル砒素の分圧を有する水素ガスの雰囲気下で、60
0℃以上の温度でエピタキシャル層に熱処理を施すこと
により、ベース層から水素を排除すると共にベース層中
のp型不純物である炭素が水素と離れることにより活性
化している。
【0015】本発明方法で、水素・砒素非直接結合型有
機砒素化合物とは、水素と砒素とが直接結合していない
有機砒素化合物を意味し、例えばトリメチル砒素(As
(CH33)又はトリエチル砒素(As(C253
等を言い、水素基が砒素と直接結合している砒素化合
物、例えばアルシン(AsH3 )やターシャリーブチル
アルシン((CH3 3 CAsH2 )等を除く意であ
る。ターシャリーブチルアルシン((CH3 3 CAs
2 )等は、砒素と直接結合している水素基が解離し易
く、熱処理時に用いると、砒素から解離した水素がベー
ス層中に進入するので、本発明方法では、水素基が砒素
と直接結合している砒素化合物を除いている。
【0016】本発明方法では、エミッタ層の成長途中又
は成長後、エミッタ層の成長に使った同じエピタキシャ
ル成長装置の反応炉を使用して熱処理を施し、再び反応
炉でエミッタ層の成長継続及び電極層の成長を行うこと
が出来る。それは、不純物の多い不活性ガスでなく不純
物の少ない水素ガスをキャリアガスにした水素雰囲気を
熱処理雰囲気としているので、反応炉の汚染が生じない
からであって、これにより、基板の装置入れ換えが無
く、バイポーラトランジスタの製造工程を簡易にするこ
とができる。
【0017】本発明方法では、熱処理をエミッタ層の成
膜中、又は成膜後に行う。それは、ベース層の成膜後で
あって、エミッタ層の成膜前に熱処理を行うと、激しい
表面凹凸(ステップバンチング)がベース層に発生する
上に、熱処理により折角ベース層中の水素量を低減して
も、エミッタ層あるいはエミッタキャップ層の成膜中に
再び水素が導入されるからである。また、InGa As
電極層を成膜した後に熱処理を行うと、高温雰囲気に晒
されたInGa As 電極層の表面凹凸や結晶の劣化を招
くことになる。よって、熱処理は、エミッタ層の成膜
中、若しくは成膜後、又はエミッタキャップ層の成膜
中、若しくは成膜後であって、電極層の成膜前に行わな
ければならない。また、エミッタ層の成長中や成膜後あ
るいはエミッタキャップ層の成膜中に熱処理を行う場合
も、製造工程のなるべく後の時期に行うようにする。
【0018】本発明方法によれば、熱処理工程中、水素
源であるアルシンを遮断しているので、水素はベース層
に侵入しない。また、本発明方法の熱処理雰囲気を形成
する水素ガス、及びトリメチル砒素又はトリエチル砒素
等の水素・砒素非直接結合型有機砒素化合物は、水素が
直接金属(この場合は砒素)に結合していないので、水
素基が遊離し難く、よって半導体結晶中に取りこまれる
ことがない。また、熱処理の雰囲気が水素ガス単独で形
成されている場合には、化合物半導体層から砒素の脱離
が生じて、化合物半導体結晶が劣化するが、本発明方法
では、砒素源を供給しているので、そのような砒素の脱
離の現象は生じない。更には、砒素源を供給している本
発明方法では、熱処理温度を高くしても、砒素の脱離が
ないので、600℃以上の高温度で熱処理を施すことに
より、熱処理時間を短縮することができる。また、熱処
理温度を700℃以下に限定したのは、1)700℃以
上の高温熱処理を行うと、砒素の脱離が引き起こされる
こと、2)高温熱処理中に不純物が入り易くなること、
3)高温熱処理中に、n型やp型の不純物(シリコンや
炭素)が拡散して、急峻な不純物分布が得られなくなる
こと等の理由に因る。
【0019】好適には、熱処理工程では、水素ガスに対
する比率が1/50000容量比以上の水素・砒素非直
接結合型有機砒素化合物ガスを含む水素雰囲気下で3分
間以上熱処理を行う。水素・砒素非直接結合型有機砒素
化合物ガスの水素ガスに対する比率を1/50000容
量比以上にしているのは、1/50000容量比未満で
あると、砒素の脱離が生じるからである。尚、水素・砒
素非直接結合型有機砒素化合物ガスの水素ガスに対する
比率を1/10000以上にしても、砒素の脱離の抑制
効果は変わらない。水素・砒素非直接結合型有機砒素化
合物ガスを含む水素雰囲気の圧力は、10Torrから76
0Torrの範囲である。
【0020】本発明方法は、エミッタ層がGa As 層で
形成されている(ホモ接合)バイポーラトランジスタの
製造方法にも、エミッタ層がInGa P層、AlGa A
s 層或いはInGa As 層で形成されているヘテロ接合
バイポーラトランジスタの製造方法にも適用できる。ま
た、本発明方法は、上述のバイポーラトランジスタとは
コレクタ層とエミッタ層のGa As 基板に対する上下の
位置が逆になっているコレクタアップ型バイポーラトラ
ンジスタの製造にも適用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、実施形態例を挙げ、添付
図面を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細
に説明する。以下の実施形態例でガス源の種類、化合物
半導体層の膜厚、イオンドーズ量等は例示であって、当
然のことながら、本発明方法がこれらに制約されるわけ
ではない。実施形態例1 本実施形態例は、本発明に係るバイポーラトランジスタ
の製造方法の実施形態の一例であって、図1(a)〜
(c)及び図2(d)、(e)は、それぞれ、本実施形
態例の製造方法に従ってヘテロ接合バイポーラトランジ
スタを作製する際の工程毎の基板の積層構造を示す断面
図である。本実施形態例では、図1(a)に示すよう
に、MOCVD法を用いて、半絶縁性のSI−Ga As
基板12上に、Ga As からなる膜厚100nmのバッ
ファ層14、n+ −Ga As からなる膜厚500nmの
サブコレクタ層16、n−Ga As からなるコレクタ層
18、p+ −Ga As からなる膜厚70nmのベース層
20、n−In0.48Ga0.52Pからなる膜厚50nmの
エミッタ層22、及び、n−Ga As からなる膜厚20
0nmのエミッタキャップ層24をエピタキシャル成長
させる。
【0022】なお、MOCVD法による各層のエピタキ
シャル成長では、キャリアガスとして水素、ガリウム源
としてトリメチルガリウム(TMG)又はトリエチルガ
リウム(TEG)、砒素源としてアルシン(As
3 )、アルミニウム源としてトリメチルアルミニウム
(TMA)、インジウム源としてトリメチルインジウム
(TMI)、燐源としてホスフィン(PH3 )を用い
る。一般には、n型ドーパントとしてSiが用いられ、
Si源にはジシラン(Si 2 6 )が使用される。ま
た、p型ドーパントとして炭素(C)が用いられ、C源
には、通常、次の3通りのC源、即ち、TMG又はT
EGの炭素をC源として、ベース層にCが進入し易いよ
うに、低温、かつ低V/III 比の成膜条件でベース層を
成膜する。TMAs(トリメチル砒素)の炭素をC源
とする。CCl4 (4塩化炭素)やCBr4 (4臭化
炭素)の炭素をC源とする。
【0023】以下に、各層のエピタキシャル成長につい
て更に説明する。先ず、Ga As バッファ層14を成長
温度650℃でエピタキシャル成長させる。次いで、バ
ッファ層14上にn+ −GaAsサブコレクタ層16を
成長温度650℃でエピタキシャル成長させる。この時
のn型不純物の濃度は、約3〜5×1018個/cm3
度、例えば4×1018個/cm3 である。続いて、サブ
コレクタ層16上に、n−GaAsコレクタ層18を成
長温度650℃でエピタキシャル成長させる。この時の
n型不純物の濃度は、例えば2×1016個/cm3 であ
る。コレクタ層18上にp型不純物として炭素(C)を
高濃度、例えば4×1019 個/cm3 で含むp+ −Ga
Asからなるベース層20を成長温度600℃でエピタ
キシャル成長させる。本実施形態例ではC源としてCB
4 を用いている。
【0024】次いで、ベース層20上にn−In0.48
a0.52 Pエミッタ層22を成長温度600℃でエピタキ
シャル成長させる。n型不純物の濃度は、例えば2×1
17個/cm3 である。続いて、エミッタキャップ層2
4を成長温度600℃でエピタキシャル成長させる。n
型不純物の濃度は、例えば1×1018個/cm3 であ
る。
【0025】エミッタキャップ層24を成長させた後、
MOCVD成膜装置の反応炉内の反応ガスを水素ガスと
トリメチル砒素ガスとの混合ガスで置換し、650℃で
5分間保持して熱処理(アニール処理)を施す。この
時、キャリアガスは水素ガスであり、水素ガスに対して
トリメチル砒素を流量比、水素:トリメチル砒素=50
00:1=20リットル/分:4cc/分で流す。アニー
ル処理時の水素雰囲気の圧力は、10Torrから760To
rrの範囲である。
【0026】その後、同じMOCVD装置を使って、低
温の成膜条件で、例えば500℃でInGa As からな
るエミッタ電極層(コンタクト層)をエミッタキャップ
層24上に成膜する。本実施形態例では、図1(b)に
示すように、エミッタ電極層は、第1電極層及び第2電
極層の2層の電極層で形成されていて、エミッタキャッ
プ層24上に成膜される第1電極層26は、n+ −In
X Ga1-XAs で形成され、エミッタキャップ層24から
離れるにつれてXが0.0から0.5まで階層状に増大
する膜厚50nmの電極層である。第1電極層26のn
型不純物の濃度は、例えば1〜3×1019個/cm3
ある。第1電極層26上の第2電極層28は、n+ −I
0.5 Ga0.5As で形成された膜厚50nmの電極層で
ある。第2電極層28のn型不純物の濃度は、例えば3
×1019個/cm3 である。
【0027】次いで、第2電極層28上にレジスト膜を
成膜し、パターニングしてエミッタパターンを有するマ
スクを形成し、そのマスクを使って第2電極層28、第
1電極層26、エミッタキャップ層24及びエミッタ層
26をエッチングして、図1(c)に示すように、エッ
チングメサを形成すると共に、ベース層20を露出させ
る。
【0028】次いで、同様にフォトリソグラフィ及びエ
ッチング法により、ベース層20、コレクタ層18を選
択的にエッチングして、図2(d)に示すように、サブ
コレクタ層16を露出させる。次に、図示しないが、G
a As 基板12の素子形成領域間にH+ やO--をイオン
注入して高電気抵抗の素子分離領域を形成し、素子同士
を分離する。次いで、図2(e)に示すように、第2電
極層28上にエミッタ電極30、ベース層20上にベー
ス電極32、及びサブコレクタ層16上にコレクタ電極
34をそれぞれ真空蒸着法により形成する。エミッタ電
極30及びベース電極32は、Ti/Pt/Auの3層
金属膜からなるオーミック電極であり、コレクタ電極3
4は、AuGe/Auの2層金属膜を熱処理してアロイ
化したオーミック電極である。続いて、図示しないが、
SiO2 膜等の保護膜を全面に成膜し、必要な配線を形
成することにより、Ga As 基板上にヘテロ接合バイポ
ーラトランジスタを作製することができる。
【0029】本実施形態例に従って試作した試料バイポ
ーラトランジスタのベース層中の水素量をSIMS測定
法により計数したところ、1.0×1018(個/c
3 )であった。一方、本発明方法で特定するアニール
処理を行わずに従来の方法に従って試作した従来例バイ
ポーラトランジスタのベース層中の水素量をSIMS測
定法により計数したところ、1.5×1019(個/cm
3 )であった。これから判る通り、従来法に従って作製
した従来例バイポーラトランジスタに比べて、本実施形
態例に従って作製した試料バイポーラトランジスタは、
ベース層中の水素量が著しく少ない。
【0030】また、本実施形態例に従って試作した試料
バイポーラトランジスタの電流増幅率を測定したとこ
ろ、図3のグラフ(1)に示す結果を得た。図3のグラ
フ(1)に示すように、試料バイポーラトランジスタの
電流増幅率は、通電開始直後の極めて短い時間を除いて
ほぼ安定して一定の値である。一方、従来の方法に従っ
て試作した従来例バイポーラトランジスタは、図3のグ
ラフ(2)に示すように、その電流増幅率が、通電開始
50秒以降の安定した期間に比べて、著しく低く不安定
であって、電流増幅率の不安定な時間が、通電開始後3
0ないし40秒の長い時間になる。また、本実施形態例
では、エミッタキャップ層24を成長させたMOCVD
装置を使ってアニール処理を行い、再び同じMOCVD
装置を使ってエミッタ電極層26、28を成長させてい
るので、基板の装置入替えがなく、製造工程が簡易であ
る。
【0031】実施形態例2 本実施形態例では、常圧熱処理装置を使って、実施形態
例1のアニール処理の条件とは異なる次のような種々の
条件範囲でアニール処理を施す。 温度 :600℃以上650℃以下 圧力 :700Torr以上800Torr以下 ガス種 :TMAs又はTEAs 水素ガスと含Asガスの流量比:水素ガス:TMAs又はTEAs =50リットル/分:1cc/分〜 50リットル/分:50cc/分 熱処理時間 :3分以上40分以下
【0032】実施形態例1と同様にして、実施形態例2
に従って作製した試作バイポーラトランジスタのベース
層の水素量をSIMS測定法により計数し、また電流増
幅率を測定したところ、実施形態例1の試作バイポーラ
トランジスタと同様の結果を得た。
【0033】実施形態例3 本実施形態例では、先ず、実施形態例1と同様にして、
半絶縁性のSI−GaAs 基板12上に、順次、バッフ
ァ層14、サブコレクタ層16、コレクタ層18、ベー
ス層20、及び、エミッタ層22を成長させる。次い
で、本実施形態例では、エミッタ層22上にエミッタキ
ャップ層24をエピタキシャル成長させ、エミッタキャ
ップ層24が膜厚180nmになった途中段階で、エミ
ッタキャップ層24の成長を一旦中断して、MOCVD
成膜装置の反応炉内の反応ガスを水素ガスとトリメチル
砒素ガスとの混合ガスで置換し、実施形態例1と同じ条
件でアニール処理を施す。アニール処理を施した後、中
断したエミッタキャップ層24の成長を再開し、所定膜
厚になるように、例えば、残り20nmのエミッタキャ
ップ層24を成長させる。その後は、実施形態例1と同
様にしてバイポーラトランジスタを作製する。
【0034】実施形態例3に従って作製した試作バイポ
ーラトランジスタのベース層の水素量を実施形態例1と
同様にしてSIMS測定法により計数したところ、実施
形態例1の試作バイポーラトランジスタと同様の結果を
得た。また、実施形態例3に従って試作した試料バイポ
ーラトランジスタの電極増幅率を測定したところ、図3
のグラフ(3)に示す結果を得た。図3のグラフ(3)
に示すように、試料バイポーラトランジスタの電流増幅
率の通電初期の安定性は、実施形態例1の試作バイポー
ラトランジスタの特性に比べてやや劣るものの通電開始
直後の極めて短い時間を除いてほぼ安定して一定の値で
あって、従来例バイポーラトランジスタの特性に比べて
遙に良好である。
【0035】以上の実施形態例1〜3では、エミッタ層
にInGa Pを用いているが、GaAs やAlGa As
を含むエミッタ層であっても良い。また、エミッタキャ
ップ層はGa As を用いているが、AlGa As やIn
Ga Pを含むエミッタキャップ層であってもよい。ま
た、ベース層の炭素源は、CBr4 以外であっても良
い。更に、本発明方法は、実施形態例1から3で作製し
たバイポーラトランジスタとはGa As 基板に対するコ
レクタ層とエミッタ層の上下の位置が逆になっているコ
レクタアップ型バイポーラトランジスタの製造にも適用
でき、実施形態例1から3と同じ効果が得られる。尚、
この場合は、上述の実施形態例で、コレクタ層とエミッ
タ層とを逆に読みかえて、即ちコレクタ層の成長途中、
又はコレクタ層成長後、又はコレクタキャップ層の成長
途中、又はコレクタキャップ層の成長後にアニール処理
する。
【0036】
【発明の効果】本発明方法によれば、エミッタ層の成長
中にエミッタ層のエピタキシャル成長を中断して、又は
エミッタ層をエピタキシャル成長させた後、水素・砒素
非直接結合型有機砒素化合物ガスを含む水素雰囲気下で
600℃以上700℃以下の温度で熱処理をエピタキシ
ャル層に施す熱処理工程を有する。本発明方法では、水
素・砒素非直接結合型有機砒素化合物ガスを含む水素雰
囲気下でエピタキシャル層に熱処理を施すことにより、
ベース層中の水素濃度が極めて低く、しかも砒素の脱離
がなく、従って、通電開始直後の電流増幅率の変動が小
さく、かつ長時間の通電でも電流増幅率が低下しない良
好なトランジスタ特性を示すバイポーラトランジスタを
経済的に簡易な工程で作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、それぞれ、本実施形態
例の製造方法に従ってバイポーラトランジスタを作製す
る際の工程毎の基板の積層構造を示す断面図である。
【図2】図2(d)、(e)は、それぞれ、図1(c)
に続いて、本実施形態例の製造方法に従ってバイポーラ
トランジスタを作製する際の工程毎の基板の積層構造を
示す断面図である。
【図3】電流増幅率の通電開始後初期の特性を示すグラ
フである。
【図4】ヘテロ結合バイポーラトランジスタの層構造を
示す断面図である。
【符号の説明】
12 SI−Ga As 基板 14 Ga As バッファ層 16 n+ −Ga As サブコレクタ層 18 n−Ga As コレクタ層 20 p+ −Ga As ベース層 22 n−In0.48Ga0.52Pエミッタ層 24 n−Ga As エミッタキャップ層 26 n+ −InX Ga1-XAs (X=0.0→0.5)
第1電極層 28 n+ −In0.5 Ga0.5As 第2電極層 30 エミッタ電極 32 ベース電極 34 コレクタ電極 40 バイポーラトランジスタ 42 半絶縁性(SI)Ga As 基板 44 コレクタ電極 46 n+ −Ga As サブコレクタ層 48 n−Ga As コレクタ層 50 ベース電極 52 p+ −Ga As ベース層 54 n−AlGa As エミッタ層 56 エミッタ電極 58 n−Ga As エミッタキャップ層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ga As 基板上に、有機金属気相成長法
    (MOCVD法)を用いて、それぞれエピタキシャル成
    長させた化合物半導体層からなる、コレクタ層、炭素を
    p型不純物として含むベース層、エミッタ層及び電極層
    を少なくとも備えたエピタキシャル層を有するバイポー
    ラトランジスタの製造方法において、 エピタキシャル層の形成過程で、エミッタ層のエピタキ
    シャル成長開始後で、かつ電極層の成長開始前に、水素
    ・砒素非直接結合型有機砒素化合物ガスを含み、かつ、
    水素と砒素が直接結合している砒素化合物ガスを含まな
    い水素雰囲気下で600℃以上700℃以下の温度で熱
    処理をエピタキシャル層に施す熱処理工程を有すること
    を特徴とするバイポーラトランジスタの製造方法。
  2. 【請求項2】 Ga As 基板上に、有機金属気相成長法
    (MOCVD法)を用いて、それぞれエピタキシャル成
    長させた化合物半導体層からなる、エミッタ層、炭素を
    p型不純物として含むベース層、コレクタ層及び電極層
    を少なくとも備えたエピタキシャル層を有するコレクタ
    アップ型のバイポーラトランジスタの製造方法におい
    て、 エピタキシャル層の形成過程で、コレクタ層のエピタキ
    シャル成長開始後で、かつ電極層の成長開始前に、水素
    ・砒素非直接結合型有機砒素化合物ガスを含み、かつ、
    水素と砒素が直接結合している砒素化合物ガスを含まな
    い水素雰囲気下で600℃以上700℃以下の温度で熱
    処理をエピタキシャル層に施す熱処理工程を有すること
    を特徴とするバイポーラトランジスタの製造方法。
  3. 【請求項3】 熱処理工程では、水素ガスに対して1/
    50000容量比以上の比率の水素・砒素非直接結合型
    有機砒素化合物ガスを含み、かつ、水素と砒素が直接結
    合している砒素化合物ガスを含まない水素雰囲気下で3
    分間以上熱処理を行うことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の記載のバイポーラトランジスタの製造方法。
  4. 【請求項4】 水素・砒素非直接結合型有機砒素化合物
    ガスが、トリメチル砒素ガス又はトリエチル砒素ガスで
    あることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか
    1項に記載のバイポーラトランジスタの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002164533A (ja) * 2000-11-29 2002-06-07 Showa Denko Kk 化合物半導体積層構造体及びそれを用いたバイポーラトランジスタ
JP2005522883A (ja) * 2002-04-05 2005-07-28 コピン・コーポレーシヨン 傾斜ベース層をもつバイポーラトランジスター
JP2010135580A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Hitachi Cable Ltd 化合物半導体エピタキシャルウェハの製造方法

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