JP2000128776A - フィルムコーティング顆粒およびその製造方法 - Google Patents
フィルムコーティング顆粒およびその製造方法Info
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Abstract
ことで、薬物の味をマスクし、かつ、短時間で薬物を溶
出するフィルムコーティング顆粒を提供 【解決手段】 球形核粒子の表面に薬物を担持させた素
顆粒の外側に、エチルセルロースとアクリルポリマーを
含有し、エチルセルロースとアクリルポリマーの固形分
の重量比が1.0:0.1〜0.2:1.0であるフィ
ルムを被覆したフィルムコーティング顆粒及びその製
法。 【効果】 溶出試験開始直後の薬物溶出速度が遅く、あ
る時間以降の薬物溶出速度が急激に速くなる破裂型溶出
を示すため、薬物の味をマスキングした顆粒として極め
て好適である。
Description
持した素顆粒の外側にフィルムコーティングされた顆粒
に関わる。
不快感を低減するために、甘味料や香料を加える方法、
水溶性高分子のフィルムコーティングによって薬物の味
をマスクする方法、水系ラテックスと可塑剤によるフィ
ルムコーティングや水系ラテックスと可塑剤に水溶性高
分子を配合したフィルムコーティングによって薬物の味
をマスクする方法等が知られている。また、特開平1−
502589号公報に開示されるエチルセルロースとア
クリルポリマーを組み合わせて味をマスクする方法があ
る。
方法は、味のマスクが不十分であったり、顆粒に十分な
マスクを施すためには、多くのコーティング量を必要と
し、コーティング時に顆粒の合一の発生が多く、コーテ
ィング性が劣っていたり、味をマスクするためにコーテ
ィング量を増やすと味はマスクされても薬物が速やかに
溶出しなくなる等の問題を有していた。
に鑑み、素顆粒の性質、および、膜の組成を鋭意検討し
た結果、本発明に到達したものである。即ち、本発明
は: 球形核粒子の表面に薬物を担持させた素顆粒を、
(A)エチルセルロースと(B)アクリルポリマーを含
み、前記成分(A)と前記成分(B)の固形分の重量比
が1.0:0.1〜0.2:1.0であるフィルムで被
覆してなる破裂溶出型フィルムコーティング顆粒を提供
する。また、 球形核粒子の表面に薬物を担持させた素顆粒を、
(A)エチルセルロースと(B)アクリルポリマーを含
み、前記成分(A)と前記成分(B)の固形分の重量比
が1.0:0.1〜0.2:1.0であるフィルムで被
覆してなる、記載の破裂溶出型フィルムコーティング
顆粒の製造方法を提供する。
い。本発明の球形核粒子の表面には後述の薬物を担持さ
せる。球形核粒子の「球形」とは、球形度が0.5以上
であることを意味する。球形核粒子の球形度が0.5未
満であると、薬物を担持した素顆粒の球形度が低下し、
大きな凸部を有することになる。球形度の低い素顆粒は
流動性が悪くコーティング時の操作性が劣り、大きな凸
部にはフィルムがのり難く、均一なフィルムを形成する
のが難しいため、破裂型溶出を示し難い。球形度は0.
7以上が好ましく、さらに0.8以上であることが好ま
しい。
ムコーティング顆粒の溶出試験において、溶出試験開始
直後の薬物の溶出速度に比べて、ある時間が経過した後
の薬物溶出速度が速くなることを指す。溶出試験開始1
分までの薬物溶出率は15%未満、好ましくは12%未
満、さらに好ましくは10%未満であるが、その後薬物
溶出速度が上昇し、溶出試験開始20分後には薬物溶出
率が50%以上、好ましくは55%以上、さらに好まし
くは60%以上になることである。
密度が0.65g/cm3 以上が好ましい。タッピング
見掛密度が0.65g/cm3 未満の場合は、球形核粒
子が軽質になり、薬物を担持した素顆粒のコーティング
時に均一なフィルムを形成するのが難しいため、破裂型
溶出を示し難い。タッピング見掛密度はより好ましくは
0.70g/cm3 以上、さらに好ましくは0.75g
/cm3 以上である。この値の上限については特に制限
されないが、大きすぎるとフィルムコーティング時に操
作性が低下するので、操作性に影響を及ぼさない範囲が
好ましい。 2)本発明で使用される球形核粒子の粒度分布は特に規
定しないが、目的とするフィルムコーティングした顆粒
の粒度分布から、薬物担持量、フィルムコーティング量
を勘案し選択する。
用される薬物を含有し、その他の配合成分を含むものが
使用できる。 1)その他の配合成分 その他の配合成分としては、例えば、賦形剤(例、トウ
モロコシデンプン、コメデンプン、粉糖、乳糖、結晶セ
ルロース、粉末セルロース等)、結合剤(例、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン
等)、フィルムコーティング剤(例、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメ
チルエチルセルロース、エチルセルロース、エチルセル
ロース水分散液、アミノアルキルメタアクリレートコポ
リマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル
酸コポリマーS、メタアクリル酸コポリマーLD、アミ
ノアルキルメタアクリレートコポリマーRS等)、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム糖)、崩壊剤
(例、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメ
ロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、部
分アルファー化デンプン等)、無機物質(例、タルク、
ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ
酸アルミニウム、酸化チタン等)、その他(例、結晶セ
ルロース・カルメロースナトリウム、硬化油、マクロゴ
ール等)を挙げることができる。
量%以上含むことは好ましい態様の1つである。結晶セ
ルロースを配合すると、他の成分にもよるが、通常球形
核粒子の真損度が低下するので薬物を担持し易くコーテ
ィングに好ましい素顆粒を得やすく、かつ、吸水性が高
くなるので溶出試験において水が浸透した際に膨潤しや
すく、破裂型溶出を示し易くなる。より高い球形度、よ
り高い見掛密度、より高い吸水性を付与するためには、
結晶セルロースの含有量は25重量%がより好ましく、
さらに好ましくは50重量%以上である。本発明で使用
される球形核粒子に含有される結晶セルロースの重合度
は60〜375であり、100〜300が好ましく、さ
らには120から280であることが好ましい。
予防、診断に使用されるものであって、器具機械ではな
いもののことである。例としては、抗癲癇剤(例、フェ
ニトイン、アセチルフェネトライド、トリメタジオン、
フェノバルビタール、プリミドン、ニトラゼパム、バル
プロ酸ナトリウム、スルチアム等)、解熱鎮痛消炎剤
(例、アセトアミノフェン、フェニルアセチルグリシン
メチルアミド、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウ
ム、フロクタフェニン、アスピリン、アスピリンアルミ
ニウム、エテンザミド、オキシフェンブタゾン、スルピ
リン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、アルクロフ
ェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、塩酸チノリジ
ン、塩酸ベンジダミン、塩酸チアラミド、インドメタシ
ン、ピロキシカム、サリチルアミド等)、
クリジン、塩酸ジフェニドール等)、麻薬(例、塩酸ア
ヘンアルカロイド、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、リ
ン酸ジヒドロコデイン、オキシメテバノール等)、精神
神経用剤(例、塩酸クロルプロマジン、マレイン酸レボ
メプロマジン、マレイン酸ペラジン、プロペリシアジ
ン、ペルフェナジン、クロルプロチキセン、ハロペリド
ール、ジアゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、メキ
サゾラム、アルプラゾラム、ゾテピン等)、骨格筋弛緩
剤(例、クロルゾキサゾン、カルバミン酸クロルフェネ
シン、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、塩酸エ
ペリゾン等)、自律神経用剤(例、塩化ベタネコール、
臭化ネオスチグミン、臭化ピリドスチグミン、等)、鎮
痙剤(例、硫酸アトロピン、臭化ブトロピウム、臭化ブ
チルスポコラミン、臭化プロパンテリン、塩酸パパベリ
ン等)、
塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、レボド
パ等)、眼科用剤(例、ジクロルフェナミド、メタゾラ
ミド等)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン、
dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸
クロルフェニラミン、プロメタジン、メキタジン、フマ
ル酸クレマスチン等)、強心剤(例、アミノフィリン、
カフェイン、dl−塩酸イソイソプロテレノール、塩酸
エチレフリン、塩酸ノルフェネリン、ユビデカレノン
等)、不整脈用剤(例、塩酸プロカインアミド、ピンド
ロール、酒石酸メトプロロール、ジソビラミド等)、利
尿剤(例、塩化カリウム、シクロペンチアジド、ヒドロ
クロロチアジド、トリアムテレン、アセタゾラミド、フ
ロセミド等)、
塩酸ヒドララジン、シロシンゴピン、レセルピン、塩酸
プロプラノール、カプトプリル、メチルドパ等)、血管
収縮剤(例、メシル酸ジヒドロエルゴタミン等)、血管
拡張剤(例、塩酸エタフェノン、塩酸ジルチアゼム、塩
酸カルボクロメン、四硝酸ペンタエリスリトール、ジピ
リダモール、硝酸イソソルビド、ニフェジピン、クエン
酸ニカメタート、シクランデレート、シンナリジン
等)、動脈硬化用剤(例、リノール酸エチル、レシチ
ン、クロフィブラート等)、循環器官用剤(例、塩酸ニ
カルジピン、塩酸メクロフェノキサート、チトクローム
C、ピリジノールカルバメート、ピンボセチン、ホパン
テン酸カルシウム、ペントキシフィリン、イデベノン
等)、呼吸促進剤(例、塩酸ジメフリン等)、
ジヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルファ
ン、ノスカピン、塩酸L−メチルシステイン、塩酸ブロ
ムヘキシン、テオフィリン、塩酸エフェドリン、アンレ
キサノクス等)、利胆剤(例、オサルミド、フェニルプ
ロパノール、ヒメクロモン等)、整腸剤(例、塩化ベル
ベリン、塩酸ロペラミド等)、消化器官用剤(例、メト
クロプラミド、フェニペントール、ドンペリドン等)、
ビタミン剤(例、酢酸レチノール、ジヒドロタキステロ
ール、エトレチナート、塩酸チアミン、硝酸チアミン、
フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、リ
ボフラビン、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサー
ル、ニコチン酸、パンテチン、シアノコバラミン、ビオ
チン、アスコルビン酸、フィトナジオン、メナテトレノ
ン等)、
チン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、
セファクロル、セファレキシン、エリスロマイシン、キ
タサマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコー
ル、テトラサイクリン、グリセオフルビン、セフゾナム
ナトリウム等)、化学療法剤(例、スルファメトキサゾ
ール、イソニアジド、エチオナミド、チアゾスルホン、
ニトロフラントイン、エノキサシン、オフロキサシン、
ノルフロキサシン等)などが挙げられる。これらの中
で、味、特に苦味の強い薬物を使用する場合に、本発明
は大きな効果を上げることができる。
る。例えば、球形核粒子に使用する成分に水を加えて混
練した後、適当な大きさに押出し、マルメライザー等の
機械で球形化する「押出し−マルメ法」などが利用でき
る。球形核粒子の例としては、旭化成工業(株)製造の
「セルフィア」CP−102、CP−203、CP−3
05、CP−507、フロイント産業(株)製造の「ノ
ンパレル」NP−101、NP−103、NP−105
などを挙げることができる。各性質の測定方法、等の詳
細は後述する。
に、あるいは、その薬物が後加工工程で剥がれぬよう
に、あるいは、薬物の溶出速度を調製するために、ある
いは、安定化させるために、結合剤(例、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン
等)、フィルムコーティング剤(例、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメ
チルエチルセルロース、エチルセルロース、エチルセル
ロース水分散液、アミノアルキルメタアクリレートコポ
リマーE、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル
酸コポリマーS、メタアクリル酸コポリマーLD、アミ
ノアルキルメタアクリレートコポリマーRS等)、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、糖等)、賦
形剤(例、トウモロコシデンプン、コメデンプン、粉
糖、乳糖、結晶セルロース、粉末セルロース等)、崩壊
剤(例、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カル
メロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、
部分アルファー化デンプン等)、無機物質(例、タル
ク、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成
ケイ酸アルミニウム、酸化チタン等)、その他(例、結
晶セルロース・カルメロースナトリウム、硬化油、マク
ロゴール、等)などを併用して薬物を担持させても良
い。
低減などの目的で、球形核粒子の外側に、薬物と水溶性
高分子(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)
の2層構造(球形核粒子の外側に水溶性高分子、その外
側に薬物を被覆する場合、および、球形核粒子の外側に
薬物、その外側に水溶性高分子を被覆する場合)および
3層構造(球形核粒子の外側に水溶性高分子、その外側
に薬物、さらにその外側に水溶性高分子を被覆する場
合)を持たせても良い。
の方法を使用することができる。その例としては、
球形核粒子を遠心流動型コーティング装置中で転動させ
ながら、結合剤水溶液を連続的に噴霧し、同時に薬物粉
末(必要に応じて賦形剤を含有)を散布する方法、 球形核粒子を流動層コーティング装置(あるいは転
動流動型コーテイング装置)で流動させながら、結合剤
水溶液中に薬物を溶解あるいは懸濁させた液を噴霧する
方法、 球形核粒子を高速攪拌造粒装置にて転動させなが
ら、核粒子が吸収できる量の薬物と結合液の水溶液を添
加する方法、 薬物と結合液の水溶液中に球形核粒子を浸漬する方
法などを挙げることができる。いずれの方法においても
必要に応じて、乾燥し、合一した粒子を除去するなどの
操作を行い、フィルムの被覆に供する。
でいう薬物担持量は、球形核粒子の表面に担持させる薬
物の量を指す。あえて例を示せば、極微量で薬効が発現
する薬物の場合は球形核粒子の0.01重量%程度、薬
効の発現に多量の薬物が必要な場合は75重量%程度の
担持量である。本発明において汎用的な担持量は0.5
〜50重量%である。
面に薬物を担持させた素顆粒の外側に(A) エチルセルロ
ースと(B) アクリルポリマーを含み、前記成分(A) と前
記成分(B) の固形分の重量比が1.0:0.1〜0.
2:1.0であるフィルムを有する必要がある。 (i) コーティング材の配合比率 エチルセルロース(A) の重量1.0に対してアクリルポ
リマー(B) の重量が0.1未満の場合、可塑剤等の配合
にもよるが、アクリルポリマー(B) の配合効果が低いた
め、溶出試験開始直後から急激に薬物が溶出したり、逆
にある時間が経過した後も溶出速度が速くならず、破裂
型溶出を示し難いため好ましくない。また、アクリルポ
リマー(B) の重量1.0に対してアクリルポリマー(A)
の重量が0.2未満である場合、ある時間が経過した後
も溶出速度が速くならず、破裂型溶出を示し難いため好
ましくない。エチルセルロース(A) とアクリルポリマー
(B) の重量比が1.0:0.2〜0.4:1.0である
場合、破裂型溶出の効果が高いため好ましく、更に好ま
しくは、(A) と(B) の重量比が1.0:0.25〜0.
5:1.0である。
he UnitedStates Pharmacop
ia23(米国)のGuide to General
Chapters/General Test an
d Assays/<431>Methoxy Det
erminationの方法(但し、0.1Nチオ硫酸
ナトリウム液1mLはエトキシル基0.7510mgに
相当)によって測定されるエトキシル基(−0C
2 H5 )の含有率が41.0〜51.0重量%のもので
ある。エチルセルロース(A) は、エチルセルロースを主
成分とする「実質的に」直径1μm以下の球形固体粒子
を含む水分散体の使用が好ましい。1μmを超える場合
は、アクリルポリマーとの均一混合が難しくなるため好
ましくない。
形固体粒子を含むという意味は、直径1μmを越える球
形固体粒子(但し、最大で5μm程度)がフィルムコー
ティング剤としての成膜性や分散安定性を阻害しない程
度の量の存在を認めているという事であり、その量は
0.5体積%以下である。 2)エチルセルロース(A) を含む球形固体粒子は小さい
方が好ましいが、その分布としては直径0.6μm以下
のものは95体積%以上、0.5μm以下のものは75
体積%以上、0.4μm以下のものは1体積%以上であ
ることが好ましい。球形固体粒子の「球形」とは球形度
が0.7以上のことを意味し、0.8以上であることが
より好ましい。
球形固体粒子に内包するか、あるいは複合体化した状態
を呈するもので、球形固体粒子の水分散体を製造するた
めに必要な助剤、あるいは球形固体粒子の水中での分散
安定性を維持するのに必要な助剤、あるいは細菌汚染を
防止するための助剤などである。例としては、界面活性
剤(例、ラウリル硫酸ナトリウム)、乳化助剤(例、セ
チルアルコール)、消泡剤、静菌剤、殺菌剤などを挙げ
ることができる。その配合量は、エチルセルロースに対
して30重量%以下、好ましくは20重量%以下であ
る。
散体は、これ自身で使用する場合は最低成膜温度が高す
ぎて実用に供しない。そこで使用するアクリルポリマー
の種類と配合量によっては、可塑剤を配合し、エチルセ
ルロースの球形固体粒子の最低成膜温度を下げる必要が
ある。エチルセルロースの球形固体粒子の水分散体は種
々の方法で製造される。例えば、Pharmaceut
ical Technology,Vol.11,N
o.3,p56−68(1987)に示されているよう
なエマルジョン−溶媒蒸発法、あるいは転相法などで製
造される。例としてはFMC社(米国)製造の「Aqu
acoat」ECD−30などを挙げることができる。
また、予め可塑剤を混合されて供与されるColorc
on社(米国)の「Surelease」も本発明の水
分散体の例として挙げることができる。
可塑剤を配合しても良い。本発明で使用される可塑剤
は、エチルセルロース(A) のガラス転移温度および最低
成膜温度を低下させる物質である。例としては、アセチ
ル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル、トリアセチ
ン、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、中鎖脂
肪酸トリグリセリド、クエン酸アセチルトリエチル、ク
エン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、アジ
ピン酸ジブチル、オレイン酸、オレイノールなどを挙げ
ることができる。可塑剤の選択は、薬物の溶解性と製剤
設計(薬物溶出速度、保存安定性の設定)に大きく依存
する。
はフィルムコーティングのバッチバラツキを低減できる
のでアセチル化モノグリセリドの使用が好ましく、ま
た、薬物の溶解度が高い場合はフィルムコーティング量
を少なくし得るクエン酸トリエチルの使用が好ましい。
可塑剤の配合量は、配合するアクリルポリマー(B) の種
類と配合量、最低成膜温度、フィルムの熱軟化による融
着性(フィルムコーティング操作に影響)、保存安定性
などを考慮して決められるが、おおよそエチルセルロー
スを主成分とする球形固体粒子100部に対して1〜7
0部、好ましくは1〜40部程度である。
剤として使用可能なアミノアルキルメタアクリレートコ
ポリマー、メタアクリル酸コポリマー、アクリル酸エチ
ルメタクリル酸メチルコポリマーである。アクリルポリ
マーは、水に分散可能なアクリルポリマーの使用が好ま
しい。水中に分散可能なアクリルポリマーを含有する水
分散体の例としては、Rohm社(独国)製造の「EU
DRAGIT L30D−55」、「EUDRAGIT
RS30D」、「EUDRAGIT RL30D」、
「EUDRAGITNE30D」を挙げることができ
る。 (iv)その他の成分 また、本発明においては、薬物の溶出速度を調節する目
的でフィルムに水溶性物質(例、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、マンニトール等)等を配合しても良
い。
ィルムを被覆する方法としては、流動層型コーティング
装置(例、フロイント産業(株)製「フローコータ
ー」)、ワースターカラム付き流動層型コーティング装
置(例、グラット社製GPCGシリーズ)、遠心流動型
コーティング装置(例、フロイント産業(株)製「CF
−グラニュレーター」)、転動流動型コーティング装置
(例、(株)パウレック製「マルチプレックス」、不二
パウダル(株)製「ニューマルメライザー」、フロイン
ト産業(株)製「スパイラフロー」、同「ローターコン
テナー」付き「フローコーター」)などの汎用の方法を
使用することができる。特に好ましくは、転動流動型コ
ーティング装置を使用した場合であり、さらに好ましく
は装置の転動作用の接線方向にフィルムコーティング剤
を噴霧する方法である。
底部には被コーティング粒子を転動させるための円盤と
温風を供給するためスリットあるいは小孔を有し、上部
には温風を排出するための排風口(通常はバグフィルタ
ー付き)を持つものであり、フィルムコーティング液を
噴霧するためのスプレーノズルが上部から下部に向かっ
て、あるいは略円筒型空間下部の円盤の回転の接線方向
に取り付けられている。略円筒型空間の形状、転動用の
円盤の形状、温風を供給するためのスリットあるいは小
孔の形状および位置、スプレーノズルの形状(噴霧能
力、異物の付着防止)の違いによって、種々の装置が提
案されているが、本発明においてはいずれの装置を用い
てもよい。特に好ましい装置は前述の転動流動型コーテ
ィング装置である。
布 このようにして得られたフィルムコーティング顆粒の粒
度分布は「実質的に」75〜1700μmの範囲内であ
ることが好ましい。好ましくは75〜1000μm、好
ましくは75〜850μmの範囲内であり、さらに好ま
しくは75〜600μmの範囲内である。ここで、「実
質的」という意味は、前述の利点を損なわない程度に7
5μm未満、あるいは1700μmを越える粒子を含ん
でいても良いということである。この範囲内の粒度分布
であると、服用が容易である食品などに混合して服用す
ることが可能である、第13改正日本薬局方製剤総則で
規定の「散剤」あるいは「顆粒剤」との混合性が良いの
で調剤しやすい、他の賦形剤と混合して打錠してもフィ
ルムの損傷が少ない、などの利点を有する。
のまま投薬されるか、あるいはカプセルに充填して使用
されるか、あるいは他の薬剤と混合して使用されるか、
あるいは他の賦形剤や薬物や薬物を含む顆粒やフィルム
コーティングを施した顆粒と混合後、打錠して錠剤と
し、使用される。前述の通り、食品や経管流動食などに
混合して投薬することも可能である。
る。 <物性の測定方法>球形核粒子などの物性の測定方法を
以下にまとめて記す。 結晶セルロースの重合度 第13改正日本薬局方結晶セルロースの確認試験(3)
を用いた。 素顆粒、球形核粒子、エチルセルロースを主成分と
した球形固体粒子の球形度[−] 粒子形状を光学顕微鏡、電子顕微鏡などを用いて撮影
し、その50個の粒子の短径と長径の比(短径/長径)
の平均値をとった。 球形核粒子の吸水能[g/g] 球形核粒子10g(乾燥物換算)に蒸留水30gを加
え、1時間室温で放置後、ろ取し、表面付着水をろ紙で
軽くふき取った後、重量を測定し、含水量を30で除し
た。繰り返し数は5で、その平均値をとった。
/cm3] 球形核粒子30gを100cm3のガラス製メスシリン
ダーに疎充填し、ゴム板を敷いた机の様な衝撃の低い台
の上で、手でタッピングを行う。タッピングは数cmの
高さから台に垂直に落とすようにして行い、粒子層の圧
密が止まるまで行う。タッピング終了後、粒子層の容積
を読みとり、30で除する。繰り返し数は3で、その平
均値を取った。 球形核粒子の摩損度[%] 萱垣式摩損度測定装置に球形核粒子10gを仕込み、2
5rpmで15分間回転させ、粉化による重量減少率を
測定、計算する。繰り返し数は3で、その平均値を取っ
た。
%] ロータップ式篩振盪機(平工製作所製シーブシェーカー
A型)によりJIS標準篩(Z8801−1987)を
用いて試料10gを15分間篩分することにより粒度分
布を測定した。 エチルセルロースを主成分とした球形固体粒子の粒
度分布[体積%] 試料の水分散体を適当な透過率を示す濃度に水で希釈
し、1分間超音波分散した後、攪拌しながら、相対屈折
率1.2、取り込み回数10回、の条件で、レーザー回
折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−9
10型)にて測定し、体積基準の粒子径分布を求めた。
((株)パウレック製、「マルチプレックス」MP−2
5型)に重合度220の結晶セルロースからなる球形度
0.9、タッピング見掛密度0.97g/cm3 の球形
核粒子(旭化成工業(株)製、「セルフィア」CP−3
05)を仕込み、カフェイン3部、ヒドロキシプロピル
セルロース(日本曹達(株)製、Lタイプ)2部、水9
5部の薬物被覆液を噴霧し、結晶セルロースが95重量
%、カフェインが3重量%含有する、球形度0.9の球
形素顆粒を得た得られた球形素顆粒の粒度分布を表1に
示す。
uacoat」ECD−30、固形分濃度:30重量
%、FMC社製造、旭化成工業(株)販売)43部、ク
エン酸トリエチル3.2部、アクリル酸エチルメタクリ
ル酸メチルコポリマー・エマルジョン(EUDRAGI
T NE30D、固形分濃度:30重量%、(株)樋口
商会販売)13部、水40.8部の割合からなるフィル
ムコーティング液を調製し、上記素顆粒1.0kgに対
し、「マルチプレックス」MP−01型を用いて、回転
板回転数:380rpm、タンジェンシャルボトムスプ
レーを使用し、スプレーエアー圧:1.6kgf/cm
2 、スプレーエアー流量:40L/min、給気温度:
75℃、排気温度:36℃、風量:75m3 /hr、コ
ーティング液供給速度:21g/minの条件で、素顆
粒に対して、コーティング液の固形分として、7.5重
量%の量までコーティングした。
℃、30分間乾燥した後、さらに80℃、60分間キュ
アリング(加熱成膜処理)した。使用した「Aquac
oat」中の固体粒子は球形であり、その粒度分布を表
2に示す。薬物の溶出率[%]は日本分光工業(株)
製、自動溶出試験機DT−610を用い、パドル法(1
00rpm)にて測定した。試験液は第13改正日本薬
局方一般試験法崩壊試験法の試験液第1液を用いた。測
定は3回行い、その平均値をとった。コーティング量と
カフェインの溶出率の結果を図1に示す。図に示される
ように溶出時間4分までの薬物溶出速度に比べて、それ
以降は急激に薬物溶出速度が速くなる破裂型溶出を示し
た。
成を、エチルセルロース水分散液35.3部、クエン酸
トリエチル2.6部、アクリル酸エチルメタクリル酸メ
チルコポリマー・エマルジョン22.7部、水39.4
部とし、コーティング時の給気温度:61℃、排気温
度:30℃、コーティング液供給速度:19g/min
とした以外は、実施例1と同様に操作して、素顆粒に対
して、コーティング液の固形分として、15.0重量%
のフィルムコーティング顆粒を調製した。コーティング
量とカフェインの溶出率の結果を図2に示す。図に示さ
れるように溶出時間5分までの薬物溶出速度に比べてそ
れ以降は急激に薬物溶出速度が速くなる破裂型溶出を示
した。
成を、エチルセルロース水分散液29.7部、クエン酸
トリエチル2.2部、アクリル酸エチルメタクリル酸メ
チルコポリマー・エマルジョン29.7部、水38.4
部とし、コーティング時の給気温度:56℃、排気温
度:27℃、コーティング液供給速度:19g/min
とした以外は、実施例1と同様に操作して、素顆粒に対
して、コーティング液の固形分として、10.0重量%
のフィルムコーティング顆粒を調製した。コーティング
量とカフェインの溶出率の結果を図3に示す。図に示さ
れるように溶出時間5分までの薬物溶出速度に比べてそ
れ以降は急激に薬物溶出速度が速くなる破裂型溶出を示
した。
成を、エチルセルロース水分散液33.3部、アクリル
酸エチルメタクリル酸メチルコポリマー・エマルジョン
33.3部、水33.4部とし、コーティング時の給気
温度:53℃、排気温度:27℃、コーティング液供給
速度:19g/minとした以外は、実施例1と同様に
操作して、素顆粒に対して、コーティング液の固形分と
して、15.0重量%のフィルムコーティング顆粒を調
製した。コーティング量とカフェインの溶出率の結果を
図4に示す。図に示されるように溶出時間5分までの薬
物溶出速度に比べてそれ以降は急激に薬物溶出速度が速
くなる破裂型溶出を示した。
20の結晶セルロースを30重量%含有する球形度0.
9、タッピング見掛密度0.86g/cm3 の球形核粒
子(旭化成工業(株)製、「セルフィア」LC−20
3)を仕込み、リボフラビン10部、ヒドロキシプロピ
ルセルロース(日本曹達(株)製、Lタイプ)2部、水
88部の薬物被覆液を噴霧し、リボフラビンが2重量%
含有する、球形度0.9の球形素顆粒を得た。次に、エ
チルセルロース水分散液33.3部、アクリル酸エチル
メタクリル酸メチルコポリマー・エマルジョン33.3
部、水33.4部の割合からなるフィルムコーティング
液を調製し、上記素顆粒1.0kgに対し、マルチプレ
ックスを用いて、実施例4の条件で素顆粒に対して、コ
ーティング液の固形分として5.0重量%のフィルムコ
ーティング顆粒を調製した。コーティング量とリボフラ
ビンの溶出率の結果を図5に示す。図に示されるように
溶出時間5分までの薬物溶出速度に比べてそれ以降は急
激に薬物溶出速度が速くなる破裂型溶出を示した。
0.9、タッピング見掛密度0.75g/cm3 の球形
核粒子(フロイント産業(株)製、「ノンパレル」NP
−101)を仕込み、カフェイン3部、ヒドロキシプロ
ピルセルロース(日本曹達(株)製、Lタイプ)2部、
水95部の薬物被覆液を噴霧し、カフェインが3重量%
含有する、球形度0.9の球形素顆粒を得た。次に、エ
チルセルロース水分散液33.3部、アクリル酸エチル
メタクリル酸メチルコポリマー・エマルジョン33.3
部、水33.4部の割合からなるフィルムコーティング
液を調製し、上記素顆粒1.0kgに対し、マルチプレ
ックスを用いて、実施例4の条件で素顆粒に対して、コ
ーティング液の固形分として10重量%のフィルムコー
ティング顆粒を調製した。コーティング量とカフェイン
の溶出率の結果を図6に示す。図に示されるように溶出
時間5分までの薬物溶出速度に比べてそれ以降は急激に
薬物溶出速度が速くなる破裂型溶出を示した。
成を、エチルセルロース水分散液53.3部、クエン酸
トリエチル4.0部、水42.7部とした以外は、実施
例1と同様に操作して、素顆粒に対して、コーティング
液の固形分として、5.0および10.0重量%のフィ
ルムコーティング顆粒を調製した。コーティング量とカ
フェインの溶出量の結果を図7に示す。図に示されるよ
うに5.0重量%の場合は、溶出時間1分から急激に薬
物が溶出しており、10.0重量%の場合は、溶出時間
20分でも薬物の溶出が少なく、破裂型溶出を示さなか
った。
成を、エチルセルロース水分散液6.0部、アクリル酸
エチルメタクリル酸メチルコポリマー・エマルジョン6
0.7部、水33.3部とし、コーティング時の給気温
度:48℃、排気温度:25℃、コーティング液供給速
度:18g/minとした以外は、実施例1と同様に操
作して、素顆粒に対して、コーティング液の固形分とし
て、5.0重量%のフィルムコーティング顆粒を調製し
た。コーティング量とカフェインの溶出量の結果を図8
に示す。図に示されるようにコーティング量5.0重量
%で、溶出時間20分でも薬物の溶出が少なく、破裂型
溶出を示さなかった。
溶出試験開始直後の薬物溶出速度が遅く、ある時間以降
の薬物溶出速度が急激に速くなる破裂型溶出を示すた
め、薬物の味をマスキングした顆粒として極めて好適で
ある。
ティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図である。
ーティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図であ
る。
ーティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図であ
る。
ーティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図であ
る。
ティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図である。
ーティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図であ
る。
0重量%のコーティング顆粒の溶出試験における主薬の
溶出図である。
ティング顆粒の溶出試験における主薬の溶出図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 球形核粒子の表面に薬物を担持させた素
顆粒を、(A)エチルセルロースと(B)アクリルポリ
マーを含み、前記成分(A)と前記成分(B)の固形分
の重量比が1.0:0.1〜0.2:1.0であるフィ
ルムで被覆してなることを特徴とする、破裂溶出型フィ
ルムコーティング顆粒。 - 【請求項2】 球形核粒子の表面に薬物を担持させた素
顆粒を、(A)エチルセルロースと(B)アクリルポリ
マーを含み、前記成分(A)と前記成分(B)の固形分
の重量比が1.0:0.1〜0.2:1.0であるフィ
ルムで被覆してなることを特徴とする、請求項1記載の
破裂溶出型フィルムコーティング顆粒の製造方法。
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