JP2000128698A - Ito材、ito膜及びその形成方法、並びにel素子 - Google Patents

Ito材、ito膜及びその形成方法、並びにel素子

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JP2000128698A
JP2000128698A JP10301368A JP30136898A JP2000128698A JP 2000128698 A JP2000128698 A JP 2000128698A JP 10301368 A JP10301368 A JP 10301368A JP 30136898 A JP30136898 A JP 30136898A JP 2000128698 A JP2000128698 A JP 2000128698A
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ito
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Kimimasa Murayama
公正 村山
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ITO膜の比抵抗及び面粗度を小さくするこ
とと、EL素子を長寿命でかつ消費電力の小さいものと
する。 【解決手段】 ITO膜を、各結晶の結晶面が膜の厚さ
方向に配向した内部層と、各結晶が膜の厚さ方向に配向
した結晶面を持たず、かつ層の厚さが小さい表面層とで
構成する。このITO膜では、内部層及び表面層のシー
ト抵抗が小さいため、膜全体としてもシート抵抗が小さ
い。また、表面層の面粗度は小さいものとなる。このI
TO膜を使用したEL素子は、劣化しにくいため長寿命
となる。また、電極層で消費される電力が小さいものと
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】ITO膜などの材料に用いる
ことのできるITO材と、有機EL素子などのEL素子
や、エレクトロクロミック素子(EC素子)、液晶など
の電極に用いることのできるITO膜と、ディスプレー
パネルなどの光表示装置に用いることのできるEL素子
とに関する。
【0002】
【従来の技術】ITO(インジウム・ティン・オキサイ
ド)は、In23の組成を有し、かつC−rare e
arth oxide型構造またはbixbyite型
構造と呼ばれる立方晶構造を有するIn23結晶に、S
nが固溶されてなる物質である。このITOは、無色透
明である上に導電性に優れる。そのため、EL素子や、
EC素子、液晶などの発光素子では、素子の発光を視認
する側の電極としてITO膜が多く用いられている。
【0003】これらの発光素子の電極としてITO膜を
用いる場合、比抵抗の大きなITO膜を用いると、発光
素子の使用中にITO膜で消費される電力が大きなもの
となってしまう。その結果、発光素子の使用にかかるコ
ストが大きなものとなってしまう。そのため、発光素子
においては、比抵抗の小さいITO膜が求められてお
り、その材料となるITO材が求められている。
【0004】従来より、ITO膜の形成方法として、ス
パッタリング法などの物理蒸着法(PVD)によって形
成する方法や、特開平10−147769号公報で開示
されているように、アルコキシドを利用して形成する方
法などが知られ、膜全体が均質になるように形成されて
いる。しかし、従来のITO膜の形成方法では、例えば
スパッタリング法による形成方法において、基体の温度
(成膜温度)を高くしてITO膜を形成すると、そのI
TO膜の比抵抗は比較的小さなものとなるが、ITO膜
の表面にクレーター状の突出部が複数にかつ複雑な配置
形態で生じて、その面粗度が大きくなってしまうことが
知られている。このように面粗度の大きなITO膜をE
L素子に用いると、図4に示すように、正孔輸送層、発
光層及び電子輸送層などから構成されるEL層に対し
て、ITO膜の表面に突出した突出部から集中的に電流
が流れてしまう。このように電流が局所的に多量に流れ
ることによって、EL素子が劣化してしまうことがあ
る。その結果、EL素子の寿命が低下してしまう。
【0005】そこで、ITO膜の表面を研磨してその面
粗度を小さくすることが考えられる。しかし、ITO膜
の表面を平滑に研磨することは非常に手間がかかり、I
TO膜の製造コストが大きなものとなってしまう。特
に、微細にかつ複数形成されたITO膜においては、そ
の表面を平滑に研磨することは極めて困難である。ま
た、ITO膜の磨き捨てられる部分を余分に形成する必
要があるとともに、磨き捨てられたものを再生すること
が難しいなど、ITO膜の生産性が低いものとなってし
まう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、比抵抗の小さいITO材を提
供することを第1の課題とする。また、比抵抗が小さ
く、かつ面粗度の小さいITO膜を提供することを第2
の課題とする。さらに、比抵抗が小さく、かつ面祖度の
小さいITO膜を容易に形成することのできるITO膜
の形成方法を提供することを第3課題とする。一方、長
寿命でかつ消費電力の小さいEL素子を提供することを
第4の課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の請求項1に記載のITO材は、In23の組成を有
し、かつ立方晶構造を有するIn23結晶にSnが固溶
されている多結晶からなるITO材において、各結晶の
(400)面が一方向に配向していることを特徴とす
る。
【0008】上記課題を解決する本発明の請求項2に記
載のITO膜は、In23の組成を有し、かつ立方晶構
造を有するIn23結晶にSnが固溶されている多結晶
からなるITO膜において、各結晶の少なくとも一種の
結晶面が膜の厚さ方向に配向している内部層と、各結晶
が膜の厚さ方向に配向した結晶面をもたず、かつ該内部
層に対して層の厚さの小さい表面層とから構成されてい
ることを特徴とする。
【0009】上記課題を解決する本発明の請求項3に記
載のITO膜は、請求項2に記載のITO膜において、
前記内部層では、各結晶の(400)面が膜の厚さ方向
に配向していることを特徴とする。上記課題を解決する
本発明のITO膜の形成方法は、In23の組成を有
し、かつ立方晶構造を有するIn23結晶にSnが固溶
されている多結晶からなり、かつ各結晶の該立方晶構造
における少なくとも一種の結晶面が膜の厚さ方向に配向
している内部層と、各結晶が膜の厚さ方向に配向した結
晶面を持たず、かつ該内部層に対して層の厚さの小さい
表面層とから構成されているITO膜を基体上に形成す
る方法であって、インジウムが含まれる蒸気状のインジ
ウム含有粒子と、スズが含まれる蒸気状のスズ含有粒子
とをそれぞれ発生させ、前記基体の表面温度をガラス軟
化温度またはその近傍の温度で保持した状態で、該イン
ジウム含有粒子及びスズ含有粒子を酸素とともに該基体
上に堆積させて前記内部層を形成する内部層形成工程
と、前記インジウム含有粒子と前記スズ含有粒子とをそ
れぞれ任意の手段で発生させ、前記基体の表面温度を常
温で保持した状態で、該インジウム含有粒子及び該スズ
含有粒子を酸素とともに該内部層の表面上に堆積させて
前記表面層を形成する表面層形成工程と、からなること
を特徴とする。
【0010】上記課題を解決する本発明の請求項5に記
載のEL素子は、基体上に設けられ、互いに対向する一
対の少なくとも一方が透明な電極層と、該電極層の間に
介設される発光層とから構成されるEL素子であって、
前記透明な電極層は、In23の組成を有し、かつ立方
晶構造を有するIn23結晶にSnが固溶されている多
結晶からなり、かつ各結晶の少なくとも一種の結晶面が
膜の厚さ方向に配向している内部層と、各結晶が膜の厚
さ方向に配向した結晶面を持たず、かつ該内部層に対し
て層の厚さの小さい表面層とから構成されているITO
膜を少なくとも表面部に備えていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のITO材、ITO膜及び
その形成方法、並びにEL素子について、請求項ごとに
それぞれの実施の形態を以下に説明する。 (請求項1に記載のITO材)本発明者は、スパッタリ
ング法によって、In及びSnが所定の割合で含まれる
In−Sn合金よりなるターゲットを用い、酸素が含ま
れる雰囲気中でスパッタリングを行うことにより所定の
基体上にITO膜を形成する際に、基体の温度(成膜温
度)、膜厚、ターゲットの密度、成膜がなされる雰囲気
に含まれる酸素量など諸条件を様々に変えてITO膜を
それぞれ形成した。
【0012】得られた各ITO膜について、X線回折法
(ディフラクトメーター法)により構造解析を行った。
その結果、各ITO膜は、In23の組成を有し、かつ
立方晶構造を有するIn23結晶にSnが固溶されてい
る多結晶からなることがわかった。また、各結晶の(2
22)面、(400)面、(440)面、(622)面
及び(800)面の回折ピークがそれぞれ大きく現れる
こともわかった。この構造解析の結果から、各結晶面の
強度比を求め、数式1で定義される(400)面の配向
度F(400)を計算した。
【0013】
【数1】
【0014】なお、配向度F(400)が大きいほど、
各結晶の(400)面が膜の厚さ方向(基体の表面に対
する法線方向)に配向していると言える。また、F(4
00)が0%においては、各結晶の(400)面がラン
ダムな方向に向いており(無配向)、負の値では、膜の
厚さ方向以外の方向に配向していると言える。一方、各
ITO膜の比抵抗を4端子法により測定し、配向度F
(400)とその比抵抗との関係をそれぞれ調べた。そ
の結果、図5に示すように、配向度F(400)が大き
いITO膜ほど、その比抵抗が小さくなることを発見し
た。
【0015】図5に示される試料1及び試料2につい
て、それらのX線回折図を6及び図7に例示する。な
お、結晶面を示していないピークは、In23結晶など
によるものである。これらのX線回折図からも、(40
0)面の配向性が高いITO膜ほど比抵抗が小さいこと
は一目瞭然である。本発明者は、以上の発見から、In
23の組成を有し、かつ立方晶構造を有するIn23
晶にSnが固溶されている多結晶からなるITO材にお
いて、各結晶の(400)面を一方向に配向させること
により、その比抵抗を低くすることができることを見出
した。
【0016】また、本発明者は、特に成膜温度を250
℃以上にしてITO膜を形成することにより、各結晶の
(400)面の配向度を大きくできることも見出した。
さらに、成膜雰囲気の酸素含有量を増大させることによ
り、図8に示すように、各結晶の(400)面の面間隔
のずれ量が小さくなるとともに、ここでは図示しない
が、そのずれ量が小さいITO材ほど比抵抗が小さくな
ることも見出した。各結晶の(400)面の面間隔のず
れ量が小さいITO材ほど比抵抗が小さくなる理由とし
ては、各結晶の(400)面が互いに容易に揃って配置
されることが考えられる。なお、ここで言う面間隔のず
れ量とは、図9に示されるずれの大きさのことを意味す
る。その面間隔のずれ量は、分析測定して得ることがで
きる。
【0017】本発明のITO材は、以上の知見に基づい
てなされたものである。各結晶の(400)面が一方向
に配向していると、比抵抗が小さくなる理由については
明らかになっていないが、(400)面の配向が結晶化
度に対して支配的な要因となっており、結晶化度が高い
ほどITO材の比抵抗を小さくしていることが考えられ
る。
【0018】本発明では、図4で示したように、配向度
F(400)が80%以上の値で1.0×10-4Ω・c
m以下の極めて小さい比抵抗が得られ、特にその値が7
3.5%では1.2×10-4Ω・cmの比抵抗を得るこ
とができる。本発明のITO材の用途は特に限定される
ものではない。その使用形態としては、バルク材として
使用してもよいし、膜材として使用してもよい。特に、
後者では、EL素子や、EC素子、液晶などの発光素子
の透明な電極層として用いることができる。
【0019】本発明のITO材は、その形成方法で特に
限定されるものではないが、例えばスパッタリング法に
よって、In及びSnが所定の割合で含まれるIn−S
n合金よりなるターゲットを用い、酸素が含まれる雰囲
気中でスパッタリングを行うことにより所定の基体上に
ITO膜を形成することができる。ただし、この形成方
法では、上記のように成膜温度、膜厚、ターゲットの密
度、成膜雰囲気の酸素含有量をそれぞれ適切に選択する
必要がある。
【0020】この場合、成膜温度を250℃以上にする
ことが好ましい。このように成膜温度を選択することに
より、上述したように各結晶の(400)面の配向度を
大きくすることができ、ITO材の比抵抗を極めて小さ
くすることができる。また、膜厚を100nm以上にす
ることが好ましい。このように膜厚を選択することによ
り、ITO材を構成する結晶を十分に成長させることが
できる。
【0021】さらに、ターゲット密度を92%以下にす
ることが好ましい。このように、ターゲット密度を小さ
くすることにより、スパッタされたターゲット粒子をタ
ーゲットの他の原子から影響を受けないように基体方向
へ飛ばすことができる。その結果、各結晶の(400)
面の配向度を大きくして結晶成長させることができ、I
TO材の比抵抗を極めて小さくすることができる。 (請求項2に記載のITO膜)本発明のITO膜は、内
面層及び表面層が次のように機能するため、シート抵抗
及び面粗度のいずれもが小さなものとなる。
【0022】内部層においては、各結晶の少なくとも一
種の結晶面が膜の厚さ方向に配向しているため、結晶化
度が大きく、比抵抗が小さなものとなる。その結果、内
部層のシート抵抗は小さなものとなる。ところで、立方
晶構造における少なくとも一種の結晶面が配向したIT
O膜では、表面にクレーター状の突出部が複数でかつ複
雑な配置形態で生じ、面粗度が大きくなることが知られ
ている。一方、各結晶が膜の厚さ方向に配向した面を持
たないITO膜の表面は、クレーター状の突出部が形成
されず、平滑であることが知られている。本発明のIT
O膜の表面層においては、各結晶が膜の厚さ方向に配向
した面を持たないため、表面層の表面の面粗度が小さな
ものとなる。
【0023】また、表面層は、その各結晶が膜の厚さ方
向に配向した結晶面をもたないため、その比抵抗は大き
なものとなる。しかし、表面層は、内部層に比べて小さ
い層の厚さをもつ。シート抵抗は層の厚さに反比例する
ため、比抵抗が大きくともそのシート抵抗は小さなもの
となる。従って、本発明のITO膜では、内部層及び表
面層のシート抵抗がともに小さく、かつ表面層の表面の
面粗度が小さいため、膜全体としてシート抵抗及び面粗
度のいずれもが小さなものとなる。
【0024】本発明のITO膜を発光素子の電極層とし
て用いれば、膜のシート抵抗が小さいがゆえに、その消
費電力を小さなものとすることができる。また、面粗度
が小さいがゆえに、膜の表面全体から均質に電流を流す
ことができ、電流が局所的に多量に流れることによるE
L素子の劣化を防止することができる。その結果、EL
素子の寿命を長いものとすることができる。
【0025】内部層において、配向している結晶面の種
類は特に限定されるものではない。一種だけ膜の厚さ方
向に配向していてもよいし、2種以上が配向していても
よい。また、内部層の厚さについては特に限定されるも
のではない。表面層の厚さについては、内部層の厚さよ
り小さい他は特に限定されるものではないが、膜全体の
10〜20%の厚さをもつことが好ましい。このように
表面層の厚さを選択することにより、表面層のシート抵
抗を十分に小さなものとすることができる。
【0026】内部層の形成方法については特に限定され
るものではないが、スパッタリング法などのPVD法に
よって形成することができる。スパッタリング法を用い
る場合、成膜温度、ターゲットの密度、成膜雰囲気の酸
素含有量などをそれぞれ適切に選択して、各結晶の少な
くとも一種の結晶面が膜の厚さ方向に配向するように形
成する必要がある。
【0027】表面層の形成方法についても特に限定され
るものではないが、スパッタリング法などのPVD法に
よって形成することができる。スパッタリング法を用い
る場合、成膜温度、ターゲットの密度、成膜雰囲気の酸
素含有量、成膜速度及び成膜時間などをそれぞれ適切に
選択して、各結晶が膜の厚さ方向に配向した面を持たな
いように形成する必要がある。
【0028】本発明のITO膜では、内部層及び外部層
の形成方法は同一である必要はない。例えば、スパッタ
リング法によって、基体の表面温度を適切な温度で保持
しながら内部層を形成し、続いて、前述したアルコキシ
ドを用いた方法によって、成膜温度を適温に保って表面
層を形成することもできる。本発明のITO膜は、特に
スパッタリング法を用いれば、図1に示すように、基体
上に内部層と表面層とを容易にかつ短時間で順に連続し
て形成することができる。
【0029】また、表面層を形成する際に、表面層にI
n、Sn及び酸素以外の元素をドープしたり、またはそ
の元素含む物質を添加することにより、各結晶が膜の厚
さ方向に配向した面を持たないように形成してもよい。
また、この添加物には、比抵抗及び面粗度以外の膜特性
を改善または付与するものを用いてもよい。 (請求項3に記載のITO膜)本発明のITO膜では、
内部層の各結晶の(400)面がITO膜の厚さ方向に
配向しているため、請求項1に記載のITO材でその理
由を述べたように、内部層の比抵抗が極めて小さなもの
となる。そのため、内部層のシート抵抗は極めて小さな
ものとなる。
【0030】従って、本発明のITO膜では、請求項2
に記載のITO膜と同様に面粗度が小さなものとなる上
に、シート抵抗が極めて小さなものとなる。本発明のI
TO膜を発光素子の電極層として用いれば、膜のシート
抵抗が極めて小さいがゆえに、その消費電力を極めて小
さなものとすることができる。また、請求項2に記載の
ITO膜と同様に、面粗度が小さいがゆえに、膜の表面
全体から均質に電流を流すことができ、電流が局所的に
多量に流れることによるEL素子の劣化を防止すること
ができる。その結果、EL素子の寿命を長いものとする
ことができる。 (請求項4に記載のITO膜の製造方法)本発明者は、
スパッタリング法によって、In及びSnが所定の割合
で含まれるIn−Sn合金よりなるターゲットを用いて
酸素が含まれる雰囲気中でスパッタリングを行うことに
より、インジウムが含まれる蒸気状のインジウム含有粒
子(In含有粒子)と、スズが含まれる蒸気状のスズ含
有粒子(Sn含有粒子)とを酸素とともに所定の温度で
保持された基体の表面上に堆積させてITO膜を形成し
た。このとき、基体の表面温度を100℃、200℃、
300℃及び400℃の各温度で保持して、4種類のI
TO膜を形成した。
【0031】こうして形成された各ITO膜の比抵抗を
それぞれ測定した結果、図10に示すように、基体の表
面温度が増加するにつれてITO膜の比抵抗が小さくな
ることが見出された。また、図11に示すように、IT
O膜の比抵抗が大きくなるにつれて、ITO膜の面粗度
が小さくなることが見出された。さらに、図12に示す
ように、ITO膜の面粗度が大きくなるにつれて、その
ITO膜を電極層として用いたEL素子の輝度の半減時
間が低下していくことが見出された。本発明のITO膜
の形成方法は、これらの知見に基づいてなされたもので
ある。
【0032】本発明のITO膜の形成方法では、比抵抗
の小さい内部層と、比抵抗は大きいが面粗度の小さい表
面層とから構成されるITO膜が形成される。内部層で
は、その比抵抗が小さいため、層の厚さに関係なくシー
ト抵抗は小さなものとなる。表面層では、その比抵抗が
大きいが、内部層に比べて層の厚さが小さいためシート
抵抗は小さなものとなる。
【0033】従って、本発明のITO膜の形成方法で
は、内部層及び表面層のシート抵抗がともに小さく、か
つ表面層の表面の面粗度が小さいITO膜、すなわち膜
全体としてシート抵抗及び面粗度のいずれもが小さなI
TO膜が形成される。内部層形成工程において、比抵抗
の小さな内部層が形成される理由については、次のよう
に考えられる。
【0034】In含有粒子とSn含有粒子とが酸素とと
もに基体上に堆積するにつれて、In23結晶にSnが
固溶した結晶が多結晶として形成される。このとき、基
体の表面温度がガラス軟化温度(480〜520℃)ま
たはその近傍の温度に保持されているため、In含有粒
子及びSn含有粒子の堆積面はガラス軟化温度またはそ
の近傍の温度にある。このとき、各結晶は、立方晶構造
における少なくとも一種の結晶面、特に(400)面が
容易に配向して成長することができる。そのため、内部
層の比抵抗が小さくなるものと考えられる。しかし、こ
のとき形成される内部層の表面には、クレーター状の突
出部が複数にかつ複雑な配置形態で生じ、内部層の表面
の面粗度を大きくしてしまう。
【0035】一方、表面層形成工程において、面粗度の
小さな表面層が形成される理由については、明確にはわ
かっていないが、次のように考えられる。表面層形成工
程においては、基体の表面温度が常温に保持されている
ため、内部層を介してIn含有粒子及びSn含有粒子の
堆積面が常温に保持されている。このとき、多結晶とし
て形成される各結晶は、常温では少なくとも一種の結晶
面が配向して成長することが難しい。このとき形成され
る表面層の表面には、クレーター状の突出部が形成され
にくい。従って、内部層の表面に生じたクレーター状の
突出部が表面層によって埋められてしまうとともに、表
面層の表面にもクレーター状の突出部が生じることがな
い。そのため、表面層の面粗度が小さくなると考えられ
る。
【0036】以上の理由により、膜全体としてシート抵
抗及び面粗度のいずれもが小さなITO膜が形成される
ものと考えられる。また、本形成方法では、内部層形成
工程において、基体の表面温度をガラス軟化温度または
その近傍の温度に保持して内部層を形成するため、次の
効果も得ることができる。
【0037】基体の表面温度をガラス軟化温度またはそ
の近傍の温度に保持してIn含有粒子とSn含有粒子と
を堆積させると、その結果形成される内部層と基体との
境界面における結合性が高くなる。その結果、内部層が
基体に密着性良く形成される。従って、本形成方法で
は、基体に対して密着性に優れたITO膜を形成するこ
とができる。
【0038】基体の種類については特に限定されるもの
ではなく、透明ガラスや透明樹脂などが挙げられる。基
体の表面形状及びその表面粗さについても特に限定され
るものではないが、平らでかつ平滑性の高い基体を用い
ることが好ましい。蒸気状のIn含有粒子の粒子形態は
特に限定されるものではなく、Inの単原子、Inクラ
スター、酸化インジウム分子、Sn原子との複合粒子な
どが挙げられる。蒸気状のSn含有粒子の粒子形態も特
に限定されるものではなく、Snの単原子、Snクラス
ター、酸化スズ分子、インジウム原子との複合粒子など
が挙げられる。
【0039】蒸気状のIn含有粒子及びSn含有粒子を
発生させる手段についても特に限定されるものではな
く、公知の発生手段を用いることができる。その発生手
段として、インジウム及び酸化インジウムの少なくとも
一方を含むIn源と、スズ及び酸化スズの少なくとも一
方を含むSn源とをそれぞれ用意して、それらのIn源
及びSn源からそれぞれ物理的に蒸気状のIn含有粒子
及びSn含有粒子を発生させる手段が挙げられる。例え
ば、In源及びSn源の少なくとも一方を適当な温度で
加熱して蒸発させる方法や、適当なスパッタ粒子を用い
てIn源及びSn源の少なくとも一方をスパッタする方
法が挙げられる。いずれの方法においてもIn源及びS
n源を一緒のものとすることができる。
【0040】なお、In源及びSn源の少なくとも一方
に酸化物が含まれているときには、成膜雰囲気中に酸素
を含ませなくてもITO膜を形成することが理論的には
可能であるが、実際的には、形成される膜に十分な量の
酸素を含ませることができないことが多い。そのため、
In源及びSn源ともに酸化物が含まれている場合であ
っても、成膜雰囲気中に酸素を含有させて、In含有粒
子及びSn含有粒子を雰囲気中の酸素とともに基体上に
堆積させることが好ましい。
【0041】基体の表面温度の制御方法は特に限定され
るものではなく、公知の制御方法を用いることができる
が、例えば、抵抗加熱式のヒータなどを用い、ITO膜
が形成される基体の反対側の面から加熱温度を適切に制
御しながら加熱することにより、基体の表面温度を制御
することができる。また、内部層及び外部層の形成方法
は同一である必要はない。
【0042】さらに、In含有粒子及びSn含有粒子を
酸素とともに堆積させる速度(成膜速度)も、内部層及
び表面層のいずれにおいても特に限定されるものではな
い。一方、本形成方法では、内部層形成工程と表面層形
成工程の間に、基体の表面温度をガラス軟化温度または
その近傍の温度から常温に連続的または段階的に低下さ
せながら、前記インジウム含有粒子及び前記スズ含有粒
子を酸素とともに内部層の表面上に堆積させることによ
り、図2に示すような中間層を形成することが好まし
い。このように中間層を形成することにより、内部層と
表面層との密着性を向上させることができる。 (請求項5に記載のEL素子)本発明のEL素子では、
透明な電極層の少なくとも表面部に、シート抵抗及び面
粗度のいずれもが小さなITO膜が備えられているた
め、その透明な電極層の消費電力を小さなものとするこ
とができる。また、その電極層の面粗度が小さいがゆえ
に、膜の表面全体から均質に電流を流すことができ、電
流が局所的に多量に流れることによるEL素子の劣化を
防止することができる。その結果、EL素子の寿命を長
いものとすることができる。
【0043】基体の材質及び形状は特に限定されるもの
ではない。基体には、ガラスよりなる基体が用いられる
ことが多いが、合成樹脂よりなる基体を用いることもで
きる。また、基体は一般に透明なものが用いられるが、
他方の電極層を透明な材料からなるものとすれば、基体
には不透明なものを用いることができる。また、基体の
形状については、EL素子が形成される表面が平らな形
状のものを用いることが好ましい。
【0044】EL素子の各層は、その材質で特に限定さ
れるものではなく、公知の材料を用いて構成することが
できる。なお、以下では、基体上に(発光層より基体の
表面側に)に形成される一方の電極層を第1電極層と呼
び、発光層上に形成される他方の電極層を第2電極層と
呼ぶことにする。透明な基体を用い、発光層で発光した
光を基体を通じて放光させる場合には、第1電極層を透
明な電極層とする必要がある。一方、第2電極層を透明
な電極層として、発光層で発光した光を第2電極層を通
じて放光させてもよい。なお、この場合には、第1電極
層を不透明な導電性金属から形成してもよい。
【0045】本発明のEL素子では、透明な電極層が、
In23の組成を有し、かつ立方晶構造を有するIn2
3結晶にSnが固溶されている多結晶からなるITO
膜において、各結晶の少なくとも一種の結晶面が膜の厚
さ方向に配向している内部層と、各結晶が膜の厚さ方向
に配向した結晶面を持たず、かつ該内部層に対して層の
厚さの小さい表面層とから構成されているITO膜を備
えるものである。
【0046】透明な電極層は、このような構成のITO
膜のみからなるものであってもよいし、他の構成(形
質)のITO膜を合わせ持つものであってもよい。さら
に、AZO(Al添加ZnO)、SnO2などのITO
膜以外の透明導電膜を合わせ持つものであってもよい。
いずれにおいても、請求項5に記載されているITO膜
(その表面層)が表面部に配置されるように構成する。
【0047】なお、請求項5に記載されているITO膜
以外のITO膜や、ITO膜以外の透明導電膜は、スパ
ッタリング法によって形成することができる。一方、不
透明な導電性金属としては、Mg−Ag合金、Alなど
の導電性金属が挙げられる。これらの導電性金属からな
る不透明な電極層は、蒸着法やスパッタリング法などに
よって形成することができる。
【0048】発光層の材料も特に限定されるものではな
く、公知の材料から形成することができる。その材質
は、有機質及び無機質のいずれであってもよい。特に、
有機質の発光層とする場合には、正孔輸送層と、正孔輸
送層上に形成された有機発光層と、有機発光層上に形成
された電子輸送層とから構成することができる。いずれ
の層も公知の材料から形成することができる。例えば、
正孔輸送層には、トリフェニルジアミン誘導体などの第
3級アミン誘導体や、MTDATAなどより形成するこ
とができる。有機発光層には、トリスキノリノアルミニ
ム錯体や、TPDなどより形成することができる。電子
輸送層には、ポリシランや、Bebq2などより形成す
ることができる。これら発光層の各層は、真空蒸着法、
ラングミュアブロジェット蒸着法、ディップコーティン
グ法、スピンコーティング法、有機分子線エピタキシ法
などの成膜方法を用いてそれぞれ形成することができ
る。
【0049】なお、発光層が熱に弱い場合、第2電極層
の形成方法として、スパッタリング法など高温が発光層
に作用する成膜方法は適さない。従って、この場合の第
2電極層の形成方法には、蒸着法など、高温が発光層に
作用することのない成膜方法を用いることが好ましい。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1) [ITO膜の形成]本実施例では、図1で示したよう
に、内部層及び表面層とからなるITO膜を、スパッタ
リング法によりガラス基板上に以下のようにして形成し
た。
【0051】本実施例で使用した成膜装置には、高周波
マグネトロンスパッタリング装置を使用した。そのター
ゲットには、In及びSnが所定の割合で含まれるIn
−Sn合金よりなるものを用いた。また、この成膜装置
には、真空チャンバー内のガスを排気することのできる
排気系と、真空チャンバー内に所定のガスを導入するこ
とのできるガス導入系とがそれぞれ設けられている。排
気系は、真空チャンバー内を10-6Paの真空度に真空
引きすることのできる真空ポンプにより構成されてい
る。この排気系により、真空チャンバー内の不純物ガス
を排気することができる。ガス導入系は、Arガス、ま
たはArガスにO2ガスを所定の割合で混合した混合ガ
スを任意の流量で導入することができる。
【0052】ターゲットの上方の所定の位置にガラス基
板を固定できる基板固定台を設けた。この基板固定台に
は、台上に設置された基板をガラス軟化温度で加熱でき
る加熱手段と、加熱された基板を常温に冷却できる冷却
手段とがそれぞれ設けられている。加熱手段には、抵抗
加熱式のヒータを用いた。また、冷却手段には、冷却管
に冷却水が流される冷却装置を用いた。基板温度は熱電
対を用いて測定した。
【0053】なお、基板固定台には、所定の高周波電力
を印加することができる電力印加手段が設けられてい
る。チャンバー内にArガスが所定の真空度で導入され
た状態で、基板固定台に高周波電力を印加することによ
り、高周波放電を起こすことができる。この高周波放電
により、基板固定台上に固定された基板の表面がアルゴ
ンエッチングされる。
【0054】本実施例では、以上の次の手順でITO膜
を形成した。先ず、所定の形状及び所定サイズをもつガ
ラス基体を用意し、それをエタノール中で超音波に曝し
て、その表面を脱脂洗浄した。こうして超音波洗浄した
ガラス基体を基体固定台に設置した後、基体固定台の加
熱手段によりガラス基板をガラス軟化温度に加熱した。
【0055】続いて、排気系によって真空チャンバー内
を10-6Paの真空度まで排気した後、ガス導入系によ
って真空チャンバー内にArガスを導入して、真空チャ
ンバー内の真空度を10-4Paとし、基体固定台に所定
の電力をかけて高周波放電を起こさせた。このとき発生
した高エネルギーのArイオンにより基板の表面がエッ
チングされ、基体の表面に存在する微小な不純物(超音
波洗浄によっても除去されなかったものや、超音波洗浄
後に付着したものなど)が除かれた。
【0056】こうしてガラス基板の表面をエッチングし
た後、真空チャンバー内にArガスにO2ガスを所定の
割合で混合した混合ガスを導入して、真空チャンバー内
の真空度を10-3Paとした。次いで、図13に示すよ
うに、加熱手段により基板の表面温度をガラス軟化温度
に昇温させた後、ターゲットに所定の高周波電力を印加
して高周波放電を所定の時間起こさせた。この高周波放
電によりターゲットがスパッタされて、インジウムが含
まれる蒸気状のIn含有粒子と、スズが含まれる蒸気状
のSn含有粒子とが酸素とともにガラス基板の表面上に
堆積した。その結果、内部層が、0.1μmの厚さ(I
TO膜の所望の膜厚に対して80〜90%の厚さ)で形
成された。
【0057】なお、この内部層と同じ条件で形成したI
TO膜について、X線回折により構造解析を行った結
果、ここでは図示しないが、図6に示したX線回折図と
ほぼ同じX線回折図が得られた。引き続いて、図13に
示したように、冷却手段によりガラス基板を常温に冷却
し、ガラス基板の温度を常温に保持して上記高周波放電
を所定の時間行った。その結果、In含有粒子及びSn
含有粒子が酸素とともに内部層の表面上に堆積して、表
面層が形成された。
【0058】こうして、ガラス基板の表面上に、内部層
及び表面層からなるITO膜が形成された。そのITO
膜のシート抵抗を4端子法により測定した結果、4〜5
Ω/□の値が得られた。また、その面粗度を面粗度計で
測定した結果、4〜5nmRzの値が得られた。従っ
て、本実施例で形成されたITO膜は、シート抵抗及び
面粗度のいずれもが小さなものであることがわかった。 [EL素子の製造]本実施例では、図3に示される有機
EL素子を製造した。この有機EL素子は、透明ガラス
よりなる透明基板10と、透明電極層20と、有機EL
層30と、背面電極層として働くAl板40と、Al板
40以外の部分を真空下に密封する真空パックフィルム
50とから構成されるものである。
【0059】透明電極層20は、実施例1のITO膜よ
りなる。有機EL層30は、MTDATAよりなる正孔
輸送層32と、TPDよりなる発光層34と、Bebq
2よりなる電子輸送層36とから構成されている。透明
導電層20及びAl板5は、それぞれリード線60、6
0を介して電気加圧器70に接続されている。この有機
EL素子は、次の手順で作製した。
【0060】先ず、透明基板10(厚さ1.1〜1.5
mm)の表面上に透明電極層20を実施例1と同様の方
法で一様に所定の厚さで形成した。その一方で、トリフ
ェニルアミンの4量体を370℃に加熱して、正孔輸送
層3の溶融物を調製した。この溶融物を、上記のように
表面処理がなされた透明導電層2の表面に塗布し、冷却
して固化させ、正孔輸送層32を所定の厚さで形成し
た。
【0061】次に、蛍光体粉末、有機バインダ及び溶剤
を用意し、それらを混合して発光層用合剤を調製した。
蛍光体粉末には、主としてZnS及びCuからなる粒子
の粉体を用いた。有機バインダには、シアノエチルセル
ロース及びシアノエチルサッカロースが混合されてなる
ものを用いた。溶剤にはジメチルホルムアミドを用い
た。発光層用合剤をドクターブレード法などにより、正
孔輸送層32の表面に塗布し、よく乾燥させて発光層3
4を所定の厚さで形成した。
【0062】この発光層34の表面に、電子輸送層を真
空蒸着法により所定の厚さで形成した。この電子輸送層
36の表面にAl板40を重ね合わせて接着した。透明
電極層20及びAl板40にリード線60、60を接続
し、有機EL層30を真空パックフィルム50で真空下
に密封して、有機EL素子を完成した。
【0063】この有機EL素子の消費電力は極めて小さ
いものであった。また、この有機EL素子の輝度半減時
間を測定した結果、この有機EL素子は長寿命であるこ
とがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のITO膜を模式的に示す断面図であ
る。
【図2】 実施例1のITO膜を模式的に示す断面図で
ある。
【図3】 実施例のEL素子を模式的に示す断面図であ
る。
【図4】 従来のEL素子で生じていた問題を模式的に
示す断面図である。
【図5】 ITO膜の配向度F(400)とその比抵抗
との関係を示すグラフである。
【図6】 図5に示されるITO膜のX線回折図を示す
図である。
【図7】 図5に示されるITO膜のX線回折図を示す
図である。
【図8】 成膜雰囲気の酸素量含有量と、その結果形成
されたITO材の各結晶の(400)面の面間隔のずれ
量との関係を示すグラフである。
【図9】 図8に示される面間隔のずれ量を説明する模
式図である。
【図10】 ITO膜の成膜における成膜温度と、その
結果形成されたITO膜の比抵抗との関係を示すグラフ
である。
【図11】 ITO膜の比抵抗とその面粗度との関係を
示すグラフである。
【図12】 ITO膜の面粗度と、そのITO膜を用い
た有機EL素子の輝度半減時間との関係を示すグラフで
ある。
【図13】 実施例1において、ITO膜の成膜におけ
る成膜時間と、基板温度と関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:ガラス基板 20:透明電極層 30:有機EL層 32正孔輸送層 34:発光層 3
6:電子輸送層 40:Al板(背面電極層)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 In23の組成を有し、かつ立方晶構造
    を有するIn23結晶にSnが固溶されている多結晶か
    らなるITO材において、各結晶の(400)面が一方
    向に配向していることを特徴とするITO材。
  2. 【請求項2】 In23の組成を有し、かつ立方晶構造
    を有するIn23結晶にSnが固溶されている多結晶か
    らなるITO膜において、各結晶の少なくとも一種の結
    晶面が膜の厚さ方向に配向している内部層と、各結晶が
    膜の厚さ方向に配向した結晶面をもたず、かつ該内部層
    に対して層の厚さの小さい表面層とから構成されている
    ことを特徴とするITO膜。
  3. 【請求項3】 前記内部層では、各結晶の(400)面
    が膜の厚さ方向に配向している請求項2に記載のITO
    膜。
  4. 【請求項4】 In23の組成を有し、かつ立方晶構造
    を有するIn23結晶にSnが固溶されている多結晶か
    らなり、かつ各結晶の該立方晶構造における少なくとも
    一種の結晶面が膜の厚さ方向に配向している内部層と、
    各結晶が膜の厚さ方向に配向した結晶面を持たず、かつ
    該内部層に対して層の厚さの小さい表面層とから構成さ
    れているITO膜を基体上に形成する方法であって、 インジウムが含まれる蒸気状のインジウム含有粒子と、
    スズが含まれる蒸気状のスズ含有粒子とをそれぞれ発生
    させ、前記基体の表面温度をガラス軟化温度またはその
    近傍の温度で保持した状態で、該インジウム含有粒子及
    びスズ含有粒子を酸素とともに該基体上に堆積させて前
    記内部層を形成する内部層形成工程と、 前記インジウム含有粒子と前記スズ含有粒子とをそれぞ
    れ任意の手段で発生させ、前記基体の表面温度を常温で
    保持した状態で、該インジウム含有粒子及び該スズ含有
    粒子を酸素とともに該内部層の表面上に堆積させて前記
    表面層を形成する表面層形成工程と、 からなることを特徴とするITO膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 基体上に設けられ、互いに対向する一対
    の少なくとも一方が透明な電極層と、該電極層の間に介
    設される発光層とから構成されるEL素子であって、 前記透明な電極層は、In23の組成を有し、かつ立方
    晶構造を有するIn23結晶にSnが固溶されている多
    結晶からなり、かつ各結晶の少なくとも一種の結晶面が
    膜の厚さ方向に配向している内部層と、各結晶が膜の厚
    さ方向に配向した結晶面を持たず、かつ該内部層に対し
    て層の厚さの小さい表面層とから構成されているITO
    膜を少なくとも表面部に備えていることを特徴とするE
    L素子。
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