JP3918721B2 - 透明導電性薄膜、その製造方法と製造用焼結体ターゲット、及び有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法 - Google Patents

透明導電性薄膜、その製造方法と製造用焼結体ターゲット、及び有機エレクトロルミネッセンス素子とその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ素子や、有機又は無機エレクトロルミネッセンス素子などに用いられる低抵抗で表面平滑性に優れた透明導電性薄膜、その製造方法及びその製造に用いる焼結体ターゲット、及びその透明導電性薄膜を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明導電性薄膜は、高い導電性と共に可視光領域での高い透過率とを有する。このため、透明導電性薄膜は太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子等の電極として利用されているばかりでなく、自動車窓ガラスや建築物の窓ガラスなどに用いる熱線反射膜、各種の帯電防止膜、冷凍ショーケースなどの防曇用の透明発熱体としても利用されている。
【0003】
このような透明導電性薄膜として、アンチモンやフッ素がドーピングされた酸化錫(SnO)膜、アルミニウムやガリウムがドーピングされた酸化亜鉛(ZnO)膜、錫がドーピングされた酸化インジウム(In)膜等が広範囲に利用されている。特に錫がドーピングされた酸化インジウム膜、即ちIn−Sn系膜はITO(Indium Tin Oxide)膜と称され、低抵抗の膜が容易に得られることから広く用いられている。
【0004】
これらの透明導電性薄膜の製造方法としては、スパッタリング法やイオンプレーティング法等の物理的成膜法が良く知られている。特にスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を用いて被成膜物質(以下、単に「基板」と示す。)上に膜を形成する場合や、精密な膜厚制御が必要とされる際に有効な成膜方法であり、操作が非常に簡便であることから広範囲に利用されている。
【0005】
例えば、スパッタリング法は、一般に、約10Pa以下のアルゴンガス圧の下で、基板を陽極及びターゲットを陰極として、これらの間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のターゲットに衝突させ、これによってターゲット成分の粒子を弾き飛ばし、その蒸発粒子を基板上に堆積させて成膜する方法である。また、イオンプレーティング法は、基板への付着強度を高める目的で、同様に発生させた蒸発粒子をイオン化し、電界により加速してから基板上に付着させる方法である。
【0006】
尚、スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生法で分類され、高周波プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法という。また、ターゲットの裏側にマグネットを配置してアルゴンプラズマをターゲット直上に集中させ、低ガス圧でもアルゴンイオンの衝突効率を上げて成膜する方法をマグネトロンスパッタ法という。通常、上記の透明導電性薄膜の製造法には、直流マグネトロンスパッタ法が採用されている。
【0007】
液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)用の電極には、表面が平滑で低抵抗な透明導電性薄膜が必要とされている。特に有機EL素子の電極の場合、その上に有機化合物の超薄膜を形成するため、優れた表面平滑性が要求される。これは、電極表面に微細な突起が存在すると、その突起部で電流リークが生じて、発光面にダークスポット(未発光部)が生じてしまうからである。一般に、表面の平滑性は膜の結晶性に大きく左右され、同一組成の膜であっても、粒界の存在しない非晶質膜の方が表面平滑性は良好である。従来組成のITO膜の場合でも、成膜時の基板温度を下げて低温(例えば150℃以下)で蒸着したITO膜は、非晶質であって表面平滑性に優れている。しかし、蒸着法で得られた膜は緻密性、基板との密着性に劣るうえ、成膜の安定性や再現性にも劣るため、透明導電性薄膜の量産には適さない。
【0008】
透明導電性薄膜の量産には、上記のスパッタリング法やイオンプレーティング法が適している。しかし、ITOの結晶化温度は約150℃であるが、150℃以下の低温基板上にITOをスパッタ成膜しても、非晶質の中に結晶質が混在してしまい、完全に非晶質のITO膜を得ることはできない。これらの成膜法では、スパッタ粒子が運動エネルギーを持っているため、基板に入射する際に熱を発生し、局所的にITOの結晶化温度(約150℃)以上に加熱されて結晶相が形成されるからである。このような傾向は、スパッタガス圧を低くするほど、基板に到達するスパッタ粒子の運動エネルギーが大きいため顕著となる。
【0009】
このように結晶相と非晶質相の混在した従来のITO膜は、その表面に結晶相の突起が形成されているため表面凹凸が大きく、有機EL素子やLCD等の電極に使用することはできなかった。また、このように室温基板上にスパッタ成膜したITO膜では、比抵抗が6〜8×10−4Ω・cmであった。この程度の比抵抗のITO膜では、表面抵抗の低い電極膜を形成するためには膜を厚く形成しなければならないが、その場合には膜の着色の問題が生じてしまう。
【0010】
また、150℃以下でスパッタ成膜したITO膜は、X線回析によるX線回折パターンに小さな回折ピークが見られる。スパッタリング条件によっては、回析ピークが見られない膜が得られていても、透過型電子顕微鏡で観察すると微細な結晶が一部で形成されている場合が多く、これが表面平滑性を悪化させている。更に、ITO膜は、アニールによる結晶化温度が150℃付近であるため、製造工程の中での電極形成後の熱履歴により150℃以上の加熱を受けると、電極膜の結晶化が生じ、膜の応力が急激に変わったり、表面平滑性が悪化したり、また比抵抗が大きく変化したりするため、LCDや有機EL素子用の電極として使用できないという問題があった。
【0011】
尚、LCDや有機EL素子用の電極として使用可能な透明導電性薄膜も検討され、例えば、特開平6−234565号公報には、非晶質で表面平滑性に優れ、200℃の熱履歴を受けても性質が変化しない透明導電性薄膜として、In−ZnO系が提案されている。また、特開平11−323531号公報には、In−Ge系の非晶質材料からなる透明導電性薄膜が開示されている。
【0012】
次に、エレクトロルミネッセンス(EL)素子について説明する。EL素子は電界発光を利用した素子であり、自己発光のため視認性が高く、且つ完全固体素子であるため耐衝撃性に優れる等の利点を有するため、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。EL素子には、発光材料として無機化合物を用いる無機EL素子と、有機化合物を用いる有機EL素子とがある。このうち有機EL素子は、駆動電圧を大幅に低くして小型化が容易であるため、次世代の表示素子として実用化研究が積極的になされている。この有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極の積層構造を基本とし、ガラス板等を用いた絶縁性透明基板上に透明陽極を形成する構成が通常採用されている。この場合、発光は基板側に取り出される。
【0013】
ところで、近年では、透明な陰極を用い、発光を陰極側から取り出す試みがなされている。陽極と共に陰極も透明にすれば、全体として透明な発光素子を得ることができる。また、透明な発光素子の背景色として任意な色を採用すれば、発光時以外もカラフルなディスプレイとすることが可能となり、装飾性が改良される。背景色として黒を採用した場合には、発光時のコントラストが向上する。カラーフィルタや色変換層を用いる場合は、これらを発光素子の上に置くことができるため、これらの層を考慮することなく素子を製造することができる。そのため、例えば、電極形成の際に基板温度を高くすることができ、これにより電極の抵抗値を下げることができる等の利点がある。
【0014】
また、このような事情から、最近では透明陰極を用いた有機EL素子を作製する試みがなされている。例えば、特開平10−162959号公報には、陽極と陰極との間に有機発光層を含む有機層を備え、陰極は電子注入金属層と非晶質透明導電層とによって構成されており、電子注入金属層が有機層と接する構造の有機EL素子が提案されている。また、特開平2001−43980号公報には、陰極を透明にすると共に、陽極としてCr、Mo、W、Ta、Nb等の光反射性の金属膜を用いて、陰極から効率的に光を取り出すように工夫した有機EL素子が開示されている。
【0015】
【特許文献1】
特開平6−234565号公報
【特許文献2】
特開平11−323531号公報
【特許文献3】
特開平10−162959号公報
【特許文献4】
特開2001−43980号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電性薄膜は、比抵抗が高く、非晶質相と結晶相が混在するため表面平滑性に劣り、約150℃の熱履歴を受けると特性が変化しやすいため、有機ELやLCD等の表示素子の透明電極に利用することは困難であった。
【0017】
また、非晶質の透明導電性薄膜が得られやすい上記In−ZnO系膜は、金属Znが膜中の成分として含まれているため、可視光領域の低波長側での透過率がITOと比べて劣っている。また、膜中に含まれる金属ZnやZnOは空気中の炭酸ガスや水分と反応しやすいため、透明導電性薄膜の特性が安定しない等の問題があった。また、上記In−Ge系の非晶質材料で構成された透明導電性薄膜は、室温で成膜した場合、比抵抗が8×10−4Ω・cm以上と高く、有機ELやLCD等の透明電極として用いるには不十分であった。
【0018】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、短波長側も含めた可視光領域の透過率が酸化インジウム錫(ITO)並に優れており、比抵抗が8×10−4Ω・cm以下と低く、完全に非晶質で表面平滑性に極めて優れていて、しかも成膜後に150℃程度の熱履歴を受けても表面平滑性や比抵抗等の特性が変化しない透明導電性薄膜を提供することを第1の目的とする。
【0019】
また、本発明は、上記した透明導電性薄膜を物理的成膜法で製造する方法、及びその製造方法に用いる焼結体ターゲットを提供することを第2の目的とする。更に、本発明は、上記した透明導電性薄膜を透明電極として用いた有機EL素子及びその製造方法を提供することを第3の目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する透明導電性薄膜は、酸化インジウムを主成分とし、タングステンとゲルマニウムを含有する透明導電性薄膜であって、W/Inの原子数比が0.003〜0.047、及びGe/Inの原子数比が0.001〜0.190であることを特徴とする。この透明導電性薄膜においては、W/Inの原子数比が0.005〜0.026、及びGe/Inの原子数比が0.033〜0.190であることが好ましい。
【0021】
上記本発明の透明導電性薄膜においては、比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下であるであり、4.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。また、この透明導電性薄膜はX線回折測定で非晶質であることを特徴とし、その結晶化温度は180℃以下である。更に、上記本発明の透明導電性薄膜においては、表面粗さRaが1.5nm以下であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記透明導電性薄膜の作製に用いる焼結体ターゲットとして、酸化インジウムを主成分とし、タングステンをW/Inの原子数比で0.003〜0.045の割合で、且つゲルマニウムをGe/Inの原子数比で0.001〜0.256の割合で含有することを特徴とする焼結体ターゲットを提供する。この焼結体ターゲットは、スパッタ面の表面粗さRmaxが2.9μm以下であることが好ましい。
【0023】
また、本発明は、上記した焼結体ターゲットを用い、スパッタリング又はイオンプレーティングにより、基板上に透明導電性薄膜を形成することを特徴とする透明導電性薄膜の製造方法を提供するものである。この透明導電性薄膜の製造方法において、前記基板が、ガラス板、薄膜トランジスタが形成された石英板又はガラス板、樹脂板若しくは樹脂フィルム、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の水蒸気バリア膜で覆ったバリア膜付き樹脂板若しくはバリア膜付き樹脂フィルム、薄い金属膜を施した該バリア膜付き樹脂板若しくは該バリア膜付き樹脂フィルムであることが好ましい。
【0024】
更に、本発明は、陽極と陰極の間に、陽極から供給される正孔と陰極から供給される電子との再結合によって発光する発光層を含む有機層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該陽極及び/又は該陰極が上記した本発明の透明導電性薄膜か又は該透明導電性薄膜と金属薄膜との積層体で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【0025】
上記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記陽極が光反射性薄膜で構成され、前記陰極が本発明の透明導電性薄膜か又は該透明導電性薄膜と金属薄膜との積層体で構成されていて、発光が主として陰極側から放出されるものが好ましい。これらの有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記陽極が、樹脂フィルム、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の水蒸気バリア膜で覆ったバリア膜付き樹脂フィルム、若しくは薄い金属膜を施した該バリア膜付き樹脂フィルムからなる透明基板上に形成されていることが好ましい。
【0026】
更に、本発明は、陽極と陰極の間に、陽極から供給される正孔と陰極から供給される電子との再結合によって発光する発光層を含む有機層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、該有機発光層上又は該有機発光層上に設けた金属薄膜上に、請求項8〜10のいずれかに記載の焼結体ターゲットを用いて、スパッタリング又はイオンプレーティングにより透明導電性薄膜を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供するものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
発明者らは、透明導電性薄膜について鋭意検討を重ねた結果、主成分である酸化インジウム(In)にタングステン(W)とゲルマニウム(Ge)を添加し、且つそのW/Inの原子数比とGe/Inの原子数比を調整することによって、比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下と低く、完全に非晶質であって表面平滑性に優れた透明導電性薄膜が得られることを見出した。
【0028】
即ち、本発明に係わる透明導電性薄膜はIn−W−Ge系であって、主成分である酸化インジウムに、第2成分としてタングステンがW/Inの原子数比で0.003〜0.047の割合で含有され、且つ第3成分としてゲルマニウムがGe/Inの原子数比で0.001〜0.190の割合で含有されている。このように膜中のWとGeを上記したW/In及びGe/Inの原子数比の範囲内に調整することにより、150℃以下の低温基板上にスパッタリング又はイオンプレーティングで成膜しても、比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下、組成や成膜プロセスによっては4.0×10−4Ω・cm以下と極めて低抵抗であり、完全に非晶質で、表面粗さRa(中心線平均粗さ)が1.5nm以下と表面平滑性に優れた透明導電性薄膜を得ることができる。
【0029】
また、第2成分のタングステンはW/Inの原子数比で0.005〜0.026の割合で含有され、且つ第3成分のゲルマニウムはGe/Inの原子数比で0.033〜0.190の割合で含有されることが好ましい。これらの原子数比の範囲内に調整すれば、150〜300℃の基板温度でスパッタリング又はイオンプレーティングにより成膜しても、比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下、組成や成膜プロセスによっては4.0×10−4Ω・cm以下と極めて低抵抗であり、完全に非晶質であって、表面粗さRaが1.5nm以下の表面平滑性に優れた透明導電性薄膜が得られる。
【0030】
しかも、これらの透明導電性薄膜は、結晶化温度が180℃以上であるため、180℃の熱履歴を受けても上記特性が変化しない、即ち比抵抗が増加したり、表面平滑性が低下したりすることがない。また、これらの透明導電性薄膜は、短波長側も含めた可視光領域の透過率がITO並に優れている。しかし、W/In及びGe/Inの原子数比が上記の範囲を逸脱すると、得られる透明導電性薄膜の比抵抗が増大し、且つ結晶相が混在して表面平滑性が低下する。
【0031】
本発明の透明導電性薄膜は、通常のスパッタリング又はイオンプレーティングにより作製することができる。焼結体ターゲットとそれから作製される薄膜の組成の差は、スパッタリング時のガス圧、スパッタガス中の酸素量、ターゲットと基板の距離、プラズマ中の磁場強度に依存する。また、イオンプレーティングによる成膜法での膜とターゲットの組成のずれも、成膜時のガス圧、ターゲットと基板の距離に依存する。実験にて詳細に調べたところ、本発明の透明導電性薄膜の組成が得られる焼結体ターゲットの組成範囲としては、酸化インジウムを主成分とし、タングステンがW/Inの原子数比で0.003〜0.045の割合で、且つゲルマニウムがGe/Inの原子数比で0.001〜0.256の割合で、それぞれ含有されていることが必要である。焼結体ターゲットのW/In又はGe/Inの原子数比が上記の範囲を逸脱すると、成膜条件を調整しても、前記した特性を有する透明導電性薄膜が得られなくなる。
【0032】
焼結体ターゲット内に含まれる第2成分のタングステン及び第3成分のゲルマニウムの形態は、各元素の原子が酸化インジウムのインジウムサイトに置換固溶していることが最も望ましいが、ゲルマニウム酸インジウム化合物相やタングステン酸化合物相の形態で焼結体中に原子レベルで分散していても良い。このような分散形態をとることにより、スパッタリングにおいて放電が安定するため、低抵抗の透明導電性薄膜の成膜に有効である。また、タングステン及びゲルマニウムは、実質的に均一に分布していて、特に酸化ゲルマニウム相が存在しないことが望ましい。
【0033】
本発明の焼結体ターゲットでは、スパッタ面の表面粗さRmax(最大高さ粗さ)が2.9μm以下であることが好ましい。一般に、酸化物ターゲットを長時間スパッタリングすると、スパッタ面のエロ−ジョン表面に突起状の異常成長物(ノジュール)の成長が見られ、アーキングの発生や膜特性の悪化をもたらす。ところが、本発明の焼結体ターゲットでは、表面粗さRmaxの値を2.9μm以下に調整することにより、長時間スパッタリングを実施してもエロージョン部にノジュールの発生が見られず、アーキングの発生を防止することができる。
【0034】
ここで、表面粗さRmaxとは、基準長さだけ抜き取った断面曲線の平均線に平行で、この断面曲線に接し、この断面曲線全体を挟む二直線の間隔の値である。基準長さとは、JIS規格に基づいて定められた値であり、Rmaxの範囲によって6種類の値が決められている。例えば、Rmaxが0.8〜6.3μmであれば基準長さは0.8mmであり、Rmaxが6.3〜25μmであれば基準長さは2.5mmとなる。また、平均線とは、抜き取った断面曲線において、被測定面の幾何学的形状をもつ線(直線又は曲線)で、且つその線から該断面曲線までの偏差の二乗和が最小になるように設定した線である。
【0035】
このように、上記本発明の焼結体ターゲットを使用すれば、広範に利用されているスパッタリング法又はイオンプレーティング法により、比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下、好ましくは4.0×10−4Ω・cm以下であり、非晶質であって表面平滑性に優れ、短波長側も含めた可視光領域の透過率がITO並に優れた透明導電性薄膜を得ることができる。しかも、この透明導電性薄膜は、成膜後に180℃までの熱履歴を受けても、非晶質を維持し、表面平滑性や比抵抗が変化することがない。
【0036】
かかる透明導電性薄膜を形成する基板としては、ガラス板、薄膜トランジスタが形成された石英板又はガラス板、樹脂板若しくは樹脂フィルム、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の水蒸気バリア膜を覆ったバリア膜付き樹脂板若しくはバリア膜付き樹脂フィルム、薄い金属膜を施した該バリア膜付き樹脂板若しくは該バリア膜付き樹脂フィルム等を用いることができる。尚、樹脂板及び樹脂フィルムを構成する材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリカーボネート(PC)等であって良い。また、これらの表面をアクリル系の有機物で覆ったもの、あるいは、酸窒化シリコン(Si−O)膜又は酸窒化シリコン(Si−O−N)膜の水蒸気バリア膜及び/又は金属膜の単層膜又は積層膜で覆ったものを透明基板として用いることもできる。
【0037】
本発明の透明導電性薄膜は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられる透明電極として極めて有用である。即ち、本発明が提供する有機EL素子は、例えば図1に示すように、陽極2と陰極3の間に発光層7を含む有機層6を備え、その陽極2及び/又は陰極3が本発明の透明導電性薄膜4で構成されるか又は透明導電性薄膜4と金属薄膜5との積層体で構成されている。有機層6は、陽極2から供給される正孔と陰極3から供給される電子との再結合によって発光する発光層7のみであっても良いが、図1に示すように更に正孔注入層8及び正孔輸送層9などを積層した多層構造であっても良い。尚、図1において、1は絶縁性基板であり、基板側に発光させる場合には透明な基板が用いられる。また、10は絶縁層、11は保護膜である。
【0038】
陽極2と陰極3の間にある有機層6は、(1)電界印加時に陽極2側から正孔及び陰極3側から電子を注入することができる機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、及び(3)電子と正孔の再結合の場を発光層7の内部に提供し、これを発光につなげる発光機能等を有している。正孔注入層8と正孔輸送層9は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極2より注入された正孔を発光層7に伝達する機能を有する。この正孔注入層8と正孔輸送層9を陽極2と発光層7の間に介在させることで、より低い電界で多くの正孔を発光層7に注入することができる。
【0039】
陰極3は、基本的に本発明の透明導電性薄膜4で構成されるが、透明導電性薄膜4と金属薄膜5の2層構造とすることもできる。金属薄膜5は、発光層7を含む有機層6に良好に電子を注入するための層である。陰極3側から発光層7に注入された電子は、発光層7と正孔輸送層9の界面に存在する電子の障壁により発光層7内の界面近くに蓄積されて、EL素子の発光効率を向上させる。透明な発光素子を得るためには、金属薄膜5の光線透過率は50%以上が好ましく、60%以上が更に好ましい。その場合の金属薄膜5は、膜厚0.5〜20nm程度の超薄膜とすることが望ましい。かかる金属薄膜5としては、仕事関数が3.8eV以下の金属、例えばMg、Ca、Ba、Sr、Li、Yb、Eu、Y、Sc等の金属又はこれらの合金が好ましい。
【0040】
一方、陽極2は、仕事関数が4.4eV以上の導電性を示すものであれば特に制限はないが、4.8eV以上が更に好ましく、例えば金属又は導電性酸化物膜、若しくはこれらを組み合わせたものが好ましい。好適な金属としては、例えばAu、Pt、Ni、Pd、Cr、W等を挙げることができる。導電性酸化物膜としては、In−ZnO系、In−Sn系(ITO)のほか、ZnO−Al系、Zn−Sn−O系等を挙げることができるが、本発明の透明導電性薄膜の使用が好ましい。また、積層体としては、例えばAu又はPtとIn−ZnO系の積層体、ITOとPtの積層体を挙げることができる。尚、陽極は必ずしも透明である必要はなく、黒色のカーボン層等をコーティングすることもできる。
【0041】
また、陽極2は有機層6との界面が仕事関数4.4eV以上であれば良いため、陽極2を2層とし、有機層6と接しない側に仕事関数4.4eV以下の導電性膜を設けてもよい。この場合の導電性膜としては、Al、Ta、Nb等の金属や、Al合金、Ta−W合金等の合金を用いることができる。この場合、陽極2にCr、Mo、W、Ta、Nb等の反射性薄膜を使用すれば、発光が陰極3側に効率良く放出される有機EL素子が得られる。更に、陽極2として、ドーブされたポリアニリンやドーブされたポリフェニレンビニレン等の導電性高分子、a−Si、a−SiC、a−C等の非晶質半導体を用いることもできる。黒色の半導体性の酸化物であるCr、Pr、NiO、Mn、MnO等を用いることも可能である。
【0042】
本発明の好ましい有機EL素子としては、例えば図1において、陽極2が光反射性薄膜で構成され、陰極3が本発明の透明導電性薄膜4で構成されるか又は透明導電性薄膜4と金属薄膜5で構成されたものがある。この有機EL素子は、主として陰極3側から発光を効率的に放出させることができる。また、全体が透明な有機EL素子を得る場合等には、陽極2及び陰極3が本発明の透明導電性薄膜で構成されるか、本発明の透明導電性薄膜と光透過性の薄い金属薄膜で構成されていて、且つ陽極2が透明な絶縁性基板1上に形成されていることが好ましい。透明な絶縁性基板1としては、ガラス板、薄膜トランジスタとその回路が形成された石英板又はガラス板、酸窒化シリコン(Si−O)膜又は酸窒化シリコン(Si−O−N)膜の水蒸気バリア膜で覆ったバリア膜付き樹脂フィルム、若しくは薄い金属膜を施した前記バリア膜付き樹脂フィルム等が好ましい。
【0043】
【実施例】
実施例1
酸化インジウムを主成分とし、タングステンとゲルマニウムを含有するIn−W−Ge系の焼結体ターゲットを以下の手順で製造した。その際、ターゲット中のW/In及びGe/Inの原子数比を、試料ごとに下記表1に示す値となるように変化させた。尚、原料粉末としては、何れも平均粒径が1μm以下のIn粉末と、WO粉末及びGeO粉末を使用した。
【0044】
まず、所定量のIn粉末、WO粉末、及びGeO粉末を秤量し、これらを混合した後、樹脂製ポットに入れ、水を媒体として湿式ボールミル混合した。その際、硬質ZrOボールを用い、混合時間を20時間とした。その後、混合スラリーを取り出して濾過し、乾燥、造粒した。得た造粒粉末を成形型に入れ、冷間静水圧プレスにより3ton/cmの圧力をかけて、所定形状に成形して成形体を得た。
【0045】
次に、上記の各成形体を焼結炉内に入れ、炉内容積0.1m当たり5リットル/分の割合で酸素を流入させ、1200℃で5時間保持した。その際、1000℃まで1℃/分、1000〜1200℃を3℃/分で昇温した。その後、酸素の流入を停止し、1200〜1000℃までを10℃/分で降温した。最後に、炉内容積0.1m当たり10リットル/分の割合でArを流入させ、1000℃で3時間保持した後、室温まで放冷した。
【0046】
得られた焼結体の密度は水を用いたアルキメデス法に従って測定し、理論密度から相対密度を算出した。尚、この際の理論密度は、酸素欠陥のないIn結晶(ビックスバイト型構造)のInサイトに分析値で示された量のWとGeが全て置換固溶した場合の単位格子の重量と、X線回析で測定した格子定数から求まる単位格子の体積から算出した。その結果、得られた各焼結体の相対密度はいずれも90%以上であることが分った。尚、各焼結体中のW及びGeの含有量を、ICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることが確認できた。
【0047】
次に、得られた各焼結体について、スパッタ面をカップ砥石で磨いて表面粗さRmaxを2.2〜2.7μmの範囲とし、直径152mm×厚さ5mmに加工して焼結体ターゲットを作製した。これをIn系合金を用いて無酸素銅製のバッキングプレートに貼り合わせ、In−W−Ge系焼結体からなるスパッタリング用ターゲットとした。
【0048】
上記各試料のスパッタリング用ターゲットを直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに取り付け、ターゲットの対向面に60〜80mmの距離をおいて基板を取り付けた。尚、使用した基板は、厚み1mmの合成石英ガラスである。このチャンバ内を排気して真空度を1×10−4Pa以下とした後、純度99.9999重量%のArガスをチャンバ内に導入してガス圧を0.6Paとし、更に酸素を0.5〜3%程度導入した。この状態で、基板を室温(約25℃)とするか又は300℃以下の温度に加熱し、直流電力150〜400Wをターゲット−基板間に投入し、直流プラズマを発生させてスパッタリングを行うことにより、基板上に厚み約200nmの透明導電性薄膜を形成した。
【0049】
上記の各焼結体ターゲット、及びこれを用いてスパッタリング法で形成した透明導電性薄膜について、組成をICP発光分析で定量分析し、それぞれW/In及びGe/Inの原子数比として、成膜時の基板温度と共に下記表1に示した。また、透明導電性薄膜については、180℃での大気中におけるアニールの実施前後で、その比抵抗を四探針法で測定すると共に、表面粗さRaを測定し、得られた結果を下記表2に示した。
【0050】
【表1】
Figure 0003918721
【0051】
【表2】
Figure 0003918721
【0052】
また、比較例として、In中にWか又はGeのみを含有する透明導電性薄膜、及びW/InとGe/Inの原子数比を本発明の範囲外とした透明導電性薄膜を作製した。即ち、下記表3に示すように、W/InとGe/Inの原子数比を変えた焼結体ターゲットを、上記と同様の方法で作製した。焼結体中のWとGeの含有量をICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることが確認できた。次に、得られた各焼結体を、上記と同様に加工してスパッタリング用ターゲットとした。これを用いて、上記と同じ条件で同じ基板上に、下記表3に示す組成を有する厚み約200nmの透明導電性薄膜を形成した。
【0053】
これらの比較例の試料29〜36についても、上記と同様に、各焼結体ターゲット及びスパッタリング法で形成した透明導電性薄膜について組成を求めると共に、得られた透明導電性薄膜の比抵抗と表面粗さRaを測定した。得られた結果は、各焼結体ターゲット及び透明導電性薄膜の組成を成膜時の基板温度と共に下記表3に、及び透明導電性薄膜の比抵抗と表面粗さRaを下記表4にそれぞれ示した。
【0054】
【表3】
Figure 0003918721
【0055】
【表4】
Figure 0003918721
【0056】
上記表1及び表2の結果から分るように、酸化インジウム中にWとGeを、W/In原子数比で0.003〜0.047及びGe/In原子数比で0.001〜0.190の範囲で含有させた本発明例の透明導電性薄膜は、室温の基板上に成膜した試料1〜9で、比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下と低く、何れの膜もX線回析測定から非晶質であり、原子間力顕微鏡で測定した表面粗さRaは1.0nm以下であった。しかも、その特性は180℃のアニールによる熱履歴を受けても殆ど変わらないことが分った。
【0057】
また、150〜300℃の基板温度にて成膜を実施した試料10〜28においても、透明導電性薄膜の比抵抗は8.0×10−4Ω・cm以下と低く、何れの膜もX線回析測定から非晶質であり、原子間力顕微鏡で測定した表面粗さRaは1.5nm以下であった。特に180〜300℃の基板温度で作製した試料14〜28の透明導電性薄膜は、良好な表面平滑性を保ちながら、4.0×10−4Ω・cm以下の比抵抗が得られた。しかも、これらの透明導電性薄膜の特性は、180℃の熱履歴を受けても殆ど変わらないことが分った。
【0058】
一方、比較例である試料29〜36の透明導電性薄膜は、W又はGeを含まないか、W及びGeを含んでもW/In又はGe/Inの原子数比が本発明の範囲外であるため、表面粗さRaは1.5nmい上であって、しかも180℃のアニールによる熱履歴を受けると特性が大きく変化した。また、試料29、35、36は、アニール前の比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下であるが、180℃のアニールによる熱履歴で比抵抗が大きく増加した。
【0059】
更に、本発明例の各透明導電性薄膜について、基板を含めた光透過率を分光光度計で測定した。その結果、平均可視光透過率は89〜91%であった。また、別途に同様のスパッタリング法により、ZnOを10重量%含むIn−ZnOの透明導電性薄膜を上記と同じ基板上に同じ厚みで形成し、その光透過率を本発明例の透明導電性薄膜と比較したところ、本発明例の透明導電性薄膜はIn−ZnO透明導電性薄膜に比べて、短波長側(例えば400nm)での可視光透過率が明らかに高かった。
【0060】
また、基板を変更した以外は上記実施例と同様にして、透明導電性薄膜を作製した。即ち、表面に厚み1μmのアクリル系ハードコート層を設けたポリエーテルスルフォン(PES)フィルム(フィルム全体の厚み0.2mm)で、その表面に厚み50nmの酸窒化シリコン膜を施した基板を使用した。この基板上に得られた上記表1の試料1〜13と同じ組成を有する本発明例の各透明導電性薄膜は、上記表2に示す特性とほぼ同一の特性を有することが確認できた。
【0061】
更に、従来例として、SnOを5重量%含むIn(ITO)からなる焼結体をターゲットとして、上記実施例と同じ条件で同じ基板上に、厚み約200nmの透明導電性薄膜を形成した。尚、上記ITO焼結体の相対密度は98%であった。また、このITO焼結体中のSnの含有量をICP発光分析法で定量分析したところ、原料粉末を混合する際の仕込み組成が維持されていることも確認できた。得られた従来例のITOからなる透明導電性薄膜の比抵抗は8.5×10−4Ω・cmであり、本発明例の透明導電性薄膜と比べて著しく高かった。また、この従来例の透明導電性薄膜は非晶質であったが、180℃で大気中にてアニール処理を施したところ、比抵抗が3.5×10−4Ω・cmまで減少して大きく変化すると共に、膜質も結晶膜へと変化して表面の凹凸が激しくなった。
【0062】
実施例2
上記実施例1の方法により、W/Inの原子数比が0.032及びGe/Inの原子数比が0.205のIn−W−Ge系焼結体を作製し、各種のカップ砥石でスパッタ面を磨くことにより、それぞれRmaxで1.5〜4.9の表面粗さを有する焼結体ターゲットを作製した。
【0063】
これらの試料37〜45の各焼結体ターゲットを、実施例1と同様にして、直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに取り付けた。その後、実施例1と同様の手順に従って、直流プラズマを発生させて連続スパッタリングを実施した。その際の成膜条件は、ターゲット−基板間の距離を60mmとし、純度99.9999重量%のArガスを導入してガス圧を0.5Paとし、投入直流電力は500Wとした。
【0064】
連続スパッタリングを開始してからアーキングが発生し始めるまでの投入パワーを積算すると共に、アーキングが発生し始めた時のエロージョンの最大深さ(スパッタ面の反対面からの距離)を測定した。その結果から、スパッタ面の表面粗さRmaxと、アーキングの発生状況を下記表5示した。
【0065】
【表5】
Figure 0003918721
【0066】
上記表5から分るように、本発明例である試料37〜41の焼結体ターゲットでは、積算投入電力が増加して連続スパッタ終了時点になっても、アーキングが全く発生せず、黒色突起物も表面に発生していなかった。そのため、いずれの焼結体ターゲットも、最後まで使い切ることができた。また、成膜速度試験及び膜特性試験の結果では、本発明例の試料37〜41はいずれも、積算投入パワーが増大しても成膜の初期の頃と比べて変化がなく、最後まで望ましい低抵抗値及び高透過率を有していた。尚、本発明例の試料37〜41の焼結体ターゲットを用いて実施例1と同様に作製した透明導電性薄膜の特性は、成膜時間ないし積算投入電力に依存せず、ターゲットの使用末期まで一定の優れた特性を維持することができた。このような傾向は、焼結体ターゲットの組成としてW/In原子数比を0.003〜0.045、及びGe/In原子数比を0.001〜0.256の範囲内で変えても全く同じであった。
【0067】
一方、比較例である試料42〜45の各焼結体ターゲットでは、ターゲットのスパッタ面の表面粗さRmaxが2.9より大きいため、いずれも、積算投入電力が増加するとアーキングが発生し、黒色突起物が大量に発生していた。また、アーキングが多発し始めたときに作製した膜の比抵抗と可視光透過率は、発生していないときに作製した膜に比べて大幅に悪化していた。そのため、これら比較例の焼結体ターゲットは、そのまま使うことができなかった。尚、アーキングが発生した時点で作製した透明導電性薄膜を電極として用いた有機EL素子は、発光強度が著しく低かった。
【0068】
実施例3
本発明に係る有機EL素子として、陰極がIn−W−Ge−O系薄膜とMg−Ag薄膜の積層体で構成され、陽極が仕事関数4.5eVであるクロムからなる有機EL素子を、以下の手順で製造した。即ち、直径6インチのCrターゲットを用い、スパッタガスとしてArを用いて、圧力0.4Pa及びDC出力300Wの条件で、DCスパッタリングすることにより、ガラス基板上にCrを膜厚200nmに成膜した。このCr膜を通常のリソグラフィー技術を用いてパターニングし、所定形状の陽極を形成した。
【0069】
次に、上記のCr陽極を設けたガラス基板上に、Siターゲットを用いた酸素との反応性スパッタリングにより、膜厚200nmの二酸化珪素(SiO)からなる絶縁膜を成膜した。この絶縁膜を、通常のリソグラフィー技術を用いて、Cr陽極上に開口部を有する絶縁層を形成した。SiOのエッチングには、フッ素とフッ化アンモニウムの混合液を使用した。また、ドライエッチングによる加工も可能である。
【0070】
続いて、このガラス基板を真空蒸着装置に入れ、有機層及び金属薄膜を蒸着により形成した。有機層の構成は、正孔注入層として4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、正孔輸送層としてビス(N−ナフチル)−N−フェニルベンジジン(α−NPD)、発光層として8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq)を用いた。これらの有機層上に設けた金属薄膜には、マグネシウムと銀の合金(Mg:Ag)を用いた。
【0071】
有機層を構成する各材料は、それぞれ0.2gを抵抗加熱用のボートに充填し、真空蒸着装置の電極に取り付けた。金属薄膜を構成する各金属は、マグネシウム0.1gと銀0.4gをボートに充填して、真空蒸着装置の電極に取り付けた。真空チャンバを1.0×10−4Paまで排気した後、各ボートに電圧を印可し、加熱して蒸着させた。その際、金属マスクを用いることにより、所定の部分にのみ有機層及び金属薄膜を蒸着させた。尚、所定の部分とは、基板上でCr陽極が露出している部分である。
【0072】
上記有機層及び金属薄膜の蒸着においては、まずCr陽極上に正孔注入層として厚み30nmのMTDATAを、次に正孔輸送層として厚み20nmのα−NPDを、その後に発光層として厚み50nmのAlqを蒸着した。更に、これらの有機層の上に、マグネシウムと銀の共蒸着を行うことにより、Mg:Agからなる厚み10nmの金属薄膜を形成した。尚、マグネシウムと銀は、成膜速度の比を9:1とした。
【0073】
上記の各成膜を行った基板全体を別の真空チャンバに移し、DCスパッタリングにより、同じマスクを通して膜厚200nmの透明導電性薄膜を成膜して、この透明導電性薄膜と上記金属薄膜の2層からなる陰極を形成した。成膜条件は、スパッタガスとしてアルゴンと酸素の混合ガス(体積比Ar:O=99:1)を用い、圧力は0.6Pa、DC出力は160Wとした。
【0074】
最後に、透明導電性薄膜の表面を覆うように、SiOを200nmの厚さにスパッタ成膜して保護膜とした。このようにして作製した各試料の有機EL素子において、それぞれの透明導電性薄膜の組成は、素子1では上記実施例1の表1における試料5、素子2では同じく試料9、素子3では同じく試料4、素子4では同じく試料1の組成とした。尚、各有機EL素子は、それぞれ2本ずつの平衡ストライプ状陰電極と、8本の平衡ストライプ状陽電極を互いに交互させ、縦横2×2mmの素子単体(画素)を互いに2mmの間隔で配置し、8×2の16画素の素子とした。
【0075】
比較例として、陰極を構成する透明導電性薄膜の組成を変更した以外は上記と同様にして、同じ構造を有する有機EL素子を作製した。即ち、比較例の各透明導電性薄膜は、素子5では上記実施例1の表3における試料29、素子6では同じく試料31の組成とした。また、素子7の透明導電性薄膜は、In中に10重量%のZnOを含む焼結体ターゲットを用いて、室温の基板上にDCスパッタリングにより成膜したIn−ZnOの透明導電性薄膜とした。
【0076】
得られた有機EL素子について、窒素雰囲気中で直流電圧を印可し、10mA/cmの一定電流密度で連続駆動させ、160画素(10素子分)の初期平均発光輝度、発光輝度の半減期、及び発光開始から200時間経過後におけるダークスポットの発生の有無について調べた。その結果を下記表6に示した。
【表6】
Figure 0003918721
【0077】
表6から分るように、本発明の透明導電性薄膜を陰極に用いた各有機EL素子(素子1〜4)は、400cd/m以上の平均発光輝度が確認でき、従来の材料を用いた有機EL素子(素子5〜7)に比べて大きな初期平均発光輝度が得られた。また、本発明の素子1〜4は発光輝度の半減期が800時間であって、従来の素子5〜7に比べて半減期が明らかに長くなった。更に、発光開始から200時間経過後のダークスポット(非発光点)の発生についても、従来の素子5〜7では多数発生したが、本発明の素子1〜4では全くみられなかった。
【0078】
尚、比較例の有機EL素子のうち、陰極にIn−ZnOの透明導電性薄膜を用いた素子7は、発光開始から200時間経過後でのダークスポット(非発光点)の発生がみられず、発光輝度の半減期も800時間と本発明の素子と同様に長かったが、初期の発光輝度は350cd/mに過ぎず、本発明の有機EL素子に比べて著しく低かった。これは、陰極に用いたIn−ZnO薄膜の光透過性が劣っていたことから、発光輝度が低かったものと考えられる。即ち、In−ZnO薄膜をXPSにて分析したところ、Zn元素の一部は金属Znの状態で膜中に存在していることが明らかとなった。よって、この金属Znが膜中に含まれるため、400nm前後での光透過率が本発明の透明導電性薄膜と比べて著しく劣っていたものと考えられる。
【0079】
また、上記の各有機EL素子を湿度95%80℃の雰囲気中に100時間保持した後、上記と同様の発光試験を行ったところ、比較例の素子5〜7は発光初期の時点で多数のダークスポットが観察された。これに対して、本発明の素子1〜4では、発光開始から200時間経過後においてもダークスポットは全く観察されなかった。この結果から、本発明の透明導電性薄膜は耐熱性にも優れていることが分る。基板として、薄膜トランジスタとその回路が形成されたガラス基板を用いた以外は上記実施例3と同様にして、同じ構造の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子は、実施例3の素子1〜4と同様の優れた発光特性を備えていた。また、200時間経過後においても、ダークスポットは観察されなかった。
【0080】
実施例4
陽極としてクロム(Cr)の代りにパラジウム(Pd)を用い、陰極にMg−Ag合金膜を用いず、本発明の透明導電性薄膜のみを用いた以外は上記実施例3と同様にして、同じ構造の有機EL素子を作製した。得られたPd陽極の有機EL素子は、Cr陽極を用いた実施例3の素子1〜4と同様の優れた発光特性を備えていた。また、200時間経過後においても、ダークスポットは観察されなかった。
【0081】
また、陽極として、Cr陽極の代りに、実施例1の表1における試料10〜28の各組成を有する本発明の透明導電性薄膜を用いた以外は実施例3と同様にして、同じ構造の有機EL素子を作製した。これらの有機EL素子は、陰極側だけでなく、陽極側にも発光が可能である。その発光特性を調べたところ、実施例3の本発明の素子1〜4と同様に良好な発光特性がみられ、200時間経過後においてもダークスポットが観察されなかった。しかし、陽極として、実施例1における比較例の試料29〜34のIn−Ge薄膜、及びIn−Sn(ITO)薄膜を用いた同じ構造の有機EL素子は、200時間経過後のダークスポットが多数観察された。
【0082】
更に、厚み1μmのアクリル系のハードコート層を形成したPES(ポリエーテルスルホン)フィルム(フィルム全体の厚みは0.2mm)の表面に、厚み50nmの酸窒化シリコン膜を施した基板を用い、実施例3と同様にして同じ構造の有機EL素子を作製した。この有機EL素子は、陽極及び陰極として実施例1における試料1〜9の組成の透明導電性薄膜を用いたところ、その発光特性は良好であった。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、短波長側も含めた可視光領域の透過率が酸化インジウム錫(ITO)並に優れ、非晶質であって表面粗さRaが1.5nm以下と表面平滑性に優れ、且つ比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下と低く、しかも180℃までの熱履歴を受けても結晶性や表面平滑性及び比抵抗が変化することがない、In−W−Ge系の透明導電性薄膜を提供することができる。
【0084】
また、本発明によれば、上記の優れた特性を有する透明導電性薄膜を、In−W−Ge系焼結体ターゲットを用いることにより、通常のスパッタリング法又はイオンプレーティング法にて、室温〜300℃の基板上に、安定して製造することができる。
【0085】
更に、本発明の透明導電性薄膜は、表面が平滑で低抵抗な透明電極が必要とされる有機EL素子だけでなく、無機EL素子やLCD等の表示デバイス素子の透明電極として極めて有用なものである。従って、本発明の透明導電性薄膜を用いることにより、従来よりも発光輝度が高く且つその輝度の半減期も長くなるうえ、ダークスポットの発生がなく、耐久性にも優れた有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の一具体例を示す概略の断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板
2 陽極
3 陰極
4 透明導電性薄膜
5 金属薄膜
6 有機層
7 発光層
8 正孔注入層
9 正孔輸送層
10 絶縁層
11 保護膜

Claims (16)

  1. 酸化インジウムを主成分とし、タングステンとゲルマニウムを含有する透明導電性薄膜であって、W/Inの原子数比が0.003〜0.047、及びGe/Inの原子数比が0.001〜0.190であることを特徴とする透明導電性薄膜。
  2. 前記W/Inの原子数比が0.005〜0.026、及びGe/Inの原子数比が0.033〜0.190であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性薄膜。
  3. 比抵抗が8.0×10−4Ω・cm以下であるであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明導電性薄膜。
  4. 比抵抗が4.0×10−4Ω・cm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透明導電性薄膜。
  5. X線回折測定で非晶質であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性薄膜。
  6. 結晶化温度が180℃以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性薄膜。
  7. 表面粗さRaが1.5nm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性薄膜。
  8. 透明導電性薄膜の作製に用いる焼結体ターゲットであって、酸化インジウムを主成分とし、タングステンをW/Inの原子数比で0.003〜0.045の割合で、且つゲルマニウムをGe/Inの原子数比で0.001〜0.256の割合で含有することを特徴とする焼結体ターゲット。
  9. スパッタリング又はイオンプレーティングのターゲットに用いることを特徴とする、請求項8に記載の焼結体ターゲット。
  10. スパッタ面の表面粗さRmaxが2.9μm以下であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の焼結体ターゲット。
  11. 請求項8〜10のいずれかの焼結体ターゲットを用い、スパッタリング又はイオンプレーティングにより、基板上に透明導電性薄膜を形成することを特徴とする透明導電性薄膜の製造方法。
  12. 前記基板が、ガラス板、薄膜トランジスタが形成された石英板又はガラス板、樹脂板若しくは樹脂フィルム、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の水蒸気バリア膜で覆ったバリア膜付き樹脂板若しくはバリア膜付き樹脂フィルム、薄い金属膜を施した該バリア膜付き樹脂板若しくは該バリア膜付き樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項11に記載の透明導電性薄膜の製造方法。
  13. 陽極と陰極の間に、陽極から供給される正孔と陰極から供給される電子との再結合によって発光する発光層を含む有機層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、該陽極及び/又は該陰極が請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性薄膜か又は該透明導電性薄膜と金属薄膜との積層体で構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 前記陽極が光反射性薄膜で構成され、前記陰極が請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性薄膜か又は該透明導電性薄膜と金属薄膜との積層体で構成されていて、発光が主として陰極側から放出されることを特徴とする、請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  15. 前記陽極が、樹脂フィルム、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の水蒸気バリア膜で覆ったバリア膜付き樹脂フィルム、若しくは薄い金属膜を施した該バリア膜付き樹脂フィルムからなる透明基板上に形成されていることを特徴とする、請求項13又は14に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  16. 陽極と陰極の間に、陽極から供給される正孔と陰極から供給される電子との再結合によって発光する発光層を含む有機層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、該有機発光層上又は該有機発光層上に設けた金属薄膜上に、請求項8〜10のいずれかに記載の焼結体ターゲットを用いて、スパッタリング又はイオンプレーティングにより透明導電性薄膜を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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