JP2000127939A - 制動トルク制御装置 - Google Patents

制動トルク制御装置

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JP2000127939A
JP2000127939A JP10301080A JP30108098A JP2000127939A JP 2000127939 A JP2000127939 A JP 2000127939A JP 10301080 A JP10301080 A JP 10301080A JP 30108098 A JP30108098 A JP 30108098A JP 2000127939 A JP2000127939 A JP 2000127939A
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slip ratio
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wheel
target
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勝司 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際の車輪のスリップ率が目標スリップ率に
近づくようにホイールシリンダ液圧を制御する液圧制御
装置において、液圧を路面の摩擦係数に対して適切な大
きさに制御する。 【解決手段】目標スリップ率を設定値以上増加させた場
合に液圧が設定量以上増加した場合には、液圧が不足し
ていることに起因して路面の摩擦係数を有効に利用して
いない状態にあるとされ、目標スリップ率を大きくす
る。目標スリップ率の増加に対する液圧の増加量が小さ
い場合には、路面の摩擦係数をほぼ最大限に利用してい
る状態にあるとされ、目標スリップ率を、その大きさに
維持する。このようにすれば、目標スリップ率を路面の
摩擦係数を最大限に利用し得る大きさに決定することが
でき、液圧を路面の摩擦係数に対して適切な大きさに制
御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、車輪に加えられる
制動トルクを制御する制動トルク制御装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】制動トルク制御装置の一例としてのアン
チロック制御装置が、特開平9─30386号公報に記
載されている。このアンチロック制御装置においては、
実際の車輪のスリップ率が目標スリップ率に近づくよう
に、制動トルクが制御されるのであるが、目標スリップ
率が一定の値(0.2)とされている。すなわち、目標
スリップ率が、実際の路面の摩擦係数と無関係に常に一
定の値とされているため、路面の摩擦係数に対して適切
な大きさでない場合があり、車輪に加えられる制動トル
クも路面の摩擦係数に対して適切な大きさに制御されな
い場合があった。なお、本明細書において、摩擦係数な
る用語は、原則として、路面と車輪(厳密にはタイヤ)
との間に得られる最大摩擦力を両者の押付力で割って得
られる商を表す用語、すなわち狭義の摩擦係数として使
用する。ただし、路面と車輪との摩擦力を考える場合に
一般的に使用されるいわゆるμ−s曲線を論ずる場合に
は、路面と車輪との間に現に生じている摩擦力(最大摩
擦力ではない)を両者の押付力で割って得られる商を表
す狭義の摩擦係数を意味する用語として使用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,解決手段,作用および
効果】そこで、本発明の課題は、制動トルクを路面の摩
擦係数に対して適切な大きさに制御し得る制動トルク制
御装置を得ることである。上記課題は、下記各態様の制
動トルク制御装置によって解決される。各態様は請求項
と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じ
て他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本
明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせを例
示するためであり、本明細書に記載の技術的特徴および
組合わせが以下のものに限定されると解釈されるべきで
はない。 (1)車輪の実際のスリップ率である実スリップ率が目
標スリップ率に近づくように、前記車輪に加えられる制
動トルクを制御する制動トルク制御装置において、前記
目標スリップ率を、路面の摩擦係数に応じた大きさに決
定する目標スリップ率決定手段を設けたことを特徴とす
る制動トルク制御装置(請求項1)。本項に記載の制動
トルク制御装置においては、目標スリップ率が路面の摩
擦係数に応じた値に決定され、その決定された目標スリ
ップ率に車輪の実際のスリップ率が近づくように、車輪
に加えられる制動トルクが制御される。従来の制動トル
ク制御装置におけるように、目標スリップ率が常に一定
の値に設定されているわけではないため、路面の摩擦係
数に対して適切な値にすることができ、制動トルクを路
面の摩擦係数に対して適切な大きさに制御することがで
きる。ここで、制動トルクは、例えば、回生制動トルク
と摩擦制動トルクとの少なくとも一方を含むものとする
ことができ、摩擦制動トルクは、例えば、液圧ブレーキ
装置や電動ブレーキ装置により得ることができる。当該
制動トルク制御装置が搭載された車両が電動モータを含
む駆動装置を備えたものである場合には、電動モータの
作動状態の制御により、車輪に回生制動トルクを加える
ことができる。この場合には、制動トルク制御装置が、
電動モータの作動状態を制御することにより車輪に加え
られる回生制動トルクを制御する回生制動トルク制御装
置を含むものとすることができる。また、当該車両が、
車輪と一体的に回転するブレーキ回転体に摩擦係合部材
を液圧により押し付けることによって、ブレーキ回転体
の回転を抑制する液圧ブレーキを含む場合には、制動ト
ルク制御装置が、液圧の大きさを制御する液圧制御装置
を含むものとすることができ、摩擦係合部材を電動モー
タ,圧電素子等の電動アクチュエータの作動によりブレ
ーキ回転体に押し付けることによってブレーキ回転体の
回転を抑制する電動ブレーキを含む場合には、前記電動
アクチュエータの作動力を制御する電動力制御装置を含
むものとしたりすることができる。路面の摩擦係数は、
主として路面の表面状態によって決まる。例えば、乾燥
アスファルト舗装路面,濡れたアスファルト舗装路面,
乾燥ベルジャン路面(石畳路面),濡れたベルジャン路
面,砂利路面,氷結路面,積雪路面等によって決まる。 (2)前記目標スリップ率決定手段が、前記目標スリッ
プ率を変化させた場合における制動トルクの変化に基づ
いて、前記目標スリップ率を決定する手段を含む(1) 項
に記載の制動トルク制御装置(請求項2)。車輪に制動
力が加えられると、車輪と路面との間の摩擦力がその制
動力に対する反力として作用するが、その反力(摩擦
力)の最大値は、路面と車輪との間の実際の摩擦係数に
応じた大きさとなる。また、摩擦力が最大値に達するま
での範囲内においては、制動力の増加に伴って摩擦力が
増加し、制動力による制動トルクの大きさと、摩擦力に
よる摩擦駆動トルクの大きさと、車輪の回転慣性トルク
とによって車輪の回転状態が決まる。そのため、上述の
摩擦力が最大値に達するまでの範囲内、すなわち、車輪
のスリップ率に余裕がある範囲内において、車輪のスリ
ップ率が目標スリップ率に近づくように制動トルクが制
御される場合には、目標スリップ率の増加に伴って制動
トルクが増加させられ、制動トルクとスリップ率とが、
μ−s曲線で表される関係と同様な関係に従って変化さ
せられることになる。車輪と路面との間の摩擦係数は、
車輪(タイヤ)の表面状態と路面の表面状態とによって
決まるが、車輪(の表面状態)は車両によって決まるた
め、その路面において車輪に加えられる最大の摩擦力は
路面の表面状態によって決まることになる。したがっ
て、制動トルクの制御により、車輪のスリップ率がその
路面の表面状態によって決まる摩擦係数(最大摩擦係
数)に対応する値になるようにすれば、前後方向のグリ
ップ力を最大にすることができる。路面の摩擦係数を最
も有効に利用し得、制動距離を短くすることができるの
である。本項に記載の制動トルク制御装置において、目
標スリップ率を増加させた場合に、それに伴って制動ト
ルクが増加させられれば、制御が図1(a)に示す目標
スリップ率余裕領域において行われていたことがわか
る。この場合に、目標スリップ率を大きくすれば、路面
の最大摩擦係数に対応した値に近づけることができる。
また、目標スリップ率を増加させた場合に、制動トルク
が殆ど変化しなかった場合には、制御がピーク領域にお
いて行われていることがわかる。目標スリップ率をその
値に保てば、路面の最大摩擦係数にほぼ対応した値に決
定することができる。目標スリップ率は、増加前の値で
あっても増加後の値であってもよい。 (3)前記目標スリップ率決定手段が、前記目標スリッ
プ率を予め定められた大きさだけ増加させた場合に、前
記制動トルクの増加量が予め定められた設定トルク増加
量より大きい場合には、前記目標スリップ率を大きく
し、前記制動トルクの増加量が設定トルク増加量以下の
場合には、前記目標スリップ率を維持することによって
最適目標スリップ率を探索する最適目標スリップ率探索
手段を含む(1) 項または(2) 項に記載の制動トルク制御
装置。本項に記載の制動トルク制御装置によれば、目標
スリップ率をほぼ路面の最大摩擦係数に対応した値に決
定することができる。特に、制動トルク制御装置が、ア
ンチロック制御手段を含む場合に、目標スリップ率が最
適目標スリップ率近傍の大きさに決定されれば、制動距
離を短くすることができる。 (4)前記最適目標スリップ率探索手段が、前記目標ス
リップ率を予め定められた大きさだけ増加させた場合
に、前記制動トルクの減少量が予め定められた設定トル
ク減少量より大きい場合には、前記目標スリップ率を小
さくするものである(3)項に記載の制動トルク制御装
置。本態様によれば、目標スリップ率が過大である場合
にも、最適目標スリップ率を探索することができる。 (5)前記目標スリップ率決定手段が、前記目標スリッ
プ率を、前記車輪のタイヤに加えられる摩擦力が最大と
なる値に決定する手段を含む(1) 項ないし (4)項のいず
れか1つに記載の制動トルク制御装置。目標スリップ率
を、車輪と路面との間の摩擦力が最大となる値に決定す
れば、前後方向のグリップ力を最大にすることができ、
路面の摩擦係数を最も有効に利用することができる。車
輪と路面との間の最大摩擦力は、車輪のタイヤの表面状
態と路面の表面状態との両方によって決まる。タイヤの
表面状態は、タイヤに形成された溝の深さや形状、タイ
ヤの材質等によって決まる。 (6)当該制動トルク制御装置が、前記目標スリップ率
決定手段により決定された目標スリップ率に基づいて目
標制動トルクを決定する目標制動トルク決定手段を含む
(1) 項ないし (5)項のいずれか1つに記載の制動トルク
制御装置。目標スリップ率が路面の摩擦係数に応じた値
に決定されるため、制動トルクも路面の摩擦係数に対し
て適切な大きさに制御することができる。 (7)当該制動トルク制御装置が、前記目標スリップ率
決定手段により決定された目標スリップ率と実スリップ
率との差であるスリップ率偏差およびそのスリップ率偏
差を積分したスリップ率偏差積分の関数である偏差関数
と、前記車輪の回転モデルとに基づいて、前記車輪に加
えるべき目標制動トルクを決定する目標制動トルク決定
手段を含む(1) 項ないし (6)項のいずれか1つに記載の
制動トルク制御装置(請求項3)。目標制動トルクは、
偏差関数と車輪の回転モデルとに基づいて決定される。
偏差関数と、車輪の回転についての運動方程式とを用い
れば、目標スリップ率に応じた目標制動トルクを決定す
ることができる。この目標制動トルクに実際の制動トル
クが近づくように制御すれば、制動トルクを路面の摩擦
係数に対して適切な大きさに制御することができる。ま
た、偏差関数には、スリップ率偏差を表す成分と、スリ
ップ率偏差の積分を表す成分とが含まれるため、これら
両成分の比率を変更可能とした場合には、制御の安定性
と応答性とを調節することが可能となる。 (8)前記偏差関数が、さらに、前記スリップ率偏差を
微分したスリップ率偏差微分の成分を含む (7)項に記載
の制動トルク制御装置。偏差関数を、スリップ率偏差の
微分の成分も含むものとすれば、応答性を向上させるこ
とが可能となる。また、スリップ率偏差成分,スリップ
率偏差微分成分,スリップ率偏差積分成分の比率を調節
可能とすれば、安定性と応答性との調節可能な範囲を広
げることができる。 (9)当該制動トルク制御装置が、前記目標スリップ率
決定手段により決定された目標スリップ率と実スリップ
率との差であるスリップ率偏差およびそのスリップ率偏
差を積分したスリップ率偏差積分の関数である偏差関数
と、その偏差関数を微分した関数と、前記車輪の回転モ
デルとに基づいて求められる回転モデル対応偏差微分関
数とに基づいて、前記車輪に加えるべき目標制動トルク
を決定する目標制動トルク決定手段を含む(1) 項ないし
(6) 項のいずれか1つに記載の制動トルク制御装置。 (10)前記目標制動トルク決定手段が、前記車輪の回
転状態と、車輪に加えられる制動トルクおよび摩擦駆動
トルクとの関係である運動方程式を前記車輪の回転モデ
ルとして、前記目標制動トルクを決定する(7) 項ないし
(9) 項のいずれか1つに記載の制動トルク制御装置。運
動方程式を利用すれば、車輪の目標スリップ率に応じた
目標制動トルクを決定することができる。 (11)当該制動トルク制御装置が、ブレーキシリンダ
の液圧を制御することによって前記制動トルクを制御す
る液圧制御装置を含み、前記目標制動トルク制御手段
が、前記ブレーキシリンダの目標液圧を、次式 Pw =A1 ・e+A2 ・Ie +A3 ・sgn(σ)−B1
2 ただし、eは目標スリップ率と実スリップ率との差に応
じた値であるスリップ率偏差Ie はスリップ率偏差の積
分、σは前記スリップ率偏差eと積分Ie とを含む関数
1 〜A3 は、慣性モーメントI,車輪の半径R,定数
S,K,制御パラメータλ(λ<0)およびQ(設計者
が適宜決定する定数)を用いて、 A1 =I(λS−1)/(SRK) A2 =Iλ/(SRK) A3 =−IQ/(SRK) で表される係数B1 は、目標車輪速度Vw-ref を微分す
ることによって求められた目標車輪加速度 dVw-ref /d
t を用いて、式 B1 ={I/(RK)}・ dVw-ref /dt で表される微分成分B2 は、車両重量M,路面の車輪と
の間の摩擦係数μを用いて、式 B2 =RMgμ/K で表される摩擦力を表す成分に基づいて決定するブレー
キ液圧決定手段を含む(1) 項ないし(10)項のいずれか1
つに記載の制動トルク制御装置。スリップ率偏差eは、
目標スリップ率と実スリップ率との差とすることができ
るが、目標車輪速度と実車輪速度との差とすることもで
きる。 (12)さらに、前記第3項〔A3 ・sgn(σ)〕を〔I
Q/SRK・sgn(σ)〕とする代わりに、次式 u=−Q|σ|a σ/(|σ|+δ)・・・(a) u=−Qσ/(|σ|+δ)・・・(b) ただし、δ>0,0<a<1 のいずれか一方で表される関数とした(11)項に記載の制
動トルク制御装置。本項に記載の制動トルク制御装置に
おけるように、第3項〔A3 ・sgn(σ)〕を平滑関数を
用いて表せば、目標液圧を決定する際の変動を小さくす
ることができ、液圧制御の安定性を向上させることがで
きる。 (13)当該制動トルク制御装置が、前記制動トルク
を、車輪のスリップ状態が適正な状態となるように制御
する手段を含む(1) 項ないし(12)項のいずれか1つに記
載の制動トルク制御装置。本発明は、アンチロック制御
手段やトラクション制御手段を含む制動トルク制御装置
に適用すると有効である。制動トルクが目標制動トルク
に近づくように制御されれば、制動スリップ状態や駆動
スリップ状態が適正な状態に制御される。 (14)車輪に加えられる制動トルクを制御する制動ト
ルク制御装置において、前記車輪のスリップ率の変化と
制動トルクの変化との関係に基づいて、前記車輪の、路
面の摩擦係数の利用状況を取得する路面摩擦係数利用状
況取得手段を設けたことを特徴とする制動トルク制御装
置(請求項4)。車輪のスリップ率の変化と制動トルク
の変化との関係に基づけば、車輪の路面摩擦係数の利用
状況を取得することができる。例えば、車輪のスリップ
率が予め定められた設定値以上増加した場合に制動トル
クが設定トルク量以上増加すれば、図1のμ−s曲線の
制動トルク不足領域において制御が行われており、制動
トルク不足に起因して、路面摩擦係数を十分に利用して
いない状態にあると利用状況を取得することができる。
また、スリップ率が設定値以上増加したにも係わらず、
制動トルクの増加量が設定トルク量より小さい場合に
は、制御がピーク領域あるいはピーク近傍領域(設定ト
ルク量によって変わる)において行われており、摩擦係
数がそれぞれ最大限にあるいは最大限よりやや低く利用
されている状態にあると利用状況を取得することができ
る。なお、本項に記載の制動トルク制御装置において、
スリップ率や制動トルクは、路面の摩擦係数の利用状況
を取得するために、意図的に変化させられる場合と、ア
ンチロック制御,トラククション制御,ビークルスタビ
リティ制御においてそれぞれ本来の目的を達成するため
に変化させられる場合とがある。 (15)当該制動トルク制御装置が、前記制動トルク
を、車輪のスリップ状態が路面の摩擦係数を最大限に利
用する状態となるように制御する第1制御手段と、車両
の旋回状態が適正な状態になるように制御する第2制御
手段との少なくとも一方を含む(14)項に記載の制動トル
ク制御装置。路面の摩擦係数の利用状況が取得されれ
ば、その利用状況と制動トルク制御の目的とに基づい
て、目標スリップ率等の目標スリップ状態を決定するこ
とができる。例えば、アンチロック制御中に、車両が直
進状態にあり、最大の制動力が求められる場合に、制動
トルク不足領域にある場合には、目標スリップ率を路面
の摩擦係数が最大限に利用できる大きさに変更し、車両
が旋回中である場合は、路面の摩擦係数を最大限より低
く利用する目標スリップ率に決定するのである。第2制
御手段はビークルスタビリティ制御に適用することも可
能である。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、請求項1ないし4に記載の
発明の共通の一実施形態である制動トルク制御装置を含
む液圧制動装置について図面に基づいて詳細に説明す
る。図2に示すように、液圧制動装置は、右前輪20,
左前輪22のホイールシリンダ24,26、右後輪3
0,左後輪32のホイールシリンダ34,36、ホイー
ルシリンダ24,26,34,36各々に対応して設け
られたリニアバルブ装置50〜56、マスタシリンダ6
0、定液圧源62等を含むものである。マスタシリンダ
60は2つの加圧室を有するものであり、これら2つの
加圧室には、それぞれ、ブレーキペダル64の操作力に
応じた同じ大きさの液圧が発生させられる。一方の加圧
室には、液通路66を介して前輪20,22のホイール
シリンダ24,26が接続され、他方の加圧室には、液
通路68を介して後輪30,32のホイールシリンダ3
4,36が接続されている。液通路66,68は途中で
分岐させられ、それぞれの先端にホイールシリンダが接
続されているのである。前輪側の2つのホイールシリン
ダ24,26は、液通路66の分岐位置より下流側の部
分によって互いに接続され、後輪側の2つのホイールシ
リンダ34,36は、液通路68の分岐位置より下流側
の部分によって互いに接続されることになる。液通路6
6の分岐位置より下流側の2つのホイールシリンダ2
4,26を接続する部分を液通路70とし、液通路68
の分岐位置より下流側のホイールシリンダ34,36を
接続する部分を液通路72とする。
【0005】上記液通路66の分岐位置より上流側には
電磁開閉弁74が設けられており、この電磁開閉弁74
の開閉により、ホイールシリンダ24,26とマスタシ
リンダ60とが連通させられたり、遮断されたりする。
電磁開閉弁74は、常開弁であり、リニアバルブ装置5
0,52の制御中は閉状態に保たれるが、非制御中には
開状態に保たれる。電気系統に異常が生じた場合には、
開状態に戻され、ホイールシリンダ24,26にマスタ
シリンダ60が連通させられ、マスタシリンダ60の液
圧によりブレーキが作動させられる。
【0006】また、液通路70には電磁開閉弁75が設
けられており、電磁開閉弁75が開状態と閉状態とに切
り換えられることにより、ホイールシリンダ24,26
が連通させられたり、遮断されたりする。2つのホイー
ルシリンダ24,26の液圧を異なる大きさに制御する
場合には、閉状態に切り換えられるが、同じ大きさに制
御する場合、電気系統の異常時等には、連通状態に戻さ
れ、左右ホイールシリンダ24,26が連通させられ
る。液通路68についても同様に、分岐位置より上流側
に電磁開閉弁76が設けられ、分岐位置より下流側の液
通路72に電磁開閉弁77が設けられており、電磁開閉
弁74,75と同様に制御される。
【0007】定液圧源62は、マスタリザーバ78、ポ
ンプ80、アキュムレータ82、2個の圧力スイッチ8
4,85、モータ86、リリーフ弁88等を含むもので
あり、マスタリザーバ78の作動液がポンプ80によっ
て汲み上げられてアキュムレータ82に蓄えられる。圧
力スイッチ84,85のうち一方の圧力スイッチは、ア
キュムレータ82に蓄えられた液圧が設定範囲から外れ
たことを検出するものであり、他方の圧力スイッチはア
キュムレータ82の液圧が下限値より小さくなったこと
を検出するスイッチである。アキュムレータの液圧が上
限値より大きくなれば、作動液がリリーフ弁88を介し
てポンプ80の汲上側に戻される。アキュムレータ82
の液圧が設定範囲に保たれるようにポンプ80を駆動す
るモータ86が制御されるのであり、アキュムレータ8
2には、設定圧力範囲の作動液が常時蓄えられるように
されている。
【0008】上記定液圧源62と各ホイールシリンダ2
4,26,34,36との間には、それぞれ前記リニア
バルブ装置50,52,54,56が設けられている。
リニアバルブ装置50,52,54,56については後
述するが、リニアバルブ装置50,52,54,56の
制御により、各ホイールシリンダ24,26,34,3
6の液圧が独立に制御可能とされている。
【0009】前記液通路68の途中にはストロークシミ
ュレータ90が、電磁開閉弁92を介して設けられてお
り、ブレーキペダル64の踏込み時に、マスタシリンダ
60の作動液がホイールシリンダ24,26,34,3
6に供給されなくても、運転者が違和感を感じることが
回避される。電磁開閉弁92は、電気系統の異常時等ホ
イールシリンダ24,26,34,36がマスタシリン
ダ60に連通させられている間は閉状態に保たれ、マス
タシリンダ60の作動液がストロークシミュレータ90
に流入することが回避される。なお、ストロークシミュ
レータは、ブレーキペダル64とマスタシリンダ60と
の間に設けることができる。
【0010】本液圧制動装置には、ブレーキペダル64
が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチ10
6、マスタシリンダ60の加圧室のそれぞれの液圧を検
出する液圧センサ110,111、定液圧源62の出力
液圧を検出する液圧センサ112、ホイールシリンダ2
4,26,34,36の液圧をそれぞれ検出する液圧セ
ンサ114〜117等が設けられている。制動時には、
マスタシリンダ60の液圧が、運転者の意図する所要制
動力に応じた大きさになるため、液圧センサ110,1
11によって検出された液圧に対応する制動力に基づい
て目標制動力が決定される。本実施形態においては、目
標制動力が、液圧センサ110,111の検出液圧の平
均値に基づいて決定される。なお、マスタシリンダ60
の液圧が2つの液圧センサ110,111によって検出
されるようにすることによって、いずれか一方のセンサ
のフェールを検出することも可能となる。また、各車輪
20,22,30,32の車輪速度を検出する車輪速セ
ンサ120〜126が設けられている。アンチロック制
御において、これらの検出結果に基づいて、推定車体速
度,各車輪の車輪速度,スリップ率等が取得される。
【0011】次に、上記リニアバルブ装置50〜56に
ついて図3に基づいて説明する。リニアバルブ装置50
〜56は、それぞれ、増圧リニアバルブ150および減
圧リニアバルブ152を含むものである。増圧リニアバ
ルブ150はアキュムレータ82とホイールシリンダ2
4,26,34,36とを接続する液通路158の途中
に設けられ、減圧リニアバルブ152はホイールシリン
ダ24,26,34,36とマスタリザーバ78とを接
続する液通路160の途中に設けられる。これらリニア
バルブ装置50〜56は構造が同じものであるため、リ
ニアバルブ装置50についてのみ説明し、他のリニアバ
ルブ装置についての説明は省略する。
【0012】増圧リニアバルブ150は、シーティング
弁190と、電磁駆動力付与装置194とを含むもので
ある。シーティング弁190は、弁子200と、弁座2
02と、弁子200と一体的に移動する被電磁付勢体2
04と、弁子200が弁座202に着座する向きに被電
磁付勢体204を付勢するスプリング206とを含むも
のである。電磁駆動力付与装置194は、ソレノイド2
10と、固定部材216とを含むものであり、ソレノイ
ド210に電圧が印加されると、被電磁付勢体204を
固定部材216に接近させる方向の電磁駆動力が発生さ
せられる。この電磁駆動力の大きさは、ソレノイド21
0に印加される電圧の増加に伴って増加させられ、弁子
200を弁座202に押し付ける向きの力が小さくされ
る。
【0013】増圧リニアバルブ150には、前後の液圧
差に応じた差圧作用力Fp が、弁子200を弁座202
から離間させる方向に作用する。この差圧作用力が、被
電磁付勢体204に作用する力(電磁駆動力Fs とスプ
リングの付勢力Fk との合力であるが、電磁駆動力Fs
とスプリングの付勢力Fk とは互いに反対向きの力であ
る)よりも大きい間(Fp >Fk −Fs )、弁子200
が弁座202から離間させられる。
【0014】減圧リニアバルブ152も、増圧リニアバ
ルブ150と同じものであり、減圧リニアバルブ152
の前後の液圧差に応じた差圧作用力が、印加電圧に応じ
た電磁駆動力とスプリング206の付勢力との合力より
大きい間、弁子200が弁座202から離間させられ
る。
【0015】本液圧制動装置は、入力部224,出力部
225,RAM226,ROM227,PU228等を
備えたコンピュータを主体とする液圧制御装置230を
備えている。液圧制御装置230の入力部224には、
前述のブレーキスイッチ106、各液圧センサ110〜
112,114〜117、車輪速センサ120〜126
の他、前後Gセンサ232,横Gセンサ233等が接続
されている。出力部225には、リニアバルブ装置50
〜56のソレノイド210,各電磁開閉弁のソレノイド
がそれぞれ図示しない駆動回路を介して接続されてい
る。
【0016】また、ROM228にはフローチャートの
図示は省略するが、通常制動時ブレーキ液圧制御プログ
ラム,アンチロック制御プログラム,リニアバルブ装置
制御プログラム、図4のフローチャートに示す目標スリ
ップ率決定プログラム等のプログラム、図示しないテー
ブル等が記憶されている。
【0017】以上のように構成された液圧制動装置にお
ける作動について説明する。ブレーキペダル64が踏み
込まれると、通常制動時ブレーキ液圧制御プログラムが
実行され、各ホイールシリンダ24,26,34,36
の目標液圧が求められる。電磁開閉弁74,76は閉状
態に切り換えられ、ホイールシリンダ24,26,3
4,36はマスタシリンダ60から遮断されて定液圧源
62に連通させられる。ホイールシリンダ24,26,
34,36には、定液圧源62の液圧がリニアバルブ装
置50〜56によって制御されて伝達される。リニアバ
ルブ装置50〜56は、フィードバック制御とフィード
フォワード制御とを組み合わせた制御によって制御され
る。目標液圧と液圧センサ114〜117によって検出
されたホイールシリンダ24,26,34,36の実際
の液圧である実液圧との差が小さくなるように、ソレノ
イド210に電圧が印加されるのである。
【0018】制動中に制動スリップ状態が過大になると
アンチロック制御が行われる。電磁開閉弁74〜77が
閉状態に保たれた状態において、リニアバルブ装置50
〜56が制御されることにより、各車輪20,22,3
0,32の制動スリップ状態が適正状態に保たれるよう
に、各ホイールシリンダ24,26,34,36の液圧
が制御される。各車輪の実際のスリップ状態量としての
実スリップ率が、路面の摩擦係数に応じた目標スリップ
状態量としての目標スリップ率に近づくように、各ホイ
ールシリンダの目標液圧が求められ、目標液圧と実液圧
との偏差に応じてリニアバルブ装置50〜56が制御さ
れるのである。目標スリップ率は、図1に示すように、
路面の摩擦係数に応じて決定される。
【0019】目標液圧は、実スリップ率が目標スリップ
率に近づくように、図6の(12)式に示す式に従って
決定される。図5の〔車輪の回転モデル〕に示すよう
に、車輪には、ホイールシリンダ液圧に応じた液圧制動
トルクと、路面からの摩擦力に応じた路面摩擦トルクと
が加えられ、これらと回転状態との間には、(1)式〜
(3)式に示す関係(運動方程式)が成立する。(6)
式は、(2)式を変形した式であり、(4)式は、目標
車輪速度,車体速度および目標スリップ率の関係を表す
式であり、(3)式に基づいて得られる。また、偏差e
は、(5)式のように、目標車輪速度から実車輪速度を
引いた値とする。スリップ率sは(3)式で表されるた
め、(5)式で表される目標車輪速度と実車輪速度との
偏差eは、目標スリップ率と実スリップ率との偏差に対
応する値{(s−sref )Vv }となる。
【0020】一方、スライディングサーフィスσを、偏
差eと、偏差eの積分Ie とを用いて、図6に示す
(7)式で定義する。ここで、S1 は設定定数である。
また、スライディングサーフィスσを微分した結果が、
(8)式で表され、この(8)式に、偏差eを微分した
結果de/dtを代入すれば(9)式が得られ、(9)
式に(6)式を代入すれば、(10)式が得られる。
【0021】また、(10)式は、数値関数sgn(σ)
を利用すれば、(11)式のように定義することがで
き、さらに、(10),(7)式を(11)式に代入す
れば、(12)式が得られ、目標液圧を求めることが可
能となる。この(12)式は、図に示すように、偏差
e,偏差の積分Ie を含む偏差関数であるが、第3項に
は、上述の数値関数sgn(σ)が含まれる。この第3項
は、スライディングサーフィスσの符号により、正負の
切り換えが起こり,チャタリングが発生する。そこで、
この第3項を平滑関数を用いて、(13)式または(1
4)式で表せば、チャタリングを抑制することができ
る。ここで、摩擦係数μは、図1に示すμ−s曲線に沿
って変化するとし、摩擦力F(s) をMgμとおく。路面
とタイヤとの間の摩擦係数μは、前後Gセンサ232に
よる検出結果μx と、横Gセンサ233による検出結果
μy とに基づいて取得される。本実施形態においては、
√(μx 2 +μy 2 )の値を路面とタイヤとの間の摩擦
係数μとするのである。(12)式の第3項を、(1
4)式に置き換えれば、目標液圧を決定する際の安定性
を向上させることができる。このようにして、決定され
た目標液圧に基づいてリニアバルブ装置50〜56が制
御されるのであり、各ホイールシリンダの実液圧が目標
液圧に近づくように、各ソレノイド210に電圧が印加
されるのである。
【0022】目標スリップ率は、図4のフローチャート
で表される目標スリップ率決定プログラムの実行に従っ
て、路面の最大摩擦係数に対応する値に決定される。車
輪の実際のスリップ率が目標スリップ率に近づくよう
に、すなわち、路面とタイヤとの間の摩擦係数が図1に
示すμ−s曲線に沿って変化するようにホイールシリン
ダ液圧が制御される場合において、目標スリップ率が変
化させられれば、μ−s曲線に対応する曲線(P−s曲
線)に沿って、実液圧も変化させられる。そのため、目
標スリップ率を予め定められた設定値以上増加させるこ
とにより、液圧が設定圧以上増加すれば、液圧不足に起
因して路面の最大摩擦係数を十分に使用していない状
態、すなわち、摩擦係数が最大摩擦係数より小さい状態
にあることがわかる。この場合に、目標スリップ率を大
きくすれば、摩擦力を大きくすることができ、路面の摩
擦係数を有効に利用することができる。この状態は、目
標スリップ率余裕状態と称することもできる。目標スリ
ップ率を設定値以上増加させた場合に、実液圧の減少量
が設定圧より小さい場合(実液圧変化量の絶対値が設定
値より大きい場合)には、スリップ率が過大であること
に起因して、路面の摩擦係数を十分に使用していない状
態にあることがわかる。この場合に、目標スリップ率を
小さくすれば、摩擦力を大きくすることができる。それ
に対して、実液圧の変化量が小さい場合には、路面の摩
擦係数を最大限にあるいは最大限度よりやや低く使用し
ている状態であることがわかる。この場合は、目標スリ
ップ率をその値に維持すればよい。このように、目標ス
リップ率を増加させた場合における実液圧の変化に基づ
いて路面の摩擦係数の利用状況が取得され、その利用状
況に応じて目標スリップ率が決定される。本実施形態に
おいては、目標スリップ率が予め定められた設定時間毎
に増加させられる。
【0023】ステップ10(以下、S10と略称する。
他のステップについても同様とする)において、目標ス
リップ率sr を増加させるか否かが判定される。S10
のステップにおける判定結果は、設定時間毎にYESと
なる。設定時間に達していない場合には判定はNOとな
り、S20において、目標スリップ率sr が、前回の目
標スリップ率sr-base(k) のままとされる。それに対し
て、判定がYESとなった場合には、S30において、
前回の目標スリップ率sr-base(k) が予め定められた増
加値ΔSだけ大きくされ(sr-base(k) +ΔS)、今回
のホイールシリンダ液圧が前回のホイールシリンダ液圧
とされる。次に、S40において、実スリップ率が検出
され、S50において、実スリップ率と目標スリップ率
r との差の絶対値がしきい値Th1より大きいか否かが
判定される。実スリップ率が目標スリップ率sr に追従
し、これらが実質的に一致している場合には、判定がY
ESとなり、S60において、液圧の変化量がしきい値
Th2より大きいか否かが判定される。大きい場合には、
図1の領域R1 に属すると判定することができるため、
S70において、今回の目標スリップ率sr- base(k+1)
が、大きくされ(sr-base(k) +ΔS)、S80におい
て、今回の目標スリップ率を目標スリップ率として、出
力する。なお、目標スリップ率の上限値,下限値を設
け、目標スリップ率が予め定められる範囲を越えないよ
うにガードすることもできる。
【0024】それに対して、液圧の変化量が負のしきい
値−Th3より小さい場合には、S60においる判定がN
O、S90における判定がYESとされ、S100にお
いて、今回の目標スリップ率sr-base(k+1) が、小さく
される(sr-base(k) −ΔS)。図1の領域R2 に属す
ると判定されるため、目標スリップ率が小さくされるの
である。液圧の変化量が小さく、正のしきい値TH2と負
のしきい値−TH3との間にある場合には、S60,90
における判定がともにNOとなり、S110において、
今回の目標スリップ率が前回の目標スリップ率と同じ大
きさとされる。図1のピーク付近において制御が行われ
ると判定することができるからである。また、実スリッ
プ率と目標スリップ率との差が大きい場合には、S50
における判定がNOとなり、S120において、S20
またはS30において決定された目標スリップ率が今回
の目標スリップ率とされる。
【0025】この目標スリップ率に応じて(12),
(14)式に従って目標液圧が決定され、リニアバルブ
装置50〜56が制御される。本実施形態においては、
目標スリップ率が路面の最大摩擦係数に応じて決定され
るのであり、常に一定の大きさとされているわけではな
いため、路面の摩擦係数を最大限に利用することが可能
となり、アンチロック制御における制動距離を小さくす
ることができる。また、目標液圧を決定する際に、平滑
関数が使用されているため、液圧のチャタリングを抑制
することができる。さらに、制御のロバスト性を向上さ
せることができる。
【0026】なお、上記実施形態においては、目標スリ
ップ率が路面の摩擦係数を最大限に利用し得る大きさに
決定されたが、そのようにすることは不可欠ではない。
上述のS30〜60,90の実行により、制御が、μ−
s曲線のいずれの領域において行われているかを取得す
ることが可能であるため、その領域と、制御目的等に基
づいて目標スリップ率を変更することもできる。また、
図4のフローチャートで表されるプログラムを、路面の
摩擦係数の利用状況を取得するためのプログラムとして
利用することもできる。μ−s曲線のいずれの領域に属
するかが取得されればよいのである。さらに、目標スリ
ップ率を路面の摩擦係数の利用状況を取得するために意
図的に変化させる必要はなく、制御途中におけるスリッ
プ率の変化と液圧の変化との関係に基づいて取得するこ
ともできる。この場合の一例を図7のフローチャートで
表す。なお、本実施形態においては、液圧の変化に基づ
いて、路面の摩擦係数の利用状況が取得されるようにさ
れている。
【0027】S210において、液圧がしきい値Thp1
以上増加しかた否か、S220において、しきい値Thp
2 以上減少したか(液圧の変化量が−Thp2 以下か)否
かが判定される。いずれの判定もNOである場合には、
液圧が殆ど変化していないため、利用状況を取得するこ
とができず、S230以降が実行されることはない。そ
れに対して、液圧がしきい値Thp1 以上増加した場合に
は、S210における判定がYESとなり、S230に
おいて、スリップ率がしきい値Ths1 以上増加したか否
かが判定される。液圧がしきい値Thp1 以上増加した場
合において、スリップ率がしきい値Ths1 以上増加した
場合には、S250において、領域1において制御が行
われていると取得され、スリップ率がしきい値Ths2 以
上減少した場合(スリップ率の変化量が−Ths2 以下の
場合)には、S260において領域2に属すると取得さ
れ、それ以外の場合、すなわち、スリップ率が殆ど変化
しない場合には、S270においてピーク領域において
制御されていると取得される。また、同様に、液圧がし
きい値Thp2 以上減少した場合において、スリップ率が
しきい値Ths2 以上減少した場合には、S250におい
て、領域1に属し、スリップ率がしきい値Ths1 以上増
加した場合には、S260において、領域2に属し、変
化量が小さい場合には、S270においてピークに属す
ると取得される。
【0028】本実施形態によれば、路面の摩擦係数の利
用状況を、液圧を増加させたり減少させたりする必要が
なく、制御における変化に基づいて取得することができ
るという利点がある。また、路面の摩擦係数の利用状況
が取得されるため、利用状況に応じて目標スリップ率を
決定することができる。目標スリップ率を、路面の摩擦
係数が最大値になるように決定する必要はなく、例え
ば、領域1に属すと取得された場合には、目標スリップ
率を大きくしたり、領域2に属すると取得された場合に
は、小さくしたりするのであり、ビークルスタビリティ
制御等に適用することも可能となる。ビークルスタビリ
ティ制御が、車両の旋回限界に近い状態で行われる場合
には、路面の摩擦係数を最大限に利用することが望まし
いが、スピン傾向,ドリフトアウト傾向がそれほど大き
くない状態で行われる場合には、摩擦係数を最大限に利
用し得る値に決定する必要はないのである。
【0029】さらに、目標スリップ率の増加値,減少値
は予め決められた大きさではなく、利用状況等に応じて
決定することができる。目標スリップ率の増加値ΔSに
対する実液圧の変化量に基づけば、領域1,2に属する
場合であっても、ピークに近い領域に属するか否かを取
得することが可能であり、それに応じて目標スリップ率
を決定することができる。また、上記実施形態において
は、液圧が、摩擦係数とスリップ率との関係がμ−s曲
線に沿って変化させられるように制御される制動トルク
制御装置に適用されたが、それ以外の制御が行われる制
動トルク制御装置に適用することもできる。運動方程式
において、摩擦力F(s) を、一定値としたり、スリップ
率の増加に伴って摩擦力が増加させられるようにしたり
することができる。
【0030】さらに、本制動トルク制御装置が設けられ
た液圧制動装置の構造は、上記実施形態におけるそれに
限らず、他の構造のものとすることもできる。例えば、
液圧源62は、アキュムレータ82を含まないものとし
たり、ポンプを2つ以上含むものとしたりすることがで
きる。また、リニアバルブ装置50〜56には、各々増
圧リニアバルブ150と減圧リニアバルブ152との両
方が含まれていたが、1つ以上の電磁開閉弁を含むもの
とすることができる等いちいち例示することはしない
が、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である制動トルク制御装置
による制御例を示す図である。
【図2】上記制動トルク制御装置を含む液圧制動装置の
回路図である。
【図3】上記液圧制動装置に含まれるリニアバルブ装置
の一部断面図である。
【図4】上記制動トルク制御装置に含まれる液圧制御装
置のROMに格納された目標スリップ率決定プログラム
を表すフローチャートである。
【図5】上記制動トルク制御装置によって目標液圧を決
定する際の車輪の回転モデルを示す図である。
【図6】上記制動トルク制御装置によって目標液圧を決
定する際に使用される式を表す図である。
【図7】本発明の別の一実施形態である制動トルク制御
装置のROMに格納された路面の摩擦係数利用状況取得
プログラムを表すフローチャートである。
【符号の説明】
50〜56 リニアバルブ装置 120〜126 車輪速センサ 230 液圧制御装置 232 前後Gセンサ 233 横Gセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本園 貴一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D046 BB28 BB29 EE01 HH23 HH36 HH46 HH52 JJ06 KK08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪の実際のスリップ率である実スリップ
    率が目標スリップ率に近づくように、前記車輪に加えら
    れる制動トルクを制御する制動トルク制御装置におい
    て、 前記目標スリップ率を、路面の摩擦係数に応じた大きさ
    に決定する目標スリップ率決定手段を設けたことを特徴
    とする制動トルク制御装置。
  2. 【請求項2】前記目標スリップ率決定手段が、前記目標
    スリップ率を変化させた場合における制動トルクの変化
    に基づいて、前記目標スリップ率を決定する手段を含む
    請求項1に記載の制動トルク制御装置。
  3. 【請求項3】当該制動トルク制御装置が、前記目標スリ
    ップ率決定手段により決定された目標スリップ率と前記
    実スリップ率との差であるスリップ率偏差およびそのス
    リップ率偏差を積分したスリップ率偏差積分の関数であ
    る偏差関数と、前記車輪の回転モデルとに基づいて、前
    記車輪に加えるべき目標制動トルクを決定する目標制動
    トルク決定手段を含む請求項1または2に記載の制動ト
    ルク制御装置。
  4. 【請求項4】車輪に加えられる制動トルクを制御する制
    動トルク制御装置において、 前記車輪のスリップ率の変化と制動トルクの変化との関
    係に基づいて、前記車輪の、路面の摩擦係数の利用状況
    を取得する路面μ利用状況取得手段を設けたことを特徴
    とする制動トルク制御装置。
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