JP2000125855A - 人工皮膚 - Google Patents

人工皮膚

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JP2000125855A
JP2000125855A JP10319783A JP31978398A JP2000125855A JP 2000125855 A JP2000125855 A JP 2000125855A JP 10319783 A JP10319783 A JP 10319783A JP 31978398 A JP31978398 A JP 31978398A JP 2000125855 A JP2000125855 A JP 2000125855A
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sponge
cells
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keratinocytes
culturing
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Noriyuki Morikawa
訓行 森川
Katsuyasu Morota
勝保 諸田
Shinichiro Morita
真一郎 森田
Yoshihiko Nishimura
善彦 西村
Shigehiko Suzuki
茂彦 鈴木
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Original Assignee
Gunze Ltd
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    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L27/60Materials for use in artificial skin

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒトの皮膚の状態と近い人工皮膚を提供する。 【解決手段】孔径の大きい生体親和性材料からなる高架
橋処理されたスポンジ内に線維芽細胞を播種して培養す
る工程、孔径の小さい生体親和性材料からなる低架橋処
理されたスポンジ上に色素細胞を播種して培養する工
程、該色素細胞を含む低架橋処理スポンジ上に角化細胞
を播種して培養する工程を含むことを特徴とする人工皮
膚の製造法;及び内部に線維芽細胞を有する生体親和性
材料からなる高架橋処理されたスポンジ層と角化細胞を
含む表皮層を有する人工皮膚であって、角化細胞を含む
表皮層の最下部に色素細胞を分散状態で有する人工皮
膚。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工皮膚及びその
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】人工皮膚は、皮膚の組織学
的研究モデルとして従来盛んに研究されている。例え
ば、特開平9−201410号は、色素細胞とケラチン
細胞を混合して播種した人工皮膚を開示している。しか
しながら、実際の皮膚においては、色素細胞は表皮と真
皮の界面に存在しており、該公報の人工皮膚では、実際
のヒトの皮膚とは構造的に相違している。
【0003】特開平8−89239号公報は、孔径の異
なる2種のコラーゲンスポンジを積層し、下層に線維芽
細胞を、上層に角化細胞を播種し、上層のコラーゲンス
ポンジを溶解除去することにより、線維芽細胞と角化細
胞が積層した人工皮膚を開示する。該人工皮膚は、例え
ば皮膚刺激性試験などの用途には使用することができる
が、外観が白く、実際の皮膚とは異なるものであった。
【0004】本発明は、実際の皮膚に類似した機能及び
外観を有する人工皮膚及びその製造法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の人工皮
膚及びその製造法に関する。
【0006】項1. 孔径の大きい生体親和性材料から
なる高架橋処理されたスポンジ内に線維芽細胞を播種し
て培養する工程、孔径の小さい生体親和性材料からなる
低架橋処理されたスポンジ上に色素細胞を播種して培養
する工程、該色素細胞を含む低架橋処理スポンジ上に角
化細胞を播種して培養する工程を含むことを特徴とする
人工皮膚の製造法。
【0007】項2. 角化細胞とともにランゲルハンス
細胞を播種することを特徴とする項1記載の人工皮膚の
製造法。
【0008】項3. 角化細胞を、気液界面培養して角
質層を形成すること特徴とする項1または2に記載の人
工皮膚の製造法。
【0009】項4. 内部に線維芽細胞を有する生体親
和性材料からなる高架橋処理されたスポンジ層と角化細
胞を含む表皮層を有する人工皮膚であって、角化細胞を
含む表皮層の最下部に色素細胞を分散状態で有する人工
皮膚。
【0010】項5. 表皮層にランゲルハンス細胞をさ
らに含む項3に記載の人工皮膚。
【0011】項6. 表皮層に角質層を含む項4または
5に記載の人工皮膚。
【0012】項1の製造法では、孔径の大きい生体親和
性材料からなる高架橋処理されたスポンジ内に線維芽細
胞を播種して培養する工程と、孔径の小さい生体親和性
材料からなる低架橋処理されたスポンジ上に色素細胞を
播種して培養する工程を並行して行い、その後線維芽細
胞を有する高架橋処理されたスポンジ上に色素細胞を有
する低架橋処理されたスポンジを載置し、該色素細胞を
含む低架橋処理スポンジ上に角化細胞を播種して培養す
る工程を行ってもよい;あるいは、孔径の大きい生体親
和性材料からなる高架橋処理されたスポンジ内に線維芽
細胞を播種して培養する工程を行った後、線維芽細胞を
含む高架橋処理されたスポンジ上に孔径の小さい生体親
和性材料からなる低架橋処理されたスポンジを載置し、
該低架橋処理されたスポンジ上に色素細胞を播種して培
養する工程及び該色素細胞を含む低架橋処理スポンジ上
に角化細胞を播種して培養する工程を順次行ってもよ
い。項1の方法には、これらの方法が含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、色素細胞、線維
芽細胞(特に真皮由来の線維芽細胞)、角化細胞は、市
販品の各種細胞株を利用することができるが、動物、特
にヒトの皮膚から得たものを培養して調製してもよい。
特に、臨床的な皮膚移植に利用する場合には、皮膚移植
する部分以外の患者皮膚由来の色素細胞、線維芽細胞、
角化細胞を用いて培養するのが好ましい。
【0014】生体親和性材料としては、コラーゲン(I
型、II型、III型、IV型)、ゼラチン、アルギン酸ナト
リウム、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアルロン酸、
キトサン、EHSマウス腫瘍可溶化抽出物等が例示で
き、好ましくはコラーゲン(I型、II型、III型、IV
型)である。
【0015】生体親和性材料からなるスポンジの製造法
としては、これまでに多くの方法が開示されており、そ
れらを利用することができる。例えばコラーゲンスポン
ジの製造法は、特開平5−43734号公報に開示され
ているように、コラーゲン水溶液に脂溶性有機溶媒(例
えばクロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水
素、酢酸エチルなどのエステル類、THF、ジオキサン
などのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭
化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノールな
どのアルコール類など)を添加し、ホモジナイズして発
泡させた後、凍結乾燥する方法が例示できる。
【0016】スポンジの架橋方法としては、グルタルア
ルデヒドなどのジアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの
モノアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアナート、ト
リレンジイソシアナートなどのジイソシアナート類、エ
チレングリコールジグリシジルエーテルのようなジエポ
キシ化合物、さらにカルボジイミド塩酸塩のような脱水
縮合剤を用いることができ、好ましくはグルタルアルデ
ヒドを用いることができる。或いは、凍結乾燥したコラ
ーゲンスポンジを真空減圧下、105℃程度の温度下にて2
4時間程度加熱処理することにより熱脱水架橋を行うこ
とができる。
【0017】本発明において、高架橋処理されたスポン
ジとは、本発明の人工皮膚の製造時にはほとんど或いは
全く分解されないが、ヒトに移植したような場合には、
ヒト細胞由来の酵素により徐々に分解されるようなスポ
ンジである。このような高架橋処理されたスポンジは、
例えば生体親和性材料の熱脱水架橋を行い、形状の安定
性を高めておいた後、グルタルアルデヒド溶液のような
架橋剤で処理して製造するのが好ましいが、コラーゲン
などの生体親和性材料の溶液にグルタルアルデヒドのよ
うな架橋剤を加えて架橋反応を行った後、凍結乾燥によ
り得ることもできる。高架橋処理されたスポンジの孔径
は好ましくは50μm以上、より好ましくは80〜95
μmであり、高架橋処理されたスポンジの厚みは1〜5
mm程度である。
【0018】本発明において、低架橋処理されたスポン
ジとは、色素細胞及び角化細胞の培養の際に徐々に分解
されるスポンジであり、好ましくは、色素細胞及び角化
細胞の培養が終了した時点で低架橋処理されたスポンジ
はほとんど或いは全く残っていないのが好ましい。低架
橋処理されたスポンジの孔径は好ましくは30μm以
下、より好ましくは5〜20μmであり、低架橋処理さ
れたスポンジの厚みは1〜2mm程度が好ましい。スポ
ンジの低架橋処理は、例えばコラーゲンなどの生体親和
性材料の水溶液に有機溶媒(例えばエタノール)を添加
し、凍結乾燥後、真空減圧下に熱脱水架橋処理を行うこ
とにより得ることができる。
【0019】該低架橋スポンジは、好ましくは、色素細
胞と角化細胞を播種して細胞が接着し安定するまでの間
は分解することなく安定していて、その後、角化細胞の
分泌するコラゲナーゼにより徐々に分解され、角化細胞
が分化重層化するころには消失するものである。
【0020】本発明の方法において、線維芽細胞、特に
真皮由来の線維芽細胞を高架橋処理されたスポンジに播
種すると、線維芽細胞は高架橋処理されたスポンジ内に
落ち込んでその孔内で三次元的に増殖する。該スポンジ
は高架橋処理されているため、人工皮膚の製造工程にお
いては分解抵抗性を示し、該スポンジの分解消失は起こ
らない。培養の条件は特に限定されないが、例えば線維
芽細胞をDME+10%血清培地に懸濁し、高架橋スポンジ上
に4〜6×105cells/cm2程度の濃度で播種し、細胞が完
全に接着するまでDME+10%血清培地、MEM+10%血
清培地、などの培地に線維芽細胞を浸した状態で37℃付
近、5%CO2下で2〜24時間程度培養することができ
る。線維芽細胞がその中で増殖した高架橋処理されたス
ポンジは、真皮層に相当する。
【0021】一方、色素細胞を低架橋処理されたスポン
ジに播種すると、低架橋処理されたスポンジの孔径は小
さいため、色素細胞は低架橋スポンジ上に残存する。色
素細胞は、例えばMGM3培地に懸濁し、このスポンジ上に
0.1〜2.0×105cells/cm2程度の濃度で
播種し、MGM3培地などの培地で37℃付近、5%CO2
下で2〜24時間程度培養される。なお、播種される色
素細胞の濃度は、人工皮膚の目的によって任意に変更可
能であり、実際のヒトの皮膚に近い程度のメラニン細胞
を形成するような濃度であるのが好ましい。
【0022】線維芽細胞を播種した高架橋スポンジ上に
色素細胞を播種したスポンジを重ね、角化細胞を色素細
胞及び低架橋スポンジ上に播種する。角化細胞は、例え
ばK110培地、KGM培地などの培地に懸濁し、ヒト色素
細胞を播種・培養した低架橋スポンジ上に、4〜6×10
5cells/cm2程度の濃度で播種し、細胞が完全に
接着するまで37℃、5%CO2下で2〜24時間培養する。
色素細胞及び角化細胞の培養を継続すると、低架橋スポ
ンジは徐々にコラゲナーゼで加水分解される。しかしな
がら、色素細胞及び角化細胞の培養の初期時点では低架
橋スポンジは一部分解されるのみであり、全部が分解さ
れることはない。次に、培地をDME+5%血清培地などの培
地に変更し、ヒト角化細胞が空気中に出るように培地の
量を調整しながら、5〜7日間培養をすることで低架橋
スポンジが分解された人工皮膚を得ることができる。
【0023】
【発明の効果】本発明の人工皮膚は、色素細胞の位置が
実際のヒトの皮膚と同一であり、外観上もヒトの皮膚と
よく似ており、例えば脱色素性疾患の研究及び治療、そ
の他皮膚移植が必要とされる全ての疾患の治療に応用で
きる。
【0024】さらに、本発明の人工皮膚は、色素細胞の
位置が実際のヒトの皮膚と同一であり、紫外線照射に対
する反応もヒトの皮膚とほぼ同じなので、紫外線照射に
よる皮膚損傷の保護作用を検討するなどの化粧品、医薬
品に関する研究のモデルとしても優れている。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を用いてよ
り詳細に説明する。
【0026】実施例1 (1)高架橋コラーゲンスポンジの作製 0.3%濃度のアテロコラーゲン水溶液(pH 3)に5%濃度に
なるようにクロロホルムを添加し、ホモジナイザーを用
いて4500rpmで10分間ホモジナイズしたものをステンレ
ス製枠に流し込み、-40℃で凍結した。これを凍結乾燥
した後、真空減圧下、105℃で24時間熱脱水架橋を加え
た後、0.2%グルタルアルデヒド溶液に4℃で24時間浸漬
することにより化学架橋を導入した。これを再び凍結乾
燥して孔径90μm、厚さ2.0mmの高架橋コラーゲンスポン
ジを得た。
【0027】(2)低架橋コラーゲンスポンジの作製 0.3%濃度のアテロコラーゲン水溶液(pH 3)に0.5%濃度
になるようにエタノールを添加し、プラスチック製シャ
ーレに流し込み、-135℃で凍結した。これを凍結乾燥し
た後、真空減圧下、105℃で24時間熱脱水架橋し、孔径1
5μm、厚さ0.5mmの低架橋コラーゲンスポンジを得た。
【0028】(3)ヒト線維芽細胞の播種および培養 48ウェル培養プレートに、(1)で作製した高架橋コラ
ーゲンスポンジを敷き詰め、DME+10%血清培地で該スポ
ンジをなじませて余剰の培地を吸引した後、クロネティ
クス社から購入したヒト線維芽細胞をDME+10%血清培地
(100〜200μl程度)に懸濁し、このスポンジ上
に4.8×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞が完全に接
着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。
【0029】(4)ヒト色素細胞の播種および培養 (3)で作製したヒト線維芽細胞を播種したスポンジを
24ウェル培養プレートに移した後、この上に(2)で作
製した低架橋コラーゲンスポンジ上に内径8mmのプラス
チック製リングを載せたものを重ね、クロネティクス社
から購入したヒト色素細胞をMGM3培地に懸濁し、このス
ポンジ上に1.6×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞が
完全に接着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。
【0030】(5)ヒト角化細胞の播種および培養 クロネティクス社から購入したヒト角化細胞をK110培地
に懸濁し、(4)で作製したヒト色素細胞を播種したス
ポンジ上に、4.8×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞
が完全に接着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。
【0031】次に、培地をDME+5%血清培地に変更し、ヒ
ト角化細胞が空気中に出るように培地の量を調整しなが
ら、5日間培養を続けた後、所望の培養皮膚を得た。
【0032】実施例2 (1)高架橋コラーゲンスポンジの作製 0.3%濃度のアテロコラーゲン水溶液(pH 3)に5%濃度に
なるようにクロロホルムを添加し、ホモジナイザーを用
いて4500rpmで10分間ホモジナイズしたものをステンレ
ス製枠に流し込み、-40℃で凍結した。これを凍結乾燥
した後、真空減圧下、105℃で24時間熱脱水架橋を加え
た後、0.2%グルタルアルデヒド溶液に4℃で24時間浸漬
することにより化学架橋を導入した。これを再び凍結乾
燥して孔径90μm、厚さ2.0mmの高架橋コラーゲンスポン
ジを得た。
【0033】(2)低架橋コラーゲンスポンジの作製 0.3%濃度のアテロコラーゲン水溶液(pH 3)に0.5%濃度
になるようにエタノールを添加し、プラスチック製シャ
ーレに流し込み、-135℃で凍結した。これを凍結乾燥し
た後、真空減圧下、105℃で24時間熱脱水架橋し、孔径1
5μm、厚さ0.5mmの低架橋コラーゲンスポンジを得た。
【0034】(3)ヒト線維芽細胞の播種および培養 48ウェル培養プレートに、(1)で作製した高架橋コラ
ーゲンスポンジを敷き詰め、DME+10%血清培地で該スポ
ンジをなじませて余剰の培地を吸引した後、クロネティ
クス社から購入したヒト線維芽細胞をDME+10%血清培地
に(100〜200μl程度)に懸濁し、このスポンジ
上に4.8×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞が完全に
接着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。
【0035】(4)ヒト色素細胞の播種および培養 48ウェル培養プレートに、(2)で作製した低架橋コラ
ーゲンスポンジを敷き詰め、このスポンジ上に内径8mm
のプラスチック製リングを載せ、クロネティクス社から
購入したヒト色素細胞をMGM3培地に懸濁し、このスポン
ジ上に1.6×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞が完全
に接着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。なお、
ヒト色素細胞はMGM3培地に浸かった状態であった。
【0036】(5)ヒト角化細胞の播種および培養 (3)で作製したヒト線維芽細胞を播種したスポンジを
24ウェル培養プレートに移した後、この上に(4)で作
製したヒト色素細胞を播種したスポンジを重ね、クロネ
ティクス社から購入したヒト角化細胞をK110培地に懸濁
し、(4)のスポンジ上に4.8×105cells/cm2の濃度で
播種し、細胞が完全に接着するまで37℃、5%CO2下で一
晩培養した。
【0037】次に、培地をDME+5%血清培地に変更し、ヒ
ト角化細胞が空気中に出るように培地の量を調整しなが
ら、5日間培養を続けた後、所望の培養皮膚を得た。
【0038】以上のようにして得た培養皮膚に対しDOPA
反応を行った後、ホルマリン固定し、次いでH&E染色を
行い観察したところ、ヒト線維芽細胞は高架橋コラーゲ
ンスポンジ中で三次元的によく伸展していた。
【0039】一方、気液界面培養することで、低架橋コ
ラーゲンスポンジはほぼ消失し、ヒト角化細胞は分化重
層化し角質層も形成された。
【0040】また、DOPA反応陽性すなわち色素形成機能
を有するヒト色素細胞が、組織学的に適切な位置である
表皮基底層に確認され、実際のヒト皮膚に非常によく似
た形態が得られた。
【0041】比較例1 ヒト色素細胞を含有しない培養皮膚の作製 (1)高架橋コラーゲンスポンジの作製 0.3%濃度のアテロコラーゲン水溶液(pH 3)に5%濃度に
なるようにクロロホルムを添加し、ホモジナイザーを用
いて4500rpmで10分間ホモジナイズしたものをステンレ
ス製枠に流し込み、-40℃で凍結した。これを凍結乾燥
した後、真空減圧下、105℃で24時間熱脱水架橋を加え
た後、0.2%グルタルアルデヒド溶液に4℃で24時間浸漬
することにより化学架橋を導入した。これを再び凍結乾
燥して孔径90μm、厚さ2.0mmの高架橋コラーゲンスポン
ジを得た。
【0042】(2)低架橋コラーゲンスポンジの作製 0.3%濃度のアテロコラーゲン水溶液(pH 3)に0.5%濃度
になるようにエタノールを添加し、プラスチック製シャ
ーレに流し込み、-135℃で凍結した。これを凍結乾燥し
た後、真空減圧下、105℃で24時間熱脱水架橋し、孔径1
5μm、厚さ0.5mmの低架橋コラーゲンスポンジを得た。
【0043】(3)ヒト線維芽細胞の播種および培養 48ウェル培養プレートに、(1)で作製した高架橋コラ
ーゲンスポンジを敷き詰め、クロネティクス社から購入
したヒト線維芽細胞をDME+10%血清培地に懸濁し、この
スポンジ上に4.8×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞
が完全に接着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。
【0044】(4)ヒト角化細胞の播種および培養 (3)で作製したヒト線維芽細胞を播種したスポンジを
24ウェル培養プレートに移した後、この上に(2)で作
製した低架橋コラーゲンスポンジ上に内径8mmのプラス
チック製リングを載せたものを重ね、クロネティクス社
から購入したヒト角化細胞をK110培地に懸濁し、このス
ポンジ上に4.8×105cells/cm2の濃度で播種し、細胞が
完全に接着するまで37℃、5%CO2下で一晩培養した。
【0045】次に、培地をDME+5%血清培地に変更し、ヒ
ト角化細胞が空気中に出るように培地の量を調整しなが
ら、5日間培養を続けた後、所望の培養皮膚を得た。
【0046】以上のようにして得たヒト色素細胞を含有
しない培養皮膚に対しDOPA反応を行った後、ホルマリン
固定し、次いでH&E染色を行い観察した。その結果、ヒ
ト色素細胞を含有する培養皮膚と同様に、ヒト線維芽細
胞は高架橋コラーゲンスポンジ中で三次元的によく伸展
していた。また、気液界面培養することで、低架橋コラ
ーゲンスポンジはほぼ消失し、ヒト角化細胞は分化重層
化し角質層も形成された。
【0047】しかしながら、このヒト色素細胞を含有し
ない培養皮膚においては、DOPA反応陽性の褐色に染色さ
れた細胞は認められず、ヒト色素細胞の有無による培養
皮膚の形態の違いは明らかである。
【0048】試験例1 実施例1、2及び比較例1で得られた人工皮膚につい
て、紫外線(UVA(365nm)、UVB(302nm))を照射す
ると、実施例1、2の人工皮膚にはメラニン産生に伴う
褐色の斑点が認められたが、比較例1の人工皮膚にはこ
のような斑点は認められなかった。このことは、本発明
の人工皮膚は、紫外線刺激による皮膚刺激の試験モデル
として優れていることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】色素細胞を組み込んだ人工皮膚の図面代用写真
である。
【図2】色素細胞を組み込んでいない人工皮膚の図面代
用写真である。
【図3】ヒトの皮膚の図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 真一郎 京都府綾部市井倉新町石風呂1番地 グン ゼ株式会社研究開発部内 (72)発明者 西村 善彦 京都府京都市左京区北白川西瀬ノ内町25番 地 (72)発明者 鈴木 茂彦 京都府京都市左京区岩倉中町228−6 Fターム(参考) 4B065 AA93X CA24 CA44 4C081 AB19 BA16 BB04 CC05 CD041 CD081 CD091 CD121 CD151 CD171 CD34 DA02 DA12 DB03 DB06 DC03 DC04 DC05 DC14 EA02 EA06 4C097 AA23 CC02 CC03 EE16 EE19 FF06 FF17 FF20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】孔径の大きい生体親和性材料からなる高架
    橋処理されたスポンジ内に線維芽細胞を播種して培養す
    る工程、孔径の小さい生体親和性材料からなる低架橋処
    理されたスポンジ上に色素細胞を播種して培養する工
    程、該色素細胞を含む低架橋処理スポンジ上に角化細胞
    を播種して培養する工程を含むことを特徴とする人工皮
    膚の製造法。
  2. 【請求項2】角化細胞とともにランゲルハンス細胞を播
    種することを特徴とする請求項1記載の人工皮膚の製造
    法。
  3. 【請求項3】角化細胞を、気液界面培養して角質層を形
    成すること特徴とする請求項1または2に記載の人工皮
    膚の製造法。
  4. 【請求項4】内部に線維芽細胞を有する生体親和性材料
    からなる高架橋処理されたスポンジ層と角化細胞を含む
    表皮層を有する人工皮膚であって、角化細胞を含む表皮
    層の最下部に色素細胞を分散状態で有する人工皮膚。
  5. 【請求項5】表皮層にランゲルハンス細胞をさらに含む
    請求項3に記載の人工皮膚。
  6. 【請求項6】表皮層に角質層を含む請求項4または5に
    記載の人工皮膚。
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