JPH0947503A - 培養皮膚用基材、培養皮膚およびその製造法 - Google Patents

培養皮膚用基材、培養皮膚およびその製造法

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JPH0947503A
JPH0947503A JP7201138A JP20113895A JPH0947503A JP H0947503 A JPH0947503 A JP H0947503A JP 7201138 A JP7201138 A JP 7201138A JP 20113895 A JP20113895 A JP 20113895A JP H0947503 A JPH0947503 A JP H0947503A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コラーゲン基材に播種する際に細胞が落下逸
脱することなく培養増殖された表皮細胞および/または
線維芽細胞への充分な栄養分の供給ならびに適用創面か
らの浸出液の排出を円滑に行いうる培養皮膚を提供す
る。 【解決手段】 貫通した切込みが設けられたコラーゲン
基材、該基材と、少なくとも該基材の片面に播種培養さ
れた線維芽細胞および/または表皮細胞からなる培養皮
膚であって、培養細胞適用時に前記切込みを開くように
力を加えることにより適用時に貫通孔を生じせしめうる
培養皮膚およびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は培養皮膚用基材、培
養皮膚およびその製造法に関する。さらに詳しくは、熱
傷、創傷、褥瘡または皮膚潰瘍などの皮膚疾患などの皮
膚欠損創に用いて、欠損組織を早期に再建させるまたは
治療するための培養皮膚用基材、培養皮膚およびその製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より浅達性II度熱傷など真皮の浅い
部分に達する皮膚欠損創の治療としては創傷被覆材の適
用あるいは軟膏塗布ガーゼなどを適用するのが一般的に
行われてきた治療である。しかしながら、深達性II度熱
傷、III度熱傷あるいはII度以上の褥瘡など真皮の深い
部分に達する広範囲の皮膚欠損を負ったばあい、自己の
表皮細胞増殖による皮膚組織の再建は期待できない。そ
こで、まず壊死組織あるいは不良肉芽組織を除去し、同
種皮膚または創傷被覆材を適用して良好な肉芽組織を再
建したのち、自家分層植皮を行うことにより皮膚を再建
するという治療が行われてきた。しかし、自家分層植皮
を行うばあい、自己の健全な部位から採皮するが、採皮
した部位には傷跡が残るという整容についての問題が生
じる。また患部が極めて広範囲であるばあいには、自家
分層植皮は困難である。
【0003】この問題を解決するために、わずかな皮膚
片から表皮細胞あるいは線維芽細胞を採取し、培養フラ
スコ中で大量培養する技術が開発され、これらの培養細
胞を用いた種々の培養皮膚が開発されてきている。
【0004】ハワード・グリーン(H.Green)、
ジェームズ・レインワルド(J.Rheinwald)
らが開発した培養表皮シートは、切手大の皮膚を採取
し、表皮細胞を培養フラスコ中で大量培養して表皮シー
トをうるものであるが、該シートを培養フラスコから剥
離する際の酵素処理によって最も重要な細胞である基底
細胞が損傷を受けるために自家移植において生着率が低
いという問題点が指摘されている(黒柳能光、生体材料
9巻、1991年2月号参照)。
【0005】また、ユージーン・ベル(E.Bell)
ら(サイエンス(Science)、211巻、105
2〜1054頁、1981年3月号参照)は、皮膚から
分離、採取した表皮細胞および線維芽細胞を培養フラス
コ中で大量に培養し、線維芽細胞を組み込んだコラーゲ
ンゲル上に表皮細胞を重層化させた培養皮膚を開発し
た。
【0006】さらに、スティーブン・ボイス(S.Bo
yce)ら(サージェリー(SURGERY)、103
巻、421〜431頁、1988年4月号参照)は、皮
膚から採取した表皮細胞を培養フラスコ中で大量に培養
したものを、少量のコンドロイチン−6−硫酸を添加し
てえられたコラーゲンスポンジ上に播種し重層化させた
培養皮膚を開発している。
【0007】また、アテロコラーゲンを基材とする培養
皮膚が、特開昭第62−246371号公報および特開
平第4−332561号公報に記載されている。特開昭
第62−246371号公報には、アテロコラーゲンシ
ートを基材とする培養皮膚が記載されているが、シート
に貫通孔がないので、移植床からもたらされる細胞増殖
などに欠かすことのできない栄養分がシートを透過して
シート上の表皮細胞にまで供給され難いために自家移植
において、表皮の生着率が低いという問題があった。
【0008】また、線維芽細胞のみを組み込んだ培養皮
膚を作製したばあいにおいても、やはり適用創面からも
たらされる栄養分が培養皮膚基材全体へ供給され難いた
めに、線維芽細胞の増殖と代謝が不活発になること、生
理活性物質の放出が円滑になされなくなることなどのた
めに皮膚の再建または良性肉芽組織の形成に支障をきた
すことがある。
【0009】さらに貫通孔がないことで、培養皮膚を適
用した患部に浸出液が過度に滞留し、この排出が円滑に
なされず感染の温床となるという問題もあった。
【0010】特開平第4−332561号公報には、前
記のような問題点を解決するために貫通孔を設けたアテ
ロコラーゲンスポンジが記載されているが、貫通孔を設
けると細胞を播種する際に落下逸脱してしまうので、こ
れを防ぐために細胞播種前にあらかじめアテロコラーゲ
ンゲルなどでスポンジをコーティングすることを必須と
したものであり、こうした方法は、工程が煩雑であるば
かりでなくコストの高い培養皮膚となってしまうという
問題がある。そのため、より安価で簡便な代替品または
手法の開発が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来からコラーゲンを
基材として用いた培養皮膚において課題とされていた点
は、 1.皮膚欠損組織への適用後に、培養皮膚基材がバリア
ーとなり、適用創面から培養皮膚全体への栄養供給が円
滑にいかないこと、 2.皮膚欠損組織への適用後に、培養皮膚適用部に浸出
液が過度に滞留すること 3.前記1および2を防ぐために基材に貫通孔を設けて
おくばあい、細胞播種時に細胞が落下逸脱してしまうこ
と、および 4.前記3を防ぐために基材の貫通孔をコラーゲンゲル
などの生体繊維状高分子材料でコーティングしたばあ
い、コストが高くなってしまうことであった。
【0012】本発明はかかる1〜4の課題を解消するた
めになされたものであり、熱傷、創傷、褥瘡または皮膚
潰瘍などの皮膚欠損創に用いて、欠損組織を早期に再建
させるための培養皮膚を提供することを目的とする。さ
らに詳しくは、適用創面から培養皮膚全体の細胞への栄
養分供給および適用創面に過度に滞留する浸出液の排出
が円滑に行われうる機能を有し、しかも安価に作製しう
る培養皮膚を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、培養皮膚
用コラーゲン基材に貫通した切込みを設けることによ
り、皮膚由来の細胞を該基材上に播種する際の細胞の落
下逸脱の防止を目的とした処理を必要とせず、かつ培養
皮膚適用時に前記切込みを開くように力を加えることに
より貫通孔を生じせしめ、前記基材に播種培養された細
胞への栄養供給、および適用創面に過度に滞留する浸出
液の排出が円滑に行われうる培養皮膚を提供することで
ある。
【0014】したがって本発明は貫通した切込みが設け
られたコラーゲンスポンジまたはコラーゲンシートから
なる培養皮膚用基材に関する。
【0015】前記切込みは直線状であり、一方向にそっ
て設けられたものであってよく、また、前記培養皮膚用
基材において2.5cm×2.5cmの正方形に少なく
とも部分的に設けられ、かつ1cm×1cmの正方形に
合計で長さ4cmを超える切込みを含まないものであっ
てもよい。
【0016】また本発明は貫通した切込みが設けられた
コラーゲンスポンジまたはコラーゲンシートからなる培
養皮膚用基材と播種培養された皮膚由来の細胞からなる
培養皮膚に関する。
【0017】さらに本発明は、貫通した切込みが設けら
れたコラーゲンスポンジまたはコラーゲンシートからな
る培養皮膚用基材と該基材の少なくとも片面に播種培養
された皮膚由来の線維芽細胞からなる培養皮膚であり、
培養皮膚適用時に前記切込みを開くように力を加えるこ
とにより貫通孔を生じせしめうる培養皮膚、貫通した切
込みが設けられたコラーゲンスポンジまたはコラーゲン
シートからなる培養皮膚用基材と該基材の片面に播種培
養された表皮細胞からなる培養皮膚であり、培養皮膚適
用時に前記切込みを開くように力を加えることにより貫
通孔を生じせしめうる培養皮膚、ならびに貫通した切込
みが設けられたコラーゲンスポンジまたはコラーゲンシ
ートからなる培養皮膚用基材と該基材の少なくとも片面
に播種培養された皮膚由来の線維芽細胞および該基材の
片面に播種培養された表皮細胞からなる培養皮膚であ
り、培養皮膚適用時に前記切込みを開くように力を加え
ることにより貫通孔を生じせしめうる培養皮膚に関す
る。
【0018】前記コラーゲンはアテロコラーゲンであっ
てよく、また前記切込みは均斉に設けられてもよい。
【0019】前記切込みは、一方向にそって設けられた
直線状であり、切込みが開くように力を加えることによ
り貫通孔を生じせしめうるものであってもよく、また、
前記培養皮膚用基材において2.5cm×2.5cmの
正方形当りに少なくとも部分的に設けられ、かつ1cm
×1cmの正方形に合計で長さ4cmを超える切込みを
含まないものであってもよく、また、スリットであって
もよい。より好ましくは、前記切込みは切込み方向に対
し平行にならない方向に、前記切込みが開くように力が
加えられる。
【0020】さらに本発明は、 a)コラーゲンスポンジまたはコラーゲンシートからな
る培養皮膚用基材に貫通した切込みを設ける工程および b)該切込みが閉じた状態で該基材の少なくとも片面に
皮膚由来の線維芽細胞を播種培養する工程からなる培養
皮膚の製造法、および a)コラーゲンスポンジまたはコラーゲンシートからな
る培養皮膚用基材に貫通した切込みを設ける工程および b)該切込みが閉じた状態で該基材の片面に表皮細胞を
播種培養する工程からなる培養皮膚の製造法、ならびに a)コラーゲンスポンジまたはコラーゲンシートからな
る培養皮膚用基材に貫通した切込みを設ける工程および b)該切込みが閉じた状態で該基材の少なくとも片面に
皮膚由来の線維芽細胞を播種培養し、かつ該基材の片面
に表皮細胞を播種培養する工程からなる培養皮膚の製造
法に関する。
【0021】前記コラーゲンはアテロコラーゲンであっ
てよく、また前記切込みは均斉に設けられてもよい。
【0022】前記切込みは、一方向にそって設けられた
直線状であり、切込みが開くように力を加えることによ
り貫通孔を生じせしめうるものであってもよく、また、
前記培養皮膚用基材において2.5cm×2.5cmの
正方形当りに少なくとも部分的に設けられ、かつ1cm
×1cmの正方形に合計で長さ4cmを超える切込みを
含まないものであってもよく、また、スリットであって
もよい。より好ましくは、前記切込みは切込み方向に対
し平行にならない方向に、前記切込みが開くように力が
加えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】本明細書において「閉じた状態」
とは培養皮膚用基材における切込みが開くように力がか
かっていない状態をいう。
【0024】本発明の培養皮膚用基材には、コラーゲ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン、ポリグリコール酸、
コンドロイチン硫酸またはヒアルロン酸などのムコ多糖
類などを用いることができ、前記コラーゲンは、たとえ
ばアテロコラーゲンなどのように生体適合性を有するも
のであることが好ましい。
【0025】本発明に用いられるコラーゲンスポンジ
は、酸性に調整したコラーゲン溶液をホモジナイザーを
用いてホモジナイズすることにより充分に気泡を含ませ
たものをポリスチレンなどの容器に流し込み、アンモニ
アガス雰囲気中に静置してゲル化させたのち水洗して、
凍結真空乾燥を行い、ついで紫外線照射または架橋剤に
よって分子間架橋を導入することにより作製することが
できる。
【0026】本発明においてコラーゲン溶液は、ウシ真
皮などからえられたコラーゲンから調製して、pHを好
ましくは2〜4に調整し、濃度を0.2〜3w/v%、
好ましくは0.5〜2w/v%とすることによりえられ
る。ゲル化はアンモニアなどのガス雰囲気下で必要に応
じて数分〜2時間程度行い、こののち、水洗し、凍結真
空乾燥を行う。
【0027】架橋に用いる紫外線(UV)の主波長は2
50〜270nmのものが好ましく、紫外線量は500
〜12000mWsec/cm2、好ましくは1000
〜5000mWsec/cm2の線量を照射するとよ
い。本発明に用いられる架橋剤の例としてはたとえば、
グルタルアルデヒド、エチレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、
グリセロールポリグリシジルエーテル、ヘキサメチレン
ジイソシアネートなどがあげられる。また、コラーゲン
スポンジの大きさは患部の大きさにあわせて適宜選択さ
れる。また、コラーゲンスポンジの厚さおよび形状は適
用される患部の状態によって変化するが、厚さ0.2〜
40mm、形状は、薄板状、板状、棒状、紡錘状あるい
は両側凸のレンズ状などに成形するとよい。
【0028】本発明に用いられるコラーゲンシートは、
コラーゲン溶液を前記スポンジ作製と同様の容器に入
れ、乾燥機の中で風乾してシートを形成させたのち、紫
外線照射または架橋剤によって分子間架橋を導入するこ
とにより作製することができる。
【0029】前記コラーゲンシート作製に用いられるコ
ラーゲン溶液は、ウシ真皮などからえられたコラーゲン
から調製して、pHを好ましくは2〜4に調整し、濃度
が0.2〜3w/v%、好ましくは0.5〜2w/v%
とすることによりえられる。
【0030】架橋に用いる紫外線(UV)の主波長は2
50〜270nmのものが好ましく、紫外線量は500
〜12000mWsec/cm2、好ましくは1000
〜5000mWsec/cm2の線量を照射するとよ
い。本発明に用いられる架橋剤の例としてはたとえば、
グルタルアルデヒド、エチレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、
グリセロールポリグリシジルエーテル、ヘキサメチレン
ジイソシアネートなどがあげられる。また、コラーゲン
シートの大きさおよび厚さは患部の状態にあわせて適宜
選択される。
【0031】本発明の培養皮膚用基材に設けられる貫通
した切込みとは、刃厚が極めて薄く、かつ刃先が鋭利
な、たとえば安全カミソリやメスのような刃物などの切
断手段を用いて線状に貫通しているものをいい、該切断
手段を除去すれば細胞が落下逸脱する間隙はほとんど生
じない。このため、細胞播種の際には設けられた切込み
を通過して細胞が落下逸脱するようなことは極度に少な
くなり、培養皮膚適用時には基材を伸展する力などを加
えることにより切込みを広げて栄養分や適用創面からの
浸出液などが通過しうる貫通孔を形成することができ
る。
【0032】前記切込みを設けるために用いられる刃物
は刃先が薄ければ薄いほど良く、厚いものでも0.2m
mを超えず、好ましくは0.1mm以内であるとよい。
前記切込みの数はとくに限定されないが、2〜20m
m、好ましくは5〜10mmの長さの切込みを切込みに
対して縦方向に2〜30mm、好ましくは5〜15mm
間隔で、横方向に3〜20mm、好ましくは5〜15m
m間隔で隣り合う列どうしの切込みが互い違いになり1
列おきに各切込みが隣り合うように設けるのが好ましい
(図2(b)参照)が、隣り合う列どうしの切込みが隣
り合うように並んでいてもよい(図2(a)および
(c)参照)。また、切り込みは前記培養皮膚用基材に
均斉に設けられているのが好ましいが、同一基材上で搾
設する切込みの長さおよび密度は異なっていても良い。
【0033】切込みの形状は、直線状であるのみなら
ず、半弧形、波形、カギ形、放射状直線形、同心円形、
同心の楕円形、カップ形または無定形であってもよい
が、一定方向の力を加えたときに、開きやすい形が好ま
しい。全ての切込みが同一の形状であっても異なってい
てもよく、配列も平行のみならず、ランダムであっても
よい。これらの例示として図1〜9にその形状を示す
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】本発明の培養皮膚用基材には、その少なく
とも片面において哺乳動物皮膚由来の表皮細胞および/
または線維芽細胞が播種され培養増殖される。前記表皮
細胞とは、基底細胞を含む角質化細胞および表皮細胞層
に通常存在するそのほかの細胞を意味するが、このうち
培養増殖させるのは角質化細胞である。前記線維芽細胞
とは、真皮中の主要な細胞であり、コラーゲンをはじめ
とする結合組織成分を産生し、これらの成分と結合して
結合組織を形成している細胞をいう。
【0035】本発明の培養皮膚は、播種される細胞に応
じて以下の3種類を作製することが可能である: 本発明のコラーゲン基材の少なくとも片面に皮膚由来
の線維芽細胞のみを播種培養した培養皮膚(複合培養真
皮)、 本発明のコラーゲン基材の片面に表皮細胞を播種培養
した培養皮膚(複合培養表皮)および 本発明のコラーゲン基材の少なくとも片面で皮膚由来
の線維芽細胞を播種培養して、該基材の片面に表皮細胞
を播種培養した培養皮膚(複合培養皮膚)。このばあ
い、先に線維芽細胞を播種培養する工程を行う方が、表
皮細胞の脱落を防ぐことができるのでより好ましい。
【0036】前記の3種類の培養皮膚は、患部の面積、
深さおよび患者の症状などによって適宜使い分けること
でより効果が発揮される。また、これらの培養皮膚を自
家、他家で適宜使い分けることもできる。
【0037】前記表皮細胞は以下の手順で調製される。
清潔な環境下で採取された皮膚(表皮および真皮の一
部、または皮膚全層)を消毒し、抗生物質を含有する生
理食塩水またはハンクス(Hank′s)液などの緩衝
液に浸漬する。この皮膚をディスパーゼ濃度を1000
U/mLに調製したダルベッコ変法イーグル最少必須培
地(DMEM)(以下、「ディスパーゼ溶液」という)
に浸漬したのち表皮と真皮に分離する。えられた表皮を
トリプシン濃度0.25w/v%、エチレンジアミン四
酢酸ナトリウム(EDTA)濃度を0.5mMに調製し
たハンクス液(以下、「トリプシン溶液」という)中、
37℃で約15分間浸漬したのち10v/v%ウシ胎児
血清(FCS)を含むDMEM(以下、この培地を「D
MEM+10%FCS」という)などの培地中に移し、
振とうすることにより細胞を分散させ、約400×g、
5分間、遠心分離して採取させることによってうること
ができる。えられた表皮細胞は、たとえばグリーン(G
reen)培地、NCTC168培地、MCDB153
培地、とくに好ましくはグリーン培地を加えて表皮細胞
懸濁液とする。
【0038】前記グリーン培地とはDMEMとハム(H
am′s)F−12を3:1に混合し、ヒドロコルチゾ
ン(0.4μg/mL)、インスリン(5μg/m
L)、トランスフェリン(5μg/mL)、トリヨード
チロニン(0.0013μg/mL)、コレラトキシン
(0.01μg/mL)、アデニン(24.3μg/m
L)、表皮細胞増殖因子(0.01μg/mL)と抗生
物質を添加し、10v/v%FCSを含んでなる表皮細
胞増殖培地である(セル(Cell)、40巻、677
〜683頁、1985年3月号参照)。
【0039】前記表皮細胞を高効率で増殖させるには、
たとえばマイトマインシン処理や放射線照射などによっ
て増殖能を消失させたマウス由来の線維芽細胞である3
T3細胞などを支持細胞として接着させた培養フラスコ
中で培養を行うことが好ましい。
【0040】具体的には、この3T3細胞を培養したの
ち、培地を除去してハンクス液ですすぎ、これを除去す
る。ついでマイトマイシンC 4μg/mL含有DME
M溶液を細胞全体が充分漬かるように(75cm2培養
フラスコでは、2〜4mL程度が好ましい)加え37℃
にて2時間程度静置したのち緩衝液で洗浄し、マイトマ
イシンCを除去する。こうして、3T3細胞は生きたま
まで増殖能のみが消失せしめられる。えられた増殖能を
有さない3T3細胞を採取して、前記グリーン培地に懸
濁し、1×103〜5×104cells/cm2、好ま
しくは5×103〜3×104cells/cm2の密度
になるように調製したのち培養フラスコへ播種して接着
させる。この培養フラスコに前記表皮細胞を3T3細胞
を播種したのちに5×103〜5×105cells/c
2、好ましくは1×104〜2×105cells/c
2の細胞密度にて播種して、5%CO2インキュベータ
ー中、37℃にて培養する。
【0041】3T3細胞はこの培養継続中に表皮細胞が
コロニーを形成する過程において培養フラスコ底面より
脱離して培地中に浮き上がり、培地を交換する際に除去
されるので、最終的にえられる表皮細胞にはほとんど含
まれない。
【0042】培養増殖した表皮細胞は、ディスパーゼ溶
液を加え37℃にて約2時間静置することにより剥し、
さらにトリプシン溶液により分散させ遠心分離して、表
皮細胞を採取し、グリーン培地を添加して細胞懸濁液を
える。表皮細胞は、必要に応じて継代培養して多量の表
皮細胞をえておく。具体的には、前記支持細胞を必要数
量作製し前記したように培養増殖した表皮細胞を採取し
て、支持細胞に播種培養する。この際、表皮細胞が角質
化しないよう注意して継代培養する。えられた前記表皮
細胞を、たとえば切込みを設けた約6×9.5cm、厚
さ1mmのコラーゲンスポンジ基材上に、5×104
2×105cells/cm2の細胞密度に調製して播種
する。
【0043】細胞播種前にFCSを基材全体に添加し、
37℃にて約20時間静置し、こののち、余分なFCS
を除去しておくことにより、前記細胞の接着が良好とな
る。表皮細胞が基材に接着したのち、グリーン培地を加
えて5%CO2インキュベーター中37℃にて3日ごと
に培地を交換しながら7〜21日間培養する。このよう
にして複合培養表皮がえられる。
【0044】前記線維芽細胞は、採取された皮膚を前記
と同様に表皮と真皮に分離したのち、えられた真皮をハ
サミ、ホモジナイザーなどを用いて砕き、コラゲナーゼ
をDMEMに溶解し0.5w/v%の濃度に調製した溶
液(以下、「コラゲナーゼ溶液」という)に加えて、約
3時間、約37℃にて静置したのち振とうして結合組織
を溶解させ、約400×g〜約1,000×g、好まし
くは約600×g〜約800×gで遠心分離して採取す
る。えられた線維芽細胞は、DMEM+10%FCSな
どを培地として5%CO2インキュベーター中37℃に
てサブコンフルエントとなるまで培養し、必要に応じて
多くの線維芽細胞をうるように継代培養する。
【0045】えられた線維芽細胞をたとえば切込みを搾
設した約6×9.5cm、厚さ1mmのコラーゲンスポ
ンジ基材に播種するばあい、播種前にまず、前記した複
合培養表皮作製におけると同様に基材にFCSを含ませ
ておく。培養した線維芽細胞をトリプシン溶液を用いて
培養フラスコからはがし、遠心分離により採取して、D
MEM+10%FCSを添加して懸濁液を調製する。こ
の線維芽細胞懸濁液を5×103〜5×105cells
/cm2、好ましくは5×104〜2×105cells
/cm2の細胞密度にてコラーゲン基材に播種する。細
胞が基材に接着したのち、DMEM+10%FCSを加
え、5%CO2インキュベーター中37℃にて3日ごと
に培地を交換しながら1〜14日間培養を行う。このよ
うにして複合培養真皮をうることができる。複合培養真
皮は基材の少なくとも片面に線維芽細胞を培養増殖させ
てえられる。
【0046】表皮細胞および真皮細胞の両方を併せて有
する複合培養皮膚は、以下のように作製される。前記し
た複合培養真皮の作製工程にて線維芽細胞を播種し、細
胞を良好に基材に接着させたのち該基材を裏返し、前記
複合培養表皮の作製における工程を行い複合培養皮膚を
うる。
【0047】このようにしてえらえた培養皮膚は、創面
に適用される前に、DMEMを用いて洗浄し、FCSを
除いた同様の培地に置き換えておくことが好ましい。
【0048】貫通孔を設けられていない基材を用いた培
養皮膚では、培養皮膚全体に栄養成分が供給され難く培
養細胞の増殖、代謝を阻害することがあった、またその
適用創面に浸出液などが過度に滞留し、感染の温床とな
ることがあるのに対し、本発明の基材を用いた培養皮膚
においては、前記のように創面への適用前に搾設した切
込みを開くように力を加えて貫通孔を設けることによっ
て培養皮膚全体に栄養成分が供給され易くなり、培養細
胞の増殖、代謝を円滑にすると共に適用創面における浸
出液の排出が良好に行われる。
【0049】また複合培養表皮または複合培養皮膚を自
家移植するばあいには生着率を高める効果がある。
【0050】前記細胞を基材に良好に接着させるため
に、細胞接着因子としてフィブロネクチンやラミニンな
どを本発明の基材に被覆しておくとさらに良好な培養皮
膚がえられる。
【0051】
【実施例】以下に本発明を実施例をあげてさらに詳細に
説明するが、本発明はもとよりこれら実施例に限定され
るものではない。
【0052】実施例1 切込みを設けたアテロコラーゲンスポンジの作製 1w/v%となるよう調製したアテロコラーゲン
((株)高研製)の水溶液(塩酸でpH4に調整)をホ
モジナイザー((株)日本精機製作所製)を用いて1分
間撹拌することにより気泡を入れ、プラスチックケース
(10×18cm、高さ2.8cm)に50mlを注加
し、アンモニアガス雰囲気下にてゲル化させた。これを
流水中にて充分洗浄したのち凍結真空乾燥を行って厚さ
約1mmのアテロコラーゲンスポンジをえた。ついで、
このスポンジの片面にUVを1.5mW/cm2、表面
裏面各30分間照射した。
【0053】えられたアテロコラーゲンスポンジに、ス
テンレス製メス(フェザー安全剃刀(株)製)を用いて
長さ5mmの切込みを長辺に平行に5mm間隔かつ短辺
において5mm間隔に、隣り合う列同志の切込みは互い
違いになり1列おきに各切込みが隣り合うように貫通さ
せ、エチレンオキサイドガス滅菌を行い、切込み入りの
培養皮膚用アテロコラーゲンスポンジをえた(図1
(a))。
【0054】実施例2 切込みを設けた複合培養皮膚の作製 清潔な環境下で採取されたヒトの皮膚片(約2×2c
m、厚さ約0.5mm)をイソジン溶液(明治製菓
(株)製)に浸漬し、ハンクス液で洗い流したのちスト
レプトマイシン(1000μg/mL)、ペニシリン
(1000U/mL)およびアンホテリシンB(2.5
μg/mL)を混合したハンクス液に室温、30分間浸
漬して殺菌した。
【0055】つぎに、ディスパーゼ溶液(ディスパーゼ
は合同酒精(株)製、DMEMはライフテックテクノロ
ジーズ社製)10mlに4℃にて約20時間浸漬し、ピ
ンセットを用いて表皮と真皮に分離した。こうしてえら
れた表皮をトリプシン溶液(トリプシンは和光純薬工業
(株)製、EDTAは(株)同仁化学製)10mlに1
5分間、37℃にて処理したのちDMEM+10%FC
S中に移し、振とうすることにより細胞を培地中に分散
させ、約400×g、5分間の遠心分離にて沈殿させる
ことによって集め、本明細書に記載した組成よりなるグ
リーン培地に懸濁した。
【0056】表皮細胞を高効率で増殖させるために、以
下の支持細胞を用いた。マウス由来線維芽細胞である3
T3細胞をDMEM+10%FCSの入った培養フラス
コ中で、サブコンフルエントとなるまで5%CO2イン
キュベーター中37℃にて培養した。そののち、培地を
除去してハンクス液ですすぎ、DMEMを加えてここに
マイトマイシンCの最終濃度が0.0004%になるよ
うにマイトマイシンC(和光純薬工業(株)製)含有生
理的食塩水溶液(0.1mg/mL)を添加した。つい
でこの培養フラスコを37℃で2時間静置したのち、ハ
ンクス液で洗浄してマイトマイシンCを除き、増殖能が
消失した3T3細胞を採取し、さらにグリーン培地に懸
濁し、計数後2×104cells/cm2の密度となる
よう調製して新たな培養フラスコに播種した。
【0057】このようにして調製した3T3細胞が接着
した培養フラスコに前記表皮細胞を播種し、37℃にて
5%のCO2インキュベーター中で培養増殖させた。
【0058】一方、分離した真皮部分をハサミでペース
ト状になるまで砕いてコラゲナーゼ溶液(コラゲナーゼ
は和光純薬工業(株)製、DMEMはライフテックテク
ノロジーズ社製)10mlで約6時間、37℃にて処理
して結合組織を除去したのち、約700×g、5分間の
遠心分離にて沈殿させることによって線維芽細胞をえ
た。えられた線維芽細胞はDMEM(ライフテックテク
ノロジーズ社製)+10%FCSを培地として用いて5
%CO2インキュベーター中37℃にて培養フラスコ中
で3日ごとに培地を交換しながら継代培養し、増殖させ
た。トリプシン溶液でこの培養フラスコから線維芽細胞
を剥がし、遠心分離して採取し、DMEM+10%FC
S中で細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を5×1
4cells/cm2の細胞密度にて実施例1で作製し
た切込み入りアテロコラーゲンスポンジに播種し、DM
EM+10%FCS中で2日間培養した。
【0059】この際、線維芽細胞を播種する前に、当該
アテロコラーゲンスポンジにFCSを満遍なく滴下して
含浸させ37℃、5%CO2インキュベーターに静置
し、20時間後、余分なFCSを除去した。
【0060】こののち、前記線維芽細胞を播種培養した
アテロコラーゲンスポンジの入った容器中の培地を除去
し、該アテロコラーゲンスポンジを裏返した。そののち
前記で培養増殖させた表皮細胞を2×105cells
/cm2の密度で播種し、クリーンベンチの中で6時間
静置したのち、グリーン培地20mlを加えて5%CO
2インキュベーター内で37℃にて14日間培養し、複
合培養皮膚をえた。
【0061】試験例 複合培養皮膚の適用 ヌードマウスの背部に約2.5×2cmの全層欠損を作
製した。
【0062】実施例2でえられた複合培養皮膚を作製し
た欠損形状に合わせて切り、切込みに平行な両辺に力を
加えて貫通孔を生じさせたのち適用した。適用部位上を
ゲンタマイシン含有創傷被覆材で被覆し、この周囲を被
覆材と共に縫合した上にガーゼをのせて弾性包帯で固定
した。
【0063】適用3週間後、肉眼的には浸出液の滞留は
認められず、ほぼ全体的に表皮化して乾燥していた。組
織は、表皮の重層化が認められ順調な皮膚の再建の状態
を示した。
【0064】比較例 切込みが設けられていない複合培養皮膚の作製 切込みを設けずに実施例1および2と同様にして作製し
た複合培養皮膚を試験例におけると同様にヌードマウス
に適用して3週間後に肉眼的および形態学的観察を行っ
た。その結果、適用部の一部に浸出液の滞留が認めら
れ、適用部で真皮層の再建は観察されたが、表皮細胞の
生着は認められなかった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、コラーゲン基材に細胞
を播種する際に生ずる細胞の落下逸脱の防止を目的とし
た前処理を要せず、培養皮膚を創面に適用する前に培養
皮膚に設けられた切込みを開くように力を加えることに
よって貫通孔を生ぜしめ、播種培養された表皮細胞およ
び/または線維芽細胞への充分な栄養分の供給ならびに
適用部に滞留する浸出液の排出が円滑に行われうる培養
皮膚を安価に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みが直線)の適用前(a)および適用時(b)の切込み
の状態を示す概略図である。図1(a)の矢印は力を加
える方向を示す。
【図2】本発明の培養皮膚用基材の切込みの設ける位置
を示す概略図である。(a)では長さ2mmの切込みが
縦の間隔は2mmおき、横の間隔は5mmおきで設けら
れ、(b)では長さ2mmの切込みが縦の間隔は2mm
おき、横の間隔は5mmおきで設けられ、列が隣りどう
しの切込みは互い違いに設けられており、および(c)
では、長さ2mmの切込みが縦の間隔は2mmおき、横
の間隔は1cmおきに設けられている。
【図3】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みがナミ形)の適用前(a)および適用時(b)の切込
みの状態を示す概略図である。図3(a)の矢印は力を
加える方向を示す。
【図4】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みがカギ形)の適用前(a)および適用時(b)の切込
みの状態を示す概略図である。図4(a)の矢印は力を
加える方向を示す。
【図5】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みがカップ形)の適用前(a)および適用時(b)の切
込みの状態を示す概略図である。図5(a)の矢印は力
を加える方向を示す。
【図6】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みが放射状直線形)の適用前(a)および適用時(b)
の切込みの状態を示す概略図である。図6(a)の矢印
は力を加える方向を示す。
【図7】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みが同心円形)の適用前(a)および適用時(b)の切
込みの状態を示す概略図である。図7(a)の矢印は力
を加える方向を示す。
【図8】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みが同心の楕円形)の適用前(a)および適用時(b)
の切込みの状態を示す概略図である。図8(a)の矢印
は力を加える方向を示す。
【図9】本発明の培養皮膚用基材または培養皮膚(切込
みが無定形)の適用前(a)および適用時(b)の切込
みの状態を示す概略図である。図9(a)の矢印は力を
加える方向を示す。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貫通した切込みが設けられたコラーゲン
    スポンジまたはコラーゲンシートからなる培養皮膚用基
    材。
  2. 【請求項2】 コラーゲンがアテロコラーゲンである請
    求項1記載の培養皮膚用基材。
  3. 【請求項3】 貫通した切込みが均斉に設けられた請求
    項1または2記載の培養皮膚用基材。
  4. 【請求項4】 貫通した切込みが直線状であり、一方向
    にそって設けられた請求項1、2または3記載の培養皮
    膚用基材。
  5. 【請求項5】 貫通した切込みが培養皮膚用基材におい
    て2.5cm×2.5cmの正方形に少なくとも部分的
    に設けられ、かつ1cm×1cmの正方形に合計で長さ
    4cmを超える切込みを含まない請求項1、2、3また
    は4記載の培養皮膚用基材。
  6. 【請求項6】 貫通した切込みが設けられたコラーゲン
    スポンジまたはコラーゲンシートからなる培養皮膚用基
    材と播種培養された皮膚由来の細胞からなる培養皮膚。
  7. 【請求項7】 貫通した切込みが設けられたコラーゲン
    スポンジまたはコラーゲンシートからなる培養皮膚用基
    材と該基材の少なくとも片面に播種培養された皮膚由来
    の線維芽細胞からなる培養皮膚であり、培養皮膚適用時
    に前記切込みを開くように力を加えることにより貫通孔
    を生じせしめうる培養皮膚。
  8. 【請求項8】 貫通した切込みが設けられたコラーゲン
    スポンジまたはコラーゲンシートからなる培養皮膚用基
    材と該基材の片面に播種培養された表皮細胞からなる培
    養皮膚であり、培養皮膚適用時に前記切込みを開くよう
    に力を加えることにより貫通孔を生じせしめうる培養皮
    膚。
  9. 【請求項9】 貫通した切込みが設けられたコラーゲン
    スポンジまたはコラーゲンシートからなる培養皮膚用基
    材と該基材の少なくとも片面に播種培養された皮膚由来
    の線維芽細胞および該基材の片面に播種培養された表皮
    細胞からなる培養皮膚であり、培養皮膚適用時に前記切
    込みを開くように力を加えることにより貫通孔を生じせ
    しめうる培養皮膚。
  10. 【請求項10】 コラーゲンがアテロコラーゲンである
    請求項6、7、8または9記載の培養皮膚。
  11. 【請求項11】 貫通した切込みが均斉に設けられた請
    求項6、7、8、9または10記載の培養皮膚。
  12. 【請求項12】 貫通した切込みが一方向にそって設け
    られた直線状であり、切込みが開くように力を加えるこ
    とにより貫通孔を生じせしめうる、請求項6、7、8、
    9、10または11記載の培養皮膚。
  13. 【請求項13】 貫通した切込みが培養皮膚用基材にお
    いて2.5cm×2.5cmの正方形に少なくとも部分
    的に設けられ、かつ1cm×1cmの正方形に合計で長
    さ4cmを超える切込みを含まない請求項6、7、8、
    9、10、11または12記載の培養皮膚。
  14. 【請求項14】 a)コラーゲンスポンジまたはコラー
    ゲンシートからなる培養皮膚用基材に貫通した切込みを
    設ける工程および b)該切込みが閉じた状態で該基材の少なくとも片面に
    皮膚由来の線維芽細胞を播種培養する工程からなる培養
    皮膚の製造法。
  15. 【請求項15】 a)コラーゲンスポンジまたはコラー
    ゲンシートからなる培養皮膚用基材に貫通した切込みを
    設ける工程および b)該切込みが閉じた状態で該基材の片面に表皮細胞を
    播種培養する工程からなる培養皮膚の製造法。
  16. 【請求項16】 a)コラーゲンスポンジまたはコラー
    ゲンシートからなる培養皮膚用基材に貫通した切込みを
    設ける工程および b)該切込みが閉じた状態で該基材の少なくとも片面に
    皮膚由来の線維芽細胞を播種培養し、かつ該基材の片面
    に表皮細胞を播種培養する工程からなる培養皮膚の製造
    法。
  17. 【請求項17】 コラーゲンがアテロコラーゲンである
    請求項14、15または16記載の製造法。
  18. 【請求項18】 貫通した切込みが均斉に設けられる請
    求項14、15、16または17記載の製造法。
  19. 【請求項19】 貫通した切込みが一方向にそって設け
    られた直線状であり、切込みが開くように力を加えるこ
    とにより貫通孔を生じせしめうる、請求項14、15、
    16、17または18記載の製造法。
  20. 【請求項20】 貫通した切込みが培養皮膚用基材にお
    いて2.5cm×2.5cmの正方形に少なくとも部分
    的に設けられ、かつ1cm×1cmの正方形に合計で長
    さ4cmを超える切込みを含まない請求項14、15、
    16、17、18または19記載の製造法。
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