JP2000114550A - ダイオード及び電力変換装置 - Google Patents

ダイオード及び電力変換装置

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JP2000114550A
JP2000114550A JP10283790A JP28379098A JP2000114550A JP 2000114550 A JP2000114550 A JP 2000114550A JP 10283790 A JP10283790 A JP 10283790A JP 28379098 A JP28379098 A JP 28379098A JP 2000114550 A JP2000114550 A JP 2000114550A
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region
diode
electrode
type semiconductor
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JP10283790A
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Mitsuru Hasegawa
長谷川  満
Masahiro Nagasu
正浩 長洲
Hideo Kobayashi
秀男 小林
Mutsuhiro Mori
森  睦宏
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ダイオードの臨界di/dtを改善する。 【解決手段】アクティブ領域のうち、電極後退領域の不
純物面密度を、電極接触領域の不純物面密度よりも低く
する。 【効果】電極後退領域のキャリア濃度が小さくなり、リ
カバリー時のアクティブ領域端部への局所的な電流集中
がなくなり、高い臨界di/dtが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオード及びダ
イオードを用いる電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイオードにおいては、順方向電流が流
れている状態から急激に逆方向電圧が印加されると、し
ばらくの間逆方向に電流が流れる。この逆方向電流はダ
イオードのリカバリー電流といわれる。リカバリー電流
のピーク値(Irp)は、順方向から逆方向状態に移行
するときの電流iの時間変化(di/dt)が急激にな
るほど大きくなる。
【0003】ダイオードはリカバリー時のdi/dtが
過大になると破壊する。一般的に、破壊に至るときのd
i/dtの値(以下、「臨界di/dt」と記す)は大
きいことが要求される。プレーナ型ダイオードのリカバ
リー時の破壊は、主としてダイオード表面のターミネー
ション領域に隣接したpn接合端部での局所的な電流集
中により引き起こされるため、電流集中を防止すればリ
カバリー時にダイオードが破壊しにくくなり、臨界di
/dtが向上する。
【0004】このような電流集中を防止し、臨界di/
dtを向上する手段として、例えば特開平9−232597 号
公報に記載のように、ダイオード表面のアクティブ領域
全面で一方の半導体層に接触している主電極の端部を、
ダイオード表面のpn接合端部から一定の距離だけ後退
させる技術がある。この場合、主電極と接触しない領域
は主電極に比べて抵抗が大きいので、pn接合部に隣接
するターミネーション領域へ注入されるキャリアの濃度
が低減する。このためリカバリー時の局所的な電流集中
が防止され、臨界di/dtが向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術により
臨界di/dtはある程度大きくできる。しかしなが
ら、ダイオードと共に使用されるスイッチング素子の高
性能化に伴い、さらに大きな臨界di/dtが要求され
ているが、従来技術には限界が有り要求に対応できな
い。
【0006】本発明は、上記のような問題点を考慮して
なされたものであり、ダイオードの臨界di/dtの改
善及びそれによる電力変換装置の変換効率の向上やコス
ト低減を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるダイオード
は、pn接合を形成する第1半導体層及び第2半導体層
とを有し、それぞれに第1主電極及び第2主電極が接続
される。さらに、第2半導体層と第2主電極との接触領
域(以下「電極接触領域」と記す)と、第1半導体層と
第2半導体層とのpn接合部との間の領域(以下「電極
後退領域」と記す)にある、第2半導体層の単位面積当
たりの不純物密度(以下「不純物面密度」と記す)を、電
極接触領域の不純物面密度より低くする。ここで不純物
面密度とは、ある領域の投影部に存在する第2半導体層
の不純物の総量を、その領域の面積で除したものであ
る。
【0008】第2半導体層の電極後退領域の不純物面密
度を低くすると、隣接するターミネーション領域に注入
されるキャリアの量は低減する。このため、リカバリー
時に第2半導体層の端部における局所的な電流集中が防
止される。従って、リカバリー時にダイオードが破壊し
にくくなり、臨界di/dtが向上する。
【0009】IGBTなどのスイッチング素子と本発明
を実施したダイオードとからなる並列回路を有する電力
変換装置は、スイッチング素子をオン・オフするときに
ダイオードに流れる電流のdi/dtを少なくとも25
00A/μsまで大きくすることができるという特徴を
有する。本特徴によれば、電力変換装置に必要なアノー
ドリアクトルを低減あるいは除去できる。また、本特徴
によりスナバ回路などの保護回路を小さくすることがで
きる。従って、電力変換装置の小型軽量化や変換効率の
向上が可能になる。
【0010】なお、本発明によれば、スイッチング素子
とダイオードとの並列回路を内蔵する耐圧4000V級
以上のモジュールを複数個有し、かつアノードリアクト
ルを備えない電力変換装置が実現できる。本電力変換装
置の構成は、電源電圧1500V程度以上の高電圧電源で使
用される大容量変換装置を小型軽量化する。
【0011】
【発明の実施の形態】本実施例のダイオードは、オン状
態において電流が流れるアクティブ領域と、電圧阻止状
態において空乏層を広げ電界強度を緩和するためのター
ミネーション領域を有する。アクティブ領域において
は、低不純物濃度のn- 導電型の半導体層14の表面
に、オン状態においてキャリア(正孔)を注入するp型
半導体層(11,19)が設けられる。アクティブ領域
は、このp型半導体層(11,19)がアノード電極1
6と接触する電極接触領域と、電極接触領域とターミネ
ーション領域との間に位置しp型半導体層(11,1
9)とアノード電極16の間に絶縁膜13(例えばSi
2 )が介在する電極後退領域とを有する。アノード電
極16は、電極接触領域から絶縁膜13上に延び、電極
後退領域におけるp型半導体層(11,19)とは絶縁
膜13により絶縁され接触しない。すなわち、アノード
電極16は、p型半導体層の平面方向の端部において、
- 導電型の半導体層14とp型半導体層とのpn接合
部よりも内側でp型半導体層と接触する。
【0012】p型半導体層(11,19)は、n- 導電
型の半導体層14よりも高不純物濃度の複数のp+ 導電
型の半導体層11と、p+ 導電型の半導体層11間に位
置しp+ 導電型の半導体層11よりも不純物濃度が低く
接合深さが浅いp- 導電型の半導体層19とからなる。
電極接触領域におけるp型半導体層を高不純物濃度層p
+ および低不純物濃度層p- により形成することによ
り、オン電圧をあまり増加させずにリカバリー電流を低
減しダイオードを高速化することができる。
【0013】電極後退領域におけるp型半導体層は、そ
のターミネーション領域側の端部がp+ 導電型の半導体
層11であり、その端部と電極接触領域との間がp-
電型の半導体層19である。電極後退領域におけるp型
半導体層の表面のほぼ全面がアノード電極16と絶縁さ
れているので、オン状態において、電極後退領域におけ
るp型半導体層(11,19)からn- 導電型の半導体
層14内に注入されるキャリアの量は、電極接触領域に
おけるp型半導体層に比べて少ない。さらに、本実施例
においては、電極後退領域に低不純物濃度すなわち高抵
抗のp- 導電型の半導体層19が有るため、電極後退領
域におけるp型半導体層の端部のp+ 導電型の半導体層
11のアノード電極との間の電気抵抗が大きくなるの
で、端部のp+ 導電型の半導体層11からのキャリア注
入量がかなり抑えられる。
【0014】なお、この端部におけるp+ 導電型の半導
体層11は、リング状であり、電極接触領域におけるp
型半導体層(11,19)を囲んでいる。このリング状
のp+ 導電型の半導体層11は、ターミネーション領域
においていわゆる電界制限リング(以下FLR(Field L
imiting Ringの略)と記す)となる複数の同心リング状
のp+ 導電型の半導体層11と同様に、電圧阻止状態に
おいて空乏層を広げる作用を持つ。また、ターミネーシ
ョン領域における電極接触領域及び電極後退領域の反対
側の外周部には、アクティブ領域及びターミネーション
領域におけるp+ 導電型の半導体層11とp- 導電型の
半導体層19を囲むように、チャネルストッパとなるリ
ング状のn+ 層が設けられている。FLR及びチャネル
ストッパには、これらの電位均等化のために、公知のダ
イオードのようにそれぞれ電極18が接触する。n-
電型の半導体層14においてp型半導体層(11,19)
形成面とは反対側の表面には、n- 導電型の半導体層1
4よりも高不純物濃度のn+ 導電型の半導体層15が設
けられる。n+ 導電型の半導体層15の表面にはカソー
ド電極17がオーミックに接触する。n+ 導電型の半導
体層15は、オン状態において、n- 導電型の半導体層
14内にキャリア(電子)を注入する。オン状態におい
ては、n+ 導電型の半導体層15から注入された電子と
p型半導体層(11,19)から注入された正孔によっ
て、n- 導電型の半導体層14は導電率変調され低抵抗
化される。
【0015】図1のダイオードにおいては、アノード電
極16に正、カソード電極17に負の電圧が印加される
ときがオン状態(順方向状態)である。このとき、p+
導電型の半導体層11及びp- 導電型の半導体層19か
ら正孔が、n+ 導電型の半導体層15から電子が同時に
注入され、n- 導電型の半導体層14内は、キャリア濃
度が高まって高注入状態になる。そのため、n- 導電型
の半導体層14が低抵抗化し、低い順方向電圧VFが得
られる。これに対して、アノード電極16に負,カソー
ド電極17に正の電圧が印加されるとき、ダイオードは
逆方向状態であり、静的には阻止状態になる。しかし、
順方向状態から急激に逆方向状態の電圧が印加されたと
きは、n- 導電型の半導体層14内に蓄えられたキャリ
アのうち、正孔がp+ 導電型の半導体層11及びp-
電型の半導体層19へ排出され、電子がn+ 導電型の半
導体層15へ排出される。このため、しばらくの間リカ
バリー電流が流れる。
【0016】順方向状態から逆方向状態への電圧の反転
速度が速くなると、すなわちdi/dtが大きくなる
と、キャリアの排出速度が急激になるため、n- 導電型
の半導体層14内で局所的な電流集中が発生する。本発
明者の検討によれば、ダイオードを破壊するような電流
集中は、アクティブ領域とターミネーション領域の境界
部で発生しやすい。本実施例は、アクティブ領域とター
ミネーション領域の境界となる電極後退領域の不純物面
密度を、p- 導電型の半導体層19を設けて電極接触領
域の不純物面密度より低くし抵抗を大きくすることで、
電流集中を防止する。
【0017】ここで、不純物面密度とは、アノード電極
側の面における単位面積当たりの、p型半導体層(1
1,19)を形成するp型不純物の総量である。すなわ
ち、単位面積当たりのp+ 導電型の半導体層11及びp
- 導電型の半導体層19を形成するp型不純物の総量で
ある。本実施例では、電極接触領域と電極後退領域にお
いて、p+ 導電型の半導体層11及びp- 導電型の半導
体層19の接合深さ及び不純物濃度分布が同一である
が、電極後退領域におけるp- 導電型の半導体層19の
幅を電極接触領域におけるp- 導電型の半導体層19の
幅よりも広くすることにより、電極後退領域における不
純物面密度を電極接触領域よりも低くしている。すなわ
ち、本実施例においては、p型半導体層(11,19)
とアノード電極16の接触部の平面方向の端部と、p型
半導体層の平面方向のターミネーション領域側端部との
間に位置するp型半導体層の不純物面密度を、アノード
部分の不純物面密度よりも低くしている。
【0018】図2は、本発明者が、リカバリー時におけ
るダイオード内部での電流分布を検討した結果を示す。
図2(a)はリカバリー時の電流と電圧の波形を示し、
図2(b)と図2(c)はリカバリー電流のピーク値
(Irp)におけるダイオード内部での電流分布であ
る。図2(b)は、図1の実施例である。また図2
(c)は、電極後退領域にp- 導電型の半導体層を設け
ていない従来ダイオードの場合である。なお、各場合と
も、耐圧は4000V級,n- 導電型の半導体層14の
不純物濃度は1.8×1013cm-3,同半導体層の厚さ
(接合JlとJ2間の距離)は570μmである。リカ
バリー時のdi/dtは1500A/μsである。
【0019】本実施例のダイオードでは、アクティブ領
域とターミネーション領域の境界部での電流集中は認め
られず、一様な電流分布が得られている。これに対し
て、従来ダイオードでは、リカバリー時にアクティブ領
域とターミネーション領域の境界部に電流が集中してい
る。このように、実施例のダイオードの電流分布は、従
来とは全く異なっている。
【0020】本実施例においては、電極接触領域と電極
後退領域のp+ 導電型の半導体層11及びp- 導電型の
半導体層19の接合深さ及び不純物濃度分布を同一とし
た。しかし、必ずしも同一とする必要はなく、電極後退
領域における不純物面密度が電極接触領域よりも低けれ
ば、接合深さ及び不純物濃度分布が異なっていてもよ
い。なお、公知のように、不純物面密度はシート抵抗と
対応関係がある。公知の関係によれば、本実施例の場
合、電極後退領域におけるp型半導体層のシート抵抗は
電極接触領域よりも大きくなる。また、アノード電極1
6はp+ 導電型の半導体層11とオーミックに接触する
が、p- 導電型の半導体層19との接触は、オーミック
型及びショットキー型のいずれでもよい。さらに、以下
の各実施例でも同様であるが、各半導体層の導電型を反
転させても、本実施例の構成は同様の作用・効果があ
る。
【0021】図3は、本発明の他の実施例を示す。本実
施例は、図1の電極後退領域全体にp導電型の半導体層
20を配置したプレーナダイオードである。この半導体
層20は、電極後退領域の不純物面密度が電極接触領域
のそれより低くなるように濃度を制御して形成される。
カソード電極側およびターミネーション領域は、図lの
実施例と同様の構造を有する。本構造によれば、電極後
退領域のキャリアの注入が、電極接触領域のキャリア注
入と比べて抑えられるため、リカバリー時にアクティブ
領域とターミネーション領域の境界部への電流集中が防
止され、高い臨界di/dtが得られる。本実施例にお
いては、電極後退領域におけるp型半導体層が全体同じ
接合深さであるので、局所的な電界集中が緩和され、耐
圧を向上することができる。
【0022】図4は、本発明の別な実施例を示す。本実
施例は、図1の電極接触領域全体にp- 導電型の半導体
層19よりも高不純物濃度でアノード電極16とオーミ
ックに接触する、p+ 導電型の半導体層21を配置した
ダイオードである。カソード電極側およびターミネーシ
ョン領域は、図lの実施例と同様の構造を有する。本構
造においても、電極後退領域のキャリアの注入が、電極
接触領域のキャリア注入より抑えられるため、リカバリ
ー時のアクティブ領域とターミネーション領域の境界部
への電流集中が防止され、高い臨界di/dtが得られ
る。本実施例においては、半導体層21より電極接触領
域における正孔の注入量が増加する。このため、オン電
圧が低くなる。また、図5のように電極後退領域に複数
のp+ 半導体層22とp+ 半導体層22よりも低不純物
濃度で浅い接合のp- 導電型の半導体層19を交互に配
置してもよい。なお、この半導体層22は、電極後退領
域の不純物面密度が電極接触領域のそれより低くなるよ
うに濃度を制御して形成される。本実施例においては、
図4の実施例と同様にオン電圧が低くなる。さらに、電
極後退領域において、p- 導電型の半導体層19の幅
は、阻止状態において両側のp+ 層(21,22)から
広がる空乏層がピンチするような大きさに設定される。
このため、耐圧が向上する。
【0023】図6は、本発明の他の実施例を示す。これ
は電極後退領域の投影部のn型半導体層(14,24)
の不純物面密度が、電極接触領域の投影部やターミネー
ション領域のn型半導体層(14,15)の不純物面密
度より低くなるように、カソード側にn+ 導電型の半導
体層15よりも低不純物濃度で接合深さが浅いn- 半導
体層23を設けたダイオードである。本構造においても
リカバリー時のアクティブ領域とターミネーション領域
の境界部への電流集中が防止され、高い臨界di/dt
が得られる。また、本実施例を前述のアノード側構造と
組み合わせてもよい。
【0024】図7は、本発明の他の実施例を示す。本実
施例に於いては、電極接触領域と電極後退領域及びター
ミネーション領域の投影部におけるn- 半導体層のキャ
リアライフタイムをそれぞれ制御するものである。具体
的には、電極接触領域投影部のライフタイムτ1より
も、電極後退領域投影部のライフタイムτ2を短くす
る。この時、電極後退領域ではキャリアの再結合が速く
なり、n- 半導体層14の蓄積キャリアが減少する。よ
って、リカバリー時のアクティブ領域端部への電流集中
が防止され、高い臨界di/dtが得られる。また、タ
ーミネーション領域投影部のライフタイムτ3は、電極
後退領域投影部のライフタイムτ2と同じか、より短い
のが望ましい。
【0025】以上、いくつかの実施例を示したが、本発
明において、ターミネーションの構造はここで示した実
施例の構造に限定されない。さらに、以上の実施例にお
いてp導電型とn導電型は逆になってもよい。
【0026】図8は、本発明を実施したダイオードを使
用する電力変換装置の一例を示す。本実施例は、三相誘
導電動機駆動用のインバータ装置である。
【0027】2個のスイッチング素子(例えばIGBT
11とIGBT12)が直列に接続されている。また、
それぞれのスイッチング素子にはフリーフォイールダイ
オードDF が並列に接続されている。さらに、それぞれ
のスイッチング素子には、スイッチング時の急激な電圧
の上昇からスイッチング素子を保護するために、いわゆ
るスナバ回路Sが並列に接続されている。このスナバ回
路はスナバダイオードDsとスナバ抵抗Rsの並列接続
回路にコンデンサCsを直列に接続したものである。各
相における2個のスイッチング素子の接続点は、それぞ
れ交流端子T3,T4,T5に接続される。各交流端子
に三相誘導電動機が接続される。上アーム側のスイッチ
ング素子のアノード端子は3個とも共通であり、直流端
子T1において直流電圧源の高電位側と接続されてい
る。下アーム側のスイッチング素子のカソード電極は3
個とも共通であり直流端子T2において直流電圧源の低
電位側と接続されている。本インバータ装置において
は、各スイッチング素子のスイッチングにより直流を交
流に変換することにより、三相誘導電動機を駆動する。
図9は、図8のインバータ装置の動作を説明するための
図である。図9(a)の回路は、図8の回路の中から一
相分を抜き出し、かつ上アームのスイッチング素子IG
BTと下アームのフリーフォイールダイオードDF を省
略して記載している。また、インダクタンスLM は三相
誘導電動機のインダクタンス、Lsは図8の例えばLs
11に相当する。
【0028】図9(a)において、DF は本発明を適用
したダイオードであり、これと直列に、スイッチング素
子IGBT,インダクタンスLA ,直流電源E1が接続
されている。また、フリーフォイールダイオードDF
スイッチング素子IGBTには、それぞれスナバ回路
が、スナバインダクタンスLsを介して並列に接続され
る。スナバ回路は、スナバ抵抗Rsとスナバダイオード
Dsからなる並列回路と、これにスナバコンデンサCs
が直列に接続される。さらに、図9(b)は、図9
(a)の回路の主要部分の電流・電圧波形を示す。電圧
と電流の記号は図9(a)中の記号と一致している。
【0029】時刻tlで、ゲート信号VG に負の電圧を
印加してスイッチング素子IGBTをオフ状態にする
と、IGBTを流れる電流Il は急激に減衰する。しか
し、主回路中のインダクタンスLA と負荷のインダクタ
ンスであるLM をも流れる電流は、急激に減少すること
ができない。LM にはフリーフォイールダイオードDF
が接続されているので、LM を流れていた電流はフリー
フォイールダイオードを電流ID として流れ続ける。こ
のとき電流ID は順方向電流として流れるため、LM
主電極間の電圧はダイオードのオン電圧程度の数Vとい
う低い値になる。これに対し、主回路のインダクタンス
A を流れていた電流はIGBTによって急激に遮断さ
れるため、IGBTのコレクタ電圧VlGを増大させ、I
GBTに過大な電圧を発生させる。これを防止するため
に、図9(a)に示すようにスイッチング素子と並列に
スナバ回路を接続し、高電圧を制限する。
【0030】次に、時刻t2で、ゲート信号VG に正の
電圧を印加するとIGBTはオン状態になり、フリーフ
ォイールダイオードを流れていた電流ID は減少しはじ
め、ついには負の方向(カソード電極Kからアノード電
極Aに向かう方向)にリカバリー電流が流れる。このリ
カバリー電流は、ダイオードの内部に蓄えられたキャリ
アによって流れるため、そのピーク値Irpを過ぎた後
はキャリア量の低下とともに零に向かって電流の絶対値
が減少する。ダイオードのリカバリー電流は主回路イン
ダクタンスLA にも流れるので、その絶対値の減少に伴
って、高電圧がダイオードに印加される。この場合も、
フリーフォイールダイオードと並列接続されたスナバ回
路が、ダイオードの主端子間に発生する高電圧を防止す
る。
【0031】ところで、フリーフォィールダイオードの
電流が順方向から逆方向で変化する時間変化の大きさ、
すなわち図9(b)に示すdi/dtは、主回路内に存
在するインダクタンスLA とスイッチング素子IGBT
のスイッチング速度で決まる。
【0032】図8,図9に示す回路においては、本発明
を実施したフリーフォイールダイオードが大きな臨界d
i/dtを有しているので、主回路内のインダクタンス
Aを小さくできるとともに、スイッチング素子のスイ
ッチング連度を制限する必要がなくなる。従って、イン
バータ装置の電力損失の低減やスナバ回路の小型化さら
には高周波動作などが可能となる。
【0033】たとえば、耐圧4kV程度のダイオードの
場合、従来のダイオードは約200A/μsのdi/d
tで破壊するので、l.5kV の電源電圧で動作させる
ときには、主回路には少なくとも7.5μH(=150
0(V)/200(A/μs))以上のインダクタンスL
A が必要である。一般に、フリーフォイールダイオード
およびIGBTを内蔵する耐圧4kV以上,電流数10
0Aから数1000Aのモジュールにより主回路を製作
すると、少なくとも主回路の配線長は1m程度になる。
配線のインダクタンスは、通常1mでlμH程度である
ことから、少なくとも6.5μH 程度のアノードリアク
トルを主回路に挿入することが必要である。これに対
し、本発明を実施した4kV級ダイオードは、2500
A/μs以上のdi/dtまで破壊することがないの
で、インダクタンスは0.6μH(=1500(V)/250
0(A/μs))まで小さくできる。この値は、主回路
配線のインダクタンス以下であり、主回路にアノードリ
アクトルを挿入する必要がなくなる。従って、インバー
タ装置を小型化することができる。また、主回路のイン
ダクタンスに蓄えられるエネルギーが小さくなるので、
高電圧の発生が抑制できる。従って、スナバ回路のコン
デンサ容量を小さくできる。
【0034】なお、本発明を実施したダイオードは、フ
リーフォイールダイオードのみならず、スナバ回路のス
ナバダイオードとして使用しても良い。この場合スナバ
回路のインダクタンスLsの値を小さくできるなどの効
果が得られる。
【0035】なお、本発明を実施したダイオードは、三
相電動機駆動用のインバータ装置のみならず、他のイン
バータ装置やコンバータ装置等、スイッチング素子とダ
イオードの並列回路を有し、スイッチング素子のオン・
オフスイッチングにより電力変換を行う各種の電力変換
装置に使用しても同様の効果がある。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、大きな臨界di/dt
を有するダイオードが得られる。また、本発明によるダ
イオードを電力変換装置に使用した場合、装置を小型化
できるとともに、過電圧の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したプレーナ型ダイオードの鳥瞰
図。
【図2】(a)はリカバリー時の電流・電圧波形、
(b)及び(c)はダイオード内部の電流分布。
【図3】本発明の別な実施例。
【図4】本発明の別な実施例。
【図5】本発明の別な実施例。
【図6】本発明の別な実施例。
【図7】本発明の別な実施例。
【図8】本発明を実施したダイオードを使用する電力変
換装置の一例。
【図9】図8のインバータ装置の動作を説明するための
図。
【符号の説明】
11,12,21,22…p+ 導電型の半導体層、13
…絶縁膜、14,23…n- 導電型の半導体層、15…
+ 導電型の半導体層、16…アノード電極、17…カ
ソード電極、18…再外周部の電極、19…p- 導電型
の半導体層、20…p導電型の半導体層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 秀男 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 森 睦宏 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5H740 BA11 BB05 BB09 BB10 MM03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型の第1半導体層と、 第1半導体層内に設けられる第2導電型の第2半導体層
    と、 第1半導体層に電気的に接続される第1主電極と、 第2半導体層の平面方向の端部において、第1半導体層
    と第2半導体層との接合部よりも内側で第2半導体層と
    接触する第2主電極と、を有し、 第2半導体層と第2主電極の接触部の平面方向の端部
    と、第2半導体層の平面方向の端部との間に位置する第
    2半導体層の第1の領域の不純物面密度を、第2半導体
    層の第2主電極と接触する第2の領域の不純物面密度よ
    りも低くすることを特徴とするダイオード。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のダイオードにおいて、前
    記第1の領域が、第2半導体層の平面方向の端部におけ
    る半導体層と、該半導体層よりも低不純物濃度で、かつ
    該半導体層と前記第2の領域との間に位置する半導体層
    とを有することを特徴とするダイオード。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のダイオードにおいて、第
    2半導体層と第2主電極の接触部の平面方向の端部と第
    2半導体層の平面方向の端部との間の領域の投影部の第
    1半導体層の不純物面密度を、第2半導体層と第2主電
    極が接触する領域の投影部の第1半導体層内の不純物面
    密度よりも低くすることを特徴とするダイオード。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のダイオードにおいて、第
    2半導体層と第2主電極の接触部の平面方向の端部と第
    2半導体層の平面方向の端部との間の領域の投影部にお
    ける第1半導体層の少数キャリアのライフタイムが、第
    2半導体層と第2主電極が接触する領域の投影部におけ
    る第1半導体層の少数キャリアのライフタイムより短い
    ことを特徴とするダイオード。
  5. 【請求項5】スイッチング素子とダイオードとの並列回
    路を有し、スイッチング素子のオン,オフスイッチング
    により電力変換を行う電力変換装置において、 該ダイオードは請求項1に記載のダイオードであって、 スイッチング素子をオン・オフするときにダイオードに
    流れる電流のdi/dtを少なくとも2500A/μs
    まで大きくすることができることを特徴とする電力変換
    装置。
  6. 【請求項6】スイッチング素子とダイオードとの並列回
    路を内蔵する耐圧4kV級以上のモジュールを備え、 該ダイオードは請求項1に記載のダイオードであって、 アノードリアクトルを備えないことを特徴とする電力変
    換装置。
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