JP2000112121A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

感光性樹脂組成物

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JP2000112121A
JP2000112121A JP28461498A JP28461498A JP2000112121A JP 2000112121 A JP2000112121 A JP 2000112121A JP 28461498 A JP28461498 A JP 28461498A JP 28461498 A JP28461498 A JP 28461498A JP 2000112121 A JP2000112121 A JP 2000112121A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性を確保しつつ、安全上、環境上問題を
生じることなく、金属めっき膜との密着性及び力学的特
性に優れた感光性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)下記に示す構造をとる構造単位
(1)、構造単位(2)及び構造単位(3)の各構造体
をそれぞれ少なくとも1種含有する共重合性バインダ
ー、(B)分子内に付加重合可能なエチレン性不飽和基
を有する化合物、及び、(C)光重合開始剤または光重
合開始剤系、を含み、共重合性バインダーにおける構造
単位(1)の含有量が10〜60重量%、構造単位
(2)の含有量が20〜60重量%、リン原子を含む構
造単位(3)の含有量が5〜60重量%である、ことを
特徴とする。構造単位(1)は好ましくはスチレン、
(2)は置換されていてもよいビニル性重合基、(3)
はリン酸エステル基を含有する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリント配線基板製
造分野、特にビルドアップ法による多層配線基板の製造
の際に用いられる層間絶縁膜、ソルダーレジスト膜とし
て有用な感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の軽薄短小化、高機能化
の流れが急速に進んできている。このため、電子部品の
高密度実装が必須となり、これに対応するため、プリン
ト配線基板も高密度化が大きな課題となってきている。
その一つの手段として感光性層間絶縁膜を用い、フォト
リソグラフィーにより、層間接続用のバイアホールを形
成するビルドアップ法が注目を集めている。その特徴は
層間接続を従来のドリル穴開けによるスルーホールの代
わりに感光性層間絶縁膜を用いて微細なバイアホールを
形成することにある。
【0003】この具体的な例として、特開平4―148
590号公報に感光性層間絶縁膜を利用する方法が開示
されている。この方法では第1の回路パターン上に感光
性絶縁樹脂層を設け、フォトリソグラフィーによりバイ
アホールを形成後、化学的な粗面化処理を施す。この時
の化学的な粗面化処理は樹脂層と無電解めっき銅、その
上に形成される電解めっき銅との密着力を強くするため
に行われ、これは樹脂表面に微細な凹凸を形成して、い
わゆるアンカー効果により密着を向上させようという技
術である。しかしながら、特開平4―148590号公
報記載の化学的な表面凹凸形成(粗面化)処理によって
得られる密着力は不十分であり、さらなる向上が望まれ
ている。また、粗面化処理に用いられるクロム酸等の重
金属化合物の使用は安全上、環境上好ましくないという
問題があった。
【0004】また、粗面化処理の別の態様として、例え
ば、特開昭63―126297号公報には酸や酸化剤に
可溶な微粒子を感光性絶縁樹脂中に分散させ、感光性絶
縁樹脂を硬化した後、強酸やクロム酸からなる強酸化剤
で分散した微粒子を溶解させて感光性絶縁樹脂表面に凹
凸を形成し、金属めっき膜との密着を付与しようとする
技術が開示されている。ここで使用される強酸や強酸化
剤の使用もまた、安全上、環境上好ましくなく、更に絶
縁樹脂層内部には酸により除去されなかった微粒子が存
在することで、バイアホールの形状が悪くなったり、絶
縁信頼性に懸念が生じる。
【0005】また近年、電子機器をはじめとする電気機
器に対する難燃性材料使用の要請が強くなっている。こ
れにともなってプリント配線基板材料に対しても難燃性
付与が不可欠の要件となってきた。難燃性についての標
準規格としては米国において認定されているUL94規格
があり、これに記載されている試験方法による判定がひ
とつの指針となりうる。一般に絶縁材料の難燃化にはハ
ロゲン系化合物、特に臭素化合物が汎用され、クレゾー
ルノボラック型臭素化エポキシ樹脂など臭素化ビスフェ
ノールA誘導体を基調とした化合物を使用している例が
多い。しかしながら、近年臭素化合物をはじめとするハ
ロゲン化合物は燃焼時に発ガン性、催奇性が懸念される
ダイオキシンの発生を指摘されており欧州を中心にその
使用を規制しようと言う動きが出てきており、ハロゲン
系難燃剤を用いずに難燃性を付与する技術が熱望されて
いるのが現状である。
【0006】さらに、プリント配線基板には、ガラスエ
ポキシ基板、絶縁樹脂、はんだ、半導体チップ、封止樹
脂、ソルダーレジスト等の熱膨張係数が異なる材料が張
り合わされているため、はんだリフロー時などの熱処
理、通電時のチップの発熱などにより膨張収縮を繰り返
し、やがて局所的な応力集中により樹脂のひび割れ(ク
ラック)に至ることが懸念されるが、このような樹脂ク
ラックの発生は基板上の銅配線の断線につながる致命的
な欠陥となるため、樹時膜強度もまた重要な特性であ
り、前記の難燃性、或いは安全性、環境への影響に加
え、力学的特性に優れることもまた必要な条件である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
に着目してなされたものであり、本発明の目的は、プリ
ント配線、特に多層基板の製造に適し、金属めっき膜と
の密着性及び破断強度等の力学的特性に優れた基板を成
形でき、難燃性に優れ、且つ、安全上、環境上の問題を
生じさせない感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは検討の結
果、特定のリン酸エステル化合物を構成成分として含有
するバインダーポリマーを含む感光性樹脂組成物により
前記目標が達成しうることを見いだして、特願平10−
168695号を出願したが、このバインダーポリマー
の構造を調製することにより、さらなる効果の向上及び
力学的特性の改良を達成できることを見いだし本発明を
完成した。即ち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)
下記に示す構造をとる構造単位(1)、構造単位(2)
及び構造単位(3)の各構造体をそれぞれ少なくとも1
種含有する共重合性バインダー、(B)分子内に付加重
合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物、及び、
(C)光重合開始剤または光重合開始剤系、を含む感光
性樹脂組成物であって、該(A)共重合性バインダーに
おける構造単位(1)の含有量が10〜60重量%、構
造単位(2)の含有量が20〜70重量%、リン原子を
含む構造単位(3)の含有量が5〜60重量%である、
ことを特徴とする。
【0009】構造単位(1)
【化5】
【0010】R1 は水素原子または炭素数1〜3のアル
キル基を表し、R2 は水素原子、アルキル基、アリール
基、COOR3 (ここでR3 は水素原子またはアルキル
基、アリール基)、またはCONR4 5 (ここで
4 、R5 はそれぞれ水素原子またはアルキル基、アリ
ール基)を表す。
【0011】構造単位(2)
【化6】
【0012】R6 、R7 は水素原子または炭素数1〜3
のアルキル基を表し、R8 はアルキル基、アラルキル基
またはアリール基を表す。 構造単位(3)
【0013】
【化7】
【0014】式中、R9 は水素または炭素数1〜3のア
ルキル基を表し、R10、R11は同じであっても異なって
いてもよく、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6
〜12のアリール基を表す。ここで、(B)分子内に付
加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物が、、
分子内に窒素原子含有付加重合可能なエチレン性不飽和
基を有すること、及び、(B)少なくとも1種の分子内
に付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物
が、下記一般式1で表される化合物を含有することが好
ましい態様である。
【0015】
【化8】
【0016】式中R1 は水素または炭素数1〜3のアル
キル基を表し、L、Mは二価の連結基を表し、p、qは
0または1を表す。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の感光性樹脂組成物は、
(A)分子内に前記した構造を有する構造単位(1)、
構造単位(2)及び構造単位(3)をそれぞれ少なくと
も1種含有する共重合性バインダー、(B)分子内に付
加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物、及び
(C)光重合開始剤または光重合開始剤系、を含む感光
性樹脂組成物であって、該(A)共重合性バインダーに
おける構造単位(1)の含有量が10〜60重量%、構
造単位(2)の含有量が20〜70重量%、リン原子を
含む構造単位(3)の含有量が5〜60重量%であるこ
とを特徴とする。
【0018】前記構造単位(1)の式中、R1 は水素原
子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、好ましくは
水素原子である。R2 は水素原子またはアルキル基、ア
リール基またはCOOR3 (ここでR3 は水素原子また
はアルキル基、アリール基)、またはCONR4
5 (ここでR4 、R5 はそれぞれ水素原子またはアルキ
ル基、アリール基)を表し、好ましくは、フェニル基で
ある。この構造単位(1)の好適な具体例としては、ス
チレン、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、
ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げ
られる。
【0019】前記構造単位(2)中、R6 、R7 は同じ
でも異なってもよく、水素原子または炭素数1〜3のア
ルキル基を表し、なかでも、水素原子が好ましい。R8
は好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数7〜
12のアラルキル基、炭素数6〜12のアリール基を表
し、特に好ましくは、ベンジル基、シクロヘキシル基等
が挙げられる。この構造単位(2)の好適な具体例とし
ては、無水マレイン酸、無水マレイン酸のアミン変性化
合物等が挙げられ、変性用アミンとしてはベンジルアミ
ン、シクロヘキシルアミンなどが好ましい。ここで、構
造単位(1)と構造単位(2)の好ましい組み合わせと
しては、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/無水マ
レイン酸のアミン変性化合物などがあげられる。
【0020】前記構造単位(3)はリン原子を含むリン
酸エステル構造を含み、式中、R9は水素または炭素数
1〜3のアルキル基を表し、R10、R11はそれぞれ独立
に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリ
ール基を表す。この構造単位(3)の好適な例として
は、R9 としては水素原子または炭素数1〜3のアルキ
ル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。R10、R11
としては炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12の
アリール基が好ましく、フェニル基が最も好ましい。構
造単位(3)のモノマーとしては、例えば、市販品とし
ては大八化学工業株式会社よりAR−260(構造単位
(3)において、R9 =水素原子、R10=R11=フェニ
ル基)、同MR−260 (R9 =メチル基、R10=R
11=フェニル基)として市販されている。以下にこの構
造単位(3)の例を挙げるがこれに限定されるわけでは
ない。
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】(A)共重合性バインダーには前記構造単
位(1)、構造単位(2)及び構造単位(3)をそれぞ
れ少なくとも1種含有することを要するが、2種以上含
有するものであってもよい。このバインダーにおける各
構造単位の含有量としては、構造単位(1)/構造単位
(2)/構造単位(3)がそれぞれ10〜60重量%/
20〜70重量%/5〜60重量%であり、なかでも、
現像性、樹脂強度、吸湿性、難燃性の観点から、20〜
50重量%/25〜55重量%/10〜30重量%であ
ることが好ましい。これらの含有量は、構造単位(1)
として複数種の構造単位を用いた場合にはその総量によ
り決定される。構造単位(1)の含有量が10重量%未
満であると、強度が不十分となり、60重量%を超える
と現像性が悪化する。また、構造単位(2)の含有量が
20重量%未満であると、現像性が低下し、60重量%
を超えると吸湿性の点で問題となる。リン原子を含む構
造単位(3)の含有量が5重量%未満であると、所望の
難燃性が得られず、60重量%を超えると共重合性が低
下して共重合体の合成が困難となり、いずれも好ましく
ない。また、(A)共重合性バインダーの分子量として
はポリスチレン換算の重量平均分子量として2万〜7万
であることが好ましい。ラミネート適性、現像液溶解性
などを勘案すると3万〜5万が最も好ましい。
【0024】また、本発明において(B)少なくとも1
種の分子内に付加重合可能なエチレン性不飽和基を有す
る化合物では、付加重合可能なエチレン性不飽和基とし
ては、窒素原子を含有するエチレン性不飽和基がこのま
しく、さらに、(B)少なくとも1種の分子内に付加重
合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物が、前記一
般式1で表される化合物を含有することが好ましい。
【0025】前記一般式1中、R1 は水素または炭素数
1〜3のアルキル基を表し、L、Mは二価の連結基を表
し、p、qは0または1を表す。
【0026】本発明における一般式1で表される化合物
は光重合可能なヘテロ環化合物であり、式中、てR1
しては水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ま
しく、水素原子、メチル基が最も好ましい。二価の連結
基Lとしては炭素数2〜6のアルキレン基、炭素数6〜
12のアリーレン基などが好ましく、エチレン基が最も
好ましい。二価の連結基Mとしては炭素数2〜6のアル
キレン基、アリーレン基、ポリオキシエチレン基、ポリ
オキシプロピレン基、テトラメチレングリコール基、−
O(CO) CH2 CH2 CH2 CH2 −、−O(CO)CH 2 CH2 CH2 CH2
CH2 −などが好ましい。m、nは0または1が好まし
い。m、nは同じであっても異なっていても良い。一般
式1で表される化合物の具体例としては次の化合物があ
げられるがこれらに限定されるわけではない。
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】一般式1で表される化合物は例えば東亜合
成株式会社より市販されているアロニックスM−315
(式中、R1 =水素原子、二価の連結基L=エチレン
基、m=n=0)、同M−325(R1 =水素原子、二
価の連結基L=エチレン基、二価の連結基M=−O(CO)
CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −、m=1 、n=0)などが入手
可能である。
【0030】本発明に用いられる(B)少なくとも1種
の分子内に付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する
化合物としては、分子内に重合可能なエチレン性不飽和
結合基を有する光重合性化合物が挙げられ、市販されて
いる各種の光重合性化合物が使用可能である。一例を挙
げると日本化薬社から市販されているKAYARADシ
リーズのR−712、HX−220、DPHA、DPC
A−30、DPCA−60、DPCA−120、新中村
化学社から市販されているNKエステルシリーズのBP
E−100、BPE−200、BPE−500、TMP
T、A−TMPT、A−TMMTなどが挙げられ任意の
組み合わせで使用できるが、もちろんこれらに限定され
るわけではない。
【0031】本発明における(C)光重合開始剤として
は一般に用いられるベンゾフェノン、N,N‘−テトラ
メチル4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーズ
ケトン)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、2−メチル−[ 4−( メチルチオ)フェニル] −2
−モルフォリノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ
−2−フェニルアセトフェノン(ベンジルジメチルケタ
ール)などの芳香族ケトン類、9−フェニルアクリジン
などのアクリジン誘導体、2,4−ジエチルチオキサン
トンなどのチオキサントン類、などが使用できる。これ
らは単独で用いても2種類以上を組み合わせて使用して
も良い。N,N−ジメチル安息香酸エチルなどの安息香
酸系、第三級アミン系などの重合促進剤を併用すること
もできる。また、チバスペシャリティーケミカル社より
販売されているイルガキュア184、イルガキュア36
9、イルガキュア891、イルガキュア1800、イル
ガキュア1850等の市販品も好適に使用できる。本発
明の樹脂組成物において、必要に応じて任意の重合禁止
剤を添加しても良い。
【0032】本発明の感光性絶縁樹脂組成物は先に述べ
たようにプリント配線基板の材料として有用であり、こ
こで、本発明の樹脂組成物を用いて、感光性絶縁樹脂層
を形成し、プリント配線基板を製造するプロセスについ
て述べる。まず、仮支持体1に粗面化された水性樹脂層
好ましくは微粒子含有水性樹脂層を設け、感光性絶縁樹
脂層の表面に粗面化された水性樹脂層の表面の凹凸が転
写され、バイアホールを形成するために露光、現像する
と、この現像時に水性樹脂は溶解もしくは剥離除去さ
れ、それに伴い微粒子も脱落、もしくは溶出する。この
結果、感光性絶縁樹脂層表面に凹凸が形成されることに
なり、金属めっき膜との良好な密着が得られる。また、
露光、現像処理後にポスト露光あるいは/及びポストベ
イク処理を行うことにより、微粒子の除去が促進され金
属めっき膜との密着が向上する。また電解めっき後加熱
処理(アニール処理)を行うことにより金属めっき膜と
の密着が向上する。
【0033】以下図面を参照しつつプリント配線基板を
製造するプロセスについて説明する。本発明において感
光性絶縁樹脂層の表面を粗面化するための微粒子を含有
する水性樹脂フィルムの構成は、基本的には図1に示す
ように仮支持体1上に微粒子含有水性樹脂層2を設けた
ものである。勿論構成はこれに限定されるのではなく、
必要に応じて両者の間に剥離層等設けることも可能であ
る。仮支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム等のプラスティックフィルムを用いることがで
き、フィルムの膜厚は約10μm 〜200μm の範囲で
使用可能である。200μm より厚いとこのフィルムを
介してパターン露光をする場合、フィルムによる光散乱
のため解像度の劣化が大きくなり、好ましくない。10
μm より薄くなるとフィルムのハンドリングが難しくな
り、シワ発生等の問題が発生しやすくなる。
【0034】仮支持体上に設ける水性樹脂に用いる樹脂
としては、水に可溶な樹脂や水に膨潤し得る樹脂から選
ばれ、好ましくはポリビニルアルコール及びその誘導
体、ポリビニルピロリドン及びその誘導体、セルロース
及びその誘導体、ゼラチン及びその誘導体あるいはポリ
アクリル酸及びその誘導体などが挙げられる。これらは
単独で用いても良いし、組み合わせて用いることも出来
る。
【0035】ここで粗面化に用いうる微粒子は、平均粒
径もしくは凝集粒子径が1〜10μm のものであれば、
無機、有機低分子、あるいは有機高分子微粒子など特に
限定されるものではないが、その好ましい例として、シ
リカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸
化チタン、ジルコニア、ムライト、水酸化カルシウム、
タルク、水酸化アルミニウム、ケイソウ土、硫酸バリウ
ム等を挙げることが出来る。これらは単独でも良いし、
複数組み合わせて用いることも可能である。
【0036】この微粒子と水性樹脂の割合は、重量比で
0.5〜5.0位の範囲が適当であり、微粒子を分散し
た水性樹脂水溶液の安定性からは4.0以下が望まれ
る。また重量比が0.5未満では。この水性樹脂層表面
の凹凸が十分に形成されず、その結果最終的な感光性絶
縁樹脂層表面の凹凸形成も不十分になり、金属めっき膜
との充分な密着が得られない。
【0037】このような微粒子を含有する水性樹脂水溶
液は、通常水性樹脂を溶解した水溶液に微粒子を混合撹
拌することにより得られる。微粒子を予め、ディゾルバ
ー、ホモジナイザー、ペイントシェーカーあるいはダイ
ノミル等で分散しておき、前記水性樹脂水溶液と混合す
ることも可能であり、水性樹脂水溶液の調製法は限定さ
れない。また、仮支持体上へ面状良く塗布するため界面
活性剤を添加したり、メタノール等の溶剤を混合するこ
とも可能である。また、微粒子の沈降防止のため分散剤
等を添加することも出来る。
【0038】このような微粒子を含有する水性樹脂水溶
液はバー塗布等でプラスティックフィルム上に塗布され
る。この時の乾燥後の膜厚は通常、膜厚計の測定で概ね
2〜15μm の範囲にすることが望ましい。より好まし
くは2〜10μm である。膜厚が2μm より薄いと、感
光性絶縁樹脂層表面の凹凸の高さが小さく金属めっき膜
との密着が不十分になる。また15μm より厚いと、こ
の微粒子が含有された水性樹脂層の現像による除去時間
が長くなり好ましくない。
【0039】この微粒子含有水性樹脂フィルムにおい
て、「粗面化された水性樹脂層」の「粗面化」とは、以
下の意味である。最終的に感光性絶縁樹脂層表面を粗面
化するのは、金属めっき膜と感光性絶縁樹脂層の密着を
向上させるためである。よって感光性絶縁樹脂層が平坦
であれば、この上に金属めっき膜を形成しても剥離して
しまい、ビルドアップ法による回路形成を好適に行うこ
とができない。本発明における「粗面化」とは、JIS
K5400に規定された方法に従って評価し、5mm
間隔の碁盤目テストにおいて少なくとも8点の評価を必
要とする。
【0040】次に図2に示すように、予め配線4が形成
された絶縁基材3上に、図3に示すように感光性絶縁樹
脂層5を設ける工程について具体的に説明する。ここ
で、感光性絶縁樹脂層5を形成する樹脂として前記本発
明の感光性樹脂組成物を用いることにより、基板との密
着性、難燃性、力学的特性に優れた感光性絶縁樹脂層5
を形成することができる。また、感光性絶縁樹脂層5と
しては上記の他、他の公知の感光性絶縁樹脂材料を併用
することもできる。ここで用いることが出来る感光性絶
縁樹脂材料に関しては、絶縁性、パターン形成性、密着
性、強度、めっき処理耐性、経時安定性等、ビルドアッ
プ法による多層配線基板に必要な性能を満足する限り、
特に制限は無い。好ましくは、特開平7―110577
号公報、特開平7―209866号公報に開示されるよ
うな、光重合開始剤あるいは光重合開始剤系とエチレン
性不飽和二重結合を有する付加重合性モノマー、及びス
チレン/マレイン酸無水物共重合体のベンジルアミン等
のアミン変成した樹脂を含有する感光性絶縁樹脂等が挙
げられる。
【0041】本発明においては、予め配線が形成された
絶縁基材上に前記感光性絶縁樹脂を設けるが、その手段
に特に制限は無い。前記感光性絶縁樹脂をメチルエチル
ケトン、シクロヘキサノンのような溶剤に溶解しフィル
ム上に塗布、乾燥したものを配線形成済みの絶縁基材に
ラミネートにより形成することが可能である。また、前
記感光性絶縁樹脂をセロソルブ系の溶剤に溶解して、ロ
ールコーター、カーテンコーターあるいはスクリーン印
刷機により図2に示すような配線4形成済みの絶縁基材
3上に設けることも可能である。
【0042】ここで用いる予め配線を形成した絶縁基材
としてはガラエポあるいはセラミックス基材等を使用す
ることが出来、配線はドライフィルムレジストを利用し
たサブトラクティブ法やアディティブ法により形成する
ことが可能である。
【0043】この配線形成済みの絶縁基材上に設けた感
光性絶縁樹脂層表面の粗面化を達成するため、前記微粒
子含有水性樹脂フィルム6を感光性絶縁樹脂層5表面に
密着させるように積層するが、ラミネートにより貼り合
わせる方法が簡便である(図4)。またホットプレス等
で加熱、加圧圧着すること等も可能である。
【0044】次にこの積層体にバイアホールを形成する
ためパターン露光を行う。露光は仮支持体のフィルムを
そのままにして実施してもよく、フィルムを剥離して実
施してもよいが、特に高解像度が必要な場合は仮支持体
フィルムを剥離して露光することが望ましい。露光は超
高圧水銀灯等を用いることができ、拡散光、平行光露光
何れも使用可能である。
【0045】次に溶剤またはアルカリ水溶液等により現
像を行い、露光部の感光性樹脂層を除去してバイアホー
ルを形成するが、溶剤系現像液の場合はクロロセン等の
ハロゲン系溶剤等、アルカリ水溶液の場合には現像主薬
として0.3〜2.0%程度の炭酸ナトリウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、
あるいはテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等
を用い、これらを溶解した水溶液を用いることができ
る。後者のアルカリ水溶液系現像液には必要に応じて、
界面活性剤やベンジルアルコールのような溶剤を添加す
ることも可能であが、溶媒や添加剤は勿論これらに限定
される訳ではない。現像はシャワー現像やブラシ現像、
あるいは両者を組み合わせた方法等で行うことができ
る。
【0046】現像終了後、前記露光機を用い200〜5
000mJ/cm2 の条件下ポスト露光を行い、更に1
20℃〜200℃の範囲でポストベイクを行うことが望
ましい。これにより、感光性絶縁樹脂層の硬化が十分に
進み、耐熱性あるいは無電解めっき時の耐強アルカリ性
が更に向上する。感光性絶縁樹脂によってはポスト露光
を必ずしも施す必要はない。前記現像処理において水性
樹脂あるいは水性樹脂に含有される微粒子がある程度除
去されるが、残留分を除き感光性絶縁樹脂層表面を清浄
化し、金属めっき膜との密着を向上させるため、前記ポ
ストベイク後に0.1〜5%程度の希硫酸等の酸、ある
いは水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリで処理し
ても良い。
【0047】ポストベイク後、希硫酸処理を施した場合
の模式図を図5に示した。図5中、7は層間接続に利用
するバイアホール部である。感光性絶縁樹脂層の表面は
水溶性樹脂層及び微粒子が除去され、前記微粒子を含む
水溶性樹脂層の表面の凹凸が転写されたため凹凸が形成
されている。このようにして、表面が粗面化処理された
感光性絶縁樹脂層5にバイアホール部が形成された基板
に無電解めっき処理を行う。この場合、通常、無電解め
っき前にプレディップ処理、触媒付与処理、活性化処理
等の公知の前処理を行うことができる。この工程は限定
されるものではなく、当業者に公知の市販の処理液を適
宜使用することが出来る。この無電解めっきは通常電解
めっきが可能な膜厚、0.2〜2μm 程度あれば良く、
銅、ニッケル等を用いることが出来る。
【0048】更に配線を形成するための電解めっきを行
う。電解めっきに使用する金属としては通常銅が配線用
として好適である。電解銅めっき液は硫酸銅浴、ピロリ
ン酸銅浴等を用いることができるが、勿論これらに限定
されるものではない。また、めっき膜と感光性樹脂層の
密着を向上させるために100〜200℃でアニール処
理しても良い。無電解めっきに引き続き、電解めっきし
た後の模式図を図6に示す。図6中、8は無電解銅めっ
き層及び電解銅めっき層である。
【0049】次に通常のサブトラクティブ法により配線
を形成する。まずフォトレジストとしては、市販のフィ
ルム状のドライフィルムレジスト(DFR)をラミネー
トして、あるいは液状のフォトレジストを電解めっき銅
上に塗布して使用することが出来る。電着レジスト等の
使用も可能である。フォトレジストとの密着を確保する
ために、予め電解銅めっき膜をバフ研磨等で処理してお
くのが望ましい。
【0050】この後、パターン露光、現像処理後不要な
銅を酸系のエッチング液で除去し、残留したフォトレジ
ストをアルカリ水溶液などで剥離して配線を形成する。
図7に第2層の配線が形成された模式図を示した。図7
中、10が第2層の配線であり、また図7中、バイアホ
ール部9はめっきにより、上下の層間接続が取れるよう
になることが示してある。これが基本的なビルドアップ
基板に相当する。
【0051】上記工程の繰り返しにより、多層配線基板
が形成される。このような多層配線基板の製法がビルド
アップ法である。本発明の感光性樹脂組成物は、先に述
べたような公知の方法により表面の粗面化が容易に行え
る利点とともに、その難燃性、強靭さによりビルドアッ
プ基板用感光性層間絶縁膜やソルダーレジストとして非
常に好適に使用される。
【0052】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に詳細に説明
するが、本発明の技術はこれらに限定されるものではな
い。 (実施例1〜5) <感光性樹脂組成物塗布液の組成> ・共重合性バインダー(下記に示す通り)の31.5%メチル エチルケトン溶液 50.0重量部 ・光重合開始剤(9―フェニルアクリジン:日本シイベルヘグナー社製) 0.28重量部 ・多官能モノマー(カヤラッド DPHA:日本化薬社製) 6.3重量部 ・多官能モノマー(カヤラッド R−712:日本化薬社製) 4.73重量部 ・多官能モノマー(一般式1で表される化合物、アロニクス M−315:東亜合成社製) 4.73重量部 ・界面活性剤(F176PF:大日本インキ化学社製) 2.14重量部 ・シクロヘキサノン 18.6重量部
【0053】共重合性バインダーとして、構造単位
(1)としてスチレン、構造単位(2)としてマレイン
酸、構造単位(3)としてメタクリロイルオキシエチル
ジフェニルホスフェート(MR−260、大八化学製)
を含有するスチレン/マレイン酸/メタクリロイルオキ
シエチルジフェニルホスフェート(MR−260、大八
化学製)の三元共重合体(組成比30/50/20の重
量比、重量平均分子量約30000)のベンジルアミン
100%変性品を用いて、実施例1の感光性樹脂組成物
塗布液を調製した。以下、(1)、(2)、(3)の各
構成単位と、添加した(B)成分に係る一般式1の化合
物を下記表1に、(1)、(2)、(3)の各構成単位
の配合量を下記表2に記載のごとくして、実施例2〜5
の感光性樹脂組成物塗布液を準備した。使用した構造単
位(3)を構成するモノマーの構造を以下に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【化13】
【0057】これらの感光性樹脂組成物を用いて多層配
線基板を作製し、基板の性能を評価した。 (評価用多層基板の作製) 1.微粒子含有水性樹脂フィルムの作製 1)微粒子分散液の作製 炭酸カルシウム粉体のツネックスE(白石工業社製)5
0gとイオン交換水50gをペイントシェーカーにて3
0分間分散した。 2)微粒子含有水性樹脂フィルムの作製 下記組成の水性樹脂溶液を約5μmの厚さになるように
75μmのポリエステルフィルム上に塗布した。 <水性樹脂塗液の組成> ・ポリビニルアルコール(PVA−205:クラレ社製) 10%水溶液 37.5重量部 ・ポリビニルピロリドン(K−90:五協産業社製) 10%水溶液 18.8重量部 ・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC5−E:信越化学社製) 5%水溶液 75.0重量部 ・前記微粒子分散液 59.4重量部 ・界面活性剤(サーフロンS−131:旭ガラス社製) 30%溶液 0.65重量部 ・イオン交換水 40.0重量部
【0058】2.感光性絶縁樹脂フィルム作製 前記組成で(A)共重合性バインダーと(B)分子内に
付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物とし
て添加する一般式1で表される化合物を表1に示すもの
として調製した感光性絶縁樹脂層塗布液を75μm のポ
リエチレンテレフタレートフィルム上、或いは、上記微
粒子含有水性樹脂フィルム上に塗布した後、100℃、
15分の条件で乾燥し、膜厚約65μm の感光性絶縁樹
脂フィルムを得た。
【0059】 (比較例1〜2) <感光性樹脂組成物塗布液の組成> ・スチレン/マレイン酸/ブチルアクリレート三元共重合体(組成比40/3 2/28のモル比、重量平均分子量約30000)のベンジルアミン100%変 性品 ・・・ポリマーBと表記する 46.7%メチルエチルケトン溶液 50.0重量部 ・光重合開始剤9―フェニルアクリジン(日本シイベルヘグナー社製) 0.58重量部 ・多官能モノマーカヤラッド DPHA(日本化薬社製) 14.6重量部 ・多官能モノマー カヤラッド R−712(日本化薬社製) 7.01重量部 ・界面活性剤F176PF(大日本インキ化学社製) 2.53重量部 ・シクロヘキサノン 14.6重量部
【0060】(比較例1)前記感光性絶縁樹脂層塗布液
を調製するにあたって、共重合性ポリマーとして構造単
位(3)を含有しないものを用い、(B)分子内に付加
重合可能なエチレン性不飽和基を有する前記一般式1で
表される化合物を含有しなかった他は、前記実施例1の
感光性樹脂組成物塗布液と同様に比較例1を調製した。 (比較例2)前記感光性絶縁樹脂層塗布液を調製するに
あたって、共重合性ポリマーとして構造単位(3)を含
有しないものを用いた他は、前記実施例1の感光液と同
様に記感光性絶縁樹脂層塗布液を比較例3を調製した。
比較例1、2で用いたバインダー、一般式1の化合物の
内容については前記表1、表2に併記した。
【0061】3.多層基板の作製 銅厚18μm の両面銅張り積層板に幅100μm 、間隙
120μm の配線を通常のサブトラクティブ法により作
製し、この上に前記感光性樹脂フィルムをラミネート法
により転写して樹脂層を形成した。更に前記微粒子含有
水性樹脂フィルムの塗布面側を感光性樹脂フィルム表面
にラミネートにより転写し、貼り付けた。この時、前記
感光性樹脂塗布液を上記微粒子含有水性樹脂フィルム上
に塗布した感光性樹脂フィルムの場合にはラミネートが
一度ですむ。ラミネートは鏡面仕上げ胃のステンレス板
を併用した真空ラミネーターを使用することでラミネー
ト時の平坦性を確保することができる。次に層間接続用
のマスクを用い拡散光露光機で80mJ/cm2 の条件
で露光し、微粒子含有水性樹脂フィルムのポリエチレン
テレフタレートフィルムを剥離後、0.5%炭酸ソーダ
を用いて40℃、30秒のシャワー現像を行った。この
結果前記感光性樹脂層に直径が約90μm のバイアホー
ルが形成さるとともに、微粒子含有水性樹脂フィルム表
面の転写による粗面化が行われた。その後、拡散露光機
で1900mJ/cm2 の条件下全面にポスト露光を行
い、更に160℃60分のポストベイク処理を行った。
【0062】次に2.5%希硫酸水溶液に24℃、2分
間浸漬処理し、更にメルテックス社製の処理剤を用い、
以下の手順で無電解銅めっき工程まで実施した。まず、
前処理剤(PC236)で、25℃3分間浸漬処理し、
2分間純水で水洗した。さらに触媒付与剤(アクチベー
ター444)で、25℃6分間浸漬処理し、2分間純水
で水洗し、活性化処理剤(PA491)で、25℃10
分間浸漬処理し、2分間純水で水洗した。これらの前処
理工程後に、無電解銅めっき液(CU390)で、25
℃、PH12.8の条件下20分間浸漬処理、純水で5
分間水洗し、100℃15分間乾燥した。この結果、膜
厚約0.3μm の無電解銅めっき膜が形成された。
【0063】引き続き、メルテックス社製の脱脂処理剤
(PC455)で、25℃30秒浸漬処理、2分間水洗
後電解銅めっきを行った。電解銅めっき液は硫酸銅75
g/L、硫酸190g/L、塩素イオン約50ppm、
及びメルテックス社製カパーグリームPCM5mL/L
の組成で、25℃、2.4A/10cm角、40分の条
件でめっきを行った。この結果約20μm 厚の銅が析出
した。次にオーブンに入れ、170℃60分アニール処
理を行った。
【0064】次に通常のサブトラクティブ法により配線
及び、層間接続部の形成を行って多層配線基板を得た。
これらの基板はについて、この状態で260℃、20秒
間の半田耐熱試験を行ったところ配線の剥がれ等は生じ
なかった。また、金属めっき膜と感光性絶縁樹脂との密
着については、JIS K5400による5mm間隔の
碁盤目テストでも10点の評価であり良好であった。
【0065】実施例1〜5、比較例1、2の感光性樹脂
組成物を用いて得られた配線基板について以下の評価を
行った。結果を下記表3に示す。 (ピール強度の測定)JISに規定されている90度剥離
試験方法によりテンシロンを用いて10mm幅のサンプ
ルの引っ張りテストをおこなった。充分な銅箔層(銅め
っき層)の密着強度を確保するためにはピール強度とし
ては0.6kg/cm以上が必要である。 (樹脂膜の強度と伸びの測定)40×5mmの試料を用
いて、23℃60%RHの条件下でテンシロンにて引っ
張り試験をおこない、応力−歪み曲線を描かせて測定し
た。 (難燃性の評価)米国において認定の標準規格UL94
に記載されている試験方法に従って行った。この規格に
よる難燃性評価レベルとしては、 V−0>V−1>V−2>HB の4段階が規定されており、本発明の樹脂組成物の如き
電子材料用用途では最も厳しいV−0のレベルが要求さ
れる。
【0066】
【表3】
【0067】表3に明らかなように、本発明の感光性樹
脂組成物を用いた配線基板は、充分な樹脂強度、銅めっ
き膜の密着性をを確保しつつ電子材料用途として必要な
難燃性をハロゲン化合物のような環境上問題のある素材
を使用することなく得られることがわかった。一方、共
重合性バインダーが本発明の範囲外である比較例1及び
3は、実施例に比較すると破断強度が低く、特に、構造
単位(3)を含まない比較例1は難燃性が実用に適しな
いことがわかった。
【0068】本発明の樹脂により
【0069】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物により難燃性を確保
しつつ安全上、環境上問題を生じさせずに金属めっき膜
との密着確保可能な感光性層間絶縁膜、ソルダーレジス
ト膜を得ることが出来、多層基板の製造方法を提供する
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微粒子含有水性樹脂フィルムの構成
を示す模式図である。
【図2】 予め配線が形成された絶縁基材の構成を示す
模式図である。
【図3】 予め配線が形成された絶縁基材に感光性絶縁
樹脂層を設けた状態を示す模式図である。
【図4】 微粒子含有水性樹脂フィルムを感光性絶縁樹
脂層上にラミネートにより、貼り合わせ積層した状態を
示す模式図である。
【図5】 仮支持体を設けたままパターン露光、現像、
ポスト露光、ポストベイク及び希硫酸処理を行った後、
層間接続に利用するバイアホールが形成され、感光性絶
縁樹脂層の表面が粗面化されてた状態を示す模式図であ
る。
【図6】 感光性絶縁樹脂層上に無電解めっき、電解め
っきを行った状態を示す模式図である。
【図7】 ドライフィルムレジストを用いたサブトラク
ティブ法により第2層の配線を形成したビルドアップ基
板の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 仮支持体 2 微粒子含有水性樹脂層 3 絶縁基材 4 配線 5 感光性絶縁樹脂層 6 微粒子含有水性樹脂フィルム 7 層間接続用バイアホール 8 無電解銅めっき層及び電解銅めっき層 9 層間接続部(バイアホール部) 10 第2層配線部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08F 222/38 C08F 222/38 230/02 230/02 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA14 AB15 AC01 AD01 BC14 BC48 CB10 CB13 CB14 CB15 CB41 4J011 QA25 QA35 QA38 QA39 QA42 RA03 RA04 RA10 SA90 TA07 VA01 WA01 4J100 AB02Q AJ03P AL03Q AL08Q AL08R AM14P BA16P BA35P BA65R BC04R BC43Q BC43R CA05 JA37

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記に示す構造をとる構造単位
    (1)、構造単位(2)及び構造単位(3)の各構造体
    をそれぞれ少なくとも1種含有する共重合性バインダ
    ー、 (B)分子内に付加重合可能なエチレン性不飽和基を有
    する化合物、及び、 (C)光重合開始剤または光重合開始剤系、 を含む感光性樹脂組成物であって、 該(A)共重合性バインダーにおける構造単位(1)の
    含有量が10〜60重量%、構造単位(2)の含有量が
    20〜70重量%、リン原子を含む構造単位(3)の含
    有量が5〜60重量%である、ことを特徴とする感光性
    樹脂組成物。 構造単位(1) 【化1】 1 は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表
    し、R2 は水素原子、アルキル基、アリール基、COO
    3 (ここでR3 は水素原子またはアルキル基、アリー
    ル基)、またはCONR4 5 (ここでR4 、R5 はそ
    れぞれ水素原子またはアルキル基、アリール基)を表
    す。 構造単位(2) 【化2】 6 、R7 は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基
    を表し、R8 はアルキル基、アラルキル基またはアリー
    ル基を表す。 構造単位(3) 【化3】 式中、R9 は水素または炭素数1〜3のアルキル基を表
    し、R10、R11は同じであっても異なっていてもよく、
    炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリ
    ール基を表す。
  2. 【請求項2】 (B)分子内に付加重合可能なエチレン
    性不飽和基を有する化合物が、分子内に窒素原子含有付
    加重合可能なエチレン性不飽和基を有することを特徴と
    する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (B)分子内に付加重合可能なエチレン
    性不飽和基を有する化合物が、下記一般式1で表される
    化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の感
    光性樹脂組成物。 【化4】 式中R1 は水素または炭素数1〜3のアルキル基を表
    し、L、Mは二価の連結基を表し、p、qは0または1
    を表す。
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