JP6953758B2 - 感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

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本開示は、感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の高性能化(小型化、軽量化及び多機能化)に伴い、LSI、チップ等の半導体部品の高集積化が進んでいる。それに伴い、半導体部品の形態が多ピン化、小型化へと急速に変化している。また、半導体部品の高集積化に伴い、半導体部品を構成する半導体素子、半導体パッケージ、プリント配線板、フレキシブル配線板等の高密度化及び高精細化が進んでおり、チップ・チップコンデンサー等を基板内に埋め込んだ部品内臓基板が検討されている。半導体部品に用いられる表面保護膜又は層間絶縁膜としては、層間接続用のビア開口パターンを形成できること、また基板材料、銅パターン(導体パターン)と接着するだけでなく、チップ部品と接着できることが要求されている。
プリント配線板の製造方法として、従来から採用される方法として、ビルドアップ方式が挙げられる。このビルドアップ方式は、まず、内層回路板(第一の導体パターンを有する基材)上に絶縁樹脂フィルムをラミネートし、加熱により硬化させ、層間絶縁膜を形成した後、レーザー加工によってビアホールを形成する。次いで、層間絶縁膜をアルカリ過マンガン酸処理等によって粗化処理とスミア処理とを行った後、無電解銅めっきを行い、第二の導体パターンと層間接続可能とするビアホールとを形成するという方式である(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−304931号公報
しかしながら、従来のレーザー加工による、ビルドアップ方式におけるビアホールの形成は、それぞれのビアを一つずつ形成する必要があり、高密度化によって多数のビアを設ける必要がある場合、多大な時間を要するという問題がある。そこで、多数のビアを一括で形成可能な方法として、フォトリソグラフィー法による表面保護膜や層間絶縁膜の形成が検討されるようになっている。
さらに、近年、導体パターンの高密度化に伴い、表面保護膜には高解像性が求められており、その要求に対応できる技術としてフォトリソグラフィー法でパターン形成できる感光性樹脂組成物が盛んに用いられるようになっている。中でも炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型の感光性樹脂組成物が、作業環境保全、地球環境保全の点から主流になっている。
これまで、感光性樹脂組成物は表面保護膜として用いられてきてきたことから、層間の絶縁性については充分検討されていない。そのため、従来の非感光性の層間絶縁膜と比べ、感光性の層間絶縁膜の層間の絶縁性は充分とは言えない状況にある。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、層間の絶縁性に優れ、優れた解像性を示す感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法を(以下、「感光性樹脂組成物等」と称することがある。)を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法を提供するものである。
[1](A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラ、及び(E)マレイミド基含有化合物を含有する感光性樹脂組成物。
[2]前記(E)成分が、下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物であることを特徴とする上記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006953758
〔一般式(1)中、R11、R12は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R13 はアルキレン基、アリ-レン基及びオキシ基からなる群より選ばれる基を1つ以上有する2価の基を示す。mは0又は1の整数を示す。〕
[3]前記(A)成分が、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂骨格を有する酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)を含有するものである、上記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)が、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)とを反応させてなる樹脂(A1’)に、飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させてなる樹脂である、上記[3]に記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記ノボラック型エポキシ樹脂が、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される構造単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシである、上記[3]又は[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006953758
〔一般式(2)中、R21は水素原子又はメチル基を示し、Y21、Y22はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。〕
Figure 0006953758
〔一般式(3)中、R31は水素原子又はメチル基を示し、Y31、Y32はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。〕
[6]前記ノボラック型エポキシ樹脂が下記一般式(4)で表される構造単位を含有するノボラック型エポキシ樹脂である、上記[3]又は[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006953758
〔一般式(4)中、R41は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。〕
[7]前記(B)光重合性化合物が、分子内にエチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含む上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[8]前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラ、及び(E)マレイミド基含有化合物の含有量が、感光性樹脂組成物中の固形分全量基準として、各々5〜60質量%、0.2〜15質量%、0.1〜10質量%、20〜60質量%、及び0.5〜12質量%である上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[9]さらに、(F)顔料を含有する、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物
[10]キャリアフィルムと、上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いた感光層とを有する、ドライフィルム。
[11]上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、又は上記[10]に記載のドライフィルムにより形成される表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を具備するプリント配線板
[12]基板上に上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物、又は上記[10]に記載のドライフィルムを用いて感光層を設ける工程、該感光層を用いて樹脂パターンを形成する工程、及び該樹脂パターンを硬化して表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を形成する工程を順に有する、プリント配線板の製造方法。
本発明によれば、層間の絶縁性に優れ、優れた解像性を示す感光性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物を表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方として用いる多層プリント配線板の製造工程の一態様を示す模式図である。
[感光性樹脂組成物]
本開示における実施形態に係る(以後、単に本実施形態と称する場合がある。)の感光性樹脂組成物は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラ、及び(E)マレイミド基含有化合物を含有する樹脂組成物である。本明細書において、これらの成分は、単に(A)成分、(B)成分、(C)成分等と称することがある。本明細書において、「固形分」とは、感光性樹脂組成物に含まれる水、溶媒等の揮発する物質を除いた不揮発分のことであり、該樹脂組成物を乾燥させた際に、揮発せずに残る成分を示し、また25℃付近の室温で液状、水飴状、及びワックス状のものも含む。
各成分について、以下説明する。
<(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分として酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂を含む。(A)成分は、エポキシ樹脂をビニル基含有の有機酸で変性した化合物、例えば、エポキシ樹脂とビニル基含有モノカルボン酸とを反応させてなる樹脂に、飽和基又は不飽和基含有多塩基酸無水物を反応させてなるエポキシ樹脂が挙げられる。
(A)成分としては、アルカリ現像が可能であり、かつ解像性、接着強度を向上させる観点から、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いて得られる酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)(以下、(A1)成分と称する場合がある。)等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
(エポキシ樹脂(a))
(A)成分として、アルカリ現像が可能であり、かつ解像性、密着強度を向上させる観点から、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂から選ばれる中から少なくとも1種のエポキシ樹脂(a)成分を用いて得られる(A1)成分を含有することが好ましい。これらエポキシ樹脂の中から(a)成分としては、下記一般式(2)又は(3)で表される構造単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂から選らばれる1種が好ましく、下記一般式(3)で表される構造単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく挙げられる。
〔一般式(2)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂〕
(a)成分の好ましい態様の一つは、下記一般式(2)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂である。
Figure 0006953758
一般式(2)中、R21は水素原子又はメチル基を示し、Y21、Y22はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。
21は、解像性、接着強度を向上させる観点から、水素原子であることが好ましい。
また、これと同様の観点から、Y21、Y22は、グリシジル基であることが好ましい。ただし、Y21とY22の少なくとも一方はグルシジル基を示す。
一般式(2)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂(a)中の該構造単位の構造単位数は、1以上の数であり、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜80、さらに好ましくは15〜70から適宜選択することができる。構造単位数が上記範囲内であると、解像性、及び接着強度が向上する。ここで、構造単位の構造単位数は、単一の分子においては整数値を示し、複数種の分子の集合体においては平均値である有理数を示す。以下、構造単位の構造単位数については同様である。
〔一般式(3)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂〕
また、(a)成分の好ましい態様の一つは、下記一般式(3)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂である。
Figure 0006953758
一般式(3)中、R31は水素原子又はメチル基を示し、Y31、Y32はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。
31は、解像性、接着強度を向上させる観点から、水素原子であることが好ましい。
また、これと同様の観点から、Y31、Y32は、グリシジル基であることが好ましい。ただし、Y21とY22の少なくとも一方はグルシジル基を示す。
一般式(3)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂(a)中の該構造単位の構造単位数は、1以上の数であり、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜80、さらに好ましくは15〜70から適宜選択すればよい。構造単位数が上記範囲内であると、接着強度、耐熱性、及び電気絶縁性が向上する。
一般式(3)において、R31が水素原子であり、Y31及びY32がグリシジル基のものは、EXA−7376シリーズ(DIC株式会社製、商品名)として、また、R31がメチル基であり、Y31及びY32がグリシジル基のものは、EPON SU8シリーズ(三菱化学株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。
解像性を向上させる観点から、(a)成分の中でも前記一般式(2)又は(3)で表される構造単位を含有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。
〔一般式(4)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂〕
(a)成分の好ましい態様の一つとして、下記一般式(4)で表される構造単位を有するノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0006953758
一般式(4)中、R41は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。
は、耐熱性及び感度を向上させる観点から、グリシジル基が好ましい。
は、一般式(4)中、水素原子であるYとグリシジル基であるYとのモル比は、解像性を向上させる観点から、0/100〜30/70、好ましくは0/100〜10/90から適宜選択すればよい。このモル比からも分かるように、Yの少なくとも一つはグリシジル基である。
一般式(4)で表される構造単位を有するエポキシ樹脂(a)中の該構造単位の構造単位数は1以上の数であり、好ましくは10〜200、より好ましくは30〜150、さらに好ましくは30〜100から適宜選択すればよい。繰り返し単位数が前記の範囲内であると、レジストパターン輪郭の直線性が向上したレジスト形状を形成でき、接着強度、耐熱性、及び電気絶縁性が向上する。
一般式(4)で表されるノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、公知の方法でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
水酸基とエピクロルヒドリンとの反応を促進するためには、反応温度50〜120℃でアルカリ金属水酸化物存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行うことが好ましい。反応温度が上記範囲内であると、反応が遅くなりにくく、副反応をより抑制することができる。
一般式(4)で表されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704、YDCN−704L、YDPN−638、YDPN−602(以上、新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、DEN−431、DEN−439(以上、ダウケミカル株式会社製、商品名)、EOCN−120、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027、BREN(以上、日本化薬株式会社製、商品名)、EPN−1138、EPN−1235、EPN−1299(以上、BASF社製、商品名)、N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150、VH−4240(以上、DIC株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007及び1009(以上、三菱化学株式会社製、商品名)、DER−330、DER−301、DER−361(以上、ダウケミカル株式会社製、商品名)、YD−8125、YDF−170、YDF−170、YDF−175S、YDF−2001、YDF−2004、YDF−8170(以上、新日鉄住金化学株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、FAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
(a)成分としては、上記のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びトリフェノールメタン型エポキシ樹脂から選ばれる中から少なくとも1種を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
(A1)成分は、解像性を向上させる観点から、(a)成分と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)(以下、(b)成分と称する場合がある。)を反応させてなる樹脂(A1’)(以下、「(A1’)成分」と称する場合がある。)に、飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物(c)(以下、(c)成分と称する場合がある。)を反応させてなる樹脂であることが好ましい。
〔ビニル基含有モノカルボン酸(b)〕
(b)成分としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体、水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物などが好ましく挙げられる。
半エステル化合物は、例えば、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル又はビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これらの(b)成分は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
(b)成分の一例である上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル、ビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
上記半エステル化合物の合成に用いられる二塩基酸無水物としては、飽和基を含有するもの、不飽和基を含有するものが挙げられる。二塩基酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
上記(a)成分と(b)成分との反応において、(a)成分のエポキシ基1当量に対して、(b)成分が0.6〜1.05当量となる比率で反応させるのが好ましく、さらに0.8〜1.0当量となる比率で反応させるのがより好ましい。このような比率で反応させることで、光重合性が向上する、すなわち光感度が大きくなるので、解像性が向上する。
(a)成分及び(b)成分は、有機溶剤に溶かして反応させることができる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが好ましく挙げられる。
さらに、(a)成分と(b)成分との反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
触媒の使用量は、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部から適宜選択すればよい。触媒の使用量を前記の範囲にすると、(a)成分と(b)成分との反応が促進される。
また、反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられる。
重合禁止剤の使用量は、組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、(a)成分と(b)成分との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.02〜0.8質量部、さらに好ましくは0.04〜0.5質量部から適宜選択すればよい。
(a)成分と(b)成分との反応温度は、生産性の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃から適宜選択すればよい。
このように、(a)成分と、(b)成分とを反応させてなる(A1’)成分は、(a)成分のエポキシ基と(b)成分のカルボキシル基との開環付加反応により形成される水酸基を有するものになっていると推察される。
上記で得られた(A1’)成分に、さらに飽和又は不飽和基含有の(c)成分を反応させることにより、(A1’)成分の水酸基((a)成分中に元来存在する水酸基も含む)と(c)成分の酸無水物基とが半エステル化された、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂になっていると推察される。
〔多塩基酸無水物(c)〕
(c)成分としては、飽和基を含有するもの、不飽和基を含有するものを用いることができる。(c)成分の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくはテトラヒドロ無水フタル酸である。
(A1’)成分と(c)成分との反応において、例えば、(A1’)成分中の水酸基1当量に対して、(c)成分を0.1〜1.0当量反応させることで、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価を調整することができる。
このようにして調整される(A)成分の酸価は、好ましくは30〜150mgKOH/g、より好ましくは40〜120mgKOH/g、さらに好ましくは50〜100mgKOH/gである。酸価が30mgKOH/g以上であると感光性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性に優れ、150mgKOH/g以下であると硬化膜の電気特性が向上する。
(A1’)成分と(c)成分との反応温度は、生産性の観点から、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは70〜100℃から適宜選択すればよい。
また、必要に応じて、(a)成分として、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を一部併用することもできる。さらに、(A)成分として、スチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性物等のスチレン−マレイン酸系樹脂を一部併用することもできる。
((A)成分の分子量)
(A)成分の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは4,000〜25,000、さらに好ましくは5,000〜18,000である。上記範囲内であると、接着強度、耐熱性、及び電気絶縁性が向上する。ここで、重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定する、ポリエチレン換算の重量平均分子量である。より具体的には、例えば、下記のGPC測定装置及び測定条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値を重量平均分子量とすることができる。また、検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP−H」及び「PStQuick B」,東ソー株式会社製)を用いる。
(GPC測定装置)
GPC装置:高速GPC装置「HCL−8320GPC」、検出器は示差屈折計又はUV、東ソー株式会社製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ−H(カラム長さ:15cm、カラム内径:4.6mm)、東ソー株式会社製
(測定条件)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35ml/分
試料濃度 :10mg/THF5ml
注入量 :20μl
((A)成分の含有量)
(A)成分の含有量は、耐熱性、電気特性及び耐薬品性を向上させる観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜40質量%から適宜選択すればよい。
<(B)光重合性化合物>
(B)成分は、光重合可能な化合物、光架橋可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば、光重合性を示す官能基、例えばビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基を有する化合物が好ましく挙げられる。
(B)成分としては、光感度の観点から、分子量が1000以下の化合物が好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類;メラミン(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの(B)成分は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
感度を向上させる観点から、前記多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類を含んでもよい。
また、光硬化による架橋密度を上げて、耐熱性、電気信頼性を向上させるため、(B)成分として、分子内にエチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を選択することができる。そのような化合物としては、前記多価(メタ)アクリレート類が挙げられ、感度が向上する観点から、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを選択することができる。
((B)成分の含有量)
(B)成分の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは3〜10質量%から適宜選択すればよい。(B)成分の含有量が2質量%以上であると、光感度が向上し、露光部が現像中に溶出しにくい傾向があり、50質量%以下であると耐熱性が向上する。
<(C)光重合開始剤>
本実施形態で用いられる(C)成分としては、(B)成分を重合させることができるものであれば、特に制限は無く、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。
(C)成分としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[O−(エトキシカルボニル)オキシム]等のオキシムエステル類、などが挙げられる。これらの(C)成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、フォトブリーチングすることで、底部の硬化性を向上させる観点から、上記アシルホスフィンオキサイド類から適宜選択すればよく、揮発しにくく、アウトガスとして発生しにくい点で、上記アセトフェノン類から適宜選択すればよい。
((C)成分の含有量)
(C)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは0.2〜15質量%、より好ましくは0.4〜5質量%、さらに好ましくは0.6〜1質量%から適宜選択すればよい。(C)成分の含有量が、0.2質量%以上であると露光部が現像中に溶出しにくい傾向があり、15.0質量%以下であると耐熱性が向上する。
また、上記の(C)成分に加えて、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類などの(C’)光重合開始助剤を、単独で、又は複数種を組合せて用いることもできる。
<(D)無機フィラ>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、主に接着強度、塗膜硬度等の諸特性をさらに向上させる目的で、(D)成分を含む。
(D)成分としては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)、窒化ケイ素(Si)、チタン酸バリウム(BaO・TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、チタン酸鉛(PbO・TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgO・Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al/5SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、チタン酸アルミニウム(TiO・Al)、イットリア含有ジルコニア(Y・ZrO)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO)、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、カーボン(C)等を使用することができる。これらの無機フィラは、単独で、又は複数種を組み合わせて使用することができる。
(D)成分の平均粒径は、解像性の観点から、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.1〜2μmから適宜選択すればよい。ここで、(D)成分の平均粒径は、感光性樹脂組成物中に分散した状態での無機フィラの平均粒径であり、以下のように測定して得られる値とする。まず、感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンで1000倍に希釈(又は溶解)させた後、サブミクロン粒子アナライザ(ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5)を用いて、国際標準規格ISO13321に準拠して、屈折率1.38で、溶剤中に分散した粒子を測定し、粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒子径を平均粒径とする。また、キャリアフィルム上に設けられる感光層又は感光性樹脂組成物の硬化膜に含まれる(D)成分についても、上述のように溶剤を用いて1000倍(体積比)に希釈(又は溶解)をした後、上記サブミクロン粒子アナライザを用いてことにより測定できる。
上記無機成分は、凝集防止効果により樹脂組成物中における無機フィラの分散性を向上させる観点から、予めアルミナ又は有機シラン系化合物で表面処理されていることが好ましい。無機フィラの表面処理により、粗化処理又はデスミア処理された硬化物の表面粗さをより一層小さくすることができ、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成することができる。
アルミナで表面処理している無機フィラの表面におけるアルミニウムの元素組成は、好ましくは0.5〜10原子%、より好ましくは1〜5原子%、さらに好ましくは1.5〜3.5原子%から適宜選択すればよい。また、有機シラン系化合物で表面処理している無機フィラの表面におけるケイ素の元素組成は、好ましくは0.5〜10原子%、より好ましくは1〜5原子%、さらに好ましくは1.5〜3.5原子%から適宜選択すればよい。また、無機フィラの表面における炭素の元素組成は、好ましくは10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%、さらに好ましくは18〜23原子%から適宜選択すればよい。これらの元素組成は、XPSを用いて測定することができる。
アルミナ又は有機シラン系化合物で表面処理している無機フィラとしては、例えば、アルミナ又は有機シラン系化合物で表面処理している硫酸バリウムが、NanoFine BFN40DC(日本ソルベイ株式会社社製、商品名)として商業的に入手可能である。
((D)成分の含有量)
(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、10〜80質量%である。また、(D)成分の含有量としては、好ましくは12〜70質量%、より好ましくは15〜65質量%、さらに好ましくは18〜60質量%から適宜選択してもよい。(D)成分の含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の硬化物強度、耐熱性、解像性等を向上させることができる。
(D)成分としてシリカを用いる場合、シリカの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜55質量%、さらに好ましくは15〜50質量%から適宜選択すればよい。また、(D)成分として硫酸バリウムを用いる場合の硫酸バリウムの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%から適宜選択すればよい。シリカ、硫酸バリウムの含有量が上記範囲内である場合、低熱膨張率、はんだ耐熱性、接着強度を向上させることができる。
<(E)>マレイミド基含有化合物
本発明の感光性樹脂は(E)成分として表せられるビスマレイミド基含有化合物を含有することにより、下地配線と樹脂上に形成される配線間で優れた層間絶縁性を示す。
(E)成分として、上記(A)成分及び上記(B)成分と反応しうるマレイミド基を有するものが好ましい。中でも、感光性樹脂組成物の耐熱性を向上させる観点から、マレイミド基を分子中に2つ以上有するものがより好ましい。
(E)成分として表せられるビスマレイミド含有化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)へキサン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド等がある。
(E)成分としては解像性を向上させる観点から、下記一般式(1)で表されるビスレイミド化合物であることが好ましい。
Figure 0006953758
11、R12は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R13 はアルキレン基、アリ-レン基及びオキシ基からなる群より選ばれる基を1つ以上有しても良い2価の基を示す。mは0又は1の整数を示す。
ビスマレイミド含有化合物としては、例えば、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100(大和化成工業株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
((E)成分の含有量)
(E)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは1.0〜12質量%、より好ましくは1.2〜10質量%、さらに好ましくは1.5〜8.0質量%から適宜選択すればよい。(E)成分の含有量が1.0質量%未満であると層間の絶縁性が不足する傾向にあり、8.0質量%以上であると感度が低下しスループットに劣る傾向がある。
<(F)顔料>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、導体パターンを隠蔽する等の外観向上のため、所望の色に応じて(F)顔料(以下、(F)成分と称する場合がある。)をさらに含有してもよい。(F)成分としては、所望の色を発色する着色剤を適宜選択して用いればよく、例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤が好ましく挙げられる。
((F)成分の含有量)
(F)成分の含有量は、製造装置を識別しやすくし、また導体パターンをより隠蔽させる観点から、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜3質量%、さらに好ましくは0.05〜2質量%から適宜選択すればよい。
<(G)硬化剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(G)硬化剤(以下、(G)成分と称する場合がある。)をさらに含有してもよい。(G)成分としては、それ自体が熱、紫外線等で硬化する化合物、又は(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂のカルボキシ基、若しくは水酸基と、熱、紫外線等で反応して硬化する化合物が挙げられる。(G)成分を用いることで、耐熱性、接着強度、耐薬品性等をより向上させることができる。
(G)成分としては、例えば、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、オキサゾリン化合物、ブロック型イソシアネート等の熱硬化性化合物が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン化合物としては、例えば、トリアミノトリアジン、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン等が挙げられる。また、尿素化合物としては、例えば、ジメチロール尿素等が挙げられる。
ブロック型イソシアネートとしては、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。このポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、並びにこれらのアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体等が挙げられる。
(G)成分は、耐熱性をより向上させる観点から、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)、及びブロック型イソシアネートから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
((G)成分の含有量)
(G)成分は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いられる。(G)硬化剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%から適宜選択すればよい。(G)成分の含有量を、上記範囲内にすることにより、良好な現像性を維持しつつ、形成される硬化膜の耐熱性をより向上することができる。
<(H)エラストマー>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(H)エラストマー(以下、(H)成分と称する場合がある。)をさらに含有してもよい。(H)成分は、特に、本実施形態の感光性樹脂組成物を半導体パッケージ基板に用いる場合に好適に使用することができる。本実施形態の感光性樹脂組成物に(H)成分を添加することにより、(A)成分の硬化収縮による、硬化物内部の歪み(内部応力)に起因した、可とう性、接着強度の低下を抑制することができる。すなわち、感光性樹脂組成物により形成される硬化膜の可とう性、接着強度等を向上させることができる。
(H)成分としては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、及びシリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性及び強度に、後者が柔軟性及び強靭性に寄与している。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体である。その具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR等が挙げられる。より具体的には、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴムが挙げられる。さらに具体的には、ミラストマ(三井化学株式会社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエンラバーDYNABON HSBR(JSR株式会社製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体「NBRシリーズ」(JSR株式会社製)、あるいは両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の「XERシリーズ」(JSR株式会社製)、ポリブタジエンを部分的にエポキシ化したエポキシ化ポリブダジエンのBF−1000(日本曹達株式会社製)、PB−4700、PB−3600(株式会社ダイセル製)等を用いることができる。
ポリエステル系エラストマーとしては、ジカルボン酸又はその誘導体及びジオール化合物又はその誘導体を重縮合して得られるものが挙げられる。
ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール等が挙げられる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述したエラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂もエラストマーとして用いることもできる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。
これらのエラストマーの中で、せん断接着強度の点で、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、水酸基を有するポリエステル系エラストマーであるエスペル(日立化成株式会社製、エスペル1108、1612、1620)等が好ましい。また、室温において液状であるエラストマーが特に好ましい。
((H)成分の含有量)
(H)成分を用いる場合、その含有量は、(A)成分(固形分)100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部から適宜選択すればよい。上記範囲内とすることにより、良好な現像性を維持しつつ耐熱衝撃性及び接着強度をより向上させることができる。また、薄膜基板に用いる場合には、薄膜基板の反り性を低減させることができる。
<(I)エポキシ樹脂硬化剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、耐熱性、接着強度、耐薬品性等の諸特性をさらに向上させる目的で、(I)エポキシ樹脂硬化剤(以下、(I)成分と称する場合がある。)を添加することもできる。
このような(I)成分としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩又はエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類などが挙げられる。
((I)成分の含有量)
(I)成分は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができ、(I)成分を用いる場合、その含有量は、感光特性への影響をより抑制する観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%から適宜選択すればよい。
<(J)熱可塑性樹脂>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、硬化膜の可とう性をより向上させる目的で、(J)熱可塑性樹脂(以下、(J)成分と称する場合がある。)を添加することもできる。(J)成分としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
((J)成分の含有量)
(J)成分は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができ、(J)成分を用いる場合、その含有量は、硬化膜の可とう性を向上させる観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%から適宜選択すればよい。
<希釈剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて希釈剤を使用することができる。希釈剤としては、例えば、有機溶剤等が使用できる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。希釈剤は、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
希釈剤の使用量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量の含有量が好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、さらに好ましくは65〜75質量%となる量から適宜選択すればよい。すなわち、希釈剤を用いる場合の感光性樹脂組成物中の希釈剤の含有量は、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%、さらに好ましくは25〜35質量%から適宜選択すればよい。希釈剤の使用量を上記範囲内とすることで、感光性樹脂組成物の塗布性が向上し、より高精細なパターンの形成が可能となる。
<その他の添加剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤、シランカップリング剤等の公知慣用の各種添加剤を用いることができる。さらに、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アンチモン化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤を用いることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、配合成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。
[ドライフィルム]
本実施形態のドライフィルムは、キャリアフィルムと、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いた感光層とを有する。
感光層の厚みは、好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜40μm、さらに好ましくは20〜30μmから適宜選択すればよい。
本実施形態のドライフィルムは、例えば、キャリアフィルム上に、本実施形態の感光性樹脂組成物を、リバースロールコート、グラビアロールコート、コンマコート、カーテンコート等の公知の方法で塗布及び乾燥して、感光層を形成し、製造することができる。
キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどが挙げられる。キャリアフィルムの厚さは、5〜100μmの範囲から適宜選択すればよい。また、本実施形態のドライフィルムは、感光層のキャリアフィルムと接する面とは反対側の面に保護層を積層することもできる。保護層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどを用いてもよい。また、上述するキャリアフィルムと同様の重合体フィルムを用いてもよく、異なる重合体フィルムを用いてもよい。
塗膜の乾燥は、熱風乾燥や遠赤外線、又は、近赤外線を用いた乾燥機等を用いることができ、乾燥温度としては、好ましくは60〜120℃、より好ましくは70〜110℃、さらに好ましくは80〜100℃から適宜選択すればよい。また、乾燥時間としては、好ましくは1〜60分、より好ましくは2〜30分、さらに好ましくは5〜20分から適宜選択すればよい。
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物により形成される表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を具備する。
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の感光性樹脂組成物より形成される表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を具備するため、めっき銅との接着強度に優れ、かつ優れた耐熱性、低熱膨張率を有し、さらに優れた解像性、チップ部品との密着性に優れたパターンを有する。また、このパターンは、近年の電子機器の小型化や高性能化に伴う微細化した穴径の大きさと穴間の間隔ピッチの形成安定性に優れたものとなる。
[プリント配線板の製造方法]
本実施形態のプリント配線板の製造方法は、基板上に本実施形態の感光性樹脂組成物、又は本実施形態のドライフィルムを用いて感光層を設ける工程、該感光層を用いて樹脂パターンを形成する工程、及び該樹脂パターンを硬化して表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を形成する工程を順に有する。
具体的には、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、銅張り積層板等の金属張積層基板上に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜150μm、さらに好ましくは20〜100μm、特に好ましくは23〜50μmから適宜選択する膜厚で感光性樹脂組成物を塗布し、次に塗膜を60〜110℃で乾燥させるか、又は保護層を剥がした本実施形態のドライフィルムを前記基板上にラミネータを用いて熱ラミネートすることにより、基板上に感光層を設ける。
次に、該感光層にネガフィルムを直接接触(又はキャリアフィルム等の透明なフィルムを介して非接触)させて、活性光を、好ましくは10〜2,000mJ/cm、より好ましくは100〜1,500mJ/cm、さらに好ましくは300〜1,000mJ/cmから適宜選択する露光量で照射し、その後、未露光部を希アルカリ水溶液で溶解除去(現像)してパターンを形成する。
使用される活性光としては電子線、紫外線、X線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。また、光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。
次に、該感光層の露光部分を後露光(紫外線露光)及び後加熱の少なくとも一方の処理によって十分硬化させて表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を形成する。
後露光の露光量は、好ましくは100〜5,000mJ/cm、より好ましくは500〜2,000mJ/cm、さらに好ましくは700〜1,500J/cmから適宜選択すればよい。
後加熱の加熱温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃、さらに好ましくは135〜165℃から適宜選択すればよい。
後加熱の加熱時間は、好ましくは5分〜12時間、より好ましくは10分〜6時間、さらに好ましくは30分〜2時間から適宜選択すればよい。
その後、エッチングにて、導体パターンを形成し、プリント配線板が作製される。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物、又は本実施形態のドライフィルムを用いて、多層プリント配線板を製造することもできる。図1は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物を表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方として用いる多層プリント配線板の製造工程の一態様を示す模式図である。図1(f)に示される多層プリント配線板100Aは、表面に導体パターン102を有する基板に、複数の導体パターン107を層状に備え、各層間には層間絶縁膜103を有し、また各層の導体パターン102は層間絶縁膜103と開口部104とに設けられた導体パターン107により接続されており、その表面には表面保護膜108が設けられており、表面保護膜108及び層間絶縁膜103の少なくとも一方は本実施形態の感光性樹脂組成物、又は本実施形態のドライフィルムを用いて形成されている。多層プリント配線板100Aは、例えば、銅張積層体、層間絶縁材料、金属箔等を積層するとともに、エッチング法又はセミアディティブ法によって導体パターンを適宜形成することによって得られる。以下、多層プリント配線板100Aの製造方法を図1に基づいて簡単に説明する。
まず、両表面に導体パターン102を有する銅張積層体101の両表面に層間絶縁層103を形成する(図1(a)参照)。層間絶縁膜103は、プリント配線板の製造方法で説明した方法、すなわち本実施形態の感光性樹脂組成物を塗布し、又は本実施形態のドライフィルムをラミネータを用いて熱ラミネートすることにより、感光層を形成し、該感光層にネガフィルムを用いて、外部(他層の導体パターン)と電気的に接続することが必要な箇所以外の領域を露光し、硬化させて、さらに未露光部を除去して形成される(図1(b)参照)。この層間絶縁膜103は、開口部104を有する膜となっている。ここで、開口部104周辺に存在するスミア(残渣)は、デスミア処理により除去すればよい。
次いで、導体パターン107を形成するが、導体パターン107は、例えば、薄い金属層(シード層)を形成し、樹脂パターン(めっきレジスト)を形成し、次いで電解めっき法により導体パターン107を形成し、前記樹脂パターンを除去し、シード層をエッチングで除去するセミアディティブ法により形成することができる。具体的には、層間絶縁膜103上、及び開口部104では導体パターン102上に、無電解めっき法によりシード層105を形成する(図1(c)参照)。このシード層105は、例えば、無電解銅めっきによる、めっき銅により形成することができる。このシード層105上に、セミアディティブ用感光性樹脂組成物を用いて感光層を形成し、該感光層にネガフィルムを用い、所定の箇所を露光、現像処理して、所定のパターンを有する樹脂パターン106を形成する(図1(d)参照)。次に、シード層105の樹脂パターン106が形成されていない部分に、電解めっき法により導体パターン107を形成し、剥離液により樹脂パターン106を除去し、該シード層105をエッチングにより除去する(図1(e)参照)。図1(b)〜(e)の作業を繰り返して行い、所望の層数に応じた導体パターン107を形成し、最表面に本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化物により形成される表面保護膜(永久マスクレジスト)108を形成し、多層プリント配線板100Aを作製することができる(図1(f)参照)。ここで、上記セミアディティブ用感光性樹脂組成物として、例えば、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いることができる。
このようにして得られた多層プリント配線板100Aは、対応する箇所に半導体素子が実装され、電気的な接続を確保することが可能である。
本実施形態に係るプリント配線板は、表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いていることから、該感光性樹脂組成物が有する特長、すなわちめっき銅との優れた接着強度、優れた解像性、チップ部品との密着性を享受することとなる。また、電子機器の小型化・高性能化の流れに伴い、半導体チップにおける、導体パターンの狭ピッチ化による高密度化の傾向が著しく、これに対応した半導体実装方法として、はんだバンプにより半導体チップと基板とを接合させるフリップチップ接続方式が主流となっているが、従来以下のような幾つかの問題が生じる場合があった。
このフリップチップ接続方式は、基板と半導体チップとの間にはんだボールを配置し全体を加熱して溶融接合させるリフロー方式による半導体実装方式である。そのため、はんだリフロー時に基板自体が高温環境に晒され、基板の熱収縮により、基板と半導体を接続するはんだボールに大きな応力が発生し、導体パターンの接続不良、表面保護膜又はアンダーフィルに割れ(クラック)を起こす場合があった。また、基板が高温環境に晒されることで、基板上に設けた表面保護膜等を形成する樹脂組成物の熱膨張により、接続界面に大きな応力が発生し、接続不良を起こす場合もあった。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、めっき銅との優れた接着強度、優れた解像性、チップ部品との密着性に加えて、優れた耐熱性、低熱膨張率も有しており、これらの問題を解決できる性能を充分に有するものである。よって、本実施形態に係るプリント配線板は、導体パターンの接続不良、表面保護膜等の割れ等が生じにくい、高い品質を有するものとなる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本実施態様の目的及び利点をより具体的に説明するが、本実施態様は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1;酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(1)の合成)
ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂(a)(EXA−7376、DIC株式会社製、一般式(3)において、Y31、Y32がグリシジル基、R31が水素原子である構造単位を含有するビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂)350質量部、アクリル酸(b)70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を仕込み、90℃に加熱して攪拌することにより反応させ、混合物を完全に溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸(THPAC)(c)98質量部とカルビトールアセテート850質量部とを加え、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分の濃度が73質量%である(A)成分としてのTHPAC変性ビスフェノールFノボラック型エポキシアクリレートエポキシ樹脂(エポキシ樹脂(1))を得た。
(合成例2;酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(2)の合成)
温度計及び撹拌機を取り付けたフラスコに、クレゾールノボラック型樹脂(EP4020G、旭有機株式会社製)320質量部と、エピクロルヒドリン925質量部と、n−ブタノール185質量部とを溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49質量%水酸化ナトリウム水溶液122質量部を5時間かけて滴下した。次いで、同じ条件(65℃、共沸する圧力)下で0.5時間撹拌した。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応させた。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させ、粗エポキシ樹脂を得た。得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000質量部とn−ブタノール100質量部とを加え溶解させた。さらに、この溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に、300質量部の水で水洗を3回繰り返した。3回水洗した後、洗浄液のpHが中性であることを確認した。次いで、共沸によって系内を脱水し、精密ろ過を経た後に溶媒を減圧下で留去して、透明液体のエポキシ樹脂a−1:350質量部を得た。続いて、アクリル酸(b)70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を仕込み、90℃に加熱して攪拌することにより反応させ、混合物を完全に溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸(THPAC)(c)98質量部とカルビトールアセテート850質量部とを加え、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分の濃度が73質量%である(A)成分としてのTHPAC変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレートエポキシ樹脂(エポキシ樹脂(2))を得た。
(実施例1〜6、比較例1〜2)
表1に示す配合組成に従って組成物を配合し、3本ロールミルで混練し感光性樹脂組成物を調製した。固形分濃度が60質量%になるようにメチルエチルケトンを加えて、感光性樹脂組成物を得た。
Figure 0006953758
表1中の各材料の詳細は以下の通りである。
・エポキシ樹脂(1)は、合成例1で得られた酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂。
・エポキシ樹脂(2)は、合成例2で得られた酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂。
・アロニックスM402:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名)
・イルガキュア907:2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]モルホリノ−1−プロパノン(BASF社製、商品名)
・DETX:ジエチルチオキサントン(長瀬産業株式会社製、商品名)
・CRS−2101−41:シリカ粒子(株式会社龍森製、商品名、平均粒径1.3μm)
・BMI−4000:ビスマレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、商品名)
・BMI−5100:ビスマレイミド樹脂(大和化成工業株式会社製、商品名)
・フタロシアニン系顔料:フタロシアニン系顔料(山陽色素株式会社製)
・YX−4000:テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名)
・PB−4700:エポキシ化ポリブタジエン(株式会社ダイセル製、商品名)
・SP−1108:ポリエステル樹脂(エスペル1108、日立化成株式会社製)
・メラミン:日産化学工業株式会社製
次に、上記で得られた感光性樹脂組成物を用いて、下記に示す条件で各評価を行った。
評価結果を表2に示す。
[ドライフィルムの作製]
16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)をキャリアフィルムとし、該キャリアフィルム上に、実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が25μmとなるように均一に塗布し、熱風対流式乾燥機を用いて75℃で30分間乾燥し、感光層を形成した。続いて、該感光層のキャリアフィルムと接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(NF−15、タマポリ株式会社製、商品名)(保護層)を貼り合わせ、ドライフィルムを作製した。
[解像度の評価]
厚さ1.0mmの銅張積層基板(MCL−E−67、日立化成株式会社製)に、上記作製のドライフィルムの保護層を剥離しながら、連プレス式真空ラミネータ(MVLP−500、株式会社名機製作所製、品番)を用いて、所定のラミネート条件で(圧着圧力:0.4MPa、プレス熱板温度:80℃、真空引き時間:25秒間、ラミネートプレス時間:25秒間、気圧:4kPa以下)ラミネートして、感光層を有する積層体を得た。
次に、所定サイズのビアパターン(開口径サイズ:10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、及び200μm)を有するネガマスクを介して、i線露光装置(UX−2240SM−XJ−01、ウシオ株式会社製、品番)を用いて100〜500mJ/cmの範囲で50mJ/cmずつ変化させながら露光した。その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で30℃での最短現像時間(感光層の未露光部が除去される最短時間)の2倍に相当する時間、1.765×10Paの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解現像した。次に、紫外線露光装置を用いて2000mJ/cmの露光量で露光し、170℃で1時間加熱して、銅張積層基板上に感光性樹脂組成物の硬化物を所定サイズのビアパターンで有する試験片を作製した。
上記試験片を、金属顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
A:開口部の最小径が40μm以下
B:開口部の最小径が40μmを超え、100μm以下
C:開口部の最小径が100μm超
<層間絶縁性の評価>
上記感光性フィルムの保護層を剥離しながら厚さ1.0mmの銅張積層基板上にプレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP−500」)を用いて、圧着圧力0.4MPa、プレス熱板温度80℃、真空引き時間25秒間、ラミネートプレス時間25秒間、気圧4kPa以下で行い、評価用積層体を得た。次いでi線露光装置(ウシオ株式会社製UX−2240SM−XJ−01)を用いて500mJ/cm2で全面露光した。次に、紫外線露光装置を用いて2000mJ/cm2の露光量で露光し、170℃で1時間加熱し、銅張積層基板上に硬化膜を得た。
次いで、化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L、水酸化ナトリウム:5g/Lの水溶液を調製し、70℃に加温して10分間浸漬処理した。次に、粗化液として、過マンガン酸カリウム:60g/L、水酸化ナトリウム:40g/Lの水溶液を調製し、70℃に加温して15分間浸漬処理した。引き続き、中和液(塩化スズ(SnCl2):30g/L、塩化水素:300ml/L)の水溶液を調製し、40℃に加温して5分間浸漬処理し、過マンガン酸カリウムを還元した。
デスミア処理された硬化物の表面を、60℃のアルカリクリーナ(クリーナーセキュリガント902)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、デスミア処理された硬化物を23℃のプリディップ液(プリディップネオガントB)で1分間処理した。その後、上記硬化物を35℃のアクチベーター液(アクチベーターネオガント834)で5分間処理し、次に、30℃の還元液(リデューサーネオガントWA)により硬化物を5分間処理した。次に、化学銅液(ベーシックプリントガントMSK−DK、カッパープリントガントMSK、スタビライザープリントガントMSK)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールをかけた。その後、硫酸銅電解めっきを行い、アニール処理を180℃で60分間行い、厚さ35μmの導体層を形成した。
上記方法により形成した導体層を6mmΦの円形電極となるようにエッチングした。続いて電極及び硬化膜上に、層の厚みが25μmとなるように感光性ソルダーレジストフィルムFZ−2700GA(日立化成株式会社製、商品名)を、連プレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP−500」)を用いて、圧着圧力0.4MPa、プレス熱板温度80℃、真空引き時間25秒間、ラミネートプレス時間40秒間、気圧4kPa以下で形成し、評価用積層体を得た。次いでi線露光装置(ウシオ株式会社製UX−2240SM−XJ−01)を用いて500mJ/cm2で全面露光した。次に、紫外線露光装置を用いて2000mJ/cm2の露光量で露光し、160℃で1時間加熱し、硬化膜を得た。続いて、円形電極を+極、銅張積層基板の円形電極を形成した側の銅箔を−極となるように配線を行い、プレッシャークッカー(機種名「不飽和型超加速寿命試験装置PC−422RP」、株式会社平山製作所製)により、135℃、85%、5.5V条件下に200時間晒した。200時間経過時の抵抗値が10E7Ω(10×10Ω)以上のものは「A」とし、200時間経過時の抵抗値が10E7Ω(10×10Ω)以下であり10E6Ω(10×10Ω)以上のものは「B」、抵抗値が10E6Ω(10×10Ω)未満に低下したものは「C」として評価した。評価結果を表2に示す。
[Cuライン間の絶縁性評価]
12μm厚の銅箔をガラスエポキシ基材に積層したプリント配線板用基板(E−679、日立化成株式会社製、商品名)を、エッチングによりライン/スペースが12μm/12μmのくし型電極を作製した。次に、上記感光性フィルムの保護層を剥離しながら厚さ1.0mmの銅張積層基板上にプレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP−500」)を用いて、圧着圧力0.4MPa、プレス熱板温度80℃、真空引き時間25秒間、ラミネートプレス時間25秒間、気圧4kPa以下で行い、評価用積層体を得た。次いでi線露光装置(ウシオ株式会社製UX−2240SM−XJ−01)を用いて500mJ/cm2で全面露光した。次に、紫外線露光装置を用いて2000mJ/cm2の露光量で露光し、170℃で60分加熱後180℃で60分加熱し、銅張積層基板上に硬化膜を得た。評価基板上に、上述のようにレジストの硬化物を形成し、その後、プレッシャークッカー(機種名「不飽和型超加速寿命試験装置PC−422RP」、株式会社平山製作所製)により、135℃、85%、5.5V条件下に200時間晒した。200時間経過時の抵抗値が10E7(10×10Ω)Ω以上のものは「A」とし、200時間経過時の抵抗値が10E7Ω(10×10Ω)以下であり10E6Ω(10×10Ω)以上のものは「B」、抵抗値が10E6Ω(10×10Ω)未満に低下したものは「C」として評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0006953758
表2より、実施例1〜6の本実施態様の感光性樹脂組成物は、層間絶縁性において優れた性能を示しており、特にプリント配線板における層間絶縁膜として好適に用い得る組成物であることが確認された。これに対して、比較例1〜2の樹脂組成物は、充分な層間絶縁性が得られなかった。このように、本発明の感光性樹脂組成物は、(E)成分であるビスマレイミド化合物を含有することにより層間絶縁性の向上を図ることができる。
以上のように、本発明は、層間絶縁性及び解像性において優れた特性を有する感光性樹脂組成物、それを用いるドライフィルム、プリント配線板、及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。
100A.多層プリント配線板
101.銅張積層体
102.導体パターン
103.層間絶縁膜
104.開口部
105.シード層
106.樹脂パターン
107.導体パターン
108.表面保護膜

Claims (9)

  1. (A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラ、及び(E)マレイミド基含有化合物を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(A)成分が、ノボラック型エポキシ樹脂骨格を有する酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)を含有するものであり、前記ノボラック型エポキシ樹脂が、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される構造単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂である、感光性樹脂組成物
    Figure 0006953758

    〔一般式(2)中、R 21 は水素原子又はメチル基を示し、Y 21 、Y 22 は少なくとも水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。〕
    Figure 0006953758

    〔一般式(3)中、R 31 は水素原子又はメチル基を示し、Y 31 、Y 32 は少なくとも水素原子、アルキル基又はグリシジル基を示す。〕
  2. 前記(E)成分が、下記一般式(1)で表されるビスマレイミド化合物であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物
    Figure 0006953758

    〔一般式(1)中、R11、R12は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R13はアルキレン基、アリーレン基及びオキシ基からなる群より選ばれる基を1つ以上有する2価の基を示す。mは0又は1の整数を示す。〕
  3. 前記酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)が、ノボラック型エポキシ樹脂であるエポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)とを反応させてなる樹脂(A1’)に、飽和又は不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させてなる樹脂である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(B)光重合性化合物が、分子内にエチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機フィラ、及び(E)マレイミド基含有化合物の含有量が、感光性樹脂組成物中の固形分全量基準として、各々5〜60質量%、0.2〜15質量%、0.1〜10質量%、20〜60質量%、及び0.5〜12質量%である請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに、(F)顔料を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. キャリアフィルムと、請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いた感光層とを有する、ドライフィルム。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、又は請求項に記載のドライフィルムにより形成される表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を具備するプリント配線板。
  9. 基板上に請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物、又は請求項に記載のドライフィルムを用いて感光層を設ける工程、該感光層を用いて樹脂パターンを形成する工程、及び該樹脂パターンを硬化して表面保護膜及び層間絶縁膜の少なくとも一方を形成する工程を順に有する、プリント配線板の製造方法。
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