JP2000108294A - 無機質系化粧板 - Google Patents

無機質系化粧板

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JP2000108294A
JP2000108294A JP10294606A JP29460698A JP2000108294A JP 2000108294 A JP2000108294 A JP 2000108294A JP 10294606 A JP10294606 A JP 10294606A JP 29460698 A JP29460698 A JP 29460698A JP 2000108294 A JP2000108294 A JP 2000108294A
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adhesive layer
resin
inorganic
ionizing radiation
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JP10294606A
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English (en)
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Naoto Nakamura
直人 中村
Hitoshi Nakagawa
均 中川
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キッチン、浴室等の建築物の床面、壁面等に
使用される従来の無機質系化粧板は、ベースコート層の
表面に転写絵柄層を形成する方法や、溶剤系接着剤を用
いて化粧シートをドライラミネートにより積層する方法
により製造されていた。しかし、前者の方法には柄ぬ
け、絵柄の擦れ落ちという問題があり、後者の方法には
大がかりな乾燥工程を必要とし、溶剤の人体に対する安
全性を確保するための対策を考慮しなければならない等
という問題があった。 【解決手段】 本発明の無機質化粧板1は、無機質系基
材2と該無機質系基材2の表面に接着剤層3、熱可塑性
樹脂層4、印刷層5、保護層6を順次積層してなる無機
質系化粧板1において、接着剤層3としてホットメルト
タイプの電離放射線硬化性樹脂を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キッチン、浴室等
の建築物の床面、壁面、天井等の内装、家具ならびに各
種キャビネット等として用いられる装飾性に優れた無機
質系化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、かかる用途に用いる化粧板と
して、無機質系基材の表面を湿気硬化型塗料等を塗布
し、該塗料を乾燥することにより硬化させてシーラー層
を形成した後(以下、「シーラー板」と略称する。)、
ベースコート層、転写絵柄層、透明な表面保護層を順次
形成する無機質化粧板や、上記シーラー板に溶剤系接着
剤を用いて化粧シートをドライラミネートにより積層
し、その表面に透明な表面保護層を形成する化無機質粧
板が用いられてきた。又、溶剤系接着剤の代わりに反応
型ホットメルト接着剤を用いる化粧板も提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ベ
ースコート層の表面に転写絵柄層を形成する方法は、転
写工程で柄ぬけがおきたり、転写後絵柄が擦れ落ちると
いう問題があった。又、溶剤系接着剤を用いてドライラ
ミネートにより化粧シートをシーラー板に積層する方法
は、溶剤の残留により接着力が低下する上に、化粧シー
トを積層後に溶剤を気化させるための大がかりな乾燥工
程を必要とし、更に、溶剤の人体に対する安全性を確保
するための対策も考慮しなければならないという問題が
あった。又、反応性ホットメルト接着剤を使用して化粧
シートをシーラー板に積層する方法は、該接着剤は塗布
時から反応による固化が始まるため、塗布に用いる装置
内部で接着剤が詰まる等の現象がおきるので、取扱が難
しく、生産性が低いという問題があった。
【0004】本発明は、上記従来技術の欠点を解決する
ためになされたものであって、転写工程を排除して絵柄
の柄抜けや転写後の絵柄の擦れ落ちを防止し、更には、
接着力に優れ、人体に無害で作業性、生産性にも優れて
いる無機質系化粧板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の無機質系化粧板
は、無機質系基材の表面に接着性層、熱可塑性樹脂層、
印刷層、保護層を積層してなる無機質系化粧板におい
て、接着剤層がホットメルトタイプの電離放射線硬化型
樹脂からなることを特徴とする。
【0006】本発明においては、接着剤層がホットメル
トタイプの電離放射線硬化型樹脂であることが好まし
く、熱可塑性樹脂層がポリオレフィン系樹脂よりなるこ
とが好ましく、保護層が電離放射線硬化性樹脂からなる
ことが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
も含めてより詳細に説明する。図1は、本発明の無機質
系化粧板1の基本的構成を示す縦断面図である。図1に
おいて2は無機質系基材、3は接着剤層、4は熱可塑性
樹脂層、5は印刷層、6は保護層である。以下、上記各
層について説明する。
【0008】無機質系基材2としては、石膏板、石膏ス
ラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート
板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等の
セメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片
セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁気、せっ器、
土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板等が挙げられる。
【0009】無機質基材2は、その表面を補強し、又無
機板からのアルカリの移行を封止するため、表面をシー
ラー処理することが好ましい。シーラ処理をすると無機
質基材の表面が補強され、その表面に設けた接着剤層界
面での剥離が起きにくくなる。シーラー処理の方法とし
ては、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系の樹脂をロ
ールコート、フローコート等の方法で塗工する手段が用
いられる。
【0010】接着剤層3は、ホットメルトタイプの電離
放射線硬化型樹脂からなる。尚、ここにおける電離放射
線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合あるい
は架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、紫
外線(UV)又は電子線(EB)を用いることができ
る。
【0011】上記ホットメルトタイプの紫外線硬化型樹
脂としては、電離放射線硬化性樹脂に光重合開始剤をモ
ノマーとして配合したものも使用できるが、電離放射線
硬化性樹脂の幹ポリマーに光重合開始剤を共重合させた
ものが、該光重合開始剤の溶出による被着体の汚染や皮
膚の刺激といった問題を回避できるので好ましい。
【0012】上記ホットメルトタイプの電離放射線硬化
性樹脂の幹ポリマーとしては、アクリル系樹脂が好まし
いが、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル/塩化ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール
共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニル
アルコール、ポリブチルブチラール等のビニル共重合
体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
樹脂、硝酸繊維素、酢酸繊維素、ポリアミド、アイオノ
マー若しくはその他の、例えばナイロン/エポキシ共重
合体等の熱可塑性樹脂を使用することもできる。
【0013】上記アクリル系樹脂としては、アクリル
酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニ
トリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の重合
体および共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メ
タ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチ
ル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)ア
クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)
アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル
・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メ
タ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)ア
クリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステ
ルを含む単独又は共重合体が挙げられる。 尚、ここで
(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味
するものとする。
【0014】上記光重合開始剤としては、幹ポリマーが
アクリル系等のラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系
の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオ
キサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル
等を単独又は混合して用いることができる。また、幹ポ
リマーがカチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合
は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香
族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン
化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混
合して用いることができる。これらの光重合開始剤は前
記した様にモノマーとして配合することも出来るが、電
離放射線硬化性樹脂の幹ポリマーに共重合させること
が、取扱が便利になるので好ましい。
【0015】本発明におけるホットメルトタイプの電離
放射線硬化型樹脂からなる接着剤層3の厚みは、30μ
m〜200μmが好ましい。接着剤層3の厚みが30μ
m未満の場合は、接着剤の塗膜が薄すぎて十分な接着強
度が得られない。又、表面の外観が基材の表面凹凸状態
に左右され、品質が安定しない。一方、接着剤層の厚み
が200μmを越えると、電離放射線として電子線を用
いた場合は、照射装置として200kev程度の出力の
ものを使用すると、電子線が電子線硬化樹脂の最下部ま
で到達しないため、最下部で硬化不良が起きるおそれが
ある。又、電離放射線として紫外線を用いた場合は、接
着剤層3に小さなクラックが発生し接着剤層3が割れや
すくなる。接着剤層3に柔らかい樹脂を使用すればクラ
ックは発生しなくなるが、耐摩耗製や耐擦傷性が悪くな
る。
【0016】熱可塑性樹脂層4を構成する樹脂として
は、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹
脂等の熱可塑性樹脂等を使用することができるが、ポリ
オレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂と
しては、主原料がハードセグメントとしての高密度ポ
リエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、こ
れにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充
填剤を添加してなる混合物が挙げられる。又、特開平
9−111055号公報、特開平5−77371号公
報、特開平7−316358号公報等に記載のエチレン
・プロピレン・ブテン共重合体を熱可塑性樹脂層4に用
いることもでき、特公平6−23278号公報記載の
ハードセグメントとしてのアイソタクチックポリプロピ
レンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロ
ピレンとの混合物を熱可塑性樹脂層4に用いることもで
きる。これらには必要に応じて着色剤が添加される。
【0017】前記のオレフィン系樹脂におけるハード
セグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ま
しくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであ
って、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分か
れ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用い
られる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレ
ンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピ
レンが用いられる。
【0018】前記のソフトセグメントとしてのエラス
トマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴ
ム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加
ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なく
とも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオ
レフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上さ
せる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジ
エンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、
アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル
・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。
オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以
上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1
種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエ
チレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポ
リエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノ
ルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラス
トマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体
ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチ
レン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分
とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラ
ストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋
剤を用いて、過重架橋させても良い。
【0019】これらエラストマーの添加量としては、1
0〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。1
0重量%より少ない一定荷重伸度の変化が急峻になり過
ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生
じ、60重量%より多いと透明性、耐候性および耐クリ
ープ性の低下が生ずる。
【0020】又、前記の無機充填剤としては、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径
0.1〜10ミクロン程度の粉末が用いられる。添加量
としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重
量%程度である。1重量%未満では耐クリープ変形性及
び易接着性の低下が生じ、60重量%を超えると破断時
伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
【0021】前記のオレフィン系樹脂としては、エチ
レン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑
性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとして
は、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異
性体のいずれも用いることができる。共重合体として
は、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含
む。
【0022】上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合
体樹脂の好ましい具体例としては、次の(i)〜(iii)
が挙げられる。 (i)特開平9−111055号公報に記載されるエチ
レン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるラン
ダム共重合体。単量体成分の重量比率はプロピレンが9
0重量%以上である。メルトフローレートは、230°
C、2.16kgの条件下で1〜50g/10分である
ことが好ましい。このような3元ランダム共重合体10
0重量部に対して、上記ランダム共重合体は、燐酸アリ
ールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.0
1〜50重量部、炭素数を12〜22の脂肪酸アミド
0.003〜0.3重量部を溶融混練してなるものであ
る。
【0023】(ii)特開平5−77371号公報に記載さ
れるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体で
あって、プロピレン重量比率が50重量%以上の非晶質
重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを
80〜0重量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブ
テン共重合体。
【0024】(iii)特開平7−316358号公報に記
載されるエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合
体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が5
0重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、
アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフ
ィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシ
ルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油
ゲル化剤を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン
・ブテン共重合体。
【0025】上記(i)〜(iii)のエチレン・プロピレ
ン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、該
エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応
じて更に他のポリオレフィン樹脂を混合して用いても良
い。
【0026】前記のオレフィン系樹脂としては、特公
平6−23278号公報記載の(A)ソフトセグメント
として数平均分子量Mnが25000以上、且つ重量平
均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7
の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン1
0〜90重量%、及び(B)ハードセグメントとしての
メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプ
タン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜1
0重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げ
られる。
【0027】上記のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタク
チックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチ
ックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%のもの
が好ましく、アタクチックポリプロピレンの重量比率が
20〜40重量%のものが特に好ましい。アタクチック
ポリプロピレンの重量比率が5重量%未満ではエンボス
加工をする場合にネッキングによる不均一なシートの変
形や、その結果としての皺、印刷層の絵柄の歪み等が生
ずる。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が
50重量%を超えると、シート自体が変形し易くなり、
シートを印刷機に通した時にシートが変形し、印刷層の
絵柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不
良が発生しやすくなる。
【0028】前記熱可塑性樹脂層4のオレフィン系樹脂
中には必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外
線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。着色剤とし
ては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバル
トブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機
顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリ
ドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー
等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔
粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭
酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。
【0029】又、熱安定剤としては、フェノール系、サ
ルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト
系、アミン系等公知のものが使用でき、熱加工時の熱変
色等の劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃
剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウムなどの粉末が用いられる。
【0030】紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性
(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリア
ソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機
物、又は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸
化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その
他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメ
タクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いら
れる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.
5〜10重量%程度である
【0031】紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を
向上させるためには、ラジカル捕捉剤を添加することが
好ましい。ラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケー
ト、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特
公平4−82625号公報に開示されている化合物等の
ヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル
捕捉剤等が使用される。
【0032】熱可塑性樹脂層4として使用するシート
は、これらの前記材料をブレンドしたものをカレンダー
加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。
基材シートの厚みは50〜150μm、好ましくは80
μm程度である。
【0033】熱可塑性樹脂層4の表面には、易接着層の
塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の
易接着処理を施すことが好ましい。易接着層(プライマ
ー層、或いはアンカー層ともいう)としては、アクリル
樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリエステル
樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリ
エチレンを使用することができる。
【0034】印刷層5は、絵柄印刷、着色印刷等により
形成される。印刷層5は、具体的には顔料添加による着
色(透明又は不透明)の模様又はベタ印刷等からなり、
グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印
刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用
い、インキ(或いは塗料)にて形成する。印刷層5の模
様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模
様、幾何学図形、文字、記号等がある。印刷層5は熱可
塑性樹脂層4表面の全面に設けても部分的に設けても何
れでもよい。又、印刷層5は図1に示すように、熱可塑
性樹脂層3の表面全面に設けたべタ印刷層51と、該印
刷層の表面に部分的に設けた模様印刷層42とから構成
してもよい。尚、模様印刷層52は例えば絵柄の一部
(例えば木目柄の照り部分)を特に強調させた場合等に
部分的に設け、ベタ印刷層51は、ベタ状の絵柄模様に
おいて全体的にパール感や干渉的外観を現出させる場合
等に設ける。
【0035】印刷層5は、バインダーの種類に応じて、
公知の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定
剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合した印刷用イン
キを用いて印刷することにより形成することができる。
上記バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、電離放射線硬化性樹脂等の中から必要な物性、印刷
適性等に応じて適宜選択したものを使用する。また、顔
料としては、通常使用される有機系または無機系の顔料
を使用できる。希釈溶剤としてはバインダーの樹脂、顔
料等の着色剤、その他添加物に対する溶解、分散能力が
あり、また適度な乾燥性を有する液体溶剤が使用され
る。一般には溶解度パラメータがバインダーと近似する
液体溶剤を選定するのが溶解性の点から好ましい。
【0036】また、特に図示しないが、熱可塑性樹脂層
4の表面に模様状凹凸部を形成し、該凹部に通常の着色
インキを用いてワイピング加工することによりワイピン
グインキ層を設けたり、保護層6の表面に凹部及びワイ
ピングインキ層を設けることもできる。上記模様状凹凸
は、公知のエンボス方法にて形成される。上記ワイピン
グインキ層は、凹部を形成した表面に着色インキを含む
塗工組成物を塗工した後、その塗工物の塗工された上
を、ドクターブレード、エアーナイフ或いはスポンジ等
を表面材とするローラー等で拭き取り凸部の塗工組成物
を除去することにより、凹部のみに形成される。このワ
イピング加工において、着色した塗工組成物を用いる
と、木目の絵柄と凹部を同調させ、木目の導管部の外観
を良好に再現することができる。
【0037】尚、印刷層5の表面には図1に示す様に保
護層6が設けられるが、保護層6の表面の仕上がり面を
美麗にするために印刷層5を含む下地全体の凹凸を平滑
にすることを目的として、下記図2(d)に示す、シー
ラー層11を形成することが好ましく、該シーラー層1
1を構成する材料としては、ウレタンアクリレート系等
の紫外線硬化型樹脂が好ましい。
【0038】保護層6を構成する樹脂としては、オレフ
ィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂や電離
放射線硬化性樹脂を使用できるが、本発明の無機質系化
粧板においては、耐摩耗性に優れていることから電離放
射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。保護層6を構
成する電離放射線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和
結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴ
マー、及び/又はモノマーを適宜混合した、電離放射線
により硬化可能な組成物が用いられる。尚、ここで電離
放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合
或いは架橋し得るエネルギー量子を育するものを意味
し、通常紫外線または電子線等を意味する。
【0039】保護層6を構成する電離放射線硬化型樹脂
は、架橋密度が高くなるほど耐摩耗性が向上する。架橋
密度は例えば下記(1)式に示す平均架橋間分子量で表
すことができる。平均架橋間分子量は100〜1000
の範囲で用いることができ、好ましくは100〜700
である。
【0040】
【数2】 平均架橋間分子量=全体の分子量/架橋点の数 ・・・・・(1) 但し、全体の分子量は、Σ(各成分の配合モル数×各成
分の分子量)であり、架橋点の数は、Σ[{(各成分の
官能基数−1)×2}×各成分のモル数]である。
【0041】保護層6を構成する電離放射線硬化型樹脂
に用いられる前記プレポリマー、オリゴマーには、不飽
和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポ
リエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエー
テルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラ
ミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアク
リレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアク
リレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カ
チオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0042】ウレタンアクリレートとしては、例えばポ
リエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させて
得られる、下記〔化1〕の一般式で表されるポリエーテ
ル系ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0043】
【化1】CH2=C(R1)−COOCH2CH2−OCO
NH−X−NHCOO−〔−CH(R2)−(CH2n
−O−〕m−CONH−X−NHCOO−CH2CH2
COC(R1)=CH2(式中、R1,R2はそれぞれ水素
またはメチル基であり、Xはジイソシアネート残基、n
は1〜3の整数、mは6〜60の整数である。)
【0044】上記のポリエーテル系ウレタン(メタ)ア
クリレートに使用されるジイソシアネートとしては、例
えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート等が挙げられる。上記のポリエーテルジ
オールとしては、分子量が500〜3000のポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられ
る。
【0045】以下、ウレタンアクリレートの製造例を示
す。滴下ロート、温度計、還流冷却管及び攪拌棒を傭え
たガラス製反応容器中に、分子量1000のポリテトラ
メラレングリコール1000部と、イソホロンジイソシ
アネート444部とを仕込み、120℃で3時問反応さ
せた後、80℃以下に冷却し、2−ヒドロキシエチルア
クリレートを232重量部加え、80℃でイソシアネー
ト基が消失するまで反応させて、ウレタンアクリレート
が得られた。
【0046】電離放射線硬化型樹脂に用いるモノマーと
しては、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系モ
ノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキ
シエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチ
ル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸
エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸
ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2
−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メメタクリル酸
−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸
−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル
酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽
和置換酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリル
アミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミ
ド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、
1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレン
グリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレング
リコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリ
レート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエ
チレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合
物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基を有す
るポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパン
トリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチ
オプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリ
コール等が挙げられる。
【0047】通常、以上の化合物を必要に応じて1種も
しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化型
樹脂に通常の塗工適性を付与するために、前記プレポリ
マーまたはポリチオールを5重量%以上、前記モノマー
及びまたはポリチオールを95重量%以下とするのが好
ましい。
【0048】モノマーの選定にさいしては、硬化物の可
撓性が要求される場合は塗工適性上支障のない範囲でモ
ノマーの量を少なめにしたり、1官能または2官能アク
リレートモノマーを用い、比較的低架橋密度の構造とす
る。また、硬化物の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性等が要
求される場合には、塗工適性上支障のない範囲でモノマ
ーの量を多めにしたり、3官能以上のアクリレートモノ
マーを用いることで高架橋密度の構造とすることができ
る。尚、1、2官能モノマーと3官能以上のモノマーを
混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整することもでき
る。
【0049】以上のような1官能性アクリレートモノマ
ーとしては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシ
ルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙
げられる。又、2官能アクリレートとしてはエチレング
リコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
アクリレート等が、また3官能以上のアクリレートとし
ては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0050】更に、電離放射線硬化型樹脂には、硬化物
の可撓性、表面硬度等の物性を調整するための電離放射
線非硬化型樹脂を添加することができる。尚、該電離放
射線非硬化型樹脂としてはウレタン系、繊維素系、ポリ
エステル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられ、特に
繊維素系、ウレタン系、ブチラール系が可撓性の点から
好ましい。
【0051】又、以上の如き組成の電離放射線硬化型樹
脂を硬化させるために紫外線を照射する場合には、光重
合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシ
ムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、
チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩、メタロセン、又、光重合促進剤(増感剤)
としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n
−ブチルホスフィン等を、更に混合して用いることがで
きる。
【0052】上記保護層6を構成する電離放射線硬化性
樹脂にさらに耐擦傷性を付加する目的でリン片状粒子、
球状粒子を混合分散することができる。リン片状粒子、
球状粒子の材質は架橋硬化性樹脂よりも高硬度であれば
良く、無機粒子及び有機樹脂粒子のいずれも用いること
ができるが、耐摩耗性、硬度の点で、無機粒子が推奨さ
れる。リン片状粒子、球状粒子の架橋硬化性樹脂との硬
度の差は、硬度はモース硬度、ビッカーズ硬度等の方法
で計測され、例えば、モース硬度で表した場合、1以上
が好ましい。
【0053】リン片状粒子の材質は、具体的には、α−
アルミナ、シリカ等がある。球状粒子の材質は、具体的
には、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダ
イヤモンド、黒鉛などの無機粒子、および架橋アクリル
などの合成樹脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。
特に,好ましい球状粒子は、非常に硬度が高く、耐摩耗
性に対する効果が大きいこと、球形状のものが比較的容
易に得やすい等の理由から、球形のα−アルミナが用い
られる。
【0054】球状粒子は、真球状、あるいは球を偏平に
した回転楕円状ならびに真球状や回転楕円状に近い形状
などのように、表面が滑らかな曲線に囲まれていれば良
い。球状粒子は、特に粒子表面に突起や角あるいは谷間
や凹部のない球状が望ましい。球状粒子は同じ材料の不
定形の粒子と比較して、表面樹脂層それ自体の耐摩耗性
を大きく向上させると共に、塗工装置を摩耗させず、塗
膜の硬化後もこれと接触する他の物を磨耗させず、さら
に塗膜の透明度も高くなるという特徴があり、滑らかな
形状の場合にその効果が大きい。
【0055】電離放射線硬化型樹脂からなる保護層6の
塗工組成物には、粘度を調整するために、樹脂の成分を
溶解可能であり、常圧における沸点が70℃〜150℃
の溶剤を、組成物中に30重量%以下の範囲で用いるこ
とができる。溶剤の添加量が30重量%以下の範囲であ
れば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低
下がない。
【0056】上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通
常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエ
チルケトンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ア
ミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール
類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピル
エーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混
合物が挙げられる。
【0057】電離放射線硬化型樹脂によって構成される
保護層6の厚みは、5〜150μm、好ましくは50〜
100μmである。保護層6の厚みが5μm未満では、
薄過ぎて保護層としての役目を果たすことができず、1
50μmを超えると、使用する電離放射線が電子線の場
合は、電子線が保護層6の最下部まで到達しないので最
下部で硬化不良がおきる虞があり、使用する電離放射線
が紫外線の場合は電離放射線硬化型樹脂が硬化する時に
保護層6に小さなクラックが発生し保護層6が割れやす
くなる虞がある。
【0058】ホットメルトタイプの電離放射線硬化型樹
脂からなる接着剤層3、及び、電離放射線硬化型樹脂か
らなる保護層6の形成には、以下の手段が用いられる。 無機質系基材2の表面に塗工組成物を直接塗工するこ
とにより接着剤層3等を形成する直接コーティング法、
剥離性の基材表面に予め接着剤層を形成した後、無機
質系基材2の表面に転写することにより接着剤層3等を
形成する転写コーティング法等が用いられる。
【0059】上記の又はのいずれを採用するかは、
一般的には、塗工組成物が基材シートに浸透するか否か
が基準となる。塗工組成物が基材シートに浸透しない場
合には上記の又はの何方を用いてもよい。しかし、
の直接コーティング法は、塗工組成物が基材シートに
浸み込む場合には適切な方法ではない。但し、基材表面
に電離放射線硬化性樹脂等からなる層を直接形成するこ
とが可能であることから、製造が容易であるという利点
がある。一方、上記の転写コーティング法は、塗工組
成物が浸み込むという問題は生じないので、塗工組成物
を浸透させる紙等を基材シート2として使用した場合に
適切な方法である。又、基材シートの表面に凹凸がある
場合、塗膜厚みの均一性を出す場合、電離放射線の強度
を均一にして均一な電離放射線硬化性樹脂からなる層を
形成したい場合にも、の転写コーティング法は、樹脂
の浸み込みの問題は生じないので、適切な方法である。
但し、の転写コーティング法には、製造工程が増える
という欠点がある。
【0060】上記の直接コーティング法は、グラビア
コート、グラビアリバースコート、グラビアオフセット
コート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロ
ールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコ
ート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバ
ーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコー
ト、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる
が、好ましいのはグラビアコートである。
【0061】電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために
用いられる電離放射線照射装置は、紫外線を照射する場
合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボン
アーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ
等の光源が用いられ、又、電子線を照射する場合には、
コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器
型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器等が用いられる。
【0062】電子線の照射量は、通常100〜1000
keV、好ましくは100〜300keVのエネルギー
を持つ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射
する。照射量が0.1Mrad未満の場合、硬化が不十
分となる虞れがあり、又、照射量が30Mradを超え
ると、硬化した塗膜或いは基材が損傷を受ける虞れが出
てくる。又、紫外線により硬化させる場合の照射量は、
好ましくは50〜1000mJ/cm2 である。紫外線
の照射量が50mJ/cm2 を未満では硬化が不十分と
なる虞れがあり、又、照射量が1000mJ/cm2
超えると、硬化した塗膜が黄変化する虞れがある。
【0063】図2は、本発明の無機質系化粧板の製造方
法の一例を説明するための工程図である。以下、図2を
用いて無機質系化粧板の製造方法について説明する。 (1)図2(a)に示すにように無機質系基材2を準備
し、無機質系基材2の表面にシーラー層8を形成しシー
ラー板9を作製する。 (2)一方、熱可塑性樹脂層4としての熱可塑性樹脂シ
ートに、同図(b)に示すように、ベタ印刷層51、絵
柄印刷層52を順次形成して印刷層5を設ける。 (3)次に、同図(b)に示すように、上記の印刷層5
を形成した熱可塑性樹脂シートの裏面に電離放射線硬化
性樹脂組成物を塗工して接着剤層3を形成し、直ちに、
シーラー板9のシーラー層8を形成した面に積層し、こ
れに電離放射線を照射して接着剤層3を硬化させる。こ
のようにして、シーラー層8が設けられた無機質系基材
2と印刷層5が設けられた熱可塑性樹脂層4を電離放射
線硬化性樹脂からなる接着剤層3を介して積層すること
により、同図(c)に示すラミネート板10を作製す
る。 (4)次に、ラミネート板10の印刷層5を形成した面
に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、これに電離放射線を
照射して硬化させてシーラー層11を形成し、該シーラ
ー層11を形成したラミネート板10のシーラー面に、
更に保護層として電離放射線硬化性樹脂を塗工し、これ
に電離放射線を照射し硬化させて電離放射線硬化性樹脂
からなる保護層6を形成して目的とする無機質系化粧板
1を得る。但し、以上説明した工程は、本発明の無機質
系化粧板の製造方法の一例であって、本発明においては
上記の工程に限定されるものではない。
【0064】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。 実施例1 厚さ5mmのスレート板基材に中国塗料株式会社製湿気
硬化型ウレタン塗料「MDF」をスポンジロールを用い
て7g/尺2 塗布し、これを熱風乾燥機により乾燥して
シーラー処理を行いシーラー板を作製した。一方、木目
模様のグラビア印刷を施して印刷層を形成した厚さ80
μmの大倉工業株式会社製ポリプロピレンフィルムの印
刷層を形成した面の裏面に、三菱化学BASF株式会社
製ホットメルトタイプの電離放射線硬化型樹脂「UVキ
ュアホットメルト」を株式会社ノードソン製HMアプリ
ケーターを用いて厚さ60μm塗工して接着剤層を形成
し、直ちに、上記シーラー板のシーラー処理を施した面
に積層した。このポリプロピレンフィルムを積層した面
に株式会社アイ・エレクトロビーム社製EB装置を用い
て電子線を5Mrad照射して電離放射線硬化型樹脂
「UVキュアホットメルト」を硬化させ、ラミネート板
を作製した。次に、中国塗料株式会社製紫外線硬化型ウ
レタンアクリレート系塗料「オーレックスNo.25
0」をロールコート法とフローコート法を併用して7g
/尺2塗布し、これに株式会社GS製UVランプを用い
て紫外線を照射して硬化さることによりサンディングシ
ーラー処理を行った。次に、サンディングシーラー処理
を行った表面をドラム式ワイドベルトサンダーを用いて
研磨した後、その研磨した面に中国塗料株式会社製紫外
線硬化型ウレタンアクリレート系塗料「オーレックスN
o.230」をフローコート法により6g/尺2 塗布
し、これに株式会社GS製UVランプを用いて紫外線を
照射して硬化させ無機質系化粧板を作製した。
【0065】比較例1 接着剤層として、積水化学工業株式会社製の溶剤系接着
剤「エスダインV500」をリバースロールコート法に
て、溶剤を含んだ状態で厚さ120μm塗布し、80℃
で2分乾燥する以外は実施例1と同様に無機質系化粧板
を作製した。
【0066】比較例2 日本エヌエスシー製の反応性ホットメルト接着剤「ボン
ドマスター170−7310」を、ノードソン社製HM
アプリケーターを用いて、アプリケーター部分を窒素パ
ージしながら厚さ60μm塗工し、シーラー板とポリプ
ロピレンフィルムを接着した後、反応が完了するまで4
日間放置した以外は、実施例1と同様の方法で無機質系
化粧板を作製した。
【0067】参考例1 従来行われてきた、シーラー板にベースコート層、転写
絵柄層、透明な表面保護層を順次形成する方法で無機質
化粧板を作製した。
【0068】実施例1、比較例1、2及び参考例1で得
られた無機質系化粧板について、柄ぬけや絵柄の擦れ落
ち、接着力の低下、作業性を比較した結果を表1に示
す。試験結果に示すように、実施例1の化粧板は、いず
れの特性も良好であった。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の無機質系
化粧板は、無機質系基材の表面にホットメルトタイプの
電離放射線硬化性樹脂からなる接着剤層、熱可塑性樹脂
層、印刷層、保護層を積層する構成を採用したことによ
り、柄ぬけ、絵柄の擦れ落ち、接着力の低下を防ぎ、作
業性に優れ、製造が容易であるといった効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機質系化粧板の基本的構成を示す縦
断面図である。
【図2】本発明の無機質系化粧板の製造方法の一例を示
す工程図である。
【符号の説明】
1 無機質系化粧板 2 無機質系基材 3 接着剤層 4 熱可塑性樹脂層 5 印刷層 6 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA01A AE01 AK01B AK01C AK01G AK03B AK07 AK51G AS00C AT00C BA03 BA10A BA10C CB03 CC00 GB08 GB81 HB31 JB14C JB14G JB16B JK06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質系基材の表面に接着剤層、熱可塑
    性樹脂層、印刷層、保護層を積層してなる無機質系化粧
    板において、接着剤層がホットメルトタイプの電離放射
    線硬化型樹脂からなることを特徴とする無機質系化粧
    板。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂層がポリオレフィン系樹脂
    よりなることを特徴とする請求項1記載の無機質系化粧
    板。
  3. 【請求項3】 保護層が電離放射線硬化型樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の無機質系化粧板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003019759A (ja) * 2001-07-10 2003-01-21 Kuraray Co Ltd 活性エネルギー線硬化樹脂層を含む積層体の製造方法
KR101324929B1 (ko) 2012-09-18 2013-11-01 정종환 강화유리 보호글라스 및 이의 생산방법
JP2014170128A (ja) * 2013-03-04 2014-09-18 Bridgestone Corp ベルト用樹脂組成物およびそれを用いた導電性エンドレスベルト

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